(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021542
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】車両試験装置用のハブ連結装置
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240208BHJP
G01M 15/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01M17/007 Z
G01M15/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124431
(22)【出願日】2022-08-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 人とくるまのテクノロジー展2022(横浜会場) 令和4年5月25日 人とくるまのテクノロジー展2022(名古屋会場) 令和4年6月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】井川 翔太
【テーマコード(参考)】
2G087
【Fターム(参考)】
2G087BB01
(57)【要約】
【課題】試験対象車両のハブ4とダイナモメータとの接続を少人数(例えば1人)で簡単に行えるようにする。
【解決手段】アダプタフランジ15とシャフト部材17とからなる第1アダプタ11が、ホイールに代えてハブ4に取り付けられる。シャフト部材17は、円筒面をなすインナレース嵌合軸部19を有する。第2アダプタ12は、ボールベアリング25を保持しており、インナレース25a内周にインナレース嵌合軸部19が支持される。インナレース嵌合軸部19の先端にカップリング13が取り付けられ、このカップリング13とダイナモメータの回転軸とが等速ジョイントを介して接続される。第2アダプタ12は、直径線に沿って一対の支軸を有し、脚部を介して台座の支持面上に支持される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象車両の車軸のハブにホイールに代えて取り付けられ、かつハブ回転中心と同心の円筒面をなすインナレース嵌合軸部を有する第1アダプタと、
上記インナレース嵌合軸部がインナレースの内周面に軸方向に挿入可能なベアリングを保持し、かつ、上記ベアリングの直径線に沿って一対の支軸が半径方向外側へ突出して設けられた円環状の第2アダプタと、
上記インナレース嵌合軸部の先端面に取り付けられ、上記第2アダプタの軸方向の抜け止めを行うとともに、試験装置の回転軸が連結される円盤状のカップリングと、
車軸からの荷重を支持可能な平坦な支持面を上面に備えた台座と、
上記支持面上に移動可能に配置され、かつ上記第2アダプタの支軸を個々に揺動可能に支持する一対の脚部と、
を備えてなる車両試験装置用のハブ連結装置。
【請求項2】
上記脚部の下端に、上記支持面に接するフリーベアリングを備えている、
請求項1に記載の車両試験装置用のハブ連結装置。
【請求項3】
上記第1アダプタは、
中央部が上記ハブにボルトを介して固定され、かつ外周に平坦なフランジ部を有するアダプタフランジと、
外周のフランジ部が上記アダプタフランジのフランジ部に重ねてボルト結合され、かつ中央部に上記インナレース嵌合軸部を有するシャフト部材と、
を含む、請求項1に記載の車両試験装置用のハブ連結装置。
【請求項4】
上記カップリングの外周の一部に設けられた異形部と、
この異形部と係合して相対回転を阻止するように上記第2アダプタに着脱可能に取り付けられるストッパ部材と、
からなるストッパ機構を備えている、
請求項1に記載の車両試験装置用のハブ連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイナモメータを用いた車両試験装置において試験対象車両のハブと試験装置の回転軸との連結を行うハブ連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジン等のパワートレインから車軸に与えられる動力に関連した試験を行うために、試験対象車両の車軸のハブに個々にダイナモメータを連結するようにした車両試験装置が知られている。このような形式の車両試験装置にあっては、車両の車体そのものは試験室内で停止した状態のまま車軸の回転動力を取り出す機構が必要である。そのため、特許文献1,2に記載されているように、ベアリングを内蔵した模擬車輪をハブに取り付け、この模擬車輪を介してダイナモメータに動力を伝達する構成が一般的である。模擬車輪は、基本的には、中心の連結シャフトの一端が車両側のハブに連結され、他端がダイナモメータに連結されているとともに、連結シャフトの外周側に、ベアリングを介して通常のタイヤが回転自在に支持された構成となっている。試験は、模擬車輪のタイヤが接地して車両の荷重を支持している状態で行われる。車軸が回転してもベアリングを介して支持されているタイヤは回転することがなく、静止した状態のまま動力をダイナモメータ側へ伝えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-032613号公報
【特許文献2】特開2011-179911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成にあっては、試験に際して、試験対象車両の本来のホイールのリムからタイヤを取り外し、取り外したタイヤを模擬車輪のリム部分に組み付け、さらに試験後はタイヤを再び本来のホイールに組み付ける、という作業が必要であり、試験の準備や後処理に要する時間が長くなる。
【0005】
しかも、タイヤは重量物であることからタイヤを含む模擬車輪の総重量が非常に大きくなり、その取り扱いやハブへの着脱の作業負荷が大となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両試験装置用のハブ連結装置は、
試験対象車両の車軸のハブにホイールに代えて取り付けられ、かつハブ回転中心と同心の円筒面をなすインナレース嵌合軸部を有する第1アダプタと、
上記インナレース嵌合軸部がインナレースの内周面に軸方向に挿入可能なベアリングを保持し、かつ、上記ベアリングの直径線に沿って一対の支軸が半径方向外側へ突出して設けられた円環状の第2アダプタと、
上記インナレース嵌合軸部の先端面に取り付けられ、上記第2アダプタの軸方向の抜け止めを行うとともに、試験装置の回転軸が連結される円盤状のカップリングと、
車軸からの荷重を支持可能な平坦な支持面を上面に備えた台座と、
上記支持面上に移動可能に配置され、かつ上記第2アダプタの支軸を個々に揺動可能に支持する一対の脚部と、
を備える。
【0007】
第1アダプタは、試験対象車両の車軸のハブからタイヤとともにホイールを取り外した上でハブに取り付けられる。円環状の第2アダプタがベアリングを介して第1アダプタを回転自在に支持する。
【0008】
このように第1アダプタと組み合わされた状態で、第2アダプタの支軸が脚部を介して台座上に支持される。一対の脚部は、単に台座の支持面上に置くだけでよく、例えばトー角の大小や操舵時のハブの角度変化は、脚部が支持面上を移動可能であることで吸収される。第1アダプタをベアリングを介して回転自在に支持する第2アダプタは、ベアリングの直径線に沿った一対の支軸を中心に揺動可能であるので、例えばハブのキャンバ角の大小がこの支軸を中心とした揺動によって吸収される。
【0009】
試験装置の回転軸はカップリングに連結される。従って、このカップリングを介して試験装置の回転軸と第1アダプタとが、実質的に一体に回転するように互いに接続される。
【0010】
本発明の好ましい一つの態様では、上記脚部の下端に、上記支持面に接するフリーベアリングを備えている。このフリーベアリングによって、脚部は台座の支持面上で自在に移動できる。
【0011】
本発明の好ましい一つの態様では、
上記第1アダプタは、
中央部が上記ハブにボルトを介して固定され、かつ外周に平坦なフランジ部を有するアダプタフランジと、
外周のフランジ部が上記アダプタフランジのフランジ部に重ねてボルト結合され、かつ中央部に上記インナレース嵌合軸部を有するシャフト部材と、
を含む。
【0012】
このように第1アダプタを2つの部材に分割して構成することで、ハブに対する取付が容易となる。
【0013】
また好ましい一つの態様では、
上記カップリングの外周の一部に設けられた異形部と、
この異形部と係合して相対回転を阻止するように上記第2アダプタに着脱可能に取り付けられるストッパ部材と、
からなるストッパ機構を備えている。
【0014】
例えば、第1アダプタおよび第2アダプタを試験対象車両側に取り付けた状態(第2アダプタが台座上に支持されていない状態)において、ストッパ機構により第2アダプタの回転を規制することができ、支軸に対する脚部の取付等が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、第1アダプタと第2アダプタとを組み合わせた上で、一対の脚部を介して台座の支持面に載せることで作業が完了する。
【0016】
ハブ連結装置はタイヤを含まないので重量が軽減され、かつ、第1アダプタおよび第2アダプタを車両に順次組み付けることができるので、少人数(例えば1人)の作業員による作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】車両試験装置全体の概略の構成を示した説明図。
【
図2】一実施例のハブ連結装置を台座上に配置した状態で示した斜視図。
【
図3】第2アダプタを第1アダプタに組み合わせた状態のハブ連結装置の斜視図。
【
図6】ストッパ部材を取り付けた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、この発明に係るハブ連結装置1が用いられる車両試験装置全体の概略の構成を示している。この車両試験装置は、試験対象車両2のエンジン等のパワートレインから車軸に与えられる動力に関連した試験を行うために、試験対象車両2の車軸のハブ4に個々に試験装置であるダイナモメータ3を連結するようにした構成を有する。
図1では、例えば試験対象車両2の右側前輪のハブ4に対して設けられたダイナモメータ3が示されているが、車両試験装置全体としては、左右の前輪および後輪に対応して4つのダイナモメータ3が配置されている。なお、前輪駆動車や後輪駆動車に対しては、駆動輪となる2輪に対してのみダイナモメータ3が設けられる場合もある。
【0019】
後述するように、ハブ4に連結されたハブ連結装置1は台座5の上に支持されており、従って、試験中は台座5が試験対象車両2の各輪の荷重(重量)を支承している。ダイナモメータ3の回転軸6は、撓みを許容する等速ジョイント7を介してハブ連結装置1に接続されており、試験対象車両2のハブ4と等速で回転する。つまり、ハブ連結装置1によって試験対象車両2の各輪のハブ4とダイナモメータ3とが連結されている。
【0020】
図2は、台座5の上に支持されたハブ連結装置1を示している。また
図3は、台座5から離れたハブ連結装置1を示しており、
図4は、その断面図である。
図5は、各部を分解して示した分解斜視図である。
【0021】
ハブ連結装置1は、試験対象車両2の車軸のハブ4にホイールに代えて取り付けられる第1アダプタ11と、この第1アダプタ11を回転自在に支持する円環状の第2アダプタ12と、第1アダプタ11に軸方向に組み付けた第2アダプタ12の軸方向の抜け止めを行う円盤状のカップリング13と、第2アダプタ12を台座5上で支持する一対の脚部14と、から大略構成されている。
【0022】
第1アダプタ11は、
図4,
図5に示すように、中央のハブ取付部15aがハブ4にボルト16を介して固定され、かつ外周に平坦なフランジ部15bを有するアダプタフランジ15と、外周のフランジ部17aが上記アダプタフランジ15のフランジ部15bに重ねられて複数のボルト18によって結合され、かつ中央部にインナレース嵌合軸部19を有するシャフト部材17と、から構成されている。
【0023】
アダプタフランジ15の中央のハブ取付部15aは、外周のフランジ部15bの位置からハブ4側へカップ状に突出して形成されている。また、ハブ取付部15aは、円形をなし、かつハブ4と同程度の径を有している。ハブ4側に固定されたスタッドボルト形式のボルト16がハブ取付部15aの孔20を貫通し、袋状ナット21が螺合することで、アダプタフランジ15がハブ4に固定される。複数の袋状ナット21は、ハブ取付部15aがフランジ部15bよりもハブ4側へカップ状に突出していることで生じる中央の空間内に収容されている。
【0024】
シャフト部材17が備えるインナレース嵌合軸部19は、外周のフランジ部17aからハブ4とは反対側へ向かって円筒状に突出した形に形成されている。このインナレース嵌合軸部19の外周面は、ハブ4の回転中心と同心の円筒面をなしている。また、インナレース嵌合軸部19の先端面には、カップリング13を固定するための複数のボルト23が螺合するネジ孔22が設けられている。
【0025】
第2アダプタ12は、
図4,
図5に示すように、円環状をなし、その内周にボールベアリング25が保持されている。ボールベアリング25は、インナレース25aとアウタレース25bと両者間のボール25cとを備えた一般的な構成のものである。ボールベアリング25は、アウタレース25bが第2アダプタ12の内周面に嵌め込まれた上で、円環状のリテーナプレート26が第2アダプタ12の端面にネジ27を介して固定されることで、第2アダプタ12に取り付けられている。
図4に示すように、アウタレース25bが第2アダプタ12の段部12aとリテーナプレート26との間に挟まれて固定されている。
【0026】
インナレース嵌合軸部19の外径(つまり円筒面の径)はインナレース25aの内径と実質的に等しく設定されており、互いに嵌合できるように構成されている。インナレース嵌合軸部19がボールベアリング25のインナレース25aに軸方向に挿入されると、
図4に示すように、インナレース嵌合軸部19の先端がインナレース25a端面から僅かに突出する。このインナレース嵌合軸部19の先端面にカップリング13をボルト23を介して取り付けることで、インナレース25aが軸方向に締め付けられ、シャフト部材17に固定される。つまり、インナレース嵌合軸部19の先端にカップリング13が取り付けられることで、インナレース25aに軸方向に挿入されたインナレース嵌合軸部19のインナレース25aからの抜け止めがなされる。
【0027】
前述したダイナモメータ3の回転軸6と接続するための等速ジョイント7の一端は、カップリング13の端面(
図4の左側の端面)に固定される。なお、図示例では、カップリング13は、軽量化のために、円環状をなしている。
【0028】
図5および
図3に示すように、第2アダプタ12は、ボールベアリング25の直径線に沿って半径方向外側へそれぞれ突出した一対の支軸28を備えている。これらの支軸28は、
図2に示すように、それぞれベアリング29を介して脚部14に回転自在に支持されている。換言すれば、ベアリング29を介して支軸28に脚部14が取り付けられている。
【0029】
脚部14の各々は、ベアリング29を頂部に備えた二等辺三角形のような形状をなしており、略直方体形状をなす座部30の上に起立した形に固定されている。座部30は、
図2に示すように、台座5の支持面5aの上に移動可能に配置される。座部30は、台座5の支持面5aに接するフリーベアリング31を底部に備えており、このフリーベアリング31の作用により、台座5の平坦な支持面5aの上を円滑に移動することができる。なお、台座5は、ハブ4から作用する上下方向の荷重(つまり車重)を支承できるように十分な強度・剛性を有するように構成されており、その上面となる支持面5aは基本的に水平面に沿っている。
【0030】
次に、上記のように構成されたハブ連結装置1の取付作業について説明する。試験室にタイヤを有する状態で搬入された試験対象車両2は、図示しないリフトによって
図1に示すように適当な高さまで持ち上げられる。このように持ち上げた状態でタイヤおよびホイール(いずれも図示せず)をハブ4から取り外した後、第1アダプタ11のアダプタフランジ15をハブ4のボルト16にはめ込み、袋状ナット21を締め付けてハブ4に固定する。
【0031】
なお、図示例では、シャフト部材17のインナレース嵌合軸部19の径が大きくならないように第1アダプタ11をアダプタフランジ15とシャフト部材17との2部材に分割して構成してあるが、円筒状をなすインナレース嵌合軸部19の内周を通して袋状ナット21の締結が可能であれば、第1アダプタ11全体を一つの部材として構成することも可能である。
【0032】
一方、試験対象車両2への取付の前に、第2アダプタ12とボールベアリング25とシャフト部材17とカップリング13とを一体に組み立てておく。つまり、第2アダプタ12内周にボールベアリング25を配置し、かつリテーナプレート26をネジ止めする。そして、シャフト部材17のインナレース嵌合軸部19が第2アダプタ12のボールベアリング25のインナレース25a内周に嵌合するようにしつつシャフト部材17を軸方向に組み付けた後、インナレース25a内周において露出するインナレース嵌合軸部19の先端面にカップリング13をボルト23によって取り付ける。このカップリング13の取付によって、第2アダプタ12とボールベアリング25とシャフト部材17とカップリング13とが一体化される。
【0033】
次に、このように一体化された第2アダプタ12側の構造体を、試験対象車両2のハブ4に取り付けられているアダプタフランジ15に取り付ける。つまり、アダプタフランジ15にシャフト部材17を組み合わせ、各々のフランジ部15b,17a同士を重ね合わせた上でボルト18によって互いに一体に固定する。これによって、図示しないリフトによって持ち上げられている試験対象車両2のハブ4に第1アダプタ11と第2アダプタ12とが取り付けられた状態となる。
【0034】
次に、第2アダプタ12の一対の支軸28にそれぞれ脚部14を組み付け、図示しないリフトの操作によって試験対象車両2を下降させて、一対の脚部14とともにハブ連結装置1を台座5の支持面5a上に降ろす。このように下降させた状態では、ハブ4に固定された第1アダプタ11の荷重が第2アダプタ12を介して台座5によって支承される。最後に、ダイナモメータ3の回転軸6とカップリング13とが等速ジョイント7を介して連結される。
【0035】
第1アダプタ11は、第2アダプタ12が保持するボールベアリング25によって回転自在に支持されている。従って、ハブ4とダイナモメータ3の回転軸6とが等速で回転する。第2アダプタ12は水平方向に延びる一対の支軸28を中心として揺動可能であるので、例えば各輪のキャンバー角の大小をこの揺動によって吸収することができる。また一対の支軸28を支持する脚部14の各々が支持面5a上をフリーベアリング31を介して移動可能であるので、等速ジョイント7の許容範囲内であれば、例えばトー角の大小や多少の操舵が許容される。従って、実際の走行に近い状態で動力に関連した試験を行うことができる。
【0036】
上記実施例のハブ連結装置1においては、アダプタフランジ15をハブ4に取り付けた後に、ボールベアリング25およびシャフト部材17を含む第2アダプタ12をアダプタフランジ15に組み付ければよく、個々の部材は比較的に小型かつ軽量であるので、少人数で、例えば1人の作業員による連結作業が可能となる。また、重量物であるタイヤおよびホイールは試験対象車両2をリフトに載せた後に取り外せばよく、従来技術における模擬車輪のようにハブ連結装置1がタイヤを含まないので、ハブ4に対する脱着が容易である。
【0037】
次に、上記実施例のハブ連結装置1が具備するストッパ機構について、
図6および
図3を参照して説明する。
図3に示すように、円環状をなすカップリング13は、その外周面の例えば4カ所に、当該外周面の接線と平行な平面からなる異形部41を備えている。つまり外周面の一部が接線方向に切り落とされた形となっている。また、第2アダプタ12の外周面の一部に、当該外周面の接線方向と平行な平面からなるストッパ取付面42が設けられている。一実施例では、ストッパ取付面42は、一対の支軸28と90°離れた位置となる2カ所に対称に形成されており、それぞれストッパ取付用のネジ孔43を備えている。
【0038】
図6は、ストッパ取付面42にストッパ部材44を取り付けた状態を示している。ストッパ部材44は、基部44aと突出部44bとから略L字形をなすように構成されており、基部44aが一対のネジ45によってストッパ取付面42に固定される。そして、突出部44bの先端の平坦面がカップリング13の異形部41に係合(換言すれば面接触)することで、カップリング13およびこれと一体の第1アダプタ11(アダプタフランジ15、シャフト部材17)が第2アダプタ12に対し回転できない状態となる。
【0039】
従って、リフトでもって試験対象車両2が持ち上げられている状態でハブ4に第1アダプタ11、第2アダプタ12およびカップリング13を取り付けたときに、ストッパ機構によって第1アダプタ11と第2アダプタ12との相対回転が阻止される。これにより、第2アダプタ12の支軸28に対する脚部14の取付や台座5の支持面5a上に配置する際の作業が容易となる。
【0040】
なお、ストッパ部材44は、基部44aを含む全体を第2アダプタ12に着脱するようにしてもよく、あるいは、基部44aと突出部44bとを別部材とし、突出部44bのみを基部44aから着脱するようにしてもよい。
図6の例では、手指で締付操作が可能な取付ネジ46によって突出部44bが比較的簡単に基部44aから取り外せる構成となっている。
【0041】
以上、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、各部材の具体的な形状は図示した実施例には限定されない。また、取付手順についても、上記の例に限らず、適当に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1…ハブ連結装置
2…試験対象車両
3…ダイナモメータ
4…ハブ
5…台座
11…第1アダプタ
12…第2アダプタ
13…カップリング
14…脚部
15…アダプタフランジ
17…シャフト部材
19…インナレース嵌合軸部
25…ボールベアリング
28…支軸
31…フリーベアリング
41…異形部
44…ストッパ部材