IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-蓋体開閉補助具 図1
  • 特開-蓋体開閉補助具 図2
  • 特開-蓋体開閉補助具 図3
  • 特開-蓋体開閉補助具 図4
  • 特開-蓋体開閉補助具 図5
  • 特開-蓋体開閉補助具 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021616
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】蓋体開閉補助具
(51)【国際特許分類】
   A47J 45/10 20060101AFI20240208BHJP
   A47J 47/16 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A47J45/10 Z
A47J47/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124577
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】梅田 真由子
(72)【発明者】
【氏名】前島 恵
【テーマコード(参考)】
4B066
【Fターム(参考)】
4B066EE19
4B066EE53
(57)【要約】
【課題】ユーザが違和感を感じることなく、調理用鍋の蓋体の開閉操作を行えるようにすることが可能な蓋体開閉補助具を提供する。
【解決手段】蓋体開閉補助具1は、把持部5と、蓋体22のツマミ3が収納されるツマミ収納部6とを備える。ツマミ収納部は、蓋体開閉補助具の外周側壁の一の面に設けられた側面開口部61と、蓋体開閉補助具の底壁の下面に設けられた下面開口部62と、側面開口部から蓋体開閉補助具の中央部方向に凹設された空間7とを有する。空間は、ツマミの収納位置におけるツマミ頭部が収納される頭部収納空間とツマミ基部が収納される基部収納空間とを含むツマミ収納空間と、側面開口部からツマミ収納空間までの間におけるツマミ頭部が通過可能な頭部通過空間とツマミ基部が通過可能な基部通過空間とを含むツマミ通過空間とを有し、少なくとも頭部収納空間の水平方向の幅は基部収納空間の水平方向の幅よりも拡大されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理用鍋に使用される蓋体のツマミであって、前記蓋体の略中央部に位置し、側面視でツマミ頭部の方がツマミ基部よりも水平方向の幅が拡大された形状であるT字形状に形成され、前記蓋体の上面から上方に突設された前記ツマミに対して、水平方向である一の方向に移動させることによって着脱自在に装着可能な蓋体開閉補助具において、
前記蓋体開閉補助具は、
前記蓋体開閉補助具の上部を構成し、前記蓋体開閉補助具を把持する把持部と、
前記把持部の下方に位置し、前記ツマミが前記蓋体開閉補助具の内部に収納されるツマミ収納部と、を備え、
前記ツマミ収納部は、
前記蓋体開閉補助具の外周側壁における前記一の方向に略直交する一の面に設けられ、前記外周側壁の下端まで開口した側面開口部と、
前記蓋体開閉補助具の底壁の下面に設けられ、前記側面開口部と連通した下面開口部と、
前記側面開口部から前記蓋体開閉補助具の中央部方向に凹設された空間と、を有し、
前記空間は、
前記ツマミの収納位置における前記ツマミ頭部が収納される頭部収納空間と前記ツマミ基部が収納される基部収納空間とを含むツマミ収納空間と、
前記側面開口部から前記ツマミ収納空間までの間における前記ツマミ頭部が通過可能な頭部通過空間と前記ツマミ基部が通過可能な基部通過空間とを含むツマミ通過空間と、を有し、
前記一の方向視で、少なくとも、前記頭部収納空間の水平方向の幅は、前記基部収納空間の水平方向の幅よりも拡大されている、蓋体開閉補助具。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋体開閉補助具において、
前記一の方向視で、前記頭部通過空間の水平方向の幅は、前記頭部収納空間の水平方向の幅と略同一または大きい寸法に設定され、
前記一の方向視で、前記基部通過空間の水平方向の幅は、前記基部収納空間の水平方向の幅と略同一または大きい寸法に設定されている、蓋体開閉補助具。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋体開閉補助具において、
前記基部通過空間の側壁および/または前記頭部通過空間の側壁には、突出する凸部が設けられている、蓋体開閉補助具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の蓋体開閉補助具において、
前記把持部には、少なくとも、前記一の面に対向する方向視で、把持部上部の水平方向の幅よりも縮小した水平方向の幅を有するくびれ部が設けられている、蓋体開閉補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用鍋の蓋体のツマミに着脱自在に装着させて蓋体の開閉操作に用いられる蓋体開閉補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
調理用鍋において、蓋体の略中央部に位置し、側面視でツマミ頭部の方がツマミ基部よりも水平方向の幅が拡大された形状であるT字形状に形成され、蓋体の上面から上方に突設したツマミを有する蓋体を備えた調理用鍋がある。このような構成の調理用鍋は、調理の際、蓋体のツマミが高温となりやすいため、ユーザがミトン(布製等の厚手の手袋状のもの)などを使用することなく、蓋体の開閉操作を行うことができるように、例えば、特許文献1には、ツマミに係止可能な凹所部を有する自立型蓋掴みと称する蓋体開閉補助具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-113355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示する蓋体開閉補助具では、凹所部を設けた矩形のプレート材に棒状のハンドルを取り付けた構成を有し、棒状のハンドルを手で握り、凹所部を蓋体のツマミに引っ掛けて持ち上げるようにして鍋の蓋体を開け、また、凹所部にツマミを引っ掛けた状態で蓋体を鍋の上に被せることで蓋体を閉じるようにする。しかしながら、このような構成の前記蓋体開閉補助具を用いて蓋体を開閉する操作では、ユーザは、蓋体開閉補助具を用いずにツマミを手で持って蓋体を開閉した時の操作とは異なる操作を行わなければならないため、ユーザは、その操作感に対し、違和感を感じてしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、ユーザが違和感を感じることなく、調理用鍋の蓋体の開閉操作を行えるようにすることが可能となる蓋体開閉補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る蓋体開閉補助具は、
調理用鍋に使用される蓋体のツマミであって、前記蓋体の略中央部に位置し、側面視でツマミ頭部の方がツマミ基部よりも水平方向の幅が拡大された形状であるT字形状に形成され、前記蓋体の上面から上方に突設された前記ツマミに対して、水平方向である一の方向に移動させることによって着脱自在に装着可能な蓋体開閉補助具において、
前記蓋体開閉補助具は、
前記蓋体開閉補助具の上部を構成し、前記蓋体開閉補助具を把持する把持部と、
前記把持部の下方に位置し、前記ツマミが前記蓋体開閉補助具の内部に収納されるツマミ収納部と、を備え、
前記ツマミ収納部は、
前記蓋体開閉補助具の外周側壁における前記一の方向に略直交する一の面に設けられ、前記外周側壁の下端まで開口した側面開口部と、
前記蓋体開閉補助具の底壁の下面に設けられ、前記側面開口部と連通した下面開口部と、
前記側面開口部から前記蓋体開閉補助具の中央部方向に凹設された空間と、を有し、
前記空間は、
前記ツマミの収納位置における前記ツマミ頭部が収納される頭部収納空間と前記ツマミ基部が収納される基部収納空間とを含むツマミ収納空間と、
前記側面開口部から前記ツマミ収納空間までの間における前記ツマミ頭部が通過可能な頭部通過空間と前記ツマミ基部が通過可能な基部通過空間とを含むツマミ通過空間と、を有し、
前記一の方向視で、少なくとも、前記頭部収納空間の水平方向の幅は、前記基部収納空間の水平方向の幅よりも拡大されている構成とする。
【0007】
ここで、前記水平方向の一の方向とは、例えば、蓋体開閉補助具の正面を前向きにした前方向とすることができ、また、前記一の方向に略直交する一の面は、蓋体開閉補助具の正面とし、前記一の方向視は、蓋体開閉補助具の正面視とすることができる。
【0008】
前記構成によれば、本発明の蓋体開閉補助具は、側面開口部を通して調理用鍋の蓋体のツマミをツマミ収納空間に収納させてツマミに装着した際に、当該ツマミに対して、ほぼ同位置でツマミを覆うことができ、ツマミの上方に蓋体開閉補助具の把持部が位置するようになる。このため、ツマミを手で持って蓋体を開閉する時と変わりなく、蓋体開閉補助具の把持部を手で持って蓋体の開閉を行うことができる。従って、本発明の蓋体開閉補助具によれば、蓋体開閉補助具を用いずに蓋体の開閉した時の操作感とは大差がなくなるため、ユーザの蓋体の開閉操作感に対する違和感を解消することができる。
【0009】
また、蓋体開閉補助具を蓋体のツマミに装着した状態では、蓋体開閉補助具の上部を構成する把持部はツマミの上方に位置するので、把持部を持つ手が蓋体から離れて蓋体と接触し難くなる。蓋体開閉補助具のツマミ収納空間は、頭部収納空間の水平方向の幅が基部収納空間の水平方向の幅よりも拡大されており、T字形状のツマミをしっかり保持することができるので、安定して蓋体を開閉することができる。
【0010】
発明2に係る蓋体開閉補助具は、
前記発明1の蓋体開閉補助具において、
前記一の方向視で、前記頭部通過空間の水平方向の幅は、前記頭部収納空間の水平方向の幅と略同一または大きい寸法に設定され、
前記一の方向視で、前記基部通過空間の水平方向の幅は、前記基部収納空間の水平方向の幅と略同一または大きい寸法に設定されている構成とすることができる。
【0011】
前記構成によれば、蓋体開閉補助具を調理用鍋の蓋体のツマミに横方向(水平方向)から簡単に装着しやすくなり、蓋体開閉補助具の使い勝手を向上させることができる。
【0012】
発明3に係る蓋体開閉補助具は、
前記発明1または2の蓋体開閉補助具において、
前記基部通過空間の側壁および/または前記頭部通過空間の側壁には、突出する凸部が設けられている構成とすることができる。
【0013】
前記構成によれば、蓋体開閉補助具のツマミ収納空間に蓋体のツマミを収納させて蓋体の開閉操作を行う際、前記凸部によって、蓋体開閉補助具のツマミからの抜けを抑制することができるため、蓋体開閉補助具の使い勝手を向上させることができる。
【0014】
発明4に係る蓋体開閉補助具は、
前記発明1~3のいずれか1つの蓋体開閉補助具において、
前記把持部には、少なくとも、前記一の面に対向する方向視で、把持部上部の水平方向の幅よりも縮小した水平方向の幅を有するくびれ部が設けられている構成とすることができる。
【0015】
前記構成によれば、前記くびれ部によって、ユーザがしっかり蓋体開閉補助具を握ることができるようになるため、安定して蓋体の開閉を行うことができ、蓋体開閉補助具の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の蓋体開閉補助具により調理用鍋の蓋体を開閉する時の使用状態を示す斜視図であり、同図(a)は蓋体開閉補助具のツマミ装着前の状態を示す斜視図、同図(b)は蓋体開閉補助具のツマミ装着状態を示す斜視図である。
図2】実施形態の蓋体開閉補助具と調理用鍋とを示す側面図である。
図3】実施形態の蓋体開閉補助具を示す斜視図である。
図4】実施形態の蓋体開閉補助具の各面を示す図であり、同図(a)は正面図、同図(b)は左側面図、同図(c)は背面図、同図(d)は平面図、同図(e)は底面図である。
図5】実施形態の蓋体開閉補助具のツマミ装着状態を示す正面斜視図である。
図6】実施形態の蓋体開閉補助具の内部の空間を説明するための図であり、図4(a)のX-X線(二点鎖線)の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1(a)(b)および図2に示すように、実施形態の蓋体開閉補助具1は、この蓋体開閉補助具1を水平方向の一の方向に移動させて調理用鍋2の蓋体22のツマミ3に着脱自在に装着して、蓋体22の開閉を行うために使用される道具である。この蓋体開閉補助具1を使用することで、調理の際に熱くなったツマミ3を直接手で持つことなく、蓋体22を容易に開閉することができる。本実施形態において、前記水平方向の一の方向とは、蓋体開閉補助具1の正面を前向きにした前方向とする。
【0018】
調理用鍋2としては、上方開放部を有する有底円筒形状に形成されて被調理物等を入れる鍋本体21と、鍋本体21の上方開放部を覆う円板形状の蓋体22とを備えている。鍋本体21は、側面部の上部の左右位置に外方に突設された取っ手4を有する。蓋体22は、中央部に位置し、蓋体22の上面から上方に突設されたツマミ3を有する。ツマミ3は、上部のツマミ頭部31と下部のツマミ基部32とで構成され、側面視(図2参照。)でツマミ頭部31の方がツマミ基部32よりも水平方向の幅が拡大された形状である略T字形状に形成されている。本実施形態におけるツマミ3では、ツマミ頭部31は円板形状を有し、ツマミ基部32は円錐形の先端側を付き合わせたような中間部の外形が縮小した円柱形状を有する。なお、調理用鍋2の形状は、円形に限らず、楕円形、四角形等の多角形等のように任意の形状を選択することができる。ツマミ3の形状は、ツマミ頭部31がキノコのような天頂部に丸みを帯びた形状であったり、ツマミ基部32は寸胴な円柱形状であったりする等のように任意の形状を選択することができ、また、ツマミ3の全体形状は、円形に限らず、楕円形、四角形等の多角形等のように任意の形状を選択することができる。また、鍋本体21や蓋体22の材質は、金属、陶器、セラミック等で形成することができ、ツマミ3は、金属、樹脂、セラミック、木材等で形成することができる。
【0019】
図3および図4(a)~(e)に示すように、実施形態の蓋体開閉補助具1は、全体形状が概略円柱形状に形成されており、この概略円柱形状の上側部分が蓋体開閉補助具1を手で把持する把持部5を構成し、把持部5の下方に位置する下側部分が蓋体22のツマミ3を蓋体開閉補助具1の内部に収納させるツマミ収納部6を構成する。実施形態の蓋体開閉補助具1を作製する原材料は、フェノール樹脂であるが、他の樹脂であってもよく、また、金属、セラミック、木材等であってよい。なお、蓋体開閉補助具1の原材料としては、ツマミ3よりも熱伝導性が低い原材料を使用するのが好ましく、この場合、熱くなったツマミ3に蓋体開閉補助具1を装着した時に蓋体開閉補助具1は熱くなり難くすることができる。また、蓋体開閉補助具1の形状は、概略円柱形状に限らず、楕円柱形状、四角柱等の多角柱形状等であってもよい。また、蓋体開閉補助具1は、把持部5を構成する上側部分とツマミ収納部6を構成する下側部分とで幅や高さ等の大きさ、また、その形状等が異なっていてもよい。
【0020】
把持部5は、把持部5上部に形成されるツバ部51と、ツバ部51より下側部分のくびれ部52とを有する。ツバ部51は円板形状に形成されており、くびれ部52は円柱形状に形成されている。くびれ部52の円柱形状の直径は、ツバ部51の円板形状の直径よりも縮小した寸法に設定されている。くびれ部52の前記直径、ツバ部51の前記直径は、それぞれの水平方向での幅である。
【0021】
ツマミ収納部6は、蓋体開閉補助具1の外周側壁の正面(図4(a))に設けられた側面開口部61と、蓋体開閉補助具1の底壁の下面(図4(e))に設けられた下面開口部62と、側面開口部61から蓋体開閉補助具1の中央部方向に凹設された空間7とを有する。なお、前記した蓋体開閉補助具1の外周側壁の正面とは、蓋体開閉補助具1の水平方向の一の方向に略直交する一の面である。
【0022】
側面開口部61は、蓋体開閉補助具1の外周側壁の下端まで開口され、ツマミ3の側面視の投影形状を模した略T字形状を有し、ツマミ3の大きさよりも大きい寸法に設定されている。側面開口部61は、蓋体開閉補助具1をツマミ3に着脱する時のツマミ3の出入口となる。下面開口部62は、外周側壁の正面側で側面開口部61と連通して開口した略U字形状を有し、蓋体開閉補助具1をツマミ3に着脱する時にツマミ基部32の通過等を確保する開口部となり、ツマミ基部32の太さよりも大きい寸法に設定されている。
【0023】
図5および図6をも参照して、空間7は、蓋体開閉補助具1の略中央部であるツマミ3の収納位置においてツマミ頭部31が収納される頭部収納空間71Aとツマミ基部32が収納される基部収納空間71Bとを構成するツマミ収納空間71と、側面開口部61からツマミ収納空間71までの間の範囲においてツマミ頭部31が通過可能な頭部通過空間72Aとツマミ基部32が通過可能な基部通過空間72Bとを構成するツマミ通過空間72とを有する。
【0024】
図6に示すように、頭部収納空間71Aの外周部には、この頭部収納空間71Aの一部を囲む半円形状の側壁を形成する側壁部60が配設されている。基部通過空間72Bの外側部には、この基部通過空間72Bの水平方向の左右に側壁を形成する左右一対のアーム部8a,8bが配設されている。この一対のアーム部8a,8bより後側部分は、基部収納空間71Bを囲むように円弧形状をなして繋がっている。蓋体開閉補助具1の底壁の下面における下面開口部62の外周囲は、ツマミ3のツマミ基部32の円錐形状に倣って下面開口部62に向かって上方へ傾斜した傾斜部82(図4(a)(e)を参照。)となっている。また、一対のアーム部8a,8bの先端側の底部は、先端に向かって上方へ傾斜した切欠部82A(図4(b)(e)を参照。)が形成されている。
【0025】
ツマミ収納空間71の大きさとツマミ通過空間72の大きさは、対象となるツマミ3の大きさよりも大きい寸法に設定されている。ツマミ通過空間72は、側面開口部61から連続して形成される空間であるため、側面開口部61の形状や寸法は、ツマミ通過空間72の形状や寸法に依存して設定される。
【0026】
頭部収納空間71Aは、ツマミ頭部31が収納可能なようにツマミ頭部31よりも少し大きい円柱形状の空間である。基部収納空間71Bは、ツマミ基部32が収納可能なようにツマミ基部32よりも少し大きい円柱形状の空間である。蓋体開閉補助具1の正面視で、頭部収納空間71Aの水平方向の幅は、基部収納空間71Bの水平方向の幅よりも拡大された大きさを有する。従って、ツマミ収納空間71にツマミ3を装着して蓋体開閉補助具1を持ち上げたときに蓋体開閉補助具1の底壁からツマミ3が抜け落ちることはない。なお、本実施形態では、蓋体開閉補助具1の正面視で、頭部通過空間72Aの水平方向の幅は、基部通過空間72Bの水平方向の幅よりも拡大された大きさを有するが、基部通過空間72Bの前記水平方向の幅が頭部通過空間72Aの前記水平方向の幅と略同一の寸法に形成されてあってもよい。
【0027】
頭部通過空間72Aは、蓋体開閉補助具1の正面視で側面開口部61の横向き開口部分の開口幅および開口高さで、この横向き開口部分から頭部収納空間71Aまでの範囲の略円弧形状の空間である。基部通過空間72Bは、蓋体開閉補助具1の正面視で側面開口部61の縦向き開口部分の開口幅および開口高さで、この縦向き開口部分から基部収納空間71Bまでの範囲の略長方形形状の空間である。
【0028】
蓋体開閉補助具1の正面視で、頭部通過空間72Aの水平方向の幅と頭部収納空間71Aの水平方向の幅とは、対象となるツマミ3のツマミ頭部31の幅の寸法(直径)よりも大きい寸法に設定されている。本実施形態では、頭部通過空間72Aの前記水平方向の幅は、頭部収納空間71Aの前記水平方向の幅と略同一の寸法に形成されているが、頭部通過空間72Aの前記水平方向の幅は、頭部収納空間71Aの前記水平方向の幅よりも大きい寸法に形成されてあってもよい。
【0029】
蓋体開閉補助具1の正面視で、基部通過空間72Bの水平方向の幅と基部収納空間71Bの水平方向の幅とは、対象となるツマミ3のツマミ基部32の幅の寸法(直径)よりも大きい寸法に設定されている。本実施形態では、基部通過空間72Bの前記水平方向の幅は、基部収納空間71Bの前記水平方向の幅と略同一の寸法に形成されているが、基部通過空間72Bの前記水平方向の幅は、基部収納空間71Bの前記水平方向の幅よりも大きい寸法に形成されてあってもよい。
【0030】
基部通過空間72Bの左右の側壁には、対向する側壁に向かって突出した左右で一対の凸部81a,81b(図4(a)参照。)が設けられている。一対の凸部81a,81bは、基部収納空間71Bの近傍に配設されているが、基部通過空間72Bの側壁の形成範囲で任意の位置に設けるようにしてもよい。また、一対の凸部81a,81b間の寸法は、ツマミ基部32の直径よりも少し大きく設定されている。なお、凸部81a,81bは、頭部通過空間72Aの左右に側壁を有する場合、この左右の側壁に設けるようにしてもよい。この場合、凸部81a,81bは、基部通過空間72Bの側壁と頭部通過空間72Aの側壁の両方またはいずれか一方に設けるようにしてもよい。また、凸部81は、前記左右の側壁の一方にのみ設けるようにしてもよい。
【0031】
また、蓋体開閉補助具1の天面(把持部5上部の上面と同じ。)には、側面開口部61を設けた蓋体開閉補助具1の正面側の位置を示す印m(図3図4(d)を参照。)が付されている。本実施形態では、この印mとして、文字が刻設されており、この文字を正常に読める向きの蓋体開閉補助具1の上面視で前側に該当する外周側壁の面が、側面開口部61を設けた蓋体開閉補助具1の正面となる。従って、ユーザは、印mとなる前記文字を正常に読める向きで、蓋体開閉補助具1の把持部5を手で持つことで、手に持った蓋体開閉補助具1の向きは、自然に、側面開口部61を設けた蓋体開閉補助具1の正面が手の前側に位置する向きとなる。この状態で、蓋体開閉補助具1を蓋体22のツマミ3に向けて移動させれば、容易に側面開口部61を通してツマミ3をツマミ収納空間71に装着させることができる。なお、前記印mは、「前」等のような様々な文字とすることができ、また、前記印mは、文字の他に、矢印等の記号、図形、模様、図柄等であってもよい。
【0032】
次に、蓋体開閉補助具1の使用方法を説明する。
図1(a)(b)および図2を参照して、調理用鍋2の蓋体22を開ける際、ユーザは、蓋体開閉補助具1の把持部5を手で持ち、蓋体22のツマミ3に向けて蓋体開閉補助具1をほぼ水平方向に移動させ、ツマミ3に対し、蓋体開閉補助具1をその側面開口部61から差し込み、ツマミ収納空間71にツマミ3を配置させ、蓋体開閉補助具1をツマミ3に装着する。この状態で、蓋体開閉補助具1を上方へ移動させることで、蓋体22が持ち上がって調理用鍋2から蓋体22を開くことができる(図5参照。)。蓋体22を閉じる際は、ツマミ3に装着した蓋体開閉補助具1を手に持った状態から、鍋本体21の上方開放部に蓋体22を被せるように下方に移動させることで、調理用鍋2の蓋体22を閉じることができる。蓋体22を閉じた後、蓋体開閉補助具1を水平方向(装着時の反対方向)に移動させることで、蓋体開閉補助具1をツマミ3から簡単に取り外すことができる。
【0033】
以上より、本実施形態の蓋体開閉補助具1によれば、蓋体開閉補助具1を、側面開口部61を通して調理用鍋2の蓋体22のツマミ3をツマミ収納空間71に収納させてツマミ3に装着した際に、ツマミ3に対して、ほぼ同位置でツマミ3を覆うことができ、ツマミ3の上方に蓋体開閉補助具1の把持部5が位置するようになる(図1(b)参照。)。このため、ツマミ3を手で持って蓋体22を開閉する場合と変わりなく、蓋体開閉補助具1の把持部5を手で持って蓋体22の開閉を行うことができる。従って、本実施形態の蓋体開閉補助具1によれば、蓋体開閉補助具1を用いずに蓋体22の開閉した時の操作感とは大差がなくなるため、ユーザの蓋体22の開閉操作感に対する違和感を解消することができる。
【0034】
また、例えば、調理中に調理の出来具合いを確かめる等のために調理用鍋2の蓋体22を開閉する時に、ミトンを使うと蓋体22の開閉の度に手にミトンを着脱することが煩わしく時間もかかってしまうが、本実施形態の蓋体開閉補助具1によれば、この蓋体開閉補助具1を手に持って蓋体22のツマミ3に装着するだけで、ユーザは、ツマミ3を手で持って蓋体22を開閉する時の操作と同じように操作することができるので、操作方法に迷わずに簡単且つ容易に蓋体22の開閉操作を行うことができる。また、ユーザは、本蓋体開閉補助具1を初めてみた場合でも、その使用方法を直感的に理解して蓋体22の開閉操作に使用することができる。
【0035】
蓋体開閉補助具1を蓋体22のツマミ3に装着した状態では、蓋体開閉補助具1の上部を構成する把持部5はツマミ3の上方に位置するので、把持部5を持つ手が蓋体22から離れて蓋体22と接触し難くなるという有利な効果がある。また、蓋体開閉補助具1のツマミ収納空間71は、頭部収納空間71Aの水平方向の幅が基部収納空間71Bの水平方向の幅よりも拡大されており、略T字形状のツマミ3をしっかり保持することができるので、安定して蓋体22を開閉することができる。
【0036】
ツマミ収納部6にあっては、頭部通過空間72Aの水平方向の幅は、頭部収納空間71Aの水平方向の幅と略同一の寸法に形成されており、基部通過空間72Bの水平方向の幅は、基部収納空間71Bの水平方向の幅と略同一の寸法に形成されている。これにより、蓋体開閉補助具1を調理用鍋2の蓋体22のツマミ3に横方向(水平方向)から簡単に装着しやすくなり、蓋体開閉補助具1の使い勝手を向上させることができる。なお、頭部通過空間72Aの水平方向の幅が頭部収納空間71Aの水平方向の幅よりも大きい寸法に形成され、基部通過空間72Bの水平方向の幅が基部収納空間71Bの水平方向の幅よりも大きい寸法に形成されている場合は、ツマミ3に対して蓋体開閉補助具1をより簡単に装着しやすくすることができる。
【0037】
また、ツマミ収納部6において、一対のアーム部8a,8bの先端側の底部には、先端に向かうに従って上方へ傾斜した切欠部82A(図4(b)参照。)を有する。この切欠部82Aは、蓋体開閉補助具1の正面側の底面を構成しているので、蓋体開閉補助具1をツマミ3に装着させる際、蓋体開閉補助具1が前下がり気味でツマミ3に向けられても、ツマミ3に対して蓋体開閉補助具1を装着しやすくすることができる。
【0038】
基部通過空間72Bの側壁には、水平方向に突出する一対の凸部81a,81b(図4(a)参照。)が設けられている。これにより、蓋体開閉補助具1のツマミ収納空間71に蓋体22のツマミ3を収納させて蓋体22の開閉操作を行う際、凸部81a,81bによって、蓋体開閉補助具1のツマミ3からの抜けを抑制することができるため、蓋体開閉補助具1の使い勝手を向上させることができる。また、蓋体22を宙に浮かせた状態で蓋体22を傾けた時にツマミ3のツマミ基部32が凸部81a,81bに当たることで、ユーザは、その感触を認識し、蓋体22が水平となる安定した保持姿勢となるように対応することができる。一対の凸部81a,81bは、基部収納空間71Bの近傍に配設されており、また、一対の凸部81a,81b間の寸法は、ツマミ基部32の直径よりも少し大きく設定されている。従って、基部通過空間72Bをツマミ3のツマミ基部32が移動する時、凸部81a,81bにツマミ基部32が当たってもツマミ基部32を通過可能とし、また、この時、凸部81a,81bにツマミ基部32が当たった時のクリック感をユーザが感じることでツマミ3がツマミ収納空間71に配置されたことを認識しやすくすることができる。また、凸部81a,81bは、ツマミ収納空間71に配置されたツマミ3をロックしないため、蓋体22を鍋本体21上に置いた状態で蓋体開閉補助具1をスライドさせれば容易にツマミ3から脱出させることができ、使い勝手がよい。
【0039】
把持部5には、把持部5上部のツバ部51の水平方向の幅よりも縮小した水平方向の幅を有するくびれ部52が設けられている。これにより、くびれ部52によって、ユーザがしっかり蓋体開閉補助具1を握ることができるようになるため、安定して蓋体22の開閉を行うことができ、蓋体開閉補助具1の使い勝手を向上させることができる。なお、くびれ部52は、全周をツバ部51よりも縮小した水平方向の幅とせず、側面開口部61を正面視した場合、把持部5の左右側面または右側面か左側面の一方の面を凹ませた形状としてもよい。この場合、くびれ部52に手の指を沿わせることで、側面開口部61を前向きに配置させやすくなるため、蓋体22のツマミ3に対し、側面開口部61を対向させ、蓋体開閉補助具1を横方向(水平方向)から簡単に装着させやすくすることができ、蓋体開閉補助具1の使い勝手を向上させることができる。
【0040】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことができる。
例えば、基部通過空間72Bの側壁および頭部通過空間72Aの側壁には、凸部81a,81bを設けない構成であってもよい。
蓋体開閉補助具1の天面には、印mを有しない構成であってもよい。
また、蓋体開閉補助具1は、把持部5とツマミ収納部6とに分解および組立できる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 蓋体開閉補助具
2 調理用鍋
3 ツマミ
4 取っ手
5 把持部
6 ツマミ収納部
7 空間
8a,8b アーム部
21 鍋本体
22 蓋体
31 ツマミ頭部
32 ツマミ基部
51 ツバ部
52 くびれ部
60 側壁部
61 側面開口部
62 下面開口部
71 ツマミ収納空間
71A 頭部収納空間
71B 基部収納空間
72 ツマミ通過空間
72A 頭部通過空間
72B 基部通過空間
81a,81b 凸部
82 傾斜部
82A 切欠部
m 印
図1
図2
図3
図4
図5
図6