IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エムケー精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-濾過器および洗浄装置 図1
  • 特開-濾過器および洗浄装置 図2
  • 特開-濾過器および洗浄装置 図3
  • 特開-濾過器および洗浄装置 図4
  • 特開-濾過器および洗浄装置 図5
  • 特開-濾過器および洗浄装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021543
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】濾過器および洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/11 20060101AFI20240208BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B01D29/10 510C
B01D29/10 530A
B08B3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124433
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真二
【テーマコード(参考)】
3B201
4D116
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201BB02
3B201BB03
3B201BB72
3B201BB75
3B201BB77
3B201BB87
3B201BB93
3B201CD22
4D116AA01
4D116AA11
4D116AA12
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC46
4D116BC47
4D116BC75
4D116DD05
4D116FF12B
4D116FF17B
4D116GG02
4D116KK06
4D116QA06C
4D116QA06D
4D116QA06E
4D116QB49
4D116UU20
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】詰まりにくい濾過器と、さらにその濾過器を用いた洗浄装置を提供する。
【解決手段】本発明の一解決手段に係る濾過器は、中空筒状に形成された濾過材(11)と、前記濾過材(11)の筒端を閉塞する蓋部(12)と、孔(14)を有し、吸水管(S)に接続される管(13)と、を有する濾過器(10)であって、前記管(13)が有する前記孔(14)は、前記管(13)の一端に設けられ、前記管(13)は、前記濾過材(11)の中空部に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状に形成された濾過材と、
前記濾過材の筒端を閉塞する蓋部と、
孔を有し、吸水管に接続される管と、
を有する濾過器であって、
前記管が有する前記孔は、前記管の一端に設けられ、
前記管は、前記濾過材の中空部に設けられる
ことを特徴とする濾過器。
【請求項2】
前記管は、前記孔が設けられない側において前記蓋部を介して吸水管に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の濾過器。
【請求項3】
請求項2に記載の濾過器と、槽を有する洗浄装置であって、
前記槽は、第一区分と、第二区分を有し、
前記濾過器は前記第一区分内に配され、被洗浄物は前記第二区分内において洗浄される
ことを特徴とする洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過器および洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプが落ち葉や髪の毛などの異物を吸い込むと、インペラやピストン部などに異物が付着してしまい、ポンプの正常な動作が妨げられる。そのため、ポンプの吸水口には、通常、ストレーナやフィルタなどの濾過器が取り付けられる。
【0003】
実開昭60-178374(以下、特許文献1という)には、揚水ポンプの吸水口に濾過器を取り付けた構成の一例が記載されている。特許文献1においては、吸水ホースの先端に金網が取り付けられている。金網は池や川等の水を濾過する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60-178374
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の金網を含む従来の濾過器は、濾過時において異物が濾過面のどのあたりに付着するかが不規則的で、詰まりやすいという問題がある。例えば、濾過器を使用し始めてすぐに、表面積の大きな異物が濾過面のほとんどを覆った場合に、濾過器がすぐ詰まってしまうといった問題がある。濾過器が詰まると、例えばポンプの吸水量が減り、それに伴いポンプの吐出水量も減ってしまう。
【0006】
本発明の一目的は、詰まりにくい濾過器と、さらにその濾過器を用いた洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一解決手段に係る濾過器は、中空筒状に形成された濾過材と、前記濾過材の筒端を閉塞する蓋部と、孔を有し、吸水管に接続される管とを有し、前記管が有する前記孔は、前記管の一端に設けられ、前記管は、前記濾過材の中空部に設けられることを特徴とする。
【0008】
前記管は、前記孔が設けられない側において前記蓋部を介して吸水管に接続されることが好ましい。
【0009】
さらに前記濾過器は、第一区分と第二区分に分けられた槽を有する洗浄装置において用いられることが好ましい。前記槽内において、前記濾過器は前記第一区分内に配され、被洗浄物は前記第二区分内において洗浄されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一解決手段によれば、詰まりにくい濾過器と、さらにその濾過器を用いた洗浄装置を提供することができる。本発明の濾過器をポンプの吸入口などに用いることで、例えばポンプの動作不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る濾過器10の正面図である。
図2】濾過器10のA-A’断面図である。
図3】濾過器10を用いた洗浄機Wの構成図である。
図4】ポンプP駆動時に濾過器10周辺に生じる水流の説明図である。
図5】ポンプP駆動時に濾過器10周辺に生じる水流の他の説明図である。
図6】本発明の他の実施形態における洗浄機W1の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0013】
(第一実施形態)
図面をもとに本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る濾過器10の正面図である。
【0014】
濾過器10は、濾過部11、蓋部12a、12bを有している。濾過部11は、例えばパンチングメタルや金属メッシュフィルタ、ネット、またはそれらの組み合わせなどからなり、液体中の異物を分離することができる。濾過部11は中空円筒状に形成されており、蓋部12aが濾過部11筒端の一方を、さらに蓋部12bが濾過部11筒端の他方を塞いでいる。
【0015】
なお、本説明において異物とは、例えば泥や草、葉、髪の毛、ごみなど、後述するポンプPの吸水動作に不具合を生じさせ得る液体中の物質のことを指す。
【0016】
図2は濾過器10の断面図である。濾過器10は、管13を有している。管13は中空円筒状に形成されたパイプであり、濾過部11内に設けられる。管13は、同じく中空円筒状に形成された濾過部11よりも小さい外径を有している。管13が濾過部11内に配されることで、濾過部11、蓋部12、管13により室20が形成される。
【0017】
さらに、管13は、孔14を有している。孔14は、管13の両端のいずれか一方側にのみ設けられる。孔14は、それぞれ等間隔で設けられてもよいし、不規則に設けられてもよいが、管13の端部付近において全周にわたって設けられることが好ましい。孔14は必ずしも複数の孔である必要はなく、例えば一つの溝として管13の全周にわたって設けられてもよい。なお、孔14の孔径は、それぞれ等しくてもよいし異なってもよい。また、孔14の孔径はポンプPの吸い込み能力に応じて設定するとよい。
【0018】
管13は、管13の両端のいずれか一方側においてポンプPの吸水管Sと接続される。本実施形態において管13は、図2に示す通り、孔14が設けられていない側の端部において吸水管Sと接続されるものとする(以降、孔14が設けられている側を管13の下側、吸水管Sと接続されている側を管13の上側とする)。濾過部11の上側を塞ぐ蓋部12(本実施形態においては12a)は、管13と吸水管Sを接続可能に設けられる。なお、蓋部12は、管13や濾過部11と一体的に形成されてもよい。
【0019】
濾過器10を洗浄機Wに用いた場合の構成および動作例について、図3を用いて説明する。洗浄機Wは、液体L(本実施形態においては市水)が満たされた水槽Bと、ポンプPと、吐出管Dと、吸水管Sとを有している。吸水管Sは、先端に濾過器10が設けられている。濾過器10は、液体Lに浸漬されている。
【0020】
ポンプPは、液体Lを吸水管Sから吸い込み、さらに吐出管Dから吐き出すことができる。ポンプPの駆動に伴い、水槽B内には液体Lの流れが生じる。流れが生じた水槽B内に被洗浄物(例えば野菜など)を投入すると、被洗浄物に付着する泥などの汚れは、水流や被洗浄物同士の擦れ合いによって剥離される。
【0021】
被洗浄物から剥離された汚れは、異物として液体L中に浮遊する。液体L中の異物が増えると、ポンプPが吸水管Sから吸入する液体Lに異物が混ざるようになる。この際、吸水管Sの先端に設けられた濾過器10は、液体LがポンプPに流入する前に液体Lから異物を分離することができる。濾過器10により液体Lから異物を分離することで、例えばポンプPの駆動部への異物の流入を防ぐことができ、ポンプPの動作不良の発生を抑制することができる。
【0022】
液体Lから異物が分離されるにつれて、濾過器10の濾過部11には異物が付着していく。濾過器10はポンプPの駆動に伴い管13の下側に設けられた孔14から液体Lを吸い込むため、異物は濾過部11の下側(孔14周辺)から付着する。
【0023】
ポンプPの駆動に伴い濾過部10に発生する水流について、図4および図5を用いて説明する。F1は管13を通る液体Lの流れを、F2は濾過部11を通る液体Lの流れを概念的に示している。
【0024】
ポンプPの駆動に伴い、吸水管S側に負圧が形成され、吸水管Sが液体Lを吸入する。吸水管Sの水槽B側先端には濾過器10が設けられているため、液体Lは濾過器10を介して吸入される(F1)。吸水管Sと連通する管13は、下側に設けられた孔14でのみ液体Lを取り込むことができる。そのため、室20の孔14付近には、孔14へ吸い込まれる液体Lの流れが発生する。
【0025】
室20の孔14付近に液体Lを取り込む流れが発生するため、液体Lは、孔14付近で濾過部11に濾過されて管13に流入しやすい(F2)。そのため、濾過部11の孔14に近い箇所(例えば図1に示す箇所11-1)は、濾過部11の他の箇所より先に異物が付着しやすい。箇所11-1に異物が付着して堆積し、その箇所を液体Lが通過し辛くなった場合には、液体Lは次いで孔14に近い濾過部11の箇所(例えば箇所11-2)を通過して管13に流入しやすくなる。そのため、箇所11-2は、箇所11-1に次いで濾過部11の他の箇所より先に異物が付着しやすい。箇所11-3、箇所11-4以下についても同様である。なお、本説明における箇所11-1等の区切りは便宜的なもので、実際には異物は孔14に近い箇所から無段階で付着する。
【0026】
このようにして、濾過器10は、濾過部11において異物が付着する箇所を制御することができる。そのため、濾過部11の濾過面全面を、効率よく用いることができる。例えば、表面積の大きな葉などの異物が濾過部11に付着するとしても、その異物は濾過部11の端に付着しやすいため、濾過部11の大部分は覆われにくい。特に洗浄機Wの使用開始直後においては、孔14付近の液体Lの流れにより、濾過部11の大部分は覆われにくい。そのため、濾過器10は詰まりにくい。
【0027】
濾過器10の詰まりにくい構造により、例えばフィルタ詰まりに起因したポンプPの急激な吐出水量低下といった問題が生じにくい。そのため、濾過器10は、ポンプPの動作不良の発生を抑制することができる。
【0028】
濾過器10は少ない部品から構成されているうえ、前記した通り濾過部11の全面は汚れにくい(下部に異物の付着が偏る)ことから、使用後のメンテナンスも簡単である。
【0029】
孔14が設けられている側で管13と吸水管Sを接続してもよい。その場合、孔14の位置がポンプPと近くなるため、より強い吸水力をもって管13内に液体Lを取り込むことができる。
【0030】
濾過部11に付着した異物で孔14が詰まることがないよう、濾過部11と孔14の間の室20は余裕をもって設けるとよい。室20の大きさ(濾過部11と孔14の間隔)は、ポンプPの吸い込み能力に応じて適宜設定するとよい。濾過部11の厚さについても、十分な流量を確保できるようポンプPの吸い込み能力に応じて適宜設定するとよい。
【0031】
(第二実施形態)
孔14を管13の下側に設けた場合、濾過器10が完全に浸漬しない程度の水量の槽内においても、濾過器10は使用可能となる。水槽B内に溜められた液体Lが少量であっても、孔14が浸漬されていれば、ポンプPは空気を吸引し辛い。孔14が管13の下側に設けられているため、水流の発生に伴い水槽B内に波が生じても、孔14が空気中に露出することがなく、ポンプPは空気を吸引し辛い。ポンプの配管内への空気の混入は、吐出量の低下や異音の発生の原因となる。このようにして、濾過器10は、ポンプPの動作不良の発生を抑制することができる。
【0032】
また、濾過器の異物を堆積可能な量は濾過面の大きさに比例するが、濾過面を大きくしすぎると、その濾過器を使用可能な水槽が限られてしまう。ポンプへの空気の混入を防ぐために、濾過器は水槽内に完全に浸漬される必要があるので、濾過器が大きいと、それだけ大きな水槽が求められる。その点、前記した通り孔14を管13の下側に設けた場合、使用時において濾過器10全体を浸漬させる必要はない。大きな水槽での使用に合わせて濾過部11を大きく設けても、問題なく小さな水槽で使用することができる。
【0033】
図6は孔14を管13の下側に設けた濾過器10を用いる場合に適した洗浄機W1の説明図である。洗浄機W1は、槽Bと仕切り板PTを有している。仕切り板PTはスリットが設けられた薄板であり、槽Bを第一区分SCaと第二区分SCbに区分けしている。
【0034】
第一区分SCaには、吸水管Sの一端および濾過器10が配置される。第一区分SCaは濾過器10の全長(蓋部12a、12b間の長さ)よりも短い奥行と幅を有しており、濾過器10は第一区分SCaに立てかけられて設置される。
【0035】
第二区分SCbには、吐出管Dが配置される。ポンプPの駆動により吐出管Dから液体Lが吐出され、第二区分SCbには液体Lの流れが生じる。流れが生じた第二区分SCbに被洗浄物(例えば野菜など)を投入すると、被洗浄物に付着する泥などの汚れは、水流や被洗浄物同士の擦れ合いによって剥離される。
【0036】
ポンプPの駆動により、吸水管Sから液体Lが取り込まれる。第二区分SCbの液体Lは、仕切り板PTのスリットを通過し第一区分SCaに流入する。吸水管Sの先端に設けられた濾過器10は、第一区分SCaに流入した液体LがポンプPに流入する前に、液体Lから異物を分離することができる。濾過器10により液体Lから異物を分離することで、例えばポンプPの駆動部への異物の流入を防ぐことができ、ポンプPの動作不良の発生を抑制することができる。
【0037】
濾過器10による液体L中の異物の分離については第一実施形態で説明した通りである。本実施形態においては、仕切り板PTが槽B内を吸水用の第一区分SCaと洗浄用の第二区分SCbに区分けしているため、洗浄中にあっても第一区分SCaの液体Lの流れは弱い。そのため、濾過器10は、濾過部11において異物が付着する箇所をより確実に制御することができる。
【0038】
また、濾過器10が第一区分SCaに立てかけられて配置されるため、槽B内の液体Lが少量であっても孔14が浸漬しやすく、ポンプPが空気を吸引し辛い。なお、濾過器10は槽B内に固定的に設けられてもよい。
【0039】
以上、本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、濾過部11は必ずしも1層の濾過材から構成されなければならないものではなく、複数の層としてもよい。
【0040】
また、濾過材11や菅13の形状も適宜変更可能であり、円筒状に限定されるものではない。目的に応じて例えば角筒状に形成してもよいし、かまぼこ形などに形成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
濾過器 10
濾過部 11
蓋部 12a
蓋部 12b
管 13
孔 14
図1
図2
図3
図4
図5
図6