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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021594
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】操舵操作入力装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124536
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】河野 陽二
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB29
3D333CB46
3D333CC18
3D333CD04
3D333CD08
3D333CE08
3D333CE47
3D333CE53
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステアリングホイールセンターを容易に操舵角範囲の中央に設定する。
【解決手段】舵操作入力部材の操作回転量を規制するメカストッパ機構は、操舵操作入力部材から回転力が伝達されて回転し、外周面に螺旋状の凹凸部が形成される回転軸部材と、凹凸部よりも一端側を回転可能に支持するハウジングと、凹凸部よりも他端側を回転可能に支持する支持部材と、凹凸部と係合し、回転軸部材の回転力が伝達される可動部材と、ハウジングと支持部材とに設けられ、可動部材の回転を規制して回転軸部材から伝達される回転力によって回転軸部材の軸方向に可動部材を移動させる回転規制部材と、可動部材が軸方向に移動した際に、ハウジング側への移動を規制する第1ストッパ部と、支持部材側への移動を規制する第2ストッパ部からなるストッパ部と、ハウジングと支持部材との間に設けられ、ハウジングに対する支持部材の軸方向位置を調整する調整部材と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる操舵操作入力部材に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、前記操舵操作入力部材の操作回転量を規制するメカストッパ機構と、を備える操舵操作入力装置であって、
前記メカストッパ機構は、
前記操舵操作入力部材から回転力が伝達されて回転し、外周面に螺旋状の凹凸部が形成される回転軸部材と、
前記回転軸部材の前記凹凸部よりも一端部側を回転可能に支持するハウジングと、
前記回転軸部材の前記凹凸部よりも他端部側を回転可能に支持する支持部材と、
前記回転軸部材の凹凸部と係合し、前記回転軸部材の回転力が伝達される可動部材と、
前記ハウジングと前記支持部材とに設けられ、前記可動部材の回転を規制して前記回転軸部材から伝達される回転力によって前記回転軸部材の軸方向に前記可動部材を移動させる回転規制部材と、
前記可動部材が軸方向に移動した際に、前記ハウジング側への移動を規制する第1ストッパ部と、前記支持部材側への移動を規制する第2ストッパ部からなるストッパ部と、
前記ハウジングと前記支持部材との間に設けられ、前記ハウジングに対する前記支持部材の軸方向位置を調整する調整部材と、
を備える操舵操作入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操舵操作入力装であって、
前記調整部材は、筒状をなし、
前記ハウジングと螺合される第1ねじ部と、
前記支持部材と螺合される第2ねじ部と、を有し、
前記第1ねじ部と第2ねじ部とは螺合方向が異なっている、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操舵操作入力装置であって、
前記第1ねじ部と第2ねじ部とには、
前記ハウジングに対する前記調整部材の位置を固定するロックナットがそれぞれ設けられる、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項4】
請求項2に記載の操舵操作入力装置であって、
前記回転規制部材は、前記可動部材に形成された貫通孔に挿通される軸部本体と、前記ハウジングの嵌合穴と支持部材の嵌合穴に嵌合固定される両端部を有する、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項5】
請求項2に記載の操舵操作入力装置であって、
前記回転軸部材は、その第1端部側に減速機構が設けられ、前記減速機構を介して前記反力アクチュエータに接続される、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項6】
請求項5に記載の操舵操作入力装置であって、
前記減速機構は、ベルトと一対のプーリとを有する、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項7】
請求項5に記載の操舵操作入力装置であって、
前記ハウジングには、前記回転軸部材から離間した位置に前記反力アクチュエータハウジングが支持される支持部が設けられる、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項8】
請求項2に記載の操舵操作入力装置であって、
前記調整部材の第1ねじ部の端部に前記ハウジングに設けられる取付穴との中心を合わせるためのパイロット部が設けられる、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【請求項9】
請求項8に記載の操舵操作入力装置であって、
前記支持部材は、前記パイロット部を前記取付穴に配置して、前記支持部材の開口部と前記調整部材の位置を合わせたときに、前記回転軸部材の第2端部側がその内部に配置される支持穴部を有する、
ことを特徴とする操舵操作入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、左右の車輪を連結し、軸線方向の移動によってそれら左右の車輪を転舵する転舵ロッドと、運転者によって回転操作されるステアリングホイールと、一端部にステアリングホイールが取り付けられるとともに他端部において転舵ロッドと係合し、ステアリングホイールの回転によって回転するステアリングシャフトと、ステアリングシャフトと転舵ロッドとが係合する箇所に設けられ、ステアリングシャフトの回転を転舵ロッドの軸線方向の移動に変換する動作変換機構と、ステアリングシャフトの回転を抑止するシャフト回転抑止機構と、を備えた車両用ステアリング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4876739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のステアリングシャフト回転抑止機構にあっては、製造誤差の積み上げにより、ステアリングホイールセンターを容易に操舵角範囲の中央に設定できないという課題があった。
本発明の目的の一つは、ステアリングホイールセンターを容易に操舵角範囲の中央に設定することができる操舵操作入力装置を備える操舵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態における操舵操作入力装置は、車両に取り付けられる操舵操作入力部材に操舵反力を付与する反力アクチュエータと、操舵操作入力部材の操作回転量を規制するメカストッパ機構とを備え、メカストッパ機構は、操舵操作入力部材から回転力が伝達されて回転し、外周面に螺旋状の凹凸部が形成される回転軸部材と、回転軸部材の凹凸部よりも一端部側を回転可能に支持するハウジングと、回転軸部材の凹凸部よりも他端部側を回転可能に支持する支持部材と、回転軸部材の凹凸部と係合し、回転軸部材の回転力が伝達される可動部材と、ハウジングと支持部材とに設けられ、可動部材の回転を規制して回転軸部材から伝達される回転力によって回転軸部材の軸方向に可動部材を移動させる回転規制部材と、可動部材が軸方向に移動した際に、ハウジング側への移動を規制する第1ストッパ部と、支持部材側への移動を規制する第2ストッパ部からなるストッパ部と、ハウジングと支持部材との間に設けられ、ハウジングに対する支持部材の軸方向位置を調整する調整部材と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明の好ましい態様によれば、ステアリングホイールセンターを容易に操舵角範囲の中央に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1の操舵操作入力装置を備える操舵装置のシステム構成図である。
図2】実施形態1の操舵操作入力装置の斜視図である。
図3】実施形態1の操舵操作入力装置の断面図である。
図4図3のA部拡大図である。
図5】(a)は、実施形態1のアジャスタの斜視図であり、(b)は、実施形態1のアジャスタの断面図である。
図6】実施形態1のメカストッパ機構のシャフト、ハウジングのサブアッシイ組立て手順を示すタイムチャートである。
図7】実施形態1のメカストッパ機構のアジャスタのサブアッシイ組立て手順を示すタイムチャートである。
図8】実施形態1のメカストッパ機構のリアカバーのサブアッシイ組立て手順を示すタイムチャートである。
図9】実施形態1のメカストッパ機構のメインアッシイ組立て手順を示す第1タイムチャートである。
図10】実施形態1のメカストッパ機構のメインアッシイ組立て手順を示す第2タイムチャートである。
図11】実施形態1のメカストッパ機構の調整手順を示す第1タイムチャートである。
図12】実施形態1のメカストッパ機構の調整手順を示す第2タイムチャートである。
図13】実施形態1のメカストッパ機構の調整手順を示す第3タイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[実施形態1]
(操舵装置の全体構成)
図1は、実施形態1の操舵操作入力装置を備える操舵装置のシステム構成図である。
【0009】
操舵装置1は、ステアリングホイール(操舵操作入力部材)Sと操舵輪16を操舵する操舵機構3とが機械的に切り離された、いわゆるステア・バイ・ワイヤ方式の操舵装置である。
操舵装置1は、操舵操作入力装置2、操舵機構3、制御装置10を有する。
操舵操作入力装置2は、コラムシャフト4に接続するステアリングホイールSと、コラムシャフト4の中央部に設けられた操舵角センサ5、操舵トルクセンサ6と、コラムシャフト4の先端部に設けられたメカストッパ機構7およびメカストッパ機構7に減速機構9を介して接続する第1電動モータ(反力アクチュエータ)8と、第1電動モータ回転センサ8aを有する。
ステアリングホイールSは、運転者の操舵操作に応じて回転する。操舵角センサ5は、ステアリングホイールSに接続するコラムシャフト4の回転量を検出し、検出した回転量に応じた操舵操作量信号を、制御装置10へ出力する。
操舵トルクセンサ6は、ステアリングホイールSに接続するコラムシャフト4の操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに応じた操舵トルク信号を、制御装置10へ出力する。
第1電動モータ8は、運転者のステアリングホイールSの操舵操作に対し操舵負荷を増大させる力(操舵反力)を発生させる反力アクチュエータである。
第1電動モータ回転角センサ8aは、第1電動モータ8の回転位置を検出し、検出した回転位置に応じた第1電動モータ回転角信号を制御装置10へ出力する。
なお、制御装置10には、これ以外に外部センサ11から種々の検出信号が入力されている。
【0010】
操舵機構3は、ラックバーハウジング13に収容されたラックバー12、タイロッド14、ナックルアーム15、ラックバー位置センサ12a、および第2電動モータ170、第2電動モータ回転センサ170aを有する。
ラックバー12は、車幅方向に移動可能であり、移動量に応じてタイロッド14、ナックルアーム15を介して操舵輪16を操舵する。
ラックバー位置センサ12aは、ラックバー12の位置を検出し、検出した位置に応じた操舵量信号を、制御装置10へ出力する。
第2電動モータ回転センサ170aは、第2電動モータ170の回転位置を検出し、検出した回転位置に応じた第2モータ回転角信号を制御装置10へ出力する。
操舵輪16の操舵角は、ラックバー12の位置に応じて一意に決まるため、操舵量信号は、操舵輪16の操舵角に関する信号である。
第2電動モータ170は、制御装置10からの操舵アクチュエータ駆動信号に基づき、ラックバー12を介して操舵輪16を操舵させる力を発生させる操舵アクチュエータである。
【0011】
制御装置10は、操舵操作量信号、操舵トルク信号に基づいて第1電動モータ8を駆動制御する。
また、制御装置10は、操舵量信号、第2モータ回転角信号に基づいて第2電動モータ170を駆動制御する。
なお、制御装置10は、操舵装置1に対して一つの例を示したが、操舵操作入力装置2と操舵機構3のそれぞれに設けられてもよい。この場合、それぞれの制御装置は、操舵操作量信号、操舵トルク信号と、操舵量信号、第2モータ回転角信号とを双方に共有し、第1電動モータ8と第2電動モータ170を制御する。
【0012】
(操舵操作入力装置の全体構成)
図2は、実施形態1の操舵操作入力装置の斜視図であり、図3は、実施形態1の操舵操作入力装置の断面図であり、図4は、図3のA部拡大図である。
【0013】
ステアリングホイールSに一端部41が接続するコラムシャフト4は、車体に支持されるコラムシャフトハウジング40に一対の軸受4a、4bを介して、回転軸線Pに対して回転可能に支持されている。
また、コラムシャフト4の他端部42は、シャフト(回転軸部材)20の第1端部(一端部)20bに接続し、コラムシャフト4とシャフト20は、回転軸線Pに対して一体的に回転する。
コラムシャフトハウジング40の図示左方向の端部は、複数のボルトB1を介して、フロントカバー19の図示右方向の端部に固定されている。
フロントカバー19は、小プーリ91、大プーリ92、両プーリ91、92間に掛け渡されたベルト93から構成される減速機構9を覆うように配置されている。
これにより、操舵操作入力装置2および減速機構9の回転軸線P方向の小型化を図ることができる。
フロントカバー19の図示左方向の端部は、不図示のボルトを介して、ハウジング17の図示右方向の端部に固定されている。
なお、シャフト20は、コラムシャフト4に接続する第1端部20bと第2端部(他端部)20cを有し、第1端部20bと第2端部20cの間の第2端部20c側には、雄ねじ部(凹凸部)20aが形成されている。
また、ハウジング17は、図示右側でシャフト20の雄ねじ部20aよりも第1端部20b側を回転可能に支持する第1軸受22の外輪22aをロックナット21で固定保持し、さらに、第1電動モータハウジング81を複数のボルトB2にて固定するための延設する支持部17aを備えている。
この支持部17aにより、第1電動モータ8の振動による片振れを抑制することができる。
【0014】
(メカストッパ機構の構成)
ハウジング17の図示左側端部の径方向内側には、ガイドピン(回転規制部材)28の一端部28bが挿入嵌合され固定する嵌合穴17cが形成され、ハウジング17の図示左側端部の径方向外側には、筒状のアジャスタ(調整部材)26が取り付けられる取付穴17bが形成されている。
なお、ガイドピン28は、中央部の軸部本体28aと両端の一端部28b、他端部28cにて構成されている。
これにより、部品点数を削減でき、また、ガイドピン28のハウジング17への固定について、例えば、一端部28bをハウジング17に螺合して固定させる固定方法に比べ、一端部28bを嵌合穴17cに嵌合させる方が組立て工数を削減できる。
また、取付穴17bの内周面には、アジャスタ(調整部材)26の第1雄ねじ部26bが螺合する雌ねじ部17dが形成されている。
ハウジング17の対向側には、リアカバー(支持部材)18が配置されている。
リアカバー18の図示右側端部の径方向外側には、アジャスタ26が取り付けられる開口部18aが形成され、開口部18aの内周面には、アジャスタ26の第2雄ねじ部26cが螺合する雌ねじ部18dが形成され、リアカバー18の図示右側端部の径方向内側には、ガイドピン28の他端部28cが挿入嵌合され固定する嵌合穴18cが形成されている。
また、リアカバー18の図示左側には、シャフト20の雄ねじ部20aよりも第2端部20c側を回転可能に支持する第2軸受23を保持固定する支持穴部18bが形成されている。
この支持穴部18bは、アジャスタ26のパイロット部26dを取付穴17bに配置して、リアカバー18の開口部18aとアジャスタ26の位置を合わせたときに、シャフト20の第2端部20c側がその内部に配置されるためのものである。
これにより、メカストッパ機構7の組立てを容易にすることができる。
ハウジング17とリアカバー18の間には、アジャスタ26が配置されている。
アジャスタ26は中央部の外周に工具が噛合う多角形状の六角部26aと、六角部26aの両側の外周面には、ハウジング17の雌ねじ部17dと螺合する第1雄ねじ部26bとリアカバー18の雌ねじ部18dと螺合する第2雄ねじ部26cが形成されている。
なお、雌ねじ部17d、第1雄ねじ部26bと、雌ねじ部18d、第2雄ねじ部26cとは、ねじ方向を異ならせている。
すなわち、本実施形態では、雌ねじ部17d、第1雄ねじ部26bが右ねじで、雌ねじ部17d、第1雄ねじ部26bは左ねじで形成している。もちろん、逆の関係でも良い。
これにより、詳細は後述するが、アジャスタ26を回転させるだけでステアリングホイールSの回転量の調整を可能とすることができる。
また、アジャスタ26の六角部26aの両側の外周面には、第1雄ねじ部26bと螺合する多角形状の第1ロックナット(ロックナット)24と第2雄ねじ部26cと螺合する多角形状の第2ロックナット(ロックナット)25が配置されている。
この第1ロックナット24と第2ロックナット25により、アジャスタ26のハウジング17およびリアカバー18に対する位置を固定することができ、アジャスタ26の位置を確実に保持することができる。
アジャスタ26の内周側には、シャフト20の雄ねじ部20aと螺合する雌ねじ部27bを備え、ガイドピン28の軸部本体28aが貫通孔27aに挿入されるナット(可動部材)27が配置されている。
すなわち、シャフト20の回転により、シャフト20の雄ねじ部20aと螺合する雌ねじ部27bによりナット27は回転しようとするが、ガイドピン28にてナット27の回転は阻止され、ナット27は回転軸線P方向に移動することになる。
【0015】
(第1電動モータの構成)
第1電動モータ8は、ハウジング17の支持部17aに複数のボルトB2にて固定される第1電動モータハウジング81と、第1電動モータハウジング81に固定され、制御装置10に接続する端子8eを備えるカバー82とを有し、その内部に一対の軸受8c、8dにて回転可能に支持される第1電動モータ回転軸8aと、第1電動モータ回転センサ8b等を有している。
第1電動モータ回転軸8aの図示右側端部には、小プーリ91が固定されている。
なお、大プーリ92は、シャフト20に固定されており、小プーリ91と大プーリ92間に掛け渡されたベルト93により、第1電動モータ回転軸8aの回転を減速してシャフト20に伝達するようにしている。
【0016】
図5の(a)は、実施形態1のアジャスタの斜視図であり、(b)は、実施形態1のアジャスタの断面図である。
【0017】
アジャスタ26の右ねじの第1雄ねじ部26bの長さAは、左ねじの第2雄ねじ部26cの長さBは、A>Bの関係に形成している。
これは、アジャスタ26の初期位置を、第1雄ねじ部26b側を締め付け当接位置とするためである。
また、第1雄ねじ部26bの図示右側の端部には、ねじが形成されていないパイロット部26dを形成している。
このパイロット部26dは、アジャスタ26の第1雄ねじ部26bの端部にハウジング17に設けられる取付穴17bとの中心を合わせるためのものであり、これにより、メカストッパ機構7の組立てを容易にすることができる。
【0018】
図6は、実施形態1のメカストッパ機構のシャフト、ハウジングのサブアッシイ組立て手順を示すタイムチャートである。
【0019】
第1軸受圧入工程(時刻T1)では、第1軸受22の内輪22bを、シャフト20の雄ねじ部20aよりも第1端部20b側に圧入固定する。
ハウジング圧入工程(時刻T2)では、第1軸受22の外輪22aにハウジング17の内周面を圧入する。
次に、ロックナット21により、第1軸受22の外輪22aをハウジング17に固定する。
ガイドピン圧入工程(時刻T3)では、ハウジング17の嵌合穴17cに、ガイドピン28の一端部28bを圧入し、固定する。
【0020】
図7は、実施形態1のメカストッパ機構のアジャスタのサブアッシイ組立て手順を示すタイムチャートである。
【0021】
ロックナット螺合工程(時刻T4)では、アジャスタ26の右ねじの第1雄ねじ部26bに第1ロックナット24の雌ねじ部24aを螺合させ、第1ロックナット24を時計回り(CW)方向に回し、アジャスタ26の六角部26aの図示右側面に当接させ、アジャスタ26の左ねじの第2雄ねじ部26cに第2ロックナット25の雌ねじ部25aを螺合させ、第2ロックナット25を反時計回り(CCW)方向に回し、アジャスタ26の六角部26aの図示左側面に当接させる。
【0022】
図8は、実施形態1のメカストッパ機構のリアカバーのサブアッシイ組立て手順を示すタイムチャートである。
【0023】
第2軸受圧入工程(時刻T5)では、リアカバー18の支持穴部18bに第2軸受23を圧入する。
【0024】
図9は、実施形態1のメカストッパ機構のメインアッシイ組立て手順を示す第1タイムチャートである。
【0025】
ナット組付工程(時刻T6)では、ナット27の雌ねじ部27bをシャフト20の雄ねじ部20aに螺合させ、ナット27の貫通孔27aをガイドピン28に挿入する。
次に、ナット初期位置設定工程(時刻T7)では、例えば、シャフト20を時計回り(CW)方向に回し切り、ナット27をハウジング17の第1ストッパ部29に当接させる。
なお、目印Xは、作動を説明するためのものである。
【0026】
図10は、実施形態1のメカストッパ機構のメインアッシイ組立て手順を示す第2タイムチャートである。
【0027】
アジャスタ組付工程(時刻T8)では、サブアッシイしたアジャスタ26のパイロット部26dをハウジング17の取付穴17bに形成された雌ねじ部17dの内周に挿入する。
次に、リアカバー取付工程(時刻T9)では、サブアッシイしたリアカバー18の第2軸受23にシャフト20の第2端部20c側を、リアカバー18の雌ねじ部18dとアジャスタ26の第2雄ねじ部26cが当接するまで挿入する(当接部a)。
なお、シャフト20の第2端部20c側は、第2軸受23に距離α分挿入されている状態となる。
【0028】
図11は、実施形態1のメカストッパ機構の調整手順を示す第1タイムチャートである。
【0029】
調整手順第1工程(時刻T10)では、シャフト20を回転できない状態に拘束し、アジャスタ26の六角部26aを反時計回り(CCW)方向に回し、アジャスタ26を第1ストッパ部29に当接させる(当接部b)。
このとき、リアカバー18は、左ねじのため、アジャスタ26と同方向に移動し、シャフト20の第2端部20cが第2軸受23全体に挿入される。
なお、リアカバー18の第2ストッパ部30とアジャスタ26の間には、隙間λが設定されている。
調整手順第2工程(時刻T11)では、アジャスタ26の六角部26aを回転できない状態に拘束し、シャフト20を反時計回り(CCW)方向に回し、ナット27を第2ストッパ部30に当接させる(当接部c)。
例えば、ここで、正常であれば3回転するべきであるが、製造誤差により2.83回転しかしていないとする。
すなわち、シャフト20の角度σ分回転が不足していることになる。
【0030】
図12は、実施形態1のメカストッパ機構の調整手順を示す第2タイムチャートである。
【0031】
調整手順第3工程(時刻T12)では、アジャスタ26の六角部26aを反時計回り(CCW)方向に角度θ分回す。
すなわち、リアカバー18をシャフト20の角度σ分図示左方向へ移動させる。
なお、角度θは、以下の式から求められる。
θ=σ*Ls/(2*Pa)
なお、ΔL=σ/360*Ls、θ/360*Pa*2=ΔL→θ=ΔL/(2*Pa)*360である。
また、σ[deg]:補正角度、Pa[mm]:アジャスタピッチ、Ls[mm/rev]:シャフトリード、ΔL[mm]:シャフト角度σ分のナットの移動距離、θ[deg]:アジャスタ補正角度(アジャスタをΔL移動させるための調整角度)である。
調整手順第4工程(時刻T13)では、アジャスタ26の六角部26aを回転できない状態に拘束し、シャフト20を反時計回り(CCW)方向に回し、ナット27を第2ストッパ部30に当接させる(当接部d)。
すなわち、シャフト20の角度σを0とすることができ、目印Xが適切な位置となり、ステアリングホイールSを、正常な3回転を可能にすることができる。
【0032】
図13は、実施形態1のメカストッパ機構の調整手順を示す第3タイムチャートである。
【0033】
調整手順第5工程(時刻T14)では、アジャスタ26の六角部26aを回転できない状態に拘束し、第1ロックナット24を反時計回り(CCW)方向に回し、ハウジング17に当接させ(当接部e)、締付け固定する。
次に、第2ロックナット25を時計回り(CW)方向に回し、リアカバー18に当接させ(当接部f)、締付け固定する。
調整手順第6工程(時刻T15)では、シャフト20を回転可能な操舵角範囲の3回転の中央位置に位置させるため、シャフト20を時計回り(CW)方向に1.5回転させる。
これにより、ステアリングホイールSを操舵角範囲の中央位置の中立位置に設定でき、ステアリングホイールSを左右回転それぞれ同一の回転量である1.5回転の回転をさせることができる。
すなわち、アジャスタ26によりリアカバー18の回転軸線P方向位置を調整することで、シャフト20の中立位置を保ったまま、第1ストッパ部29と第2ストッパ部30間の可動範囲の調整を容易にすることができ、ステアリングホイールセンターを容易に操舵角範囲の中央位置の中立位置に設定できる。
【0034】
次に、作用効果を説明する。
実施形態1の操舵操作入力装置を備える操舵装置にあっては、以下に列挙する作用効果を奏する。
【0035】
(1)メカストッパ機構7は、ステアリングホイールSから回転力が伝達されて回転し、外周面に雄ねじ部20aが形成されるシャフト20と、シャフト20の雄ねじ部20aよりも第1端部20b側を回転可能に支持するハウジング17と、シャフト20の雄ねじ部20aよりも第2端部20c側を回転可能に支持するリアカバー18と、シャフト20の雄ねじ部20aと螺合し、シャフト20の回転力が伝達されるナット27と、ハウジング17とリアカバー18とに設けられ、ナット27の回転を規制してシャフト20から伝達される回転力によってシャフト20の軸方向にナット27を移動させるガイドピン28と、ナット27が軸方向に移動した際に、ハウジング17側への移動を規制する第1ストッパ部29と、リアカバー18側への移動を規制する第2ストッパ部30と、ハウジング17とリアカバー18との間に設けられ、ハウジング17に対するリアカバー18の軸方向位置を調整するアジャスタ26を有するようにした。
よって、アジャスタ26によりリアカバー18の回転軸線P方向位置を調整することで、シャフト20の中立位置を保ったまま、第1ストッパ部29と第2ストッパ部30間の可動範囲の調整を容易にすることができる。
すなわち、ステアリングホイールセンターを容易に操舵角範囲の中央位置の中立位置に設定できる。
【0036】
(2)アジャスタ26は、筒状をなし、ハウジング17の雌ねじ部17dと螺合する第1雄ねじ部26bと、リアカバー18の雌ねじ部18dと螺合する第2雄ねじ部26cを有し、第1雄ねじ部26bと第2雄ねじ部26cとは螺合方向が異なるようにした。
よって、アジャスタ26を回転させるだけでステアリングホイールSの回転量の調整を可能とすることができる。
【0037】
(3)アジャスタ26の第1雄ねじ部26bと第2雄ねじ部26cには、ハウジング17およびリアカバー18に対するアジャスタ26の位置を固定する第1ロックナット24、第2ロックナット25がそれぞれ設けられるようにした。
よって、アジャスタ26の位置を確実に保持することができる。
【0038】
(4)ガイドピン28は、ナット27に形成された貫通孔27aに挿通される軸部本体28aと、ハウジング17の嵌合穴17cとリアカバー18の嵌合穴18cに嵌合固定される両端部28b、28cを有するようにした。
よって、部品点数を削減でき、また、ガイドピン28のハウジング17への固定について、例えば、一端部28bをハウジング17に螺合して固定させる固定方法に比べ、一端部28bを嵌合穴17cに嵌合させる方が組立て工数を削減できる。
【0039】
(5)シャフト20は、第1端部20b側に減速機構9を設け、減速機構9を介して第1電動モータ8に接続するようにした。
よって、操舵操作入力装置2の回転軸線P方向の小型化を図ることができる。
【0040】
(6)減速機構9は、ベルト93と一対の小プーリ91と大プーリ92を有するするようにした。
よって、減速機構9の回転軸線P方向の小型化を図ることができる。
【0041】
(7)ハウジング17に、シャフト20から離間した位置に第1電動モータハウジング81が支持される支持部17aを設けるようにした。
よって、第1電動モータ8の振動による片振れを抑制することができる。
【0042】
(8)アジャスタ26の第1雄ねじ部26bの端部にハウジング17に設けられる取付穴17bとの中心を合わせるためのパイロット部26dを設けるようにした。
よって、メカストッパ機構7の組立てを容易にすることができる。
【0043】
(9)リアカバー18は、アジャスタ26のパイロット部26dを取付穴17bに配置して、リアカバー18の開口部18aとアジャスタ26の位置を合わせたときに、シャフト20の第2端部20c側がその内部に配置される支持穴部18bを有するようにした。
よって、メカストッパ機構7の組立てを容易にすることができる。
【0044】
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態では、アジャスタ26を雄ねじとし、ハウジング17およびリアカバー18を雌ねじとしているが、アジャスタ26を雌ねじとし、ハウジング17およびリアカバー18を雄ねじとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 操舵装置、2 操舵入力装置、3 操舵機構、S ステアリングホイール(操舵入力部材)、7 メカストッパ機構、8 第1電動モータ(反力アクチュエータ)、81 第1電動モータハウジング(反力アクチュエータハウジング)、9 減速機構、91 小プーリ(プーリ)、92 大プーリ(プーリ)、93 ベルト、17 ハウジング、17a 支持部、17b 取付穴、17c 嵌合穴、18 リアカバー(支持部材)、18a 開口部、18b 支持穴部、18c 嵌合穴、20 シャフト(回転軸部材)、20a 雄ねじ部(凹凸部)、20b 第1端部(一端部)、20c 第2端部(他端部)、24 第1ロックナット(ロックナット)、25 第2ロックナット(ロックナット)、26 アジャスタ(調整部材)、26a 六角部、26b 第1雄ねじ部(第1ねじ部)、26c 第2雄ねじ部(第2ねじ部)、26d パイロット部、27 ナット(可動部材)、27a 貫通穴、28 ガイドピン(回転規制部材)、28a 軸部本体、28b 端部、28c 端部、29 第1ストッパ部(ストッパ部)、30 第2ストッパ部(ストッパ部)
図1
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図13