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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021584
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】工作機械の機内洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124508
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】青山 知史
(72)【発明者】
【氏名】土田 智文
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 真人
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011EE01
3C011EE09
(57)【要約】
【課題】 バルブを設けたドレン回路を追加することなく液垂れを防止することができる工作機械の機内洗浄装置を提供する。
【解決手段】 ポンプ11によって吐出された切削液を上方に導く第1の配管12に、各ノズル14の開口位置よりも下方に位置する残留切削液の排出口12aが設けられている。制御装置20からの指令に基づいて、ポンプ11停止時に複数のノズル14への切削液の供給を制御するバルブ15を開いておくことで、各ノズル14の開口位置よりも上方に位置する第2の配管13を介して第1の配管12に至った後に残留切削液の排出口12aに至る残留切削液の排出経路S1,S2,S3,S4が形成される。これにより、複数のノズル14、第2の配管13および第1の配管12内に残留する残留切削液は、サイフォンの原理によって残留切削液の排出口12aから残留切削液回収管21を介して排出される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプによって吐出された切削液を上方に導く第1の配管と、第1の配管の上端に連なる第2の配管と、下端に切削液を吐出する開口を有し第2の配管の先端部側に配された複数のノズルと、第2の配管の基端部側に設けられて複数のノズルへの切削液の供給を制御するバルブとを備えており、バルブを開いてポンプを作動させることで、第1の配管および第2の配管を介して各ノズルから切削液を噴射させる工作機械の機内洗浄装置において、
第1の配管に、各ノズルの開口位置よりも下方に位置する残留切削液の排出口が設けられるとともに、バルブの開閉およびポンプ運転停止を制御する制御装置が設けられており、制御装置からの指令に基づいてポンプ停止時にバルブを開放し続けることで、各ノズルの開口位置よりも上方に位置する第2の配管を介して第1の配管に至った後に残留切削液の排出口に至る残留切削液の排出経路が形成され、これにより、複数のノズル、第2の配管および第1の配管内に残留する残留切削液は、サイフォンの原理によって残留切削液の排出口から排出されることを特徴とする工作機械の機内洗浄装置。
【請求項2】
第1の配管に設けられた残留切削液の排出口に、残留切削液回収管の基端部が接続されており、残留切削液は、残留切削液回収管の先端部に設けられた吐出口から機内の適宜な箇所に吐出されることを特徴とする請求項1の工作機械の機内洗浄装置。
【請求項3】
残留切削液回収管の途中にバルブが設けられていることを特徴とする請求項2の工作機械の機内洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械に設けられて切屑を取り除く洗浄作業を行う工作機械の機内洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械においては、大容量ポンプを使用し、適宜な切削液回路を介して潤滑・冷却・洗浄などの用途に切削液を供給している。近年、大容量ポンプの性能・流通性が向上し、省スペース化、省エネ化などを目的に大容量ポンプの採用が増えつつある。大容量ポンプの使用に際しては、バルブと組み合わせて使用するケースが増えており、この組み合わせは機内洗浄装置においても使用されている。
【0003】
図7に、従来の工作機械の機内洗浄装置(4)の一例が示されており、工作機械(1)は、工具が取り付けられる主軸(2)、ワークを搬送するテーブル(3)などを備えており、機内洗浄装置(4)は、天井シャワーなどと称されているもので、切削液を供給する大容量のポンプ(11)と、ポンプ(11)によって吐出された切削液を上方に導く第1の配管(12)と、第1の配管(12)の上端に連なって水平方向にのびる第2の配管(13)と、下端に切削液を吐出する開口(14a)を有し第2の配管(13)の先端部側に配された複数のノズル(14)と、第2の配管(13)の基端部側に設けられて複数のノズル(14)への切削液の供給を制御するバルブ(15)と、床に設けられた切削液回収タンク(16)と、第1の配管(12)途中に設けられて機内洗浄用途以外の切削液回路に連通している分岐管(17)と、バルブ(15)の開閉およびポンプ(11)の運転・停止を制御する制御装置(18)とを備えている。
【0004】
バルブ(15)は開または閉に切り換えることができるもので、図7には、ポンプ(11)が停止していて、バルブ(15)が閉じた状態が示されている。
【0005】
機内洗浄を実施する際には、図8に示すように、ポンプ(11)を稼働させ、バルブ(15)が開とされる。これにより、ポンプ(11)によって供給された切削液は、太線の矢印で示されているように、第1の配管(12)および第2の配管(13)を介して各ノズル(14)に至り、各ノズル(14)の開口(14a)から切削液を噴射させることによって、テーブル(3)上にあるワークまたはワークを保持するワーク保持具などから切屑を取り除く洗浄作業が実施される。洗浄に使用された切削液は、細線の矢印で示されているように、傾斜状とされた床面を下方に流れて切削液回収タンク(16)に回収される。
【0006】
この工作機械(1)では、機内洗浄装置(4)のポンプ(11)が大容量のものとされていることで、切削液を第1の配管(12)に設けられた分岐管(17)を介して機内洗浄以外の切削液回路に送って潤滑・冷却・洗浄などの用途に使用することができる。
【0007】
機内洗浄を停止する際には、ポンプ(11)を停止し、バルブ(15)が閉とされる。これにより、ポンプ(11)を再び作動させて分岐管(17)から他の切削液回路への切削液供給が可能な状態で、複数のノズル(14)を使用した洗浄作業を停止することができる。したがって、切削液の用途ごとにポンプの数を設置する必要無しに、機内洗浄だけを実施および停止することができる。
【0008】
ポンプ(11)の停止直後の状態では、図9に示すように、バルブ(15)が閉とされていることで、バルブ(15)から各ノズル(14)までの間の太線で示している部分には、残留切削液が存在することになる。各ノズル(14)の開口(14a)にはバルブは設けられておらず、したがって、この状態で時間が経つと、ノズル(14)の開口(14a)から下方に切削液が落ちる液垂れ(D)という現象が起こることがある。天井のように高い位置からの液垂れ(D)は、機内で作業する際に切削液がかかることがあるので、液垂れ(D)がなくなるまで機内での作業開始を待つことが必要となる。
【0009】
上記液垂れの問題を解決するために、特許文献1には、バルブを設けたドレン回路を追加して、このドレン回路を介して残留切削液を回収することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-30142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1などのように、バルブを設けたドレン回路を追加することは、コストがかかるという問題がある。
【0012】
この発明は、従来の技術の有する上記課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、バルブを設けたドレン回路を追加することなく液垂れを防止することができる工作機械の機内洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の工作機械の機内洗浄装置は、ポンプによって吐出された切削液を上方に導く第1の配管と、第1の配管の上端に連なる第2の配管と、下端に切削液を吐出する開口を有し第2の配管の先端部側に配された複数のノズルと、第2の配管の基端部側に設けられて複数のノズルへの切削液の供給を制御するバルブとを備えており、バルブを開いてポンプを作動させることで、第1の配管および第2の配管を介して各ノズルから切削液を噴射させる工作機械の機内洗浄装置において、第1の配管に、各ノズルの開口位置よりも下方に位置する残留切削液の排出口が設けられるとともに、バルブの開閉およびポンプ運転停止を制御する制御装置が設けられており、制御装置からの指令に基づいてポンプ停止時にバルブを開放し続けることで、各ノズルの開口位置よりも上方に位置する第2の配管を介して第1の配管に至った後に残留切削液の排出口に至る残留切削液の排出経路が形成され、これにより、複数のノズル、第2の配管および第1の配管内に残留する残留切削液は、サイフォンの原理によって残留切削液の排出口から排出されることを特徴とするものである。
【0014】
この発明の工作機械の機内洗浄装置によると、残留切削液をサイフォンの原理によって残留切削液の排出口から排出することができるので、バルブを設けたドレン回路を追加することなく液垂れを防止することができる。
【0015】
残留切削液の排出口として、第1の配管のポンプ吸い込み口を利用することができ、また、第1の配管における各ノズルの開口位置よりも下方に位置する適宜な位置に新たに設けるようにしてもよい。
【0016】
好ましい形態としては、第1の配管に設けられた残留切削液の排出口に、残留切削液回収管の基端部が接続されており、残留切削液は、残留切削液回収管の先端部に設けられた吐出口から機内の適宜な箇所に吐出されるものとされる。この形態においては、残留切削液回収管の途中にバルブが設けられているようにしてもよい。
【0017】
このようにすると、停止直後においては、第1および第2配管内にポンプの残圧が残ることになるので、残留切削液が切れるのに少し時間がかかるのに対し、残留切削液回収管に吐出口が設けられていることによって、残圧はこの吐出口で解放され、残留切削液が切れる時間を早くすることができる。
【0018】
また、残留切削液回収管の途中にバルブが設けられているようにすると、ポンプ停止時にバルブを開とすることで、液垂れを防止することができ、ポンプ稼働時にバルブを閉とすることで、従来の機内洗浄装置と同様の使用の形態とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の工作機械の機内洗浄装置によれば、液垂れの現象が起こると、機内で作業する際に切削液がかかることがあるので、液垂れがなくなるまで機内での作業開始を待つことが必要であり、作業性の低下となるが、この液垂れをバルブを有するドレイン回路を設けることなく防止することができるので、コストをかけずに作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の工作機械の機内洗浄装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
図2】第1実施形態における機内洗浄時の切削液の状態を示す図である。
図3】第1実施形態における機内洗浄を停止した直後の切削液の状態を示す図である。
図4】この発明の工作機械の機内洗浄装置の第2実施形態を模式的に示す図である。
図5】第2実施形態における機内洗浄時の切削液の状態を示す図である。
図6】第2実施形態における機内洗浄を停止した直後の切削液の状態を示す図である。
図7】従来の工作機械の機内洗浄装置の1例を模式的に示す図である。
図8】従来の機内洗浄装置における機内洗浄時の切削液の状態を示す図である。
図9】従来の機内洗浄装置における機内洗浄を停止した直後の切削液の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1には、この発明による工作機械の機内洗浄装置の第1実施形態が示されており、工作機械(1)は、工具が取り付けられる主軸(2)、ワークを搬送するテーブル(3)などを備えており、機内洗浄装置(10)は、天井から下方に向けて切削液を噴射するもので、切削液を供給する大容量のポンプ(11)と、ポンプ(11)によって吐出された切削液を上方に導く第1の配管(12)と、第1の配管(12)の上端に連なって水平方向にのびる第2の配管(13)と、下端に切削液を吐出する開口(14a)を有し第2の配管(13)の先端部側に配された複数のノズル(14)と、第2の配管(13)の基端部側に設けられて複数のノズル(14)への切削液の供給を制御するバルブ(15)と、床に設けられた切削液回収タンク(16)と、第1の配管(12)途中に設けられて機内洗浄用途以外の切削液回路に連通している分岐管(17)と、第1の配管(12)途中に設けられた残留切削液回収管(21)と、バルブ(15)の開閉およびポンプ(11)の運転・停止を制御する制御装置(20)とを備えている。
【0023】
第1実施形態の機内洗浄装置(10)は、図7に示した従来の工作機械(1)の機内洗浄装置(4)に残留切削液回収管(21)が付加されるとともに、制御装置(20)による制御が従来とは異なるものとされている。
【0024】
残留切削液回収管(21)は、ポンプ(11)の吸込み口の少し上で、分岐管(17)よりも下に位置するように設けられており、残留切削液回収管(21)が設けられている第1の配管(12)途中部分は、残留切削液排出口(12a)になっている。残留切削液回収管(21)の先端部には、下方に開口する吐出部(21a)が設けられている。
【0025】
残留切削液回収管(21)は、後述するように、ポンプ(11)の停止時において残留切削液を回収するためのものであり、ポンプ(11)の稼働時においては、切削液を吐出部(21a)から床面に吐出する洗浄用切削液吐出管として機能する。
【0026】
図1には、ポンプ(11)が停止していて、バルブ(15)が閉じた状態が示されており、機内洗浄を実施する際には、制御装置(20)からの指令に基づいて、図2に示すように、ポンプ(11)を稼働させ、バルブ(15)が開とされる。これにより、ポンプ(11)によって供給された切削液は、太線の矢印で示されているように、第1の配管(12)および第2の配管(13)を介して各ノズル(14)に至り、各ノズル(14)の開口(14a)から切削液を噴射させることによって、テーブル(3)上にあるワークまたはワークを保持するワーク保持具などから切屑を取り除く洗浄作業を行なうことができる。また、ポンプ(11)の稼働に伴って残留切削液回収管(21)にも切削液が流入し、この切削液は吐出部(21a)から床面に吐出されて床面の洗浄用に使用される。洗浄に使用された切削液は、細線の矢印で示されているように、傾斜状とされた床面を下方に流れて切削液回収タンク(16)に回収される。
【0027】
第1実施形態の機内洗浄装置(10)において、洗浄作業を停止する際には、制御装置(20)からの指令に基づいて、ポンプ(11)を停止し、バルブ(15)については、開状態が維持される。ポンプ(11)の停止直後の状態では、図3に示すように、バルブ(15)が開とされていることで、ポンプ(11)から各ノズル(14)までの間の太線の矢印で示している部分に、残留切削液が存在することになる。
【0028】
図3に太線の矢印で示している部分によると、第2の配管(13)の先端部側に複数のノズル(14)が位置するとともに、第2の配管(13)の基端部側に第1の配管(12)が位置していて、ノズル(14)の部分(S1)、第2の配管(13)の部分(S2)および第1の配管(12)の上端部(S3)によって逆U字状の切削液残留部が形成されているとともに、第1の配管(12)の上端部(S3)よりも下側でかつ残留切削液回収管(21)よりも上側の部分(S4)は、切削液残留部の下端位置をノズル(14)の開口位置よりも下方に位置させる延長部分となっており、こうして、サイフォンの原理が成立する配管(S1)(S2)(S3)(S4)が形成されている。なお、第1の配管(12)の残留切削液回収管(21)よりも下側の部分(S5)は、ポンプ(11)の残圧により、残留切削液が流れ込みにくいようになっている。
【0029】
上記のサイフォンの原理が成立する配管(S1)(S2)(S3)(S4)は、ノズル(14)の開口(14a)に残留する切削液に対し、これを残留切削液回収管(21)の吐出部(21a)から排出させる残留切削液の排出経路を形成しており、これにより、ノズル(14)の開口(14a)からの液垂れが防止されて、ポンプ(11)停止後、短い時間で図1に示す状態に復帰する。
【0030】
図4には、この発明による工作機械の機内洗浄装置の第2実施形態が示されており、機内洗浄装置(10)は、図1に示した第1実施形態の機内洗浄装置(10)に残留切削液回収管(21)途中のバルブ(22)が付加されたものとなっている。
【0031】
ポンプ(11)の稼働時に残留切削液回収管(21)途中に付加されたバルブ(22)を閉とすることで、残留切削液回収管(21)には切削液が流入することなく、複数のノズル(14)を使用した機内洗浄や分岐管(17)を介して機内洗浄用途以外への切削液の供給を行うことができる。すなわち、図7に示した従来の機内洗浄装置(4)と全く同様の使用が可能となる。そして、残留切削液回収管(21)途中に付加されたバルブ(22)が開とされていれば、第2実施形態と全く同様の使用が可能となる。
【0032】
図4には、ポンプ(11)が停止していて、2つのバルブ(15)(22)が閉じた状態が示されており、機内洗浄を実施する際には、制御装置(20)からの指令に基づいて、図5に示すように、ポンプ(11)を稼働させ、2つのバルブ(15)(22)が開とされる。これにより、ポンプ(11)によって供給された切削液は、太線の矢印で示されているように、第1の配管(12)および第2の配管(13)を介して各ノズル(14)に至り、各ノズル(14)の開口(14a)から切削液を噴射させることによって、テーブル(3)上にあるワークまたはワークを保持するワーク保持具などから切屑を取り除く洗浄作業を行なうことができるとともに、残留切削液回収管(21)を介して床面に吐出されて床面の洗浄作業も行うことができる。洗浄に使用された切削液は、細線の矢印で示されているように、傾斜状とされた床面を下方に流れて切削液回収タンク(16)に回収される。
【0033】
なお、残留切削液回収管(21)途中に付加されたバルブ(22)が閉とされていても、複数のノズル(14)による洗浄作業は行うことができる。
【0034】
第2実施形態の機内洗浄装置(10)において、洗浄作業を停止する際には、制御装置(20)からの指令に基づいて、ポンプ(11)を停止し、2つのバルブ(15)(22)については、開状態が維持される。ポンプ(11)の停止直後の状態では、図6に示すように、2つのバルブ(15)(22)が開とされていることで、ポンプ(11)から各ノズル(14)までの間の太線の矢印で示している部分に、残留切削液が存在することになる。
【0035】
図6に太線の矢印で示している部分によると、第1実施形態のものと同じになっており、すなわち、第2の配管(13)の先端部側に複数のノズル(14)が位置するとともに、第2の配管(13)の基端部側に第1の配管(12)が位置していて、ノズル(14)の部分(S1)、第2の配管(13)の部分(S2)および第1の配管(12)の上端部(S3)によって逆U字状の切削液残留部が形成されているとともに、第1の配管(12)の上端部(S3)よりも下側でかつ残留切削液回収管(21)よりも上側の部分(S4)は、切削液残留部の下端位置をノズル(14)の開口位置よりも下方に位置させる延長部分となっており、こうして、サイフォンの原理が成立する配管(S1)(S2)(S3)(S4)が形成されている。そして、第1の配管(12)の残留切削液回収管(21)よりも下側の部分(S5)は、ポンプ(11)の残圧により、残留切削液が流れ込みにくいようになっている。
【0036】
上記のサイフォンの原理が成立する配管(S1)(S2)(S3)(S4)は、ノズル(14)の開口(14a)に残留する切削液に対し、これを残留切削液回収管(21)の吐出部(21a)から排出させる残留切削液の排出経路を形成しており、これにより、ノズル(14)の開口(14a)からの液垂れが防止されて、ポンプ(11)停止後、短い時間で図4に示す状態に復帰する。
【0037】
上記の第1および第2実施形態の機内洗浄装置(10)によると、大容量のポンプ(11)から複数に分岐する切削液回路において、従来から使用されているバルブ(15)を使用して、サイフォンの原理とバルブ(15)の制御方法により天井シャワーとして使用された際の機内洗浄装置(10)の停止時の応答性を向上することができ、液垂れ防止のためのバルブを追加することなく液垂れを防止することができる。そして、天井シャワーからの切削液の垂れが短時間で収まることにより、作業者はすぐに機内の作業に取り掛かることができ、コストを増加せずに、液垂れを防止することができて作業性に優れたものとできる。
【0038】
なお、上記の各実施形態において、制御装置(20)は、機内洗浄装置(10)専用の形で設けられたものであってもよく、工作機械(1)の数値制御装置に内蔵される形で設けられたものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
(1):工作機械
(10):機内洗浄装置
(11):ポンプ
(12):第1の配管
(12a):残留切削液排出口
(13):第2の配管
(14):ノズル
(14a):ノズル開口
(15):バルブ
(20):制御装置
(21):残留切削液回収管
(21a):吐出部
(22):バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9