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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021621
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240208BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B41J2/14 305
B41J2/18
B41J2/14 605
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124598
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼部 本規
(72)【発明者】
【氏名】塩沢 優
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA05
2C056KB16
2C056KB25
2C057AF93
2C057AG68
2C057AG75
2C057AG77
2C057AN01
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】共通流路間で液体を循環させる。
【解決手段】液体に圧力を付与する複数の圧力室に対応する複数の個別流路が第1方向に並ぶように形成された第1基板と、複数の個別流路と対応し、液体を吐出する複数のノズルが形成された第2基板と、を備え、第1基板には、複数の個別流路に共通に連通し、複数の個別流路に液体を供給する第1共通流路と、複数の個別流路に共通に連通し、複数の個別流路から液体を回収する第2共通流路と、第1共通流路及び第2共通流路を接続する第1バイパス流路と、が設けられ、第1基板は、複数の圧力室が形成された圧力室基板と、圧力室基板及び第2基板の間に設けられた連通板と、から構成される、ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に圧力を付与する複数の圧力室に対応する複数の個別流路が第1方向に並ぶように形成された第1基板と、
前記複数の個別流路と対応し、液体を吐出する複数のノズルが形成された第2基板と、
を備え、
前記第1基板には、
前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路に液体を供給する第1共通流路と、
前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路から液体を回収する第2共通流路と、
前記第1共通流路及び前記第2共通流路を接続する第1バイパス流路と、
が設けられ、
前記第1基板は、
前記複数の圧力室が形成された圧力室基板と、
前記圧力室基板及び前記第2基板の間に設けられた連通板と、
から構成される、
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1共通流路に対して液体を供給する供給流路と、
前記供給流路に対して液体を供給するための供給口と、
が設けられた第3基板を備え、
前記第1方向において、前記第1共通流路及び前記第1バイパス流路の接続箇所と前記供給口との間に、前記複数の個別流路のうち1以上の個別流路が設けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1バイパス流路の流路抵抗は、前記個別流路の流路抵抗よりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記第1バイパス流路は、前記複数の個別流路のうち前記第1方向の端部に位置する端部個別流路から見て前記第1方向に配置される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記第1基板には、前記第1共通流路及び前記第2共通流路を接続する第2バイパス流路が設けられ、
前記複数の個別流路は、前記第1バイパス流路と前記第2バイパス流路との間に設けられる、
ことを特徴とする、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記個別流路は、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、
前記ノズルは、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に液体を吐出し、
前記第3方向において、前記第1バイパス流路のうち前記第3方向の端部は、前記個別流路のうち前記第3方向の端部と、前記第2基板のうち前記第3方向の端部との間に位置する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記個別流路は、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、
前記第1バイパス流路は、前記第2方向に延在し、
前記圧力室基板のうち前記個別流路に対応する第1流路部分は、
前記第2方向における第1領域において、所定長以上の厚みを有する第1部分と、
前記第1領域から見て前記第2方向に存在する第2領域において、前記所定長以上の厚みを有する第2部分と、
前記第1領域及び前記第2領域の間に存在する第3領域において、前記圧力室に対応して設けられた貫通孔を有する第3部分と、
を備え、
前記圧力室基板のうち前記第1バイパス流路に対応する第2流路部分は、
前記第1領域において、前記所定長以上の厚みを有する第4部分と、
前記第2領域において、前記所定長以上の厚みを有する第5部分と、
前記第3領域において、前記所定長以上の厚みを有する第6部分と、
を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第1共通流路のうち、前記個別流路に接続する第1接続部分には、複数の突起部からなるフィルターが設けられ、
前記第1共通流路のうち、前記第1バイパス流路に接続する第2接続部分には、前記フィルターは設けられない、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記個別流路は、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、
前記第1バイパス流路は、前記第2方向に延在し、
前記第1バイパス流路の壁面のうち、前記第2方向以外の方向に延在する部分の面積は、
前記個別流路の壁面のうち、前記第2方向以外の方向に延在する部分の面積よりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記第1バイパス流路及び前記第1共通流路が接続する領域には、液体の振動を吸収する第1振動吸収部が設けられ、
前記第1バイパス流路及び前記第2共通流路が接続する領域には、液体の振動を吸収する第2振動吸収部が設けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記第1振動吸収部及び前記第2振動吸収部は、互いに離間して設けられる、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記第1振動吸収部及び前記第2振動吸収部は、一体に形成される、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記個別流路及び前記第1共通流路が接続する領域には、液体の振動を吸収する第3振動吸収部が設けられ、
前記第1振動吸収部及び前記第3振動吸収部は、一体に形成される、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
前記圧力室に対応する位置に設けられた圧電素子により振動して前記圧力室内の圧力を変動させる振動板を備え、
前記第1振動吸収部は、前記振動板により形成される、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】
前記複数の個別流路は、
前記第1方向において前記第1バイパス流路と隣り合う第1個別流路と、
前記第1方向において前記第1個別流路と隣り合う第2個別流路と、
を含み、
前記第1バイパス流路及び前記第1個別流路の間隔は、前記第1個別流路及び前記第2個別流路の間隔よりも大きい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項16】
請求項1から15のうち何れか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドからの液体の吐出を制御する制御装置と、
を備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置に設けられインク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドが広く普及している。例えば、特許文献1には、液体を吐出する複数のノズルと対応して設けられた複数の個別流路と、複数の個別流路に共通に連通し、複数の個別流路に液体を供給する1つの共通供給流路と、複数の個別流路に共通に連通し、複数の個別流路から液体を回収する1つの共通排出流路と、を備え、共通供給流路から複数の個別流路を経由して共通排出流路へと液体を循環させる液体吐出ヘッドに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-130258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、液体吐出ヘッドの有する複数のノズルのうち、インクを吐出しないノズルが多く存在する場合において、インクを吐出するノズルが多く存在する場合と比較して、共通供給流路から共通排出流路へと液体を循環させるために必要となる圧力が大きく変動することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の問題を解決するために、本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体に圧力を付与する複数の圧力室に対応する複数の個別流路が第1方向に並ぶように形成された第1基板と、前記複数の個別流路と対応し、液体を吐出する複数のノズルが形成された第2基板と、を備え、前記第1基板には、前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路に液体を供給する第1共通流路と、前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路から液体を回収する第2共通流路と、前記第1共通流路及び前記第2共通流路を接続する第1バイパス流路と、が設けられ、前記第1基板は、前記複数の圧力室が形成された圧力室基板と、前記圧力室基板及び前記第2基板の間に設けられた連通板と、から構成される、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る液体吐出装置は、上述した液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドからの液体の吐出を制御する制御装置と、を備える、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る液体吐出装置100の一例を示す構成図である。
図2】液体吐出ヘッド1の構成の一例を示す分解斜視図である。
図3】液体吐出ヘッド1の構成の一例を示す断面図である。
図4】液体吐出ヘッド1の構成の一例を示す断面図である。
図5】流路形成基板26及びフィルターFの構成の一例を示す斜視図である。
図6】液体吐出ヘッド1の構成の一例を示す平面図である。
図7】変形例1に係る液体吐出ヘッド1Bの構成の一例を示す断面図である。
図8】変形例2に係る液体吐出ヘッド1Cの構成の一例を示す断面図である。
図9】変形例3に係る液体吐出ヘッド1Dの構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。但し、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<<A.実施形態>>
以下、本実施形態に係る液体吐出装置100について説明する。
【0010】
<<1.液体吐出装置の概要>>
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置100を示す説明図である。
【0011】
液体吐出装置100は、インクを媒体PPに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体PPは、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の印刷対象が媒体PPとして利用され得る。なお、インクは「液体」の一例である。
【0012】
図1に示すように、液体吐出装置100は、複数の液体吐出ヘッド1と、制御装置7と、インク供給装置8と、移動機構91と、搬送機構92と、を備える。
【0013】
制御装置7は、例えばCPUまたはFPGA等の処理回路と、半導体メモリ等の記憶回路とを含み、液体吐出装置100の各要素を制御する。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0014】
移動機構91は、制御装置7による制御のもとで、媒体PPを、Y軸に沿ったY1方向に搬送する。以下では、Y軸に沿ったY1方向と、Y1方向とは反対のY2方向とを、Y軸方向と総称する。また、以下では、Y軸に交差するX軸に沿ったX1方向と、X1方向とは反対のX2方向とを、X軸方向と総称する。また、以下では、X軸及びY軸に交差するZ軸に沿ったZ1方向と、Z1方向とは反対のZ2方向とを、Z軸方向と総称する。また、以下では、一の物体を起点として他の物体を終点とするベクトルと、X1方向に向かうベクトルとの内積が「正」となる場合、一の物体を基準として他の物体が、「X1側」に存在すると称する。また、以下では、一の物体を起点として他の物体を終点とするベクトルと、X2方向に向かうベクトルとの内積が「正」となる場合、一の物体を基準として他の物体が、「X2側」に存在すると称する。Y1側、Y2側、Z1側、及び、Z2側についても同様である。
本実施形態では、一例として、X軸、Y軸、及び、Z軸が、互いに直交する場合を想定して説明する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。X軸、Y軸、及び、Z軸は、互いに交差していればよい。
【0015】
搬送機構92は、制御装置7による制御のもとで、複数の液体吐出ヘッド1を、X1方向及びX2方向に往復動させる。搬送機構92は、複数の液体吐出ヘッド1を収容する収納ケース921と、収納ケース921が固定された無端ベルト922とを具備する。なお、液体容器93を液体吐出ヘッド1とともに収納ケース921に収納してもよい。
【0016】
制御装置7は、液体吐出ヘッド1に対して、液体吐出ヘッド1を駆動するための駆動信号Comと、液体吐出ヘッド1を制御するための制御信号SIと、を供給する。そして、液体吐出ヘッド1は、制御信号SIによる制御のもとで駆動信号Comにより駆動され、液体吐出ヘッド1に設けられた複数のノズルNの一部または全部から、Z1方向にインクを吐出させる。すなわち、液体吐出ヘッド1は、移動機構91による媒体PPの搬送と、搬送機構92による液体吐出ヘッド1の往復動とに連動して、複数のノズルNの一部又は全部からインクを吐出させて、当該吐出されたインクを媒体PPの表面に着弾させることで、媒体PPの表面に所望の画像を形成する。なお、ノズルNについては、図2及び図3において後述する。
【0017】
インク供給装置8は、インクを貯留する。また、インク供給装置8は、制御装置7から供給される制御信号Ctrに基づいて、インク供給装置8が貯留しているインクを液体吐出ヘッド1に供給する。また、インク供給装置8は、制御装置7から供給される制御信号Ctrに基づいて、液体吐出ヘッド1からインクを回収し、当該回収したインクを液体吐出ヘッド1に還流させる。
なお、本実施形態では、一例として、インク供給装置8が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックに対応する4種類のインクを貯留する場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、液体吐出ヘッド1が、4種類のインクに対応する、4個の液体吐出ヘッド1を備える場合を想定する。但し、以下では、説明の簡素化のために、インク供給装置8が貯留する4種類のインクのうち、1種類のインクに着目して説明する。また、以下では、説明の簡素化のために、液体吐出ヘッド1が具備する4個の液体吐出ヘッド1のうち、1種類のインクに対応する1個の液体吐出ヘッド1に着目して説明する。
【0018】
<<2.液体吐出ヘッドの概要>>
以下、図2乃至図6を参照しつつ、液体吐出ヘッド1の概要を説明する。
【0019】
図2は、液体吐出ヘッド1の分解斜視図であり、図3は、図2におけるII-II線の断面図であり、図4は、図2におけるIII-III線の断面図である。
【0020】
図2乃至図4に示すように、液体吐出ヘッド1は、ノズル基板21と、連通板22及び圧力室基板23から構成されるヘッド基板20と、振動板24と、流路形成基板26と、配線基板4と、を備える。
なお、本実施形態において、ヘッド基板20は「第1基板」の一例であり、ノズル基板21は「第2基板」の一例であり、流路形成基板26は「第3基板」の一例である。
【0021】
図2に示すように、ノズル基板21は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。ここで、「略平行」とは、完全に平行である場合の他に、誤差を考慮すれば平行であると看做せる場合を含む概念である。本実施形態では、「略平行」とは、10%程度の誤差を考慮すれば平行であると看做せる場合を含む概念であることとする。ノズル基板21は、例えば、エッチング等の半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造されるが、ノズル基板21の製造には公知の材料及び製法を任意に採用してもよい。
【0022】
ノズル基板21には、M個のノズルNが形成される。ここで、ノズルNとは、ノズル基板21に設けられた貫通孔である。また、値Mは、M≧2を満たす自然数である。本実施形態では、M個のノズルNが、ノズル基板21において、Y軸方向に延在するように配列されている場合を想定する。以下では、Y軸方向に延在するM個のノズルNを、ノズル列Lnと称する場合がある。
【0023】
図2乃至図4に示すように、ノズル基板21を基準としてZ2側の位置には、連通板22が設けられる。連通板22は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。連通板22は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造されるが、連通板22の製造には公知の材料及び製法を任意に採用してもよい。
【0024】
図2乃至図4に示すように、連通板22を基準としてZ2側の位置には、圧力室基板23が設けられる。圧力室基板23は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。圧力室基板23は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造されるが、圧力室基板23の製造には公知の材料及び製法を任意に採用してもよい。
【0025】
連通板22及び圧力室基板23には、インクの流路が形成される。
具体的には、連通板22及び圧力室基板23には、Y軸方向に延在するように設けられた1個の共通流路BA1と、共通流路BA1を基準としてX1側の位置においてY軸方向に延在するように設けられた1個の共通流路BA2とが形成される。なお、本実施形態において、共通流路BA1は「第1共通流路」の一例であり、共通流路BA2は「第2共通流路」の一例である。
【0026】
また、連通板22及び圧力室基板23には、M個のノズルNと対応するM個の接続流路BR1が形成される。また、連通板22及び圧力室基板23には、M個のノズルNと対応するM個の接続流路BR2が形成される。また、連通板22には、M個のノズルNと対応するM個のノズル流路BNが形成される。また、圧力室基板23には、M個のノズルNと対応するM個の圧力室CVが形成される。
【0027】
このうち、接続流路BR1は、共通流路BA1と連通し、共通流路BA1を基準としてX1側の位置においてX軸方向に延在するように設けられる。接続流路BR2は、共通流路BA2と連通し、共通流路BA2を基準としてX2側の位置においてX軸方向に延在するように設けられる。圧力室CVは、接続流路BR1及び接続流路BR2の間の位置において、接続流路BR1及び接続流路BR2と連通し、また、ノズル流路BNに連通する。ノズル流路BNは、圧力室CVを基準としてZ1側の位置に設けられ、圧力室CVと連通し、また、ノズルNと連通する。
【0028】
なお、以下では、共通流路BA1及び共通流路BA2を、共通流路BAと総称し、接続流路BR1及び接続流路BR2を、接続流路BRと総称する場合がある。
【0029】
また、以下では、接続流路BR1と、当該接続流路BR1に連通する圧力室CVと、当該圧力室CVに連通する接続流路BR2とを、個別流路RKと称する場合がある。また、以下では、M個のノズルNのうちm番目のノズルNに対応する個別流路RKを、個別流路RK[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、1≦m≦Mを満たす自然数である。本実施形態において、M個のノズルNに対応するM個の個別流路RK[1]~RK[M]は、Y軸方向に沿って配置される。なお、本実施形態において、M個の個別流路RK[1]~RK[M]が並ぶY1方向は「第1方向」の一例である。
【0030】
また、本実施形態において、各個別流路RKは、X軸方向に延在する。なお、本実施形態において、各個別流路RKが延在するX1方向は「第2方向」の一例である。
【0031】
また、本実施形態において、個別流路RKが有する壁面は、X軸方向に延在する壁面の他に、斜面SL1及び斜面SL2のようなX軸方向とは異なる方向に延在する壁面を有する。ここで、X軸方向に延在する壁面とは、X軸方向と直交する法線ベクトルを有する壁面である。また、X軸方向とは異なる方向に延在する壁面とは、X軸方向とは異なる方向と直交する法線ベクトルを有する壁面である。なお、本実施形態において、X軸方向とは異なる方向に延在する壁面は「第2方向以外の方向に延在する部分」の一例である。
【0032】
図2乃至図4に示すように、圧力室基板23を基準としてZ2側の位置には、振動板24が設けられる。振動板24は、振動板CPZと振動吸収板CP1と振動吸収板CP2とを備える。振動板CPZ、振動吸収板CP1、及び、振動吸収板CP2の各々は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材であって、弾性的に振動可能な部材である。振動板CPZ、振動吸収板CP1、及び、振動吸収板CP2の各々は、例えば、酸化シリコンからなる弾性膜と、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜と、を有する。
【0033】
振動板CPZは、圧力室CVを基準としてZ2側の位置に設けられる。振動板CPZを基準としてZ2側の位置には、M個の圧力室CVに対応するM個の圧電素子PZが設けられる。圧電素子PZは、駆動信号Comの電位変化に応じて変形する受動素子である。具体的には、圧電素子PZは、駆動信号Comの電位変化に応じて駆動されて変形する。振動板CPZは、圧電素子PZの変形に連動して振動する。振動板CPZが振動すると、圧力室CV内の圧力が変動する。そして、圧力室CV内の圧力が変動することで、圧力室CVの内部に充填されたインクが、ノズル流路BNを経由してノズルNからZ1方向に吐出される。なお、本実施形態において、ノズルNがインクを吐出するZ1方向は「第3方向」の一例である。
【0034】
振動吸収板CP1は、共通流路BA1を基準としてZ2側の位置に設けられる。振動吸収板CP1は、圧力室CV内の圧力変動に応じて共通流路BA1内を流れるインクが振動する場合に、当該振動を吸収する。
振動吸収板CP2は、共通流路BA2を基準としてZ2側の位置に設けられる。振動吸収板CP2は、圧力室CV内の圧力変動に応じて共通流路BA2内を流れるインクが振動する場合に、当該振動を吸収する。
以下では、振動吸収板CP1及び振動吸収板CP2を、振動吸収板CPと総称する場合がある。なお、本実施形態において、振動吸収板CP1は「第1振動吸収部」の一例であり、振動吸収板CP2は「第2振動吸収部」の一例である。
【0035】
図2乃至図4に示すように、圧力室基板23を基準としてZ2側の位置には、流路形成基板26が設けられる。流路形成基板26は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。流路形成基板26は、例えば、樹脂材料の射出成型により形成されるが、流路形成基板26の製造には公知の材料及び製法を任意に採用してもよい。
【0036】
流路形成基板26には、インクの流路が形成される。
具体的には、流路形成基板26には、Y軸方向に延在するように設けられた1個の共通流路BB1と、Y軸方向に延在するように設けられた1個の共通流路BB2とが形成される。このうち、共通流路BB1は、共通流路BA1と連通し、共通流路BA1を基準としてZ2側の位置に設けられる。共通流路BB2は、共通流路BA2と連通し、共通流路BA2を基準としてZ2側の位置であって、共通流路BB1を基準としてX1側の位置に設けられる。なお、以下では、共通流路BB1及び共通流路BB2を、共通流路BBと総称する場合がある。
【0037】
以下では、共通流路BA1と、共通流路BA1に連通する共通流路BB1とを、共通流路R1と称する場合がある。また、以下では、共通流路BA2と、共通流路BA2に連通する共通流路BB2とを、共通流路R2と称する場合がある。また、以下では、共通流路R1及び共通流路R2を、共通流路Rと総称する場合がある。
【0038】
流路形成基板26には、共通流路BB1と連通する接続口H1と、共通流路BB2と連通する接続口H2と、が設けられる。共通流路BB1を含む共通流路R1には、接続口H1を介して、インク供給装置8からインクが供給される。共通流路R1に供給されたインクの一部は、接続流路BR1を経由して圧力室CVに充填される。そして、駆動信号Comにより圧電素子PZが駆動される場合、圧力室CVに充填されたインクの一部は、ノズル流路BNを経由して、ノズルNから吐出される。また、圧力室CVに充填されたインクの一部は、接続流路BR2を経由して、共通流路R2へと排出される。共通流路BB2を含む共通流路R2に貯留されているインクの一部は、接続口H2を介してインク供給装置8に回収される。
【0039】
流路形成基板26には、貫通孔260が設けられている。貫通孔260は、流路形成基板26をZ1方向に見たときに、共通流路BB1及び共通流路BB2の間に位置し、流路形成基板26のZ1側の面から、流路形成基板26のZ2側の面までを貫通する穴である。貫通孔260には、配線基板4が挿通される。
【0040】
図2及び図3に示すように、圧力室基板23が有するZ軸方向を法線方向とする2つの面のうち、Z2側の面には、配線基板4が実装される。配線基板4は、液体吐出ヘッド1を制御装置7に電気的に接続するための部品である。配線基板4としては、例えば、FPCまたはFFC等の可撓性の配線基板が好適に採用される。ここで、FPCとは、Flexible Printed Circuitの略称であり、また、FFCとは、Flexible Flat Cableの略称である。配線基板4には、集積回路40が実装される。集積回路40は、制御信号SIによる制御のもとで、圧電素子PZに対して、駆動信号Comを供給するか否かを切り替える電気回路である。
【0041】
図2及び図3に示すように、圧力室基板23には、フィルターF1とフィルターF2とが形成される。フィルターF1とは、共通流路BA1におけるインク内の気泡を捕捉するための構造物である。フィルターF2とは、共通流路BA2におけるインク内の気泡を捕捉するための構造物である。なお、以下では、フィルターF1及びフィルターF2を、フィルターFと総称する場合がある。
【0042】
図5は、フィルターF及び流路形成基板26を示す斜視図である。
【0043】
図5に示すように、フィルターFは、Y軸方向に並べられた複数の突起部FTから構成される。そして、フィルターFは、複数の突起部FTのうち、Y軸方向において互いに隣り合う2つの突起部FTにより、共通流路BA内を流れるインクにおいて浮力によりZ2方向に浮上する気泡を捕捉する。なお、本実施形態では、一例として、複数の突起部FTが、圧力室基板23により形成される場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、複数の突起部FTが、流路形成基板26が有するZ軸方向を法線方向とする2つの面のうちZ1側の面に取り付けられている場合を想定する。
【0044】
図2及び図4に示すように、連通板22には、共通流路BA1及び共通流路BA2を接続するためにX軸方向に延在するように設けられた1個のバイパス流路BP1と、バイパス流路BP1を基準としてY1側の位置において共通流路BA1及び共通流路BA2を接続するためにX軸方向に延在するように設けられた1個のバイパス流路BP2とが形成される。以下では、バイパス流路BP1及びバイパス流路BP2を、バイパス流路BPと総称する場合がある。なお、本実施形態では、バイパス流路BPが、連通板22に形成される場合を例示して説明するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。バイパス流路BPは、連通板22及び圧力室基板23に形成されてもよい。
なお、本実施形態において、バイパス流路BP1は「第1バイパス流路」の一例であり、バイパス流路BP2は「第2バイパス流路」の一例である。
【0045】
以下では、圧力室基板23のうち、個別流路RKが設けられる部分を、個別流路対応部分PKと称する。また、以下では、圧力室基板23のうち、バイパス流路BPが設けられる部分を、バイパス流路対応部分PBと称する。
なお、本実施形態において、個別流路対応部分PKは「第1流路部分」の一例であり、バイパス流路対応部分PBは「第2流路部分」の一例である。
【0046】
また、以下では、X軸方向において共通流路BA1及び圧力室CVの間の領域を、領域A1と称し、X軸方向において共通流路BA2及び圧力室CVの間の領域を、領域A2と称し、X軸方向において領域A1及び領域A2の間に位置し圧力室CVを含む領域を、領域A3と称する。
なお、本実施形態において、領域A1は「第1領域」の一例であり、領域A2は「第2領域」の一例であり、領域A3は「第3領域」の一例である。
【0047】
また、以下では、領域A1のうち、Y軸方向の範囲が個別流路対応部分PKに対応する領域を、領域AK1と称し、領域A2のうち、Y軸方向の範囲が個別流路対応部分PKに対応する領域を、領域AK2と称し、領域A3のうち、Y軸方向の範囲が個別流路対応部分PKに対応する領域を、領域AK3と称する。また、以下では、領域A1のうち、Y軸方向の範囲がバイパス流路対応部分PBに対応する領域を、領域AB1と称し、領域A2のうち、Y軸方向の範囲がバイパス流路対応部分PBに対応する領域を、領域AB2と称し、領域A3のうち、Y軸方向の範囲がバイパス流路対応部分PBに対応する領域を、領域AB3と称する。すなわち、領域A1は、領域AK1及び領域AB1を含む領域であり、領域A2は、領域AK2及び領域AB2を含む領域であり、領域A3は、領域AK3及び領域AB3を含む領域である。
【0048】
また、以下では、領域AK1と共通流路BB1との間の領域を、領域EK1と称し、領域AK2と共通流路BB2との間の領域を、領域EK2と称し、領域AB1と共通流路BB1との間の領域を、領域EB1と称し、領域AB2と共通流路BB2との間の領域を、領域EB2と称する。なお、本実施形態において、領域EK1は「第1接続部分」の一例であり、領域EB1は「第2接続部分」の一例である。
【0049】
図3に示すように、本実施形態において、圧力室基板23のうち、個別流路対応部分PKは、領域AK1において所定長Zth以上の厚みを有する個別部分PK1と、領域AK2において所定長Zth以上の厚みを有する個別部分PK2と、領域AK3において圧力室CVに対応する貫通孔を有する個別部分PK3と、を含む。そして、本実施形態において、個別流路RKのZ2側の壁面は、個別流路対応部分PKにより形成される。また、本実施形態において、個別流路RKのZ1側の壁面は、斜面SL1及び斜面SL2を含む。このように、本実施形態において、個別流路RKは、X軸方向とは異なる方向に延在する壁面を含む。
なお、本実施形態において、個別部分PK1は「第1部分」の一例であり、個別部分PK2は「第2部分」の一例であり、個別部分PK3は「第3部分」の一例である。
【0050】
図3に示すように、本実施形態において、振動吸収板CP1は領域EK1に設けられ、振動吸収板CP2は領域EK2に設けられ、振動板CPZは領域AK3に設けられる。本実施形態では、個別流路対応部分PKに対応するY軸方向の領域において、振動吸収板CP1と振動吸収板CP2とは互いに離間して設けられる。
なお、本実施形態において、個別流路対応部分PKに対応するY軸方向の領域における振動吸収板CP1は「第3振動吸収部」の一例である。
【0051】
図4に示すように、本実施形態において、圧力室基板23のうち、バイパス流路対応部分PBは、領域AB1において所定長Zth以上の厚みを有するバイパス部分PB1と、領域AB2において所定長Zth以上の厚みを有するバイパス部分PB2と、領域AB3において所定長Zth以上の厚みを有するバイパス部分PB3と、を含む。そして、本実施形態において、バイパス流路BPのZ2側の壁面は、バイパス流路対応部分PBにより形成される。また、本実施形態において、バイパス流路BPのZ1側の壁面は、平坦な形状に形成されている。このように、本実施形態において、バイパス流路BPは、個別流路RKと比較して、X軸方向とは異なる方向に延在する壁面の面積が小さい。なお、図4に示す例では、バイパス流路BPが、X軸方向とは異なる方向に延在する壁面を有さないように構成されている場合を例示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、バイパス流路BPは、個別流路RKと比較して、X軸方向とは異なる方向に延在する壁面の面積が小さければよい。
なお、本実施形態において、バイパス部分PB1は「第4部分」の一例であり、バイパス部分PB2は「第5部分」の一例であり、バイパス部分PB3は「第6部分」の一例である。
【0052】
図4に示すように、本実施形態において、振動吸収板CP1は領域EB1に設けられ、振動吸収板CP2は領域EB2に設けられ、振動板CPZは領域AB3に設けられる。本実施形態では、バイパス流路対応部分PBに対応するY軸方向の領域において、振動吸収板CP1と振動吸収板CP2とは互いに離間して設けられる。
【0053】
以下では、図3に示すように、個別流路RKのうちZ1方向の端部とノズル面NPとのZ軸方向における最短距離を、距離dZKと称する。ここで、ノズル面NPとは、ノズル基板21のうちZ1側の面である。なお、本実施形態では、個別流路RKのうちZ1方向の端部を画定する壁面は、連通板22により構成されている場合を一例として想定する。但し、個別流路RKのうちZ1方向の端部は、ノズル基板21により構成されていてもよい。
【0054】
また、以下では、図4に示すように、個別流路RKのうちZ1方向の端部と、ノズル基板21のうちZ1側の面であるノズル面NPとのZ軸方向における最短距離を、距離dZBと称する。なお、本実施形態では、バイパス流路BPのうちZ1方向の端部を画定する壁面は、連通板22により構成されている場合を一例として想定する。但し、バイパス流路BPのうちZ1方向の端部は、ノズル基板21により構成されてもよい。
【0055】
本実施形態では、距離dZK及び距離dZBが、「dZK>dZB」を満たすように個別流路RK及びバイパス流路BPが設けられる。換言すれば、本実施形態では、例えば、Y軸方向に断面視したときに、バイパス流路BPのうちZ1方向の端部が、個別流路RKのうちZ1方向の端部と、ノズル基板21のうちZ1方向の端部であるノズル面NPとの間に位置するように、個別流路RK及びバイパス流路BPが設けられる。
【0056】
図6は、液体吐出ヘッド1をZ1方向に平面視したときの、個別流路RK及びバイパス流路BPの関係を表す平面図である。なお、図6では、値Mが「8」である場合を例示している。
【0057】
図6に示すように、本実施形態において、Y軸方向におけるバイパス流路BPの幅dBと、Y軸方向における個別流路RKの幅dKとが、「dB>dK」を満たすように、個別流路RK及びバイパス流路BPが設けられる。
【0058】
以上のように、本実施形態において、バイパス流路BPは、Z2側の壁面が、所定長Zthの厚みを有するバイパス部分PB1、バイパス部分PB2、及び、バイパス部分PB3により形成される。これに対して、個別流路RKは、Z2側の壁面が、所定長Zthの厚みを有する個別部分PK1及び個別部分PK2と、貫通孔を有する個別部分PK3とにより形成される。すなわち、本実施形態において、個別流路RKと比較して、バイパス流路BPはZ2側の壁面が平坦な形状を有している。
また、本実施形態において、バイパス流路BPは、Z1側の壁面が、X軸方向とは異なる方向に延在する壁面を有さずに平坦な形状に形成される。これに対して、個別流路RKは、Z1方向の壁面が、斜面SL1及び斜面SL2等のようなX軸方向とは異なる方向に延在する壁面を有するように形成される。すなわち、本実施形態において、個別流路RKと比較して、バイパス流路BPはZ1側の壁面が平坦な形状を有している。
また、バイパス流路BP及び個別流路RKは、距離dZBが距離dZKよりも小さくなるように形成される。すなわち、本実施形態において、個別流路RKと比較して、Z軸方向におけるバイパス流路BPの幅が大きい。更に、本実施形態において、バイパス流路BPの幅dBが、個別流路RKの幅dKよりも大きくなるように形成される。すなわち、本実施形態において、個別流路RKと比較して、Y軸方向におけるバイパス流路BPの幅が大きい。換言すれば、本実施形態では、個別流路RKと比較して、バイパス流路BPの断面積が大きい。
以上のことから、本実施形態によれば、個別流路RKと比較して、バイパス流路BPの流路抵抗を小さくすることができる。これにより、本実施形態によれば、液体吐出ヘッド1が備えるM個のノズルNからのインクの吐出量の多寡に関わらず、共通流路R1からバイパス流路BPを介して共通流路R2へと円滑にインクを循環させることが可能となる。
【0059】
本実施形態では、図3に示すように、共通流路BA1のうち、個別流路RKに対応する領域EK1には、フィルターF1が設けられ、また、共通流路BA2のうち、個別流路RKに対応する領域EK2には、フィルターF2が設けられる。また、本実施形態では、図4に示すように、共通流路BA1のうち、バイパス流路BPに対応する領域EB1には、フィルターFは設けられず、また、共通流路BA2のうち、バイパス流路BPに対応する領域EB2には、フィルターFは設けられない。このため、本実施形態によれば、共通流路R1から個別流路RKを介して共通流路R2へと流れるインクの流路と比較して、共通流路R1からバイパス流路BPを介して共通流路R2へと流れるインクの流路における流路抵抗を小さくすることができる。これにより、本実施形態によれば、共通流路R1から個別流路RKを介した共通流路R2へのインクの流れと比較して、共通流路R1からバイパス流路BPを介して共通流路R2へと円滑にインクを循環させることが可能となる。
【0060】
以下では、図6に示すように、バイパス流路BPと、当該バイパス流路BPとY軸方向において隣り合う個別流路RKとの間隔を、間隔dYBと称し、M個の個別流路RKのうち一の個別流路RKと、当該一の個別流路RKとY軸方向において隣り合う他の個別流路RKとの間隔を、間隔dYKと称する。より具体的には、バイパス流路BP1と個別流路RK[1]との間隔、及び、バイパス流路BP2と個別流路RK[M]との間隔を、間隔dYBと称し、また、個別流路RK[m1]と個別流路RK[m2]との間隔を、間隔dYKと称する。ここで、変数m1及び変数m2は、「1≦m1<m2≦M」且つ「1+m1=m2」を満たす自然数である。
そして、本実施形態では、図6に示すように、間隔dYBと間隔dYKとが、「dYB>dYK」を満たすように、バイパス流路BP及び個別流路RKが設けられる。
このため、本実施形態によれば、間隔dYBが間隔dYKよりも小さい態様と比較して、バイパス流路BPをインクが流れることにより発生する振動等のノイズが、個別流路RKを流れるインクに対して及ぼす影響を低減することができる。これにより、本実施形態によれば、間隔dYBが間隔dYKよりも小さい態様と比較して、液体吐出ヘッド1が備えるM個のノズルNからのインクの吐出特性のバラつきを低減することができる。
なお、本実施形態において、バイパス流路BP1とY軸方向において隣り合う個別流路RK[1]は「第1個別流路」の一例であり、個別流路RK[1]とY軸方向において隣り合う個別流路RK[2]は「第2個別流路」の一例である。
【0061】
また、本実施形態では、図6に示すように、バイパス流路BP1及びバイパス流路BP2の間に、M個の個別流路RKが設けられる。より具体的には、本実施形態において、バイパス流路BP1は、M個の個別流路RKのうち最もY2方向に配置される個別流路RK[1]から見ても更にY2方向に配置され、また、バイパス流路BP2は、M個の個別流路RKのうち最もY1方向に配置される個別流路RK[M]から見ても更にY1方向に配置される。換言すれば、本実施形態において、バイパス流路BP1は、共通流路R1のY2方向の端部と、共通流路R2のY2方向の端部とを接続し、また、バイパス流路BP2は、共通流路R1のY1方向の端部と、共通流路R2のY1方向の端部とを接続する。なお、本実施形態において、Y2方向は「第1方向」の他の例であり、個別流路RK[1]は「端部個別流路」の一例である。
このため、本実施形態によれば、バイパス流路BP1及びバイパス流路BP2の一方または両方が、M個の個別流路RKのうち2個の個別流路RKの間に設けられる態様と比較して、共通流路R1の端部及び共通流路R2の端部において、インクが滞留する可能性を低減することが可能となる。これにより、本実施形態によれば、共通流路R1の端部及び共通流路R2の端部において、インクの増粘、及び、インク中の気泡の滞留等が発生する可能性を低減することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、図6に示すように、Y軸方向において、個別流路RK[1]と個別流路RK[M]との間に接続口H1が設けられる。すなわち、本実施形態では、Y軸方向において、バイパス流路BP1と接続口H1との間に、M個の個別流路RKのうち1以上の個別流路RKが設けられ、バイパス流路BP2と接続口H1との間に、M個の個別流路RKのうち1以上の個別流路RKが設けられる。なお、本実施形態において、接続口H1は「供給口」の一例であり、共通流路BB1は「供給流路」の一例である。
このため、本実施形態によれば、接続口H1が個別流路RK[1]よりもY2方向に設けられる態様、及び、接続口H1が個別流路RK[M]よりもY1方向に設けられる態様と比較して、接続口H1からM個の個別流路RKに対してインクを供給するために必要となる圧力を小さくすることができ、インク供給装置8の駆動に係る電力を低減することができる。
【0063】
また、本実施形態では、図6に示すように、Y軸方向において、個別流路RK[1]と個別流路RK[M]との間に接続口H1が設けられ、個別流路RK[1]と個別流路RK[M]との間に接続口H2が設けられ、また、バイパス流路BP1及びバイパス流路BP2の間に、M個の個別流路RKが設けられる。このため、本実施形態によれば、共通流路R1に接続する接続口H1を複数設けることなく、共通流路R1におけるインクの滞留を抑制することが可能となり、また、共通流路R2に接続する接続口H2を複数設けることなく、共通流路R2におけるインクの滞留を抑制することが可能となる。これにより、本実施形態によれば、共通流路R1に接続する接続口H1を複数設ける態様、及び、共通流路R2に接続する接続口H2を複数設ける態様と比較して、より簡単な構成により、共通流路R1及び共通流路R2におけるインクの滞留の抑制を実現することが可能となる。
【0064】
<<3.実施形態の結び>>
以上において説明したように、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、インクに圧力を与えるM個の圧力室CVに対応するM個の個別流路RKがY1方向に並ぶように形成されたヘッド基板20と、M個の個別流路RKと対応し、インクを吐出するM個のノズルNが形成されたノズル基板21と、を備え、ヘッド基板20には、M個の個別流路RKに共通に連通し、M個の個別流路RKにインクを供給する共通流路BA1と、M個の個別流路RKに共通に連通し、M個の個別流路RKからインクを回収する共通流路BA2と、共通流路BA1及び共通流路BA2を接続するバイパス流路BP1と、が設けられる、ことを特徴とする。また、ヘッド基板20は、M個の圧力室CVが形成された圧力室基板23と、圧力室基板23及びノズル基板21との間に設けられた連通板22と、から構成される、ことを特徴とする。
【0065】
すなわち、本実施形態によれば、共通流路BA1及び共通流路BA2が、M個の個別流路RKの他に、バイパス流路BP1により接続されるため、M個のノズルNのうちインクを吐出するノズルNの多寡に関わらず、共通流路BA1から共通流路BA2へとインクを安定的に循環させることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態によれば、バイパス流路BP1がヘッド基板20に形成されるため、バイパス流路BP1がヘッド基板20とは別な場所、例えば、ヘッド基板20から見てZ2方向に離れた場所に形成される態様と比較して、Z2方向における液体吐出ヘッド1の小型化が可能となる。
【0067】
また、本実施形態によれば、バイパス流路BP1がヘッド基板20に形成されるため、バイパス流路BP1がヘッド基板20とは別な場所に形成される態様と比較して、バイパス流路BP1を容易に形成することが可能となる。具体的には、本実施形態によれば、バイパス流路BP1が、M個の圧力室CVが設けられるヘッド基板20に形成されるため、M個の圧力室CVとバイパス流路BP1とを同一のプロセスで形成することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、共通流路BA1に対してインクを供給する共通流路BB1と、共通流路BB1に対してインクを供給するための接続口H1とが設けられた流路形成基板26を備え、Y1方向において、共通流路BA1及びバイパス流路BP1の接続箇所と、接続口H1との間に、M個の個別流路RKのうち1以上の個別流路RKが設けられる、ことを特徴とする。
【0069】
このため、本実施形態によれば、共通流路BA1及びバイパス流路BP1の接続箇所と、M個の個別流路RKとの間に、接続口H1が設けられる態様、及び、接続口H1と、M個の個別流路RKとの間に、共通流路BA1及びバイパス流路BP1の接続箇所が設けられる態様と比較して、接続口H1からM個の個別流路RKに対してインクを供給するために必要となる圧力を小さくすることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、バイパス流路BP1の流路抵抗は、個別流路RKの流路抵抗よりも小さい、ことを特徴とする。
【0071】
このため、本実施形態によれば、M個のノズルNのうちインクを吐出するノズルNの多寡に関わらず、バイパス流路BP1により共通流路BA1から共通流路BA2へとインクを安定的に循環させることが可能となる。
【0072】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、バイパス流路BP1は、M個の個別流路RKのうちY2方向の端部に位置する個別流路RK[1]から見てY2方向に配置される、ことを特徴とする。
【0073】
このため、本実施形態によれば、バイパス流路BP1が、M個の個別流路RKのうち2個の個別流路RKの間に設けられる態様と比較して、共通流路BA1の端部及び共通流路BA2の端部において、インクが滞留する可能性を低減することが可能となる。
【0074】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、ヘッド基板20には、共通流路BA1及び共通流路BA2を接続するバイパス流路BP2が設けられ、M個の個別流路RKは、バイパス流路BP1とバイパス流路BP2との間に設けられる、ことを特徴とする。
【0075】
このため、本実施形態によれば、バイパス流路BP1及びバイパス流路BP2の一方または両方が、M個の個別流路RKのうち2個の個別流路RKの間に設けられる態様と比較して、共通流路R1の端部及び共通流路R2の端部において、インクが滞留する可能性を低減することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、個別流路RKはX1方向に延在し、ノズルNはZ1方向にインクを吐出し、Z1方向において、バイパス流路BP1のうちZ1方向の端部は、個別流路RKのうちZ1方向の端部と、ノズル基板21のうちZ1方向の端部との間に位置する、ことを特徴とする。
【0077】
このため、本実施形態によれば、個別流路RKに比べてバイパス流路BP1の流路抵抗を小さくすることが可能となり、バイパス流路BP1により共通流路BA1から共通流路BA2へとインクを安定的に循環させることが可能となる。
【0078】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、個別流路RKはX1方向に延在し、バイパス流路BP1はX1方向に延在し、ヘッド基板20は、M個の圧力室CVが設けられた圧力室基板23と、ノズル基板21及び圧力室基板23の間に設けられた連通板22と、を備え、圧力室基板23のうち個別流路RKに対応する個別流路対応部分PKは、X1方向における領域A1において、所定長Zth以上の厚みを有する個別部分PK1と、領域A1よりもX1方向に存在する領域A2において、所定長Zth以上の厚みを有する個別部分PK2と、領域A1及び領域A2の間に存在する領域A3において、圧力室CVに対応して設けられた貫通孔を有する個別部分PK3と、を備え、圧力室基板23のうちバイパス流路BP1に対応するバイパス流路対応部分PBは、領域A1において、所定長Zth以上の厚みを有するバイパス部分PB1と、領域A2において、所定長Zth以上の厚みを有するバイパス部分PB2と、領域A3において、所定長Zth以上の厚みを有するバイパス部分PB3と、を備える、ことを特徴とする。
【0079】
このため、本実施形態によれば、個別流路RKに比べてバイパス流路BP1の流路抵抗を小さくすることが可能となり、バイパス流路BP1により共通流路BA1から共通流路BA2へとインクを安定的に循環させることが可能となる。
【0080】
なお、本実施形態において、個別部分PK3には、圧力室CVに対応する貫通孔が設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、個別部分PK3は、所定長Zthよりも薄い厚みを有する部分を具備するものであってもよい。
【0081】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、共通流路BA1のうち、個別流路RKに接続する領域EK1には、複数の突起部FTからなるフィルターFが設けられ、共通流路BA1のうち、バイパス流路BP1に接続する領域EB1には、フィルターFが設けられない、ことを特徴とする。
【0082】
このため、本実施形態によれば、共通流路BA1から個別流路RKを介して共通流路BA2へと流れるインクの流路と比較して、共通流路BA1からバイパス流路BP1を介して共通流路BA2へと流れるインクの流路における流路抵抗を小さくすることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、個別流路RKはX1方向に延在し、バイパス流路BP1はX1方向に延在し、バイパス流路BP1の壁面のうち、X1方向とは異なる方向に延在する壁面の面積は、個別流路RKの壁面のうち、X1方向とは異なる方向に延在する壁面の面積よりも小さい、ことを特徴とする。
【0084】
このため、本実施形態によれば、個別流路RKに比べてバイパス流路BP1の流路抵抗を小さくすることが可能となり、バイパス流路BP1により共通流路BA1から共通流路BA2へとインクを安定的に循環させることが可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、バイパス流路BP1及び共通流路BA1が接続する領域EB1には、インクの振動を吸収する振動吸収板CP1が設けられ、バイパス流路BP1及び共通流路BA2が接続する領域EB2には、インクの振動を吸収する振動吸収板CP2が設けられる、ことを特徴とする。
【0086】
このため、本実施形態によれば、バイパス流路BP1において発生するインクの振動に起因して、個別流路RKに対応するノズルNからのインクの吐出特性が変動することを抑制することが可能となる。
【0087】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、振動吸収板CP1及び振動吸収板CP2は互いに離間して設けられる、ことを特徴とする。
【0088】
このため、本実施形態によれば、振動吸収板CP1及び振動吸収板CP2が一体として形成される態様と比較して、振動吸収板CP1及び振動吸収板CP2を含む振動板24の体積を小さくすることが可能となる。
【0089】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、個別流路RK及び共通流路BA1が接続する領域EK1には、インクの振動を吸収する振動吸収板CP1が設けられ、領域EB1に設けられた振動吸収板CP1と、領域EK1に設けられた振動吸収板CP1とは、一体に形成される、ことを特徴とする。
【0090】
このため、本実施形態によれば、振動吸収板CP1を、領域EB1及び領域EK1で別個に形成する態様と比較して、振動吸収板CP1を容易に形成することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、M個の個別流路RKは、Y1方向においてバイパス流路BP1と隣り合う個別流路RK[1]と、Y1方向において個別流路RK[1]と隣り合う個別流路RK[2]とを含み、バイパス流路BP1及び個別流路RK[1]の間隔dYBは、個別流路RK[1]及び個別流路RK[2]の間隔dYKよりも大きい、ことを特徴とする。
【0092】
このため、本実施形態によれば、間隔dYBが間隔dYKよりも小さい態様と比較して、バイパス流路BP1をインクが流れることにより発生する振動等のノイズが、個別流路RKを流れるインクに対して及ぼす影響を低減することができる。
【0093】
<<B.変形例>>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0094】
<変形例1>
上述した実施形態では、個別流路RKと比較してZ軸方向におけるバイパス流路BPの幅が大きい場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、Z軸方向における個別流路RKの幅と、Z軸方向におけるバイパス流路BPの幅とは、略同じであってもよい。ここで、「略同じ」とは、完全に同一である場合の他に、誤差を考慮すれば同一であると看做せる場合を含む概念である。本明細書では、「略同じ」とは、10%程度の誤差を考慮すれば同一であると看做せる場合を含む概念であることとする。
【0095】
図7は、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Bの断面図である。
【0096】
図7に示すように、液体吐出ヘッド1Bは、ヘッド基板20の代わりにヘッド基板20Bを備える点において、実施形態に係る液体吐出ヘッド1と相違する。ヘッド基板20Bは、連通板22の代わりに連通板22Bを備える点と、圧力室基板23の代わりに圧力室基板23Bを備える点と、において、実施形態に係る液体吐出ヘッド1と相違する。連通板22B及び圧力室基板23Bは、バイパス流路BP1の代わりにバイパス流路BP1Bが形成される点と、バイパス流路BP2の代わりにバイパス流路BP2Bが形成される点と、において、実施形態に係る連通板22及び圧力室基板23と相違する。以下では、バイパス流路BP1B及びバイパス流路BP2Bを、バイパス流路BP-Bと総称する。バイパス流路BP-Bは、Z1側の壁面が平坦な形状の代わりに、斜面SL1及び斜面SL2を含む形状を有する点と、バイパス流路BP-BのうちZ1方向の端部とノズル面NPとのZ軸方向における最短距離が、距離dZBの代わりに距離dZKに設定されている点と、Z2側の壁面のうち領域AB3における壁面が、バイパス部分PB3の代わりに個別部分PK3である点と、において、実施形態に係るバイパス流路BPと相違する。すなわち、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Bは、バイパス流路BPの代わりに、Y1方向に断面視したときに実施形態に係る個別流路RKと略同じ形状を有するバイパス流路BP-Bが設けられている点において、実施形態に係る液体吐出ヘッド1と相違する。
【0097】
本変形例によれば、液体吐出ヘッド1Bは、M個の個別流路RKと、個別流路RKと断面形状が略同じ形状を有するバイパス流路BP1B及びバイパス流路BP2Bと、を有するため、バイパス流路BP1B及びバイパス流路BP2Bが個別流路RKと異なる断面形状を有する態様と比較して、液体吐出ヘッド1Bを容易に形成することが可能となる。
【0098】
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例1では、振動吸収板CP1及び振動吸収板CP2が互いに離間して設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。振動吸収板CP1及び振動吸収板CP2は、一体に形成されてもよい。
【0099】
図8は、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Cの断面図である。
【0100】
図8に示すように、液体吐出ヘッド1Cは、振動吸収板CP1の代わりに振動吸収板CP1Cを備える点と、振動吸収板CP2の代わりに振動吸収板CP2Cを備える点と、において、実施形態に係る液体吐出ヘッド1と相違する。振動吸収板CP1Cは、振動板CPZと一体に形成される点において、実施形態に係る振動吸収板CP1と相違する。また、振動吸収板CP2Cは、振動板CPZと一体に形成される点において、実施形態に係る振動吸収板CP2と相違する。
【0101】
このように、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Cにおいて、振動吸収板CP1C及び振動吸収板CP2Cは、一体に形成されることを特徴とする。
【0102】
このため、本変形例によれば、振動吸収板CP1C及び振動吸収板CP2Cが別個に形成される態様と比較して、振動吸収板CP1C及び振動吸収板CP2Cを容易に形成することが可能となる。
【0103】
また、本変形例において、圧力室CVに対応する位置に設けられた圧電素子PZにより振動して圧力室CV内の圧力を変動させる振動板CPZを含む振動板24を備え、振動吸収板CP1Cは振動板24により形成される、ことを特徴としてもよい。
【0104】
このため、本変形例によれば、振動吸収板CP1C及び振動板CPZが別個に形成される態様と比較して、振動吸収板CP1Cを容易に形成することが可能となる。
【0105】
<変形例3>
上述した実施形態並びに変形例1及び2では、個別流路RKにインクを供給する共通流路R1と、個別流路RKからインクを回収する共通流路R2とを備える液体吐出ヘッド1を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。液体吐出ヘッド1は、個別流路RKにインクを供給する共通流路R1を備えるが、個別流路RKからインクを回収する共通流路R2を備えないものであってもよい。
【0106】
図9は、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Dの平面図である。
【0107】
図9に示すように、液体吐出ヘッド1Dは、共通流路R2の代わりに共通流路R2Dを備える点と、M個の個別流路RKの代わりに、M個の個別流路RKD1及びM個の個別流路RKD2を備える点と、において、実施形態に係る液体吐出ヘッド1と相違する。個別流路RKD1は、ノズルN1からインクを吐出するように、インクに圧力を付与する圧力室CV1と、共通流路R1及び圧力室CV1を接続し、共通流路R1からインクの供給を受ける接続流路BR1と、を備える。個別流路RKD2は、ノズルN2からインクを吐出するように、インクに圧力を付与する圧力室CV2と、共通流路R2及び圧力室CV2を接続し、共通流路R2からインクの供給を受ける接続流路BR2と、を備える。共通流路R2Dは、接続口H2から供給されたインクを、M個の個別流路RKD2に供給する。また、本変形例において、バイパス流路BP1は、共通流路R1及び共通流路R2Dを接続し、また、バイパス流路BP2は、共通流路R1及び共通流路R2Dを接続する。
【0108】
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例1乃至3では、液体吐出ヘッドを搭載した収納ケース921を、X軸方向に往復同させるシリアル方式の液体吐出装置100を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。液体吐出装置100は、複数のノズルNが、媒体PPの全幅に亘り分布する、ライン方式の液体吐出装置であってもよい。
【0109】
<変形例5>
上述した実施形態及び変形例1乃至4で例示した液体吐出装置は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0110】
1…液体吐出ヘッド、7…制御装置、8…インク供給装置、20…ヘッド基板、21…ノズル基板、22…連通板、23…圧力室基板、24…振動板、26…流路形成基板、BA1…共通流路、BA2…共通流路、BP1…バイパス流路、BP2…バイパス流路、CV…圧力室、N…ノズル、RK…個別流路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9