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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021534
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】吐出容器及び防水塗膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/005 20060101AFI20240208BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240208BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20240208BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240208BHJP
   B05D 1/28 20060101ALI20240208BHJP
   E04F 21/08 20060101ALI20240208BHJP
   E04D 7/00 20060101ALI20240208BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B05C17/005
B05D7/00 K
B05D5/00 F
B05D1/26 Z
B05D1/28
E04F21/08 Z
E04D7/00 B
B65D1/02 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124417
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】522311934
【氏名又は名称】中山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100209624
【弁理士】
【氏名又は名称】制野 友樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 隆
【テーマコード(参考)】
3E033
4D075
4F042
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033DA03
3E033DA10
3E033DE20
3E033GA02
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC57
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC94
4D075AE01
4D075BB60Z
4D075CA38
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA23
4D075DC02
4D075EA05
4D075EA39
4F042AA17
4F042AA29
4F042AB00
4F042FA22
4F042FA30
4F042FA35
4F042FA43
(57)【要約】
【課題】立上がり面の表面に防水塗膜を形成するに際し作業効率を高めることができる吐出容器を提供すること。
【解決手段】本発明の吐出容器1は、立上がり面の表面、又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面へ液状防水剤を吐出するために用いるものである。具体的に、この吐出容器1は、可撓性を有し、液状防水剤を収容する収容部11と、収容部11から外方に起立連設してなり、その先端に開口部121を有する送液筒12と、を備えるものである。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立上がり面の表面、又は前記立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面へ液状防水剤を吐出するために用いる吐出容器であって、
可撓性を有し、前記液状防水剤を収容する収容部と、
前記収容部から外方に起立連設してなるか、又は前記収容部の開口部を覆うように設けられた吐出キャップから外方に起立連設してなり、その先端に開口部を有する送液筒と、
を備える吐出容器。
【請求項2】
前記送液筒と、前記収容部又は前記吐出キャップとの連設部における連設口の面積は30mm以上である
請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記送液筒の外周面に雌螺旋部と螺合可能に構成される雄螺旋部を有する
請求項1に記載の吐出容器。
【請求項4】
立上がり面の表面又は前記立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面に防水塗膜を製造する方法であって、
前記塗膜形成面に、請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出容器を用いて液状防水剤を吐出する吐出工程と、
吐出された前記液状防水剤を平滑塗工する塗工工程と、
を備える防水塗膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器及び防水塗膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の屋上や外壁等の各種下地を防水する防水工法の例として、塗膜防水工法が挙げられる。この塗膜防水工法は、液状防水剤を塗布して下地を覆う防水塗膜を形成することによって下地の防水を行うものである。このような塗膜防水工法では、防水塗膜の防水性能及び耐久性を長期にわたって確保する必要があることから、防水塗膜の膜厚の制御が重要である。
【0003】
防水塗膜の膜厚を担保すべく、例えば特許文献1には、立上がり面としての塗膜形成面に液状防水剤と異なる色のメッシュシートを取り付け、その上からこのメッシュシートが隠蔽されるまで液状防水剤を塗布する方法が提案されている。このような方法によれば、防水塗膜について一定以上の膜厚を担保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-108935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、立上がり面に塗布される液状防水剤は、硬化するまでの流下を防止するために、平場面に塗布される液状防水剤に比べて高粘度のものが用いられる。従来、液状防水剤は、容器内で刷毛にしみこませたりやコテ等で移してそのまま塗布されるのが一般的である。このような方法では、液状防水剤が高粘度であるため、均一に塗り広げることが難しく、作業に時間を要し作業効率が低下することがある。
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、立上がり面の表面に防水塗膜を形成するに際し作業効率を高めることができる、吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、立上がり面の表面に防水塗膜を形成するに際し、液状防水剤を吐出するための吐出容器として、可撓性を有し、液状防水剤を収容する収容部と、収容部から外方に起立連設してなるか、又は収容部の開口部を覆うように設けられた吐出キャップから外方に起立連設してなり、その先端に開口部を有する送液筒と、を備える吐出容器を用いて、立上がり面に吐出した後、刷毛やコテ等で塗布することにより、吐出容器を用いずに刷毛やコテ等で塗布する直接塗布した場合と比較して防水塗膜の形成の作業効率を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
(1)立上がり面の表面、又は前記立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面へ液状防水剤を吐出するために用いる吐出容器であって、可撓性を有し、前記液状防水剤を収容する収容部と、前記収容部から外方に起立連設してなるか、又は前記収容部の開口部を覆うように設けられた吐出キャップから外方に起立連設してなり、その先端に開口部を有する送液筒と、を備える吐出容器。
【0009】
(2)前記送液筒と、前記収容部又は前記吐出キャップとの連設部における連設口の面積は30mm以上である(1)に記載の吐出容器。
【0010】
(3)前記送液筒の外周面に雌螺旋部と螺合可能に構成される雄螺旋部を有する(1)に記載の吐出容器。
【0011】
(4)立上がり面の表面又は前記立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面に防水塗膜を製造する方法であって、前記塗膜形成面に、(1)~(3)のいずれかに記載の吐出容器を用いて液状防水剤を吐出する吐出工程と、吐出された前記液状防水剤を平滑塗工する塗工工程と、を備える防水塗膜の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、立上がり面の表面に防水塗膜を形成するに際し作業効率を高めることができる吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態の吐出容器の斜視模式図である。
図2】第1の実施形態の吐出容器の平面模式図である。
図3】第1の実施形態の吐出容器のA-A断面模式図である。
図4】第1の実施形態の吐出容器の使用方法を説明するための模式図である。
図5】第2の実施形態の吐出容器の斜視模式図である。
図6】第2の実施形態の吐出容器の平面模式図である。
図7】第2の実施形態の吐出容器のB-B断面模式図である。
図8】第3の実施形態の吐出容器の斜視模式図である。
図9】第3の実施形態の吐出容器の平面模式図である。
図10】第3の実施形態の吐出容器のC-C断面模式図である。
図11】第3の実施形態の吐出容器に用いるノズルの斜視模式図である。
図12】第3の実施形態の吐出容器に用いるノズルのD-D断面模式図である。
図13】他の実施形態の吐出ノズルの斜視模式図である。
図14】第4の実施形態の吐出容器の斜視模式図である。
図15】本実施例で用いた立上がり面の及び床面のモデル材の斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこの実施形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更を加えて実施することができる。
【0015】
≪吐出容器≫
本実施形態の吐出容器は、立上がり面の表面、又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面へ液状防水剤を吐出するために用いるものである。具体的に、この吐出容器は、可撓性を有し、液状防水剤を収容する収容部と、収容部から外方に起立連設してなるか、又は収容部の開口部を覆うように設けられた吐出キャップから外方に起立連設してなり、その先端に開口部を有する送液筒と、を備えるものである。
【0016】
なお、塗膜形成面は、立上がり面の表面、又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面以外に、この立上がり面の近傍の床面等含んでいてもよい。また、立上がり面としては、例えばベランダやバルコニー等の腰壁、パラペット等が挙げられる。
【0017】
以下、より具体的に本実施形態の吐出容器を説明するため、第1~第4の実施形態の吐出容器について説明するが、本発明は、以下の具体例に何ら限定されるものではない。
【0018】
〔第1の実施形態の吐出容器〕
図1~3を用いて第1の実施形態の吐出容器について説明する。図1は、第1の実施形態の吐出容器の斜視模式図である。図2は、第1の実施形態の吐出容器の平面模式図である。図3は、第1の実施形態の吐出容器のA-A断面模式図である。図4は、第1の実施形態の吐出容器の使用方法を説明するための模式図である。
【0019】
図1~3に模式図として示される吐出容器1は、立上がり面の表面、又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面へ液状防水剤を吐出するために用いるものである。具体的に、この吐出容器1は、可撓性を有し、液状防水剤を収容する収容部11と、収容部11から外方に起立連設してなり、その先端に開口部121を有する送液筒12と、を備えるものである。
【0020】
収容部11は、液状防水剤を収容する部位である。この収容部11は、略円筒状の筒体であり、その筒体の内部に液状防水剤を収容する。筒体の高さ方向の一端には底面が設けられていることによって閉口している。一方で、収容部11の筒状体の他の一端にも底面が設けられているが、そこから外方に起立連結して送液筒12が設けられている。この送液筒12の、収容部11と逆側の先端には開口部121が設けられている。また、送液筒12及び収容部11は連通されており、収容部11の内部に収容された液状防水剤を、送液筒12を経由して、開口部121から吐出可能である。
【0021】
収容部11は、例えばポリエチレン樹脂等の可撓性を有する樹脂やそのような樹脂を含む組成物等によって構成されていることにより、可撓性を有する。このようにして収容部11が可撓性を有するため、施工作業者が収容部11を握る圧力によって液状防水剤の吐出量を調整することができる。
【0022】
送液筒12の先端の開口の面積としては、特に限定されないが、10mm以上、20mm以上、30mm以上、40mm以上、50mm以上、60mm以上、70mm以上、80mm以上、90mm以上、100mm以上であることが好ましい。
【0023】
また、送液筒12と、収容部11との連設部13における口の面積としては、特に限定されないが、30mm以上、40mm以上、50mm以上、60mm以上、70mm以上、80mm以上、90mm以上、100mm以上であることが好ましい。
【0024】
なお、図1~3に示す吐出容器1においては、液状防水剤を収容部11に導入する機構について省略しているが、吐出容器1は、液状防水剤を収容部11に導入する機構について有することを排除するものではない。
【0025】
このような吐出容器1を用いて、図3に示すように、立上がり面(特にその上部)に液状防水剤を吐出すると、立上がり面に付着した液状防水剤は、重力によって下部へ流れるが、粘度が高いため多くの液状防水剤は床面まで流れ切らず、一定の厚みと平滑性を有して立上がり面に留まる。したがって、刷毛やコテを用いた平滑化のための塗布(平滑塗布)に多くの時間を要さない。このようにして、立上がり面の表面に防水塗膜を形成するに際し、吐出容器1を用いることによって作業効率を高めることができる。
【0026】
図を用いてより具体的に、吐出容器1の使用方法について説明する。図4は、第1の実施形態の吐出容器の使用方法を説明するための模式図である。
【0027】
床面Fから立上がり面Rが垂直に起立しており、立上がり面Rの下部には、パラペットPが設けられている。このパラペットPについて防水塗工を行う場合に、内部に液状防水剤を収容した吐出容器1の液相筒側を下方に傾けて、収容部を押圧することで、吐出容器1から液状防水剤が吐出される。パラペットPに添って長手方向(紙面奥方向)に移動しながら液状防水剤を吐出することで、パラペットP全体にわたって液状防水剤が吐出される。
【0028】
〔第2の実施形態の吐出容器〕
以下、図5~7を用いて第2の実施形態の吐出容器について説明する。図5は、第2の実施形態の吐出容器の斜視模式図である。図6は、第2の実施形態の吐出容器の平面模式図である。図7は、第2の実施形態の吐出容器のB-B断面模式図である。なお、使用方法については、第1の実施形態と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0029】
図5~7に模式図として示される吐出容器2は、立上がり面の表面、又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面へ液状防水剤を吐出するために用いるものである。具体的に、この吐出容器2は、可撓性を有し、液状防水剤を収容する収容部21と、収容部21の開口部211を覆うように設けられた吐出キャップ22から外方に起立連設してなり、その先端に開口部231を有する送液筒23と、を備えるものである。
【0030】
収容部21は、液状防水剤を収容する部位である。この収容部21は、略円筒状の筒体であり、その筒体の内部に液状防水剤を収容する。筒体の高さ方向の一端には底面が設けられていることによって閉口している。一方で、収容部21の筒状体の他の一端には、底面が開口しており周囲を囲むようにして立ち上がった開口部211が設けられている。開口部212の外周面には、雌螺旋と螺合可能に構成される雄螺旋部212が形成されている。
【0031】
そして、このような開口部211を覆うように吐出キャップ22が設けられている。吐出キャップの内周面には、開口部211の雄螺旋部212と螺合可能に構成される雌螺旋部221が形成されている。そして雄螺旋部212と雌螺旋部221とが螺合することにより、収容部21と吐出キャップ22とが連結され、一つの吐出容器2を構成する。言い換えると、収容部21と吐出キャップ22とは分離可能な状態にある。
【0032】
吐出キャップ22の頂部222からは、外方に起立連設して送液筒23が設けられている。この送液筒23の、収容部21と逆側の先端には開口部231が設けられている。また、収容部21と吐出キャップ22との連結状態で、送液筒23及び収容部21は連通されており、収容部21の内部に収容された液状防水剤を、送液筒23を経由して、開口部231から吐出可能である。
【0033】
収容部21は、例えばポリエチレン樹脂等の可撓性を有する樹脂やそのような樹脂を含む組成物等によって構成されていることにより、可撓性を有する。
【0034】
このような吐出容器2においては、吐出容器1と同様に、作業効率を高めることができる。また、吐出キャップ22を設けて、雄螺旋部213と雌螺旋部221との螺合を解除し、吐出キャップ22を収容部21から取り外すことで、容易に収容部21に液状防水剤を導入したり、逆に収容部21から液状防水剤を除去したりすることができる。
【0035】
≪第3の実施形態の吐出容器≫
以下、図8~10を用いて第3の実施形態の吐出容器について説明する。図8は、第3の実施形態の吐出容器の斜視模式図である。図9は、第3の実施形態の吐出容器の平面模式図である。図10は、第3の実施形態の吐出容器のC-C断面模式図である。
【0036】
図8~10に模式図として示される吐出容器3は、立上がり面の表面、又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面へ液状防水剤を吐出するために用いるものである。具体的に、この吐出容器3は、可撓性を有し、液状防水剤を収容する収容部31と、収容部31の開口部311を覆うように設けられた吐出キャップ32から外方に起立連設してなり、その先端に開口部331を有する送液筒33と、を備えるものである。
【0037】
ここでは、主として第2の実施形態の吐出容器2と異なる部分について説明する。ここで異なるものとして説明した以外の構成については、第2の実施形態の吐出容器2と同様である。
【0038】
送液筒33の開口部331の外周面には雄螺旋部332が設けられている。このような送液筒33には、吐出ノズルを取り付けることで、吐出量、吐出角度等を変えることができる。図11は、第3の実施形態の吐出容器に用いるノズルの斜視模式図である。また、図12は、第3の実施形態の吐出容器に用いるノズルのD-D断面模式図である。である。図11及び12に示される吐出ノズル4は、円錐台筒状であり、上下(紙面上の上下であり、位置関係を何ら限定しない)の上端部51及び下端部52はいずれも開口している。また、吐出ノズル5において、下端部の内周面には、雌螺旋部53が形成されており、送液筒33の雄螺旋部332と、吐出ノズル5の雌螺旋部53とが螺合することで、送液筒33と、吐出ノズル5が連結する。
【0039】
吐出ノズル5の先端の開口の面積としては、特に限定されないが、10mm以上、20mm以上、30mm以上、40mm以上、50mm以上、60mm以上、70mm以上、80mm以上、90mm以上、100mm以上であることが好ましい。
【0040】
なお、吐出ノズルの形状は、図11及び12に示す形状のものに限られない。図13は、他の実施形態の吐出ノズルの斜視模式図である。吐出ノズル5Aは、1つ屈曲部51Aを有するものである。また、吐出ノズル5Bは、2つの屈曲部を有するものである。なお、図13においては、屈曲したノズルを一つのパーツで構成しているが、複数のパーツで構成してもよい。屈曲したノズルを有することにより、特にパラペット等の狭い場所の防水塗工作業の効率性を高め得る。
【0041】
ノズルとしては、特に限定されないが、例えばコーキングガンのノズル等、市販のものを用いてもよい。コーキングガンのノズルはハサミやカッター等で先端を切断することにより、先端の開口部の径を調整し、吐出量を制御することができる。
【0042】
また、コーキングガンのノズル等、市販のものを用い、さらに屈曲したノズルを複数のパーツで構成する場合、屈曲部には、コーキングガン用の曲がりジョイントを用いてもよい。
【0043】
一実施形態において、屈曲部の屈曲角度としては、特に限定されないが、例えば30°以上、35°以上、40°以上であることが好ましい。一方、屈曲部の屈曲角度としては、60°以下、55°以下、50°以下であることが好ましい。屈曲部が、以上のような範囲で角度を有すると、液状防水剤の吐出時に収容部の開口部を、重力方向に対して垂直にして、塗膜形成面の斜め上方向から吐出することが可能であるため、液状防水剤を収容部内に残さずに吐出し得る。これとは反対に、屈曲部を有しない場合、塗膜形成面の斜め上方向から吐出しようとすると、収容部の開口部を、重力方向に対して傾ける必要がある。そうすると、液状防水剤の吐出時に、収容部に開口部よりも下に配置する部分が生じ、この部分に液状防水剤が溜まり、液状防水剤が収容部内に残ることがある。
【0044】
このようにして、送液筒33の外周に雄螺旋部332を設け、吐出ノズル45連結可能とすることにより、自由に吐出量や吐出角度を調整することができ、防水塗工の作業性を高めたり、柔軟な施工を行ったりすることができる。
【0045】
≪第4の実施形態の吐出容器≫
第3の実施形態の吐出容器のように、送液筒が屈曲していないものに限られず、送液筒が屈曲してもよい。
【0046】
以下、図14を用いて第4の実施形態の吐出容器について説明する。図14は、第4の実施形態の吐出容器の斜視模式図である。
【0047】
図14に模式図として示される吐出容器4は、立上がり面の表面、又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面へ液状防水剤を吐出するために用いるものである。具体的に、この吐出容器4は、可撓性を有し、液状防水剤を収容する収容部41と、収容部41の開口部(図示せず)を覆うように設けられた吐出キャップ42から外方に起立連設してなり、その先端に開口部431を有する送液筒43と、を備えるものである。
【0048】
ここでは、主として第3の実施形態の吐出容器3と異なる部分について説明する。ここで異なるものとして説明した以外の構成については、第3の実施形態の吐出容器3と同様である。このような吐出容器4においては、送液筒43が吐出容器4の高さ方向に角度をなして屈曲し、屈曲部433を有している。送液等43の開口部431の外周面には雄螺旋部432が設けられている。そして、送液等43は、この雄螺旋部432によって、第3の実施形態の吐出容器と同様に吐出ノズル5を連結可能である。これにより、吐出ノズル5は、吐出容器4の高さ方向に角度をなしている。このように吐出ノズル5が吐出容器4の高さ方向に角度をなすことにより、第3の実施形態の吐出容器3において吐出ノズル5A,5Bを用いた場合と同様に、特にパラペット等の狭い場所の防水塗工作業の効率性を高め得る。
【0049】
なお、吐出ノズルが屈曲部を有する場合、屈曲部の屈曲角度としては、特に限定されないが、例えば30°以上、35°以上、40°以上であることが好ましい。一方、屈曲部の屈曲角度としては、60°以下、55°以下、50°以下であることが好ましい。屈曲部が、以上のような範囲で角度を有すると、液状防水剤の吐出時に収容部の開口部を、重力方向に対して垂直にして、塗膜形成面の斜め上方向から吐出することが可能であるため、液状防水剤を収容部内に残さずに吐出し得る。これとは反対に、屈曲部を有しない場合、塗膜形成面の斜め上方向から吐出しようとすると、収容部の開口部を、重力方向に対して傾ける必要がある。そうすると、液状防水剤の吐出時に、収容部に開口部よりも下に配置する部分が生じ、この部分に液状防水剤が溜まり、液状防水剤が収容部内に残ることがある。
【0050】
≪防水塗膜の製造方法≫
本実施形態に係る防水塗膜の製造方法は、立上がり面の表面又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面に防水塗膜を製造する方法であって、吐出形成面に、上述したいずれかの吐出容器を用いて液状防水剤を吐出する吐出工程と、吐出された液状防水剤を平滑塗工する塗工工程と、を備えるものである。
【0051】
〔吐出工程〕
吐出工程は、塗膜形成面に、上述したいずれかの吐出容器を用いて液状防水剤を吐出する工程である。
【0052】
駅上防水剤の吐出の速度や量としては、特に限定されるものではなく、使用者が適宜調整することができる。
【0053】
〔塗工工程〕
塗工工程は、立上がり面の表面又は立上がり面に塗布された塗装下地材の表面を含む塗膜形成面表面を含む塗膜形成面に吐出された液状防水剤を平滑塗工する工程である。
【0054】
塗布の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば刷毛やコテを用いて塗布することができる。
【0055】
〔硬化工程〕
本実施形態に係る防水塗膜の製造方法は、液状防水剤を乾燥して硬化する硬化工程を備えてもよい。
【0056】
乾燥の方法としては、特に限定されず、自然乾燥でもよく、送風等によって人為的に乾燥してもよい。
【0057】
このような防水塗膜の製造方法によれば、短時間で厚みが揃った塗膜を、短時間で効率的に防水塗膜を製造することができる。
【実施例0058】
2枚の矩形の木板をそれぞれの一辺を合わせるようにして垂直に接合し、接合に用いた辺以外の辺の周囲に枠を設け、立上がり面の及び床面のモデル材とした。図13は、本実施例で用いた立上がり面の及び床面のモデル材の斜視模式図である。なお、図13には、あわせて各部の寸法を示している。
【0059】
液状防水剤としては、AGCポリマー株式会社製サラセーヌ(登録商標)の主剤と硬化剤とを、質量比で2:1となるように混合したものを用いた。
【0060】
〔実施例〕
熟練した防水工が、図14に示す吐出容器(用いた吐出容器の屈曲角度45°)の先端にコーキングガンを連結したものを用いて、長手方向の端部から他の端部まで移動しながら、液状防水剤を立上がり面上部に吐出した。次いで、吐出された液状防水剤を、刷毛(幅5cm、水性・油性兼用)を用いて立上がり面、床面に塗り広げ、立上がり面の厚み0.1mm~0.3mm、床面0.6~1.6mmの範囲内となるように平滑塗工した。吐出開始から5分20秒で塗工が終了した。その後、室温で7日間乾燥させた。
【0061】
〔比較例〕
熟練した防水工が、容器に入れた液状防水剤を刷毛に浸み込ませ、刷毛を用いて立上がり面、床面に塗り広げ、立上がり面の厚み0.1mm~0.3mm、床面0.6~1.6mmの範囲内となるように平滑塗工した。吐出開始から9分0秒で塗工が終了した。その後、室温で7日間乾燥させた。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る吐出容器を用いて塗膜防水工法を行うことで、塗工の作業の時間を大幅に短縮できることが分かった。
【符号の説明】
【0063】
1,2,3,4 吐出容器
11,21,31,41 収容部
211,311 (収容部の)開口部
212,312 (収容部の)雄螺旋部
22,32,42 吐出キャップ
221,321 (吐出キャップの)雌螺旋部
12,23,33,43 送液筒
121,231,331,431 (送液筒の)開口部
332,432 (送液筒の)雄螺旋部
433 屈曲部
5,5A,5B 吐出ノズル
51 上端部
52 下端部
53 (吐出ノズルの)雌螺旋部


図1
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