(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021622
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240208BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20240208BHJP
B41J 2/19 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
B41J2/14 605
B41J2/18
B41J2/14 305
B41J2/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124599
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼部 本規
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA15
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA05
2C056KB16
2C056KB25
2C057AG68
2C057AG77
2C057AN01
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】共通流路及び個別流路における流路抵抗を抑制する。
【解決手段】液体を吐出する複数のノズルと対応して設けられた複数の個別流路と、複数の個別流路に共通に連通し、複数の個別流路に液体を供給する第1共通流路と、を備え、第1共通流路には、第1共通流路の有する複数の壁面のうち第1壁面から突出する複数の突起部からなるフィルターが設けられ、複数の突起部は、第1共通流路の有する複数の壁面のうち第1壁面以外の壁面には接しない、ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルと対応して設けられた複数の個別流路と、
前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路に液体を供給する第1共通流路と、
を備え、
前記第1共通流路には、
前記第1共通流路の有する複数の壁面のうち第1壁面から突出する複数の突起部からなるフィルターが設けられ、
前記複数の突起部は、
前記第1共通流路の有する複数の壁面のうち前記第1壁面以外の壁面には接しない、
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路から液体を回収する第2共通流路を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
液体に圧力を付与する圧力室が形成された圧力室基板と、
前記複数のノズルが形成されたノズル基板と、
前記圧力室基板及び前記ノズル基板の間に設けられた連通板と、を備え、
前記第1共通流路は、
前記複数の突起部が設けられた第1壁面と、
前記第1壁面に向かい合い、前記連通板により形成された第2壁面と、を有し、
前記複数の突起部は、前記第2壁面に接しないように設けられる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記複数の突起部は、前記圧力室基板によって形成される、
ことを特徴とする、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記複数の個別流路は、第1方向に並び、
前記第2共通流路は、前記第1共通流路から見て、前記第1方向に交差する第2方向に位置し、
前記複数の突起部は、前記第1方向において隣り合う第1突起部と第2突起部とを含み、
前記第2方向において前記第1突起部が存在する範囲の一部または全部と、
前記第2方向において前記第2突起部が存在する範囲の一部または全部とは重なる、
ことを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記複数の突起部は、
前記第1方向において、前記第1突起部と前記第2突起部の間に位置し、
前記第2方向において、前記第1突起部及び前記第2突起部とは異なる位置に設けられた第3突起部を含む、
ことを特徴とする、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記ノズルは、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に液体を吐出し、
前記第1方向における前記第1突起部及び前記第2突起部の間隔は、
前記第3方向における前記第1突起部の幅より小さい、
ことを特徴とする、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第1方向における前記第1突起部及び前記第2突起部の間隔は、
前記第1方向における前記個別流路の幅より小さい、
ことを特徴とする、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記複数の突起部は、前記第1方向において隣り合う第3突起部と第4突起部とを含み、
前記第3突起部及び前記第4突起部は、前記第1突起部及び前記第2突起部よりも前記複数の突起部の端部に近い位置に設けられ、
前記第1方向における前記第3突起部及び前記第4突起部の間隔は、
前記第1方向における前記第1突起部及び前記第2突起部の間隔よりも広い、
ことを特徴とする、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記個別流路は、液体に圧力を付与する圧力室を含み、
前記第1共通流路には、前記圧力室で発生する液体の振動を吸収する振動吸収部が設けられる、
ことを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記複数の個別流路は、第1方向に並び、
前記第2共通流路は、前記第1共通流路から見て、前記第1方向に交差する第2方向に位置し、
前記振動吸収部は、前記第2方向において、前記フィルターと前記個別流路の間に設けられる、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
前記圧力室に対応する位置に設けられた圧電素子により振動して前記圧力室内の圧力を変動させる振動板を備え、
前記振動吸収部は、前記振動板により形成される、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項13】
前記第2方向における前記第1突起部の幅は、
前記第1方向における前記第1突起部及び前記第2突起部の間隔よりも大きい、
ことを特徴とする、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項14】
前記第1共通流路は、
前記複数の突起部が設けられた第1壁面と、
前記第1壁面に向かい合う第2壁面と、を有し、
前記第1壁面及び前記突起部の接続箇所から前記突起部の先端に向かう突起方向における前記突起部の幅は、
前記突起部の先端と前記第2壁面との間隔よりも大きい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項15】
前記第1共通流路は、
前記複数の突起部が設けられた第1壁面と、
前記第1壁面に向かい合う第2壁面と、を有し、
前記第1壁面及び前記突起部の接続箇所から前記突起部の先端に向かう突起方向における前記突起部の幅は、
前記突起部の先端と前記第2壁面との間隔よりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項16】
前記複数の個別流路は、第1方向に並び、
前記第2共通流路は、前記第1共通流路から見て、前記第1方向に交差する第2方向に位置し、
前記ノズルは、前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向に液体を吐出し、
前記第1共通流路は、
第1領域と、
前記第2方向において前記第1領域及び前記複数の個別流路の間に位置し、前記複数の突起部が設けられた第2領域と、
を有する第1壁面を有し、
前記第2方向における前記第1領域の幅は、前記第3方向における前記突起部の幅よりも大きい、
ことを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項17】
液体を吐出する複数のノズルと対応して設けられた複数の個別流路と、
前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路に液体を供給する第1共通流路と、
前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路から液体を回収する第2共通流路と、
を備え、
前記第2共通流路には、
前記第2共通流路の有する複数の壁面のうち第1壁面から突出する複数の突起部を有するフィルターが設けられ、
前記複数の突起部は、
前記第2共通流路の有する複数の壁面のうち前記第1壁面以外の壁面には接しない、
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項18】
請求項1から17のうち何れか1項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドからの液体の吐出を制御する制御装置と、
を備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置に設けられインク等の液体を吐出する液体吐出ヘッドにおいて、液体吐出ヘッドの内部で液体を貯留する流路にフィルターを設けることで、液体吐出ヘッドの内部に貯留された液体内の気泡等を取り除く技術が提案されている。例えば、特許文献1には、液体を吐出する複数のノズルと対応して設けられた複数の個別流路と、複数の個別流路に共通に連通し、複数の個別流路にインクを供給する1つの供給側共通液室と、1つの供給側共通液室と複数の個別流路との間に介在するフィルターと、を備える液体吐出ヘッドに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術において、複数の個別流路の各々に対して、フィルターを介して供給側共通液室から液体が供給されるため、供給側共通液室と個別流路とを含む流路全体での流路抵抗が大きくなるという問題が存在した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の問題を解決するために、本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体を吐出する複数のノズルと対応して設けられた複数の個別流路と、前記複数の個別流路に共通に連通し、前記複数の個別流路に液体を供給する第1共通流路と、を備え、前記第1共通流路には、前記第1共通流路の有する複数の壁面のうち第1壁面から突出する複数の突起部からなるフィルターが設けられ、前記複数の突起部は、前記第1共通流路の有する複数の壁面のうち前記第1壁面以外の壁面には接しない、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る液体吐出装置は、上述した液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドからの液体の吐出を制御する制御装置と、を備える、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る液体吐出装置100の一例を示す構成図である。
【
図2】液体吐出ヘッド1の構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】液体吐出ヘッド1の構成の一例を示す断面図である。
【
図4】流路形成基板26及びフィルターFの構成の一例を示す斜視図である。
【
図5】共通流路BA1及びフィルターF1の構成の一例を示す断面図である。
【
図6】共通流路BA1及びフィルターF1の構成の一例を示す平面図である。
【
図7】変形例5に係る共通流路BA1及びフィルターFBの構成の一例を示す断面図である。
【
図8】変形例6に係る流路形成基板26及びフィルターFCの構成の一例を示す斜視図である。
【
図9】変形例6に係る共通流路BA1及びフィルターFCの構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。但し、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<<A.実施形態>>
以下、本実施形態に係る液体吐出装置100について説明する。
【0010】
<<1.液体吐出装置の概要>>
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置100を示す説明図である。
【0011】
液体吐出装置100は、インクを媒体PPに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体PPは、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の印刷対象が媒体PPとして利用され得る。なお、インクは「液体」の一例である。
【0012】
図1に示すように、液体吐出装置100は、複数の液体吐出ヘッド1と、制御装置7と、インク供給装置8と、移動機構91と、搬送機構92と、を備える。
【0013】
制御装置7は、例えばCPUまたはFPGA等の処理回路と、半導体メモリ等の記憶回路とを含み、液体吐出装置100の各要素を制御する。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0014】
移動機構91は、制御装置7による制御のもとで、媒体PPを、Y軸に沿ったY1方向に搬送する。以下では、Y軸に沿ったY1方向と、Y1方向とは反対のY2方向とを、Y軸方向と総称する。また、以下では、Y軸に交差するX軸に沿ったX1方向と、X1方向とは反対のX2方向とを、X軸方向と総称する。また、以下では、X軸及びY軸に交差するZ軸に沿ったZ1方向と、Z1方向とは反対のZ2方向とを、Z軸方向と総称する。また、以下では、一の物体を起点として他の物体を終点とするベクトルと、X1方向に向かうベクトルとの内積が「正」とな場合、一の物体を基準として他の物体が、「X1側」に存在すると称する。また、以下では、一の物体を起点として他の物体を終点とするベクトルと、X2方向に向かうベクトルとの内積が「正」となる場合、一の物体を基準として他の物体が、「X2側」に存在すると称する。Y1側、Y2側、Z1側、及び、Z2側についても同様である。
本実施形態では、一例として、X軸、Y軸、及び、Z軸が、互いに直交する場合を想定して説明する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。X軸、Y軸、及び、Z軸は、互いに交差していればよい。
【0015】
搬送機構92は、制御装置7による制御のもとで、複数の液体吐出ヘッド1を、X1方向及びX2方向に往復動させる。搬送機構92は、複数の液体吐出ヘッド1を収容する収納ケース921と、収納ケース921が固定された無端ベルト922とを具備する。なお、液体容器93を液体吐出ヘッド1とともに収納ケース921に収納してもよい。
【0016】
制御装置7は、液体吐出ヘッド1に対して、液体吐出ヘッド1を駆動するための駆動信号Comと、液体吐出ヘッド1を制御するための制御信号SIと、を供給する。そして、液体吐出ヘッド1は、制御信号SIによる制御のもとで駆動信号Comにより駆動され、液体吐出ヘッド1に設けられた複数のノズルNの一部または全部から、Z1方向にインクを吐出させる。すなわち、液体吐出ヘッド1は、移動機構91による媒体PPの搬送と、搬送機構92による液体吐出ヘッド1の往復動とに連動して、複数のノズルNの一部又は全部からインクを吐出させて、当該吐出されたインクを媒体PPの表面に着弾させることで、媒体PPの表面に所望の画像を形成する。なお、ノズルNについては、
図2及び
図3において後述する。
【0017】
インク供給装置8は、インクを貯留する。また、インク供給装置8は、制御装置7から供給される制御信号Ctrに基づいて、インク供給装置8が貯留しているインクを液体吐出ヘッド1に供給する。また、インク供給装置8は、制御装置7から供給される制御信号Ctrに基づいて、液体吐出ヘッド1からインクを回収し、当該回収したインクを液体吐出ヘッド1に還流させる。
なお、本実施形態では、一例として、インク供給装置8が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックに対応する4種類のインクを貯留する場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、液体吐出ヘッド1が、4種類のインクに対応する、4個の液体吐出ヘッド1を備える場合を想定する。但し、以下では、説明の簡素化のために、インク供給装置8が貯留する4種類のインクのうち、1種類のインクに着目して説明する。また、以下では、説明の簡素化のために、液体吐出ヘッド1が具備する4個の液体吐出ヘッド1のうち、1種類のインクに対応する1個の液体吐出ヘッド1に着目して説明する。
【0018】
<<2.液体吐出ヘッドの概要>>
以下、
図2及び
図3を参照しつつ、液体吐出ヘッド1の概要を説明する。
【0019】
図2は、液体吐出ヘッド1の分解斜視図であり、
図3は、
図2におけるII-II線の断面図である。
【0020】
図2及び
図3に示すように、液体吐出ヘッド1は、ノズル基板21と、連通板22と、圧力室基板23と、振動板24と、流路形成基板26と、配線基板4と、を備える。
【0021】
図3に示すように、ノズル基板21は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。ここで、「略平行」とは、完全に平行である場合の他に、誤差を考慮すれば平行であると看做せる場合を含む概念である。本実施形態では、「略平行」とは、10%程度の誤差を考慮すれば平行であると看做せる場合を含む概念であることとする。ノズル基板21は、例えば、エッチング等の半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造されるが、ノズル基板21の製造には公知の材料及び製法を任意に採用してもよい。
【0022】
ノズル基板21には、M個のノズルNが形成される。ここで、ノズルNとは、ノズル基板21に設けられた貫通孔である。また、値Mは、M≧2を満たす自然数である。本実施形態では、M個のノズルNが、ノズル基板21において、Y軸方向に延在するように配列されている場合を想定する。以下では、Y軸方向に延在するM個のノズルNを、ノズル列Lnと称する場合がある。
【0023】
図2及び
図3に示すように、ノズル基板21を基準としてZ2側の位置には、連通板22が設けられる。連通板22は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。連通板22は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造されるが、連通板22の製造には公知の材料及び製法を任意に採用してもよい。
【0024】
図2及び
図3に示すように、連通板22を基準としてZ2側の位置には、圧力室基板23が設けられる。圧力室基板23は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。圧力室基板23は、例えば、半導体製造技術を利用してシリコンの単結晶基板を加工することで製造されるが、圧力室基板23の製造には公知の材料及び製法を任意に採用してもよい。
【0025】
連通板22及び圧力室基板23には、インクの流路が形成される。
具体的には、連通板22及び圧力室基板23には、Y軸方向に延在するように設けられた1個の共通流路BA1と、共通流路BA1を基準としてX1側の位置においてY軸方向に延在するように設けられた1個の共通流路BA2とが形成される。
【0026】
また、圧力室基板23には、M個のノズルNと対応するM個の接続流路BR1が形成される。また、連通板22及び圧力室基板23には、M個のノズルNと対応するM個の接続流路BR2が形成される。また、連通板22には、M個のノズルNと対応するM個のノズル流路BNが形成される。また、圧力室基板23には、M個のノズルNと対応するM個の圧力室CVが形成される。
【0027】
このうち、接続流路BR1は、共通流路BA1と連通し、共通流路BA1を基準としてX1側の位置においてX軸方向に延在するように設けられる。接続流路BR2は、共通流路BA2と連通し、共通流路BA2を基準としてX2側の位置においてX軸方向に延在するように設けられる。圧力室CVは、接続流路BR1及び接続流路BR2の間の位置において、接続流路BR1及び接続流路BR2と連通し、また、ノズル流路BNに連通する。ノズル流路BNは、圧力室CVを基準としてZ1側の位置に設けられ、圧力室CVと連通し、また、ノズルNと連通する。
【0028】
なお、以下では、共通流路BA1及び共通流路BA2を、共通流路BAと総称し、接続流路BR1及び接続流路BR2を、接続流路BRと総称する場合がある。
また、以下では、接続流路BR1と、当該接続流路BR1に連通する圧力室CVと、当該圧力室CVに連通する接続流路BR2とを、個別流路RKと称する場合がある。また、以下では、M個のノズルNのうちm番目のノズルNに対応する個別流路RKを、個別流路RK[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、1≦m≦Mを満たす自然数である。本実施形態において、M個のノズルNに対応するM個の個別流路RK[1]~RK[M]は、Y軸方向に沿って配置される。なお、本実施形態において、M個の個別流路RK[1]~RK[M]が並ぶY1方向は「第1方向」の一例である。
【0029】
また、圧力室基板23には、フィルターF1とフィルターF2とが形成される。フィルターF1とは、共通流路BA1におけるインク内の気泡を捕捉するための構造物である。フィルターF2とは、共通流路BA2におけるインク内の気泡を捕捉するための構造物である。なお、以下では、フィルターF1及びフィルターF2を、フィルターFと総称する場合がある。
【0030】
図2及び
図3に示すように、圧力室基板23を基準としてZ2側の位置には、振動板24が設けられる。振動板24は、振動板CPZと振動吸収板CP1と振動吸収板CP2とを備える。振動板CPZ、振動吸収板CP1、及び、振動吸収板CP2の各々は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材であって、弾性的に振動可能な部材である。振動板CPZ、振動吸収板CP1、及び、振動吸収板CP2の各々は、例えば、酸化シリコンからなる弾性膜と、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜と、を有する。なお、本実施形態において、振動吸収板CP1は「振動吸収部」の一例である。
【0031】
振動板CPZは、圧力室CVを基準としてZ2側の位置に設けられる。振動板CPZを基準としてZ2側の位置には、M個の圧力室CVに対応するM個の圧電素子PZが設けられる。圧電素子PZは、駆動信号Comの電位変化に応じて変形する受動素子である。具体的には、圧電素子PZは、駆動信号Comの電位変化に応じて駆動されて変形する。振動板CPZは、圧電素子PZの変形に連動して振動する。振動板CPZが振動すると、圧力室CV内の圧力が変動する。そして、圧力室CV内の圧力が変動することで、圧力室CVの内部に充填されたインクが、ノズル流路BNを経由してノズルNから吐出される。
【0032】
振動吸収板CP1は、共通流路BA1を基準としてZ2側の位置であって、X軸方向においてフィルターF1及び接続流路BR1の間の位置に設けられる。振動吸収板CP1は、圧力室CV内の圧力変動に応じて共通流路BA1内を流れるインクが振動する場合に、当該振動を吸収する。
振動吸収板CP2は、共通流路BA2を基準としてZ2側の位置であって、X軸方向においてフィルターF2及び接続流路BR2の間の位置に設けられる。振動吸収板CP2は、圧力室CV内の圧力変動に応じて共通流路BA2内を流れるインクが振動する場合に、当該振動を吸収する。
なお、以下では、振動吸収板CP1及び振動吸収板CP2を、振動吸収板CPと総称する場合がある。
【0033】
図2及び
図3に示すように、圧力室基板23を基準としてZ2側の位置には、流路形成基板26が設けられる。流路形成基板26は、Y軸方向に長尺で、XY平面に略平行に延在する板状の部材である。流路形成基板26は、例えば、樹脂材料の射出成型により形成されるが、流路形成基板26の製造には公知の材料及び製法を任意に採用してもよい。
【0034】
流路形成基板26には、インクの流路が形成される。
具体的には、流路形成基板26には、Y軸方向に延在するように設けられた1個の共通流路BB1と、Y軸方向に延在するように設けられた1個の共通流路BB2とが形成される。このうち、共通流路BB1は、共通流路BA1と連通し、共通流路BA1を基準としてZ2側の位置に設けられる。共通流路BB2は、共通流路BA2と連通し、共通流路BA2を基準としてZ2側の位置であって、共通流路BB1を基準としてX1側の位置に設けられる。なお、以下では、共通流路BB1及び共通流路BB2を、共通流路BBと総称する場合がある。
【0035】
以下では、共通流路BA1と、共通流路BA1に連通する共通流路BB1とを、共通流路R1と称する場合がある。また、以下では、共通流路BA2と、共通流路BA2に連通する共通流路BB2とを、共通流路R2と称する場合がある。また、以下では、共通流路R1及び共通流路R2を、共通流路Rと総称する場合がある。
【0036】
流路形成基板26には、共通流路BB1と連通する接続口H1と、共通流路BB2と連通する接続口H2と、が設けられる。共通流路BB1を含む共通流路R1には、接続口H1を介して、インク供給装置8からインクが供給される。共通流路R1に供給されたインクの一部は、接続流路BR1を経由して圧力室CVに充填される。そして、駆動信号Comにより圧電素子PZが駆動される場合、圧力室CVに充填されたインクの一部は、ノズル流路BNを経由して、ノズルNから吐出される。また、圧力室CVに充填されたインクの一部は、接続流路BR2を経由して、共通流路R2へと排出される。共通流路BB2を含む共通流路R2に貯留されているインクの一部は、接続口H2を介してインク供給装置8に回収される。
【0037】
なお、本実施形態において、圧力室CVを含む個別流路RKへとインクを供給する共通流路BA1は「第1共通流路」の一例であり、圧力室CVを含む個別流路RKからインクを回収する共通流路BA2は「第2共通流路」の一例である。また、本実施形態において、共通流路BA1を基準として共通流路BA2が位置するX1方向は「第2方向」の一例である。また、本実施形態において、X1方向及びY1方向と交差するZ1方向は「第3方向」の一例である。
【0038】
流路形成基板26には、貫通孔260が設けられている。貫通孔260は、流路形成基板26をZ1方向に見たときに、共通流路BB1及び共通流路BB2の間に位置し、流路形成基板26のZ1側の面から、流路形成基板26のZ2側の面までを貫通する穴である。貫通孔260には、配線基板4が挿通される。
【0039】
図2及び
図3に示すように、振動板24が有するZ軸方向を法線方向とする2つの面のうち、Z2側の面には、配線基板4が実装される。配線基板4は、液体吐出ヘッド1を制御装置7に電気的に接続するための部品である。配線基板4としては、例えば、FPCまたはFFC等の可撓性の配線基板が好適に採用される。ここで、FPCとは、Flexible Printed Circuitの略称であり、また、FFCとは、Flexible Flat Cableの略称である。配線基板4には、集積回路40が実装される。集積回路40は、制御信号SIによる制御のもとで、圧電素子PZに対して、駆動信号Comを供給するか否かを切り替える電気回路である。
【0040】
<<3.フィルターの概要>>
以下、
図4乃至
図6を参照しつつ、液体吐出ヘッド1に設けられたフィルターF1を説明する。
【0041】
図4は、液体吐出ヘッド1のうち流路形成基板26及びフィルターF1を示す斜視図であり、
図5は、
図3におけるIII-III線の断面図であり、
図6は、流路形成基板26及びフィルターF1をZ2方向に向かって平面視した場合の平面図である。
【0042】
図5に示すように、フィルターF1が設けられた共通流路BA1は、共通流路BA1が有する複数の壁面のうち、共通流路BA1のZ1側を規定する壁面であって、連通板22により形成された壁面である下側壁面WTと、共通流路BA1が有する複数の壁面のうち、共通流路BA1のZ2側を規定する壁面であって、流路形成基板26により形成された壁面である上側壁面WJと、共通流路BA1が有する複数の壁面のうち、共通流路BA1のY2側を規定する壁面であって、連通板22及び圧力室基板23により形成された壁面である壁面WS1と、共通流路BA1が有する複数の壁面のうち、共通流路BA1のY1側を規定する壁面であって、連通板22及び圧力室基板23により形成された壁面である壁面WS2と、を有する。
【0043】
図4乃至
図6に示すように、フィルターF1は、Y軸方向に並べられた複数の突起部FTを備える。本実施形態では、一例として、突起部FTが、上側壁面WJに取り付けられた直方体形状の構造物である場合を想定する。但し、突起部FTは、直方体形状以外の形状を有していてもよい。例えば、突起部FTは、円柱形状を有していてもよいし、楕円柱形状を有していてもよい。Y軸方向に並べられた複数の突起部FTから構成されるフィルターF1は、Y軸方向において互いに隣り合う2つの突起部FTにより、インク内の気泡を捕捉する。以下では、突起部FTのうち上側壁面WJと接続する部分を、基台部FKと称し、突起部FTのうちZ1方向における端部を、先端部FSと称する。
なお、本実施形態において、複数の突起部FTが設けられた上側壁面WJは「第1壁面」の一例であり、上側壁面WJに向かい合う下側壁面WTは「第2壁面」の一例である。また、本実施形態において、基台部FKから先端部FSに向かう方向は「突起方向」の一例である。すなわち、本実施形態では、Z1方向が「突起方向」となる。
【0044】
本実施形態において、突起部FTは、圧力室基板23により形成される。また、本実施形態において、Z軸方向における突起部FTの幅は、Z軸方向における圧力室基板23の幅と同じであることとする。以下では、Z軸方向における圧力室基板23の幅を幅LZと称し、Z軸方向における連通板22の幅を、幅LRと称する。すなわち、本実施形態において、Z軸方向における突起部FTの幅は、幅LZであり、Z軸方向における先端部FSから下側壁面WTまでの幅は、幅LRである。
【0045】
以下では、共通流路BA1のうち、Z軸方向における上側壁面WJからの距離が幅LZ以下である部分を、フィルター設置部分RFと称する。すなわち、フィルター設置部分RFは、共通流路BA1のうち、フィルターF1が設けられた部分である。
また、以下では、共通流路BA1のうち、Z軸方向における下側壁面WTからの距離が幅LR以下である部分を、インク通過部分RRと称する。すなわち、インク通過部分RRは、共通流路BA1のうち、フィルターF1が設けられていない部分である。
【0046】
本実施形態において、インク通過部分RRは、フィルターF1が存在しない部分であるため、フィルターF1が形成されたフィルター設置部分RFと比較して流路抵抗が低い。このため、本実施形態によれば、共通流路BA1にインク通過部分RRが設けられず共通流路BA1の全部がフィルター設置部分RFである態様と比較して、共通流路BA1の流路抵抗を小さく抑えることがででき、共通流路BA1から個別流路RKに対して円滑にインクを供給できる。
【0047】
また、本実施形態において、フィルター設置部分RFは、インク通過部分RRよりもZ2側に設けられる。そして、共通流路BA1内を流れるインクに含まれる気泡は、浮力によりZ2方向に浮上する。このため、本実施形態によれば、共通流路BA1内においてZ2方向に浮上する気泡をフィルター設置部分RFに設けられたフィルターF1により捕捉することができる。
【0048】
図5及び
図6に示すように、以下では、X軸方向における突起部FTの幅を幅LXと称し、Y軸方向における突起部FTの幅を幅LYと称する。また、以下では、Y軸方向に並ぶ複数の突起部FTのうち、Y軸方向において互いに隣り合う2つの突起部FTの間隔を間隔LWと称する。なお、本実施形態において、Y軸方向において互いに隣り合う2つの突起部FTのうち一方の突起部FTは「第1突起部」の一例であり、他方の突起部FTは「第2突起部」の一例である。また、以下では、Y軸方向における個別流路RKの幅の最小値を幅LKと称する。
【0049】
本実施形態において、Y軸方向に並ぶ複数の突起部FTは、X軸方向において互いに略同じ位置に配置される。ここで、「略同じ」とは、完全に同一である場合の他に、誤差を考慮すれば同一であると看做せる場合を含む概念である。本実施形態では、「略同じ」とは、10%程度の誤差を考慮すれば同一であると看做せる場合を含む概念であることとする。すなわち、本実施形態において、Y軸方向において互いに隣り合う2つの突起部FTのうち、一方の突起部FTのX軸方向における存在範囲と、他方の突起部FTのX軸方向における存在範囲とは、略同じである。なお、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。Y軸方向に並ぶ複数の突起部FTは、Y軸方向において互いに隣り合う2つの突起部FTのうち、一方の突起部FTのX軸方向における存在範囲の一部と、他方の突起部FTのX軸方向における存在範囲の一部とが重なるように設けられていればよい。
【0050】
上述のとおり、Y軸方向に並べられた複数の突起部FTから構成されるフィルターF1は、Y軸方向において互いに隣り合う2つの突起部FTにより、インク内の気泡を捕捉する。このため、間隔LWは、インク内に存在する気泡を捕捉することができる間隔に設定される。
具体的には、本実施形態では、間隔LWが幅LZよりも小さい間隔に設定される。このため、本実施形態によれば、間隔LWが幅LZよりも大きい間隔である態様と比較して、フィルターF1による気泡の捕捉能力を高くすることができる。
また、本実施形態では、間隔LWが幅LKよりも小さい間隔に設定される。このため、本実施形態によれば、間隔LWが幅LKよりも大きい間隔である態様と比較して、フィルターF1による気泡の捕捉能力を高くすることができる。
また、本実施形態では、間隔LWが幅LXよりも小さい間隔に設定される。このため、本実施形態によれば、間隔LWが幅LXよりも大きい間隔である態様と比較して、フィルターF1による気泡の捕捉能力を高くすることができる。
【0051】
また、本実施形態では、共通流路BA1のうち、インクの流れるインク通過部分RRのZ軸方向における幅が、フィルターF1の設けられたフィルター設置部分RFのZ軸方向における幅よりも大きい幅に設定される。具体的には、本実施形態では、幅LRが幅LZよりも大きい幅に設定される。このため、本実施形態によれば、幅LRが幅LZよりも小さい幅に設定される態様と比較して、共通流路BA1の流路抵抗を小さく抑えることが可能となり、共通流路BA1から個別流路RKに対する円滑なインクの供給が可能となる。
【0052】
また、本実施形態において、突起部FTは、共通流路BA1にフィルターF1が設けられることによる流路抵抗の増大の程度を抑制するような形状に設定される。
具体的には、本実施形態では、幅LYが幅LXよりも小さい幅に設定される。このため、本実施形態によれば、幅LYが幅LXよりも大きい幅に設定される態様と比較して、共通流路BA1の流路抵抗を小さく抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、幅LYが幅LZよりも小さい幅に設定される。このため、本実施形態によれば、幅LYが幅LZよりも大きい幅に設定される態様と比較して、共通流路BA1の流路抵抗を小さく抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、幅LYが間隔LWよりも小さい幅に設定される。このため、本実施形態によれば、幅LYが間隔LWよりも大きい幅に設定される態様と比較して、共通流路BA1の流路抵抗を小さく抑えることが可能となる。
【0053】
図6に示すように、本実施形態において、上側壁面WJは、領域AAと、領域ABと、領域ACとを備える。
【0054】
領域ABは、上側壁面WJのX2方向の端部EP1と、M個の接続流路BR1との間の領域であって、フィルターF1を構成する複数の突起部FTが形成された領域である。上述のとおり、X軸方向における領域ABの幅は、幅LXである。
【0055】
領域AAは、端部EP1と領域ABとの間の領域であって、平坦な形状を有する領域である。以下では、X軸方向における領域AAの幅を幅LAと称する。本実施形態では、幅LAが幅LZよりも大きい幅に設定される。このため、本実施形態によれば、幅LAが幅LZよりも小さい幅に設定される態様と比較して、共通流路BA1のうち領域AAに対応する部分をX1方向へと流れるインク内の気泡がZ2方向に浮上する時間を長くすることができる。つまり、本実施形態によれば、幅LAが幅LZよりも小さい幅に設定される態様と比較して、インク内の気泡がフィルターF1により捕捉される可能性を高くすることができる。
なお、本実施形態において、領域AAは「第1領域」の一例であり、領域ABは「第2領域」の一例である。
【0056】
領域ACは、領域ABと接続流路BR1との間の領域であって、振動吸収板CP1が設けられた領域である。本実施形態では、フィルターF1が設けられた領域ABと接続流路BR1との間の領域ACに振動吸収板CP1が設けられるため、領域ACに振動吸収板CP1が設けられていない態様と比較して、フィルターF1を通過することにより生じたインクの流れの乱れに起因するインクの圧力変動が、接続流路BR1を含む個別流路RKに連通するノズルNからのインクの吐出特性に与える影響を、低減することが可能となる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、共通流路BA1において、先端が下側壁面WTに接しないサイズの複数の突起部FTからなるフィルターF1が設けられるため、共通流路BA1の流路抵抗の過度な上昇を抑制しつつ、共通流路BA1を流れるインク内の気泡を捕捉することが可能となる。
【0058】
なお、以上の説明では、共通流路BA1に設けられるフィルターF1を例示して説明したが、共通流路BA2に設けられるフィルターF2も、フィルターF1と同様に、複数の突起部FTから構成される。より具体的には、フィルターF2は、
図4乃至
図6に示すフィルターF1と同様の構成を有してもよい。
【0059】
<<4.実施形態の結び>>
以上において説明したように、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、インクを吐出するM個のノズルNと対応して設けられたM個の個別流路RKと、M個の個別流路RKに共通に連通し、M個の個別流路RKにインクを供給する共通流路BA1と、M個の個別流路RKに共通に連通し、M個の個別流路RKからインクを回収する共通流路BA2と、を備え、共通流路BA1には、共通流路BA1の有する複数の壁面に先端が接触しないように設けられた複数の突起部FTからなるフィルターF1が設けられる、ことを特徴とする。
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、インクを吐出するM個のノズルNと対応して設けられたM個の個別流路RKと、M個の個別流路RKに共通に連通し、M個の個別流路RKにインクを供給する共通流路BA1と、を備え、共通流路BA1には、共通流路BA1の有する複数の壁面のうち上側壁面WJから突出する複数の突起部FTからなるフィルターF1が設けられ、複数の突起部FTは、共通流路BA1の有する複数の壁面のうち上側壁面WJ以外の壁面には接しない、ことを特徴とする。
【0060】
すなわち、本実施形態によれば、フィルターF1を構成する突起部FTの先端が共通流路BA1の壁面に接触しないため、例えば、フィルターF1を構成する突起部FTの先端が共通流路BA1の壁面に接触し、共通流路BA1の断面全体に亘りフィルターF1が設けられた態様と比較して、共通流路BA1の流路抵抗を小さく抑えることができる。これにより、本実施形態によれば、共通流路BA1から個別流路RKに対して円滑にインクを供給することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、インクに圧力を付与する圧力室CVが形成された圧力室基板23と、M個のノズルNが形成されたノズル基板21と、圧力室基板23及びノズル基板21の間に設けられた連通板22と、を備え、共通流路BA1は、複数の突起部FTが設けられた上側壁面WJと、上側壁面WJに向かい合い、連通板22により形成された下側壁面WTと、を有し、複数の突起部FTは、下側壁面WTに接しないように設けられる、ことを特徴とする。
【0062】
このため、本実施形態によれば、例えば、複数の突起部FTが下側壁面WTに接するように設けられた態様と比較して、共通流路BA1の流路抵抗を小さく抑えることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、複数の突起部FTは圧力室基板23によって形成される、ことを特徴とする。
【0064】
このため、本実施形態によれば、例えば、複数の突起部FTと圧力室CVとを同一のプロセスで形成することが可能となり、複数の突起部FTと圧力室CVとを別プロセスで形成する態様と比較して、液体吐出ヘッド1の製造コストを低減することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、M個の個別流路RKはY1方向に並び、共通流路BA2は共通流路BA1から見てY1方向に交差するX1方向に位置し、複数の突起部FTは、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTを含み、当該2つの突起部FTのうち、一方の突起部FTのX1方向における存在範囲の一部または全部と、他方の突起部FTのX1方向における存在範囲の一部または全部とは重なる、ことを特徴とする。
【0066】
このため、本実施形態によれば、例えば、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTにより気泡を捕捉することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、ノズルNは、Z1方向にインクを吐出し、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTのY1方向における間隔LWは、Z1方向における突起部FTの幅LZより小さい、ことを特徴とする。
【0068】
このため、本実施形態によれば、間隔LWが幅LZよりも大きい間隔である態様と比較して、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTによる気泡の捕捉能力を高くすることができる。
【0069】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTのY1方向における間隔LWは、Y1方向における個別流路RKの幅LKよりも小さい、ことを特徴とする。
【0070】
このため、本実施形態によれば、間隔LWが幅LKよりも大きい間隔である態様と比較して、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTによる気泡の捕捉能力を高くすることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、個別流路RKは、インクに圧力を与える圧力室CVを含み、共通流路BA1には、圧力室CVで発生するインクの振動を吸収する振動吸収板CP1が設けられる、ことを特徴とする。
【0072】
このため、本実施形態によれば、インクの振動に起因するノズルNからのインクの吐出特性への影響を低減し、液体吐出ヘッド1が形成する画像の画質を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、M個の個別流路RKはY1方向に並び、共通流路BA2は共通流路BA1から見てY1方向に交差するX1方向に位置し、振動吸収板CP1は、X1方向において、フィルターF1と個別流路RKの間に設けられる、ことを特徴とする。
【0074】
このため、本実施形態によれば、フィルターF1を通過することにより生じたインクの流れの乱れに起因するインクの圧力変動が、個別流路RKに連通するノズルNからのインクの吐出特性に与える影響を、低減することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、圧力室CVに対応する位置に設けられた圧電素子PZにより振動して圧力室CV内の圧力を変動させる振動板CPZを含む振動板24を備え、振動吸収板CP1は、振動板24により形成される、ことを特徴とする。
【0076】
本実施形態によれば、例えば、振動板CPZと振動吸収板CP1とを同一のプロセスで形成することが可能となり、振動板CPZと振動吸収板CP1とを別プロセスで形成する態様と比較して、液体吐出ヘッド1の製造コストを低減することが可能となる。
【0077】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、X1方向における突起部FTの幅LXは、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTのY1方向における間隔LWよりも大きい、ことを特徴とする。
【0078】
このため、本実施形態によれば、間隔LWが幅LXよりも大きい間隔である態様と比較して、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTによる気泡の捕捉能力を高くすることができる。
【0079】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、共通流路BA1は、複数の突起部FTが設けられた上側壁面WJと、上側壁面WJに向かい合う下側壁面WTと、を有し、上側壁面WJ及び突起部FTが接続する基台部FKから突起部FTの先端部FSに向かう突起方向における突起部FTの幅LZは、突起部FTの先端部FSと下側壁面WTと間のインク通過部分RRの幅LRよりも小さい、ことを特徴とする。
【0080】
このため、本実施形態によれば、幅LZが幅LRよりも大きい幅に設定される態様と比較して、共通流路BA1の流路抵抗を小さく抑えることが可能となり、共通流路BA1から個別流路RKに対する円滑なインクの供給が可能となる。
【0081】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1において、M個の個別流路RKはY1方向に並び、共通流路BA2は共通流路BA1から見てX1方向に位置し、ノズルNは、Z1方向にインクを吐出し、共通流路BA1は、領域AAと、X1方向において領域AA及びM個の個別流路RKの間に位置し複数の突起部FTが設けられた領域ABと、を有する上側壁面WJを有し、X1方向における領域AAの幅LAは、Z1方向における突起部FTの幅LZよりも大きい、ことを特徴とする。
【0082】
このため、本実施形態によれば、幅LAが幅LZよりも小さい態様と比較して、共通流路BA1を流れるインク内の気泡が浮上する時間を長くすることが可能となり、共通流路BA1を流れるインク内の気泡がフィルターF1により捕捉される可能性を高くすることができる。
【0083】
また、本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、インクを吐出するM個のノズルNと対応して設けられたM個の個別流路RKと、M個の個別流路RKに共通に連通し、M個の個別流路RKにインクを供給する共通流路BA1と、M個の個別流路RKに共通に連通し、M個の個別流路RKからインクを回収する共通流路BA2と、を備え、共通流路BA2には、共通流路BA2の有する複数の壁面に先端が接触しないように設けられた複数の突起部FTからなるフィルターF2が設けられる、ことを特徴とする。
【0084】
すなわち、本実施形態によれば、フィルターF2を構成する突起部FTの先端が共通流路BA2の壁面に接触しないため、例えば、フィルターF2を構成する突起部FTの先端が共通流路BA2の壁面に接触し、共通流路BA2の断面全体に亘りフィルターF2が設けられた態様と比較して、共通流路BA2の流路抵抗を小さく抑えることができる。これにより、本実施形態によれば、個別流路RKから共通流路BA2へと円滑にインクを回収することができる。
【0085】
<<B.変形例>>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0086】
<変形例1>
上述した実施形態では、インク通過部分RRのZ軸方向における幅LRが、フィルター設置部分RFのZ軸方向における幅LZよりも大きい幅である場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。例えば、幅LZが幅LRよりも大きい幅に設定されてもよい。
【0087】
すなわち、本変形例に係る液体吐出ヘッド1は、共通流路BA1が、複数の突起部FTが設けられた上側壁面WJと、上側壁面WJに向かい合う下側壁面WTと、を有し、上側壁面WJ及び突起部FTが接続する基台部FKから突起部FTの先端部FSに向かう突起方向における突起部FTの幅LZが、突起部FTの先端部FSと下側壁面WTと間のインク通過部分RRの幅LRよりも大きい、ことを特徴とする。
【0088】
このため、本変形例によれば、幅LZが幅LRよりも小さい幅に設定される態様と比較して、より確実にインク内の気泡を捕捉することが可能となる。
【0089】
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例1では、突起部FTのY軸方向の幅LYが、Y軸方向に隣り合う2つの突起部FTの間の間隔LWよりも小さい場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。例えば、幅LYは間隔LWよりも大きい幅に設定されてもよい。
【0090】
<変形例3>
上述した実施形態並びに変形例1及び2では、X軸方向において、振動吸収板CP1が、フィルターF1と個別流路RKとの間に設けられる態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。例えば、振動吸収板CP1と個別流路RKとの間にフィルターF1が設けられてもよい。同様に、振動吸収板CP2と個別流路RKとの間にフィルターF2が設けられてもよい。
【0091】
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例1乃至3では、共通流路BA1の下側壁面WTが連通板22により形成される場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。共通流路BA1の下側壁面WTはノズル基板21から形成されてもよい。同様に、共通流路BA2のZ1側の下側壁面もノズル基板21から形成されてもよい。
【0092】
また、共通流路BA1の下側壁面WTはコンプライアンスシートから形成されてもよい。ここで、コンプライアンスシートとは、弾性材料から形成された、Y軸方向に長尺の板状の部材である。コンプライアンスシートは、共通流路BA1内のインクの圧力を吸収する。なお、共通流路BA1の下側壁面WTがコンプライアンスシートから形成される場合、液体吐出ヘッド1には、振動吸収板CP1が設けられなくてもよい。
同様に、共通流路BA2のZ1側の下側壁面もコンプライアンスシートから形成されてもよい。この場合、液体吐出ヘッド1には、振動吸収板CP2が設けられなくてもよい。
【0093】
<変形例5>
上述した実施形態及び変形例1乃至4では、Y軸方向に互いに隣り合う2つの突起部FTの間隔が間隔LWとなるように、複数の突起部FTが設けられる態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。Y軸方向に配列された複数の突起部FTのうち、一の突起部FTと当該一の突起部FTに隣り合う突起部FTとの間隔、及び、他の突起部FTと当該他の突起部FTに隣り合う突起部FTとの間隔が、異なるように、複数の突起部FTが設けられてもよい。
【0094】
図7は、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Bの断面図である。
【0095】
図7に示すように、液体吐出ヘッド1Bは、フィルターFの代わりにフィルターFBを備える点において、実施形態に係る液体吐出ヘッド1と相違する。フィルターFBは、複数の突起部FTの代わりに複数の突起部FTBを備える点において、実施形態に係るフィルターFと相違する。
【0096】
図7では、フィルターFBが、Y1方向に並ぶQ個の突起部FTBを備える場合を想定する。ここで、値Qは、Q≧6を満たす自然数である。また、以下では、Y1方向に並ぶQ個の突起部FTBのうち、q番目の突起部FTBを、突起部FTB[q]と称する。ここで、変数qは、1≦q≦Qを満たす自然数である。
【0097】
また、以下では、1≦q1<q2<q3<Qを満たす自然数である、変数q1、変数q2、及び、変数q3を導入する。ここで、突起部FTB[q1]は突起部FTB[q2]よりも壁面WS1に近く、突起部FTB[q3]は突起部FTB[q2]よりも壁面WS2に近く、且つ、突起部FTB[q2]は突起部FTB[q1]及び突起部FTB[q3]よりもY軸方向における共通流路BA1の中央部に近い。そして、以下では、突起部FTB[q1]と、突起部FTB[q1]のY1側において突起部FTB[q1]と隣り合う突起部FTB[1+q1]とのY軸方向の間隔を、間隔LW[q1]と称し、突起部FTB[q2]と、突起部FTB[q2]のY1側において突起部FTB[q2]と隣り合う突起部FTB[1+q2]とのY軸方向の間隔を、間隔LW[q2]と称し、突起部FTB[q3]と、突起部FTB[q3]のY1側において突起部FTB[q3]と隣り合う突起部FTB[1+q3]とのY軸方向の間隔を、間隔LW[q3]と称する。
【0098】
本変形例では、Q個の突起部FTBは、Y軸方向における共通流路BA1の中央部において、Y軸方向において隣り合う2つの突起部FTBの間隔LW[q]が狭くなり、Y軸方向における共通流路BA1の端部において、Y軸方向において隣り合う2つの突起部FTBの間隔LW[q]が広くなるように設けられる。具体的には、本実施形態において、Q個の突起部FTBは、間隔LW[q1]及び間隔LW[q2]が、「LW[q1]>LW[q2]」を満たし、且つ、間隔LW[q2]及び間隔LW[q3]が、「LW[q3]>LW[q2]」を満たすように設けられる。
【0099】
すなわち、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Bにおいて、Q個の突起部FTBは、Y1方向において隣り合う突起部FTB[q1]及び突起部FTB[1+q1]と、Y1方向において隣り合う突起部FTB[q2]及び突起部FTB[1+q2]と、を含み、突起部FTB[q1]及び突起部FTB[1+q1]は、突起部FTB[q2]及び突起部FTB[1+q2]よりも、Q個の突起部FTBの端部に近い位置に設けられ、Y1方向における突起部FTB[q1]及び突起部FTB[1+q1]の間隔は、Y1方向における突起部FTB[q2]及び突起部FTB[1+q2]の間隔よりも広い、ことを特徴とする。なお、本変形例において、突起部FTB[q2]は「第1突起部」の一例であり、突起部FTB[1+q2]は「第2突起部」の一例であり、突起部FTB[q1]は「第3突起部」の一例であり、突起部FTB[1+q1]は「第4突起部」の一例である。
【0100】
このため、本変形例によれば、液体吐出ヘッド1B内部のインクを吸引または加圧することで、液体吐出ヘッド1B内部のインクを排出する場合に、Y軸方向におけるフィルターFBの端部におけるインクに加わる圧力が、Y軸方向におけるフィルターFBの中央部におけるインクに加わる圧力よりも低くなる場合であっても、Y軸方向におけるフィルターFBの端部におけるインクを円滑に排出することが可能となる。
【0101】
<変形例6>
上述した実施形態及び変形例1乃至5では、フィルターFまたはフィルターFBが、Y軸方向に1列に並ぶ複数の突起部FT、または、Y軸方向に1列に並ぶ複数の突起部FTBから構成される場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。フィルターFは、複数の突起部FTが、Y軸方向に延在する複数の列として並ぶように配置されるものであってもよい。
【0102】
図8は、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Cが備える流路形成基板26及びフィルターFCを示す斜視図である。
【0103】
図8に示すように、液体吐出ヘッド1Cは、フィルターFの代わりにフィルターFCを備える点において、実施形態に係る液体吐出ヘッド1と相違する。フィルターFCは、Y軸方向に並ぶ複数の突起部FTの代わりに、Y軸方向に並ぶ複数の突起部FTC1と、複数の突起部FTC1を基準としてX1側の位置においてY軸方向に並ぶ複数の突起部FTC2と、を備える点において、実施形態に係るフィルターFと相違する。
【0104】
図9は、流路形成基板26及びフィルターFCをZ2方向に向かって平面視した場合の平面図である。
【0105】
図9に示すように、本変形例において、フィルターFCは、上側壁面WJのうち領域AA及び領域ACの間において、Y軸方向に並ぶように設けられた複数の突起部FTC1と、上側壁面WJのうち複数の突起部FTC1及び領域ACとの間において、Y軸方向に並ぶように設けられた複数の突起部FTC2と、を備える。また、本変形例において、フィルターFCは、Y軸方向において隣り合う2つの突起部FTC1の間隔が間隔LWとなり、且つ、Y軸方向において隣り合う2つの突起部FTC2の間隔が間隔LWとなるように設けられる。また、本変形例において、隣り合う2つの突起部FTC1のY軸方向における間に1つの突起部FTC2が配置される。
【0106】
以上のように、本変形例に係る液体吐出ヘッド1Cにおいて、フィルターFCは、複数の突起部FTC1及び複数の突起部FTC2を含み、複数の突起部FTC2のうち、一の突起部FTC2は、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTC1の間に位置し、X1方向において当該2つの突起部FTC1とは異なる位置に設けられる、ことを特徴とする。なお、本変形例において、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTC1のうち、一方の突起部FTC1は「第1突起部」の一例であり、他方の突起部FTC1は「第2突起部」の一例である。また、本変形例において、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTC1の間に位置する突起部FTC2は「第3突起部」の一例である。
【0107】
すなわち、本変形例によれば、Y1方向において隣り合う2つの突起部FTC1の間に、突起部FTC2が設けられるため、突起部FTC2が設けられない態様と比較して、フィルターFCによる気泡の捕捉能力を高くすることができる。
【0108】
<変形例7>
上述した実施形態及び変形例1乃至6では、共通流路R2が設けられ、ノズルNから吐出されなかったインクが共通流路R2へと排出され、インク供給装置8に回収される場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものでは無い。共通流路R2が設けられておらず、共通流路R1に供給されたインクのほぼ全てがノズルNから吐出されるような態様であってもよい。
【0109】
<変形例8>
上述した実施形態及び変形例1乃至7では、液体吐出ヘッドを搭載した収納ケース921を、X軸方向に往復同させるシリアル方式の液体吐出装置100を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。液体吐出装置100は、複数のノズルNが、媒体PPの全幅に亘り分布する、ライン方式の液体吐出装置であってもよい。
【0110】
<変形例9>
上述した実施形態及び変形例1乃至8で例示した液体吐出装置は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0111】
1…液体吐出ヘッド、7…制御装置、8…インク供給装置、21…ノズル基板、22…連通板、23…圧力室基板、26…流路形成基板、BA1…共通流路、BA2…共通流路、CV…圧力室、F1…フィルター、FT…突起部、N…ノズル、RK…個別流路。