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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021629
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】キャップ脱着装置
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/20 20060101AFI20240208BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240208BHJP
   B67B 7/18 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B67B3/20
C12M1/00 G
B67B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124607
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 優
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄大
(72)【発明者】
【氏名】西田 拓透
【テーマコード(参考)】
3E080
3E081
4B029
【Fターム(参考)】
3E080AA07
3E080CD01
3E080CF15
3E080FF20
3E081AA14
3E081AB06
3E081AC01
3E081BB19
3E081BB20
3E081EE02
3E081EE08
4B029AA02
4B029AA27
4B029DG01
4B029GB02
(57)【要約】
【課題】 成形誤差によって培養容器2ごとに2つの口部に螺着されているキャップCの位置がばらついている場合であっても、2つの口部のそれぞれでキャップCの脱着を自動的かつ効率的に行うことができる。
【解決手段】 第1口部2aAと第2口部2aBとを備えた培養容器2を支持する支持手段3と、上記第1口部2aAのキャップCを脱着する第1キャップ開閉手段と、上記第2口部2aBのキャップCを脱着する第2キャップ開閉手段と、上記第1口部2aA、第2口部2aBを第1作動位置と第2作動位置とに位置決めする位置決め手段6とを備えている。
上記第1作動位置において上記第1キャップ開閉手段が第1口部2aAからキャップCを離脱させた状態で、上記位置決め手段6が第2口部2aBを第2作動位置に位置決めして、第2キャップ開閉手段により第2口部2aBのキャップCを脱着する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップが螺着された第1口部と第2口部とを備えた容器を支持する支持手段と、上記第1口部に対してキャップを脱着する第1キャップ開閉手段と、上記第2口部に対してキャップを脱着する第2キャップ開閉手段と、第1キャップ開閉手段と上記第1口部とを接離させるとともに、第2キャップ開閉手段と上記第2口部とを接離させる移動手段と、上記第1口部を第1キャップ開閉手段が作動する第1作動位置に、第2口部を第2キャップ開閉手段が作動する第2作動位置にそれぞれ位置決めする位置決め手段とを備え、
上記位置決め手段により上記第1口部を上記第1作動位置に位置決めして、上記第1キャップ開閉手段により第1口部からキャップを離脱させた状態で、上記位置決め手段が上記第2口部を上記第2作動位置に位置決めして、上記第2キャップ開閉手段により第2口部からキャップを離脱させることを特徴とするキャップ脱着装置。
【請求項2】
上記容器は平面視において略長方形に形成されるとともに、上記第1口部および第2口部は当該容器の上面における隣接した2つの角部近傍に設けられ、
上記支持手段は、上記第1口部と第2口部とが両端に位置する前方辺と当接する前方辺ガイドと、上記前方辺と第1口部が位置する角部を形成する第1側方辺と当接する第1側方辺ガイドと、上記前方辺と第2口部が位置する角部を形成する第2側方辺と当接する第2側方辺ガイドとを備え、
上記位置決め手段は、上記容器を押圧して当該容器の前方辺を前方辺ガイドに、上記第1側方辺を第1側方辺ガイドに当接させて上記第1作動位置に位置決めし、
もしくは、上記容器を押圧して当該容器の前方辺を前方辺ガイドに、上記第2側方辺を第2側方辺ガイドに当接させて上記第2作動位置に位置決めすることを特徴とする請求項1に記載のキャップ脱着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャップ脱着装置に関し、詳しくは容器に設けられた第1口部と第2口部とに対してキャップの脱着を行うキャップ脱着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、細胞を培養する容器として、キャップが螺着可能な口部を備えた培養容器が知られている。
このような培養容器を用いて細胞の培養を行う際、培養容器に収容した古い培地を新しい培地に交換する培地交換を行う場合があるが、その場合には上記口部からキャップを離脱させ、その状態で培地を交換したら、その後キャップを口部に装着する作業が必要となる。
このような作業を自動的に行うことを目的として、口部へのキャップの脱着を行うキャップ回転手段を備えたキャップ脱着装置が知られている(特許文献1、2)
一方、細胞培養をより大量に行うことを目的として、より大型の培養容器が知られており、このような培養容器として、上記口部を2つ備えたものが知られている。
このような口部を2つ備えた培養容器で培地交換をする際には、一方の口部を用いて古い培地の吸引および新しい培地の供給を行えばよいが、このとき他方の口部のキャップを取り外しておけば、当該他方の口部を介して培養容器内部の空気の流出入が促進され、培地の交換をスムーズに行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5791037号公報
【特許文献2】特許第6399215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1や特許文献2のキャップ脱着装置において、螺着されたキャップを離脱させ再び螺着させるには、培養容器を保持して口部の中心軸にキャップ回転手段の回転中心を位置合わせし、その状態でキャップを回転させる必要がある。
この場合、上述したような口部を2つ備えた培養容器におけるキャップの脱着作業を自動化するには、2つのキャップ回転手段を用いて、各キャップ回転手段の回転中心をそれぞれに口部の中心軸に位置合わせして、各キャップを回転させてキャップの脱着を行うことが考えられる。
しかしながら、培養容器には成形誤差により、上記2つの口部の間隔や位置関係は個々の培養容器ごとに微妙に異なっていることから、個々の培養容器ごとに各キャップ回転手段を2つの口部のそれぞれに位置合わせする必要があり、効率的でなく自動化には不向きであるという問題があった。
このような問題に鑑み、2つの口部を備えた培養容器に対してキャップの脱着を効率的に行うことが可能なキャップ脱着装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかるキャップ脱着装置は、キャップが螺着された第1口部と第2口部とを備えた容器を支持する支持手段と、上記第1口部に対してキャップを脱着する第1キャップ開閉手段と、上記第2口部に対してキャップを脱着する第2キャップ開閉手段と、第1キャップ開閉手段と上記第1口部とを接離させるとともに、第2キャップ開閉手段と上記第2口部とを接離させる移動手段と、上記第1口部を第1キャップ開閉手段が作動する第1作動位置に、第2口部を第2キャップ開閉手段が作動する第2作動位置にそれぞれ位置決めする位置決め手段とを備え、
上記位置決め手段により上記第1口部を上記第1作動位置に位置決めして、上記第1キャップ開閉手段により第1口部からキャップを離脱させた状態で、上記位置決め手段が上記第2口部を上記第2作動位置に位置決めして、上記第2キャップ開閉手段により第2口部からキャップを離脱させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、位置決め手段が第1、第2口部を順次第1、第2作動位置に位置させ、各位置において第1、第2キャップ開閉手段を作動させるようになっていることから、2つの口部を備えた培養容器に対してキャップの脱着を効率的に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】培養容器の斜視図
図2】第1実施形態におけるキャップ脱着装置の正面図
図3】支持手段および位置決め手段を示す平面図
図4】支持手段および位置決め手段を示す側面図
図5】位置決め手段の動作を示す側面図
図6】キャップ脱着装置の動作を示す図
図7】キャップ脱着装置の動作を示す図
図8】第2実施形態におけるキャップ脱着装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施形態について説明すると、図1は本実施形態のキャップ脱着装置1で扱う培養容器2の斜視図を示しており、従来公知のシャーレなどの培養容器に対し、より大量の細胞を一度に培養することが可能な培養容器となっている。
上記培養容器2は樹脂成形され、平面視において略長方形を有するとともに、内部が複数段に仕切られて外観は略直方体形状を有したものとなっており、培養容器2の内部の各段は収容部として、培養する細胞の他、細胞の培養に用いる培地が収容可能となっている。
また培養容器2の上面2uにはキャップCが装着可能な第1口部2aAおよび第2口部2aBが設けられており、これら第1、第2口部2aA、2aBは当該培養容器2の上面2uにおける隣接した2つの角部近傍に設けられている。
上記第1、第2口部2aA、2aBには外周にらせん状の突起が形成され、これに対し上記キャップCの内周にもらせん状の突起が形成されている。これにより、上記第1、第2口部2aA、2aBに対してキャップCを螺着させることが可能となっている。
上記培養容器2を用いて細胞を培養する際、培地の交換を行う場合には、例えば第2口部2aBからキャップCを離脱させた状態で、第2口部2aBにノズルを挿入し、使用済みの古い培地を吸引するとともに新たな培地を供給するようになっている。
このとき、第1口部2aAからキャップCを離脱させておけば、培養容器2内の空気の流れが確保されるため、ノズルによる培地の吸引や供給を速やかに行うことが可能となる。
【0009】
ここで本実施形態の培養容器2は、人が取り扱うことが前提となっているとともに使い捨てするものとなっており、このため樹脂成形する際の精度は高くなく、各部の寸法には成形誤差が存在する。例えば、個々の培養容器2ごとに、上記第1口部2aAと第2口部2aBや螺着されるキャップC間の間隔や位置関係にばらつきが認められる。
このような成形誤差を有するため、上記培養容器2の各口部2aA、2aBに対してキャップCを脱着するには、培養容器2ごとに各口部2aA、2aBの中心軸とキャップ回転手段の回転中心とを一致させる必要があるため、自動的にキャップCの脱着を行うのは困難となっていた。
そこで本実施形態のキャップ脱着装置1は、上記第1口部2aAおよび第2口部2aBに対するキャップ回転手段の位置決めを効率的に行い、2つの口部を有する培養容器2から自動的にキャップCを脱着させるものとなっている。
【0010】
図2はキャップ脱着装置1の正面図を示しており、上記培養容器2を支持する支持手段3と、上記培養容器2の第1口部2aAのキャップCを脱着するキャップ回転手段としての第1キャップ開閉手段4Aと、上記第2口部2aBのキャップCを脱着するキャップ回転手段としての第2キャップ開閉手段4Bと、上記第1キャップ開閉手段4Aを培養容器2から退避させることを目的として、第1キャップ開閉手段4Aと上記第1口部2aAとを接離させる第1移動手段5Aと、上記支持手段3に支持された培養容器2を位置決めする位置決め手段6とを備え、これらはコンピュータなどによって構成された図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
また本実施形態のキャップ脱着装置1に隣接して、上記培養容器2の培地交換を行うための図示しない培地交換装置が設けられている。
【0011】
最初に、図3図5を用いて、上記支持手段3および位置決め手段6について説明する。
上記支持手段3は、上記培養容器2を支持する支持テーブル11と、当該支持テーブル11を昇降させる昇降手段12と、当該支持テーブル11の上部に設けられて、上記培養容器2を囲繞するように設けられた複数のガイドGとを備えている。
上記支持テーブル11は平坦な板状に形成されており、当該支持テーブル11上にはロボットや人手により上記培養容器2が載置されるようになっている。また上記昇降手段12は支持テーブル11の下面に設けられたエアシリンダによって構成されており、上記支持テーブル11に載置した培養容器2を昇降させて、上記第1キャップ開閉手段4Aと第1口部2aAとを接離させるとともに、上記第2キャップ開閉手段4Bと第2口部2aBとを接離させる移動手段を構成している。
ここで上記支持テーブル11に培養容器2を載置する際には、上記培養容器2の第1、第2口部2aA、2aBを図3の図示右方に位置させて載置するようになっており、ここで当該培養容器2における上記第1口部2aAと第2口部2aBとが両端に位置している辺を前方辺2fと呼び、当該前方辺2fに対向する辺を後方辺2rと呼ぶ。
また、上記前方辺2fに対し、当該前方辺2fとともに第1口部2aAが位置する角部を形成する辺を第1側方辺2s1と呼び、上記前方辺2fとともに第2口部2aBが位置する角部を形成する辺を第2側方辺2s2と呼ぶこととする。
【0012】
上記支持テーブル11の上面に設けられたガイドGは、上記培養容器2の前方辺2fが当接する前方辺ガイドGfと、後方辺2rに対向した位置に設けられた後方辺ガイドGrと、上記第1側方辺2s1が当接する第1側方辺ガイドGs1と、第2側方辺2s2が当接する第2側方辺ガイドGs2とによって構成されている。
具体的に図3において、前方辺ガイドGfは培養容器2の図示右方側に、後方辺ガイドGrは培養容器2の図示左方側に、第1側方辺ガイドGs1および第2側方辺ガイドGs2は、上記培養容器2を挟んで対向した位置に設けられている。
そして、上記前方辺ガイドGfと後方辺ガイドGrとの間隔は、上記培養容器2における前方辺2fと後方辺2rとの間隔よりも広く設定され、これと同様、上記第1側方辺ガイドGs1と第2側方辺ガイドGs2との間隔も、上記培養容器2における第1側方辺2s1と第2側方辺2s2との幅よりも広く設定されている。
また、上記前方辺ガイドGfは上記前方辺2fよりも長く設けられており、上記後方辺ガイドGrおよび第1側方辺ガイドGs1、第2側方辺ガイドGs2は、それぞれ対向する上記後方辺2rおよび第1側方辺2s1、第2側方辺2s2よりも短く各辺の中央寄りとなるよう配置されている。
そして、上記第1側方辺ガイドGs1と前方辺ガイドGfとの間の第1側方辺ガイドGs1の延長線上に、上記培養容器2の第1口部2aAを形成した角部に隣接させて第1角部ガイドGa1を設け、上記第2側方辺ガイドGs2と前方辺ガイドGfとの間の第2側方辺ガイドGs2の延長線上には、上記培養容器2の第2口部2aBを形成した角部に隣接させて第2角部ガイドGa2を設けている。
このような構成により、培養容器2は上記支持テーブル11上で位置決めされていない状態においては、前方辺ガイドGfと後方辺ガイドGrとの間で図示左右に移動可能となっており、また第1側方辺ガイドGs1と第2側方辺ガイドGs2との間でも図示上下に移動可能となっている。
そして、上記培養容器2の前方辺2fが前方辺ガイドGfに当接し、かつ第1側方辺2s1が第1角部ガイドGa1に当接した状態を、培養容器2の第1口部2aAが第1作動位置に位置決めされた状態とする(図5(a))。
これと同様、培養容器2の前方辺2fが前方辺ガイドGfに当接し、かつ第2側方辺2s2が第2角部ガイドGa2に当接した状態を、培養容器2の第2口部2aBが第2作動位置に位置決めされた状態とする(図5(b))。
これら前方辺ガイドGfおよび第1角部ガイドGa1、第2角部ガイドGa2は、次に説明する位置決め手段6の位置決め部を構成している。
【0013】
上記位置決め手段6は、さらに図3図4において図示左方に設けられ、培養容器2の後方辺2rと第2側方辺2s2との角部に対向させて設けられた第1位置決め部材13Aと、後方辺2rと第1側方辺2s1との角部に対向させて設けられた第2位置決め部材13Bとを備え、これら第1、第2位置決め部材13A、13Bはそれぞれ、上記支持テーブル11の下面に設けられたエアシリンダ等の駆動手段14A、14Bによって図3図4の図示左右方向に移動可能に設けられ、上記培養容器2の角部と当接するようになっている。
上記第1、第2位置決め部材13A、13Bは平面視で略長方形の部材となっており、上記第1位置決め部材13Aは上記第2側方辺ガイドGs2の延長上に、第2位置決め部材13Bは上記第1側方辺ガイドGs1の延長上にそれぞれ設けられ、上記駆動手段14A,14Bによって上記第2側方辺ガイドGs2および第1側方辺ガイドGs1の長手方向に沿って移動するようになっている。
また、第1、第2位置決め部材13A、13Bにおける培養容器2の角部との当接部分には、各当接する培養容器2の角部における対角線方向に向けて押圧面13a、13bが形成されている。
当該押圧面13a、13bは、それぞれ培養容器2の角部に当接して、培養容器2を各対角線方向に位置する前方辺ガイドGfと第1角部ガイドGa1とからなる第1位置決め部および、前方辺ガイドGfと第2角部ガイドGa2とからなる第2位置決め部に押圧するようになっている。
【0014】
上記構成を有する支持手段3および位置決め手段6を用いた、上記培養容器2における各口部2aA、2aBの位置決め動作について説明する。
最初に、作業者またはロボットが、図3に示すように培養容器2を支持テーブル11に載置する。このとき、培養容器2は第1、第2口部2aA、2aBの設けられた上記前方辺2fを上記前方辺ガイドGfに向けて載置する。
その結果、培養容器2は前方辺ガイドGf、後方辺ガイドGr、第1側方辺ガイドGs1、第2側方辺ガイドGs2によって囲繞され、このとき培養容器2の前方辺2fや第1側方辺2s1および第2側方辺2s2が、位置決め手段6の位置決め部を構成する前方辺ガイドGfや第1角部ガイドGa1および第2角部ガイドGa2に接触している必要はない。
また培養容器2を支持テーブル11に載置した際、上記位置決め手段6の第1、第2位置決め部材13A、13Bは、それぞれ上記移動手段14によって図示左方の後退位置に待機した状態となっている。
【0015】
この状態から、図5(a)に示すように位置決め手段6の上記第1位置決め部材13Aを図示右方に前進させると、当該第1位置決め部材13Aに形成された押圧面13aが培養容器2の第2側方辺2s2と後方辺2rからなる角部に接触する。
さらに第1位置決め部材13Aを前進させると、培養容器2は第1口部2aAを設けた対角線方向に押圧され、前方辺2fが前方辺ガイドGfに当接するとともに、第1側方辺2s1が第1角部ガイドGa1に当接するため、これにより培養容器2は前方辺ガイドGfと第1角部ガイドGa1からなる第1位置決め部により位置が規定されて、第1口部2aAが第1作動位置に位置決めされることとなる。
一方、図5(a)の状態から、図5(b)に示すように上記第2位置決め部材13Bを図示右方に前進させると、当該第2位置決め部材13Bに形成された押圧面13aが培養容器2の第1側方辺2s1と後方辺2rからなる角部に接触する。
さらに第2位置決め部材13Bを前進させると、培養容器2は第2口部2aBを設けた対角線方向に押圧され、前方辺2fが前方辺ガイドGfに当接するとともに、第2側方辺2s2が第2角部ガイドGa2に当接して、培養容器2は前方辺ガイドGfと第2角部ガイドGa2からなる第2位置決め部により位置が規定されて、第2口部2aBが第2作動位置に位置決めされることとなる。
【0016】
上記第1キャップ開閉手段4Aは、図2において上記支持手段3によって支持された培養容器2の第1口部2aAの上方に設けられており、上記第2キャップ開閉手段4Bは上記第2口部2aBの上方に設けられている。そして第1キャップ開閉手段4Aは上記第1移動手段5Aによって上下に昇降可能に設けられている。
上記キャップ回転手段としての第1キャップ開閉手段4Aおよび第2キャップ開閉手段4Bは、上記キャップCを保持するチャック21A、21Bと、当該チャック21A、21Bを回転させるサーボモータ22A、22Bとから構成されている。
上記第1キャップ開閉手段4Aのサーボモータ22Aの回転軸23Aの位置(回転中心)は、上記位置決め手段6によって第1作動位置に位置決めされた培養容器2の第1口部2aAの中心軸と同軸上に設けられており、これと同様、上記第2キャップ開閉手段4Bの回転軸23Bの位置(回転中心)は、第2作動位置に位置決めされた培養容器2の第2口部2aBの中心軸と同軸上に設けられている。
上記第1キャップ開閉手段4Aおよび第2キャップ開閉手段4Bを構成するチャック21A、21Bは、上記回転軸23A、23Bの先端に設けられた筒状のカバーの内部に、上記回転軸23A、23Bの下方に位置されるキャップCに対して進退可能な把持部材と、当該把持部材をキャップCに付勢する付勢手段とを備えたものとなっている。
このような構成を有するチャック21A、21Bの構成は、例えば特開平10―129606号公報に記載されているように従来公知であるため、詳細な説明については省略するが、各チャック21A、21Bは上記把持部材が後退した開放状態では、上記第1口部2aAおよび第2口部2aBが位置決めされていなくても、上記第1口部2aAおよび第2口部2aBに螺着された各キャップCに覆い被せることは可能となっている。
【0017】
上記第1移動手段5Aによって下降位置に位置された上記第1キャップ開閉手段4Aのチャック21Aは、上記第2キャップ開閉手段4Bのチャック21Bと同じ高さ位置に位置しており、昇降手段12により培養容器2を上昇位置に位置させると、第1口部2aAおよび第2口部2aBに螺着された各キャップCに、それぞれ開放状態のチャック21A、21Bが覆い被せられた状態となる。
また上記第1移動手段5Aは、上記第1キャップ開閉手段4Aを昇降させることにより、上記チャック21Aを上昇位置に位置する培養容器2の第1口部2aAに対して接離させることが可能となっている。一方、本実施形態において、第2キャップ開閉手段4Bは昇降可能として培養容器2の第2口部2aBに対して接離可能には設けられていない。
このように第1移動手段5Aは、上記第1キャップ開閉手段4Aを上昇位置に位置させると、上記チャック21Aを培養容器2の第1口部2aAから上方に退避させるようになっており、これに対し第1キャップ開閉手段4Aを下降位置に位置させると、上記チャック21Aが第2キャップ開閉手段4Bのチャック21Bと同じ高さに位置するようになっている。
【0018】
以下、図6図7を用いて、上記構成を有するキャップ脱着装置1の動作について説明する。
最初に、キャップ脱着装置1の支持手段3は、上記昇降手段12によって支持テーブル11を下降位置に位置させており、また上記第1キャップ開閉手段4Aは第1移動手段5Aによって下降位置に位置している。
続いて、作業者またはロボットが図3に示すように培養容器2を支持テーブル11に載置すると、上記位置決め手段6の第1位置決め部材13Aが移動し、図5(a)に示すように培養容器2の第1口部2aAを第1作動位置に位置決めする。
その状態から、図6に示すように、上記支持手段3の昇降手段12が支持テーブル11を上昇させる。すると、培養容器2の第1口部2aAに螺着されたキャップCが上記第1キャップ開閉手段4Aのチャック21Aの高さに到達し、これと同様第2口部2aBに螺着されたキャップCが上記第2キャップ開閉手段4Bのチャック21Bの高さに到達する。
ここで、培養容器2の第1口部2aAは第1作動位置に位置していることから、第1キャップ開閉手段4Aの回転軸23Aと上記第1口部2aAの中心軸とは一致しているものの、第2キャップ開閉手段4Bの回転軸23Bに対して上記第2口部2aBの中心軸は偏心している。
この状態において、チャック21Aの把持部材を付勢させてキャップCを把持して、サーボモータ22Aを作動させてキャップCを螺着する方向とは逆方向に回転させる。
この際、培養容器2は第1位置決め部材13Aによって前方辺ガイドGfと第1角部ガイドGa1に押圧された状態で保持されており、チャック21Aの回転に伴って培養容器2が供回りすることを防止している。
【0019】
図7は、上記第1キャップ開閉手段4Aが第1口部2aAからキャップCを離脱させ、上記位置決め手段6が培養容器2に対する第1作動位置への位置決めを解除して第2作動位置に位置決めした状態を示している。
図6の状態で、上記第1キャップ開閉手段4Aを作動させて第1口部2aAよりキャップCを離脱させると、上記第1移動手段5Aが第1キャップ開閉手段4Aを上昇させて、上記チャック21Aが把持したキャップCを第1口部2aAから上方に退避させる。
続いて、上記位置決め手段6は、前進していた第1位置決め部材13Aを後退させるとともに、第2位置決め部材13Bを前進させて、図5(b)に示すように培養容器2の第2口部2aBを第2作動位置に位置決めする。
これにより、第2キャップ開閉手段4Bの回転軸23Bと上記第2口部2aBの中心軸とが、一致した状態となる。
【0020】
この状態において、チャック21Bの把持部材を付勢させてキャップCを把持して、サーボモータ22Bを作動させてキャップCを螺着する方向とは逆方向に回転させる。この際、培養容器2は第2位置決め部材13Bによって前方辺ガイドGfと第2角部ガイドGa2に押圧された状態で保持されており、チャック21Bの回転に伴って培養容器2が供回りすることを防止している。
図7の状態で、第2キャップ開閉手段4Bが第2口部2aBよりキャップCを離脱させると、培養容器2の第1、第2口部2aA、2aBからキャップCが離脱した状態となる。
すると上記支持手段3の昇降手段12が作動して、上記支持テーブル11を下降させると、チャック21BがキャップCを把持しているため、第2口部2aBからキャップCが離隔されて、培養容器2の両方の第1、第2口部2aA,2aBが開放された状態となる。
また、培養容器2は第2口部2aBを第2位置決め位置に位置決めした状態で保持されており、その状態で上記図示しない培地交換装置によって培養容器2に対して培地交換を行う。
このとき、例えば上記第2口部2aBに培地交換用のノズルを挿入して、使用済みの培地を吸引するとともに、新鮮な培地を供給するが、その際、第1口部2aAを介して培養容器2内の空気が流動するため、スムーズな培地の給排を行うことが可能となっている。
このようにして培養容器2の培地交換が終了すると、制御手段はこれまでとは逆の動作を行うことによって、上記培養容器2の第1、第2口部2aA、2aBに再びキャップCを装着する。
具体的には、上記支持手段3が昇降手段12によって支持テーブル11を上昇させると、培養容器2の第2口部2aBは第2位置決め位置に位置決めされているため、その状態で第2キャップ開閉手段4Bが第2口部2aBにチャック21Bに把持しているキャップCを螺着してキャップCの把持状態を解除する。
続いて、上記位置決め手段6がそれまで第2口部2aBを第2作動位置に位置決めしていた培養容器2の保持を解除して、第1口部2aAを第1作動位置に位置決めした状態で培養容器2を保持する。
その状態で、第1移動手段5Aが第1キャップ開閉手段4Aを下降させて、チャック21Aに把持しているキャップCを第1口部2aAに接近させ、第1キャップ開閉手段4AによりキャップCを螺着してキャップCの把持状態を解除する。
その後、上記昇降手段12が支持テーブル11を下降させると、培地交換の終了した培養容器2を支持手段3より取り出すことが可能となる。
【0021】
このように、本実施形態によるキャップ脱着装置1を用いることで、2つの第1、第2口部2aA、2aBを備えた容器のキャップCを自動的かつ効率的に脱着することが可能となっている。
特に人が取り扱う使い捨ての培養容器2のように成形精度の低い容器の場合は、第1口部2aAと第2口部2aBとの間隔や位置関係が常に一定とはならないことから、第1、第2キャップ開閉手段4A、4Bによって同時に第1、第2口部2aA、2aBに対してキャップCの脱着を行おうとしても、第1、第2キャップ開閉手段4A、4Bの回転軸23A、23Bと第1、第2口部2aA、2aBの中心軸とがずれることとなる。
このようにキャップ開閉手段4A、4Bの回転軸23A、23Bと各第1、第2口部2aA、2aBの中心軸とがずれていると、キャップCが傾いてしまい螺着したり螺着を解除することができない。
これに対し、本実施形態では、位置決め手段6によって培養容器2の第1口部2aAを第1作動位置に位置決めすることで、第1キャップ開閉手段4Aの回転軸23Aと第1口部2aAの中心軸とを一致させてキャップCを脱着することができ、これに続いて、位置決め手段6によって培養容器2の第2口部2aBを第2作動位置に位置決めすることで、第2キャップ開閉手段4Bの回転軸23Bと第2口部2aBの中心軸とを一致させてキャップCを脱着することができることから、2つの第1、第2口部2aA、2aBを備えた培養容器2に対してキャップCの脱着を自動的かつ効率的に行うことができる。
【0022】
図8は第2実施形態にかかるキャップ脱着装置1の正面図を示している。第1実施形態では上記第1キャップ開閉手段4Aが第1移動手段5Aにより昇降可能に設けられており上記第2キャップ開閉手段4Bは昇降可能に設けられてはいないが、本実施形態では当該第2キャップ開閉手段4Bを第2移動手段5Bによって昇降可能に設けたものとなっている。
このような構成により、本実施形態ではこれら第1移動手段5Aおよび第2移動手段によって、上記第1キャップ開閉手段4Aと上記第1口部2aAとを接離させるとともに、上記第2キャップ開閉手段4Bと上記第2口部2aBとを接離させる本発明における移動手段を構成していることから、同様の移動手段として第1実施形態のように支持手段3に昇降手段12を設ける必要がない。
【0023】
上記構成を有するキャップ脱着装置1の動作について説明する。図8は上記第1移動手段5Aによって第1キャップ開閉手段4Aを下降位置に位置させて上記第1口部2aAに接近させた状態を示しており、チャック21Aによって第1口部2aAに螺着されているキャップCを把持した状態を示している。
この状態では、培養容器2は位置決め手段6の駆動手段14Aの作動により第1位置決め部材13Aによって押圧されて、図5(a)に示すように第1口部2aAが第1作動位置に位置決めされて培養容器2が保持されている。
この状態から第1キャップ開閉手段4Aのサーボモータ22Aを作動させて、チャック21AをキャップCを螺着させる方向とは逆方向に回転させてキャップCの螺着を解除する。
一方で第2キャップ開閉手段4Bは第2移動手段5Bによって上昇位置に位置しており、上記チャック21Bが第2口部2aBから退避した状態となっている。
第1キャップ開閉手段4Aが第1口部2aAのキャップCを離脱させると、第1移動手段5Aが第1キャップ開閉手段4Aを上昇させて、上記チャック21Aを第1口部2aAより退避させてキャップCを離隔させる。
続いて、上記位置決め手段6が図5(a)に示す第1位置決め位置に第1口部2aAを位置決めした状態から、図5(b)に示す第2口部2aBを第2作動位置に位置決めした状態として培養容器2を保持する。
その状態で、第2移動手段5Bが第2キャップ開閉手段4Bを下降させて、チャック21Bを第2口部2aBに接近させて螺着されているキャップCを把持するとともに、第2キャップ開閉手段4Bのサーボモータ22Bを作動させて、チャック21BをキャップCを螺着させる方向とは逆方向に回転させてキャップCの螺着を解除させる。
このようにして第2口部2aBからキャップCを離脱させたら、第2移動手段5Bは第2キャップ開閉手段4Bを上昇位置に退避させてキャップCを離隔させる。これにより2つの口部2aA,2aBがそれぞれ開放されるため、その状態で培養容器2の培地交換を行えばよい。
【符号の説明】
【0024】
1 キャップ脱着装置 2 培養容器
2aA、2aB 第1、第2口部 3 支持手段
4A、4B 第1、第2キャップ開閉手段 5A 第1移動手段
6 位置決め手段 C キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8