(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021615
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240208BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240208BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/271 B
H01M50/271 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124576
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】高木 源太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 心一
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AS04
5H040AY04
5H040AY05
5H040AY08
5H040CC20
5H040NN01
(57)【要約】
【課題】収容体の収容空間の封止性を向上させる。
【解決手段】電池パック10は、ロアシール材232を介して互いに対向する第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1を有する収容体200と、収容体200に収容された電池モジュール100と、第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1の少なくとも一方に締結され、少なくとも一部分が第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1の間に位置するロアリベットナット242と、ロアリベットナット242に締結され、第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1を互いに締結するロアボルト244と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール材を介して互いに対向する2つの取付部を有する収容体と、
前記収容体に収容された電池モジュールと、
前記2つの取付部の少なくとも一方に締結され、少なくとも一部分が前記2つの取付部の間に位置する第1締結具と、
前記第1締結具に締結され、前記2つの取付部を互いに締結する第2締結具と、
を備える電池パック。
【請求項2】
前記第1締結具の一部分が前記収容体の内部に設けられた空間に入り込んでいる、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記2つの取付部の間の隙間が、前記シール材の少なくとも一部分が埋め込まれた第1空間と、前記第1締結具の前記少なくとも一部分が配置された第2空間と、を有し、
前記第2空間の両側における前記2つの取付部の間の距離が、前記第1空間の両側における前記2つの取付部の間の距離より短い、請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第1空間と前記第2空間との間において前記2つの取付部の少なくとも一部分に傾斜面が設けられている、請求項3に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の様々な用途に用いられる電池パックが開発されている。電池パックは、少なくとも1つの電池モジュール及び当該少なくとも1つのモジュールが収容される収容体を備えている。
【0003】
特許文献1には、電池パックの一例について記載されている。この電池パックにおいて、収容体は、トレイ部材及び蓋部材を有している。トレイ部材及び蓋部材は、ガスケット部材を介して締結部材によって互いに締結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収容体は、シール材を介して互いに対向する2つの取付部を有することがある。当該2つの締結部は、締結具によって互いに締結されることがある。この場合、収容体の収容空間の封止性の向上が求められることがある。収容空間の封止性を向上させるためには、シール材の厚さを正確に調整することが好ましい。しかしながら、シール材を単に配置しただけでは、シール材の厚さの正確な調整が難しいことがある。
【0006】
本発明の目的の一例は、収容体の収容空間の封止性を向上させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
シール材を介して互いに対向する2つの取付部を有する収容体と、
前記収容体に収容された電池モジュールと、
前記2つの取付部の少なくとも一方に締結され、少なくとも一部分が前記2つの取付部の間に位置する第1締結具と、
前記第1締結具に締結され、前記2つの取付部を互いに締結する第2締結具と、
を備える電池パック。
[2]
前記第1締結具の一部分が前記収容体の内部に設けられた空間に入り込んでいる、[1]に記載の電池パック。
[3]
前記2つの取付部の間の隙間が、前記シール材の少なくとも一部分が埋め込まれた第1空間と、前記第1締結具の前記少なくとも一部分が配置された第2空間と、を有し、
前記第2空間の両側における前記2つの取付部の間の距離が、前記第1空間の両側における前記2つの取付部の間の距離より短い、[1]又は[2]に記載の電池パック。
[4]
前記第1空間と前記第2空間との間において前記2つの取付部の少なくとも一部分に傾斜面が設けられている、[3]に記載の電池パック。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、収容体の収容空間の封止性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係る電池パックからアッパケースが取り外された状態の平面図である。
【
図3】実施形態に係るサイドフレームの一部分の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る電池パック10の斜視図である。
図2は、実施形態に係る電池パック10からアッパケース220が取り外された状態の平面図である。
【0012】
実施形態において、電池パック10は、自動車に搭載されている。具体的には、電池パック10は、自動車の前輪及び後輪の間に搭載されている。以下、特に断りがない限り、電池パック10が自動車に搭載されているものとして説明する。ただし、電池パック10は、自動車以外の用途にも適用可能である。
【0013】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向が示されている。X方向は、電池パック10の前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池パック10の左右方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池パック10の上下方向を示している。X方向を指し示す矢印、Y方向を指し示す及びZ方向を指し示す矢印は、それぞれ、電池パック10の前方向、左方向及び上方向を示している。
図2において、Z方向を示す黒点付き白丸は、Z方向を指し示す矢印が紙面の奥から手前に向けて延びていることを示している。ただし、X方向、Y方向及びZ方向と、電池パック10の前後方向、左右方向及び上下方向と、の関係はこの例に限定されない。
【0014】
実施形態において、電池パック10の前後方向、左右方向及び上下方向は、電池パック10が搭載される自動車によって決定されている。X方向、Y方向及びZ方向は、それぞれ、自動車の前後方向、左右方向及び上下方向を示している。X方向を指し示す矢印、Y方向を指し示す矢印及びZ方向を指し示す矢印は、それぞれ、自動車の前方向、左方向及び上方向を示している。ただし、電池パック10の前後方向、左右方向及び上下方向と、自動車の前後方向、左右方向及び上下方向と、の関係はこの例に限定されない。
【0015】
以下、必要に応じて、Z方向に垂直な方向を水平方向という。
【0016】
電池パック10は、4つの電池モジュール100及び収容体200を備えている。4つの電池モジュール100は、X方向に並ぶ左側の一対の電池モジュール100と、X方向に並ぶ右側の一対の電池モジュール100と、を含んでいる。収容体200は、ロアケース210及びアッパケース220を有している。ロアケース210は、概して、例えば、トレイ又は本体部とも称されることがある。ロアケース210は、ロアプレート212及びサイドフレーム214を含んでいる。アッパケース220は、概して、例えば、カバー又は蓋部とも称されることがある。
【0017】
各電池モジュール100は、水平方向に積層された複数の電池セルを有している。例えば、各電池モジュール100では、並列に接続された複数の電池セルを含む電池セル群が複数直列に接続されている。或いは、単一の電池セルが複数直列に接続されていてもよい。
【0018】
サイドフレーム214の前方には、一対のターミナル110が設けられている。一対のターミナル110は、Y方向に略平行に並んでいる。各ターミナル110の前端部は、サイドフレーム214の前面から前方に向けて突出している。電気的な経路において、一対のターミナル110の間において、4つの電池モジュール100は直列に接続されている。
【0019】
ロアケース210及びアッパケース220は、アッパシール材234を介して互いに取り付けられている。ロアケース210、アッパケース220及びアッパシール材234は、収容空間250を形成している。収容空間250には、4つの電池モジュール100が収容されている。
【0020】
ロアプレート212は、収容空間250の底部を画定している。サイドフレーム214は、収容空間250の側方部を画定している。具体的には、Z方向から見て、サイドフレーム214は、ロアプレート212の最外周に沿って設けられている。アッパケース220は、収容空間250の頂部を画定している。
【0021】
電池モジュールの数及び配置は、実施形態に係る例に限定されない。例えば、電池モジュール100の数は2つのみ、3つのみ又は5つ以上であってもよい。
【0022】
図3は、実施形態に係るサイドフレーム214の一部分の拡大平面図である。
図4は、
図3のA-A断面の下部を示す図である。
図5は、
図3のA-A断面の上部を示す図である。
図3では、説明の簡易のため、
図4に示すロアプレート212及び
図5に示すアッパケース220が図示されていない。
図4及び
図5では、説明の簡易のため、
図3に示す圧力開放弁214hが図示されていない。
図4及び
図5に示す断面における収容空間250には、不図示の電池モジュール100が配置されている。
図3において、Z方向を示す黒点付き白丸は、Z方向を指し示す矢印が紙面の奥から手前に向けて延びていることを示している。
図4及び
図5において、X方向を示すX付き白丸は、X方向を指し示す矢印が紙面の手前から奥に向けて延びていることを示している。
【0023】
図4に示すように、ロアプレート212は、第1ロア取付部212aを含んでいる。
図4及び
図5に示すように、サイドフレーム214は、第2ロア取付部214a1、第1アッパ取付部214a2、隔壁214b及び張出部214cを含んでいる。
図5に示すように、アッパケース220は、第2アッパ取付部220a、アッパカバー部220b及びサイドカバー部220cを含んでいる。
【0024】
図4を参照して、ロアプレート212及びサイドフレーム214の締結構造ついて説明する。
【0025】
図4に示すように、第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1は、ロアシール材232を介して互いに対向している。第1ロア取付部212aは、ロアプレート212の外周部の少なくとも一部分である。第2ロア取付部214a1は、サイドフレーム214の下部の少なくとも一部分である。ロアシール材232は、例えば、接着剤である。実施形態において、ロアシール材232は、流動性を有している。
【0026】
第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1は、ロアリベットナット242及びロアボルト244によって互いに締結されている。ロアリベットナット242は、ロアボディ242a及びロアヘッド242bを含んでいる。ロアボディ242aの外周面には、ロア拡張部242a1が設けられている。ロア拡張部242a1の水平方向の直径及びロアヘッド242bの水平方向の直径の各々は、ロアボディ242aの水平方向の直径より大きくなっている。ロアリベットナット242は、ロア拡張部242a1及びロアヘッド242bによって第2ロア取付部214a1にリベット留めされている。
【0027】
ロアボディ242aは、第2ロア取付部214a1をZ方向に略平行に貫通している。ロアボディ242aの先端は、サイドフレーム214の内部に設けられた中空のロア空間214dに入り込んでいる。ロア空間214dが設けられている場合、ロア空間214dが中実である場合と比較して、サイドフレーム214を軽量化することができる。
【0028】
第2ロア取付部214a1及びロアリベットナット242は、例えば、次のようにして互いに締結されている。まず、第2ロア取付部214a1にロアボディ242aを挿通させる。これによって、ロアボディ242aの先端がロア空間214dに入り込む。次いで、ロアボディ242aの下方からロアボディ242aに不図示のハンドナッタを挿通させる。次いで、当該ハンドナッタによってロアボディ242aの先端を下方に向けて引っ張る。これによって、ロアボディ242aが変形してロア拡張部242a1が形成される。したがって、ロアリベットナット242は、ロア拡張部242a1及びロアヘッド242bによって第2ロア取付部214a1に圧着されている。
【0029】
ロアボルト244は、第1ロア取付部212aをZ方向に略平行に貫通してロアリベットナット242に締結されている。ロアリベットナット242及びロアボルト244が互いに締結されることで、第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1が互いに締結されている。
【0030】
実施形態では、ロアボルト244を締結するためのボルト孔を第2ロア取付部214a1に形成することが難しい場合であっても、第2ロア取付部214a1及びロアボルト244を互いに締結することができる。例えば、第2ロア取付部214a1のZ方向の厚さが比較的薄い場合、当該ボルト孔を第2ロア取付部214a1に形成することが難しいことがある。これに対して、実施形態では、ロアリベットナット242を介して第2ロア取付部214a1及びロアボルト244を互いに締結することができる。したがって、実施形態では、当該ボルト孔を第2ロア取付部214a1に形成する必要がない。
【0031】
実施形態では、ロアボルト244を締結するためのナットをロア空間214dの内部に設けることが難しい場合であっても、第2ロア取付部214a1及びロアボルト244を互いに締結することができる。例えば、ロア空間214dがサイドフレーム214の外部の空間から閉じている場合、当該ナットをロア空間214dの内部に設けることが難しいことがある。これに対して、実施形態では、ロアリベットナット242を介して第2ロア取付部214a1及びロアボルト244を互いに締結することができる。したがって、実施形態では、当該ナットをロア空間214dの内部に設ける必要がない。
【0032】
第1ロア取付部212aの上面と第2ロア取付部214a1の下面との間には隙間が設けられている。この隙間は、ロア内側空間262及びロア外側空間264を含んでいる。ロア内側空間262は、ロア外側空間264に対して収容空間250側に位置している。ロア外側空間264は、ロア内側空間262に対して収容空間250の外側に位置している。ロア内側空間262の少なくとも一部分には、ロアシール材232の少なくとも一部分が埋め込まれている。ロア外側空間264の少なくとも一部分には、ロアヘッド242bの少なくとも一部分が配置されている。
【0033】
ロアヘッド242bは、ロアシール材232のZ方向の厚さを決定するスペーサとして機能している。具体的には、ロアヘッド242bの剛性は、ロアシール材232の剛性より高くなっている。したがって、ロア内側空間262のZ方向の高さ及びロア外側空間264のZ方向の高さは、ロアヘッド242bのZ方向の高さによって決定することができる。このため、ロアヘッド242bのZ方向の高さに応じてロアシール材232のZ方向の厚さを正確に調整することができる。よって、収容空間250の封止性を向上させることができる。
【0034】
図4に示す例では、ロアシール材232の右端部がロア外側空間264の左端部に入り込んでいる。実施形態では、ロアヘッド242bのZ方向の高さに応じて、ロアシール材232のロア外側空間264に入り込む部分の量を調整することができる。これによって、ロアシール材232のロア外側空間264に入り込んだ部分がロアヘッド242bに乗り上げにくくすることができる。
【0035】
ロア外側空間264における第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1の間のZ方向の距離は、ロア内側空間262における第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1の間のZ方向の距離より短くなっている。したがって、これらの距離が互いに等しい場合と比較して、ロアシール材232がロア外側空間264に侵入しにくくすることができる。このため、ロアシール材232がロアヘッド242bに乗り上げにくくすることができる。ただし、ロア外側空間264における第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1の間のZ方向の距離は、ロア内側空間262における第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1の間のZ方向の距離以上であってもよい。
【0036】
ロア内側空間262及びロア外側空間264の間において第2ロア取付部214a1の下面には、傾斜面214a3が設けられている。傾斜面214a3は、収容空間250の外側に向かうにつれて下方に向けて傾いている。水平方向に対する傾斜面214a3の傾斜を調整することで、ロアシール材232のロア外側空間264に入り込む部分の量を調整することができる。
【0037】
実施形態では、Z方向から見て、ロアシール材232は、サイドフレーム214の全周に亘って設けられている。これによって、Z方向から見て、ロアシール材232は、収容空間250を囲んでいる。したがって、ロアシール材232によって収容空間250を収容体200の外部の空間から封止することができる。
【0038】
実施形態では、Z方向から見て、サイドフレーム214の全周に亘って複数のロアボルト244が所定の間隔で配置されている。各ロアボルト244は、
図4を用いて説明した構造によって、ロアリベットナット242に締結されている。なお、サイドフレーム214の全周に設けられるロアボルト244の数は1つのみであってもよい。
【0039】
第2ロア取付部214a1に締結される締結具は、実施形態に係るロアリベットナット242に限定されない。当該締結具としては、リベットナットだけでなく、クリンチングナットも例示される。当該締結具は、第2ロア取付部214a1だけでなく、第1ロア取付部212aに締結されていてもよい。
【0040】
第1ロア取付部212a及び第2ロア取付部214a1を互いに締結する締結具は、実施形態に係るロアボルト244に限定されない。当該締結具としては、ボルトだけでなく、ねじも例示される。
【0041】
図5を参照して、必要な場合は
図3を参照して、サイドフレーム214及びアッパケース220の締結構造について説明する。
【0042】
図5に示すように、第1アッパ取付部214a2及び第2アッパ取付部220aは、アッパシール材234を介して互いに対向している。第1アッパ取付部214a2は、サイドフレーム214の上部の少なくとも一部分である。第2アッパ取付部220aは、アッパケース220の外周部の少なくとも一部分である。アッパシール材234は、ゴム等の弾性材である。
【0043】
第1アッパ取付部214a2及び第2アッパ取付部220aは、アッパリベットナット246及びアッパボルト248によって互いに締結されている。アッパリベットナット246は、アッパボディ246a及びアッパヘッド246bを含んでいる。アッパボディ246aの外周面には、アッパ拡張部246a1が設けられている。アッパ拡張部246a1の水平方向の直径及びアッパヘッド246bの水平方向の直径の各々は、アッパボディ246aの水平方向の直径より大きくなっている。アッパリベットナット246は、アッパ拡張部246a1及びアッパヘッド246bによって第1アッパ取付部214a2にリベット留めされている。第1アッパ取付部214a2及びアッパリベットナット246は、第2ロア取付部214a1及びロアリベットナット242を互いに締結する方法と同様の方法によって互いに締結可能である。
【0044】
アッパボディ246aは、第1アッパ取付部214a2をZ方向に略平行に貫通している。アッパボディ246aの先端は、サイドフレーム214の内部に設けられた中空のアッパ空間214eに入り込んでいる。アッパ空間214eが設けられている場合、アッパ空間214eが中実である場合と比較して、サイドフレーム214を軽量化することができる。
【0045】
アッパボルト248は、第2アッパ取付部220aをZ方向に略平行に貫通してアッパリベットナット246に締結されている。アッパリベットナット246及びアッパボルト248が互いに締結されることで、第1アッパ取付部214a2及び第2アッパ取付部220aが互いに締結されている。
【0046】
実施形態では、ロアプレート212及びサイドフレーム214の締結構造の説明において説明したように、アッパボルト248を締結するためのボルト孔を第1アッパ取付部214a2に形成する必要がない。同様にして、アッパボルト248を締結するためのナットをアッパ空間214eの内部に設ける必要がない。
【0047】
アッパヘッド246bは、アッパシール材234のZ方向の厚さを決定するスペーサとして機能している。具体的には、アッパヘッド246bの剛性は、アッパシール材234の剛性より高くなっている。したがって、第1アッパ取付部214a2の上面及び第2アッパ取付部220aの下面の間の隙間のZ方向の高さは、アッパヘッド246bの高さによって決定することができる。このため、アッパヘッド246bのZ方向の高さに応じてアッパシール材234のZ方向の厚さを正確に調整することができる。よって、収容空間250の封止性を向上させることができる。
【0048】
実施形態では、Z方向から見て、アッパシール材234は、サイドフレーム214の全周に亘って設けられている。これによって、Z方向から見て、アッパシール材234は、収容空間250を囲んでいる。したがって、アッパシール材234によって収容空間250を収容体200の外部の空間から封止することができる。
【0049】
図3に示すように、実施形態では、Z方向から見て、サイドフレーム214の全周に亘って複数のアッパボルト248が所定の間隔で配置されている。各アッパボルト248は、
図5を用いて説明した構造によって、アッパリベットナット246に締結されている。なお、サイドフレーム214の全周に設けられるアッパボルト248の数は1つのみであってもよい。
【0050】
第1アッパ取付部214a2に締結される締結具は、実施形態に係るアッパリベットナット246に限定されない。当該締結具としては、リベットナットだけでなく、クリンチングナットも例示される。当該締結具は、第1アッパ取付部214a2だけでなく、第2アッパ取付部220aに締結されていてもよい。
【0051】
第1アッパ取付部214a2及び第2アッパ取付部220aを互いに締結する締結具は、実施形態に係るアッパボルト248に限定されない。当該締結具としては、ボルトだけでなく、ねじも例示される。
【0052】
図3及び
図4を参照して、収容空間250からのガスの排出構造について説明する。収容空間250の内部では、電池モジュール100からガスが発生することがある。
【0053】
図5に示すように、サイドフレーム214の内部には、ガス排出路214fが設けられている。ガス排出路214fは中空となっている。ガス排出路214fは、Z方向においてロア空間214d及びアッパ空間214eの間に位置している。
図3に示すように、サイドフレーム214の内側面には、複数のガス排出孔214gが設けられている。Z方向から見て、複数のガス排出孔214gは、サイドフレーム214の全周に亘って所定の間隔で配置されている。収容空間250及びガス排出路214fは、複数のガス排出孔214gを介して互いに連通している。
図3に示すように、サイドフレーム214の外側面の一部分には、圧力開放弁214hが設けられている。したがって、収容空間250の内部で電池モジュール100から発生したガスは、ガス排出孔214g及びガス排出路214fを経由して圧力開放弁214hから収容体200の外部へ排出させることができる。
【0054】
図3及び
図5を参照して、アッパシール材234に対して収容体200のY方向の内側の構造について説明する。
【0055】
Z方向から見て、アッパカバー部220bは、第2アッパ取付部220aによって囲まれている。アッパカバー部220bは、収容空間250を上方から覆っている。
【0056】
隔壁214bは、第1アッパ取付部214a2から上方に向けて突出している。
図5に示すように、隔壁214bは、第1アッパ取付部214a2の内側の端部に設けられている。これによって、隔壁214bは、電池モジュール100とアッパシール材234との間に位置している。このため、隔壁214bは、電池モジュール100とアッパシール材234とを互いに隔てることができる。
図3に示すように、Z方向から見て、隔壁214bは、サイドフレーム214の全周において連続的に延在している。ただし、隔壁214bは、サイドフレーム214の全周において部分的に途切れていてもよい。電池モジュール100の充放電等の所定の条件において、電池モジュール100からは高温ガスが発生する可能性がある。隔壁214bは、当該高温ガスがアッパシール材234に直接噴射されることを遮る構造体の少なくとも一部分として機能することができる。
【0057】
図5に示す例において、隔壁214bの上面は、アッパシール材234の上面より高い位置に位置している。すなわち、隔壁214bの上面は、アッパヘッド246bの上面より高い位置に位置している。このため、隔壁214bの上面がアッパシール材234の上面より低い位置に位置する場合と比較して、上述した高温ガスがアッパシール材234に直接噴射されにくくすることができる。ただし、隔壁214bの上面は、アッパシール材234の上面より低い位置に位置していてもよい。或いは、隔壁214bの上面及びアッパシール材234の上面は、略面一であってもよい。
【0058】
図3及び
図4を参照して、アッパシール材234に対して収容体200のY方向の外側の構造について説明する。
【0059】
Z方向から見て、サイドカバー部220cは、第2アッパ取付部220aの外縁に設けられている。
図5に示すように、サイドカバー部220cの下端は、第2アッパ取付部220aの外縁から下方に向けて突出している。サイドカバー部220cは、アッパシール材234の収容空間250の反対側の面を覆っている。電池パック10が搭載される自動車の洗浄等の所定の条件において、高圧の水が収容体200の外側から噴射される可能性がある。サイドカバー部220cは、当該水がアッパシール材234に直接噴射されることを遮る構造体の少なくとも一部分として機能することができる。
【0060】
図5に示すように、張出部214cは、サイドカバー部220cの下方に位置している。張出部214cは、サイドカバー部220cより外側へ向けて張り出している。
図3に示すように、Z方向から見て、張出部214cは、サイドフレーム214の全周において連続的に延在している。ただし、張出部214cは、サイドフレーム214の全周において部分的に途切れていてもよい。電池パック10が搭載される自動車の洗浄等の所定の条件において、高圧の水が収容体200の外側の斜め下方から噴射される可能性がある。張出部214cは、当該水がアッパシール材234に直接噴射されることを遮る構造体の少なくとも一部分として機能することができる。
【0061】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0062】
例えば、実施形態では、ロアケース210の第1ロア取付部212a及びサイドフレーム214の第2ロア取付部214a1の締結構造と、サイドフレーム214の第1アッパ取付部214a2及びアッパケース220の第2アッパ取付部220aの締結構造と、について説明した。これらの締結構造は、シール材を介して互いに対向する他の2つの取付部にも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 電池パック
100 電池モジュール
110 ターミナル
200 収容体
210 ロアケース
212 ロアプレート
212a 第1ロア取付部
214 サイドフレーム
214a1 第2ロア取付部
214a2 第1アッパ取付部
214a3 傾斜面
214b 隔壁
214c 張出部
214d ロア空間
214e アッパ空間
214f ガス排出路
214g ガス排出孔
214h 圧力開放弁
220 アッパケース
220a 第2アッパ取付部
220b アッパカバー部
220c サイドカバー部
232 ロアシール材
234 アッパシール材
242 ロアリベットナット
242a ロアボディ
242a1 ロア拡張部
242b ロアヘッド
244 ロアボルト
246 アッパリベットナット
246a アッパボディ
246a1 アッパ拡張部
246b アッパヘッド
248 アッパボルト
250 収容空間
262 ロア内側空間
264 ロア外側空間