(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021535
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20240208BHJP
H01B 17/58 20060101ALI20240208BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240208BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
B60R16/02 622
F16L5/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124419
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】義村 克也
(72)【発明者】
【氏名】城田 翔平
【テーマコード(参考)】
5G333
5G363
【Fターム(参考)】
5G333AA10
5G333AB16
5G333CB18
5G333EA02
5G363AA12
5G363BA01
5G363CB08
(57)【要約】
【課題】保持力を向上させること。
【解決手段】貫通孔Pwb1の周縁部Pwb2に内径側から嵌め込ませる嵌合溝11が設けられた嵌合体10と、蛇腹筒形状の第1筒体31と、第2筒体32と、第1隔壁41と、第2隔壁42と、第2筒体から引き出された配索材Weと一緒にテープで固定される保持部44と、第1隔壁の内壁41aから第2隔壁に向けて突出させた一対の突起部50と、を有し、第1筒体と第1隔壁は、荷重状態で配索材の引張方向へと嵌合体に対して相対移動しながら変形させるものであり、突起部は、無荷重状態で嵌合溝の溝底よりも径方向内側の内周面10cに対して端部51を径方向内側に隙間を空けて対向配置させ、かつ、荷重状態で第1隔壁の内周縁部側からの変形に伴う変位によって端部から嵌合体の内周面に押圧力を作用させ、第1筒体は、突起部の押圧力の増強用の補助力を荷重状態で第1隔壁の外壁41bに作用させること。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1空間と第2空間の間で配索材を通す貫通孔に配置され、かつ、前記貫通孔の周縁部に内径側から嵌め込ませる環状の嵌合溝が設けられた環状の嵌合体と、
前記嵌合体よりも小径の蛇腹筒形状に形成され、かつ、前記第1空間で前記嵌合体の軸線と同軸上に配置され、かつ、筒内に前記配索材を挿通させる第1筒体と、
前記嵌合体よりも小径の筒形状に形成され、かつ、前記第2空間で前記軸線と同軸上に配置され、かつ、筒内に前記配索材を挿通させる第2筒体と、
前記嵌合体における前記第1空間側の環状端部と前記第1筒体における一方の環状端部との間の環状開口を塞ぐ環状の第1隔壁と、
前記嵌合体における前記第2空間側の環状端部と前記第2筒体における一方の環状端部との間の環状開口を塞ぐ環状の第2隔壁と、
前記第2筒体における他方の環状端部から突出させ、かつ、前記第2筒体における前記他方の環状端部から引き出された前記配索材と一緒にテープで固定される保持部と、
前記第1隔壁の内壁から前記第2隔壁に向けて突出させ、かつ、前記第1隔壁の軸心を間に置いて対向配置させた一対の突起部と、
を有し、
前記第1筒体と前記第1隔壁は、前記第2空間で前記配索材が前記保持部及び前記第2筒体と共に前記軸線に沿って引っ張られた荷重状態で、その引張方向へと前記嵌合体に対して相対移動しながら変形させるものであり、
前記突起部は、前記配索材の引っ張りの無い無荷重状態で前記嵌合体における前記嵌合溝の溝底よりも径方向内側の環状の内周面に対して前記第2隔壁側の端部を径方向内側に隙間を空けて対向配置させ、かつ、前記荷重状態で前記第1隔壁の内周縁部側からの変形に伴う変位によって前記第2隔壁側の前記端部から前記嵌合体の前記内周面に押圧力を作用させ、
前記第1筒体は、前記突起部の前記押圧力の増強用の補助力を前記荷重状態で前記第1隔壁の外壁に作用させることを特徴としたグロメット。
【請求項2】
前記突起部は、前記押圧力の反力を前記嵌合体の前記内周面から受けているときに変形不能な形状に形成されることを特徴とした請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記第1筒体は、前記荷重状態で相対移動しながら縮んで前記第1隔壁の前記外壁に係止させ、この係止位置で前記第1隔壁の前記外壁に前記補助力としての押圧力を作用させることを特徴とした請求項1又は2に記載のグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの空間の間の貫通孔に電線等の配索材を通す際には、その配索材を貫通孔の周縁部から保護するためのグロメットが設置されることがある。そして、そのグロメットについては、水等の液体が2つの空間を行き来せぬように、防液性を持たせることがある。このグロメットは、壁体の貫通孔の周縁部に嵌合させる本体と、本体と同軸上で当該本体の一方の開口周縁部から突出させ、かつ、内方に配索材を挿通させる第1筒体と、本体と同軸上で当該本体の他方の開口周縁部から突出させ、かつ、内方に配索材を挿通させる第2筒体と、第2筒体から突出させ、かつ、第2筒体から引き出された配索材と一緒にテープで固定される保持部と、を有している。例えば、この種のグロメットについては、下記の特許文献1から3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-87286号公報
【特許文献2】特開2021-87287号公報
【特許文献3】特開2021-87288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、その従来のグロメットは、一方の空間で第1筒体を引っ張りながら、本体を壁体の貫通孔の周縁部に嵌合させる。そして、このグロメットは、その嵌合状態の本体において、内方の突起を壁体の貫通孔の周縁部近傍の内壁に係止させることで、その嵌合状態を保っている。一方、このグロメットにおいては、他方の空間で配索材が不用意に引っ張られた場合でも、本体の嵌合状態を保つ必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、貫通孔の周縁部への保持力を向上させ得るグロメットを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1空間と第2空間の間で配索材を通す貫通孔に配置され、かつ、前記貫通孔の周縁部に内径側から嵌め込ませる環状の嵌合溝が設けられた環状の嵌合体と、前記嵌合体よりも小径の蛇腹筒形状に形成され、かつ、前記第1空間で前記嵌合体の軸線と同軸上に配置され、かつ、筒内に前記配索材を挿通させる第1筒体と、前記嵌合体よりも小径の筒形状に形成され、かつ、前記第2空間で前記軸線と同軸上に配置され、かつ、筒内に前記配索材を挿通させる第2筒体と、前記嵌合体における前記第1空間側の環状端部と前記第1筒体における一方の環状端部との間の環状開口を塞ぐ環状の第1隔壁と、前記嵌合体における前記第2空間側の環状端部と前記第2筒体における一方の環状端部との間の環状開口を塞ぐ環状の第2隔壁と、前記第2筒体における他方の環状端部から突出させ、かつ、前記第2筒体における前記他方の環状端部から引き出された前記配索材と一緒にテープで固定される保持部と、前記第1隔壁の内壁から前記第2隔壁に向けて突出させ、かつ、前記第1隔壁の軸心を間に置いて対向配置させた一対の突起部と、を有し、前記第1筒体と前記第1隔壁は、前記第2空間で前記配索材が前記保持部及び前記第2筒体と共に前記軸線に沿って引っ張られた荷重状態で、その引張方向へと前記嵌合体に対して相対移動しながら変形させるものであり、前記突起部は、前記配索材の引っ張りの無い無荷重状態で前記嵌合体における前記嵌合溝の溝底よりも径方向内側の環状の内周面に対して前記第2隔壁側の端部を径方向内側に隙間を空けて対向配置させ、かつ、前記荷重状態で前記第1隔壁の内周縁部側からの変形に伴う変位によって前記第2隔壁側の前記端部から前記嵌合体の前記内周面に押圧力を作用させ、前記第1筒体は、前記突起部の前記押圧力の増強用の補助力を前記荷重状態で前記第1隔壁の外壁に作用させることを特徴する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るグロメットは、第2空間で配索材が引っ張られた荷重状態で、貫通孔の周縁部に対する嵌合体の保持力を向上させることができるので、嵌合体の貫通孔からの外れを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、取付前の実施形態のグロメットを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、取付後の実施形態のグロメットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態のグロメットを別角度から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、
図2のX-X線断面に相当する部分拡大図であり、変形後のグロメットを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係るグロメットの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係るグロメットの実施形態の1つを
図1から
図6に基づいて説明する。
【0011】
図1から
図6に示す符号1は、本実施形態のグロメットを示す。このグロメット1は、2つの空間の間で配索材Weを通す貫通孔(以下、「配索材挿通孔」という。)に配置され、この2つの空間の間の壁体における配索材挿通孔の周縁部から配索材Weを保護すると共に、その周縁部と配索材Weとの間の隙間を介した水等の液体の2つの空間の行き来を抑えるものである。ここで例示する配索材Weは、第1空間と第2空間の間の第1壁体Pwbの配索材挿通孔(以下、「第1配索材挿通孔」という。)Pwb1を通し、かつ、第1空間と第3空間の間の第2壁体Pwdの配索材挿通孔(以下、「第2配索材挿通孔」という。)Pwd1を通し、第1空間を介して第2空間と第3空間との間に亘って配索される(
図1)。よって、ここで例示するグロメット1は、第1壁体Pwbの第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2から配索材Weを保護すると共に、その周縁部Pwb2と配索材Weとの間の防液性を確保し、かつ、第2壁体Pwdの第2配索材挿通孔Pwd1の周縁部Pwd2から配索材Weを保護すると共に、その周縁部Pwd2と配索材Weとの間の防液性を確保するものとして形作られる(
図1)。このグロメット1は、エラストマー等の弾性材料で成形される。
【0012】
ここで、配索材Weとは、例えば、1本の電線(通信線としての電線、電源線としての電線等)又は複数本の電線が束ねられたものである。この配索材Weは、複数本の電線を備える場合、その複数本の電線が例えばコルゲートチューブや樹脂テープ等の外装部品によって一纏めにされている。ここでは、グロメット1と配索材Weとが組み付けられた状態のものをワイヤハーネスWHと称する(
図1及び
図2)。
【0013】
このワイヤハーネスWHは、例えば、車両における車体側と可動部品側との間に亘って配策されるものであり、その間での通信や電源供給を担っている。可動部品とは、例えば、車体に対してヒンジ等の可動連結部品を介して連結された部品であり、バックドア、前席用又は後席用のサイドドア、トランクリッド等のことである。この例示に照らし合わせるならば、ここでは、第1壁体Pwbを車体側の壁体とし、第2壁体Pwdを可動部品側の壁体とする。
【0014】
グロメット1は、第1配索材挿通孔Pwb1に配置され、かつ、この第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2に内径側から嵌め込ませる環状の嵌合溝11が設けられた環状の嵌合体(以下、「第1嵌合体」という。)10を有する(
図1から
図4)。この第1嵌合体10は、第1配索材挿通孔Pwb1の形状に合わせた円環状又はオーバル環状(長円環状又は楕円環状)に形成される。そして、嵌合溝11は、第1嵌合体10と同形状に形成される。
【0015】
ここで示す第1壁体Pwbは、長円環状に形成された第1配索材挿通孔Pwb1と周縁部Pwb2を有する。このため、第1嵌合体10は、その第1配索材挿通孔Pwb1と同心の長円環状に形成される。そして、この第1嵌合体10には、その周縁部Pwb2の形状に合わせた当該周縁部Pwb2と同心の長円環状の嵌合溝11が形成される。この第1嵌合体10は、その嵌合溝11を第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2に嵌合させた状態で、第1空間側と第2空間側とに各々突出させる。
【0016】
また、このグロメット1は、第2配索材挿通孔Pwd1に配置され、かつ、この第2配索材挿通孔Pwd1の周縁部Pwd2に開口端部21を嵌め込ませる環状の嵌合体(以下、「第2嵌合体」という。)20を有する(
図1から
図3)。この第2嵌合体20は、第2配索材挿通孔Pwd1の形状に合わせた円環状又はオーバル環状(長円環状又は楕円環状)に形成される。このグロメット1においては、内方の配索材Weを第2嵌合体20の開口端部21から第3空間に引き出させる。
【0017】
ここで示す第2壁体Pwdは、長円環状に形成された第2配索材挿通孔Pwd1と周縁部Pwd2を有する。このため、第2嵌合体20は、その第2配索材挿通孔Pwd1と同心の長円環状に形成され、長円環状の開口端部21を第2配索材挿通孔Pwd1の周縁部Pwd2に嵌め込ませる。
【0018】
また、このグロメット1は、第1嵌合体10よりも小径の蛇腹筒形状に形成され、かつ、第1空間で第1嵌合体10の軸線と同軸上に配置され、かつ、筒内に配索材Weを挿通させる第1筒体31を有する(
図1から
図4)。この第1筒体31は、第2嵌合体20に対しても、この第2嵌合体20よりも小径の蛇腹筒形状に形成され、かつ、第1空間で第2嵌合体20の軸線と同軸上に配置される。この第1筒体31は、第1空間に配索される配索材Weを第1嵌合体10と第2嵌合体20との間で覆い隠すものであり、その間での伸縮や屈曲を可能にする。ここで示す第1筒体31は、円筒の蛇腹形状に形成されている。
【0019】
また、このグロメット1は、第1嵌合体10よりも小径の筒形状に形成され、かつ、第2空間で第1嵌合体10の軸線と同軸上に配置され、かつ、筒内に配索材Weを挿通させる第2筒体32を有する(
図1から
図4)。このグロメット1においては、内方の配索材Weを第2筒体32から第2空間に引き出させる。ここで示す第2筒体32は、円筒の蛇腹形状に形成されている。
【0020】
また、このグロメット1は、第1嵌合体10における第1空間側の環状端部10aと第1筒体31における一方の環状端部31aとの間の環状開口を塞ぐ環状の第1隔壁41と、第1嵌合体10における第2空間側の環状端部10bと第2筒体32における一方の環状端部32aとの間の環状開口を塞ぐ環状の第2隔壁42と、を有する(
図1から
図4)。更に、このグロメット1は、第2嵌合体20における第1空間側の環状端部20aと第1筒体31における他方の環状端部31bとの間の環状開口を塞ぐ環状の第3隔壁43を有する(
図1及び
図2)。
【0021】
また、このグロメット1は、第2筒体32における他方の環状端部32bから突出させ、かつ、その他方の環状端部32bから引き出された配索材Weと一緒に樹脂テープ等のテープ(図示略)で固定される保持部44を有する(
図1から
図4)。この保持部44は、例えば、第2筒体32の筒軸方向に軸線を沿わせた弧状の弾性変形可能な片体として形成され、他方の環状端部32bから引き出された配索材Weに内周面を向けて配置される。この保持部44は、その内周面同士を向かい合わせにして2つ設けられている。配索材Weは、他方の環状端部32bから引き出された後、2つの保持部44と一緒に外周面側からテープを幾重にも巻き付けて、この2つの保持部44に保持される。
【0022】
このグロメット1において、第1筒体31と第1隔壁41は、第2空間で配索材Weが保持部44及び第2筒体32と共に軸線に沿って引っ張られた荷重状態で、その引張方向へと第1嵌合体10に対して相対移動しながら変形させる。第1筒体31は、荷重状態で第1嵌合体10に対して引張方向へと相対移動しながら縮んでいく。また、第1隔壁41は、第1隔壁41は、その内周縁部が第1筒体31における一方の環状端部31aに繋がれているので、その第1筒体31の変形に連動して、内周縁部側から第2隔壁42に向けて相対移動しながら変形していく。
【0023】
更に、このグロメット1において、第2隔壁42は、その内周縁部が第2筒体32における一方の環状端部32aに繋がれている。このため、この第2隔壁42においては、その内周縁部側が荷重状態で引っ張られることによって、その引張荷重が外周縁部に作用する。よって、このグロメット1においては、その荷重状態が継続すると、第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2が第1嵌合体10の嵌合溝11から抜け出てしまう可能性がある。
【0024】
そこで、このグロメット1は、第1隔壁41の内壁41aから第2隔壁42に向けて突出させ、かつ、第1隔壁41の軸心を間に置いて対向配置させた一対の突起部50を有する(
図4及び
図5)。このグロメット1は、その一対の突起部50を少なくとも1組有していればよい。この突起部50は、配索材Weの引っ張りの無い無荷重状態で第1嵌合体10における嵌合溝11の溝底よりも径方向内側の環状の内周面10cに対して第2隔壁42側の端部51を径方向内側に隙間を空けて対向配置させる(
図4及び
図5)。そして、この突起部50は、荷重状態で第1隔壁41の内周縁部側からの変形に伴う変位によって第2隔壁42側の端部51から第1嵌合体10の内周面10cに押圧力を作用させるものとして形成される(
図6)。これにより、このグロメット1においては、その押圧力で嵌合溝11の溝底が第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2に押し付けられるので、その嵌合溝11の中に周縁部Pwb2を止めておくことができる。従って、このグロメット1は、第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2に対する第1嵌合体10の保持力を向上させることができ、その第1嵌合体10の第1配索材挿通孔Pwb1からの外れを抑止することができる。
【0025】
更に、このグロメット1は、第1嵌合体10の内周面10cに作用させる突起部50の押圧力を第1筒体31によって増強させる。ここで示す第1筒体31は、その突起部50の押圧力の増強用の補助力を荷重状態で第1隔壁41の外壁41bに作用させるものとして形成される(
図6)。具体的に、この第1筒体31は、荷重状態で相対移動しながら縮んで第1隔壁41の外壁41bに係止させ、この係止位置で第1隔壁41の外壁41bに補助力としての押圧力を作用させるものとして形成される。これにより、このグロメット1においては、荷重状態で突起部50が第1嵌合体10の内周面10cと第1筒体31とで挟み込まれる形となり、その増強された押圧力で嵌合溝11の溝底が第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2に押し付けられるので、その嵌合溝11の中に周縁部Pwb2を止めておき易くなる。従って、このグロメット1は、第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2に対する第1嵌合体10の保持力を更に向上させることができ、その第1嵌合体10の第1配索材挿通孔Pwb1からの外れ抑止効果を高めることができる。
【0026】
ここで、突起部50は、第1嵌合体10の内周面10cに作用させる押圧力の低下を抑えるべく、その押圧力の反力を第1嵌合体10の内周面10cから受けているときに変形不能な形状に形成されている。例えば、この突起部50は、局所的に過荷重が加えられたならば凹みはするが、局所的に過荷重が加えられたならば凹みはするが、破断しない程度の引張荷重や面圧が印加されたならばその外観形状を変えずに保ち得る多面体として形成されている。
【0027】
以上示したように、本実施形態のグロメット1は、第2空間で配索材Weが引っ張られた荷重状態で、第1配索材挿通孔Pwb1の周縁部Pwb2に対する第1嵌合体10の保持力を向上させることができるので、その第1嵌合体10の第1配索材挿通孔Pwb1からの外れを抑止することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 グロメット
10 第1嵌合体(嵌合体)
10a 第1空間側の環状端部
10b 第2空間側の環状端部
10c 内周面
11 嵌合溝
31 第1筒体
31a 一方の環状端部
31b 他方の環状端部
32 第2筒体
32a 一方の環状端部
32b 他方の環状端部
41 第1隔壁
41a 内壁
41b 外壁
42 第2隔壁
44 保持部
50 突起部
51 端部
Pwb1 第1配索材挿通孔(貫通孔)
Pwb2 周縁部
We 配索材