(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021605
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】型締装置、射出成形機及び型締方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20240208BHJP
B29C 45/64 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124551
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 穣
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AR07
4F202AR11
4F202CA11
4F202CB01
4F202CL32
4F202CL42
4F206AR07
4F206AR11
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM02
4F206JN32
4F206JQ11
4F206JQ83
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】型締力の低下を抑制すること。
【解決手段】固定金型26が取り付けられる固定ダイ21と、移動金型27が取り付けられる移動ダイ22と、移動ダイ22における固定ダイ21が配置される側の反対側に配置されるリンクハウジング30と、型締モータ60を有して移動金型27と固定金型26との開閉と型締めを行う型開閉機構40と、固定ダイ21とリンクハウジング30に連結されるタイバ70と、タイバ70のねじ部71と螺合してリンクハウジング30に配置されるタイバナット81を有する型厚調整機構80と、型開閉機構40と型厚調整機構80を制御する制御装置100と、を備え、制御装置100は型締めを行う際に、移動金型27と固定金型26とが接触する直前で移動金型27を微速で接近させ、移動金型27と固定金型26とが接触したら型締モータ60を所定期間停止し、所定期間の経過後に型締モータ60の回転速度を増加させて型締めを行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型と移動金型とからなる一対の金型のうち前記固定金型が取り付けられる固定ダイと、
前記移動金型が取り付けられると共に、前記固定ダイに取り付けられる前記固定金型に対して前記移動金型が対向する向きで配置される移動ダイと、
前記移動ダイにおける前記固定ダイが配置される側の反対側に配置されるリンクハウジングと、
前記リンクハウジングと前記移動ダイとに連結されて前記リンクハウジングと前記移動ダイとの距離を変化させることが可能なトグルリンクと、前記トグルリンクを動作させる型締モータとを有し、前記型締モータで発生する駆動力によって前記トグルリンクを動作させて前記移動ダイを前記リンクハウジングに対して移動させることにより、前記移動ダイに取り付けられる前記移動金型と前記固定金型との開閉と型締めを行う型開閉機構と、
一端側が前記固定ダイに固定され、他端側が前記リンクハウジングに連結されるタイバと、
前記タイバの他端側に形成されるねじ部と螺合して前記リンクハウジングに配置されるタイバナットを有し、前記タイバナットを回転させることによって前記タイバナットと共に前記リンクハウジングを前記タイバに対して前記タイバの延在方向に相対移動させることにより、前記トグルリンクを介して前記リンクハウジングに連結される前記移動ダイに取り付けられる前記移動金型と前記固定金型との相対的な位置を調整する型厚調整機構と、
前記型開閉機構と前記型厚調整機構を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記金型が開いている状態から前記型開閉機構によって前記金型を閉じて前記型締めを行う際に、前記移動金型と前記固定金型とが接触する直前で前記型締モータの回転を微速回転させることにより前記移動金型を前記固定金型に対して微速で接近させ、前記移動金型と前記固定金型とが接触したら前記型締モータを所定期間停止し、前記所定期間の経過後に前記型締モータの回転速度を増加させて前記型締めを行うことを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記型締モータを停止させる前記所定期間では、前記型開閉機構によって前記金型に付与する最大の型締力の2.0%以上5.0%以下の範囲内の前記型締力を前記金型に付与する請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
前記型締モータを停止させる前記所定期間は、0.3秒以上1.0秒以下の範囲内である請求項1に記載の型締装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の型締装置と、
内側にスクリュが配置される射出シリンダ内で樹脂材料を溶融し、溶融した前記樹脂材料をノズルから前記金型に射出する射出装置と、
を備えることを特徴とする射出成形機。
【請求項5】
固定金型と移動金型とからなる一対の金型のうち前記固定金型が取り付けられる固定ダイと、
前記移動金型が取り付けられると共に、前記固定ダイに取り付けられる前記固定金型に対して前記移動金型が対向する向きで配置される移動ダイと、
前記移動ダイにおける前記固定ダイが配置される側の反対側に配置されるリンクハウジングと、
前記リンクハウジングと前記移動ダイとに連結されて前記リンクハウジングと前記移動ダイとの距離を変化させることが可能なトグルリンクと、前記トグルリンクを動作させる型締モータとを有し、前記型締モータで発生する駆動力によって前記トグルリンクを動作させて前記移動ダイを前記リンクハウジングに対して移動させることにより、前記移動ダイに取り付けられる前記移動金型と前記固定金型との開閉と型締めを行う型開閉機構と、
一端側が前記固定ダイに固定され、他端側が前記リンクハウジングに連結されるタイバと、
前記タイバの他端側に形成されるねじ部と螺合して前記リンクハウジングに配置されるタイバナットを有し、前記タイバナットを回転させることによって前記タイバナットと共に前記リンクハウジングを前記タイバに対して前記タイバの延在方向に相対移動させることにより、前記トグルリンクを介して前記リンクハウジングに連結される前記移動ダイに取り付けられる前記移動金型と前記固定金型との相対的な位置を調整する型厚調整機構と、
を備える型締装置の型締方法であって、
前記金型が開いている状態から前記型開閉機構によって前記金型を閉じて前記型締めを行う際に、前記移動金型と前記固定金型とが接触する直前で前記型締モータの回転を微速回転させることにより前記移動金型を前記固定金型に対して微速で接近させ、前記移動金型と前記固定金型とが接触したら前記型締モータを所定期間停止し、前記所定期間の経過後に前記型締モータの回転速度を増加させて前記型締めを行うことを特徴とする型締方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締装置、射出成形機及び型締方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出シリンダ内で溶融した樹脂を金型内に射出することにより成形を行う射出成形機は、金型に対して型締力を付与する型締装置を有し、型締装置によって一対の金型に対して型締力を付与した状態で、金型内で成形を行う。型締装置は、間隔をあけながら並んで配置される固定ダイと、移動ダイと、リンクハウジングと、固定ダイとリンクハウジングとの間に亘って配置されるタイバとを有し、移動ダイとリンクハウジングとの距離をリンク機構によって変化させることにより、固定ダイと移動ダイとの距離を変化させることができる。これにより、型締装置は、固定ダイと移動ダイとにそれぞれ配置される金型に対して型締力を付与することができる。
【0003】
また、固定ダイとタイバとは、相対移動不可で連結され、リンクハウジングとタイバとは、リンクハウジングに配置されるタイバナットとタイバとが螺合しており、タイバに対してタイバナットを回転させることにより、固定ダイとリンクハウジングとの距離を変化させることができる。これにより、固定ダイと移動ダイとの距離を変化させることができ、成形時における型締力を調節することができる。
【0004】
ここで、リンク機構を動作させて型締装置によって型締力を発生させた場合、リンクハウジングには、型締力を発生させる際の反作用により、固定ダイから離れる方向に移動しようとする力が作用する。固定ダイから離れる方向の力がリンクハウジングに作用した場合、リンクハウジングに配置されてタイバに螺合するタイバナットは、リンクハウジングの移動に伴って回転してしまうことがある。この場合、固定ダイとリンクハウジングとの距離が変化してしまい、リンク機構を動作させて型締力を発生させた際に所望の型締力を発生させることができなくなり、成形不良が発生する虞がある。
【0005】
このため、従来の射出成形機の中には、型締力を発生させる際のタイバナットの回転を検出しているものがある。例えば、特許文献1に記載された射出成形機では、タイバナットを回転させるためのモータに配置されるエンコーダや、タイバナットを回転させるための歯車等の近傍に配置される回転検出器によって、タイバナットの回転状態を直接的、または間接的に検出している。これにより、タイバナットの回転が検出された場合、型締力が低下したと判定し、警告を行うことにより、成形不良を未然に防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、タイバナットの回転が検出された際に警告を行うことによって成形不良を防ぐ場合、警告があった後に射出成形機による成形を停止し、タイバナットを回転させて固定ダイとリンクハウジングとの距離を再調整する必要がある。この場合、射出成形機による成形工程が中断することになるため、射出成形機によって成形品を成形する際の効率の低下につながる。このため、成形工程の中断を防ぐには、型締力の低下を抑制する必要があるが、従来の射出成形機では、型締装置によって繰り返し型締力を発生させた場合、型締力の低下を抑制するのは困難なものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、型締力の低下を抑制することのできる型締装置、射出成形機及び型締方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る型締装置は、固定金型と移動金型とからなる一対の金型のうち前記固定金型が取り付けられる固定ダイと、前記移動金型が取り付けられると共に、前記固定ダイに取り付けられる前記固定金型に対して前記移動金型が対向する向きで配置される移動ダイと、前記移動ダイにおける前記固定ダイが配置される側の反対側に配置されるリンクハウジングと、前記リンクハウジングと前記移動ダイとに連結されて前記リンクハウジングと前記移動ダイとの距離を変化させることが可能なトグルリンクと、前記トグルリンクを動作させる型締モータとを有し、前記型締モータで発生する駆動力によって前記トグルリンクを動作させて前記移動ダイを前記リンクハウジングに対して移動させることにより、前記移動ダイに取り付けられる前記移動金型と前記固定金型との開閉と型締めを行う型開閉機構と、一端側が前記固定ダイに固定され、他端側が前記リンクハウジングに連結されるタイバと、前記タイバの他端側に形成されるねじ部と螺合して前記リンクハウジングに配置されるタイバナットを有し、前記タイバナットを回転させることによって前記タイバナットと共に前記リンクハウジングを前記タイバに対して前記タイバの延在方向に相対移動させることにより、前記トグルリンクを介して前記リンクハウジングに連結される前記移動ダイに取り付けられる前記移動金型と前記固定金型との相対的な位置を調整する型厚調整機構と、前記型開閉機構と前記型厚調整機構を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記金型が開いている状態から前記型開閉機構によって前記金型を閉じて前記型締めを行う際に、前記移動金型と前記固定金型とが接触する直前で前記型締モータの回転を微速回転させることにより前記移動金型を前記固定金型に対して微速で接近させ、前記移動金型と前記固定金型とが接触したら前記型締モータを所定期間停止し、前記所定期間の経過後に前記型締モータの回転速度を増加させて前記型締めを行う。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る射出成形機は、上記型締装置と、内側にスクリュが配置される射出シリンダ内で樹脂材料を溶融し、溶融した前記樹脂材料をノズルから前記金型に射出する射出装置と、を備える。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る型締方法は、固定金型と移動金型とからなる一対の金型のうち前記固定金型が取り付けられる固定ダイと、前記移動金型が取り付けられると共に、前記固定ダイに取り付けられる前記固定金型に対して前記移動金型が対向する向きで配置される移動ダイと、前記移動ダイにおける前記固定ダイが配置される側の反対側に配置されるリンクハウジングと、前記リンクハウジングと前記移動ダイとに連結されて前記リンクハウジングと前記移動ダイとの距離を変化させることが可能なトグルリンクと、前記トグルリンクを動作させる型締モータとを有し、前記型締モータで発生する駆動力によって前記トグルリンクを動作させて前記移動ダイを前記リンクハウジングに対して移動させることにより、前記移動ダイに取り付けられる前記移動金型と前記固定金型との開閉と型締めを行う型開閉機構と、一端側が前記固定ダイに固定され、他端側が前記リンクハウジングに連結されるタイバと、前記タイバの他端側に形成されるねじ部と螺合して前記リンクハウジングに配置されるタイバナットを有し、前記タイバナットを回転させることによって前記タイバナットと共に前記リンクハウジングを前記タイバに対して前記タイバの延在方向に相対移動させることにより、前記トグルリンクを介して前記リンクハウジングに連結される前記移動ダイに取り付けられる前記移動金型と前記固定金型との相対的な位置を調整する型厚調整機構と、を備える型締装置の型締方法であって、前記金型が開いている状態から前記型開閉機構によって前記金型を閉じて前記型締めを行う際に、前記移動金型と前記固定金型とが接触する直前で前記型締モータの回転を微速回転させることにより前記移動金型を前記固定金型に対して微速で接近させ、前記移動金型と前記固定金型とが接触したら前記型締モータを所定期間停止し、前記所定期間の経過後に前記型締モータの回転速度を増加させて前記型締めを行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る型締装置、射出成形機及び型締方法は、型締力の低下を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る射出成形機の側面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すタイバとリンクハウジングとの連結部分の断面詳細図である。
【
図5】
図5は、射出成形機による射出成形サイクルの説明図である。
【
図6】
図6は、型締工程における型締装置の動作についての説明図である。
【
図7】
図7は、タイバとタイバナットの詳細図である。
【
図9】
図9は、従来の射出成形機においてタイバナットに型締力の反力が作用した場合のタイバとタイバナットの詳細図である。
【
図11】
図11は、従来の射出成形機で型締めを行う際におけるクロスヘッドの動作及び型締力の変化と、型厚調整モータの動きとの関係を示す説明図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る射出成形機で型締めを行う際におけるクロスヘッドの動作及び型締力の変化と、型厚調整モータの動きとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示に係る型締装置、射出成形機及び型締方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る射出成形機1の側面図である。なお、以下の説明では、射出成形機1の通常の使用状態における上下方向を、射出成形機1における上下方向Zとして説明し、射出成形機1の通常の使用状態における上側を、射出成形機1における上側とし、射出成形機1の通常の使用状態における下側を、射出成形機1における下側として説明する。また、以下の説明では、射出成形機1の長手方向Yを、射出成形機1を有する各部においても長手方向Yとして説明し、射出成形機1の上下方向Zと長手方向Yとの双方に直交する方向を、射出成形機1における幅方向Xとして説明する。
【0016】
<射出成形機1>
本実施形態に係る射出成形機1は、固定されたフレーム5と、フレーム5上に配置された射出装置10と、フレーム5上に配置された型締装置20と、を備えている。射出装置10と型締装置20とは、フレーム5上において長手方向Yに並んで配置されており、型締装置20は、フレーム5上でカバー6に覆われている。
【0017】
<射出装置10>
射出装置10は、射出シリンダ11と、スクリュ13と、ホッパ14とを有している。射出シリンダ11は、略円筒状の形状で形成され、軸心方向が長手方向Yに沿った向きで配置されており、長手方向Yにおける型締装置20が位置する側の端部には、射出シリンダ11内で溶融した樹脂材料を射出するノズル12が配置されている。詳しくは、射出シリンダ11には、バンドヒータ等のヒータ(図示省略)が設けられており、ヒータによって射出シリンダ11の温度を上昇させることができる。これにより、射出シリンダ11は、射出シリンダ11の内部で樹脂材料を加熱して溶融し、樹脂材料を可塑化材料である溶融樹脂にすることが可能になっている。ノズル12は、このように溶融した樹脂材料を射出シリンダ11内から射出シリンダ11の外に射出する部分になっている。
【0018】
スクリュ13は、射出シリンダ11の内側に配置されており、軸心方向が射出シリンダ11の軸心方向に沿った方向となる螺旋形状を有しており、即ち、スクリュ13は、外周面に螺旋状の溝を有している。このように、螺旋状の溝を有するスクリュ13は、射出シリンダ11内で、軸心を中心として回転可能になっている。また、スクリュ13は、射出シリンダ11内に、射出シリンダ11の形状である円筒の中心軸と、スクリュ13の回転軸とが略一致して配置されており、さらに、スクリュ13は、射出シリンダ11の軸方向に移動可能に配置されている。射出シリンダ11内に回転可能に配置されるスクリュ13は、射出シリンダ11の内部で回転をすることにより、溶融樹脂を混練することが可能になっており、このため、射出シリンダ11は、内部で溶融樹脂の混練が可能なシリンダになっている。
【0019】
射出シリンダ11の長手方向Yにおけるノズル12が位置する側の反対側の近傍には、ホッパ14が配置されている。ホッパ14は、射出シリンダ11内に連通し、原料樹脂となる樹脂材料であるペレット(図示省略)を射出シリンダ11に供給することが可能になっている。
【0020】
これらのように構成される射出装置10は、計量用モータ(図示省略)によりスクリュ13を回転させ、射出シリンダ11内で樹脂材料を溶融・混練しながら、溶融樹脂を射出シリンダ11におけるノズル12寄りの部分に溜めることで、計量が行われる。射出シリンダ11内に溜められた溶融樹脂は、射出用モータ(図示省略)、ボールねじ及びナット(図示省略)によって、ノズル12が位置する側にスクリュ13を移動させることで溶融樹脂をノズル12から射出する。これにより、射出装置10は、射出シリンダ11内で溶融した樹脂材料を、型締装置20に配置される金型25に対して射出し、金型25のキャビティに溶融樹脂を充填する。
【0021】
<型締装置20>
図2は、
図1に示す型締装置20の側面図である。
図2は、
図1に示す射出成形機1からカバー6を取り除いた状態での型締装置20の説明図になっている。なお、型締装置20に関する説明において、型締装置20の各要素が「前進」するとは、長手方向Yにおいて型締装置20に対して射出装置10が位置する方向(
図2の右方向)に移動することをいう。また、型締装置20の各要素が「後退」するとは、長手方向Yにおいて型締装置20に対して射出装置10が位置する方向の反対方向(
図2の左方向)に移動することをいう。
【0022】
型締装置20は、例えば、フレーム5に固定された固定ダイ21と、固定ダイ21に対向するように配置され、固定ダイ21に対して接近したり離れたりすることができる移動ダイ22と、フレーム5上に移動可能に配置されたリンクハウジング30と、を備えている。
【0023】
固定ダイ21と移動ダイ22とには、射出装置10から射出される樹脂材料の成形に用いる金型25が取り付けられている。固定ダイ21には、固定金型26と移動金型27とからなる一対の金型25のうち、固定金型26が取り付けられており、移動ダイ22には、一対の金型25のうち移動金型27が取り付けられている。移動金型27が取り付けられる移動ダイ22は、固定ダイ21に取り付けられる固定金型26に対して、移動金型27が対向する向きで配置されている。詳しくは、移動ダイ22は、固定ダイ21に対して、長手方向Yにおいて射出装置10が配置される側の反対側に配置され、移動ダイ22と固定ダイ21とは、移動ダイ22に取り付けられる移動金型27と固定ダイ21に取り付けられる固定金型26とが、長手方向Yにおいて対向する向きで配置されている。
【0024】
リンクハウジング30は、長手方向Yにおいて移動ダイ22における固定ダイ21が配置される側の反対側に配置されている。即ち、固定ダイ21と移動ダイ22とリンクハウジング30とは、射出装置10が位置する側から長手方向Yに、固定ダイ21、移動ダイ22、リンクハウジング30の順で配置されている。
【0025】
固定ダイ21とリンクハウジング30との間には、タイバ70が複数配置されており、本実施形態では、タイバ70は4本が配置されている。タイバ70は、長手方向Yに延びる棒状の形状で形成され、一端側が固定ダイ21に固定され、他端側がリンクハウジング30に連結されている。これにより、固定ダイ21とリンクハウジング30とは、タイバ70を介して連結されている。一方、タイバ70は、固定ダイ21とリンクハウジング30との間に配置される移動ダイ22には連結されておらず、タイバ70は、移動ダイ22に対しては長手方向Yに貫通している。タイバ70は、金型25を締め上げて型締めを行う際に、後述する型開閉機構40によって長手方向Yに伸ばされて、その反力によって型締力を発生することが可能になっている。
【0026】
タイバ70には、タイバセンサ75が取り付けられている。タイバセンサ75は、4本のタイバ70のそれぞれに取り付けられている。タイバセンサ75は、例えば、ひずみセンサからなり、タイバ70の延在方向における伸び、即ち、タイバ70の長手方向Yにおける伸びを検出することが可能になっている。タイバ70の伸びを検出するタイバセンサ75は、タイバ70の伸びを検出することを介して、型開閉機構40によって金型25の型締めを行う際における型締力の大きさを検出することが可能になっている。なお、タイバセンサ75は、4本のタイバ70の全てに設けられていなくてもよく、タイバセンサ75は、例えば、4本のタイバ70のうちの1本のみに設けられていてもよい。
【0027】
型開閉機構40は、トグルリンク41と、駆動装置50とを有している。トグルリンク41は、リンクハウジング30と移動ダイ22とに連結されて長手方向Yにおけるリンクハウジング30と移動ダイ22との距離を変化させることが可能になっており、駆動装置50は、トグルリンク41を動作させることが可能になっている。
【0028】
駆動装置50は、ボールねじ51と、クロスヘッド52と、ナット53と、型締モータ60(
図3参照)とを有している。ボールねじ51は、リンクハウジング30を長手方向Yに貫通しており、主にリンクハウジング30から移動ダイ22が位置する側に長手方向Yに延びて配置されている。
【0029】
ナット53はクロスヘッド52に取り付けられており、クロスヘッド52は、ナット53と共にリンクハウジング30と移動ダイ22との間に配置されている。クロスヘッド52に取り付けられるナット53は、リンクハウジング30と移動ダイ22との間でボールねじ51に螺合している。これによりクロスヘッド52は、ボールねじ51が回転をすることにより、ボールねじ51に螺合するナット53と一体となって長手方向Yに移動することができる。なお、クロスヘッド52には、クロスヘッド52を案内するガイド(図示省略)が設けられており、クロスヘッド52がボールねじ51に沿って長手方向Yに移動する際には、ガイドに案内されながら移動する。
【0030】
図3は、
図2のA-A矢視図である。型締モータ60は、リンクハウジング30に取り付けられており、本実施形態では、幅方向Xにおけるリンクハウジング30の側面に取り付けられている。型締モータ60は、例えば、サーボモータであり、第1プーリ61、タイミングベルト63及び第2プーリ62を順次介してボールねじ51を駆動することができる。詳しくは、第1プーリ61は、型締モータ60の出力軸に取り付けられている。また、第2プーリ62は、ボールねじ51における、リンクハウジング30に対して移動ダイ22が位置する側の反対側の端部に取り付けられている。タイミングベルト63は、これらの第1プーリ61と第2プーリ62との間に巻き掛けられており、型締モータ60で発生して第1プーリ61からタイミングベルト63に伝達される駆動力を、第2プーリ62を介してボールねじ51に伝達する。
【0031】
ボールねじ51は、型締モータ60で発生して第1プーリ61、タイミングベルト63、第2プーリ62を介してボールねじ51に伝達される駆動力により回転する。ボールねじ51に螺合するナット53は、ボールねじ51に沿って長手方向Yに直線的に移動し、ナット53と一体となって形成されるクロスヘッド52は、ナット53と共にボールねじ51に沿って長手方向Yに直線的に移動する。
【0032】
リンクハウジング30と移動ダイ22とは、型開閉機構40が有するトグルリンク41によって互いに連結されている。トグルリンク41は、クロスヘッド側リンク42と、リンクハウジング側リンク43と、移動ダイ側リンク44とを有している。このうち、リンクハウジング側リンク43は、長手方向Yにおいてリンクハウジング30側に位置する側の端部がリンクハウジング30に回転自在に連結され、反対側の端部が、移動ダイ側リンク44に回転自在に連結されている。移動ダイ側リンク44は、長手方向Yにおいてリンクハウジング30に連結される側の端部の反対側の端部が、トグルリンク連結部45を介して移動ダイ22に回動自在に連結されている。
【0033】
このため、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44は、各連結部分がそれぞれ回動することにより、リンクハウジング側リンク43におけるリンクハウジング30に連結される側の端部と、移動ダイ側リンク44における移動ダイ22に連結される側の端部との長手方向Yにおける距離を変化させることできる。これにより、リンクハウジング30と移動ダイ22とに連結されるリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44は、リンクハウジング30と移動ダイ22との長手方向Yにおける距離を変化させることができる。
【0034】
また、クロスヘッド側リンク42は、一端がクロスヘッド52に回転自在に連結され、他端がリンクハウジング側リンク43に回転自在に連結されている。このため、クロスヘッド側リンク42は、長手方向Yに移動するクロスヘッド52の動きをリンクハウジング側リンク43に伝達することができる。これにより、クロスヘッド側リンク42は、各連結部分が回動自在に連結されるリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とを動作させることができる。
【0035】
これらのように構成されるトグルリンク41は、クロスヘッド52に対して、上下方向Zの両側に配置されている。即ち、トグルリンク41は、クロスヘッド52に対して、上下方向Zにおける上側と下側との双方に配置されており、リンクハウジング30と移動ダイ22とは、上側と下側のトグルリンク41を介して連結されている。
【0036】
トグルリンク41は、クロスヘッド側リンク42がクロスヘッド52に連結されており、クロスヘッド52は、型締モータ60で発生する駆動力により、ボールねじ51に沿って長手方向Yに移動可能に配置されている。このため、トグルリンク41は、型締モータ60で発生する駆動力によって長手方向Yに移動するクロスヘッド52の動きがクロスヘッド側リンク42に伝達されることにより、各連結部分が回動自在に連結されるリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とが動作する。駆動装置50は、このように型締モータ60で発生する駆動力によってトグルリンク41を動作させることができる。
【0037】
型開閉機構40は、駆動装置50によってトグルリンク41を動作させることにより、移動ダイ22をリンクハウジング30に対して長手方向Yに移動させることができる。これにより、型開閉機構40は、固定ダイ21に取り付けされる固定金型26に対して、移動ダイ22に取り付けられる移動金型27を長手方向Yに相対移動させることができ、移動金型27と固定金型26との開閉と型締めを行うことが可能になっている。
【0038】
型開閉機構40によって固定金型26及び移動金型27の型閉じ、または型締めを行う際には、型締モータ60によってクロスヘッド52を前進させ、型開閉機構40を伸展させる。即ち、型締モータ60を駆動することにより、タイミングベルト63を介してボールねじ51を所定方向に回動させ、ボールねじ51に螺合するナット53と、ナット53と一体に設けられるクロスヘッド52を、長手方向Yにおける固定ダイ21が位置する方向に前進させる。このとき、上側のリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とが上方向に開くと共に、下側のリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とが下方向に開き、クロスヘッド52の移動が、トグルリンク41を介して移動ダイ22に伝達される。これにより、固定金型26及び移動金型27の型閉じ、または型締めがなされる。
【0039】
また、固定金型26及び移動金型27を型開きする際は、これとは逆に、型締モータ60によってクロスヘッド52を後退させ、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とを屈曲させる。即ち、型締モータ60を駆動させることにより、タイミングベルト63を介してボールねじ51を型閉じ時と反対方向に回動させ、ナット53とクロスヘッド52を、長手方向Yにおけるリンクハウジング30が位置する方向に後退させる。このように、ナット53をリンクハウジング30が位置する方向に後退させることで、上側のリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44が下方向に閉じると共に、下側のリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44が上方向に閉じ、クロスヘッド52の移動が、トグルリンク41を介して移動ダイ22に伝達される。これにより、固定金型26及び移動金型27の型開きがなされる。
【0040】
このように、本実施形態では、型閉じまたは型締めが完了した状態でリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とが略直線状となり、型開きの際は、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とは、ボールねじ51の軸線が位置する側に向かって曲がる。即ち、型開きの際は、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とは、上下方向Zにおける内側に巻き込むように折れ曲がる構造となっている。
【0041】
フレーム5上には、移動ダイ22を案内するガイド機構である第1リニアガイド90が設けられている。第1リニアガイド90は、長手方向Yへの移動ダイ22の移動を案内することが可能になっている。第1リニアガイド90は、フレーム5上に配置されて長手方向Yに延びる第1ガイドレール91と、移動ダイ22に取り付けられて第1ガイドレール91に対して摺動しながら第1ガイドレール91に沿って移動可能な第1ブロック92とを有している。第1ガイドレール91は、幅方向Xにおける移動ダイ22の両端付近の2箇所の位置でフレーム5上に配置されており、長手方向Yにおいて移動ダイ22の両側にかけて延びて形成されている。第1ブロック92は、幅方向Xにおける移動ダイ22の両端付近の2箇所の位置に配置されており、2箇所の第1ブロック92は、幅方向Xにおける間隔が第1ガイドレール91の間隔と実質的に同じ間隔となって移動ダイ22に取り付けられている。
【0042】
また、フレーム5上には、リンクハウジング30を案内するガイド機構である第2リニアガイド95が設けられている。第2リニアガイド95は、長手方向Yへのリンクハウジング30の移動を案内することが可能になっている。第2リニアガイド95は、フレーム5上に配置されて長手方向Yに延びる第2ガイドレール96と、リンクハウジング30に取り付けられて第2ガイドレール96に対して摺動しながら第2ガイドレール96に沿って移動可能な第2ブロック97とを有している。第2ガイドレール96は、幅方向Xにおけるリンクハウジング30の両端付近の2箇所の位置でフレーム5上に配置されており、長手方向Yにおいてリンクハウジング30の両側にかけて延びて形成されている。第2ブロック97は、幅方向Xにおけるリンクハウジング30の両端付近の2箇所の位置に配置されており、2箇所の第2ブロック97は、幅方向Xにおける間隔が第2ガイドレール96の間隔と実質的に同じ間隔となってリンクハウジング30に取り付けられている。
【0043】
なお、第1リニアガイド90の第1ガイドレール91と、第2リニアガイド95の第2ガイドレール96とは、連続して形成され、同一のガイドレールを構成していても良い。
【0044】
固定ダイ21とリンクハウジング30とを連結する4本のタイバ70は、固定ダイ21とリンクハウジング30とのそれぞれにおける、幅方向Xにおける両端付近の2箇所と、上下方向Zにおける両端付近の2箇所とにそれぞれ連結されている(
図3参照)。即ち、4本のタイバ70は、固定ダイ21とリンクハウジング30とのそれぞれにおける、幅方向Xにおける両端付近と上下方向Zにおける両端付近との四隅にそれぞれ連結されている。
【0045】
これらのように配置されるタイバ70における、リンクハウジング30に連結されている側の端部付近には、外周面にねじ部71(
図4参照)が形成されている。タイバ70とリンクハウジング30とは、タイバ70のねじ部71に螺合するタイバナット81がリンクハウジング30に配置されることにより、タイバ70とリンクハウジング30とはタイバナット81によって連結されている。
【0046】
図4は、
図2に示すタイバ70とリンクハウジング30との連結部分の断面詳細図である。
図4は、1つのタイバ70とリンクハウジング30との連結部分の詳細図になっているが、4本のタイバ70は、いずれも同様に形成されている。タイバナット81は、リンクハウジング30の厚み方向、即ち、長手方向Yにおける、固定ダイ21や移動ダイ22が配置される側の反対側に配置されている。タイバナット81の外周面には、タイバナット81の径方向における外側に突出するフランジ部81bが形成されている。
【0047】
リンクハウジング30の厚み方向における、タイバナット81が配置される側の面側には、タイバナット81を支持するナット支持部材82が配置されている。ナット支持部材82は、リンクハウジング30との間にタイバナット81のフランジ部81bを介在させてリンクハウジング30に取り付けられている。リンクハウジング30に取り付けられるナット支持部材82は、タイバナット81のフランジ部81bが、リンクハウジング30から長手方向Yに離れることを規制しつつ、タイバナット81を回転自在に支持している。これにより、タイバナット81は、回転自在にリンクハウジング30に配置されている。
【0048】
また、タイバナット81のフランジ部81bとリンクハウジング30との間には、タイバナット81とリンクハウジング30との間の長手方向Yにおける力を受けるスラストワッシャ83が配置されている。これにより、タイバナット81は、リンクハウジング30との間で長手方向Yにおける荷重が付与された状態においても、回転することが可能になっている。
【0049】
リンクハウジング30には、タイバ70が挿入される貫通孔31が形成されている。貫通孔31は、内径がタイバ70の外径と同程度の大きさの孔になっており、リンクハウジング30の厚み方向、即ち、長手方向Yにリンクハウジング30を貫通して形成されている。タイバ70は、このようにリンクハウジング30に形成される貫通孔31に挿入されてリンクハウジング30に連結されている。
【0050】
タイバナット81は、リンクハウジング30に形成される貫通孔31における、長手方向Yにおいて固定ダイ21や移動ダイ22が配置される側の反対側の面に開口する部分に配置されている。ナット支持部材82によってリンクハウジング30に配置されるタイバナット81には、めねじとなって形成される、ねじ部81aが内周面に形成されている。一方、タイバ70のねじ部71は、おねじになっており、これにより、タイバナット81は、タイバナット81のねじ部81aが、タイバ70のねじ部71に螺合する。
【0051】
タイバナット81は、このようにねじ部81aがタイバ70のねじ部71に螺合しているため、タイバナット81を回転させることにより、タイバナット81はタイバ70に対してタイバ70の延在方向である長手方向Yに相対移動することが可能になっている。
【0052】
また、タイバナット81は、リンクハウジング30に配置されており、リンクハウジング30は、長手方向Yへのリンクハウジング30の移動を案内する第2リニアガイド95を介してフレーム5上に配置されている。このため、タイバナット81を回転させた場合には、タイバナット81がタイバ70に対して長手方向Yに相対移動することにより、タイバナット81が配置されるリンクハウジング30も、第2リニアガイド95によって案内されながら長手方向Yに移動することができる。
【0053】
このように、タイバ70に対して回転することによりリンクハウジング30を長手方向Yに移動させることが可能なタイバナット81は、型厚調整機構80を構成している。型厚調整機構80は、タイバナット81の他に、型厚調整モータ84と、駆動歯車85と、環状歯車86と、タイバナット歯車87と、を有している(
図2、
図3参照)。
【0054】
このうちタイバナット歯車87は、4本のタイバ70のそれぞれ螺合する4つのタイバナット81にそれぞれ取り付けられている。環状歯車86は、4つのタイバナット歯車87に噛み合うように配置されている。駆動歯車85は、型厚調整モータ84の出力軸に取り付けられており、環状歯車86と噛み合って環状歯車86を駆動することができるように配置されている。型厚調整モータ84は、例えば、サーボモータであり、型厚調整機構80の動力源として設けられている。型厚調整モータ84は、リンクハウジング30に取り付けられており、本実施形態では、幅方向Xにおけるリンクハウジング30の側面に取り付けられている。
【0055】
これらのように構成される型厚調整機構80は、型厚調整モータ84が駆動することにより駆動歯車85が回転する。回転する駆動歯車85は、環状歯車86を介して4つのタイバナット歯車87を同じ方向に回転させ、4つのタイバナット81を同じ方向に回転させる。タイバナット81が回転をした場合は、タイバナット81はリンクハウジング30と共にタイバ70に対して長手方向Yの相対移動をするため、タイバナット81を有する型厚調整機構80は、タイバナット81が回転をした場合は、リンクハウジング30と一体となって、タイバ70に対して長手方向Yに相対移動をする。
【0056】
ここで、リンクハウジング30には、型開閉機構40が配置されており、リンクハウジング30は、型開閉機構40が有するトグルリンク41を介して移動ダイ22に連結されている。また、移動ダイ22は、長手方向Yへの移動ダイ22の移動を案内する第1リニアガイド90を介してフレーム5上に配置されている。このため、型厚調整機構80によってリンクハウジング30が長手方向Yに移動をする際には、トグルリンク41を介してリンクハウジング30に連結される移動ダイ22も、第1リニアガイド90に案内されながらリンクハウジング30と一体となって長手方向Yに移動する。
【0057】
移動ダイ22には、移動金型27が取り付けられているため、移動ダイ22が長手方向Yに移動した際には、移動ダイ22に取り付けられる移動金型27は、固定ダイ21に取り付けられる固定金型26との距離が変化する。これにより、型厚調整機構80は、移動金型27と固定金型26との相対的な位置を調整することができる。
【0058】
これらのように、型厚調整機構80は、タイバナット81を回転させることによってタイバナット81と共にリンクハウジング30をタイバ70に対してタイバ70の延在方向に相対移動させることにより、トグルリンク41を介してリンクハウジング30に連結される移動ダイ22に取り付けられる移動金型27と固定金型26との、相対的な位置を調整することが可能になっている。これにより、例えば、金型25の交換を行った際に、長手方向Yにおける金型25の厚みに応じて型厚調整機構80によってリンクハウジング30と移動金型27とを長手方向Yに移動させることにより、固定金型26と移動金型27との長手方向Yにおける距離を適宜調整することができる。なお、本実施形態では、タイバナット81を回転させたときに、タイバナット81がタイバ70に沿って前進する回転を「正回転」とする。これに対し、タイバナット81を回転させたときに、タイバナット81がタイバ70に沿って後退する回転を、本実施形態では「逆回転」とする。
【0059】
また、射出成形機1は、射出成形機1の各種制御を行う制御装置100を有している。制御装置100は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有している。制御装置100の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0060】
制御装置100には、射出成形機1の各種情報を表示する表示部101と、オペレータが射出成形機1に対して入力操作を行う際に用いる入力部102とが接続されている。制御装置100に接続される表示部101は、制御装置100から伝達された情報を表示し、入力部102は、入力操作された情報を制御装置100に伝達する。
【0061】
射出成形機1には、射出成形機1の動作時における様々な状態を検出するセンサ類が各種備えられており、これらのセンサは、制御装置100に接続されている。制御装置100は、これらのセンサからの検出結果に基づいて、射出成形機1の各アクチュエータ類を制御することにより、射出成形機1の動作を制御する。
【0062】
例えば、タイバ70に配置されるタイバセンサ75は、制御装置100に接続されており、検出結果を制御装置100に送信することが可能になっている。また、型開閉機構40が有する型締モータ60や型厚調整機構80が有する型厚調整モータ84は、エンコーダ(図示省略)が備えられており、これらのエンコーダも制御装置100に接続され、検出結果を制御装置100に送信することが可能になっている。
【0063】
さらに、射出装置10の射出シリンダ11に配置されるヒータ(図示省略)や、型開閉機構40が有する型締モータ60、型厚調整機構80が有する型厚調整モータ84も、制御装置100に接続されており、制御装置100からの制御信号によって動作する。これにより、制御装置100は、射出装置10や、型締装置20が有する型開閉機構40、型厚調整機構80を制御することができる。
【0064】
<射出成形機1の作用>
本実施形態に係る射出成形機1は、以上のような構成を含み、以下、その作用について説明する。なお、以下に説明する型締装置20の駆動装置50及び型厚調整機構80の制御は、制御装置100によって行われる。
【0065】
図5は、射出成形機1による射出成形サイクルの説明図である。まず、射出成形工程全体の流れについて簡単に説明する。射出成形を行う場合は、
図5に示すように、本実施形態に係る射出成形機1は、射出成形サイクルS100を行う。射出成形機1は、射出成形機1の各部の動作状態をセンサ類での検出結果より制御装置100で取得しながら、射出成形機1のアクチュエータ類を制御装置100で制御することにより、射出成形を行う。射出成形機1で射出成形を行う際における射出成形サイクルS100は、具体的には、型締工程S101、射出工程S102、計量及び冷却工程S103、型開工程S104、製品取出工程S105を含み、これらの工程を順に繰り返すことで多数の成形品が作製される。
【0066】
次に、型締工程S101における型締装置20の作用について説明する。
図6は、型締工程における型締装置20の動作についての説明図である。型締工程S101の開始時には、
図6の(a)に示すように、型締装置20は、移動金型27を固定金型26から離した、型開きの状態にしている。
【0067】
型締工程S101では、型締装置20は、型開きの状態から金型25の型閉じ及び型締めを行う。金型25の型閉じを行う際には、制御装置100は、型締装置20の型開閉機構40が有する型締モータ60を駆動させることにより、クロスヘッド52を前進させる。これにより、トグルリンク41が有するリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とが伸展する。即ち、型締モータ60が駆動することにより、タイミングベルト63を介してボールねじ51が所定方向に回動し、ボールねじ51に螺合するナット53とクロスヘッド52が、長手方向Yにおける固定ダイ21が位置する方向に前進する。
【0068】
クロスヘッド52が長手方向Yに移動した場合は、クロスヘッド52の動きは、トグルリンク41が有するクロスヘッド側リンク42を介してリンクハウジング側リンク43に伝達される。これにより、上側のトグルリンク41は、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44が上下方向Zにおける上方向に開く方向に動作し、下側のトグルリンク41は、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44が上下方向Zにおける下方向に開く方向に動作する。
【0069】
移動ダイ側リンク44におけるリンクハウジング側リンク43に連結される側の端部の反対側の端部は、移動ダイ22に連結されているため、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44が開く方向に動作した場合は、移動ダイ22は、移動ダイ側リンク44の動きに伴って前進する。型閉じを行う際には、このように、クロスヘッド52の長手方向Yにおける移動が、トグルリンク41を介して移動ダイ22に伝達され、移動ダイ22が、長手方向Yにおける固定ダイ21が位置する側に前進する。
【0070】
移動ダイ22には、固定ダイ21が位置する側の面に移動金型27が取り付けられている。一方、固定ダイ21には、移動ダイ22が位置する側の面に固定金型26が取り付けられている。このため、移動ダイ22が、長手方向Yにおける固定ダイ21が位置する側に前進した場合は、移動ダイ22に取り付けられる移動金型27が、固定ダイ21に取り付けられる固定金型26に当接する。このように、移動ダイ22に取り付けられる移動金型27が、固定ダイ21に取り付けられる固定金型26に当接することにより、固定金型26と移動金型27との型閉じがなされる(
図6(b))。
【0071】
固定金型26と移動金型27とが当接して型閉じした場合、タイバ70は長手方向Yに極僅かに伸長する。タイバ70の伸長は、タイバ70に取り付けられるタイバセンサ75によって検出し、制御装置100に伝達される。これにより、制御装置100は、固定金型26と移動金型27との型閉じがなされたことを検出する。
【0072】
固定金型26と移動金型27とが型閉じしたら、制御装置100は、型締装置20の型開閉機構40が有する型締モータ60をさらに駆動させることにより、クロスヘッド52をさらに前進させる。これにより、移動金型27は固定金型26に押し付けられ、固定金型26と移動金型27との型締めがなされる(
図6(c))。
【0073】
このとき、タイバ70は、長手方向Yにさらに僅かに伸長する。つまり、型締モータ60を駆動させ、トグルリンク41のリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とを伸展させることにより移動金型27を固定金型26に押し付けた場合、トグルリンク41の伸展によりリンクハウジング30と移動ダイ22との間の距離が広がるので、リンクハウジング30は、長手方向Yにおいて固定ダイ21が位置する側の反対側に僅かに移動する。
【0074】
タイバ70は、固定ダイ21に固定される側の端部の反対側の端部が、タイバナット81によってリンクハウジング30に連結されているため、リンクハウジング30が、長手方向Yにおいて固定ダイ21が位置する側の反対側に移動した場合は、タイバ70は、リンクハウジング30の移動に伴って長手方向Yに僅かに伸長する。このように、タイバ70が伸長する際におけるタイバ70の伸び量δは、例えば、1~5mm程度になっている。つまり、タイバ70が伸長する際には、リンクハウジング30が、第2リニアガイド95に案内されながら、長手方向Yにおける固定ダイ21が位置する側の反対側に移動し、タイバ70は、リンクハウジング30の移動量の分、伸長する。
【0075】
タイバ70は、両端が固定ダイ21とリンクハウジング30とに連結されているため、タイバ70が伸長した場合、縮もうとする力が固定ダイ21とリンクハウジング30とに作用する。即ち、伸長したタイバ70には、縮もうとする反力が発生し、タイバ70が縮もうとする力は、固定ダイ21とリンクハウジング30とに対しては、長手方向Yにおける双方の距離を小さくする方向の力として作用する。
【0076】
移動金型27が取り付けられる移動ダイ22は、トグルリンク41を介してリンクハウジング30に連結されているため、タイバ70が縮もうとする力が固定ダイ21とリンクハウジング30とに作用する場合、この力は、移動ダイ22に取り付けられる移動金型27を、固定ダイ21に取り付けられる固定金型26に押し付ける力として作用する。これにより、固定金型26と移動金型27とには、双方が長手方向Yに押し付けられる力である型締力が発生する。
【0077】
一方、型開工程S104では、型締装置20は、型開閉機構40によってクロスヘッド52を長手方向Yにおいて後退させ、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とを屈曲させることにより、固定金型26と移動金型27とを型開きさせる。即ち、制御装置100は、型締装置20の型開閉機構40が有する型締モータ60を駆動させることにより、タイミングベルト63を介してボールねじ51を型閉じ時の反対方向に回動させ、ボールねじ51に螺合するナット53とクロスヘッド52を、長手方向Yにおけるリンクハウジング30が位置する方向に後退させる。
【0078】
クロスヘッド52が後退した場合は、上側のトグルリンク41は、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44が上下方向Zにおける下方向に閉じる方向に動作し、下側のトグルリンク41は、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44が上下方向Zにおける上方向に閉じる方向に動作する。これにより、トグルリンク41を介してリンクハウジング30に連結される移動ダイ22は、長手方向Yにおけるリンクハウジング30が位置する側に後退し、固定金型26と移動金型27との型開きがなされる。
【0079】
これらのように、本実施形態に係る射出成形機1では、型閉じ、型締めが完了した状態では、トグルリンク41が有するリンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とは、略直線状となる。また、型開きの際は、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とは、ボールねじ51の軸線が位置する側に向かって曲がる、即ち、上下方向Zにおいて内側に巻き込むように折れ曲がる構造となっている。
【0080】
次に、型厚調整機構80による型厚の調整方法について説明する。型厚調整機構80による型厚の調整は、例えば、固定ダイ21と移動ダイ22に取り付ける金型25を交換した際等に行う。つまり、型開閉機構40による型締力は、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とが略直線状となった状態でタイバ70が伸長し、最大の型締力が発生する。一方、固定ダイ21と移動ダイ22に取り付ける金型25は、金型25によって、長手方向Yにおける厚みが異なることがある。
【0081】
金型25の厚みが異なる場合、型締工程において、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とが略直線状になる前に固定金型26と移動金型27とが接触したり、リンクハウジング側リンク43と移動ダイ側リンク44とが略直線状になった状態でも固定金型26と移動金型27とが接触しなかったりすることがある。この場合、型締工程で、金型25に対して適切な型締力を発生させることができなくなるため、金型25を交換した際には、型厚調整機構80によって、型締工程におけるトグルリンク41の状態に対する固定金型26と移動金型27とが接触するタイミングを調整する。
【0082】
例えば、交換した金型25の長手方向Yにおける厚みが、交換前の金型25の厚みよりも薄い場合は、制御装置100は、型厚調整機構80が有する型厚調整モータ84を駆動させてタイバナット81を正回転させることにより、タイバナット81を、タイバ70に対して長手方向Yにおいて固定ダイ21が位置する側に移動させる。即ち、制御装置100は、型厚調整モータ84を駆動させて、駆動歯車85によって環状歯車86を回転させ、環状歯車86によってタイバナット歯車87を回転させることにより、タイバナット81を正回転させる。これにより、リンクハウジング30を、タイバナット81と共に固定ダイ21が位置する側に移動させ、トグルリンク41を介してリンクハウジング30に連結される移動ダイ22を、固定ダイ21が位置する側に移動させる。このため、金型25の厚みが薄くなった分、移動ダイ22を固定ダイ21に近付けることができ、型締工程で適切な型締力を発生させることができる。
【0083】
反対に、交換した金型25の長手方向Yにおける厚みが、交換前の金型25の厚みよりも厚い場合は、制御装置100は、型厚調整機構80が有する型厚調整モータ84を駆動させてタイバナット81を逆回転させることにより、タイバナット81を、タイバ70に対して長手方向Yにおいて固定ダイ21が位置する側の反対側に移動させる。これにより、リンクハウジング30を、タイバナット81と共に固定ダイ21が位置する側の反対側に移動させ、トグルリンク41を介してリンクハウジング30に連結される移動ダイ22を、固定ダイ21が位置する側の反対側に移動させる。このため、金型25の厚みが厚くなった分、移動ダイ22を固定ダイ21から離すことができ、型締工程で適切な型締力を発生させることができる。
【0084】
次に、本実施形態に係る射出成形機1によって金型25の型締めを行う際における型締方法について説明する。金型25の型締工程で発生する型締力は、タイバ70が長手方向Yに伸長し、伸長したタイバ70が縮もうとする反力が金型25に伝達されることにより、型締力が発生する。このように、型締工程におけるタイバ70の伸長は、型開閉機構40のトグルリンク41によって移動ダイ22を前進させ、固定金型26と移動金型27とが当接した後もトグルリンク41を伸展させてリンクハウジング30と移動ダイ22との間の距離を広げることにより、リンクハウジング30を長手方向Yにおいて後退させる。
【0085】
これにより、リンクハウジング30に配置されるタイバナット81もリンクハウジング30と共に後退させ、タイバナット81が螺合するタイバ70を、長手方向Yにおける後退方向に伸長させる。このように伸長したタイバ70が縮もうとする反力が、固定ダイ21と移動ダイ22に伝達され、金型25に伝達されることにより、型締力が発生する。
【0086】
タイバ70を伸長させることによって金型25に型締力を発生させる場合は、タイバ70に螺合するタイバナット81によって伸長させるが、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との間には、隙間が介在している。即ち、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との間にはバックラッシがあるため、双方の間には隙間を有している。このため、タイバナット81とタイバ70との間に、互いに他方の部材に対する力が作用していない場合は、タイバナット81は、自重によって下側に下がった状態になる。
【0087】
図7は、タイバ70とタイバナット81の詳細図である。
図8は、
図7のBa部とBb部の詳細図である。
図8は、(a)が
図7のBa部の詳細図になっており、(b)が
図7のBb部の詳細図になっている。タイバナット81とタイバ70との間に、互いに他方の部材に対する力が作用していない場合は、タイバナット81は、自重によって下側に下がった状態になるため、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とにおける、上側に位置する部分では、
図8の(a)に示すように、タイバナット81のねじ部81aは、タイバ70のねじ部71に接触する状態になる。これに対し、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とにおける、下側に位置する部分では、
図8の(b)に示すように、タイバナット81のねじ部81aは、タイバ70のねじ部71との間に、上下方向Zにおける隙間gを有する状態になる。
【0088】
この状態で、型開閉機構40のトグルリンク41によって移動ダイ22を前進させて固定金型26と移動金型27とを当接させ、さらにトグルリンク41を伸展させて金型25に型締力が発生した場合、型締力による反力が、トグルリンク41を介してリンクハウジング30に伝達される。即ち、リンクハウジング30には、型締力によって長手方向Yにおいて固定ダイ21が位置する側の反対側の力が作用し、この力は、リンクハウジング30から、リンクハウジング30に配置されるタイバナット81に対しても作用する。
【0089】
図9は、従来の射出成形機1においてタイバナット81に型締力の反力が作用した場合のタイバ70とタイバナット81の詳細図である。
図10は、
図9のCa部とCb部の詳細図である。
図10は、(a)が
図9のCa部の詳細図になっており、(b)が
図9のCb部の詳細図になっている。従来の射出成形機1において、型締工程で金型25に型締力を発生させた場合、リンクハウジング30からタイバナット81に対して型締力の反力が作用し、タイバナット81には、長手方向Yにおいて固定ダイ21が位置する方向の反対方向の大きな力が作用する。即ち、型締工程では、型締力の反力によって、タイバナット81に対して長手方向Yにおける後退方向の大きな力が作用する。
【0090】
タイバナット81に対して長手方向Yにおける後退方向の力が作用した場合、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とにおける、上側に位置する部分では、
図10の(a)に示すように、タイバナット81のねじ部81aが、タイバ70のねじ部71のねじ山に沿って移動することにより、タイバナット81は上側に持ち上がる。
【0091】
このため、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とにおける、下側に位置する部分でも、
図10の(b)に示すようにタイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との間の隙間は無くなり、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とは、全周に亘って互いに接触した状態になる。
【0092】
しかし、型締力の反力による後退方向の力がタイバナット81を上側に持ち上げる間、持ち上げが完了するまでは、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とは、まだ全周に亘って互いに接触した状態に達していない。即ち、型締力の反力による後退方向の力がタイバナット81を完全に上側に持ち上げるまでの間は、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とは、不完全な接触状態にある。この間に、後退方向の力により生じるタイバナット81を逆回転させようとする逆回転の力が、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との接触部分での摩擦抵抗よりも大きくなると、タイバナット81のねじ部81aはタイバ70のねじ部71の螺旋に沿って逆回転する方向に移動し、タイバナット81はタイバ70に沿って後退する。
【0093】
なお、タイバナット81が逆回転しながらタイバ70に沿って後退する間も、型締力の反力による後退方向の力は、タイバナット81を上側に持ち上げる。このため、タイバナット81が型締力の反力によって完全に上側に持ち上がり、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とが、全周に亘って互いに接触した状態に達すると、タイバナット81の逆回転による後退は停止する。
【0094】
タイバナット81は、金型25で適切な大きさの型締力を発生させることができるように、リンクハウジング30と移動ダイ22の長手方向Yにおける位置を調整するものであるが、タイバナット81が長手方向Yに移動した場合、リンクハウジング30と移動ダイ22もタイバナット81と共に移動することになる。この場合、射出成形機1で射出成形を行う際の型締工程において、金型25で適切な大きさの型締力を発生させることが困難になることがある。
【0095】
図11は、従来の射出成形機1で型締めを行う際におけるクロスヘッド52の動作及び型締力Fcの変化と、型厚調整モータ84の動きとの関係を示す説明図である。射出成形機1で金型25の型締めを行う場合には、型開閉機構40の型締モータ60で発生する駆動力によってクロスヘッド52を前進させることにより、トグルリンク41を動作させ、移動ダイ22を長手方向Yに前進させる。このため、金型25の型締めを行う際には、クロスヘッド52は、
図11に示すように、所定のクロスヘッド速度Shで長手方向Yに移動をする。
【0096】
金型25の型締めを行う際には、制御装置100は、クロスヘッド52の移動において、固定金型26と移動金型27とが当接して型締力Fcを発生するタイミングである型締タイミングTmに基づいて設定される減速タイミングT1になったら、クロスヘッド速度Shの減速を行う。なお、型締タイミングTm及び減速タイミングT1は、クロスヘッド52の移動に対して、時間設定であってもよく、位置設定であってもよく、距離設定であってもよい。減速タイミングT1は、型締タイミングTmよりも前のタイミングに設定される。言い換えると、減速タイミングT1は、型締タイミングTmよりも早いタイミングに設定される。また、型締タイミングTmは、金型25の型閉じと型締めの制御を行う際に、離れている固定金型26と移動金型27とが当接するタイミングになっている。型締タイミングTm及び減速タイミングT1は、型厚調整機構80による型厚調整の際に併せて調整される。
【0097】
従来の射出成形機1では、クロスヘッド速度Shを減速させ、型締タイミングTmになったら、
図11に示すように、制御装置100はクロスヘッド速度Shを増加させる。その際に、制御装置100は、クロスヘッド52を停止させることなく、クロスヘッド52を前進させながらクロスヘッド速度Shを調整する。即ち、制御装置100は、クロスヘッド速度Shを0にすることなく、クロスヘッド速度Shを調整する。このように、制御装置100によってクロスヘッド速度Shを増加させることにより、タイバ70は伸長し、タイバ70の伸長に対する反力が金型25に作用するため、型締力Fcが増大する。制御装置100は、型締力Fcがある程度大きくなったら、クロスヘッド速度Shを低下させて型締力Fcを維持する。
【0098】
ここで、クロスヘッド52を前進させながらクロスヘッド速度Shを急激に増加させた場合、タイバナット81は逆回転し易くなる。つまり、クロスヘッド52を前進させながらクロスヘッド速度Shを急激に増加させた場合、タイバ70は急激に伸長し、金型25で発生する型締力Fcの反力がリンクハウジング30からタイバナット81に急激に作用する。
【0099】
これにより、自重によって下に下がった状態のタイバナット81は、長手方向Yにおける後退方向の力が作用することにより、
図10に示すように、ねじ部81aにおける上側に位置する部分がタイバ70のねじ部71に接触し、タイバナット81はタイバ70のねじ部71のねじ山に沿って持ち上がろうとする。そして、タイバナット81に型締力の反力よる後退方向の力が急激に作用する間に、後退方向の力により生じるタイバナット81を逆回転させようとする逆回転の力が大きくなる。このため、タイバナット81の逆回転の力は、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との接触部分での摩擦抵抗よりも大きくなり、タイバナット81のねじ部81aは、タイバ70のねじ部71の螺旋に沿って逆回転する方向に移動して、タイバナット81はタイバ70に沿って後退する。
【0100】
しかし、タイバナット81がタイバ70に沿って後退する間も、型締力の反力による後退方向の力がタイバナット81を上側に持ち上げるので、タイバナット81が持ち上がってタイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とが全周に亘って互いに接触した状態に達すると、タイバナット81の逆回転による後退は停止する。タイバナット81の逆回転による後退が停止した後は、クロスヘッド52の移動により、タイバナット81の逆回転による低下が生じることなく、型締力Fcが増加する。
【0101】
従来の射出成形機1において、型締力を発生させる際におけるタイバナット81の逆回転は、
図11に示すように、型厚調整モータ84の回転速度である型厚調整モータ速度Saにも表れる。つまり、タイバナット81が逆回転をした場合、タイバナット81の逆回転は、タイバナット歯車87から環状歯車86を伝わり、環状歯車86から駆動歯車85に伝わることにより、型厚調整モータ84に伝わる。
【0102】
これにより、型厚調整モータ84は、射出成形機1の射出成形時には、本来は0となる型厚調整モータ速度Saが、金型25に型締力が発生した際に回転するタイバナット81の逆回転に伴って、Sarに示されるように逆回転をする。つまり、金型25に型締力が発生した際におけるタイバナット81の逆回転は、型厚調整モータ速度Saにも表れる。
【0103】
射出成形機1の射出成形時に、タイバナット81が不必要に逆回転をした場合、固定金型26とリンクハウジング30との長手方向Yにおける距離が変化し、これに伴い、固定金型26と移動金型27との長手方向Yにおける距離が変化するため、金型25で適切な大きさの型締力を発生させることが困難になることがある。
【0104】
これに対し、本実施形態に係る射出成形機1では、金型25の型締めを行う際には、金型25に対して予圧を負荷した後に型締力Fcを増加させることにより、タイバナット81の不必要な逆回転を抑制している。
【0105】
図12は、実施形態に係る射出成形機1で型締めを行う際におけるクロスヘッド52の動作及び型締力Fcの変化と、型厚調整モータ84の動きとの関係を示す説明図である。本実施形態に係る射出成形機1では、金型25が開いている状態から型開閉機構40によって金型25を閉じて型締めを行う際には、まず、制御装置100は、型締タイミングTmに基づいて予め設定される減速タイミングT1になったら、型締モータ60を減速することにより、クロスヘッド速度Shの減速を行う。
【0106】
次に、制御装置100は、移動金型27と固定金型26とが接触する直前で型締モータ60の回転を微速回転させる。即ち、制御装置100は、減速タイミングT1で型締モータ60を減速し、クロスヘッド速度Shを減速したら、微速回転モードMsで型締モータ60を回転させる。これにより、移動ダイ22に取り付けられる移動金型27を、固定金型26に対して微速で接近させる。固定金型26に対して微速で接近させる際における移動金型27の移動速度は、例えば、2.0mm/s以上7.0mm/s以下の範囲内であるのが好ましい。
【0107】
移動金型27を固定金型26に対して微速で接近させることにより、移動金型27と固定金型26とが接触したら、制御装置100は、型締モータ60を所定期間停止する。移動金型27と固定金型26との接触は、タイバ70に取り付けられるタイバセンサ75の検出結果に基づいて制御装置100によって検出する。つまり、移動金型27が微速で移動しながら移動金型27が固定金型26に接触して移動金型27と固定金型26とのパーティング面が閉じ、金型25の型閉じがなされた場合、タイバ70は極僅かに伸長する。
【0108】
タイバセンサ75は、このタイバ70の極僅かな伸長を検出し、低圧型締力検知信号として制御装置100に出力する。タイバセンサ75からの低圧型締力検知信号を取得した制御装置100は、型締モータ60を所定期間P、停止をするモードである予圧モードMpに向けた制御を行う。
【0109】
具体的には、微速回転モードMsで型締モータ60を回転させ、固定金型26に対して移動金型27を微速で接近させている状態において、タイバセンサ75からの低圧型締力検知信号を制御装置100で取得したら、制御装置100は、低圧型締力検知信号の取得タイミングT2から型締モータ60の回転をさらに減速させる。これにより、クロスヘッド速度Shも、低圧型締力検知信号の取得タイミングT2の後は低下する。
【0110】
ここで、低圧型締力検知信号の取得タイミングT2は、固定金型26と移動金型27とが接触するタイミングであるため、低圧型締力検知信号の取得タイミングT2以降は、型締モータ60の回転を減速させた場合でも、型締モータ60の回転が停止するまでは、クロスヘッド52も微速で移動し続ける。これにより、金型25の型締力Fcは、クロスヘッド52の移動に伴って僅かに上昇する。
【0111】
型締モータ60の回転を減速させ、型締モータ60の回転速度が0になったら、制御装置100は、予圧モードMpに移行し、型締モータ60を所定期間P停止させる。換言すると、制御装置100は、低圧型締力検知信号の取得タイミングT2の後、型締モータ60を停止させるまでの期間である任意の減速期間の経過後、型締モータ60の回転速度を0にして、型締モータ60を所定期間P停止させる。
【0112】
予圧モードMpでは、制御装置100に対して、射出成形時における最大の型締力Fcよりも大幅に小さい型締力Fcである予圧を、金型25に付与する。制御装置100は、型締モータ60を停止させる所定期間Pでは、型開閉機構40によって金型25に付与する最大の型締力の2.0%以上5.0%以下の範囲内の型締力Fcを、予圧として金型25に付与する。
【0113】
このように、予圧モードMpで金型25に付与する予圧は、低圧型締力検知信号の取得タイミングT2の後、型締モータ60の回転を停止させるまでの間、型締モータ60を徐々に減速させながら僅かに上昇した金型25の型締力Fcになっている。このため、予圧の大きさは、低圧型締力検知信号の取得タイミングT2の後、型締モータ60の回転を停止させるまでに要する時間を調整することにより、調整することができる。
【0114】
また、予圧モードMpで型締モータ60を停止させる所定期間Pは、本実施形態では、約0.3秒になっている。即ち、制御装置100は、予圧モードMpでは、約0.3秒間、金型25に対して予圧を負荷する。なお、このように予圧モードMpで型締モータ60を停止させる所定期間Pは、0.3秒以上1.0秒以下の範囲内であるのが好ましい。
【0115】
金型25に対して予圧を付与した状態で所定期間Pが経過したら、制御装置100は、所定期間Pの経過後に型締モータ60の回転速度を増加させて、金型25の型締めを行う。即ち、本実施形態では、予圧モードMpで所定期間Pが経過したタイミングが型締タイミングTmになっており、金型25に対して予圧を付与した状態で所定期間Pが経過したら、制御装置100は、型締モータ60の回転速度を増加させてクロスヘッド速度Shを増加させる。これにより、タイバ70は伸長し、タイバ70の伸長に対する反力が金型25に作用するため、型締力Fcが増大する。制御装置100は、型締力Fcがある程度大きくなったら、クロスヘッド速度Shを低下させて型締力Fcを維持する。
【0116】
本実施形態では、型締タイミングTmで型締力Fcを増大させる前に、金型25に対して予圧を付与している。金型25に対する予圧は、最大の型締力Fcに対して大幅に小さい型締力Fcであるが、予圧の付与時には、予圧に対応する型締力Fcの反力が、リンクハウジング30からタイバナット81に対して作用する。
【0117】
これにより、自重によって下に下がった状態のタイバナット81は、長手方向Yにおける後退方向の力が作用することにより、
図10に示すように、ねじ部81aにおける上側に位置する部分がタイバ70のねじ部71に接触し、タイバナット81はタイバ70のねじ部71のねじ山に沿って持ち上がる。そして、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とにおける、下側に位置する部分でも、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とが接触し、これにより、ねじ部81aとねじ部71とが全周に亘って互いに接触した状態になる。このため、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とは、摩擦力が確保された状態になる。
【0118】
一方で、予圧に対応する型締力Fcの反力は、最大の型締力Fcに対して大幅に力が弱いため、タイバナット81を逆回転させる程の力はリンクハウジング30からタイバナット81に対しては作用しない。このため、タイバナット81は、タイバ70のねじ部71に沿って持ち上がり、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とが全周に亘って接触する状態になる程度の動きになる。
【0119】
本実施形態では、このようにタイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とが全周に亘って接触し、双方の間でも摩擦力が確保された状態になった後、型締タイミングTmで型締力Fcを増大させる。このため、リンクハウジング30からタイバナット81に対して作用する型締力の反力も大きくなるが、型締力の反力が大きくなるタイミングでは、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との間の摩擦力が、既に確保された状態になっている。
【0120】
これにより、リンクハウジング30からタイバナット81に対して作用する型締力の反力も大きくなっても、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との間の摩擦力によってタイバナット81は逆回転をせず、タイバナット81は回転方向において停止した状態が維持される。このため、
図12に示すように、型厚調整モータ速度Saも0の状態が維持される。
【0121】
本実施形態では、金型25の型締めを行う際に、このように型締力の反力によってタイバナット81が逆回転しないため、射出成形機1の射出成形を繰り返しても、固定金型26とリンクハウジング30との長手方向Yにおける距離が変化せず、固定金型26と移動金型27との長手方向Yにおける距離が変化しないため、金型25で適切な大きさの型締力を継続して発生させることができる。
【0122】
<実施形態の効果>
以上の実施形態に係る型締装置20と、型締装置20の型締方法は、型開閉機構40によって金型25を閉じて型締めを行う際に、移動金型27と固定金型26とが接触する直前で型締モータ60の回転を微速回転させることにより、移動金型27を固定金型26に対して微速で接近させ、移動金型27と固定金型26とが接触したら型締モータ60を所定期間P停止する。これにより、大きな型締力の反力がリンクハウジング30からタイバナット81に作用する前に、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とを全周に亘って接触させ、双方の間の摩擦力を確保することができる。制御装置100は、このようにタイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との間の摩擦力を確保し、所定期間Pが経過した後に型締モータ60の回転速度を増加させて、金型25の型締めを行う。
【0123】
これにより、大きな型締力の反力がリンクハウジング30からタイバナット81に作用した場合でも、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との間の摩擦力により、タイバナット81が逆回転することを抑制できる。従って、金型25の型締めを繰り返し行った場合でも、固定金型26とリンクハウジング30との長手方向Yにおける距離が変化しないため、金型25で発生する型締力の大きさが変化することを抑制でき、金型25で適切な大きさの型締力を継続して発生させることができる。この結果、型締力の低下を抑制することができる。
【0124】
また、制御装置100は、型締モータ60を停止させる所定期間Pでは、型開閉機構40によって金型25に付与する最大の型締力の2.0%以上5.0%以下の範囲内の型締力を金型25に付与するため、型締力の反力によってタイバナット81が逆回転することを抑制しつつ、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71との間の摩擦力を確保することができる。従って、金型25の型締めを繰り返し行った場合に、金型25で発生する型締力の大きさが変化することをより確実に抑制することができる。この結果、型締力の低下を抑制することができる。
【0125】
また、型締モータ60を停止させる所定期間Pは、0.3秒以上1.0秒以下の範囲内であるため、型締工程の時間が長くなり過ぎることを抑制しつつ、タイバナット81のねじ部81aとタイバ70のねじ部71とを全周に亘ってより確実に接触させ、双方の間の摩擦力を確保することができる。従って、金型25の型締めを繰り返し行った場合に、金型25で発生する型締力の大きさが変化することをより確実に抑制することができる。この結果、型締力の低下を抑制することができる。
【0126】
また、実施形態に係る射出成形機1は、射出装置10と、上述した型締装置20を備えるため、射出成形機1による射出成形時に、型締装置20が有するタイバナット81が逆回転することを抑制することができる。これにより、射出成形機1によって射出成形を繰り返し行った場合でも、金型25で発生する型締力の大きさが変化することを抑制でき、金型25で適切な大きさの型締力を継続して発生させることができる。この結果、型締力の低下を抑制することができる。
【0127】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、型開閉機構40は、型締モータ60で発生した駆動力を、第1プーリ61と、第2プーリ62と、タイミングベルト63とによってボールねじ51に伝達しているが、型締モータ60で発生した駆動力をボールねじ51に伝達するための構成は、これ以外であってもよい。同様に、型厚調整機構80は、型厚調整モータ84で発生した駆動力を、駆動歯車85と、環状歯車86と、タイバナット歯車87とによってタイバナット81に伝達しているが、型厚調整モータ84で発生した駆動力をタイバナット81に伝達するための構成は、これ以外であってもよい。
【0128】
また、上述した実施形態では、金型25に発生する型締力を、タイバ70に配置されるタイバセンサ75によって検出しているが、型締力は、タイバセンサ75以外の手段によって検出してもよい。
【符号の説明】
【0129】
1…射出成形機、5…フレーム、6…カバー、10…射出装置、11…射出シリンダ、12…ノズル、13…スクリュ、14…ホッパ、20…型締装置、21…固定ダイ、22…移動ダイ、25…金型、26…固定金型、27…移動金型、30…リンクハウジング、31…貫通孔、40…型開閉機構、41…トグルリンク、42…クロスヘッド側リンク、43…リンクハウジング側リンク、44…移動ダイ側リンク、45…トグルリンク連結部、50…駆動装置、51…ボールねじ、52…クロスヘッド、53…ナット、60…型締モータ、61…第1プーリ、62…第2プーリ、63…タイミングベルト、70…タイバ、71…ねじ部、75…タイバセンサ、80…型厚調整機構、81…タイバナット、81a…ねじ部、81b…フランジ部、82…ナット支持部材、83…スラストワッシャ、84…型厚調整モータ、85…駆動歯車、86…環状歯車、87…タイバナット歯車、90…第1リニアガイド、91…第1ガイドレール、92…第1ブロック、95…第2リニアガイド、96…第2ガイドレール、97…第2ブロック、100…制御装置、101…表示部、102…入力部