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特開2024-21538設備設計支援方法及び設備設計支援装置
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  • 特開-設備設計支援方法及び設備設計支援装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021538
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】設備設計支援方法及び設備設計支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20240208BHJP
   G06F 30/27 20200101ALI20240208BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124426
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦田 幸江
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC03
5B146DE03
5B146EC01
5B146FA02
(57)【要約】
【課題】設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず効率的かつ精度良好に実行可能とする。
【解決手段】情報処理装置100が、構造物に関するBIM形式の平面図1251及び当該構造物の物件情報1252を含む属性データと、プロット済み設備平面図1253とのセットを学習データとして機械学習エンジン1021に入力し、前記属性データと前記プロット済み設備平面図との関係性を規定したモデル1022を生成する処理と、新たな設計対象の構造物について、BIM形式の平面図及び物件情報を含む属性データを所定装置200から取得し、当該属性データを前記モデルに入力することで、当該新たな設計対象の構造物に関する設備平面図を生成する処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
構造物に関するBIM形式の平面図及び当該構造物の物件情報を含む属性データと、プロット済み設備平面図とのセットを学習データとして機械学習エンジンに入力し、前記属性データと前記プロット済み設備平面図との関係性を規定したモデルを生成する処理と、
新たな設計対象の構造物について、BIM形式の平面図及び物件情報を含む属性データを所定装置から取得し、当該属性データを前記モデルに入力することで、当該新たな設計対象の構造物に関する設備平面図を生成する処理と、
を実行することを特徴とする設備設計支援方法。
【請求項2】
前記情報処理装置が、
前記属性データのうち、前記物件情報として、前記構造物における室情報及び物件概要、の少なくともいずれかの情報を含むものを、前記平面図とともに前記機械学習エンジンに入力し、
前記新たな設計対象の構造物について、前記属性データのうち物件情報として、当該新たな設計対象の構造物の室情報及び物件概要、の少なくともいずれかの情報を前記所定装置から取得し、前記平面図とともに前記機械学習エンジンに入力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の設備設計支援方法。
【請求項3】
構造物に関するBIM形式の平面図及び当該構造物の物件情報を含む属性データと、プロット済み設備平面図とのセットを格納する記憶装置と、
前記BIM形式の平面図及び前記属性データを前記記憶装置より読み出し、これを学習データとして機械学習エンジンに入力し、前記属性データと前記プロット済み設備平面図との関係性を規定したモデルを生成する処理と、新たな設計対象の構造物について、BIM形式の平面図及び物件情報を含む属性データを所定装置から取得し、当該属性データを前記モデルに入力することで、当該新たな設計対象の構造物に関する設備平面図を生成する処理を実行する演算装置と、
を含むことを特徴とする設備設計支援装置。
【請求項4】
前記演算装置は、
前記属性データのうち、前記物件情報として、前記構造物における室情報及び物件概要、の少なくともいずれかの情報を含むものを、前記平面図とともに前記機械学習エンジンに入力し、
前記新たな設計対象の構造物について、前記属性データのうち物件情報として、当該新たな設計対象の構造物の室情報及び物件概要、の少なくともいずれかの情報を前記所定装置から取得し、前記平面図とともに前記機械学習エンジンに入力するものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の設備設計支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備設計支援方法及び設備設計支援装置に関するものであり、具体的には、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず効率的かつ精度良好に実行可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
設備設計におけるプロット作業では、コンセントやアンテナ端子など種々の部材をCAD上に配置する作業が必要となる。こうした作業を行う担当者らは、設計対象の構造物に関する建築図等を手元に置いて都度参照し、当該部材のオブジェクト(記号やアイコン等)を図面上に配置することとなる。
こうした設計業務の効率化に関する従来技術としては、例えば、自動倉庫の設計を、熟練者でなくても手間を掛けずに簡単且つ短時間に実施できるようにするシステム(特許文献1参照)などが提案されている。
【0003】
この技術は、自動倉庫に収納予定の収容物、及び、自動倉庫を形成する敷地に係わる各インプットデータを入力自在な入力手段を設け、前記入力手段からのインプットデータを基に、自動倉庫の基本設計を自動的に行う設計手段を設け、前記設計手段で自動設計された結果を図面としてアウトプット自在な設計図面提供手段を設け、前記設計手段に、対象とする自動倉庫に対するスプリンクラーの必要の有無を決定し、必要有りの場合にスプリンクラーの配置設計を行い、そのスプリンクラー配置を基に自動倉庫収容部の段ピッチ設計を行うスプリンクラー検討手段を設けてある自動倉庫設計支援システムにかかる。
【0004】
また、設計対象の建物の各室の要求性能を満たす壁を自動的に生成する技術(特許文献2参照)なども提案されている。
【0005】
この技術は、設計対象の建物の室の要件を表す基本要件情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部によって取得された前記基本要件情報に基づいて、前記設計対象の建物内の壁の各々を生成する壁生成部と、を含む設計支援装置にかかる。
【0006】
また、設計対象の建物の各室の要求性能を満たす壁を自動的に生成する技術(特許文献3参照)なども提案されている。
【0007】
この技術は、計対象の建物の室の要件を表す基本要件情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部によって取得された前記基本要件情報に基づいて、前記設計対象の建物内の壁の各々を生成する壁生成部と、を含む設計支援装置にかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-227229号公報
【特許文献2】特開2019-200721号公報
【特許文献3】特開2020-4278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
確かに、従来技術においても設計業務の効率化を図ることは可能であった。ところが実際には、効率化のために必要な種々の情報を予め用意し設定等を行う必要がある。そのため、業務全体として効率化が図られているとは言い難い。
そうなると、設計業務の現場において当該技術を導入し運用することが厭われる可能性もあり、結局のところ、従来の手作業に立ち返って業務を継続することとなる。
【0010】
一方、従来どおりの手作業を続ける場合、例えば、見積図作成段階(詳細な図面を作成する段階)でなく、概算段階でもプロット作業に多くの時間が必要であった。特に、経験の浅い職員であれば、当該業務の参考として過去物件の情報を参照しようにも、その探索すらままならず、徒に時間を費やす事態となりがちであった。
【0011】
そこで本発明は、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず効率的かつ精度良好に実行可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の設備設計支援方法は、情報処理装置が、構造物に関するBIM形式の平面図及び当該構造物の物件情報を含む属性データと、プロット済み設備平面図とのセットを学習データとして機械学習エンジンに入力し、前記属性データと前記プロット済み設備平面図との関係性を規定したモデルを生成する処理と、新たな設計対象の構造物について、BIM形式の平面図及び物件情報を含む属性データを所定装置から取得し、当該属性データを前記モデルに入力することで、当該新たな設計対象の構造物に関する設備平面図を生成する処理と、を実行することを特徴とする。
なお、上述における属性データは、設備データが入力される前の平面図データで、室情報や物件概要を含むデータである(以下同様)。また、プロットとは、平面図上に、必要な設備等のシンボルを配置することであり、プロット済みとは、そうしたシンボルの配置済みであることを指す。
【0013】
これによれば、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず効率的かつ精度良好に実行可能となる。
【0014】
なお、本発明における設備設計支援方法において、前記情報処理装置が、前記属性データのうち、前記物件情報として、前記構造物における室情報及び物件概要、の少なくともいずれかの情報を含むものを、前記平面図とともに前記機械学習エンジンに入力し、前記新たな設計対象の構造物について、前記属性データのうち物件情報として、当該新たな設計対象の構造物の室情報及び物件概要、の少なくともいずれかの情報を前記所定装置から取得し、前記平面図とともに前記機械学習エンジンに入力する、ことを特徴とする。
【0015】
なお、上述の室情報とは、室名称、室サイズ、室形状、及び室内仕上材種類といった情報であり、物件概要とは、建物用途、面積、高さ、階数、建設地、構造種別(鉄骨造、鉄筋コンクリート造)、その他、構造物の規模・概要が分かる情報を指すものとする(以下同様)。
【0016】
これによれば、BIM形式の平面図が含まない、室情報及び物件概要といった情報がもたらす、構造物のより詳細で具体的な属性についても学習要素とすることとなり、学習で得られるモデルの性能として、そうした属性を的確に反映した設備平面図の生成が可能となる。ひいては、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず、より効率的かつより精度良好に実行可能となる。
【0017】
また、本発明の設備設計支援装置は、構造物に関するBIM形式の平面図及び当該構造物の物件情報を含む属性データと、プロット済み設備平面図とのセットを格納する記憶装置と、前記BIM形式の平面図及び前記属性データを前記記憶装置より読み出し、これを学習データとして機械学習エンジンに入力し、前記属性データと前記プロット済み設備平面図との関係性を規定したモデルを生成する処理と、新たな設計対象の構造物について、BIM形式の平面図及び物件情報を含む属性データを所定装置から取得し、当該属性データを前記モデルに入力することで、当該新たな設計対象の構造物に関する設備平面図を生成する処理を実行する演算装置と、を含むことを特徴とする。
【0018】
これによれば、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず効率的かつ精度良好に実行可能となる。
【0019】
なお、本発明における設備設計支援装置において、前記演算装置は、前記属性データのうち、前記物件情報として、前記構造物における室情報及び物件概要、の少なくともいずれかの情報を含むものを、前記平面図とともに前記機械学習エンジンに入力し、前記新たな設計対象の構造物について、前記属性データのうち物件情報として、当該新たな設計対象の構造物の室情報及び物件概要、の少なくともいずれかの情報を前記所定装置から取得し、前記平面図とともに前記機械学習エンジンに入力するものである、ことを特徴とする。
【0020】
これによれば、BIM形式の平面図が含まない、室情報及び物件概要といった情報がもたらす、構造物のより詳細で具体的な属性についても学習要素とすることとなり、学習で得られるモデルの性能として、そうした属性を的確に反映した設備平面図の生成が可能となる。ひいては、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず、より効率的かつより精度良好に実行可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず効率的かつ精度良好に実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態における設備設計支援装置を含むネットワーク構成例を示す図である。
図2】本実施形態における設備設計支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態における設備設計支援方法のフロー例を示す図である。
図4】本実施形態における入力例を示す図である。
図5】本実施形態における出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<ネットワーク構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態における設備設計支援装置100の構成例を示す図である。
【0024】
本実施形態における設備設計支援装置10は、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず効率的かつ精度良好に実行可能とするシステムである。
【0025】
すでに述べたように、従来技術で実装されている設備設計業務の効率化手法では、効率化のために必要な種々の情報を予め用意し設定等を行う必要があり、業務全体として効率化が図られているとは言い難い状況にあった。
【0026】
その場合、設計業務の現場において当該技術を導入し運用することが厭われる可能性もあり、結局のところ、従来の手作業に立ち返って業務を継続することとなる。
【0027】
すると、見積図作成段階(詳細な図面を作成する段階)でなく、概算段階でもプロット作業に多くの時間が必要であり、特に、経験の浅い職員であれば、当該業務の参考として過去物件の情報を参照しようにも、その探索すらままならず、徒に時間を費やす事態となりがちであった。
【0028】
一方、本発明の設備設計支援技術においては、設備設計のプロット作業において、部材の配置処理を、経験値に依らず効率的かつ精度良好に実行可能となっている。
【0029】
こうした設備設計支援装置100の実施形態として、機械学習エンジン1021を備えて機械学習を実行可能であり、かつ、その機械学習エンジン1021により生成したモデル1022により、設備平面図の生成可能なサーバなど情報処理装置を想定する。
【0030】
こうした設備設計支援装置100は、例えば、インターネットなどの適宜なネットワーク1を介して、1または複数のユーザ端末200と接続可能に構成されている。勿論、こうしたネットワーク1の種類は問わないが、適宜にセキュアなものであると好適である。
【0031】
なお、本実施形態では、建築事業を行う事業者が設備設計支援装置100の運用者で、自ら保持する平面図を含む属性データやプロット済みの設備平面図を、上述の機械学習エンジン1021に与える形態を前提としている。
【0032】
ただし、上述のネットワーク1において、構造物の各種設計データを起案し、必要に応じて提供可能な設計会社のシステムや、(設備平面図に配置する)各種部材のメーカーが運用する部材仕様データの公開サーバなど、設備設計業務に必要な情報を提供する外部装置が接続されているとしてもよい。
【0033】
その場合、設備設計支援装置100は、そうした外部装置から、学習用の属性データやプロット済み設備平面図、或いは各種部材に関する最新の詳細情報を取得し、自身における機械学習処理に利活用することもできる(ただし、こうした運用形態はあくまでも一例であり、必須ではない)。
【0034】
設備設計業務に従事する担当者らは、自身のユーザ端末200を操作して設備設計支援装置100にアクセスし、BIM形式の平面図を含む属性データを入力し、上述の機械学習エンジン1021に学習データとして付与する。
【0035】
なお、学習データとなるBIM形式の平面図が、物件情報として、当該構造物における室情報及び物件概要、といった情報を含むものである場合、上述の担当者としてあらためて物件情報を入力する必要はない。
【0036】
上述の担当者が操作するユーザ端末200は、設備設計支援装置100による処理結果、すなわち自動的にプロット済みとなった設備平面図をディスプレイ等に表示し、当該担当者らの確認作業に供する。
【0037】
なお、上記では、設備設計支援装置100が、(ユーザ端末200との間で情報の入出力を行うものの)主たる機能や情報を保持してスタンドアロンマシンとして機能しうる形態で説明したが、こうした形態に限定しない
例えば、設備設計支援装置100が備える機能や情報が、ネットワーク1における複数の装置(ユーザ端末200も含みうる)に分散配置され、互いに協働することで設備設計支援方法を実行して必要な機能を実装するとしてもよい。
<ハードウェア構成例>
続いて、上述の設備設計支援装置100のハードウェア構成例について、図2に基づき説明する。図2で例示するように、本実施形態の設備設計支援装置100を構成する情報処理装置は、一般的なコンピュータ装置であって、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、入力装置105、出力装置106、及び通信装置107を有している。
【0038】
このうち記憶装置101は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)といった不揮発性の記憶素子から構成され、処理に必要なプログラム102やデータ、或いは処理結果を格納するものとなる。
【0039】
なお、記憶装置101で保持するプログラム102は、本実施形態の設備設計支援装置100として必要な機能を実装する為のプログラムである。そのためプログラム102は、機械学習エンジン1021を含むこととなる。
【0040】
なお、機械学習エンジン1021は、ネットワーク1を介して外部システムから必要な機能のみ呼び出して都度利用するとしてもよい。その場合、記憶装置101にそれらプログラムを常時保持する必要はない。
【0041】
また、記憶装置101には、BIM形式の平面図1251、物件情報1252、及びプロット済みの設備平面図1253を格納したデータベース125が保持されている。これらデータ類については後述する。
【0042】
また、メモリ103は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性記憶素子で構成される。
【0043】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU(Central Processing Unit)である。
【0044】
また、入力装置105は、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付けるキーボード、マイク、マウスといった装置である。この入力装置105は、ユーザ端末200に置換して、省略するとしてもよい。
【0045】
また、出力装置106は、演算装置104での処理データを表示するディスプレイやスピーカーといった装置である。この出力装置106も、ユーザ端末200に置換して、省略するとしてもよい。
【0046】
また、通信装置107は、ネットワーク1を介したユーザ端末200などの外部装置との通信処理を担うインターフェイスカード等を想定する。勿論、設備設計支援装置100はがスタンドアロンマシンとして構成、運用されている場合は不要となる。
<設備設計支援方法>
図3は、本実施形態における設備設計支援方法のフロー例を示す図である。ここで、本実施形態における設備設計支援方法の工程について説明する。ここで説明する各工程は、基本的には設備設計支援装置100が実行するものとする。
【0047】
まず、設備設計支援装置100は、ユーザ端末200からのアクセスを受けて、モデル1022の作成のための学習データ入力を受け付ける(s10)。そのため、設備設計支援装置100は、ユーザ端末200に対して、学習データ入力画面(図4参照)を配信し、この学習データ入力画面を介して、BIM形式の平面図1251、及び物件情報1252を取得することとなる。
【0048】
なお、物件情報1252としては、対象となる構造物における室名称、室サイズ、物件概要(例:構造物の種類。事務所、病院、工場など)、物件規模(例:延べ床面積、階数、構造など)、及び建設地(例:都道府県、土地種類、ハザードエリアなど)、の情報を含むものとする。これらの情報は、通常であればBIM形式の平面図のデータには含まれておらず、担当者等による入力又は外部システムからの配信が必要となる。
【0049】
勿論、こうしてユーザ端末200から学習データを取得する形式の他、既に述べたように、設計会社のシステムなど外部システムからネットワーク1を経由して、BIM形式の平面図1251や物件情報1252を取得するとしてもよい。
【0050】
続いて、設備設計支援装置100は、s10で得た学習データを、機械学習エンジン1021に付与することで、モデル1022の学習を進める(s11)。この場合の学習データは、BIM形式の平面図及び物件情報に対して、正例となるプロット済みの設備平面図が対となった教師データである。
【0051】
モデル1022は、こうした学習データを与えられるごとに、BIM形式の平面図及び物件情報と、プロット済みの設備平面図との間の関係性、すなわち、どのような平面図及び物件情報が与えられれば、当該プロット済みの設備平面図を生成すべきか、の法則性について学び続け、チューニングが進んでいくことになる。
【0052】
上述のモデル10022の学習(生成)を行った以降の適宜なタイミングにて、設備設計支援装置100は、新たな設計対象の構造物について、BIM形式の平面図及び物件情報を含む属性データを、ユーザ端末200から取得する(s12)。ここで取得した属性データは、学習データとしてのものではなく、設備平面図の自動生成用の入力データとなるものである。
【0053】
そこで、設備設計支援装置100は、s12で得た属性データを、学習済みのモデル1022に入力することで、当該新たな設計対象に関する空の設備平面図において、各種部材のオブジェクト50をプロットして設備平面図(図5参照)を生成し、これをユーザ端末200に応答する(s13)。
【0054】
設備設計支援装置100が自動生成する設備平面図は、s12でユーザ端末200から得ているBIM形式の平面図が含む意匠や機械の図面データをベースにした、プロット前の平面図(すなわち空の設備平面図)に、コンセント、電話端子、LAN(Local Area Network)端子、分電盤、給気口、排気口、スピーカー、ナースコール、点検口、ハンドホール、マンホールなどといった様々な設備のアイコンや略称、記号といったオブジェクト50をプロットしたものとなる。
【0055】
したがって、設備設計支援装置100は、こうしたオブジェクト(3DのCAD図面上で配置操作等が可能な描画データと言える)を、プロット対象の設備それぞれについて、記憶装置101にて予め保持しているものとする。勿論、こうしたオブジェクトデータの取得方法、取得先について限定しない。
【0056】
一方、ユーザ端末200では、設備設計支援装置100から設備平面図のデータを受信し、これをディスプレイ等の出力装置にて表示させ、設計担当者等のユーザに提示することとなる。
【0057】
なお、ユーザ端末200は、設備設計支援装置100から受信して表示させた設備平面図について、設計担当者らによる修正操作を受け付けて、これを設備設計支援装置100にフィードバックする。
【0058】
設備設計支援装置100は、上述のフィードバックを受けて、当該フィードバックが示す修正内容で設備平面図を更新し、この更新済みとなったプロット済みの設備平面図と、s12で得ている属性データとを正例の学習データすなわち教師データとして、機械学習エンジン1021に入力し、モデル1022の学習をさらに進め(s14)、処理を終了する。
【0059】
本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 ネットワーク
100 設備設計支援装置(情報処理装置)
101 記憶装置
102 プログラム
1021 機械学習エンジン
1022 モデル
103 メモリ
104 演算装置
105 入力装置
106 出力装置
107 通信装置
125 データベース
1251 平面図
1252 物件情報
1253 設備平面図
200 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5