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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021620
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240208BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B41J2/165 211
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124597
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】勝家 隼
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 峻介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA07
2C056JC06
2C056JC10
(57)【要約】
【課題】噴射性能が劣化することを抑制すること。
【解決手段】液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルが形成された噴射面を有する液体噴射ヘッドと、前記複数のノズルが露出する開口を有し、前記開口によって前記複数のノズルが露出した状態で前記液体噴射ヘッドを支持する支持体と、前記噴射面及び前記支持体に対向する対向面と、前記対向面に形成された1又は複数の吸引口とを有する吸引装置と、を備え、前記吸引装置は、前記噴射面に対して前記1又は複数の吸引口が前記噴射面に沿う第1方向に相対的に移動しながら、前記1又は複数の吸引口から吸引対象物を吸引可能であり、前記1又は複数の吸引口の一部又は全部は、前記噴射面の法線方向に見て、前記液体噴射ヘッドと前記支持体とが前記法線方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向で離間することにより形成された隙間と重なる位置に移動可能である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する複数のノズルが形成された噴射面を有する液体噴射ヘッドと、
前記複数のノズルが露出する開口を有し、前記開口によって前記複数のノズルが露出した状態で前記液体噴射ヘッドを支持する支持体と、
前記噴射面及び前記支持体に対向する対向面と、前記対向面に形成された1又は複数の吸引口とを有する吸引装置と、
を備え、
前記吸引装置は、前記噴射面に対して前記1又は複数の吸引口が前記噴射面に沿う第1方向に相対的に移動しながら、前記1又は複数の吸引口から吸引対象物を吸引可能であり、
前記1又は複数の吸引口の一部又は全部は、前記噴射面の法線方向に見て、前記液体噴射ヘッドと前記支持体とが前記法線方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向で離間することにより形成された隙間と重なる位置に移動可能である、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
液体を噴射する複数のノズルが形成された噴射面を夫々が有する複数の液体噴射ヘッドと、
前記複数の液体噴射ヘッドを第1方向に並べるようにして支持する支持体と、
前記複数の液体噴射ヘッドの夫々の噴射面及び前記支持体に対向する対向面と、前記対向面に形成された1又は複数の吸引口とを有する吸引装置と、
を備え、
前記吸引装置は、前記複数の液体噴射ヘッドの夫々の噴射面に対して前記第1方向に相対的に移動しながら、前記1又は複数の吸引口から吸引対象物を吸引可能であり、
前記1又は複数の吸引口の一部又は全部は、前記複数の液体噴射ヘッドのうち一の液体噴射ヘッドの噴射面の法線方向に見て、前記複数の液体噴射ヘッドのうち隣り合う2つの液体噴射ヘッドによって形成される隙間に重なる位置に移動可能であり、
前記1又は複数の吸引口の前記法線方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向の幅は、前記隙間の前記第2方向の幅よりも長い、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
前記隣り合う2つの液体噴射ヘッドは、前記第2方向に見て、互いの一部が重なり、
前記吸引装置は、前記複数の吸引口を有し、
前記複数の吸引口は、前記第2方向にずれて配置され、且つ、前記第1方向に見て互いの一部が重なる、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記複数の吸引口は、前記第2方向に見て重なる、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記複数のノズルは、前記法線方向に見て、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に配列されており、
前記複数の吸引口の夫々は、前記第3方向に延在する、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インク等の液体を噴射するノズルが形成された噴射面を有する液体噴射ヘッドを備え、印刷用紙等の媒体に液体を噴射する液体噴射装置が知られている。液体及び媒体から発生した紙粉等の異物が噴射面に付着すると噴射性能が劣化することがある。噴射面に付着した異物を除去するために、例えば、特許文献1には、噴射面に対向した状態で移動しながら、噴射面に付着した異物を吸引対象物として吸引する吸引装置を有する液体噴射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-091419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、異物は噴射面以外にも付着することがあるため、上述した従来の液体噴射装置では、従来の液体噴射装置が有する吸引装置では除去されない異物によって、噴射性能の劣化が発生するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルが形成された噴射面を有する液体噴射ヘッドと、前記複数のノズルが露出する開口を有し、前記開口によって前記複数のノズルが露出した状態で前記液体噴射ヘッドを支持する支持体と、前記噴射面及び前記支持体に対向する対向面と、前記対向面に形成された1又は複数の吸引口とを有する吸引装置と、を備え、前記吸引装置は、前記噴射面に対して前記1又は複数の吸引口が前記噴射面に沿う第1方向に相対的に移動しながら、前記1又は複数の吸引口から吸引対象物を吸引可能であり、前記1又は複数の吸引口の一部又は全部は、前記噴射面の法線方向に見て、前記液体噴射ヘッドと前記支持体とが前記法線方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向で離間することにより形成された隙間と重なる位置に移動可能である、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の好適な態様に係る液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルが形成された噴射面を夫々が有する複数の液体噴射ヘッドと、前記複数の液体噴射ヘッドを第1方向に並べるようにして支持する支持体と、前記複数の液体噴射ヘッドの夫々の噴射面及び前記支持体に対向する対向面と、前記対向面に形成された1又は複数の吸引口とを有する吸引装置と、を備え、前記吸引装置は、前記複数の液体噴射ヘッドの夫々の噴射面に対して前記第1方向に相対的に移動しながら、前記1又は複数の吸引口から吸引対象物を吸引可能であり、前記1又は複数の吸引口の一部又は全部は、前記複数の液体噴射ヘッドのうち一の液体噴射ヘッドの噴射面の法線方向に見て、前記複数の液体噴射ヘッドのうち隣り合う2つの液体噴射ヘッドによって形成される隙間に重なる位置に移動可能であり、前記1又は複数の吸引口の前記法線方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向の幅は、前記隙間の前記第2方向の幅よりも長い、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る液体噴射装置100の構成例を示す概略図。
図2】液体噴射ヘッド20及びキャリッジ182の外観斜視図。
図3】液体噴射ヘッド20の分解斜視図。
図4】4個のヘッドチップ70のうち最もX1方向に位置するヘッドチップ70の断面図。
図5】吸引動作中の液体噴射装置100の状態を示す図。
図6】吸引動作中の液体噴射装置100をZ2方向からZ1方向に見た図。
図7】吸引動作中の液体噴射装置100-Aの状態を示す図。
図8】吸引動作中の液体噴射装置100-AをZ2方向からZ1方向に見た図。
図9】吸引動作中の液体噴射装置100-BをZ2方向からZ1方向に見た図。
図10】第5実施形態に係る液体噴射装置100-Cの構成例を示す概略図。
図11】液体噴射モジュールHUの斜視図。
図12図11に示す液体噴射ヘッド20-Cの分解斜視図。
図13】ヘッドチップ70-C_1の断面図。
図14】吸引動作中の液体噴射装置100-Cの状態を示す図。
図15図14のa-a断面図。
図16】第6実施形態における液体噴射装置100-Dの構成例を示す概略図。
図17】液体噴射ヘッド20-D及びキャリッジ182-Dの斜視図。
図18】液体噴射ヘッド20-Dの分解斜視図。
図19】吸引動作中の液体噴射装置100-DをZ2方向からZ1方向に見た図。
図20】吸引動作中の第7実施形態に係る液体噴射装置100-EをZ2方向からZ1方向に見た図。
図21】吸引動作中の第1変形例に係る液体噴射装置100-FをZ2方向からZ1方向に見た図。
図22】吸引動作中の第2変形例に係る液体噴射装置100-GをZ2方向からZ1方向に見た図。
図23】吸引動作中の第3変形例に係る液体噴射装置100-HをZ2方向からZ1方向に見た図。
図24】吸引動作中の第4変形例に係る液体噴射装置100-JをZ2方向からZ1方向に見た図。
図25】吸引動作中の第5変形例に係る液体噴射装置100-KをZ2方向からZ1方向に見た図。
図26】吸引動作中の第6変形例に係る液体噴射装置100-LをZ2方向からZ1方向に見た図。
図27】吸引動作中の第7変形例に係る液体噴射装置100-MをZ2方向からZ1方向に見た図。
図28】吸引動作中の第8変形例に係る液体噴射装置100-Oの状態を示す図。
図29】吸引動作中の第9変形例に係る液体噴射装置100-Pの状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
1.第1実施形態
1-1.液体噴射装置100の概要
図1は、第1実施形態に係る液体噴射装置100の構成例を示す概略図である。液体噴射装置100は、液体の例示であるインクを印刷用紙等の媒体PPに噴射するインクジェット方式の印刷装置である。図1に示す液体噴射装置100は、制御モジュール12と搬送機構14とヘッド移動機構18と液体噴射ヘッド20と保守機構4とを具備する。
【0010】
制御モジュール12は、液体噴射装置100の各要素を統括的に制御する。制御モジュール12は、例えば、CPU、ASIC、又は、FPGA等の1又は複数の処理回路と、半導体メモリー等の1又は複数の記憶回路とである。CPUは、Central Processing Unitの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略語である。制御モジュール12は、自身の記憶回路に記憶されたプログラムを実行するとともに当該データを適宜使用することにより各種制御を実現する。
【0011】
搬送機構14は、制御モジュール12による制御のもとで、媒体PPを副走査方向であるY1方向に沿って搬送する。ヘッド移動機構18は、制御モジュール12による制御のもとで、主走査方向であるX1方向及びX2方向に液体噴射ヘッド20を移動させる。図1に示すように、ヘッド移動機構18は、液体噴射ヘッド20を支持する略箱型のキャリッジ182と、キャリッジ182が固定された無端ベルト181とを具備する。キャリッジ182は、「支持体」の一例である。
【0012】
Y1方向及びY1方向と反対の方向であるY2方向は、Y軸に沿う方向である。X1方向及びX2方向は、X軸に沿う方向である。X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。媒体PPの搬送とヘッド移動機構18の往復とに並行して液体噴射ヘッド20が媒体PPにインクを噴射することで媒体PPの表面に所望の画像が形成される。このように、第1実施形態における液体噴射装置100は、X軸に沿って往復動させるシリアル方式の液体噴射装置である。液体噴射ヘッド20によるインクの噴射方向を、Z2方向と表記する。Z2方向、及び、Z2方向の反対方向であるZ1方向は、Z軸に沿う方向である。Z2方向は、例えば、重力方向である。但し、Z2方向が重力方向に対して交差してもよい。
【0013】
液体噴射ヘッド20のZ1方向には、複数種のインクを別々に貯留する複数の液体容器19-1~19-4を収容する液体収容部17が設けられている。本実施形態におけるインクは、例えば、水系インク、有機溶剤系インク、及び、UVインクである。UVは、Ultra Violetの略語である。インクは、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの合計4色の液体である。本実施形態の液体容器19-1~19-4には夫々、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクが収容される。なお、液体容器19-1~19-4の構成や数は例示したものに限られない。
【0014】
液体噴射ヘッド20は、複数のヘッドチップ70を備える。各ヘッドチップ70は、内部に流路が形成される部材を備える流路構造体である。本実施形態では、X軸方向に沿って並ぶように、4個のヘッドチップ70を配列した場合を例示する。ヘッドチップ70の各々には、ノズル列が2個ずつ配置されている。複数のヘッドチップ70の夫々は、Y軸方向に延在しており、各ノズル列は、Y軸方向に沿って直線状に配列された複数のノズルNの集合である。なお、ヘッドチップ70やノズル列の数や配列は例示したものに限られない。液体噴射ヘッド20は、インクが流通する流路や、流路を流通するインクをろ過するフィルターを備える。
【0015】
図1に例示される通り、液体噴射ヘッド20には、制御モジュール12から、液体噴射ヘッド20を駆動するための駆動信号Comと、液体噴射ヘッド20を制御するための制御信号SIと、が供給される。そして、液体噴射ヘッド20は、制御信号SIによる制御のもとで駆動信号Comにより駆動され、液体噴射ヘッド20に設けられた複数のノズルNの一部又は全部から、Z2方向にインクを噴射することにより媒体PPに画像を形成する印刷動作を実行する。
【0016】
1-2.液体噴射ヘッド20の構造
図2は、液体噴射ヘッド20及びキャリッジ182の外観斜視図である。図3は、液体噴射ヘッド20の分解斜視図である。図4は、4個のヘッドチップ70のうち最もX1方向に位置するヘッドチップ70の断面図である。但し、図4では、ヘッドチップ70に加えて、配線部材78の一部と、固定板29の一部と、ホルダーカバー23の一部と、を表示してある。図4に示す断面は、XZ平面に平行な面である。
【0017】
図2及び図3に示すように、本実施形態における液体噴射ヘッド20は、流路ユニット202とヘッド本体204とを備える。ヘッド本体204には、上述した4個のヘッドチップ70が収容される。流路ユニット202は、液体容器19-1~19-4からのインクとして、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックをヘッド本体204の各ヘッドチップ70に供給する。
【0018】
図2に示すように、キャリッジ182は略平板状の部材であり、複数のノズルNを露出するための開口182Kが設けられる。液体噴射ヘッド20は、不図示のネジによってキャリッジ182に固定される。
【0019】
図4に示すように、ヘッドチップ70は、流路形成基板71と、流路形成基板71のZ1方向の表面に積層された圧力室形成基板72と、圧力室形成基板72のZ1方向に積層された振動板73と、流路形成基板71のZ2方向の表面に配置されたノズルプレート74及びコンプライアンス部75とを有する。ノズルプレート74は、例えば、シリコン又は金属材料等によって形成される平板状の部材である。複数のノズルNは、ノズルプレート74のノズル形成面FNに形成される。ノズル形成面FNは、図4に示すように、ノズルプレート74のZ2方向を向く面である。図1及び図4から理解されるように、1つのノズルプレート74には、Y軸に沿った2つのノズル列が形成される。ノズル形成面FNには、インクを弾く撥液膜が形成されている。なお、1つのヘッドチップ70には、ノズルNの各列に対応する構造が略線対称に形成されるから、以下ではノズルNの1列分に便宜的に着目してヘッドチップ70の構造を説明する。略線対称とは、完全に線対称とである場合の他に、製造上の誤差を考慮すれば線対称とであると看做せる場合を含む。
【0020】
流路形成基板71は、インクの流路を構成する平板状の部材である。本実施形態の流路形成基板71には、開口712と接続流路714と連通流路716とが形成される。接続流路714及び連通流路716はノズルN毎に形成され、開口712は、複数のノズルNにわたり連続する。圧力室形成基板72は、相異なるノズルNに対応する複数の開口722が形成された平板状の部材である。流路形成基板71や圧力室形成基板72は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
【0021】
コンプライアンス部75は、ヘッドチップ70の流路内の圧力変動を抑制する機構であり、封止板752と支持部材754とを含んで構成される。封止板752は、可撓性を有するフィルム状の樹脂部材であり、支持部材754は、流路形成基板71の開口712及び各接続流路714が閉塞されるように封止板752を流路形成基板71に固定する。支持部材754は、ステンレス鋼等の金属によって形成される。
【0022】
振動板73は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。振動板73と流路形成基板71とは、圧力室形成基板72に形成された各開口722の内側で相互に間隔をあけて対向する。各開口722の内側で流路形成基板71と振動板73とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与する圧力室CVとして機能する。本実施形態では、Y軸に沿って配列された複数の圧力室CVの列は、X軸に沿って2列配列する。
【0023】
図4に示すように、流路形成基板71及び保護板76にはケース77が固定される。ケース77は、例えば樹脂材料の成型で一体に形成される。本実施形態のケース77は、流路形成基板71の開口712とともに液体貯留室Rを形成する空間772と、液体貯留室Rに連通する供給口774とが形成される部材である。液体貯留室Rには、供給口774から導入されたインクが貯留される。液体貯留室Rに貯留されたインクは、複数の接続流路714により各圧力室CVに分配及び充填され、各圧力室CVから連通流路716とノズルNとを通過してZ2方向に噴射される。
【0024】
振動板73には配線部材78の端部が接合される。配線部材78は、駆動信号Com及び電源電圧を各圧電素子732に伝送するための配線が形成された配線基板である。4個のヘッドチップ70の各々に、1つずつ配線部材78が接続されている。配線部材78は、例えば、FPC、COF、又はFFC等の可撓性の配線基板が好適に採用される。ここで、FPCとは、Flexible Printed Circuitの略語である。COFは、Chip on Filmの略語である。FFCとは、Flexible Flat Cableの略語である。
【0025】
図3に示すように、配線部材78は、駆動回路781を有する。なお、図3に示す4個のヘッドチップ70のうち2個のヘッドチップ70について、配線部材78のX2方向の面に駆動回路781が設けられており、残り2個のヘッドチップ70について、配線部材78のX1方向の面に駆動回路781が設けられている。図3では、配線部材78のX1方向の面に設けられた駆動回路781を、破線で表示してある。駆動回路781は、制御信号SIのもとで、圧電素子732に対して、駆動信号Comを供給するか否かを切り替える電気回路である。各配線部材78は、後述する回路基板26に接続される。
【0026】
図2及び図3に示すように、流路ユニット202は、ケース22とホルダーカバー23とからなる部材内に、各構成部品を収容して形成されている。ケース22は、例えば樹脂材料の射出成型で形成され、ホルダーカバー23に積層されている。図3に示すように、ケース22とホルダーカバー23は、複数のネジ24で固定される。更に、図3及び図7に示すように、ケース22には、Z軸に沿って貫通する複数の貫通孔227が形成されている。複数の貫通孔227は、液体噴射ヘッド20をキャリッジ182に固定するために用いられる。
【0027】
図3に示すようにホルダーカバー23は、XY平面に略平行な内底面232を有する。略平行とは、完全に平行である場合の他に、製造上の誤差を考慮すれば平行であると看做せる場合を含む。内底面232は、4個の配線部材78の夫々を挿通するための4個の開口234を有する。4個の開口234は、Y軸方向に延在するように設けられる。Y軸方向に延在する4個の開口によって、内底面232は、Y軸方向に延在する3つの梁部236を有する。
【0028】
ホルダーカバー23には、シール部材25と、回路基板26と、ホルダー27とが収容される。
【0029】
図3に示すように、ホルダー27は、第1ホルダー271と、第2ホルダー272とを有する。第1ホルダー271と第2ホルダー272とが、Z1方向からZ2方向に向かって順次積層されている。ホルダーカバー23のZ2方向には、複数のヘッドチップ70が収容されており、ホルダーカバー23は、固定板29によってZ2方向から封止される。ケース22には、不図示のフィルターユニットが収容されている。フィルターユニットは、シール部材25の回路基板26とは反対側であるZ1方向に積層される。フィルターユニットは、前述したフィルターが設けられている。フィルターユニットの代わりにフィルターを備えない流路が形成された流路部品を代わりに配置してもよい。フィルターユニットは、樹脂材料の射出成型で形成される。
【0030】
回路基板26は、制御モジュール12から供給される駆動信号Com及び制御信号SI等を中継する基板である。回路基板26には、各ヘッドチップ70の配線部材78に電気的に接続される端子部262が形成されるとともに、制御モジュール12との接続のためのコネクター264やその他の電子部品等を実装している。本実施形態の回路基板26には、4つのヘッドチップ70の配線部材78に対応する4つの端子部262が回路基板26のZ1方向に形成されている。また、コネクター264にはFFC等の配線部材が接続され、回路基板26は、FFCを介して制御モジュール12から駆動信号Comを受信するようになっている。FFCは、Flexible Flat Cableの略語である。本実施形態の回路基板26のコネクター264は、X1方向とX2方向との夫々の端部から露出するように配置される。
【0031】
また、回路基板26には、図3に示すように、Z軸方向に貫通する貫通孔267及び貫通孔268が設けられる。貫通孔267及び貫通孔268は、ホルダーカバー23に対する回路基板26の位置決めに用いられる。
【0032】
第1ホルダー271及び第2ホルダー272は、インクの流路が形成される平板状の流路構造体である。第1ホルダー271及び第2ホルダー272は、樹脂材料の射出成型で形成される。第1ホルダー271及び第2ホルダー272は、例えば、フィルターユニットと同様に、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂によって構成される。第1ホルダー271のZ1方向を向く面には、Z1方向に突出した複数の流路273が形成されている。複数の流路273の各々は、回路基板26に形成された貫通孔を通り、シール部材25の貫通孔を介して、フィルターユニットに設けられた流路に連通されている。
【0033】
また、第2ホルダー272には、Z軸に沿って延びる複数の流路274が形成されている。複数の流路274の各々は、複数の流路273の夫々に連通している。各ヘッドチップ70には、各流路273及び各流路274を介してインクが導入される。
【0034】
更に、第1ホルダー271は、4個の配線部材78の夫々を挿通するための4個の開口275を有する。同様に、第2ホルダー272は、4個の配線部材78の夫々を挿通するための4個の開口276を有する。開口275及び開口276は、Z軸方向に貫通する孔である。
【0035】
前述したように、ホルダーカバー23のZ2方向には、複数のヘッドチップ70が収容されている。複数のヘッドチップ70は、X軸に沿って並設されている。制御モジュール12から回路基板26と配線部材78を介して供給される駆動信号Comに応じて、各ヘッドチップ70の各圧電素子732が振動する。圧電素子732を振動させて圧力室CV内の圧力を変動させることで、圧力室CV内に充填されたインクがノズルプレート74の各ノズルNから噴射される。
【0036】
固定板29は、平板状の部材のX軸及びY軸の夫々の端部をZ1方向に折り曲げた部材である。固定板29は、例えば、ステンレス鋼等の金属によって形成される。図3に示すように、本実施形態では、固定板29のX2方向の端部が折り曲げられた長さが、固定板29のX1方向、Y1方向、Y2方向の夫々の端部が折り曲げられた長さより長い。但し、固定板29のX軸及びY軸の夫々の端部が折り曲げられた長さに特に限定はなく、例えば、固定板29のX軸及びY軸の夫々の端部が折り曲げられた長さが、略等しくてもよい。略等しいとは、完全に等しいである場合の他に、製造上の誤差を考慮すれば等しいであると看做せる場合を含む。
【0037】
図4に示すように、固定板29のX1方向の端部は、Z1方向に折り曲げられている。固定板29のX1方向の端部においてZ1方向に折り曲げられた部分295は、ホルダーカバー23の外周に沿うように設けられる。
【0038】
図3に示すように、固定板29には、各ヘッドチップ70のノズルプレート74に対応する形状の4つの開口292がヘッドチップ70毎に形成されている。開口292は、Y軸に沿って長尺な矩形状である。開口292の内側にノズルプレート74が位置する状態で、各ヘッドチップ70が固定板29のZ1方向の面に例えば接着剤で固定される。これにより、図3及び図4に示すように、各ノズル列のノズルNが、開口292内に夫々配置される。
【0039】
図4に示すように、液体噴射ヘッド20は、複数のノズルNが形成された噴射面FSを有する。噴射面FSは、固定板29のZ2方向を向く固定板面FKと、開口292によって露出する部分とを含む。固定板面FKにも、ノズル形成面FNと同様に、インクを弾く撥液膜が形成されている。本実施形態では、開口292によって、ノズルプレート74のノズル形成面FNと、流路形成基板71のZ2方向を向く面FRとが露出する。従って、本実施形態では、噴射面FSは、固定板面FKと、ノズル形成面FNと、面FRとを有する。但し、開口292は、複数のノズルNを最低限露出すればよい。従って、開口292は、ノズル形成面FNのうちノズルNの近傍を露出し、ノズル形成面FNのノズルNの近傍以外の部分と、流路形成基板71の面FRとを露出しなくてもよい。噴射面FSは、Z2方向を向く面から構成されるため、噴射面FSの法線方向は、Z軸に沿う方向である。但し、噴射面FSは、ノズルプレート74のノズル形成面FNのみにより構成されてもよい。
【0040】
図3に示すように、ケース22のZ1方向を向く面には、Z1方向へ突出する複数のパイプを有し、当該複数のパイプ内の夫々には液体容器19-1~19-4からインクを導入する複数の流路225が設けられている。流路225は、液体容器19-1~19-4内のインクを、第1ホルダー271の流路273、及び第2ホルダー272の流路274を介して各ヘッドチップ70に導入する。
【0041】
シール部材25は、板状の弾性部材である。シール部材25は、フィルターユニット内の流路と第1ホルダー271の流路273とを液密に接続する貫通孔が形成されている。
【0042】
説明を図1に戻す。保守機構4は、液体噴射ヘッド20の保守動作を制御モジュール12による制御のもとで実行する。保守機構4は、噴射面FSが媒体PPに対向しない待機位置に液体噴射ヘッド20が位置する場合に噴射面FSに対向するように設置される。液体噴射ヘッド20の待機位置は、具体的には、液体噴射ヘッド20の往復動の端点である。本実施形態の保守機構4は、排出機構42と、吸引装置44と、を具備する。
【0043】
排出機構42は、複数のノズルNから、画像の形成に直接的には寄与しないインクを強制的に排出させる加圧クリーニング動作を実行する。加圧クリーニング動作は、液体噴射ヘッド20の上流からの加圧により、液体噴射ヘッド20の内部のインクを複数のノズルNから強制的に排出する動作である。排出機構42は、例えば、液体噴射ヘッド20のノズル形成面FNに密着する不図示のキャップと、このキャップがノズル形成面FNを封止した状態で液体噴射ヘッド20の内部のインクを加圧する不図示のポンプとを有する。
【0044】
吸引装置44は、空気を吸引することにより、ノズルNが形成された噴射面FSに付着したインク及び媒体PPから発生した紙粉等の異物を吸引の対象物として除去する吸引動作を実行する。吸引動作は、例えば、加圧クリーニング動作の後に実行される。なお、インク及び紙粉等の異物が、「吸引対象物」の一例である。
【0045】
吸引動作の替わりに、ゴム等の弾性部材、又は、織物及び不織布等の繊維部材等の払拭部材で、噴射面FSをワイピングするワイピング動作を実行することも考えられる。しかしながら、ワイピング動作では、噴射面FSの一部であるノズル形成面FNに払拭部材が接触するため、ノズル形成面FNに設けられた撥液膜が摩耗又は剥離する可能性がある。撥液膜が摩耗又は剥離すると、噴射性能が劣化する虞がある。例えば、ノズル形成面FNのうち、撥液膜が摩耗又は剥離した一部分にインクが付着する。ノズル形成面FNの一部分にインクが付着することにより、インクの噴射量が減少してドットサイズの異常が発生したり、インクの噴射方向が変更して、媒体PPにおけるドットの位置の異常が発生したりすることがある。更に、ノズル形成面FNの一部にインクが滞留し、滞留したインクが媒体PPに落下して、想定しない位置にドットが形成される異常が発生することがある。
【0046】
本実施形態では、ワイピング動作の替わりに吸引動作を実行することにより、固定板面FK及びノズル形成面FNに設けられた撥液膜の摩耗及び剥離を抑制できる。更に、インク及び媒体PPから発生した紙粉等の異物は、噴射面FS以外にも付着することがある。具体的には、液体噴射ヘッド20とキャリッジ182との隙間を区画する壁面にも、異物が付着することがある。この隙間に付着した異物、例えばインクが付着した場合、付着したインクが媒体PPに落下して、想定しない位置にドットが形成される異常が発生することがある。本実施形態に係る吸引装置44は、液体噴射ヘッド20の側面とキャリッジ182の側面との隙間に付着した異物を除去することが可能である。本実施形態に係る吸引装置44について、図5及び図6を用いて説明する。
【0047】
1-3.吸引動作
図5は、吸引動作中の液体噴射装置100の状態を示す図である。図6は、吸引動作中の液体噴射装置100をZ2方向からZ1方向に見た図である。図5では、吸引動作中において、液体噴射ヘッド20の断面の一部と吸引装置44の断面の一部とを示す。図5に示す断面は、XZ平面に平行な面である。但し、図5及び後述する図7では、図面の煩雑化を防ぐため、ヘッドチップ70の断面を、ノズルプレート74以外を除いて省略してある。更に、図5及び図6図7及び後述する図8では、図面の煩雑化を防ぐため、開口292によって流路形成基板71の面FRが露出していない態様を示してある。更に、液体噴射ヘッド20をZ1方向に見た場合、本来であれば、図2及び図3から理解されるようにホルダーカバー23の一部が見える。しかしながら、図6及び図8では、図面の煩雑化を防ぐため、液体噴射ヘッド20のうち固定板29と固定板29の開口292により露出する部分とのみ表示してある。更に、図6では、吸引装置44が有する吸引ヘッド441の外形と吸引口441Kの輪郭を破線で表示してある。
【0048】
図5に示すように、キャリッジ182は略箱型であり、Z2方向を向く面182Sには、複数のノズルNを露出するための開口182Kが設けられる。キャリッジ182は、複数のノズルNが露出した状態で液体噴射ヘッド20を支持する。図5に示すように、液体噴射ヘッド20とキャリッジ182とがX軸に沿う方向で離間しており、隙間が形成されている。以下の記載において、液体噴射ヘッド20のX1方向の側面とキャリッジ182のX1方向の内壁面とによって区画される隙間を「隙間GP1」と記載し、液体噴射ヘッド20のX2方向の側面とキャリッジ182のX2方向の内壁面とによって区画される隙間を「隙間GP2」と記載し、隙間GP1と隙間GP2とを総称して、「隙間GP」と記載することがある。なお、X軸に沿う方向であるX1方向及びX2方向は、「第2方向」の一例である。
【0049】
吸引装置44は、吸引ヘッド441と、配管442と、不図示の吸引ヘッド移動機構と、吸引ポンプ444と、回収ビン445とを有する。吸引ヘッド441は、噴射面FS、及び、隙間GPを区画する壁面に付着した異物を除去する。
【0050】
図5及び図6から理解されるように、吸引ヘッド441は、中空の略箱型であり、Z1方向を向く対向面441Sと、対向面441SにZ2方向に凹む有底孔441Hを有する。有底孔441Hは、Z1方向を向く開口である吸引口441Kを有する。言い換えれば、吸引口441Kは、対向面441Sに形成されている。第1実施形態では、対向面441Sに1つの吸引口441Kが設けられている。図6に示すように、対向面441Sは、X軸に沿って延在する略長方形の面である。吸引口441Kは、X軸に沿って延在し、且つ、角を丸めた長方形である。対向面441Sは、噴射面FS及びキャリッジ182の面182Sに対向する。図5に示すように、吸引装置44は、面182Sと対向面441Sとを当接させながら吸引する。図5から理解されるように、第1実施形態では、面182Sは、噴射面FSのうち固定板29の固定板面FKに対してZ2方向に位置する。言い換えれば、キャリッジ182は、噴射面FSに対してZ2方向に突出する。更に、Z1方向に見て、キャリッジ182のX1方向の側壁と吸引ヘッド441のX1方向の側壁とが重なり、キャリッジ182のX2方向の側壁と吸引ヘッド441のX2方向の側壁とが重なる。従って、吸引動作時において、面182Sと対向面441Sとが当接し、固定板29の固定板面FKに対向面441Sが当接しない。なお、Z1方向に見ることは、「噴射面の法線方向に見る」ことの一例である。吸引口441Kは、「1又は複数の吸引口」の一例である。
【0051】
配管442は、吸引ヘッド441と回収ビン445とを連通する。配管442の途中には、吸引ポンプ444が設けられている。図5に示すように、配管442の一端は、有底孔441Hの底面441Tに設けられた開口441Jに接続する。配管442の他端は、回収ビン445に接続する。吸引ヘッド移動機構は、吸引ヘッド441をY軸に沿って移動させる。図6では、吸引ヘッド441の移動方向DLを示してある。第1実施形態に係る移動方向DLは、図6に示すように、Y1方向である。但し、移動方向DLは、Y軸に沿う方向であればよく、例えば、Y2方向でもよい。
【0052】
吸引ヘッド移動機構は、例えば、吸引ヘッド441の対向面441Sが噴射面FS及びキャリッジ182の面182Sに対向した状態で、吸引ヘッド441を挟持し、且つ、Y軸に沿って延在する1対のガイドと、吸引ヘッド441を移動させるモーターとを有する。吸引ポンプ444は、大気圧より低い圧力である負圧を発生させる。回収ビン445は、吸引口441Kから吸引された異物が回収される。
【0053】
吸引ポンプ444が負圧を発生させつつ、吸引ヘッド441が1対のガイドに沿ってY2方向に移動することにより、吸引装置44は、噴射面FSに対して吸引口441KがY2方向に移動しながら、吸引口441Kから、噴射面FS、及び、隙間GPを区画する壁面に付着した異物を吸引する。吸引口441Kから吸引された異物は、回収ビン445に回収される。なお、Y2方向は、噴射面FSに沿う方向であり、「第1方向」の一例である。また、本実施形態では、液体噴射ヘッド20の位置を固定したまま、吸引ヘッド441をY2方向に移動させているが、吸引ヘッド441を固定したまま、液体噴射ヘッド20をY1方向に移動させてもよい。吸引ヘッド441を固定したまま液体噴射ヘッド20をY1方向に移動させることにより、吸引口441Kが噴射面FSに対してY2方向に相対的に移動する。液体噴射ヘッド20の位置を固定したまま吸引ヘッド441をY2方向に移動させること、及び、吸引ヘッド441を固定したまま液体噴射ヘッド20をY1方向に移動させることは、「噴射面に対して吸引口が第1方向に相対的に移動する」ことの一例である。
【0054】
図5では、噴射面FSに付着した異物として、液滴DR1と液滴DR2とを示してある。吸引口441KがY2方向に移動することにより、Z1方向に見て、噴射面FS内の任意の点と吸引口441Kとが重なる位置に吸引ヘッド441が移動可能である。従って、噴射面FS内のいずれに付着した異物であっても吸引ヘッド441が吸引できる。図5の例では、噴射面FSに付着した液滴DR1と液滴DR2とが吸引口441Kから吸引される。
【0055】
更に、図5では、隙間GP1の一部を区画する液体噴射ヘッド20の側面に付着した液滴DR3と、隙間GP2の一部を区画するキャリッジ182の側面に付着した液滴DR4とを示してある。吸引口441KがY2方向に移動することにより、Z1方向に見て、隙間GP内の任意の点と吸引口441Kとが重なる位置に吸引ヘッド441が移動可能である。従って、隙間GPを区画する壁面のいずれに付着した異物であっても吸引ヘッド441が吸引できる。例えば、図6では、Z1方向に見て隙間GPと吸引口441Kとが重なる領域として、領域RE1及び領域RE2とを示してある。図5の例では、隙間GPを区画する壁面に付着した液滴DR3と液滴DR4とが吸引口441Kから吸引される。
【0056】
1-4.第1実施形態のまとめ
以上説明したように、第1実施形態に係る液体噴射装置100は、インクを噴射する複数のノズルNが形成された噴射面FSを有する液体噴射ヘッド20と、複数のノズルNが露出する開口182Kを有し、開口182Kによって複数のノズルNが露出した状態で液体噴射ヘッド20を支持するキャリッジ182と、噴射面FS及びキャリッジ182に対向する対向面441Sと、対向面441Sに形成された吸引口441Kとを有する吸引装置44と、を備え、吸引装置44は、噴射面FSに対して吸引口441KがY2方向に相対的に移動しながら、吸引口441Kからインク等の異物を吸引可能であり、吸引口441Kは、噴射面FSの法線方向であるZ軸に沿う方向に見て、液体噴射ヘッド20とキャリッジ182とがX軸に沿う方向で離間することにより形成された隙間GPと重なる位置に移動可能である。
Z軸に沿う方向に見て、吸引口441Kが隙間GPと重なる位置に移動可能であるため、第1実施形態に係る液体噴射装置100は、噴射面FSに付着した異物に加えて、隙間GPを区画する壁面に付着した異物を除去できる。隙間GPを区画する壁面に付着した異物を除去することにより、噴射性能が低下することを抑制できる。
【0057】
2.第2実施形態
第1実施形態に係る吸引ヘッド441に1つの吸引口441Kが設けられていたが、これに限らない。第2実施形態では、吸引ヘッド441に3つの吸引口441Lが設けられる。以下、第2実施形態の液体噴射装置100-Aについて説明する。
【0058】
図7は、吸引動作中の液体噴射装置100-Aの状態を示す図である。図8は、吸引動作中の液体噴射装置100-AをZ2方向からZ1方向に見た図である。図7では、吸引動作中において、液体噴射ヘッド20の断面の一部と、第2実施形態に係る吸引装置44-Aの断面の一部とを示す。更に、図7では、吸引装置44-Aに含まれる吸引ポンプ444と回収ビン445との図示を省略している。更に、図8では、液体噴射ヘッド20に加えて、吸引装置44-Aが有する吸引ヘッド441-Aの輪郭を破線で表示してある。
【0059】
液体噴射装置100-Aは、吸引装置44の替わりに吸引装置44-Aを有する点で、液体噴射装置100と相違する。吸引装置44-Aは、吸引ヘッド441の替わりに吸引ヘッド441-Aを有する点で、吸引装置44と相違する。吸引ヘッド441-Aは、有底孔441Hの替わりに有底孔441H-Aを有する点で吸引ヘッド441と相違する。有底孔441H-Aは、段差441Dと、吸引口441L-A1、吸引口441L-A2、及び、吸引口441L-A3を有する点で、吸引ヘッド441と相違する。以下、吸引口441L-A1、吸引口441L-A2、及び、吸引口441L-A3を、吸引口441L-Aと総称することがある。第2実施形態において、3つの吸引口441L-Aは、「1又は複数の吸引口」の一例である。
【0060】
有底孔441H-Aは、Z2方向に向かって径が狭くなる。径が狭くなることにより、段差441Dが形成されている。
【0061】
図7及び図8に示すように、吸引口441L-A1、吸引口441L-A2、及び、吸引口441L-A3は、X軸に沿って配置される。図7に示すように、吸引口441L-A1、吸引口441L-A2、及び、吸引口441L-A3は、段差441Dによって形成される面に形成される。吸引口441L-A1と吸引口441L-A2とは、梁HR1とによって仕切られる。吸引口441L-A2と吸引口441L-A3とは、梁HR2とによって仕切られる。吸引口441L-A1、吸引口441L-A2、及び、吸引口441L-A3は、底面441T付近の空間により連通する。
【0062】
図7及び図8から理解されるように、吸引口441L-A1は、4個のヘッドチップ70のうち最もX1方向に位置するヘッドチップ70のノズルプレート74に付着した異物と、隙間GP1を区画する壁面に付着した異物とを吸引する。吸引口441L-A2は、4個のヘッドチップ70のうち中央に近い2個のヘッドチップ70のノズルプレート74に付着した異物と、この2個のヘッドチップ70のノズルプレート74の間に位置する固定板29に付着した異物とを吸引する。吸引口441L-A3は、4個のヘッドチップ70のうち最もX2方向に位置するヘッドチップ70のノズルプレート74に付着した異物と、隙間GP2を区画する壁面に付着した異物とを吸引する。なお、3つの吸引口441L-A3のうち、隙間GPに重なる吸引口441L-A1及び吸引口441L-A3が、「1又は複数の吸引口の一部」の一例である。
【0063】
3.第3実施形態
第2実施形態に係る吸引ヘッド441には、1つの吸引口441Kが設けられていたが、これに限らない。第3実施形態に係る吸引ヘッド441の対向面441Sには、隙間GPと、ノズルプレート74との夫々に対応する吸引口441Kが設けられる。以下、第3実施形態の液体噴射装置100-Bについて説明する。
【0064】
図9は、吸引動作中の第3実施形態に係る液体噴射ヘッド20をZ2方向からZ1方向に見た図である。図9では、液体噴射ヘッド20に加えて、第3実施形態に係る吸引装置44が有する吸引口441Kの輪郭を破線で表示してある。
【0065】
第3実施形態に係る液体噴射装置100-Bは、第1実施形態に係る吸引装置44の替わりに、第3実施形態に係る吸引装置44を有する点で、液体噴射装置100と相違する。第3実施形態に係る吸引装置44は、吸引ヘッド441の替わりに吸引ヘッド441-Bを有する点で、第1実施形態に係る吸引装置44と相違する。
【0066】
吸引ヘッド441-Bは、吸引口441Kの替わりに、吸引口441K-B1、吸引口441K-B2、吸引口441K-B3、吸引口441K-B4、吸引口441K-B5、及び、吸引口441K-B6を有する点で、吸引ヘッド441と相違する。以下、吸引口441K-B1、吸引口441K-B2、吸引口441K-B3、吸引口441K-B4、吸引口441K-B5、及び、吸引口441K-B6を、吸引口441K-Bと総称することがある。6つの吸引口441K-Bのうち、最もX1方向に位置する吸引口441K-B1は、隙間GP1を区画する壁面に付着した異物を吸引する。6つの吸引口441K-Bのうち、最もX2方向に位置する吸引口441K-B6は、隙間GP2を区画する壁面に付着した異物を吸引する。吸引口441K-B2、吸引口441K-B3、吸引口441K-B4、及び、吸引口441K-B5の夫々は、4個のヘッドチップ70のノズルプレート74に付着した異物を吸引する。
【0067】
4.第4実施形態
第1実施形態から第3実施形態までの移動方向DLは、Y1方向であるが、Y軸に沿う方向に限らない。例えば、移動方向DLは、X軸に沿う方向でもよい。第4実施形態において、X軸に沿う方向であるX1方向及びX2方向が、「第1方向」の一例である。X軸に直交するY軸に沿う方向であるY1方向及びY2方向が、「第2方向」の一例である。第4実施形態に係る液体噴射装置100は、噴射面FSに付着した異物に加えて、液体噴射ヘッド20とキャリッジ182とがY軸に沿う方向で離間することにより形成された隙間を区画する壁面に付着した異物を除去できる。
【0068】
5.第5実施形態
液体噴射ヘッド20は、第1実施形態から第4実施形態までの液体噴射ヘッド20に限らない。第5実施形態では、第1実施形態から第4実施形態までの液体噴射ヘッド20とは異なる液体噴射ヘッド20を有する液体噴射装置100-Cについて説明する。
【0069】
5-1.液体噴射装置100-Cの概要
図10は、第5実施形態に係る液体噴射装置100-Cの構成例を示す概略図である。液体噴射装置100-Cは、ヘッド移動機構18を有さず、複数の液体噴射ヘッド20を搭載する液体噴射モジュールHUを有し、循環機構16と、保守機構4の替わりに保守機構4-Cを有する点で、液体噴射装置100と相違する。液体噴射装置100-Cは、複数のノズルNが媒体PPの幅方向での全範囲にわたり分布する、いわゆるライン方式の印刷装置である。
【0070】
液体噴射モジュールHUは、制御モジュール12による制御のもとで、液体容器19から循環機構16を介して供給されるインクを複数のノズルNの夫々からZ2方向に媒体PPに噴射する。液体噴射モジュールHUは、X軸の方向における媒体PPの全範囲にわたり複数のノズルNが分布するように配置される複数の液体噴射ヘッド20-Cを有するラインヘッドである。つまり、複数の液体噴射ヘッド20-Cの集合体は、X軸に沿う方向に延びる長尺なラインヘッドを構成する。複数の液体噴射ヘッド20からのインクの噴射が搬送機構14による媒体PPの搬送に並行して行われることにより、媒体PPの表面にインクによる画像が形成される。
【0071】
循環機構16は、制御モジュール12による制御のもとで、液体噴射モジュールHUにインクを供給するとともに、液体噴射モジュールHUから排出されるインクを液体噴射モジュールHUへの再供給のために回収する機構である。
【0072】
保守機構4-Cは、保守移動機構46を有し、吸引装置44の替わりに吸引装置44-Cを有する点で、保守機構4と相違する。保守移動機構46は、排出機構42及び吸引装置44-CをY軸に沿って移動させる。
【0073】
5-2.液体噴射モジュールHU
図11は、液体噴射モジュールHUの斜視図である。図11に示すように、液体噴射モジュールHUは、支持体11と複数の液体噴射ヘッド20-Cとを有する。支持体11は、複数の液体噴射ヘッド20-CをX軸に並べるようにして支持する部材である。図11に示す例では、支持体11は、金属等で構成される板状部材であり、複数の液体噴射ヘッド20-Cを取り付けるための取付孔11aが設けられる。取付孔11aには、複数の液体噴射ヘッド20-CがX軸に沿う方向に並ぶ状態で挿入されており、各液体噴射ヘッド20-Cは、支持体11に対してネジ止め等により固定される。図11では、2個の液体噴射ヘッド20-Cが代表的に図示される。なお、液体噴射モジュールHUにおける液体噴射ヘッド20-Cの数は、任意である。また、支持体11の形状等も、図11に示す例に限定されず、任意である。なお、第5実施形態において、X軸に沿う方向であるX1方向及びX2方向が、「第1方向」の一例である。
【0074】
5-3.液体噴射ヘッド20-Cの構造
図12は、図11に示す液体噴射ヘッド20-Cの分解斜視図である。図12に示すように、液体噴射ヘッド20-Cは、流路構造体32と、回路基板26-Cと、ホルダー27-Cと6個のヘッドチップ70-Cと固定板29-Cとベース31とを有する。これらは、Z2方向に向かって、ベース31、流路構造体32、回路基板26-C、ホルダー27-C、複数のヘッドチップ70-C、固定板29-Cの順に配置される。以下、液体噴射ヘッド20-Cの各部を順次説明する。
【0075】
流路構造体32は、循環機構16と複数のヘッドチップ70-Cとの間でインクを流すための流路が内部に設けられる構造体である。流路構造体32には、図12に示すように、接続管32a、接続管32b、接続管32c、接続管32d及び孔32eが設けられる。接続管32a、32b、32c及び32dは、Z1方向に突出する管体である。接続管32a、32b、32c及び32dは、複数のヘッドチップ70-Cの夫々にインクを供給する管、又は、複数のヘッドチップ70-Cの夫々からインクを回収する管である。孔32eは、後述のコネクター26cを挿入するための孔である。
【0076】
回路基板26-Cは、複数のヘッドチップ70-Cと後述の集合基板31bとを電気的に接続するための実装部品である。回路基板26-Cは、例えば、リジッド配線基板である。回路基板26-Cは、流路構造体32とホルダー27-Cとの間に配置されており、回路基板26-Cにおける流路構造体32と対向する面には、コネクター26cが設置される。コネクター26cは、後述の集合基板31bに接続される接続部品である。また、回路基板26-Cには、複数の孔26a及び複数の開口部26bが設けられる。各孔26aは、流路構造体32とホルダー27-Cとの接続を許容するための孔である。各開口部26bは、ヘッドチップ70-Cと回路基板26-Cとを接続する配線部材78-Cが通される孔である。当該配線部材78-Cは、回路基板26-CのZ1方向を向く面に接続される。配線部材78-Cは、圧電素子732と電気的に接続される配線を含む部材であり、例えば、FPC、COF、又は、FFC等である。
【0077】
ホルダー27-Cは、複数のヘッドチップ70-Cを収容及び支持する構造体である。ホルダー27-Cは、例えば、樹脂材料又は金属材料等で構成される。ホルダー27-Cは、Z軸に垂直な方向に拡がる板状をなす。また、ホルダー27-Cには、接続管27a、接続管27b、複数の接続管27c、複数の接続管27d及び複数の配線孔27eが設けられる。また、図示しないが、ホルダー27-CのZ2方向を向く面には、複数のヘッドチップ70-Cを収容する複数の凹部が設けられる。
【0078】
ホルダー27-Cには、複数のヘッドチップ70-Cとして6個のヘッドチップ70-Cが保持される。これらのヘッドチップ70は、ヘッドチップ70-C_1、70-C_4、70-C_2、70-C_5、70-C_3、70-C_6の順に、X2方向に並ぶ。ここで、ヘッドチップ70-C_1~70-C_3は、ヘッドチップ70-C_4~70-C_6に対してY1方向にずれた位置に配置される。ただし、ヘッドチップ70-C_1~70-C_6は、X1方向又はX2方向に見て互いに重なる部分を有する。ヘッドチップ70-C_1~70-C_6の夫々は、媒体PPの搬送方向であるY1方向に対して、ヘッドチップ70-C_1~70-C_6の後述する複数のノズルNの配列方向であるV軸に沿う方向が傾斜するように配置される。
【0079】
ここで、図示を省略するが、ホルダー27-Cの内部には、複数の流路が設けられる。この複数の流路は、夫々のヘッドチップ70-Cにインクを供給する流路と、夫々のヘッドチップ70-Cからインクを回収する流路と、夫々のヘッドチップ70-Cにおいて、夫々のヘッドチップ70-Cの液体貯留室R1及び液体貯留室R2を連通させる迂回流路である。
【0080】
接続管27a、27b、27c及び27dは、Z1方向に突出する管状の突起である。配線孔27eは、ヘッドチップ70-Cと回路基板26-Cとを接続する配線部材78-Cが通される孔である。
【0081】
各ヘッドチップ70-Cは、インクを噴射する。具体的には、図12では図示を省略するが、各ヘッドチップ70-Cは、インクを噴射する複数のノズルN-Cを有する。これらのノズルN-Cは、各ヘッドチップ70-CのZ2方向を向く面であるノズル形成面FNに設けられる。ヘッドチップ70-Cの詳細については、後述の図13に基づいて説明する。
【0082】
固定板29-Cは、複数のヘッドチップ70-Cをホルダー27-Cに対して固定するための板部材である。具体的には、固定板29-Cは、ホルダー27-Cとの間に複数のヘッドチップ70-Cを挟む状態で配置され、ホルダー27-Cに対して接着剤により固定される。固定板29-Cは、例えば、金属材料等で構成される。固定板29-Cには、当該複数のヘッドチップ70-CのノズルN-Cを露出させるための複数の開口292-Cが設けられる。図12に示す例では、当該複数の開口292-Cは、ヘッドチップ70-Cごとに個別に設けられる。なお、開口292-Cは、2以上のヘッドチップ70-Cで共用される態様でもよい。また、図12には図示していないが、固定板29-CのZ2方向を向く面には、外周リブ294が設けられる。外周リブ294は、Z2方向に突出し、全ての開口292を囲むように設けられる環状の突起物である。外周リブ294は、図13から図15に示す。
【0083】
ベース31は、前述の支持体11に対して、流路構造体32、回路基板26-C、ホルダー27-C、複数のヘッドチップ70-C、及び固定板29-Cを固定するための部材である。ベース31は、本体31aと集合基板31bとカバー31cとを有する。
【0084】
本体31aは、ホルダー27-Cに対してネジ止め等により固定されることにより、ベース31とホルダー27-Cとの間に配置される流路構造体32及び回路基板26-Cを保持する。本体31aは、例えば、樹脂材料等で構成される。本体31aは、前述の流路構造体32の板状部分に対向する板状の部分を有しており、当該板状の部分には、前述の接続管32a、32b、32c及び32dが挿入される複数の孔31dが設けられる。また、本体31aは、当該板状の部分からZ2方向に延びる部分を有しており、当該部分の先端には、前述の支持体11に固定するためのフランジ31eが設けられる。
【0085】
集合基板31bは、制御モジュール12と前述の回路基板26-Cとを電気的に接続するための実装部品である。集合基板31bは、例えば、リジット配線基板である。カバー31cは、集合基板31bを保護するとともに集合基板31bを本体31aに対して固定するための板状部材である。カバー31cは、例えば、樹脂材料等で構成されており、ネジ止め等により本体31aに固定される。
【0086】
5-4.ヘッドチップ70-Cの構造
図13は、ヘッドチップ70-C_1の断面図である。図13では、複数のヘッドチップ70-Cのうちヘッドチップ70-C_1を図示してある。ヘッドチップ70-C_2~70-C_6の構造も、ヘッドチップ70-C_1と略同一である。更に、図13では、ヘッドチップ70-C_1に加えて、配線部材78-Cの一部と、固定板29-Cの一部と、を表示してある。以下の説明は、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸のほか、V軸及びW軸を適宜に用いて行う。また、V軸に沿う一方向がV1方向であり、V1方向と反対の方向がV2方向である。同様に、W軸に沿って互いに反対の方向がW1方向及びW2方向である。図13では、W軸及びZ軸を含む平面で切断されるヘッドチップ70-Cの断面が示される。ヘッドチップ70-Cは、図13に示すように、流路形成基板71の替わりに流路形成基板71-Cを有し、ノズルプレート74の替わりにノズルプレート74-Cを有する点で、ヘッドチップ70と相違する。
【0087】
ノズルプレート74-C、流路形成基板71-C、圧力室形成基板72及び振動板73は、この順にZ1方向に向かって積層される。これらの各部材は、V軸に沿って延びる。
【0088】
ノズルプレート74-Cには、複数のノズルNの替わりに複数のノズルN-Cが設けられる点で、ノズルプレート74と相違する。複数のノズルN-Cは、V軸に沿う方向に配列される。図13から理解されるように、1つのノズルプレート74-Cには、V軸に沿ったノズル列が形成される。
【0089】
ヘッドチップ70-Cには、複数のノズルN-Cに対して2つの液体貯留室Rが共通して設けられ、1つのノズルN-Cに対して、接続流路714と、2つの圧力室CVと、連通流路716とが設けられる点でも、ヘッドチップ70と相違する。図13の説明では、2つの液体貯留室Rのうち、配線部材78よりもW2方向に位置する液体貯留室Rを「液体貯留室R1」と記載することがあり、配線部材78よりもW1方向に位置する液体貯留室Rを「液体貯留室R2」と記載することがある。同様に、1つのノズルN-Cに対応する2つの圧力室CVのうち、配線部材78よりもW2方向に位置する圧力室CVを「圧力室CV1」と記載することがあり、配線部材78よりもW1方向に位置する圧力室CVを「圧力室CV2」と記載することがある。
【0090】
流路形成基板71-Cには、ノズルN-C毎にノズル流路718が更に設けられる点で、流路形成基板71と相違する。1つのノズル流路718は、1つのノズルN-Cに連通し、2つの連通流路716同士を連通させる。ノズル流路718は、流路形成基板71-CのZ2方向を向く面に設けられる溝内の空間である。ここで、ノズルプレート74-Cは、ノズル流路718の壁面の一部を構成する。
【0091】
以上の構成のヘッドチップ70-Cでは、前述の循環機構16の動作により、インクが液体貯留室R1、2つの接続流路714のうちW2方向に位置する接続流路714、圧力室CV1、2つの連通流路716のうちW2方向に位置する連通流路716、ノズル流路718、2つの連通流路716のうちW1方向に位置する連通流路716、圧力室CV2、2つの接続流路714のうちW1方向に位置する接続流路714、及び、液体貯留室R2にこの順に流動する。
【0092】
また、駆動回路781からの駆動信号Comにより、圧力室CV1及び圧力室CV2の両方に対応する圧電素子732が同時に駆動することで、圧力室CV1及び圧力室CV2の圧力を変動させ、その圧力変動に伴ってノズルN-Cからインクが噴射される。
【0093】
第3実施形態でも第1実施形態と同様に、開口292-Cによって、ノズルプレート74-Cのノズル形成面FN-Cと、流路形成基板71-CのZ2方向を向く面FR-Cとが露出する。従って、第3実施形態における噴射面FS-Cは、固定板29-CのZ2方向を向く固定板面FK-Cと、ノズル形成面FNと、面FR-Cとを有する。
【0094】
5-5.第5実施形態における吸引動作
図14は、吸引動作中の液体噴射装置100-Cの状態を示す図である。図15は、図14のa-a断面図である。a-a断面図は、XZ平面に平行な断面である。図15では、図面の煩雑化を防ぐため、開口292-Cによって流路形成基板71-Cの面FR-Cが露出していない態様を示してある。更に、図15では、図面の煩雑化を防ぐため、液体噴射ヘッド20-Cのうち固定板29-Cと固定板29-Cの開口292-Cにより露出する部分とのみ表示してある。更に、図14では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルN-Cのうち一部のノズルN-Cのみを表示してある。更に、図14では、液体噴射ヘッド20-Cに加えて、吸引装置44-Cが有する吸引口441K-Cの輪郭を破線で表示してある。更に、図15では、吸引装置44-Cに含まれる吸引ポンプ444と回収ビン445との図示を省略している。
【0095】
複数の液体噴射ヘッド20-Cのうち隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-Cは、Y軸に沿う方向に見て、互いの一部が重なる。具体的には、隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-CのうちX1方向に位置する液体噴射ヘッド20-CのX2方向の一部と、隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-CのうちX2方向に位置する液体噴射ヘッド20-CのX1方向の一部とが重なる。図14及び図15に示すように、X軸に沿って隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-Cは、X軸に沿う方向で離間することにより、隙間GP-Cが形成されている。隙間GP-Cは、大まかにはY軸に沿って延在する空間である。具体的には、隙間GP-CのY1方向の端部及びY2方向の端部ではY軸に沿って延在し、隙間GP-Cの中央部分ではV軸に沿って延在する。隙間GP-Cは、隣り合う液体噴射ヘッド20-Cの噴射面FS-C同士の間の隙間に相当する。
【0096】
吸引装置44-Cは、吸引ヘッド441の替わりに吸引ヘッド441-Cを有する点で吸引装置44と相違する。吸引ヘッド441-Cは、中空の略箱状であり、Z1方向を向く対向面441S-Cと、Z2方向に凹む有底孔441H-Cを有する。有底孔441H-Cは、Z1方向を向く開口である吸引口441K-Cを有する。言い換えれば、吸引口441K-Cは、対向面441S-Cに形成されている。図14及び図15に示すように、吸引ヘッド441-Cの移動方向DL-Cは、X1方向である。但し、移動方向DL-Cは、X軸に沿う方向であればよく、例えば、X2方向でもよい。
【0097】
図14から理解されるように、吸引ヘッド441-CのY軸に沿う方向の幅は、液体噴射ヘッド20-CのY軸に沿う方向の幅に略等しい。吸引装置44-Cは、図15に示すように、外周リブ294のZ2方向の面と対向面441S-Cとを当接させながら吸引する。吸引動作時において、固定板29-CのZ2方向の面のうち、外周リブ294以外の領域は、対向面441S-Cと当接しない。
【0098】
図15から理解されるように、吸引ヘッド441-Cは、Z1方向に向かうことに応じてX軸に沿う方向の幅が長くなるテーパー形状を有する。従って、吸引ヘッド441のZ1方向の端部には、テーパー面441TPが形成される。テーパー面441TPを有することにより、吸引ヘッド441-CがX1方向に移動する場合に、吸引ヘッド441のX1方向の側面に液体噴射ヘッド20-Cの角が当接したとしても、テーパー面441TPによって液体噴射ヘッド20-Cの角が相対的にX2方向に移動できる。従って、テーパー面441TPを有することにより、吸引ヘッド441-Cを円滑に移動できる。
【0099】
図14に示すように、吸引口441K-CのY軸に沿う方向の幅KYは、隙間GP-CのY軸に沿う方向の幅GYより長い。第5実施形態において、Y軸に沿う方向であるY1方向及びY2方向が、「第2方向」の一例である。また、幅KYは、取付孔11aのY軸に沿う方向の幅K11よりも長い。
【0100】
吸引装置44-Cは、噴射面FS-Cに対して吸引口441K-CがX1方向に移動しながら、吸引口441K-Cから、噴射面FS-C、及び、隙間GP-Cを区画する壁面に付着した異物を吸引する。吸引口441K-CがX1方向に移動することにより、Z1方向に見て、噴射面FS-C内の任意の点と吸引口441K-Cとが重なる位置に吸引ヘッド441-Cが移動可能である。従って、噴射面FS-C内のいずれに付着した異物であっても吸引ヘッド441-Cが吸引できる。同様に、Z1方向に見て、隙間GP-C内の任意の点と吸引口441K-Cとが重なる位置に吸引ヘッド441-Cが移動可能である。従って、隙間GP-Cを区画する液体噴射ヘッド20-Cの壁面のいずれに付着した異物であっても吸引ヘッド441-Cが吸引できる。
【0101】
5-6.第5実施形態のまとめ
以上説明したように、第5実施形態に係る液体噴射装置100-Cは、インクを噴射する複数のノズルN-Cが形成された噴射面FS-Cを夫々が有する複数の液体噴射ヘッド20-Cと、複数の液体噴射ヘッド20-CをX軸に沿う方向に並べるようにして支持する支持体11と、複数の液体噴射ヘッド20-Cの夫々の噴射面FS-C及び支持体11に対向する対向面441S-Cと、対向面441S-Cに形成された吸引口441K-Cとを有する吸引装置44-Cと、を備え、吸引装置44-Cは、複数の液体噴射ヘッド20-Cの夫々の噴射面FS-Cに対してX軸に沿う方向に相対的に移動しながら、吸引口441K-Cからインクを吸引可能であり、吸引口441K-Cは、複数の液体噴射ヘッド20-Cのうち1つの液体噴射ヘッド20-Cの噴射面FS-Cの法線方向であるZ軸に沿う方向に見て、複数の液体噴射ヘッド20-Cのうち隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-Cによって形成される隙間GP-Cに重なる位置に移動可能であり、吸引口441K-CのY軸に沿う方向の幅KYは、隙間GP-CのY軸に沿う方向の幅GYよりも長い。
Z軸に沿う方向に見て、吸引口441K-Cが隙間GP-Cと重なる位置に移動可能であるため、第5実施形態に係る液体噴射装置100-Cは、噴射面FS-Cに付着した異物に加えて、隙間GP-Cを区画する壁面に付着した異物を除去できる。更に、幅KYが幅GYよりも長いため、第5実施形態に係る液体噴射装置100-Cは、幅KYが幅GYよりも短い態様と比較して、液体噴射ヘッド20-Cの隙間GP-Cを区画する壁面に付着した異物を除去できる。更に、幅KYが幅GYよりも長いため、液体噴射ヘッド20-CのY軸に沿う方向の側面に付着したインク等も吸引できる。液体噴射ヘッド20-CのY軸に沿う方向の側面は、例えば、外周リブ294のY軸に沿う方向の側面である。
【0102】
6.第6実施形態
第6実施形態では、第1実施形態から第5実施形態までの液体噴射ヘッド20とは異なる液体噴射ヘッド20を有する液体噴射装置100-Dについて説明する。
【0103】
図16は、第6実施形態における液体噴射装置100-Dの構成例を示す概略図である。液体噴射装置100-Dは、液体噴射ヘッド20の替わりに液体噴射ヘッド20-Dを有し、保守機構4の替わりに保守機構4-Dを有し、ヘッド移動機構18の替わりにヘッド移動機構18-Dを有する点で、液体噴射装置100と相違する。平面視において、液体噴射ヘッド20-Dは、中央部210と、中央部210からY1方向に突出する突出部211と、中央部210からY2方向に突出する突出部212とを有する点で、液体噴射ヘッド20と相違する。保守機構4-Dは、排出機構42の替わりに、液体噴射ヘッド20-Dの外形に対応する排出機構42-Dを有し、吸引装置44-Dを有する点で、保守機構4と相違する。ヘッド移動機構18-Dは、キャリッジ182の替わりにキャリッジ182-Dを有する点で、ヘッド移動機構18と相違する。
【0104】
図17は、液体噴射ヘッド20-D及びキャリッジ182-Dの斜視図である。キャリッジ182-Dには、開口182Kの替わりに開口182K-Dが設けられる点で、キャリッジ182と相違する。開口182K-Dは、液体噴射ヘッド20-Dの外形に応じた形状である点で、開口182Kと相違する。液体噴射ヘッド20-Dは、ネジNKによってキャリッジ182-Dに固定される。
【0105】
図18は、液体噴射ヘッド20-Dの分解斜視図である。液体噴射ヘッド20-Dは、回路基板26-Dと、ホルダー27-Dと、複数のヘッドチップ70と、固定板29-Dと、カバー33と、中継基板34と、を有する。これらは、Z2方向に向かって、カバー33、中継基板34、回路基板26-D、ホルダー27-D、複数のヘッドチップ70、固定板29-Dの順に配置される。以下、液体噴射ヘッド20-Dの各部について説明する。
【0106】
回路基板26-Dは、配線部材78の夫々を挿通するための4つの開口部26b-Dを有し、液体噴射ヘッド20-Dの外形に応じた形状である。
【0107】
中継基板34は、液体噴射ヘッド20-Dを制御モジュール12に電気的に接続するための実装部品である。中継基板34は、例えば、フレキシブル配線基板又はリジッド配線基板等で構成される。中継基板34のZ2方向を向く面は、回路基板26-Dに対向する。中継基板34のZ2方向を向く面には、コネクター34bが設置される。コネクター34bは、液体噴射ヘッド20-Dと制御モジュール12とを電気的に接続するための接続部品である。また、図示しないが、中継基板34には、複数のヘッドチップ70に接続される配線が接続される。当該配線は、例えば、フレキシブル配線基板及びリジッド配線基板の組み合わせで構成される。なお、当該配線は、中継基板34と一体で構成されてもよい。
【0108】
ホルダー27-Dは、配線部材78の夫々を挿通するための4つの開口27d-Dを有し、液体噴射ヘッド20-Dの外形に応じた形状を有する。ホルダー27-Dには、図18に示すように、2つの接続管27b-Dと、2つの接続管27c-Dとが設けられる。2つの接続管27b-Dと、2つの接続管27c-Dとは、Z1方向に突出する管体である。2つの接続管27b-Dと、2つの接続管27c-Dとは、4個のヘッドチップ70にインクを供給する管である。ホルダー27-Dの内部には、インクを4個のヘッドチップ70の夫々に供給するための流路が設けられる。また、図示しないが、ホルダー27-DのZ2方向を向く面には、4個のヘッドチップ70を収容する複数の凹部が設けられる。
【0109】
第6実施形態に係る4個のヘッドチップ70は、固定板29-Dに対する4個のヘッドチップ70の夫々の位置が、固定板29に対する4個のヘッドチップ70の夫々の位置と異なる点で、第1実施形態に係る4個のヘッドチップ70と相違する。
【0110】
固定板29-Dは、4つの開口292の替わりに4つの開口292-Dを有し、液体噴射ヘッド20-Dの外形に応じた形状である点で固定板29と相違する。4つの開口292-Dは、固定板29-Dに対する4つの開口292-Dの位置が固定板29に対する4つの開口292の位置と異なる点で、4つの開口292と相違する。
【0111】
カバー33は、回路基板26-Dと中継基板34とを収容する箱状の部材である。カバー33は、例えば、樹脂材料等で構成される。カバー33には、4つの貫通孔33bと開口部33aとが設けられる。4つの貫通孔33bの夫々には、ホルダー27-Dに設けられた2つの接続管27b-Dと、2つの接続管27c-Dとのいずれかが通される。開口部33aには、カバー33内から外部に向かってコネクター34bが通される。
【0112】
図19は、吸引動作中の液体噴射装置100-DをZ2方向からZ1方向に見た図である。第6実施形態に係る噴射面FS-Dは、ノズルプレート74のノズル形成面FNと、流路形成基板71のZ2方向を向く面FRと、固定板29-DのZ2方向を向く固定板面FK-Dとを有する。但し、図19では、図面の煩雑化を防ぐため、開口292-Dによって流路形成基板71の面FRが露出していない態様を示してある。更に、図19では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルNのうち一部のノズルNのみを表示してある。更に、図19では、吸引装置44-Dが有する吸引ヘッド441-Dの外形と吸引口441K-Dの輪郭を破線で表示してある。
【0113】
図19に示すように、液体噴射ヘッド20-Dと開口182K-Dの壁面とがX軸に沿う方向で離間することにより、隙間GP-Dが形成されている。図19では、吸引ヘッド441-Dの移動方向DL-Dを示してある。第6実施形態に係る移動方向DL-Dは、図19に示すように、Y1方向である。Y1方向が、第6実施形態に係る「第1方向」の一例である。また、液体噴射ヘッド20-Dと開口182K-Dの壁面とがY軸に沿う方向で離間することにより、隙間GP-J1及び隙間GP-J2が形成されている。以下、隙間GP-J1及び隙間GP-J2を、隙間GP-Jと記載することがある。隙間GP-J1は、突出部211に対してX2方向に位置し、隙間GP-J2は、突出部212に対してX1方向に位置する。
【0114】
吸引装置44-Dは、吸引ヘッド441の替わりに吸引ヘッド441-Dを有する点で、吸引装置44と相違する。吸引ヘッド441-Dは、対向面441Sの替わりに対向面441S-Dを有し、対向面441S-Dに設けられた吸引口441K-Dを有する点で、吸引ヘッド441と相違する。図19に示すように、吸引ヘッド441-Dの吸引口441K-DのX軸に沿う方向の幅KX-D1は、開口182K-DのX軸に沿う方向の幅KX-D2より長い。X軸に沿う方向であるX1方向及びX2方向が、第6実施形態に係る「第2方向」の一例である。
【0115】
吸引装置44-Dの吸引ポンプ444が負圧を発生させつつ、吸引ヘッド441-DがY1方向に移動することにより、吸引装置44-Dは、吸引口441K-Dから、噴射面FS-D、及び、隙間GP-Dを区画する壁面に付着した異物を吸引する。Z1方向に見て、噴射面FS内の任意の点と吸引口441K-Dとが重なる位置に吸引ヘッド441-Dが移動可能である。従って、噴射面FS-D内のいずれに付着した異物であっても吸引ヘッド441-Dが吸引できる。吸引口441K-DがY1方向に移動することにより、Z1方向に見て、隙間GP-D内の任意の点と吸引口441K-Dとが重なる位置に吸引ヘッド441-Dが移動可能である。従って、隙間GP-Dを区画する壁面のいずれに付着した異物であっても吸引ヘッド441-Dが吸引できる。例えば、図19では、Z1方向に見て隙間GP-Dと吸引口441Kとが重なる領域として、領域RE1-D及び領域RE2-Dとを示してある。
【0116】
7.第7実施形態
第6実施形態に係る液体噴射装置100-Dは、1つの液体噴射ヘッド20-Dを有するが、複数の液体噴射ヘッド20-Dを有してもよい。
【0117】
図20は、吸引動作中の第7実施形態に係る液体噴射装置100-EをZ2方向からZ1方向に見た図である。図20では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルNのうち一部のノズルNのみを表示してある。液体噴射装置100-Eは、2つの液体噴射ヘッド20-Dを有し、キャリッジ182-Dの替わりにキャリッジ182-Eを有する点で、液体噴射装置100-Dと相違する。
【0118】
図20に示すように、2つの液体噴射ヘッド20-Dは、Y軸に沿って配置されている。キャリッジ182-Eには、2個の液体噴射ヘッド20-Dの夫々の複数のノズルNを露出するための開口182K-Eが設けられる。
【0119】
2つの液体噴射ヘッド20-Dは、X軸に沿う方向に見て、互いの一部が重なる。具体的には、2つの液体噴射ヘッド20-DのうちY1方向に位置する液体噴射ヘッド20-Dの突出部212の一部と、2つの液体噴射ヘッド20-DのうちY2方向に位置する液体噴射ヘッド20-Dの突出部211の一部とが重なる。
【0120】
図20に示すように、Y軸に沿って隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-DがX軸に沿う方向で離間することにより、隙間GP-E1が形成されている。吸引口441K-DのX軸に沿う方向の幅KXは、隙間GP-E1のX軸に沿う方向の幅GXより長い。なお、Y軸に沿う方向が、第7実施形態における「第1方向」の一例である。また、X軸に沿う方向が、第7実施形態における「第2方向」の一例である。更に、Y軸に沿って隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-DがY軸に沿う方向で離間することにより、隙間GP-E2が形成されている。
【0121】
吸引装置44-Dの吸引ポンプ444が負圧を発生させつつ、吸引ヘッド441-DがY1方向に移動することにより、吸引装置44-Dは、吸引口441K-Dから、噴射面FS-D、及び、隙間GP-Dを区画する壁面に加えて、隙間GP-E1及び隙間GP-E2を区画する壁面に付着した異物を吸引する。Z1方向に見て、隙間GP-E1及び隙間GP-E2内の任意の点と吸引口441K-Dとが重なる位置に吸引ヘッド441-Dが移動可能である。従って、隙間GP-E1及び隙間GP-E2を区画する壁面のいずれに付着した異物であっても吸引ヘッド441-Dが吸引できる。
【0122】
以上説明したように、第7実施形態に係る液体噴射装置100-Eは、インクを噴射する複数のノズルNが形成された噴射面FS-Dを夫々が有する複数の液体噴射ヘッド20-Dと、複数の液体噴射ヘッド20-DをX軸に沿う方向に並べるようにして支持するキャリッジ182-Eと、複数の液体噴射ヘッド20-Dの夫々の噴射面FS-D及びキャリッジ182-Eに対向する対向面441S-Dと、対向面441S-Dに形成された吸引口441K-Dとを有する吸引装置44-Dと、を備え、吸引装置44-Dは、複数の液体噴射ヘッド20-Dの夫々の噴射面FS-Cに対してY軸に沿う方向に相対的に移動しながら、吸引口441K-Dからインクを吸引可能であり、吸引口441K-Dは、複数の液体噴射ヘッド20-Dのうち1つの液体噴射ヘッド20-Dの噴射面FS-Dの法線方向であるZ軸に沿う方向に見て、複数の液体噴射ヘッド20-Dのうち隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-Dによって形成される隙間GP-Eに重なる位置に移動可能であり、吸引口441K-DのX軸に沿う方向の幅KXは、隙間GP-EのX軸に沿う方向の幅GXよりも長い。
Z軸に沿う方向に見て、吸引口441K-Dが隙間GP-Eと重なる位置に移動可能であるため、第7実施形態に係る液体噴射装置100-Eは、隙間GP-Eを区画する壁面に付着した異物を除去できる。更に、幅KXが幅GXよりも長いため、第7実施形態に係る液体噴射装置100-Eは、幅KXが幅GXよりも短い態様と比較して、隙間GP-Eを区画する壁面に付着した異物を除去できる。
【0123】
8.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0124】
8-1.第1変形例
第5実施形態に係る吸引ヘッド441-Cは、1つの吸引口441K-Cを有するが、複数の吸引口441K-Cを有してもよい。第1変形例及び第2変形例では、液体噴射装置100が液体噴射ヘッド20-Cを有する場合に、2つの吸引口441Kを有する態様を示し、第3変形例では、液体噴射装置100が液体噴射ヘッド20-Cを有する場合に、3つの吸引口441Kを有する態様を示す。
【0125】
図21は、吸引動作中の第1変形例に係る液体噴射装置100-FをZ2方向からZ1方向に見た図である。図21では、液体噴射ヘッド20-Cに加えて、第1変形例における吸引装置44が有する吸引口441K-Fの輪郭を破線で表示してある。更に、図21では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルNのうち一部のノズルNのみを表示してある。
【0126】
液体噴射装置100-Fは、第5実施形態に係る吸引装置44-Cの替わりに第1変形例に係る吸引装置44を有する点で、第5実施形態に係る液体噴射装置100-Cと相違する。第1変形例に係る吸引装置44は、吸引ヘッド441-Cの替わりに吸引ヘッド441-Fを有する点で、吸引装置44-Cと相違する。
【0127】
図21に示すように、吸引ヘッド441-Fは、対向面441S-Cの替わりに対向面441S-Fを有し、更に、対向面441S-Fに設けられた吸引口441K-F1及び吸引口441K-F2を有する点で、吸引ヘッド441-Cと相違する。以下、吸引口441K-F1と、吸引口441K-F2とを、吸引口441K-Fと総称することがある。2つの吸引口441K-Fは、Y軸に沿って延在し、且つ、角を丸めた長方形である。2つの吸引口441K-FのY軸に沿う方向の幅KY-Fは、隙間GP-CのY軸に沿う方向の幅GYより長く、且つ、取付孔11aのY軸に沿う方向の幅K11よりも長い。2つの吸引口441K-Fは、Y軸に沿う方向にずれて配置され、且つ、X軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。より具体的には、X軸に沿う方向に見て、吸引口441K-F1のY1方向の端部と、吸引口441K-F2のY2方向の端部とが重なる。
【0128】
図21に示すように、Z1方向に見て、吸引口441K-F1は、吸引口441K-F2に対してX2方向に位置し、且つ、Y2方向に位置する。図21から理解されるように、Z1方向に見て、吸引口441K-F1が隙間GP-Cに重なる場合、吸引口441K-F2は、隙間GP-Cに重ならない。同様に、Z1方向に見て、吸引口441K-F2が隙間GP-Cに重なる場合、吸引口441K-F1は、隙間GP-Cに重ならない。
【0129】
以上、第1変形例において、隣り合う2つの液体噴射ヘッド20-Cは、Y軸に沿う方向に見て、互いの一部が重なり、第1変形例における吸引装置44は、2つの吸引口441K-Fを有し、2つの吸引口441K-Fは、X軸に沿う方向にずれて配置され、且つ、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。
第1変形例に係る吸引ヘッド441-Fは、吸引ヘッド441-Cと比較して噴射面FSに付着した異物を効率良く除去できる。噴射面FSに付着した異物を効率良く吸引できるとは、噴射面FSに付着した異物を十分に除去することに要する期間を短いことと、吸引力を低下、即ち、吸引ポンプ444が発生させる負圧の大きさを小さくしても噴射面FSに付着した異物を十分に除去することとを含む。
【0130】
吸引ヘッド441-Fが吸引ヘッド441-Cと比較して噴射面FSに付着した異物を効率良く吸引できる理由について説明する。何らかの面に付着した異物を効率良く吸引するためには、この面から異物を剥がす力を大きくすればよい。そして、異物を剥がす力を大きくするためには、異物の周囲の気圧をより低下させればよい。しかしながら、吸引ヘッド441が吸引する空間に、大気に連通する箇所が存在すると、異物の周囲の気圧を十分に低下させることができず、異物を剥がせないことがある。図14から理解されるように、Z1方向に見て吸引ヘッド441-Cの吸引口441K-Cが隙間GP-Cと重なる場合、隙間GP-Cを介して大気に連通するため、Z1方向に見て吸引ヘッド441-Cの吸引口441K-Cが隙間GP-Cと重ならない場合と比較して、異物を剥がす力が低下する。従って、Z1方向に見て吸引ヘッド441-Cの吸引口441K-Cが隙間GP-Cと重なる場合に、噴射面FSのうち吸引口441K-Cと重なる領域の異物が除去できない虞がある。一方、第1変形例では、Z1方向に見て吸引口441K-F1が隙間GP-Cに重なる場合、吸引口441K-F2が隙間GP-Cに重ならないため、吸引口441K-F2による異物を剥がす力が低下しない。同様に、Z1方向に見て吸引口441K-F2が隙間GP-Cに重なる場合、吸引口441K-F1が隙間GP-Cに重ならないため、吸引口441K-F1による異物を剥がす力が低下しない。即ち、Z1方向に見て、2つの吸引口441K-Fのうち一方の吸引口441K-Fが隙間GP-Cに重なる場合、他方の吸引口441K-Fが隙間GP-Cに重ならないことにより、他方の吸引口441K-Fによる異物を剥がす力が低下しないので、吸引ヘッド441-Cと比較して噴射面FSに付着した異物を効率良く吸引できる。
【0131】
8-2.第2変形例
第1変形例に係る吸引口441K-Eは、Y軸に沿って延在するが、これに限らない。
【0132】
図22は、吸引動作中の第2変形例に係る液体噴射装置100-GをZ2方向からZ1方向に見た図である。図22では、液体噴射ヘッド20-Cに加えて、第2変形例における吸引装置44が有する吸引ヘッド441-Gの輪郭を破線で表示してある。更に、図22では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルN-Cのうち一部のノズルN-Cのみを表示してある。
【0133】
液体噴射装置100-Gは、第5実施形態に係る吸引装置44-Cの替わりに第2変形例に係る吸引装置44を有する点で、第5実施形態に係る液体噴射装置100-Cと相違する。第2変形例に係る吸引装置44は、吸引ヘッド441-Cの替わりに吸引ヘッド441-Gを有する点で、吸引装置44-Cと相違する。
【0134】
図22に示すように、吸引ヘッド441-Gは、対向面441S-Cの替わりに対向面441S-Gを有し、対向面441S-Gに設けられた吸引口441K-G1及び吸引口441K-G2を有する点で、吸引ヘッド441-Cと相違する。以下、吸引口441K-G1と吸引口441K-G2とを、吸引口441K-Gと総称することがある。2つの吸引口441K-Gは、V軸に沿って延在し、且つ、角を丸めた長方形である。2つの吸引口441K-GのY軸に沿う方向の幅KY-Gは、隙間GP-CのY軸に沿う方向の幅GYより長く、且つ、取付孔11aのY軸に沿う方向の幅K11よりも長い。2つの吸引口441K-GのV軸に沿う方向の幅KVは、開口292-CのV軸に沿う方向の幅NVよりも長い。但し、幅KVは、幅NVと等しくてもよい。V軸に沿う方向であるV1方向及びV2方向は、「第3方向」の一例である。
【0135】
2つの吸引口441K-Gは、吸引口441K-G1と、Y軸に沿う方向に見て吸引口441K-G1と重なる吸引口441K-G2とを有するとも言える。Z1方向に見て、吸引口441K-G1は、吸引口441K-G2に対してY2方向に位置する。更に、2つの吸引口441K-Gは、Y軸に沿う方向にずれて配置され、且つ、X軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。より具体的には、X軸に沿う方向に見て、吸引口441K-G1のY1方向の端部と、吸引口441K-G2のY2方向の端部とが重なる。2つの吸引口441K-Gは、Y軸に沿う方向に見て重なる。
【0136】
以上、第2変形例に係る液体噴射装置100-Gにおいて、2つの吸引口441K-Gは、Y軸に沿う方向に見て重なる。
従って、第2変形例に係る対向面441S-Gは、2つの吸引口441KがY軸に沿う方向に見て重ならない態様と比較して、対向面441S-GのX軸に沿う方向の幅を狭くできる。従って、吸引ヘッド441-Gを小型化できる。
【0137】
また、第2変形例における複数のノズルN-Cは、第5実施形態と同様に、V軸に沿う方向に配列されており、2つの吸引口441K-Gの夫々は、V軸に沿う方向に延在する。即ち、第2変形例では、複数のノズルN-Cの配列方向と、吸引口441K-Gの延在方向とが一致する。
複数のノズルN-Cの配列方向と吸引口441K-Gの延在方向とが一致するため、第2変形例に係る吸引口441K-Gの面積が、複数のノズルN-Cの配列方向と吸引口441K-Gの延在方向とが異なる態様における吸引口441Kの面積よりも小さくできる。従って、吸引ヘッド441-Gを小型化できる。
更に、複数のノズルN-Cの配列方向と、吸引口441K-Gの長手方向とが共にV軸に沿う方向で一致し、且つ、吸引口441K-GのV軸に沿う方向の幅KVは、複数のノズルN-Cによって形成されるノズル列のV軸に沿う方向の幅よりも長い。従って、複数のノズルN-Cの全てに対して、Z軸に沿う方向に見て、吸引口441K-Gが隙間GP-Cと重ならないが複数のノズルN-Cによって形成されるノズル列と重なる状態にできるので、ノズルN-Cの近傍にインク等の吸引対象物が残留することを抑制できる。
【0138】
8-3.第3変形例
第2変形例に係る対向面441S-Hは、2つの吸引口441K-Gを有するが、これに限らない。
【0139】
図23は、吸引動作中の第3変形例に係る液体噴射装置100-HをZ2方向からZ1方向に見た図である。図23では、液体噴射ヘッド20-Cに加えて、第3変形例における吸引装置44が有する吸引口441K-Hの輪郭を破線で表示してある。更に、図23では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルN-Cのうち一部のノズルN-Cのみを表示してある。
【0140】
液体噴射装置100-Hは、第5実施形態に係る吸引装置44-Cの替わりに第3変形例に係る吸引装置44を有する点で、第5実施形態に係る液体噴射装置100-Cと相違する。第3変形例に係る吸引装置44は、吸引ヘッド441-Cの替わりに吸引ヘッド441-Hを有する点で、吸引装置44-Cと相違する。
【0141】
図23に示すように、吸引ヘッド441-Hは、対向面441S-Cの替わりに対向面441S-Hを有し、対向面441S-Hに設けられた吸引口441K-H1、吸引口441K-H2、及び、吸引口441K-H3を有する点で、吸引ヘッド441-Cと相違する。以下、吸引口441K-H1と吸引口441K-H2と吸引口441K-H3とを、吸引口441K-Hと総称することがある。3つの吸引口441K-Hは、V軸に沿って延在し、且つ、角を丸めた長方形である。Z1方向に見て、吸引口441K-H2は、吸引口441K-H1と吸引口441K-H3との間に位置する。3つの吸引口441K-HのY軸に沿う方向の幅KY-Hは、取付孔11aのY軸に沿う方向の幅K11よりも長い。幅KY-Hは、隙間GP-CのY軸に沿う方向の幅GYに対して長い。3つの吸引口441K-HのV軸に沿う方向の幅KV-Hは、開口292-CのV軸に沿う方向の幅NVよりも短い。
【0142】
第2変形例と同様に、第3変形例に係る液体噴射装置100-Hにおいて、3つの吸引口441K-Hは、Y軸に沿う方向に見て重なる。
従って、第3変形例に係る対向面441S-Hは、2つの吸引口441KがY軸に沿う方向に見て重ならない態様と比較して、対向面441S-HのX軸に沿う方向の幅を狭くできる。従って、吸引ヘッド441-Hを小型化できる。
【0143】
また、第2変形例と同様に、第3変形例においても、複数のノズルN-Cの配列方向と、吸引口441K-Hの延在方向とが一致する。
複数のノズルN-Cの配列方向と吸引口441K-Hの延在方向とが一致するため、複数のノズルN-Cの配列方向と吸引口441K-Hの延在方向とが異なる態様と比較して、対向面441S-Hの面積を小さくできる。従って、吸引ヘッド441-Hを小型化できる。
更に、複数のノズルN-Cの配列方向と、吸引口441K-Hの長手方向とが共にV軸に沿う方向で一致し、且つ、吸引口441K-HのV軸に沿う方向の幅KV-Hは、複数のノズルN-Cによって形成されるノズル列のV軸に沿う方向の幅よりも短い。従って、複数のノズルN-Cの全てに対して、Z軸に沿う方向に見て、吸引口441K-Hが複数のノズルN-Cによって形成されるノズル列に重なる場合に隙間GP-Cには重ならない状態にできるので、ノズルN-Cの近傍にインク等の吸引対象物が残留することを抑制できる。
【0144】
8-4.第4変形例
第6実施形態に係る吸引ヘッド441-Dは、1つの吸引口441K-Dを有するが、複数の吸引口441K-Dを有してもよい。第4変形例及び第5変形例では、液体噴射装置100が液体噴射ヘッド20-Dを有する場合に、3つの吸引口441Kを有する態様を示し、第6変形例及び第7変形例では、液体噴射装置100が液体噴射ヘッド20-Dを有する場合に、2つの吸引口441Kを有する態様を示す。
【0145】
図24は、吸引動作中の第4変形例に係る液体噴射装置100-JをZ2方向からZ1方向に見た図である。図24では、液体噴射ヘッド20-Dに加えて、第4変形例における吸引装置44が有する吸引ヘッド441-Jの輪郭と吸引口441K-Jの輪郭を破線で表示してある。更に、図24では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルNのうち一部のノズルNのみを表示してある。
【0146】
液体噴射装置100-Jは、第6実施形態に係る吸引装置44-Dの替わりに第4変形例に係る吸引装置44を有する点で、第6実施形態に係る液体噴射装置100-Dと相違する。第4変形例に係る吸引装置44は、吸引ヘッド441-Dの替わりに吸引ヘッド441-Jを有する点で、吸引装置44-Dと相違する。
【0147】
図24に示すように、吸引ヘッド441-Jは、対向面441S-Dの替わりに対向面441S-Jを有し、対向面441S-Jに設けられた吸引口441K-J1、吸引口441K-J2、及び、吸引口441K-J3を有する点で、吸引ヘッド441-Dと相違する。以下、吸引口441K-J1と吸引口441K-J2と吸引口441K-J3とを、吸引口441K-Jと総称することがある。3つの吸引口441K-Jは、X軸に沿って延在し、且つ、角を丸めた長方形である。吸引口441K-J1及び吸引口441K-J3のX軸に沿う方向の幅KX-J1は、吸引口441K-J2のX軸に沿う方向の幅KX-J2より長い。
【0148】
吸引口441K-J1は、対向面441S-JのX1方向及びY2方向の端部に位置する。吸引口441K-J2は、対向面441S-JのY1方向の端部に位置する。吸引口441K-J3は、対向面441S-JのX2方向及びY2方向の端部に位置する。図24から理解されるように、Z1方向に見て、突出部212のX1方向の端部は、吸引口441K-J3のX1方向の端部よりもX1方向に位置する。
【0149】
複数の吸引口441K-Jは、X軸に沿う方向にずれて配置され、且つ、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。具体的には、吸引口441K-J1と吸引口441K-J2と吸引口441K-J3とは、夫々X軸に沿う方向にずれて配置される。更に、吸引口441K-J1と吸引口441K-J2とは、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なり、吸引口441K-J2と吸引口441K-J3とは、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。
【0150】
第4変形例においても、第1変形例と同様に、第4変形例に係る吸引ヘッド441-Jは、吸引ヘッド441-Dと比較して噴射面FS-Dに付着した異物を効率良く除去できる。
【0151】
吸引ヘッド441-Jが吸引ヘッド441-Dと比較して噴射面FSに付着した異物を効率良く吸引できる理由について説明する。上述したように、吸引ヘッド441が吸引する空間に、大気に連通する箇所が存在すると、異物の周囲の気圧を十分に低下させることができず、異物を剥がせないことがある。Z1方向に見て、吸引ヘッド441-Dの吸引口441K-Dが隙間GP-J2に重なる場合、隙間GP-J2を介して大気に連通するため、Z1方向に見て吸引口441K-Dが隙間GP-J2と重ならない場合と比較して、異物を剥がす力が低下する。一方、第4変形例では、Z1方向に見て、吸引口441K-J1が隙間GP-J2に重なる場合、吸引口441K-J2及び吸引口441K-J3は隙間GP-J2に重ならないため、吸引口441K-J2及び吸引口441K-J2による異物を剥がす力が低下しない。また、Z1方向に見て、吸引口441K-J3が隙間GP-J1に重なる場合、吸引口441K-J1は隙間GP-J1に重ならないため、吸引口441K-J1による異物を剥がす力が低下しない。以上により、Z1方向に見て、3つの吸引口441K-Jのうちいずれか1つの吸引口441K-Jが隙間GP-Jに重なる場合、3つの吸引口441K-Jのうちの残余の吸引口441K-Jのいずれかが隙間GP-Jに重ならないことにより、この残余の吸引口441K-Jのいずれかによる異物を剥がす力が低下しない。従って、第4変形例に係る吸引ヘッド441-Jは、吸引ヘッド441-Dと比較して噴射面FSに付着した異物を効率良く吸引できる。
【0152】
8-5.第5変形例
図25は、吸引動作中の第5変形例に係る液体噴射装置100-KをZ2方向からZ1方向に見た図である。図25では、液体噴射ヘッド20-Dに加えて、第5変形例における吸引装置44が有する吸引ヘッド441-Kの輪郭と吸引口441K-Kの輪郭を破線で表示してある。更に、図25では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルNのうち一部のノズルNのみを表示してある。
【0153】
液体噴射装置100-Hは、第6実施形態に係る吸引装置44-Dの替わりに第5変形例に係る吸引装置44を有する点で、第6実施形態に係る液体噴射装置100-Dと相違する。第5変形例に係る吸引装置44は、吸引ヘッド441-Dの替わりに吸引ヘッド441-Kを有する点で、吸引装置44-Dと相違する。
【0154】
図25に示すように、吸引ヘッド441-Kは、対向面441S-Dの替わりに対向面441S-Kを有し、対向面441S-Kに設けられた吸引口441K-K1、吸引口441K-K2、及び、吸引口441K-K3を有する点で、吸引ヘッド441-Dと相違する。以下、吸引口441K-K1と吸引口441K-K2と吸引口441K-K3とを、吸引口441K-Kと総称することがある。3つの吸引口441K-Kは、X軸に沿って延在し、且つ、角を丸めた長方形である。吸引口441K-K1及び吸引口441K-K3のX軸に沿う方向の幅KX-K1は、吸引口441K-K2のX軸に沿う方向の幅KX-K2より短い。
【0155】
Z1方向に見て、吸引口441K-K1は、対向面441S-KのX1方向及びY2方向の端部に位置する。吸引口441K-K2は、対向面441S-JのY1方向の端部に位置する。吸引口441K-K3は、対向面441S-KのX2方向及びY2方向の端部に位置する。図24から理解されるように、Z1方向に見て、4つの開口292-DのうちX2方向に位置する開口292-DのX2方向の端部は、吸引口441K-K3のX1方向の端部よりもX1方向に位置する。
【0156】
第4変形例と同様に、複数の吸引口441K-Kは、X軸に沿う方向にずれて配置され、且つ、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。具体的には、吸引口441K-K1と吸引口441K-K2と吸引口441K-K3とは、夫々X軸に沿う方向にずれて配置される。更に、吸引口441K-K1と吸引口441K-K2とは、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なり、吸引口441K-K2と吸引口441K-K3とは、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。従って、第4変形例と同様に、第5変形例でも、吸引ヘッド441-Kは、吸引ヘッド441-Dと比較して噴射面FS-Dに付着した異物を効率良く除去できる。
【0157】
8-6.第6変形例
図26は、吸引動作中の第6変形例に係る液体噴射装置100-LをZ2方向からZ1方向に見た図である。図26では、液体噴射ヘッド20-Dに加えて、第6変形例における吸引装置44が有する吸引ヘッド441-Lの輪郭と吸引口441K-Lの輪郭を破線で表示してある。更に、図26では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルNのうち一部のノズルNのみを表示してある。
【0158】
液体噴射装置100-Lは、第6実施形態に係る吸引装置44-Dの替わりに第6変形例に係る吸引装置44を有する点で、第6実施形態に係る液体噴射装置100-Dと相違する。第6変形例に係る吸引装置44は、吸引ヘッド441-Dの替わりに吸引ヘッド441-Lを有する点で、吸引装置44-Dと相違する。
【0159】
図26に示すように、吸引ヘッド441-Lは、対向面441S-Dの替わりに対向面441S-Lを有し、対向面441S-Lに設けられた吸引口441K-L1、及び、吸引口441K-L2を有する点で、吸引ヘッド441-Dと相違する。以下、吸引口441K-L1と吸引口441K-L2とを、吸引口441K-Lと総称することがある。
【0160】
2つの吸引口441K-Lは、対向面441S-Lの重心LGに対して互いに略点対称に位置し、角を丸めたL字型の領域である。重心とは、対象の形状において断面1次モーメントの総和がゼロになる地点である。例えば、対象の形状が円形である場合、重心は、円の中心であり、対象の形状が平行四辺形である場合、重心は、平行四辺形が有する2つの対角線の交点である。
【0161】
図26に示すように、吸引口441K-L1は、中央部210の噴射面FS及び隙間GP-Dを区画する壁面に付着した異物を吸引する領域RL1と、中央部210の噴射面FS及び突出部211の噴射面FS、並びに隙間GP-Dを区画する付着した異物を吸引する領域RL2とに区分することができる。同様に、吸引口441K-L2は、中央部210の噴射面FS及び隙間GP-Dを区画する壁面に付着した異物を吸引する領域RL3と、中央部210の噴射面FS及び突出部212の噴射面FS、並びに隙間GP-Dを区画する付着した異物を吸引する領域RL4とに区分することができる。
【0162】
第4変形例及び第5変形例と同様に、2つの吸引口441K-Lは、X軸に沿う方向にずれて配置され、且つ、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。具体的には、Y軸に沿う方向に見て、領域RL1のX2方向の端部と領域RL3のX1方向の端部とが重なる。
【0163】
領域RL2のY軸に沿う方向の幅AYと、開口292-Dのうち突出部211に含まれる範囲のY軸に沿う方向の幅BYと、突出部211のY軸に沿う方向の幅CYとは、下記(1)式を満たす。
BY<AY<CY
【0164】
(1)式を満たすことが好ましいが、幅AYが幅CYと等しくてもよく、幅AYが幅CYより長くてもよい。(1)式を満たすことにより、領域RL2が突出部211の噴射面FSに付着した異物を吸引する場合、即ち、Z1方向に見て、領域RL2が突出部211に重なる場合に、領域RL1が隙間GP-J1に重ならないため、領域RL1が隙間GP-J1に重なる態様と比較して、吸引口441K-L1による異物を剥がす力が低下することを抑制できる。従って、第6変形例に係る吸引ヘッド441-Mは、吸引ヘッド441-Dと比較して噴射面FSに付着した異物を効率良く吸引できる。
【0165】
8-7.第7変形例
図27は、吸引動作中の第7変形例に係る液体噴射装置100-MをZ2方向からZ1方向に見た図である。図27では、液体噴射ヘッド20-Dに加えて、第7変形例における吸引装置44が有する吸引ヘッド441-Mの輪郭と吸引口441K-Mの輪郭を破線で表示してある。更に、図27では、図面の煩雑化を防ぐため、複数のノズルNのうち一部のノズルNのみを表示してある。
【0166】
液体噴射装置100-Mは、第6実施形態に係る吸引装置44-Dの替わりに第7変形例に係る吸引装置44を有する点で、第6実施形態に係る液体噴射装置100-Dと相違する。第7変形例に係る吸引装置44は、吸引ヘッド441-Dの替わりに吸引ヘッド441-Mを有する点で、吸引装置44-Dと相違する。
【0167】
図27に示すように、吸引ヘッド441-Mは、対向面441S-Dの替わりに対向面441S-Mを有し、対向面441S-Mに設けられた吸引口441K-M1、及び、吸引口441K-M2を有する点で、吸引ヘッド441-Dと相違する。以下、吸引口441K-M1と吸引口441K-M2とを、吸引口441K-Mと総称することがある。
【0168】
2つの吸引口441K-Mは、X軸に沿って延在し、且つ、角を丸めた長方形である。2つの吸引口441K-Mは、対向面441S-Mの重心MGに対して互いに略点対称に位置する。吸引口441K-M1は、対向面441S-MのX1方向及びY2方向の端部に位置する。吸引口441K-M2は、対向面441S-MのX2方向及びY1方向の端部に位置する。
【0169】
第4変形例、第5変形例、及び、第6変形例と同様に、2つの吸引口441K-Mは、X軸に沿う方向にずれて配置され、且つ、Y軸に沿う方向に見て互いの一部が重なる。具体的には、Y軸に沿う方向に見て、吸引口441K-M1のX2方向の端部と吸引口441K-M2のX1方向の端部とが重なる。
【0170】
第7変形例でも第4変形例、第5変形例、及び、第6変形例と同様に、Z1方向に見て、吸引口441K-M2が隙間GP-J1に重なる場合に、吸引口441K-M1が隙間GP-J1に重ならない。従って、第7変形例に係る吸引ヘッド441-Mは、吸引ヘッド441-Dと比較して噴射面FSに付着した異物を効率良く吸引できる。
【0171】
なお、第7実施形態に係る吸引装置44を、第4変形例、第5変形例、第6変形例、及び、第7変形例に係る吸引装置44のいずれかに置き替える態様も可能である。
【0172】
8-8.第8変形例
第1実施形態では、吸引動作時に、キャリッジ182のZ2方向を向く面182Sと、吸引ヘッド441の対向面441Sとが当接するが、これに限らない。
【0173】
図28は、吸引動作中の第8変形例に係る液体噴射装置100-Oの状態を示す図である。図28及び後述の図29では、4個のヘッドチップ70のうち最もX1方向に配置されたヘッドチップ70とキャリッジ182と吸引ヘッド441とを、XZ平面に平行な断面で切断し、この断面をY1方向からY2方向に見た状態を示す。更に、図28及び図29では、図面の煩雑化を防ぐため、最もX1方向に配置されたヘッドチップ70のうち配線部材78よりもX2方向の要素を省略してある。
【0174】
液体噴射装置100-Oは、液体噴射ヘッド20の替わりに液体噴射ヘッド20-Oを有し、キャリッジ182の替わりにキャリッジ182-Oを有する点で、液体噴射装置100と相違する。液体噴射ヘッド20-Oは、ヘッド本体204の替わりにヘッド本体204-Oを有し、ホルダーカバー23の替わりにホルダーカバー23-Oを有し、補強板38を有する点で、液体噴射ヘッド20-Mと相違する。ヘッド本体204-Mは、固定板29の替わりに固定板29-Oを有する点で、ヘッド本体204と相違する。固定板29-Oは、X軸及びY軸の端部が折り曲げられていない平板状の部材である点で、固定板29と相違する。
【0175】
ホルダーカバー23-Oは、固定板29-OのZ2方向を向く固定板面FKよりもZ2方向に突出するホルダー外周リブ23aを有する点で、ホルダーカバー23と相違する。例えば、固定板面FKからホルダー外周リブ23aが突出する突出量dYは、0.075ミリメートルである。
【0176】
補強板38は、ホルダーカバー23-Oと固定板29-Oとの間に配置され、固定板29-Oを補強する板状部材である。補強板38は、固定板29-O上に重ねて配置され、固定板29-Oに対して接着剤38aにより固定される。
【0177】
図28に示すように、キャリッジ182-OのZ2方向を向く面182S-Oは、ホルダー外周リブ23aよりもZ1方向に設けられる。従って、吸引ヘッド441の対向面441Sは、ホルダー外周リブ23aに当接し、面182S-Oには当接しない。
【0178】
8-9.第9変形例
第8変形例では、吸引動作時に、吸引ヘッド441の対向面441Sは、ホルダー外周リブ23aに当接し、キャリッジ182-OのZ2方向を向く面182S-Oには当接しないが、キャリッジ182-OのZ2方向を向く面182Sに当接してもよい。
【0179】
図29は、吸引動作中の第9変形例に係る液体噴射装置100-Pの状態を示す図である。液体噴射装置100-Pは、キャリッジ182-Oの替わりにキャリッジ182-Pを有する点で、液体噴射装置100-Pと相違する。
【0180】
図29に示すように、キャリッジ182-PのZ2方向を向く面182S-Pは、Z軸に関して、ホルダー外周リブ23aと略同一に位置する。従って、吸引ヘッド441の対向面441Sは、ホルダー外周リブ23a及び面182S-Pに当接する。
【0181】
8-10.第10変形例
上述の各態様において、液体噴射ヘッド20は、圧電素子732に替えて圧力室CV内のインクを加熱する発熱素子を有してもよい。
【0182】
8-11.その他の変形例
上述の液体噴射装置は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【0183】
9.付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0184】
好適な態様である態様1に係る液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルが形成された噴射面を有する液体噴射ヘッドと、前記複数のノズルが露出する開口を有し、前記開口によって前記複数のノズルが露出した状態で前記液体噴射ヘッドを支持する支持体と、前記噴射面及び前記支持体に対向する対向面と、前記対向面に形成された1又は複数の吸引口とを有する吸引装置と、を備え、前記吸引装置は、前記噴射面に対して前記吸引口が前記噴射面に沿う第1方向に相対的に移動しながら、前記1又は複数の吸引口から吸引対象物を吸引可能であり、前記1又は複数の吸引口の一部又は全部は、前記噴射面の法線方向に見て、前記液体噴射ヘッドと前記支持体とが前記法線方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向で離間することにより形成された隙間と重なる位置に移動可能である。
法線方向に見て、吸引口が隙間と重なる位置に移動可能であるため、態様1に係る液体噴射装置は、噴射面に付着した吸引対象物に加えて、隙間を区画する壁面に付着した吸引対象物を除去できる。隙間を区画する壁面に付着した吸引対象物を除去することにより、噴射性能が低下することを抑制できる。
【0185】
態様1の具体例である態様2において、液体を噴射する複数のノズルが形成された噴射面を夫々が有する複数の液体噴射ヘッドと、前記複数の液体噴射ヘッドを第1方向に並べるようにして支持する支持体と、前記複数の液体噴射ヘッドの夫々の噴射面及び前記支持体に対向する対向面と、前記対向面に形成された1又は複数の吸引口とを有する吸引装置と、を備え、前記吸引装置は、前記複数の液体噴射ヘッドの夫々の噴射面に対して前記第1方向に相対的に移動しながら、前記1又は複数の吸引口から吸引対象物を吸引可能であり、前記1又は複数の吸引口の一部又は全部は、前記複数の液体噴射ヘッドのうち一の液体噴射ヘッドの噴射面の法線方向に見て、前記複数の液体噴射ヘッドのうち隣り合う2つの液体噴射ヘッドによって形成される隙間に重なる位置に移動可能であり、前記1又は複数の吸引口の前記法線方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向の幅は、前記隙間の前記第2方向の幅よりも長い。
法線方向に見て、吸引口が隙間と重なる位置に移動可能であるため、態様2に係る液体噴射装置は、噴射面に付着した吸引対象物に加えて、隙間を区画する壁面に付着した吸引対象物を除去できる。更に、吸引口の第2方向の幅が隙間の第2方向の幅よりも長いため、態様2に係る液体噴射装置は、吸引口の第2方向の幅が隙間の第2方向の幅よりも短い態様と比較して、隙間を区画する壁面に付着した吸引対象物を除去できる。
【0186】
態様2の具体例である態様3において、前記隣り合う2つの液体噴射ヘッドは、前記第2方向に見て、互いの一部が重なり、前記吸引装置は、前記複数の吸引口を有し、前記複数の吸引口は、前記第2方向にずれて配置され、且つ、前記第1方向に見て互いの一部が重なる。
態様3に係る吸引装置は、態様2に係る吸引装置と比較して噴射面に付着した異物を効率良く除去できる。
【0187】
態様3の具体例である態様4において、前記複数の吸引口は、前記第2方向に見て重なる。
態様4に係る対向面は、複数の吸引口が第2方向に見て重ならない態様と比較して、対向面の第1方向の幅を狭くできる。
【0188】
態様4の具体例である態様5において、前記複数のノズルは、前記法線方向に見て、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に配列されており、前記複数の吸引口の夫々は、前記第3方向に延在する。
複数のノズルの配列方向と吸引口の延在方向とが一致するため、態様5に係る吸引口の面積が、複数のノズルの配列方向と吸引口の延在方向とが異なる態様における吸引口の面積よりも小さくできる。
【符号の説明】
【0189】
4,4-C,4-D…保守機構、11…支持体、11a…取付孔、12…制御モジュール、14…搬送機構、16…循環機構、17…液体収容部、18,18-D…ヘッド移動機構、19,19-1…液体容器、20,20-C,20-D,20-M…液体噴射ヘッド、22…ケース、23,23-M…ホルダーカバー、23a…ホルダー外周リブ、24…ネジ、25…シール部材、26,26-C,26-D…回路基板、26a…孔、26b,26b-D…開口部、26c…コネクター、27,27-C,27-D…ホルダー、27a,27b,27b-D,27c,27c-D,27d…接続管、27d-D…開口、27e…配線孔、29,29-C,29-D,29-M…固定板、31…ベース、31a…本体、31b…集合基板、31c…カバー、31d…孔、31e…フランジ、32…流路構造体、32a,32b,32c,32d…接続管、32e…孔、33…カバー、33a…開口部、33b…貫通孔、34…中継基板、34b…コネクター、38…補強板、38a…接着剤、42,42-D…排出機構、44,44-A,44-C,44-D…吸引装置、46…保守移動機構、70,70-C…ヘッドチップ、71,71-C…流路形成基板、72…圧力室形成基板、73…振動板、74,74-C…ノズルプレート、75…コンプライアンス部、76…保護板、77…ケース、78,78-C…配線部材、100,100-A,100-B,100-C,100-D,100-E,100-F,100-G,100-H,100-J,100-K,100-L,100-M,100-O,100-P…液体噴射装置、181…無端ベルト、182,182-D,182-E,182-O,182-P…キャリッジ、182K,182K-D,182K-E…開口、182S,182S-O,182S-P…面、202…流路ユニット、204,204-M…ヘッド本体、210…中央部、211,212…突出部、225…流路、227…貫通孔、232…内底面、234…開口、236…梁部、262…端子部、264…コネクター、267,268…貫通孔、271…第1ホルダー、272…第2ホルダー、273,274…流路、275,276,292,292-C,292-D…開口、294…外周リブ、295…部分、441,441-A,441-B,441-C,441-D,441-F,441-G,441-H,441-J,441-K,441-L,441-M…吸引ヘッド、441D…段差、441H,441H-A,441H-C…有底孔、441J…開口、441K,441K-B,441K-C,441K-D,441K-E,441K-F,441K-G,441K-H,441K-J,441K-K,441K-L,441K-M,441L-A…吸引口、441S,441S-C,441S-D,441S-F,441S-G,441S-H,441S-J,441S-K,441S-L,441S-M…対向面、441T…底面、441TP…テーパー面、442…配管、444…吸引ポンプ、445…回収ビン、712…開口、714…接続流路、716…連通流路、718…ノズル流路、722…開口、732…圧電素子、752…封止板、754…支持部材、772…空間、774…供給口、781…駆動回路、CV…圧力室、Com…駆動信号、DL,DL-C,DL-D…移動方向、DR1,DR2,DR3,DR4…液滴、FK,FK-C,FK-D…固定板面、FN,FN-C…ノズル形成面、FR,FR-C…面、FS,FS-C,FS-D…噴射面、GP,GP-C,GP-D,GP-E,GP-J,GP1,GP2…隙間、HR1,HR2…梁、HU…液体噴射モジュール、LG,MG…重心、N,N-C…ノズル、NK…ネジ、PP…媒体、R,R1,R2…液体貯留室、RE1,RE1-D,RE2,RE2-D,RL1,RL2,RL3,RL4…領域、SI…制御信号、dY…突出量。
図1
図2
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