(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021571
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 304D
A63F7/02 334
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124484
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】391010943
【氏名又は名称】株式会社藤商事
(74)【代理人】
【識別番号】110001645
【氏名又は名称】弁理士法人谷藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今山 武成
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC25
2C088BC55
2C088EA06
2C088EA08
2C088EA32
2C088EA38
(57)【要約】
【課題】遊技機の価格高騰をより適切なかたちで抑制する。
【解決手段】透光部と複数のLEDとを有する電飾装置において、透光部の外縁に非透光部を設け、LEDを、非透光部の後側に配置する。また、基板43の第1面に配置されたLEDドライバ(発熱性部品)75は、そのLEDドライバ75の裏面に設けられた導体部151が第1面側のベタグランドパターン(銅箔部)136に接着されており、基板43には、内面に銅箔が施されたスルーホール140aが、LEDドライバ75の導体部151に対応する領域に所定数設けられており、導体部151の面積に対するスルーホール140aの孔面積の割合よりも、導体部151の面積に対するスルーホール140a内面の表面積の割合の方が大となるように、基板43の板厚、スルーホール140aの径及び所定数を設定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光部及び該透光部を発光させる複数の光源を有する電飾装置と、
発熱性部品を装着した基板と、を備えた
遊技機において、
前記透光部の外縁に非透光部を設け、
前記光源を、前記非透光部の後側に配置し、
前記基板の第1面に配置された前記発熱性部品は、該発熱性部品の裏面に設けられた導体部が前記第1面側の銅箔部に接着されており、
前記基板には、内面に銅箔が施されたスルーホールが、前記発熱性部品の前記導体部に対応する領域に所定数設けられており、
前記導体部の面積に対する前記スルーホールの孔面積の割合よりも、前記導体部の面積に対する前記スルーホール内面の表面積の割合の方が大となるように、前記基板の板厚、前記スルーホールの径及び前記所定数を設定した
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の各種遊技機では、主制御基板等の制御基板を始めとする種々の基板が搭載されている。またそれらの基板の中には、LEDドライバを有するLED基板等、発熱性部品を搭載したものも存在する(例えば特許文献1)。
またこの種の遊技機では、遊技機本体の前側各部に電飾装置が配置されており、画像表示手段、可動体、音声出力手段等の他の演出手段と同期して所定の発光パターンで発光することにより、遊技状態に応じた演出を行うことが可能となっている。現在、殆どの遊技機では、電飾装置の光源としてLEDが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では部材供給量の低下に伴って部品価格が上昇し、その結果、遊技機の価格高騰に繋がっている。そのような背景から、遊技機の価格を抑える為の対策が求められている。遊技機の価格高騰に対する対策としては、新規部品の調達量を減らすために、遊技部品の小型化やリユース、他の機種への遊技演出の流用等を進めることが考えられる。
しかしながら、このようなリユース等の対策を進めることで、真新しさが薄れ、遊技者が飽きを感じやすくなってしまうという懸念が生じる。そのため、電飾装置等の演出手段の見栄えをよくするなど、演出効果をより高めるための工夫が求められている。また、リユースを促進するためには、電子部品の耐久性を高めるために、例えば放熱対策を十分に行うなどの施策も求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、遊技機の価格高騰をより適切なかたちで抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、透光部及び該透光部を発光させる複数の光源を有する電飾装置と、発熱性部品を装着した基板と、を備えた遊技機において、前記透光部の外縁に非透光部を設け、前記光源を、前記非透光部の後側に配置し、前記基板の第1面に配置された前記発熱性部品は、該発熱性部品の裏面に設けられた導体部が前記第1面側の銅箔部に接着されており、前記基板には、内面に銅箔が施されたスルーホールが、前記発熱性部品の前記導体部に対応する領域に所定数設けられており、前記導体部の面積に対する前記スルーホールの孔面積の割合よりも、前記導体部の面積に対する前記スルーホール内面の表面積の割合の方が大となるように、前記基板の板厚、前記スルーホールの径及び前記所定数を設定したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、遊技機の価格高騰をより適切なかたちで抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機の全体正面図である。
【
図2】同パチンコ機の前扉の裏面図及び内枠の正面図である。
【
図3】同パチンコ機の前扉におけるLED基板等の配置を示す図である。
【
図4】同パチンコ機の第3LED基板の配線図である。
【
図5】同パチンコ機の第3LED基板における各配線層の配線パターンを示す図である。
【
図6】同パチンコ機の第3LED基板及びその周辺の側面断面図である。
【
図7】同パチンコ機の第3LED基板における配線パターンの部分拡大図である。
【
図8】同パチンコ機の第3LED基板におけるLEDドライバ装着部分の正面図及び側面断面図である。
【
図9】同パチンコ機の第3LED基板におけるLEDドライバ装着部分に関する各種設定値及びそれらに基づく各種計算値を示す図である。
【
図10】同パチンコ機の第3LED基板における凹部の形状及び凹部近傍の配線パターンを示す図である。
【
図11】同パチンコ機の第3LED基板を捨て基板から分離する前の状態を示す図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係るパチンコ機の全体正面図である。
【
図13】同パチンコ機の制御系のブロック図である。
【
図14】同パチンコ機の可動電飾装置の正面図である。
【
図15】同パチンコ機の可動電飾装置の分解斜視図である。
【
図16】同パチンコ機の可動電飾装置の正面断面図である。
【
図17】同パチンコ機の可動電飾装置の側面断面図である。
【
図18】同パチンコ機の可動電飾装置のLED列の説明図である。
【
図19】本発明の第3の実施形態に係るパチンコ機の可動電飾装置の正面図である。
【
図20】同パチンコ機の可動電飾装置の正面断面図である。
【
図21】同パチンコ機の可動電飾装置の側面断面図である。
【
図22】同パチンコ機の可動電飾装置のLED列の説明図である。
【
図23】本発明の第4の実施形態に係るパチンコ機の可動電飾装置の正面断面図である。
【
図24】同パチンコ機の可動電飾装置のLED列の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1~
図11は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。
図1及び
図2において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ3により開閉自在に枢着された内枠4とを備えている。
【0009】
内枠4の前面側には、その上部側に遊技盤5を装着するための遊技盤装着枠6等が、下部側に発射手段7、下部スピーカ10等が夫々配置されると共に、それらの前側を覆う前扉8がヒンジ3と同じ側のヒンジ9により開閉自在に枢着されている。
【0010】
発射手段7は、
図2に示すように、板金製の支持板11と、この支持板11の前面に装着された発射レール12と、支持板11の前面に装着され且つ発射用の遊技球を発射レール12上に保持する球保持部13と、支持板11の前面で前後方向の駆動軸14廻りに揺動自在に支持された打撃槌15と、支持板11の裏側に装着され且つ打撃槌15を駆動軸14を介して打撃方向に駆動するロータリソレノイド等の発射駆動手段16とを備え、前扉8側の発射ハンドル17が操作されたときに、その操作量に応じて発射駆動手段16により打撃槌15を打撃方向(時計廻り)に連続的に駆動するようになっている。これにより、発射レール12上に1個ずつ供給される遊技球が発射レール12に沿って遊技盤5の遊技領域5aに向けて発射される。
【0011】
遊技盤5は、遊技盤装着枠6に対して例えば前側から装着され、1又は複数の固定具18により着脱自在に固定されており、その前面側には、発射手段7によって発射された遊技球を案内するガイドレール21が環状に装着されると共に、そのガイドレール21の内側の遊技領域5aに、中央表示ユニット22、普通図柄始動手段23、特別図柄始動手段24、大入賞手段25、普通入賞手段26等の各種遊技部品が配置されている。
【0012】
中央表示ユニット22には、液晶式等の画像表示手段27の他、普通図柄表示手段28、特別図柄表示手段29、普通保留個数表示手段30等が設けられている。画像表示手段27は、演出図柄表示手段31、特別保留個数表示手段32等を構成している。
【0013】
普通図柄表示手段28は、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、通過ゲート等よりなる普通図柄始動手段23が遊技球を検出することを条件にそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段23による遊技球検出時に取得された普通乱数情報に含まれる当り判定乱数値が予め定められた当り判定値と一致する場合には当り態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
【0014】
なお、普通図柄始動手段23による遊技球検出時に取得された普通乱数情報は、予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として保留記憶され、普通図柄の変動が可能になる毎に1個ずつ消化されて普通図柄の変動が行われる。普通乱数情報の記憶個数(以下、普通保留個数)は、例えば上限保留個数と同数の発光体を備える普通保留個数表示手段30が例えばその発光個数によって遊技者に報知するようになっている。
【0015】
特別図柄始動手段24は、特別図柄表示手段29による図柄変動を開始させるためのもので、例えば上下2つの始動入賞手段24a,24bを備え、中央表示ユニット22の下側に配置されている。上始動入賞手段24aは、開閉手段等を有しない非開閉式の入賞手段である。下始動入賞手段24bは、開閉手段33により遊技球が入球不可能(又は入球困難)な閉状態と入球可能(又は閉状態よりも入球容易)な開状態とに切り換え可能な開閉式の入賞手段で、普通図柄表示手段28の変動後の停止図柄が当り態様となって普通利益状態が発生した場合に、閉状態から開状態へと所定時間開放されるようになっている。
【0016】
特別図柄表示手段29は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段24が遊技球を検出すること、即ち上下2つの始動入賞手段24a,24bの何れかに遊技球が入球することを条件に特別図柄を所定時間変動表示して、始動入賞手段24a,24bへの入球時に取得された特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致する場合には所定の大当り態様(特定態様)で、それ以外の場合には例えば外れ態様で停止するようになっている。
【0017】
なお、特別図柄始動手段24による遊技球検出時に取得された特別乱数情報は、予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶され、特別図柄表示手段29による図柄変動が可能になる毎に1個ずつ消化されて特別図柄の変動が行われる。特別乱数情報の記憶個数(以下、特別保留個数)は、特別保留個数表示手段32が例えば保留表示画像Xの表示個数によって遊技者に報知するようになっている。
【0018】
演出図柄表示手段31は、特別図柄表示手段29による特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を変動表示するもので、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を例えば各種の演出画像と共に画像表示手段27の表示画面27aに変動表示可能に構成されており、特別図柄始動手段24が遊技球を検出した場合、即ち上下2つの始動入賞手段24a,24bの何れかに遊技球が入賞した場合に、特別図柄の変動開始と略同時に複数種類の変動パターンの何れかに従って演出図柄の変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と略同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
【0019】
大入賞手段25は、遊技球が入球可能な開状態と入球不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板25aを備えた開閉式の入賞手段で、特別図柄表示手段29の変動後の特別図柄が大当り態様となって特別利益状態が発生した場合に、開閉板25aが所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。
【0020】
前扉8は、遊技領域5aの前側に対応する窓孔34が形成された例えば樹脂製の扉ベース35を備えている。扉ベース35には、例えば窓孔34の上側近傍に左右一対の上部第1スピーカ36a,36bと送風演出手段37とが配置され、窓孔34の下側近傍に左右一対の上部第2スピーカ38a,38bが配置されている。送風演出手段37は、遊技機本体1の前に座っている遊技者に向けて風を送る送風演出を行うためのもので、モータ(駆動手段)により動作するシロッコファン等の送風手段37aを備え、例えば送風口37bが前斜め下向きとなるように、扉ベース35の上部右端側に右側の上部第1スピーカ36bに隣接して配置されている。
【0021】
また扉ベース35の前側には、
図3に示すように、窓孔34の周囲に複数(ここでは6つ)のLED基板41~46が配置されている。即ち、窓孔34の左下部に第1LED基板41が、窓孔34の左上部に第2LED基板42が、窓孔34の上側の左右方向略中央に第3LED基板43が夫々配置されており、また窓孔34の右下部に第4LED基板44が、その上側に第5LED基板45が、窓孔34の右上部の送風演出手段37の近傍に第6LED基板46が夫々配置されている。
【0022】
第1LED基板41と第2LED基板42とは窓孔34に沿って左側の上部第2スピーカ38aと上部第1スピーカ36aとの間に配置されており、第3LED基板43は左右の上部第1スピーカ36a,36bの間に配置されている。また、第4LED基板44と第5LED基板45とは窓孔34に沿って右側の上部第2スピーカ38bと送風演出手段37との間に配置されており、第6LED基板46は、例えば送風演出手段37の送風口37bの外周に配置されている。
【0023】
図1に示すように、扉ベース35の下部前側には、例えば左寄りの位置に、発射手段7に供給するための遊技球を貯留する上皿47が配置されており、更にその上皿47の下側には、上皿47が満杯のときの余剰球等を貯留する下皿48が左端側に、発射ハンドル17が右端側に夫々配置されている。
【0024】
また、扉ベース35の前側には、窓孔34の周囲を前側から略覆う上装飾カバー49と、上皿47、下皿48等を前側から略覆う下装飾カバー50とが装着されている。上装飾カバー49は、少なくとも第1~第6LED基板41~46の前側に対応する部分が透光性を有する発光レンズ部となっている。下装飾カバー50上には、上皿47の前側の左右方向略中央に遊技者が操作可能な演出ボタン51が、またその側方に球貸し操作部52が夫々配置されている。
【0025】
扉ベース35の裏側には、
図2に示すように、窓孔34を後側から略塞ぐガラスユニット53が着脱自在に装着されると共に、その下側には、球送り手段54、下皿案内手段55、前扉中継基板56等が配置されている。球送り手段54は、上皿47内の遊技球を1個ずつ発射レール12上に供給するもので、発射手段7の前側に対応して配置され、発射手段7による発射動作と同期して作動するようになっている。下皿案内手段55は、上皿47が満杯となったときの余剰球、及び発射手段7により発射されたにも拘わらず遊技領域5aに達することなく戻ってきたファール球を下皿48に案内するためのもので、例えば球送り手段54に隣接してそのヒンジ9側に配置されている。また、前扉中継基板56は、遊技盤5の裏側に配置される演出制御基板等と前扉8側の第1~第6LED基板41~46、スピーカ10,36a,36b,38a,38b、送風演出手段37等の各種演出手段等との間を中継するもので、扉ベース35とその後側の下皿案内手段55との間に配置されている。
【0026】
続いて、前扉8に設けられた各種遊技部品のうち、特に第1~第6LED基板41~46、上部第1スピーカ36a,36b、上部第2スピーカ38a,38b及び送風演出手段37に関する配線について説明する。
【0027】
第1~第6LED基板41~46の配線経路は、
図3に示すように、前扉8の下部側に配置される前扉中継基板56から窓孔34に沿って左右に分岐しており、第1~第3LED基板41~43が窓孔34の左側の左配線経路57を構成し、第4~第6LED基板44~46が窓孔34の右側の右配線経路58を構成している。また、上部第1スピーカ36a,36bの駆動配線路は左配線経路57上に設けられ、送風演出手段37の駆動配線路は右配線経路58上に設けられている。なお、上部第2スピーカ38a,38bは左右の配線経路57,58から独立しており、前扉中継基板56からハーネス59a,59bを介して接続されている。
【0028】
左配線経路57を構成する第1~第3LED基板41~43は、ハーネス61,62を介して直列に接続されており、その最上流側の第1LED基板41が、ハーネス60を介して前扉中継基板56に接続されている。左配線経路57では、第1LED基板41及び第2LED基板42にスルーパス配線路が設けられ、そのスルーパス配線路の下流側に、第3LED基板43に配置されたLED71~74とこれを駆動するLEDドライバ75とを含む回路部が接続されている。また、第1LED基板41及び第2LED基板42にも、LED76~79,80~83とそれらを駆動するLEDドライバ84~85,86~87とを含む各回路部が設けられ、夫々スルーパス配線路に接続されている。また、上部第1スピーカ36a,36bの駆動配線路の一部が第1~第3LED基板41~43上に設けられ、最下流側の第3LED基板43と上部第1スピーカ36a,36bとが夫々ハーネス63,64を介して接続されている。
【0029】
右配線経路58を構成する第4~第6LED基板44~46は、ハーネス66,67を介して直列に接続されており、その最上流側の第4LED基板44が、ハーネス65を介して前扉中継基板56に接続されている。右配線経路58では、第4LED基板44及び第5LED基板45にスルーパス配線路が設けられ、そのスルーパス配線路の下流側に、第6LED基板46に配置されたLED91,92等とこれを駆動するLEDドライバ(図示省略)とを含む回路部が接続されている。第4LED基板44にも、LED93~96とこれを駆動するLEDドライバ97とを含む回路部が設けられ、スルーパス配線路に接続されている。第5LED基板45にもLED101~104が設けられているが、このLEDは第4LED基板44上のLEDドライバ97によって駆動される。また、送風演出手段37の駆動配線路の一部が第4,第5LED基板44,45上に設けられ、第5LED基板45と送風演出手段37の送風手段37aとがハーネス68を介して接続されている。
【0030】
続いて、第1~第6LED基板41~46のうち、第3LED基板43を例に挙げて、発熱性部品の一例であるLEDドライバの放熱対策及び基板のバリ対策について説明する。
【0031】
まず、第3LED基板43の回路構成等について説明する。第3LED基板43は、
図3等に示すように、前後両面側に配線層を有する横長略矩形状の基板本体111を備えている。そしてこの基板本体111に、
図4に示すように上流側コネクタ112、一対のスピーカ用コネクタ113,114、LEDドライバ75、LED71~74、保護抵抗115,116等が設けられている。
【0032】
上流側コネクタ112は、ハーネス62により第2LED基板42側の下流側コネクタと接続されるもので、その下流側コネクタと同じ端子構成となっており、LED電源端子121と、LEDドライバ電源端子122と、信号端子123と、クロック端子124と、グランド端子125a,125bと、スピーカ端子126a~126dとを備え、それら計10個の端子が例えば5個ずつ2列に配列されている。そして、それら2列の端子配列方向における両端側の各2個、計4個の端子がスピーカ端子126a~126dとなっている。
【0033】
スピーカ用コネクタ113,114は、ハーネス63,64により上部第1スピーカ36a,36bと接続されるもので、スピーカ用コネクタ113にはスピーカ端子131a,131bが、スピーカ用コネクタ114にはスピーカ端子131c,131dが夫々設けられている。スピーカ用コネクタ113のスピーカ端子131a,131bは、スピーカ駆動配線路132a,132bを介して上流側コネクタ112のスピーカ端子126a,126bに接続され、スピーカ用コネクタ114のスピーカ端子131c,131dは、スピーカ駆動配線路132c,132dを介して上流側コネクタ112のスピーカ端子126c,126dに接続されている。
【0034】
図5は、第3LED基板43の具体的な配線パターンを配線層毎に示したものである。第3LED基板43では、前面側の第1配線層141a(
図5(a))にLED71~74等が、背面側の第2配線層141b(
図5(b))に上流側コネクタ112、スピーカ用コネクタ113,114、LEDドライバ75、保護抵抗115,116等が夫々配置されている。
【0035】
上流側コネクタ112は第2配線層141bの左右一端側に端子配列が左右方向となるように配置され、スピーカ用コネクタ113,114は第2配線層141bの左右両端側に端子配列が上下方向となるように配置されている。流側コネクタ112の一端側のスピーカ端子126a,126bにはスピーカ駆動配線路132a,132bが端子配列方向(ここでは左右方向)の外側から接続され、上流側コネクタ112の他端側のスピーカ端子126c,126dには、スピーカ駆動配線路132c,132dが端子配列方向(ここでは左右方向)の外側から接続されている。
【0036】
また、スピーカ用コネクタ113のスピーカ端子131a,131bにはスピーカ駆動配線路132a,132bが端子配列方向(ここでは上下方向)の外側から接続され、スピーカ用コネクタ114のスピーカ端子131c,131dにはスピーカ駆動配線路132c,132dが端子配列方向(ここでは上下方向)の外側から接続されている。なお、スピーカ駆動配線路132a~132dは、例えばその両端側、即ち各コネクタ112~114への接続部近傍の所定範囲を除き、その略全体がLED71~74と同じ第1配線層141a側に設けられている。
【0037】
LEDドライバ75は第2配線層141bの略中央に配置され、その左右両側に、LEDドライバ75のRGB端子に夫々接続される保護抵抗115,116が配置されている。そして、LEDドライバ電源用、信号用、クロック用の各配線路133~135により、上流側コネクタ112のLEDドライバ電源端子122、信号端子123、クロック端子124と、LEDドライバ75とが接続されている。なお、LEDドライバ電源用、信号用、クロック用の各配線路133~135は、ビア140を介して第1配線層141a側に回避する一部のバイパス部分を除き、それらの略全体が第2配線層141b側に設けられている。ビア140は、スルーホールの内面に銅箔を施したスルーホール型のビアである。
【0038】
第2配線層141bには一又は複数のベタグランドパターン136が設けられている。ベタグランドパターン136は、第1配線層141a側のベタグランドパターン137等と共にグランド配線路138を構成するもので、例えばビア140、ベタグランドパターン137等を介して上流側コネクタ112のグランド端子125a,125b及びLEDドライバ75のグランド端子に接続されている。
【0039】
ベタグランドパターン136は、その一部がLEDドライバ75と基板本体111との間に配置されている。また、そのベタグランドパターン136と第1配線層141a側のベタグランドパターン137とを接続する複数のビア140のうちの所定個数(以下、スルーホール140aという)が、LEDドライバ75の配置領域内に配置されている。
【0040】
LED71~74は、第1配線層141aの長手方向にジグザグ状に配置されており、左側のLED71,72、右側のLED73,74が夫々LED間配線路142により直列に接続されている。LED72,73のアノード電極は、ビア140を介して第2配線層141b側に跨がるLED電源用配線路143を介して上流側コネクタ112のLED電源端子121に接続され、LED71,74のカソード電極は、ビア140を挟んで第2配線層141b側に跨がるカソード側配線路144を介して保護抵抗115,116に接続されている。
【0041】
なお、第3LED基板43は、
図6等に示すように、LED71~74が配置された第1配線層141aを前側に向けた状態で扉ベース(第1部材)35の前面側に装着され、発光レンズを構成する上装飾カバー(第2部材)49によりその前側が覆われている。即ち、第1配線層141aが形成された前面(第2面)側が上装飾カバー(第2部材)49に対向し、第2配線層141bが形成された背面(第1面)側が扉ベース(第1部材)35に対向している。そして、第3LED基板43とその後側の扉ベース(第1部材)35との距離L1と、第3LED基板43とその前側の上装飾カバー(第2部材)49との距離L2との関係はL1<L2となっている。
【0042】
続いて、LEDドライバ75の放熱対策に関する構成について説明する。
図8に示すように、LEDドライバ(発熱性部品)75は、その裏面に銅箔その他の導体よりなる矩形状の導体パッド(導体部)151を備えており、この導体パッド151を、第2配線層(第1面)141b側のベタグランドパターン(銅箔部)136に接着(半田付け)することによって基板本体111に固定されている。本実施形態では、
図8,
図9(a)に示すように、基板本体111の板厚Tを1mm、導体パッド151の縦寸法Xを5.3mm,同じく横寸法Yを5.3mm、同じく面積Sを28.09mm
2としている。なお、反対側の第1配線層141aには、少なくともLEDドライバ75の導体パッド(導体部)151に対応する領域(ここでは発熱性部品であるLEDドライバ75に対応する領域を含む領域)にベタグランドパターン137が配置されている(
図5(a))。
【0043】
また、基板本体111には、導体パッド151に対応する領域内に所定個数のスルーホール140aがマトリクス状に配置されている。スルーホール140aには、その内面に銅箔が施されており、このスルーホール140aによって第2配線層141b側のベタグランドパターン136と第1配線層141a側のベタグランドパターン137とが導通している。本実施形態では、
図8,
図9(a)に示すように、直径φ=0.6mmのスルーホール140aが、導体パッド151の正方形の領域内に縦横等間隔で3×3の計9個配置されており、それらスルーホール140aの孔間隔Lsは、スルーホール140aの直径φよりも大(ここでは1.2mm)となっている。
【0044】
発熱性部品であるLEDドライバ75の導体パッド151に対応する領域内にこのようなスルーホール140aを設けることにより、そのスルーホール140aの内面からの放熱が可能であるとともに、対向面(扉ベース35)までの距離(L1)が近い背面側に配置されたLEDドライバ75からの熱を、対向面(上装飾カバー49)までの距離(L2)に余裕がある前面側へと逃がすことでより効率的に放熱することが可能である。
【0045】
なお、本実施形態の第3LED基板43には、異なる配線層間で信号配線路を導通させるための信号導通用ビア(スルーホール)、異なる配線層間で電源配線路を導通させるための電源導通用ビア(スルーホール)、主に放熱を目的とする放熱用スルーホールの3種類のスルーホールが設けられている。上述したスルーホール140aは、電源導通用ビアを兼ねた放熱用スルーホールである。本実施形態の第3LED基板43では、
図7に示すように、スルーホール140a等の放熱用スルーホールの直径φと、ビア140b等の信号導通用ビアの直径φ1と、ビア140c等の電源導通用ビアの直径φ2との関係が、φ1<φ≒φ2となっている。
【0046】
ここで、導体パッド151の領域内にスルーホール140aを設けると、そのスルーホール140aの孔面積分だけ、LEDドライバ75の基板本体111に対する接着面積が減少するため、接着強度はその分だけ低下する。一方、スルーホール140aの内面には銅箔が形成されているため、その内面の表面積分だけ放熱面が増加し、放熱量が増加する。従って、スルーホール140aの直径φは、これが大きいほど放熱効果は高くなるが、一方でLEDドライバ75の接着強度は低下する。
【0047】
そこで本実施形態では、導体パッド151の面積Sに対するスルーホール140aの孔面積S2の割合である孔率Rs(%)よりも、導体パッド151の面積Sに対するスルーホール140aの表面積S1の割合である銅箔増加率Ri(%)の方が大となるように、基板本体111の板厚T(mm)、導体パッド151の領域内におけるスルーホール140aの直径φ及び個数nを設定している。
【0048】
具体的には、
図9(b)に示すように、スルーホール140aの内面の表面積S1(mm
2)=φπTn=16.956、スルーホール140aの孔面積S2(mm
2)=(φ/2)
2πn=2.543、孔率Rs(%)=(S2/S)×100=9.05、銅箔増加率(%)=Ri(%)=(S1/S)×100=60.36であり、Rs<Riとなっている。
【0049】
これは、スルーホール140aを形成したことによる接着強度の低下率よりも、スルーホール140aを形成したことによる放熱効果の上昇率が大であると言い換えることができる。即ち、スルーホール140aを設けることにより、LEDドライバ75の接着強度は多少犠牲になるが、それ以上に放熱効果を上昇させることができる。なお本実施形態では、上述したようにスルーホール140aの孔間隔Lsをスルーホール140aの直径φよりも大としているため(
図8(b))、スルーホール140aを設けつつも一定の接着強度を確保することが可能である。
【0050】
ここで、Rs<Riであるということは、即ちS1>S2である。従って、
図9(b)に示すように、スルーホール140aの形成による銅箔面積の純増Sni(mm
2)=S1-S2=14.413、即ちSni>0となる。
【0051】
また本実施形態では、
図9(b)に示すように、銅箔総面積Sa(mm
2)=S+Sni=42.503、銅箔純増率Rni(%)=(Sa/S)×100=151.31となっている。
【0052】
続いて、第3LED基板43のバリ対策について説明する。
図5に示すように、第3LED基板43の外周上には一又は複数、ここでは4つの凹部161が形成されている。この凹部161内には、
図10に示すように、基板本体111を捨て基板163(
図11)から分離することによってできたバリ162が残っている。凹部161の深さ(以下、凹部深さDという)は、バリ162の突出長さ(以下、バリ長さLという)よりも大となっている。このように、バリ162が凹部161内に残るようにし、D>Lとすることにより、バリ取りをしなくてもバリ162が基板本体111の外縁部よりも外側に突出することがなく、バリ取りの工程を省略して製造工程を簡略化することが可能となる。
【0053】
図11は、第3LED基板43の基板本体111を捨て基板(隣接部)163から分離する前の状態を示している。基板本体111と捨て基板163との間には、略一定幅(以下、スリット幅Wという)のスリット164が形成されている。スリット164は、凹部161を形成する屈曲スリット部164aと、凹部161を除く基板本体111の外形を形成する一般スリット部164bとで構成されている。
【0054】
屈曲スリット部164aは、一般スリット部164bから基板本体111側に屈折する一対の屈折部165,165と、それら一対の屈折部165,165間に形成される中間部166とで形成されている。中間部166は、略直線状に形成されるとともに、一又は複数箇所(ここでは2箇所)で欠損しており、その欠損部分が、基板本体111と捨て基板163とを連結する連結部167となっている。ここで、連結部167の長さはスリット幅Wに等しい。また、バリ162は、連結部167が略中央でカットされて残った部分であるから、バリ長さLはスリット幅Wの約半分となる(L≒W/2)。
【0055】
また、中間部166は、一般スリット部164bに対して基板本体111側に凹部深さDだけシフトしているが、本実施形態では、凹部深さDとスリット幅Wとの関係はD=Wとなっている。従って本実施形態では、L≒W/2=D/2となり、凹部深さDはバリ長さLの約2倍となっている。
【0056】
なお、凹部深さDとバリ長さLが略同じ(D≒L)になるのは、凹部深さDがスリット幅Wの1/2の場合(D=W/2)である。従って、凹部深さDをバリ長さLよりも大(D>L)とするためには、凹部深さDがスリット幅Wの1/2よりも大(D>W/2)となるように設定すればよい。
【0057】
また屈折部165は、一般スリット部164bから基板本体111側に所定角度で屈折しており、本実施形態ではその屈折角が90度よりも小(ここでは約60度)となっている。即ち、本実施形態の凹部161は、内側(基板本体111側)から外側に向けて幅広となるように形成されている。
【0058】
また、本実施形態の第3LED基板43では、第1配線層141a及び第2配線層141bの何れについても、銅箔を設けない領域を外周縁に沿って設けているが(以下、外周余白部171という)、この外周余白部171の幅(外縁と内縁の間の距離)が、凹部161とそれ以外の部分とで異なっている。即ち、
図10に示すように、凹部161に対応する外周余白部171aは、外周縁(バリ162を除く)に沿う略一定の幅WSaの範囲に形成されており、また凹部161以外の部分に対応する外周余白部171bは、外周縁に沿う略一定の幅WSbの範囲に形成されており、それらの関係はWSa>WSbとなっている。
【0059】
また
図10の例では、外周余白部171の内側にグランド配線路138が配置され、更にそのグランド配線路138の内側に信号用、クロック用の各配線路134,135が配置されている。このように本実施形態の第3LED基板43では、凹部161の部分については外周縁からWSa(第1距離)の範囲内に銅箔を設けない外周余白部171aを形成すると共に、その内側、即ち外周縁からWSa(第1距離)以上離れた位置にグランド配線路138を配置し、更にその内側(即ち外周縁からWSa(第1距離)よりも長い第2距離以上離れた位置)に信号配線路134等を配置している。また凹部161以外の部分については、外周縁からWSb(第1距離未満)の範囲内に銅箔を設けない外周余白部171bを形成すると共に、その内側、即ち外周縁からWSaよりも短いWSbの位置(第1距離未満の位置)にグランド配線路138を配置し、更にその内側(即ち外周縁から第2距離未満の位置)に信号配線路134等を配置している。
【0060】
このように構成することにより、製造誤差が生じて凹部161が本来の位置からずれて形成されたとしても、グランド配線路138や信号配線路134等が削られてしまう可能性を排除することができるとともに、配線層を効率的に利用可能である。また、製造工程において連結部167を折り割る際の振動や衝撃に対する耐性を向上させることができる。なお、凹部161から離れた位置では連結部167を折り割る際の振動や衝撃による影響は小さいため、外周余白部171を小さめにして銅箔パターンの面積を確保している。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機は、LEDドライバ(発熱性部品)75を装着した第3LED基板(基板)43を有し、第3LED基板43の第1面に配置されたLEDドライバ75は、その裏面に設けられた導体部151が第1面側の銅箔部に接着されており、内面に銅箔が施されたスルーホール140aが、LEDドライバ75の導体部151に対応する領域に9個(所定数)設けられており、導体部151の面積Sに対するスルーホール140aの孔面積S2の割合Rsよりも、導体部151の面積Sに対するスルーホール140a内面の表面積S1の割合Riの方が大となるように、第3LED基板43の板厚T、スルーホール140aの径φ及び所定数nを設定している。これにより、LEDドライバ(発熱性部品)75の取り付け強度の低下を抑制しつつ放熱性を高めることが可能である。
【0062】
また、9個(所定数)のスルーホール140aを、縦横等間隔でマトリクス状に配置し、それらスルーホール140aの間隔Lsを、スルーホール140aの直径φよりも大としている。これにより、スルーホール140aを設けつつも一定の接着強度を確保することが可能である。
【0063】
また、第3LED基板43の第1面とは反対側の第2面における、少なくとも導体部151に対応する領域にはベタグランドパターン137を配置している。これにより、スルーホール140aを介して伝導した熱をベタグランドパターン137を介して第2面側で効率的に放熱することが可能である。
【0064】
また、扉ベース(第1部材)35に対向する裏面(第1面)側にLEDドライバ(発熱性部材)75を、上装飾カバー(第2部材)49に対向する前面(第2面)側にLED71~74を夫々配置し、上装飾カバー49と第3LED基板43との距離L2を、扉ベース35と第3LED基板43との距離L1よりも大としている。これにより、対向面(扉ベース35)までの距離(L1)が近い背面(第1面)側に配置されたLEDドライバ75からの熱を、対向面(上装飾カバー49)までの距離(L2)に余裕がある前面(第2面)側へと逃がすことでより効率的に放熱することが可能である。
【0065】
また、第3LED基板43の外周に一又は複数の凹部161を設け、連結部167をカットすることによってできたバリ162が凹部161内に残り、凹部161の深さDをバリ162の突出長さLよりも大としているため、バリの除去工程を省略することによって製造工程の効率化が可能である。
【0066】
また、凹部161の外周縁から第1距離WSaの範囲内に銅箔を設けず、凹部161の外周縁から第1距離WSa以上離れた位置にグランド配線路138を配置し、凹部161の外周縁から第1距離WSaよりも長い第2距離以上離れた位置に信号配線路134を配置し、第3LED基板43の外周における凹部161以外の部分については、外周縁から第1距離WSa未満の位置にグランド配線路138を配置し、外周縁から第2距離未満の位置に信号配線路134を配置している。これにより、製造誤差が生じて凹部161が本来の位置からずれて形成されたとしても、グランド配線路138や信号配線路134等が削られてしまう可能性を排除することができるとともに、配線層を効率的に利用可能である。
【0067】
続いて、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図12~
図18は本発明をパチンコ機に採用した第2の実施形態を例示している。
図12において、遊技機本体501は、矩形状の外枠502と、この外枠502の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ503により開閉自在に枢着された前枠504とを備えている。前枠504には、遊技盤505等が上部側に、遊技盤505の前側の遊技領域505aに向けて遊技球を発射する発射手段506、下部スピーカSP1等が下部側にそれぞれ配置されると共に、遊技盤505等の前側に対応してガラス扉507が、発射手段506、下部スピーカSP1等の前側に対応して前面板508がそれぞれヒンジ503と同じ側のヒンジ509により開閉自在に枢支されている。なお、ガラス扉507と前面板508とを一つの扉体で構成することにより一体的に開閉可能としてもよい。
【0068】
ガラス扉507には、その略中央に、遊技領域505aに対応するガラス窓507aが設けられ、またそのガラス窓507aの周囲には、上部スピーカSP2、電飾装置510等の各種演出手段が配置されている。電飾装置510は、前面側にLED511aが配設されたLED基板511と、そのLED基板511の前側に配置された発光レンズ部512とを備えている。ガラス扉507の前面側には、上部スピーカSP2等を前側から覆う合成樹脂製のガラス枠カバー513が設けられており、そのガラス枠カバー513の少なくとも一部が、透光性を有する発光レンズ部512となっている。発光レンズ部512には、内部のLED基板511等を前側から見えにくくするとともにLED511aから発せられた光を適度に拡散させるべく、凹凸加工等の光拡散処理が施されている。
【0069】
前面板508の前側には、払い出し手段514(
図13参照)から払い出された遊技球を貯留して発射手段506に供給するための上皿515が上部側に配置され、またその上皿515の下側には、例えば上皿515が満杯のときにその余剰球を貯留する下皿516が左端側に、発射手段506を作動させるための発射ハンドル517が右端側に夫々設けられている。更に、例えば上皿515等を前側から覆う上皿カバー518上には、遊技者が押下操作可能な演出ボタン519等の各種操作手段が設けられている。なお、上皿カバー518上にも電飾手段を配置してもよい。
【0070】
遊技盤505の前面側には、発射手段506から発射された遊技球を案内するガイドレール520が環状に装着されると共に、そのガイドレール520の内側の遊技領域505aに、センターケース521、普通図柄始動手段522、特別図柄始動手段523、大入賞手段524、普通入賞手段525等の各種遊技部品が配置されている。
【0071】
センターケース521は、例えば遊技領域505aの略中央に配置されており、液晶式等の画像表示手段526に対応する略矩形状の表示窓527を備え、その表示窓527を取り囲む装飾枠528上に、普通図柄表示手段531、特別図柄表示手段532、普通保留個数表示手段533、第1特別保留個数表示手段534等の各種表示手段の他、ステージ535、可動演出手段536等が設けられている。
【0072】
ステージ535は、画像表示手段526の下部前側に左右方向に配置されており、センターケース521の側部、例えば左側に設けられたワープ入口535aに流入した遊技球を自由に転動させた後、例えば左右方向中央の中央落下部又はその左右両側の側部落下部から前側に落下させるようになっている。
【0073】
可動演出手段536は、可動電飾装置540と、この可動電飾装置540を移動可能に支持する可動体案内手段541と、可動電飾装置540を駆動する駆動手段542とを備えている。可動電飾装置(電飾装置)540は、左右方向の横長状に形成され、その前面側には任意の装飾(ここでは当該遊技機のタイトルである「カッパ伝説」の文字)が例えば立体的に形成されており、内部に配置されたLED573が点灯することによって所定部位(ここでは「カッパ伝説」の文字部分)が任意色で発光するようになっている。この可動電飾装置540の詳細については後述する。
【0074】
可動体案内手段541は、可動電飾装置540を画像表示手段526の表示画面526aの前面側に沿って所定方向(ここでは上下方向)に移動可能な状態で支持するもので、画像表示手段526の表示画面526aの左右両側に沿って上下方向に配置された一対の案内レール543を備え、それら各案内レール543によって可動電飾装置540の左右両端部が上下方向移動可能に支持されている。この可動体案内手段541により、可動電飾装置540は、画像表示手段526の上側の上部位置と、画像表示手段526の前側の下部位置との間で上下方向に移動可能であり、通常時は原点位置である上部位置に保持されている。
【0075】
駆動手段542は、例えばステッピングモータで構成され、装飾枠528の後側に配置されており、図示しないベルト等を介して可動電飾装置540を所定の動作パターンに従って上下方向に移動させることが可能となっている。
【0076】
普通図柄始動手段522は、普通図柄表示手段531による図柄変動を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲートにより構成され、センターケース521の左側に配置されており、遊技球の通過を検出可能な遊技球検出手段(図示省略)を備えている。
【0077】
普通図柄表示手段531は、普通図柄を変動表示するためのもので、複数個の普通図柄(例えば「○」「×」の2種類)に対応する複数個の発光体(例えばLED)を備え、普通図柄始動手段522が遊技球を検出することに基づいてそれら複数の発光体が所定順序で発光するように点滅して、普通図柄始動手段522による遊技球検出時に取得された普通乱数情報に含まれる当り判定乱数値が予め定められた当り判定値と一致する場合には当り態様に対応する例えば「○」側の発光体が点灯し、それ以外の場合にははずれ態様に対応する例えば「×」側の発光体が点灯して停止する。
【0078】
普通図柄始動手段522による遊技球検出時に取得された普通乱数情報は、予め定められた上限個数、例えば4個を限度として保留記憶され、普通図柄表示手段531による図柄変動が開始される毎に順次消化される。普通乱数情報の記憶個数(普通保留個数)は普通保留個数表示手段533等によって遊技者に報知される。
【0079】
特別図柄始動手段523は、特別図柄表示手段532による図柄変動を開始させるためのもので、例えば上下2つの始動入賞手段523a,523bと、下始動入賞手段523bを開閉する開閉手段546と、始動入賞手段523a,523bに入賞した遊技球を夫々検出する遊技球検出手段(図示省略)とを備え、例えばセンターケース521の下側に配置されている。上始動入賞手段523aは開閉手段等を有しない非開閉式入賞手段で、ステージ535の中央落下部の真下に上向き開口状に配置されている。下始動入賞手段523bは、開閉手段546により遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能(又は開状態よりも入賞困難)な閉状態とに切り換え可能な開閉式入賞手段で、上始動入賞手段523aの下側に配置されており、普通図柄表示手段531の変動後の停止図柄が当り態様となった場合に発生する普通利益状態において、開閉手段546が所定時間閉状態から開状態に変化するように構成されている。
【0080】
特別図柄表示手段532は、特別図柄を変動表示するためのもので、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段523が遊技球を検出した場合(図柄始動条件が成立した場合)、即ち上下2つの始動入賞手段523a,523bの何れかに遊技球が入賞した場合に特別図柄を所定時間変動表示して、始動入賞手段523a,523bへの入賞時に取得された特別乱数情報に含まれる大当り判定乱数値が予め定められた大当り判定値と一致する場合には所定の大当り態様で、一致しない場合には例えばはずれ態様で停止するようになっている。
【0081】
特別図柄始動手段523への遊技球入賞時に取得された特別乱数情報は、予め定められた上限個数、例えば4個を限度として保留記憶され、特別図柄表示手段532による図柄変動が開始される毎に順次消化される。特別乱数情報の記憶個数(特別保留個数)は、第1特別保留個数表示手段534、後述する第2特別保留個数表示手段549等によって遊技者に報知される。
【0082】
大入賞手段524は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板547を備えた開閉式入賞手段で、例えば特別図柄始動手段523の下側に配置されており、特別図柄表示手段532の変動後の停止図柄が大当り態様となった場合に発生する特別利益状態において、開閉板547が所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。
【0083】
また画像表示手段526は、演出図柄表示手段548、第2特別保留個数表示手段549等を構成している。演出図柄表示手段548は、特別図柄表示手段532による特別図柄の変動表示と並行して演出図柄Pを変動表示するものである。演出図柄Pは、数字図柄その他の複数個の図柄で構成される図柄列を複数(
図12の例では左右方向に3つ)備えており、特別図柄の変動開始と略同時に所定の変動パターンに従って図柄列毎に縦スクロール等による変動を開始すると共に、所定の有効ライン上の停止図柄が所定態様となるように特別図柄の変動停止と略同時に最終停止する。なお演出図柄Pでは、例えば有効ライン上の全ての停止図柄が同じ場合が大当り演出態様、それ以外がはずれ演出態様となっており、特別図柄が大当り態様、はずれ態様となる場合には演出図柄Pは大当り演出態様、はずれ演出態様となる。
【0084】
第2特別保留個数表示手段549は、特別保留個数を報知するためのもので、特別保留個数分(最大4個)の保留表示画像Q4~Q1と、変動中の演出図柄Pに対応する変動中保留画像Q0とを表示画面526aの所定位置、例えば下部側に表示可能となっている。第2特別保留個数表示手段549は、特別図柄始動手段523への遊技球の入賞によって特別保留個数が増加した場合には、保留表示画像Q1~を待ち行列の最後尾(例えば左端側)に1個追加表示し、特別図柄の新たな変動が開始して特別保留個数が減少した場合には、例えば変動中保留画像Q0を消去すると共に、保留表示画像Q1~を待ち行列の前側(例えば右側)に向けて1個分ずつシフトし、押し出された先頭の保留表示画像Q1を新たな変動中保留画像Q0に変化させるようになっている。
【0085】
また、遊技盤505上には、可動演出手段536の他にも、センターケース521等の各種遊技部品に電飾装置550が配置されている。電飾装置550は、前面側にLED551aが配設されたLED基板551と、そのLED基板551の前側に配置された発光レンズ部552とを備えている。発光レンズ部552は、装飾枠528の少なくとも一部に設けられた透光部により構成されている。発光レンズ部552には、内部のLED基板551等を前側から見えにくくするとともにLED551aから発せられた光を適度に拡散させるべく、凹凸加工等の光拡散処理が施されている。
【0086】
図13は本パチンコ機の制御系の概略ブロック図である。
図13において、主制御基板561は遊技動作を統括的に制御するもので、遊技盤505上の普通図柄始動手段522、特別図柄始動手段523、大入賞手段524、普通入賞手段525、普通図柄表示手段531、特別図柄表示手段532、普通保留個数表示手段533、第1特別保留個数表示手段534等が例えば図示しない中継基板等を経由して接続され、またその下位には、主制御基板561からの制御コマンドに基づいて画像表示手段526による画像表示、スピーカSP1,SP2による音声出力、電飾装置510,540,550による発光、駆動手段542による可動体駆動等の演出制御を行うサブ制御基板562、主制御基板561からの制御コマンドに基づいて払い出し手段514を制御する払出制御基板563、この払出制御基板563からの発射制御信号等に基づいて発射手段506を制御する発射制御基板564等が接続されている。
【0087】
続いて、
図14~
図18等を参照しつつ可動電飾装置540の構成について説明する。可動電飾装置540は、
図14~
図17等に示すように、前カバー体571と、ベース体572と、複数のLED(光源)573が配置されたLED基板574とで構成されている。前カバー体571は、透光性を有する合成樹脂製で、前面板575と、この前面板575の外周に沿って後向きに延設された外周板576とを一体に備えている。前カバー体571の前面板575には、例えば横書きのゴシック体による「カッパ伝説」の文字列に対応する文字領域を除き、前面側に非透光処理が施されており(非透光部577)、これによって前面板575に「カッパ伝説」の横書き文字列を構成する透光文字部(透光部)578が形成されている。この透光文字部578は、
図14に示すように、非透光部577により互いに分離された複数(ここでは14個)の透光領域578a~578nで構成されている。例えば「カ」の文字は一つの透光領域578aで構成され、「ッ」の文字は三つの透光領域578b~578dで構成されている。
【0088】
なお、非透光部577を形成するための非透光処理は、メッキ処理、非透光性シートの貼付等、任意である。また非透光部577は、完全な非透光性が要求されるものではなく、透光文字部578に比べて光の透過率が十分に小さければよい。また非透光処理は前カバー体571の外周板576の外面側にも施すことが望ましい。
【0089】
前カバー体571の前面板575は、透光文字部578を構成する「カッパ伝説」の横書き文字列の外形に沿ってそれよりも一回り大きな横長形状に形成されるとともに、透光文字部578を構成する各文字の外周に沿って略一定幅の非透光縁取り部577aが前向き突出状に形成されている。本実施形態ではこの非透光縁取り部577aから外側が非透光部577、非透光縁取り部577aよりも内側が透光文字部578となっている。なお、非透光縁取り部577aは、必ずしも前向き突出状に形成する必要はなく、その他の非透光部577と同じ厚さに形成してもよい。
【0090】
また
図17に示すように、前カバー体571の内面側には、LED基板574等を前側から見えにくくするとともにLED573から発せられた光を適度に拡散させるべく、少なくとも透光文字部578に対応する領域にレンズカット加工その他の光拡散処理が施されている(光拡散部579)。
【0091】
なお
図17では、透光文字部578の後側の領域だけでなく、非透光部577の後側の領域にも光拡散処理を施した例を示したが、透光文字部578の後側の領域にのみ光拡散処理を施し、非透光部577の後側の領域には光拡散処理を施さないようにしてもよい。また、非透光部577の後側にも光拡散処理を施す場合、非透光部577全体ではなく、LED573の前側に対応する一定領域にのみ光拡散処理を施してもよい。また、透光文字部578と非透光部577との両方に対応して光拡散処理を施す場合、透光文字部578の後側と非透光部577の後側とで光拡散処理の種類(例えばレンズカット加工の種類)を異ならせてもよい。この場合のレンズカット加工の種類は、ボールカット加工、ローレット加工、ダイヤカット加工、アイスカット加工等、任意である。また透光文字部578に関しては、その透光文字部578側(すなわち前面側)にも内面側と同じ、又は異なる種類のレンズカット加工を施してもよい。
【0092】
前カバー体571は、ベース体572の前側にねじ止め等により着脱自在に固定されている。ベース体572は、透光性を有しない合成樹脂製で、前カバー体571の外形と略同じ形状に形成された前面板581と、この前面板581の外周に沿って後向きに延設された外周板582とを一体に備え、前面板581の前面側に前カバー体571が固定されている。前カバー体571の後側がこのベース体572の前面板581により略閉鎖されることにより、前カバー体571内には発光室583が形成されている。なお、ベース体572の左右両端側には、案内レール543に対してスライド移動可能に装着されるレール接続部584が設けられている。
【0093】
LED基板574は、前カバー体571における外周板576の内面に沿う形状とすることにより、透光文字部578よりも大で且つ縁部が透光文字部578の外形に沿うように形成された基板本体585と、この基板本体585の前面側に配置された複数のLED573と、基板本体585の裏面側に配置されたコネクタ586とを備え、発光室583内の後部所定位置に配置された状態でベース体572の前面板581に対してねじ止め等により着脱自在に固定されている。
【0094】
ベース体572の前面板581には、基板支持用のボス587が前向き突出状に形成されており、このボス587により、LED基板574はベース体572との間に一定の隙間を保持した状態で支持されている。コネクタ586に接続されるハーネス588は、ベース体572に形成された開口部589を経て可動電飾装置540の後側に引き出され、中継基板等を介してサブ制御基板562に接続されている。
【0095】
LED基板574には、3×10=30個のLED573が、前カバー体571側の透光文字部578、即ち「カッパ伝説」の文字列に対応して配置されている。即ち、LED基板574には、
図18に示すように、可動電飾装置540の短手方向(ここでは文字列の幅方向である上下方向)に配列された複数(ここでは3個)のLED573よりなるLED列(光源列)が、可動電飾装置540の長手方向(ここでは文字列の配列方向である左右方向)に複数(ここではA~Jの10組)配列されている。そして、LED基板574上のLED573は、LED列毎に異なるチャンネルで発光制御されるようになっている。これにより、LED573の発光状態(発光色や点灯/消灯等の発光態様)を文字列の配列方向に順次変化させるような発光制御を容易に行うことが可能である。
【0096】
なお
図16では、30個のLED573を、所属するLED列を示すA~Jの符号(
図18)と、それら各LED列内の番号を示す1~3の符号とを付加することにより区別している。例えば、LED列Aに属する1番目のLED573をLED573A1、LED列Bに属する3番目のLED573をLED573B3としている。
【0097】
また、30個のLED573は何れも、少なくとも一部が正面視において非透光部577の後側に重なるように、透光文字部578と非透光縁取り部577aとの境目に沿って非透光縁取り部577aの後側に配置されている。具体的には、互いに近接する複数の透光文字部578により挟まれた非透光部577(中間非透光部)に対応して配置されるLED573(ここではLED573G3,573I1,573I2,573J2)については、その非透光部577の略中央(各透光文字部578から略等距離の位置)に対応してその後側に配置されている。また、周囲を透光文字部578により略囲まれた非透光部577に対応して配置されるLED573(ここでは573F1)については、その非透光部577の略中央(周囲の透光文字部578から略等距離の位置)に対応してその後側に配置されている。これらの場合は、非透光部577の幅とLED573との大小関係に応じて、LED573の方が大であれば(例えばLED573I1)、LED573の一部分が透光文字部578側にはみ出した状態となるが、LED573の方が小であれば(例えばLED573J2,573J3)、LED573の全体が非透光部577の後側に重なった状態となる。
【0098】
一方、それら以外のLED573、即ち透光文字部578に対して十分な広さの非透光部577が接している場合には、その非透光部577に対応して配置されるLED573(ここではLED573A1~573A3,573B1~573B3等)については、LED573の縁部が非透光部577と透光文字部578との境目と前後に略一致するように配置されている。この場合、LED573の縁部は透光文字部578側にはみ出さないことが望ましいが、一部はみ出すように配置してもよい。
【0099】
このように、LED573を非透光部577の後側に配置することで、LED573から真正面に向けて発せられた光が透光文字部578に直接照射されることがない(又は少ない)ため、点光りを解消して透光文字部578の明度差を小さくすることが可能である。
【0100】
また複数の透光領域578a~578nのうち、複数のLED573が配置されている特定透光領域(ここでは透光領域578a,578d~578f,578h,578i,578n)については、各特定透光領域に対応するLED(特定光源)573が次のように配置されている。即ち、特定透光領域に対応する各LED573は、その特定透光領域に対応するその他のLED573のうちの少なくとも一つに対する直線経路全体が、正面視において特定透光領域内を通過するように配置されている。
【0101】
具体的には、特定透光領域578aに対応するLED573A1~573A3,573B1~573B3のうち、LED573A1に関しては、LED573A2に対する直線経路L1と、LED573A3に対する直線経路L2との各全体が正面視において特定透光領域578a内を通過している。同様に、LED573A2に関しては、LED573A1に対する直線経路L1と、LED573B1に対する直線経路L3との各全体が正面視において特定透光領域578a内を通過している。その他のLED573A3,573B1~B3に関しても同様である。これにより、複数のLED573による各発光領域が特定透光領域内で互いに重なりあうため、点光りによる透光文字部578の明度差をより小さくすることが可能である。
【0102】
また
図16の部分拡大図に示すように、LED573は略矩形状に形成され、四辺のうちの所定対辺573a,573bに夫々3つの端子569a~569c,569d~569fが配置されている。そして、それら各端子569a~569c,569d~569fからは、夫々配線パターン570a~570c,570d~570fが、所定対辺573a,573bに対して垂直な方向に少なくとも所定距離Xまでまっすぐ平行に引き出された後、任意の方向に屈折し、或いはそのままビア等に接続されている。従って、LED基板574の縁部近傍に配置され、特に基板縁部までの距離が所定距離Xに満たないLED573については、
図16の部分拡大図に示すように、端子569a~569c,569d~569fが設けられている所定対辺573a,573bとは別の、端子が設けられていない辺573cがLED基板574の縁部に向くように配置されている。これにより、LED573をLED基板574の縁部近傍に配置せざるを得ないにも拘わらず配線パターンの引き回しが容易になるという利点がある。
【0103】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機は、透光文字部(透光部)578と、この透光文字部578を発光させる複数のLED(光源)573とを有する可動電飾装置(電飾装置)540を備え、透光文字部578の外縁に非透光部577を設け、LED573を、非透光部577の後側に配置しているため、可動電飾装置540の点光りによる透光文字部578の明度差を小さくすることにより発光時の見栄えをよくすることが可能である。
【0104】
また、LED573を、透光文字部578と非透光部577との境目に、少なくとも一部分が可動電飾装置540に対する正面視において非透光部577の後側に重なるように配置しており、しかも非透光部577のうち、両側を透光文字部578で挟まれた中間非透光部については、幅方向略中央に対応してその後側にLED573を配置しているため、点光りを解消しつつ、透光文字部578全体をより明るく且つなるべく均等に発光させることが可能である。
【0105】
また、透光文字部578は、非透光部577により互いに分離された複数の透光領域578a~578nを備え、複数の透光領域578a~578nのうちの特定透光領域に対応して、その外周の非透光部577の後側に複数のLED573(以下、特定光源)を配置し、それら特定光源を、その他の特定光源のうちの少なくとも一つに対する直線経路全体が、可動電飾装置540に対する正面視において特定透光領域内を通過するように配置しているため、複数の特定光源による各発光領域が特定透光領域内で互いに重なりあうことにより、点光りによる透光文字部578の明度差をより小さくすることが可能である。
【0106】
また可動電飾装置540の短手方向に配列された複数のLED573よりなるLED列(光源列)を、可動電飾装置540の長手方向に複数配列し、LED列毎に異なるチャンネルでLED573を制御するように構成しているため、LED573の発光状態(発光色や点灯/消灯等の発光態様)を文字列の配列方向に順次変化させるような発光制御を容易に行うことが可能である。
【0107】
また、LED基板574を、少なくとも一部の縁部が透光文字部578の外形に沿う形状に形成し、LED基板574の縁部近傍のLED573に関しては、端子が設けられた所定対辺とは別の辺がLED基板574の縁部に向くように配置しているため、LED573をLED基板574の縁部近傍に配置せざるを得ないにも拘わらず配線パターンの引き回しが容易になるという利点がある。
【0108】
図19~
図22は本発明の第3の実施形態を例示し、第2の実施形態を一部変更して、透光部内に、非透光部よりなる非透光文字部を設け、非透光文字部の後側にLEDを配置した例を示している。本実施形態が第2の実施形態と異なるのは、可動電飾装置における透光部/非透光部の配置と、それに伴うLEDの配置及び可動電飾装置の形状のみである。以下、第2の実施形態と異なる分を中心に可動電飾装置の構成について説明する。
【0109】
本実施形態の可動電飾装置590は、
図19~
図21に示すように、第2の実施形態の可動電飾装置540と同様、前カバー体591と、ベース体592と、複数のLED(光源)593が配置されたLED基板594とで構成されている。前カバー体591は、透光性を有する合成樹脂製で、前面板595と、この前面板595の外周に沿って後向きに延設された外周板596とを一体に備えている。前カバー体591の前面板595には、例えば横書きのゴシック体による「カッパ伝説」の文字列に対応する文字領域(非透光文字部597a)と、それらの各文字を個別に取り囲む枠領域(非透光枠部597b)とに対して前面側に非透光処理が施されており、これによって前面板595には、矩形状に形成された五つの透光部598内に夫々非透光文字部597aを構成する「カ」,「ッ」,「パ」,「伝」,「説」の文字が形成されている。なお、前カバー体591の前面板595は、非透光枠部597bの外形に沿って横長矩形状に形成されている。
【0110】
非透光部597a,597bを形成するための非透光処理は、メッキ処理、非透光性シートの貼付等、任意である。また非透光部597a,597bは、完全な非透光性が要求されるものではなく、透光部598に比べて光の透過率が十分に小さければよい。また非透光処理は前カバー体591の外周板596の外面側にも施すことが望ましい。
【0111】
また、前カバー体591の内面側には、
図21に示すように、LED基板594等を前側から見えにくくするとともにLED593から発せられた光を適度に拡散させるべく、少なくとも透光部598に対応する領域にレンズカット加工その他の光拡散処理が施されている(光拡散部599)。
【0112】
なお
図21では、透光部598の後側の領域だけでなく、非透光部597a,597bの後側の領域にも光拡散処理を施した例を示したが、透光部598の後側の領域にのみ光拡散処理を施し、非透光部597a,597bの後側の領域には光拡散処理を施さないようにしてもよい。また、非透光部597a,597bの後側にも光拡散処理を施す場合、非透光部597a,597b全体ではなく、LED593の前側に対応する一定領域にのみ光拡散処理を施してもよい。また、透光部598と非透光部597a,597bとの両方に対応して光拡散処理を施す場合、透光部598の後側と非透光部597a,597bの後側とで光拡散処理の種類(例えばレンズカット加工の種類)を異ならせてもよい。この場合のレンズカット加工の種類は、ボールカット加工、ローレット加工、ダイヤカット加工、アイスカット加工等、任意である。また透光部598に関しては、その透光部598側(すなわち前面側)にも内面側と同じ、又は異なる種類のレンズカット加工を施してもよい。
【0113】
前カバー体591は、ベース体592の前側にねじ止め等により着脱自在に固定されている。ベース体592は、透光性を有しない合成樹脂製で、前カバー体591の外形と略同じ形状に形成された前面板601と、この前面板601の外周に沿って後向きに延設された外周板602とを一体に備え、前面板601の前面側に前カバー体591が固定されている。前カバー体591の後側がこのベース体592の前面板601により略閉鎖されることにより、前カバー体591内には発光室603が形成されている。なお、ベース体592の左右両端側には、案内レール543に対してスライド移動可能に装着されるレール接続部604が設けられている。
【0114】
LED基板594は、前カバー体591における外周板596の内面に沿う横長矩形状に形成された基板本体605と、この基板本体605の前面側に配置された複数のLED593と、基板本体605の裏面側に配置されたコネクタ606とを備え、発光室603内の後部所定位置に配置された状態でベース体592の前面板601に対してねじ止め等により着脱自在に固定されている。
【0115】
ベース体592の前面板601には、基板支持用のボス607が前向き突出状に形成されており、このボス607により、LED基板594はベース体592との間に一定の隙間を保持した状態で支持されている。コネクタ606に接続されるハーネス608は、ベース体592に形成された開口部609を経て可動電飾装置590の後側に引き出され、中継基板等を介してサブ制御基板562に接続されている。
【0116】
LED基板594には、3×9=27個のLED593が、前カバー体591側の非透光文字部597a、即ち「カッパ伝説」の文字列に対応して配置されている。即ち、LED基板594には、
図22に示すように、可動電飾装置590の短手方向(ここでは文字列の幅方向である上下方向)に配列された複数(ここでは3個)のLED593よりなるLED列(光源列)が、可動電飾装置590の長手方向(ここでは文字列の配列方向である左右方向)に複数(ここではA~Iの9組)配列されている。そして、LED基板594上のLED593は、LED列毎に異なるチャンネルで発光制御されるようになっている。これにより、LED593の発光状態(発光色や点灯/消灯等の発光態様)を文字列の配列方向に順次変化させるような発光制御を容易に行うことが可能である。
【0117】
なお
図20では、27個のLED593を、所属するLED列を示すA~Iの符号(
図22)と、それら各LED列内の番号を示す1~3の符号とを付加することにより区別している。例えば、LED列Aに属する1番目のLED593をLED593A1、LED列Bに属する3番目のLED593をLED593B3としている。
【0118】
また、27個のLED593は、何れも非透光文字部597aの後側に配置されており、しかもその配置位置は正面視で非透光文字部597aの幅方向略中央となっている。これにより、LED593から真正面に向けて発せられた光が透光部598に直接照射されることがない(又は少ない)ため、点光りを解消して透光部598の明度差を小さくすることが可能であるとともに、非透光文字部597aのシルエットをよりはっきりと浮かび上がらせることが可能である。
【0119】
図23,
図24は本発明の第4の実施形態を例示し、第3の実施形態を一部変更して、LED593を、非透光文字部597aの後側だけでなく非透光枠部597bの後側にも配置した例を示している。本実施形態が第3の実施形態と異なるのはLED593の配置のみである。以下、第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0120】
本実施形態のLED基板594には、3×16=48個のLED593が、前カバー体591側の非透光文字部597aと非透光枠部597bとに対応して配置されている。即ち、
図24に示すように、LED基板594には、可動電飾装置590の短手方向(ここでは文字列の幅方向である上下方向)に配列された複数(ここでは3個)のLED593よりなるLED列(光源列)が、可動電飾装置590の長手方向(ここでは文字列の配列方向である左右方向)に複数(ここではA~Pの16組)配列されている。そして、LED基板594上のLED593は、LED列毎に異なるチャンネルで発光制御されるようになっている。これにより、LED593の発光状態(発光色や点灯/消灯等の発光態様)を文字列の配列方向に順次変化させるような発光制御を容易に行うことが可能である。
【0121】
なお
図23では、48個のLED593を、所属するLED列を示すA~Pの符号と、それら各LED列内の番号を示す1~3の符号とを付加することにより区別している。例えば、LED列Aに属する1番目のLED593をLED593A1、LED列Bに属する3番目のLED593をLED593B3としている。
【0122】
また、48個のLED593は、何れも非透光文字部597aと非透光枠部597bとの何れかの後側に配置されている。そして、透光部598の内側に配置されている非透光文字部597aに対応するLED593(例えばLED593B2,593B3)は、正面視で非透光文字部597aの幅方向略中央に配置されている。また、透光部598の外側に配置されている非透光枠部597bに対応するLED593のうち、二つの透光部598により挟まれた非透光枠部597bに対応して配置されるLED593(例えばLED593D2,593G2等)については、その非透光枠部597bの略中央(各非透光枠部597bから略等距離の位置)に対応してその後側に配置されており、それら以外のLED593、即ち透光部598に対して十分な広さの非透光枠部597bが接している場合には、その非透光枠部597bに対応して配置されるLED593(ここではLED593A1~593A3,593B1,593C3等)については、LED593の縁部が非透光枠部597bと透光部598との境目と前後に略一致するように配置されている。なお何れの場合も、LED593の縁部は透光部598側にはみ出さないことが望ましいが、一部はみ出すように配置してもよい。
【0123】
LED593をこのように配置していることにより、LED593から真正面に向けて発せられた光が透光部598に直接照射されることがない(又は少ない)ため、点光りを解消して透光部598の明度差を小さくすることが可能であるとともに、非透光文字部597aのシルエットをよりはっきりと浮かび上がらせることが可能である。
【0124】
また
図23の部分拡大図に示すように、LED593は略矩形状に形成され、四辺のうちの所定対辺593a,593bに夫々3つの端子569a~569c,569d~569fが配置されている。そして、それら各端子569a~569c,569d~569fからは、夫々配線パターン570a~570c,570d~570fが、所定対辺593a,593bに対して垂直な方向に少なくとも所定距離Xまでまっすぐ平行に引き出された後、任意の方向に屈折し、或いはそのままビア等に接続されている。従って、横長矩形状に形成されたLED基板594の縁部近傍に配置され、特に基板縁部までの距離が所定距離Xに満たないLED593(LED593A1~593A3,593B1等)については、
図23の部分拡大図に示すように、端子569a~569c,569d~569fが設けられている所定対辺593a,593bとは別の、端子が設けられていない辺593cがLED基板594の縁部に向くように配置されている。なお、LED593は、LED基板594の角部近傍を避けて配置されている(例えばLED593A1)。これにより、本実施形態のようにLED593をLED基板594の縁部近傍に配置せざるを得ない場合でも配線パターンの引き回しが容易になるという利点がある。
【0125】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態と、第2~第4の実施形態とは、全く別の遊技機として具現化されているが、前者と後者とを適切に結合することによって同一の遊技機として具現化できることは言うまでもない。例えば、第2~第4の実施形態に係る遊技機に、第1の実施形態に係る遊技機と同様の基盤構成を採用することができ、また第1の実施形態に係る遊技機上で、第2~第4の実施形態に係る遊技機と同様の電飾装置を採用することも可能である。
【0126】
第1の実施形態では、放熱用スルーホールの直径φと、信号導通用ビアの直径φ1と、電源導通用ビアの直径φ2との関係をφ1<φ≒φ2とした例を示したが、これに限られるものではなく、例えばφ1≒φ<φ2としてもよいし、φ1≒φ≒φ2としてもよい。また、放熱用スルーホールの直径を発熱性部品毎に異ならせる場合、発熱性部品Aに対応する放熱用スルーホールの直径をφa、発熱性部品Bに対応する放熱用スルーホールの直径をφbとすると、φ1≒φa<φb≒φ2としてもよい。
【0127】
第1の実施形態では発熱性部品75及びその導体部151を正方形とし、その正方形の導体部151に対応する領域内に縦横同数のマトリクス状(3×3)に放熱用スルーホール140aを配置した例を示したが、発熱性部品及び/又はその導体部が正方形でない長方形の場合には、縦横の数が異なるマトリクス状(例えば3×5)に放熱用スルーホールを配置してもよい。
【0128】
図10の例では、凹部161の部分における外周余白部171の内側のグランド配線路138の最小幅よりも、凹部161以外の部分における外周余白部171の内側のグランド配線路138の最小幅を小さくしているが、両者は略同じであってもよい。また
図10の例では、外周余白部171と信号配線路134等との間にグランド配線路138を配置したが、外周余白部171の内側にグランド配線路を挟むことなく信号配線路等を配置してもよい。
【0129】
第2~第4の実施形態の可動電飾装置の構成については、センターケース21等、遊技盤5上の遊技部品に固定的に配置された電飾装置50や、前枠4側に固定的に配置された電飾装置10等にも同様に適用可能である。もちろん、前枠4側に可動電飾装置を設ける場合にも同様に適用可能である。
【0130】
第2の実施形態では、透光部を文字形状(透光文字部78)とした例を示したが、この場合の透光部は文字形状のものに限られるものではなく、ロゴマーク等の図形やキャラクタ等の絵柄など、どのようなものでもよい。また、第3,第4の実施形態では、透光部内に文字形状の非透光部(非透光文字部97a)を配置した例を示したが、この場合の非透光部についても文字形状のものに限られるものではなく、ロゴマーク等の図形やキャラクタ等の絵柄など、どのようなものでもよい。
【0131】
第2~第4の実施形態では、透光性を有する前カバー体71の一部に非透光処理を施すことによって透光部と非透光部とを形成するように構成したが、例えば非透光性の第1部材と透光性の第2部材とを組み合わせる(例えば文字形状の開口部を有する第1部材の裏側に第2部材を嵌め合わせる)ことにより透光部と非透光部とを形成するように構成してもよい。
【0132】
第2~第4の実施形態では、電飾装置を遊技機本体1の正面に向けて配置した例を示したが、前枠4の上部側の電飾装置を斜め下向きに配置するなど、例えば正面が遊技者側に向くように、電飾装置を遊技機本体1の正面に対して斜めに配置してもよい。この場合、電飾装置のLED(光源)は、遊技機本体1に対する正面視ではなく、その電飾装置に対する正面視において非透光部の後側に配置することが望ましい。
【0133】
第2~第4の実施形態では、同一チャンネルのLED列に属するLEDを3個としたが、2個或いは4個以上としてもよい。
【0134】
第1~第4の実施形態のうちの2以上を適宜組み合わせてもよい。また、実施形態では本発明をパチンコ機に適用した例を示したが、アレンジボール機、スロットマシン等の各種遊技機において同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0135】
43 第3LED基板(基板)
75 LEDドライバ(発熱性部品)
137 ベタグランドパターン
140a スルーホール
151 導体部
540 可動電飾装置
573 LED(光源)
577 非透光部
578 透光文字部(透光部)
578a~578n 透光領域
593 LED(光源)
597a 非透光文字部(非透光部)
597b 非透光枠部(非透光部)
598 透光部