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  • 特開-C形鋼用ストッパ金具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021587
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】C形鋼用ストッパ金具
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
E04B9/18 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124514
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】510153618
【氏名又は名称】株式会社サワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】澤田 稔裕
(57)【要約】
【課題】様々なC形鋼に対応することができるC形鋼用ストッパ金具を提供する。
【解決手段】垂直部20と水平部21とで構成されるL字形の本体部2と、垂直部20の両側部から内向き方向に向かって突出して設けられているストッパ片3と、水平部21に上下方向に貫通して設けられている挿通孔と、を有している。そして、ストッパ片3には、C形鋼Kのリップ部(Ka,Kb)に係止可能な係止溝(31b1、31c1)が設けられ、挿通孔には、C形鋼Kの上部外周面Kcを押圧する押圧ボルトBが挿通可能となっている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直部と水平部とで構成されるL字形の本体部と、
前記垂直部の両側部から内向き方向に向かって突出して設けられているストッパ片と、
前記水平部に上下方向に貫通して設けられている挿通孔と、を有し、
前記ストッパ片には、C形鋼のリップ部に係止可能な係止溝が設けられ、
前記挿通孔には、前記C形鋼の上部外周面又は下部外周面を押圧するボルトが挿通可能であるC形鋼用ストッパ金具。
【請求項2】
前記ストッパ片には、上下何れにも、前記係止溝が設けられてなる請求項1に記載のC形鋼用ストッパ金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C形鋼用ストッパ金具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、天井を構成する部材として、C形鋼が利用されている。このようなC形鋼に、圧縮強度を超えるような強大な地震等の外部振動や衝撃が加わった場合、C形鋼が破断し、これによって、天井を構成することができなくなる恐れがあるという問題があった。
【0003】
そこで、このような問題を解決すべく、特許文献1に示すような、C形鋼の両リップ部を跨ぐように横架固定される固定基板(C形鋼用ストッパ金具)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-23855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなC形鋼用ストッパ金具は、C形鋼に固定するにあたって、ビス止めしなければならないことから、ビス止めできないC形鋼の場合には使用することができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、様々なC形鋼に対応することができるC形鋼用ストッパ金具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明によれば、垂直部(20)と水平部(21)とで構成されるL字形の本体部(2)と、
前記垂直部(20)の両側部(右側面20c,左側面20d)から内向き方向に向かって突出して設けられているストッパ片(3)と、
前記水平部(21)に上下方向に貫通して設けられている挿通孔(21a)と、を有し、
前記ストッパ片(3)には、C形鋼(K)のリップ部(下リップ部Ka,上リップ部Kb)に係止可能な係止溝(上部係止溝30b1,31b1、下部係止溝30c1,31c1)が設けられ、
前記挿通孔(21a)には、前記C形鋼(K)の上部外周面(Kc)又は下部外周面(Kd)を押圧するボルト(押圧ボルトB,天井吊りボルトB1)が挿通可能であることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載のC形鋼用ストッパ金具において、前記ストッパ片(3)には、上下何れにも、前記係止溝(上部係止溝30b1,31b1、下部係止溝30c1,31c1)が設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、C形鋼(K)のリップ部(下リップ部Ka,上リップ部Kb)に係止溝(上部係止溝30b1,31b1、下部係止溝30c1,31c1)を係止させることにより、ストッパ片(3)がC形鋼(K)の内部空間(S)内に位置することとなる。これにより、C形鋼(K)に圧縮強度を超えるような強大な地震等の外部振動や衝撃が加わったとしても、ストッパ片(3)がC形鋼(K)の圧縮を阻害することとなるから、C形鋼(K)が破断してしまう事態を低減させることができる。さらに、挿通孔(21a)内にボルト(押圧ボルトB,天井吊りボルトB1)を挿通させることにより、C形鋼(K)の上部外周面(Kc)又は下部外周面(Kd)を押圧するこができ、これによって、C形鋼用ストッパ金具(1)をC形鋼(K)に取り付け固定することができる。そのため、従来のように、ビス止めしなくとも良いため、ビス止めできないC形鋼に対応することが可能となる。
【0012】
したがって、本発明によれば、様々なC形鋼に対応することができる。
【0013】
さらに、請求項1の発明によれば、本体部(2)がL字状に形成され、さらに、水平部(21)に挿通孔(21a)が設けられているから、天井下地材を吊るす用途がなければ、図4に示すように、水平部(21)をC形鋼(K)の上部外周面(Kc)側に位置させ、押圧ボルト(B)にて、C形鋼(K)の上部外周面(Kc)を押圧するようにすれば良く、天井下地材を吊るす用途があれば、図5に示すように、水平部(21)をC形鋼(K)の下部外周面(Kd)側に位置させ、天井吊りボルト(B1)にて、C形鋼(K)の下部外周面(Kd)を押圧するようにすれば良い。
【0014】
したがって、本発明によれば、天井下地材を吊るす用途にも利用することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、ストッパ片(3)には、上下何れにも、係止溝(上部係止溝30b1,31b1、下部係止溝30c1,31c1)が設けられているから、C形鋼(K)の内部空間(S)内にストッパ片(3)を簡単容易に位置させることができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るC形鋼用ストッパ金具の斜視図である。
図2】(a)は同実施形態に係るC形鋼用ストッパ金具の側面図、(b)は同実施形態に係るC形鋼用ストッパ金具の正面図である。
図3】(a)~(b)は、C形鋼用ストッパ金具をC形鋼に取り付ける手順を説明する側面図である。
図4】C形鋼の上部外周面を押圧ボルトで押圧することによって、C形鋼用ストッパ金具をC形鋼に取り付け固定させた状態を示す斜視図である。
図5】C形鋼の下部外周面を天井吊りボルトで押圧することによって、C形鋼用ストッパ金具をC形鋼に取り付け固定させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るC形鋼用ストッパ金具の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
<C形鋼用ストッパ金具の説明>
図1に示すように、本実施形態に係るC形鋼用ストッパ金具1は、略L字状に形成され、本体部2と、ストッパ片3と、で主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0019】
<本体部の説明>
本体部2は、図1及び図2(a)に示すように、L字状に形成されており、鉛直上下方向に延びて設けられている縦長矩形状の垂直部20と、垂直部20の上部20aより、垂直部20と直角となる方向(図示右方向)に折れ曲がって一体的に形成されている矩形状の水平部21と、で構成されている。図1に示すように、この垂直部20の外周面20bには、垂直部20の面剛性を向上させるため、一対のビード20b1が形成されている。そして、図1及び図2に示すように、垂直部20と水平部21との連結部分である曲げ部分には、補強のために、三角形状の一対のリブ22が設けられている。
【0020】
一方、水平部21には、図1及び図2(a)に示すように、中央部分に、円形状の挿通孔21aが上下方向に貫通して設けられている。なお、この挿通孔21aは、後述する押圧ボルトB(図4参照)、天井吊りボルトB1(図5参照)が挿通されるようになっている。
【0021】
<ストッパ片の説明>
ストッパ片3は、図2(a)に示すように、側面視、略縦長矩形状に形成されており、図1及び図2に示すように、垂直部20の両側面から内向き方向(図1及び図2(a)に示す右方向)に向かって一体的に突出して設けられている。具体的には、図1及び図2(a)に示すように、垂直部20の下部20eから中央やや上部20a寄りの垂直部20の右側面20cから、垂直部20と直角となる方向(図示右方向)に折れ曲がって、右ストッパ片30が一体的に突出して設けられている。さらに、図2(b)に示すように、垂直部20の下部20eから中央やや上部20a寄りの垂直部20の左側面20dから、垂直部20と直角となる方向(図示右方向)に折れ曲がって、左ストッパ片31が一体的に突出して設けられている。かくして、このようにして、垂直部20の両側面からストッパ片3が、内向き方向(図1及び図2(a)に示す右方向)に向かって一体的に突出して設けられることとなる。
【0022】
一方、右ストッパ片30は、図1及び図2(a)に示すように、左側面30a側の上部に、右ストッパ片30の頂点30bと段差が生じるように上部係止溝30b1が形成されている。そして、左側面30a側の下部に、右ストッパ片30の底面30cと段差が生じるように下部係止溝30c1が形成されている。
【0023】
また、左ストッパ片31も、右ストッパ片30と同様であるが、図3(a)に示すように、左側面31a側の上部に、左ストッパ片31の頂点31bと段差が生じるように上部係止溝31b1が形成されている。そして、左側面31a側の下部に、左ストッパ片31の底面31cと段差が生じるように下部係止溝31c1が形成されている。
【0024】
<C形鋼用ストッパ金具の使用例の説明>
かくして、上記のように構成されるC形鋼用ストッパ金具1は、次のように使用される。まず、図3(a)に示すように、C形鋼Kの下リップ部Kaに、左ストッパ片31の下部係止溝31c1を挿入させる。そして、この際、図示はしていないが、同時に、右ストッパ片30の下部係止溝30c1も、C形鋼Kの下リップ部Kaに挿入させる。
【0025】
次いで、図3(b)に示すように、C形鋼Kの上リップ部Kbに、左ストッパ片31の上部係止溝31b1を挿入させる。そして、この際、図示はしていないが、同時に、右ストッパ片30の上部係止溝30b1も、C形鋼Kの上リップ部Kbに挿入させる。これにより、図3(b)に示すように、C形鋼Kの内部空間S内に、左ストッパ片31が位置し、さらに、図3(b)には図示はしていないが、右ストッパ片30も、C形鋼Kの内部空間S内に位置することとなる。したがって、このように、C形鋼Kの内部空間S内に右ストッパ片30及び左ストッパ片31が位置することにより、右ストッパ片30の下部係止溝30c1及び左ストッパ片31の下部係止溝31c1にC形鋼Kの下リップ部Kaが係止され、右ストッパ片30の下部係止溝30c1及び左ストッパ片31の下部係止溝31c1にC形鋼Kの下リップ部Kaが係止されることとなる。これにより、C形鋼Kに圧縮強度を超えるような強大な地震等の外部振動や衝撃が加わったとしても、右ストッパ片30及び左ストッパ片31がC形鋼Kの圧縮を阻害することとなるから、C形鋼が破断してしまう事態を低減させることができる。さらには、図3(b)に示すように、C形鋼Kの下リップ部Kaと上リップ部Kbとの間(隙間)を、右ストッパ片30(図3(b)では図示していない)及び左ストッパ片31にて埋めることとなるから、C形鋼Kは、側面視角管のようになり、これによって、C形鋼Kの強度を向上させることができる。
【0026】
次いで、図1及び図2(a)に示す水平部21の挿通孔21aに、図4に示すように、押圧ボルトBをねじ込み、その押圧ボルトBの先端部にて、C形鋼Kの上部外周面Kcを押圧する。これにより、従来のように、ビス止めしなくとも、C形鋼Kの内部空間S内に右ストッパ片30及び左ストッパ片31が位置した状態で、C形鋼用ストッパ金具1をC形鋼Kに取り付け固定することができる。なお、押圧ボルトBには、図4に示すように、押圧ボルトBの位置を固定するため、ナットNが螺合されている。
【0027】
したがって、以上説明したC形鋼用ストッパ金具1によれば、C形鋼Kに、圧縮強度を超えるような強大な地震等の外部振動や衝撃が加わったとしても、C形鋼Kが破断してしまう事態を低減させることができる。さらには、従来のように、ビス止めしなくとも良いため、ビス止めできないC形鋼に対応することが可能となる。
【0028】
したがって、本実施形態に係るC形鋼用ストッパ金具1によれば、様々なC形鋼に対応することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、本体部2がL字状に形成され、さらに、水平部21に挿通孔21aが設けられているから、図5に示すように、水平部21をC形鋼Kの下部外周面Kd側に位置させるようにすることもできる。この際、図5に示すように、C形鋼用ストッパ金具1は、図4の位置から180°回転させた位置となることから、右ストッパ片30の下部係止溝30c1及び左ストッパ片31の下部係止溝31c1にC形鋼Kの上リップ部Kbが係止され、右ストッパ片30の上部係止溝30b1及び左ストッパ片31の上部係止溝31b1にC形鋼Kの上リップ部Kbが係止されることとなる。したがって、このようにしても、C形鋼Kの内部空間S内に右ストッパ片30及び左ストッパ片31を位置させることができるから、図4と同様の効果を奏することができる。ただ、この場合、図1及び図2(a)に示す水平部21の挿通孔21aに、図5に示すように、天井下地材を吊るす天井吊りボルトB1をねじ込み、その天井吊りボルトB1の先端部にて、C形鋼Kの下部外周面Kdを押圧することができる。かくして、このように、水平部21をC形鋼Kの下部外周面Kd側に位置させ、天井吊りボルトB1にて、C形鋼Kの下部外周面Kdを押圧するようにすれば、様々なC形鋼に対応することができるし、さらには、天井下地材を吊るすことも可能となる。
【0030】
したがって、天井下地材を吊るす用途がなければ、図4に示すように、水平部21をC形鋼Kの上部外周面Kc側に位置させ、押圧ボルトBにて、C形鋼Kの上部外周面Kcを押圧するようにすれば良く、天井下地材を吊るす用途があれば、図5に示すように、水平部21をC形鋼Kの下部外周面Kd側に位置させ、天井吊りボルトB1にて、C形鋼Kの下部外周面Kdを押圧するようにすれば良い。
【0031】
かくして、本実施形態に係るC形鋼用ストッパ金具1は、天井下地材を吊るす用途にも利用することができる。
【0032】
なお、本実施形態において示したC形鋼用ストッパ金具1は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、右ストッパ片30に、下部係止溝30c1及び上部係止溝30b1を設け、左ストッパ片31に、下部係止溝31c1及び上部係止溝31b1を設けるようにしている例を示したが、何れか一方でも良い。すなわち、右ストッパ片30に、下部係止溝30c1又は上部係止溝30b1を設け、左ストッパ片31に、下部係止溝31c1又は上部係止溝31b1を設けるようにしても良い。しかしながら、右ストッパ片30に、下部係止溝30c1及び上部係止溝30b1を設け、左ストッパ片31に、下部係止溝31c1及び上部係止溝31b1を設けた方が好ましい。C形鋼Kの内部空間S内に右ストッパ片30及び左ストッパ片31を簡単容易に位置させることができるためである。
【符号の説明】
【0033】
1 C形鋼用ストッパ金具
2 本体部
20 垂直部
20c 右側面
20d 左側面
21 水平部
21a 挿通孔
3 ストッパ片
30 左ストッパ片
30b1 上部係止溝(係止溝)
30c1 下部係止溝(係止溝)
31 右ストッパ片
31b1 上部係止溝(係止溝)
31c1 下部係止溝(係止溝)
K C形鋼
Kc 上部外周面
Kd 下部外周面
B 押圧ボルト(ボルト)
B1 天井吊りボルト(ボルト)
S 内部空間

図1
図2
図3
図4
図5