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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021630
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/121 20210101AFI20240208BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20240208BHJP
【FI】
H04W12/121
H04W72/04 132
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124609
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】内田 貴
(72)【発明者】
【氏名】武田 康弘
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067AA30
5K067AA35
5K067CC02
5K067EE12
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】 監視対象の無線装置に対して広帯域の電波に対応した妨害電波を送信できる通信システムを提供する。
【解決手段】 複数の監視対象の電波の帯域を含む広帯域の電波を受信可能で、受信した監視対象の電波から受信状況のデータを出力する広帯域受信機40と、受信した監視対象の電波を発生させる無線装置10に対して妨害用の電波を送信する複数の送信装置60と、広帯域受信機40から受信状況のデータを入力し、無線装置10が発生する電波の帯域に合わせて無線装置10に対する妨害用の電波を広帯域とするよう複数の送信装置60から異なる帯域で送信させ、電波を空間合成させる制御を行う監視サーバ45とを有する通信システムである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の電波を妨害する通信システムであって、
複数の監視対象の電波の帯域を含む広帯域の電波を受信可能で、受信した監視対象の電波から受信状況のデータを出力する受信機と、
前記受信した監視対象の電波を発生させる無線装置に対して妨害用の電波を送信する複数の送信装置と、
前記受信機から受信状況のデータを入力し、前記無線装置が発生する電波の帯域に合わせて当該無線装置に対する妨害用の電波を広帯域とするよう前記複数の送信装置から異なる帯域で送信させ、前記複数の送信装置からの電波を空間合成させる制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記制御装置に接続する受信機を複数用い、複数のエリアに設置したことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御装置は、無線装置が発生する電波の帯域の変化に対応して前記複数の送信装置から送信する電波の帯域を変化させる制御を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御装置は、複数の無線装置に対して妨害用の電波を送信する複数の送信装置をグループに分けることを特徴とする請求項1又は2記載の通信システム。
【請求項5】
監視対象の電波を妨害する通信システムであって、
複数の監視対象の電波の帯域を含む広帯域の電波を受信可能で、受信した監視対象の電波から受信状況のデータを出力する受信機と、
前記受信した監視対象の電波を発生させる各々の無線装置に対して妨害用の電波を各々対応して送信する複数の送信装置と、
前記受信機から受信状況のデータを入力し、前記各々の無線装置が発生する電波の帯域に合わせて当該各々の無線装置に対する妨害用の電波を前記各々対応する複数の送信装置から送信させる制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記制御装置に接続する受信機を複数用い、複数のエリアに設置したことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
前記制御装置は、無線装置が発生する電波の帯域の変化に対応して前記複数の送信装置から送信する電波の帯域を変化させる制御を行うことを特徴とする請求項5又は6記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象の無線装置の電波を妨害する通信システムに係り、特に、広帯域に電波の妨害を実現する通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来の通信システムでは、無線装置が、任意の出力電力となるように増幅器で合成し、必要な信号電力を送信するものがあった。
また、通信妨害を行う機能を備える送信装置が実用されている。
通信妨害機能を備える送信装置は、例えば、監視エリア内で行われる無線通信の発信源の無線装置からの電波を監視し、妨害用の電波を発生させるものである。
【0003】
[従来の第1の通信システム:図6
次に、従来の第1の通信システムについて図6を参照しながら説明する。図6は、従来の第1の通信システムの構成概略図である。
従来の第1の通信システムは、図6に示すように、複数の監視対象用の無線装置10と、監視用受信機20と、送信装置30と、監視サーバ24とを備えている。
【0004】
従来の第1の通信システムにおける監視用受信機20は、既知の監視対象の無線装置10a~10d、未知の無線装置10e(単に「無線装置10」と称することがある)からの電波を受信し、受信した電波の情報を監視サーバ24に出力する。
監視サーバ24は、監視用受信機20から入力された受信電波の情報に基づいて当該電波の周波数帯域、到来方向、無線装置10の位置等を推定し、送信装置30に無線装置10に向けて妨害を施すための距離と範囲を計算して妨害電波を送信させる制御を行う。
送信装置30は、監視サーバ24からの制御情報に基づき無線装置10が存在するエリアに送信アンテナ31から妨害電波を送信する。
【0005】
尚、従来の第1の通信システムでは、複数の無線装置の通信妨害を行うには、妨害対象の無線装置10と同数の送信装置30が必要になるため、妨害できる対象の無線装置10の数に制限され、非効率であり、簡易で低コストの構成を実現できないものであった。
【0006】
[従来の第2の通信システム:図7
次に、従来の第2の通信システムについて図7を参照しながら説明する。図7は、従来の第2の通信システムの構成概略図である。
従来の第2の通信システムは、図7に示すように、従来の第1の通信システムとほぼ同様であり、相違する点は、送信装置30が複数の送信アンテナ31a、31bを備え、監視サーバ24が送信アンテナ31a、31bに異なる妨害電波を送信するよう制御している。
図7では、送信装置30は、無線装置10aと無線装置10cに異なる妨害電波を送信している。
【0007】
また、従来の第2の通信システムでは、従来の第1の通信システムの問題点を解決して、複数の送信アンテナ31a,31bを用いて複数の妨害対象の無線装置10a,10cに妨害電波を送信できるものである。
しかしながら、従来の第2の通信システムでは、一つの送信装置30で複数の送信アンテナ31a,31bから交互に妨害電波を出力しているので、複数の無線装置10への妨害電波の送信を同時に行うことができず、瞬時に各無線装置10を妨害するのは不向きであった。
【0008】
[従来の送信装置:図8
次に、従来の送信装置について図8を参照しながら説明する。図8は、従来の送信装置の構成概略図である。
従来の送信装置30は、図8に示すように、外部インタフェース部(外部IF)30aと、妨害送信増幅器30b-1~30b-Nと、を備え、それら妨害送信増幅器30b-1~30b-Nからの電力を合成して単一の送信アンテナ31から妨害電波を送信している。
従来の送信装置30は、上記の構成を1台の装置で実現しているので、大型化・重量化するものである。
【0009】
妨害送信増幅器は、可変減衰器(可変ATT)301と、可変位相器302と、局部発振器303と、ミキサー304と、増幅器305と、バンドパスフィルタ(BPF)306とを有し、共有の送信アンテナ31に目的とする妨害電波の電力を出力している。
【0010】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2002-232393号公報「通信方式」(特許文献1)がある。
特許文献1には、データ通信を行う周波数帯の妨害波の状況を監視する動作をデータ通信前に行い、妨害波の存在の有無を記憶し、その結果に応じた周波数を利用し、妨害波の回避、回避解除の動作を行い、情報通信速度の低下を防止する通信方式が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002-232393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の第1及び第2の通信システムでは、監視用受信装置で収集したデータに基づいて特定の周波数の妨害電波を送信しているので、監視対象の無線装置が広帯域の電波を送信している場合には、その広帯域の電波に対応できていないという問題点があった。
【0013】
尚、特許文献1には、監視対象の無線装置に対して広帯域の電波に対応して妨害電波を送信する構成についての記載がない。
【0014】
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであり、監視対象の無線装置に対して広帯域の電波に対応した妨害電波を送信できる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、監視対象の電波を妨害する通信システムであって、複数の監視対象の電波の帯域を含む広帯域の電波を受信可能で、受信した監視対象の電波から受信状況のデータを出力する受信機と、受信した監視対象の電波を発生させる無線装置に対して妨害用の電波を送信する複数の送信装置と、受信機から受信状況のデータを入力し、無線装置が発生する電波の帯域に合わせて当該無線装置に対する妨害用の電波を広帯域とするよう複数の送信装置から異なる帯域で送信させ、複数の送信装置からの電波を空間合成させる制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記通信システムにおいて、制御装置に接続する受信機を複数用い、複数のエリアに設置したことを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記通信システムにおいて、制御装置が、無線装置が発生する電波の帯域の変化に対応して複数の送信装置から送信する電波の帯域を変化させる制御を行うことを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記通信システムにおいて、制御装置が、複数の無線装置に対して妨害用の電波を送信する複数の送信装置をグループに分けることを特徴とする。
【0019】
本発明は、監視対象の電波を妨害する通信システムであって、複数の監視対象の電波の帯域を含む広帯域の電波を受信可能で、受信した監視対象の電波から受信状況のデータを出力する受信機と、受信した監視対象の電波を発生させる各々の無線装置に対して妨害用の電波を各々対応して送信する複数の送信装置と、受信機から受信状況のデータを入力し、各々の無線装置が発生する電波の帯域に合わせて当該各々の無線装置に対する妨害用の電波を各々対応する複数の送信装置から送信させる制御を行う制御装置と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記通信システムにおいて、制御装置に接続する受信機を複数用い、複数のエリアに設置したことを特徴とする。
【0021】
本発明は、上記通信システムにおいて、制御装置が、無線装置が発生する電波の帯域の変化に対応して複数の送信装置から送信する電波の帯域を変化させる制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、受信機が、複数の監視対象の電波の帯域を含む広帯域の電波を受信可能で、受信した監視対象の電波から受信状況のデータを出力し、複数の送信装置が、受信した監視対象の電波を発生させる無線装置に対して妨害用の電波を送信し、制御装置が、受信機から受信状況のデータを入力し、無線装置が発生する電波の帯域に合わせて当該無線装置に対する妨害用の電波を広帯域とするよう複数の送信装置から異なる帯域で送信させ、複数の送信装置からの電波を空間合成させる制御を行う通信システムとしているので、監視対象の無線装置に向けて広帯域の電波に対応した妨害電波を送信できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の通信システムの構成概略図である。
図2】第2の通信システムの構成概略図である。
図3】第3の通信システムの構成概略図である。
図4】第4の通信システムの構成概略図である。
図5】本送信装置の構成概略図である。
図6】従来の第1の通信システムの構成概略図である。
図7】従来の第2の通信システムの構成概略図である。
図8】従来の送信装置の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る通信システム(本通信システム)は、複数の監視対象の電波の帯域を含む広帯域の電波を受信可能で、受信した監視対象の電波から受信状況のデータを出力する受信機と、受信した監視対象の電波を発生させる無線装置に対して妨害用の電波を送信する複数の送信装置と、受信機から受信状況のデータを入力し、無線装置が発生する電波の帯域に合わせて当該無線装置に対する妨害用の電波を広帯域とするよう複数の送信装置から異なる帯域で送信させ、複数の送信装置からの電波を空間合成させる制御を行う監視サーバと、を有するものであり、監視対象の無線装置に向けて広帯域の電波に対応した妨害電波を送信できるものである。
尚、本通信システムは、以下に示す4つの実施形態によって実現されるものである。
【0025】
[第1の通信システム:図1
本通信システムにおける第1の通信システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、第1の通信システムの構成概略図である。
第1の通信システムは、図1に示すように、広帯域監視用受信機(広帯域受信機)40と、監視サーバ45と、複数の送信装置60a~60eと、複数の送信アンテナ61a~61eとを有している。
送信アンテナ61a~61eは、送信装置60a~60eに各々接続している。
尚、送信装置60a~60e(単に「送信装置60」と称することがある)と送信アンテナ61a~61e(単に「送信アンテナ61」と称することがある)は、図1では5個示しているが、その数は任意である。
【0026】
第1の通信システムでは、従来の通信システムで一つの送信装置30から妨害電波を生成していたのを複数に分散させて出力レベルを小さくしたものである。但し、小さくした出力レベルは、複数の送信装置60からの妨害電波の空間合成によって強められるものである。妨害電波の送信スペクトラム波形は、出力レベルが小さい方が形成しやすい。
【0027】
[広帯域監視用受信機40]
広帯域監視用受信機40は、広帯域の電波を受信可能であり、既知の無線装置10a~10dからの電波を受信すると共に未知の無線装置10eからの電波も受信し、受信した電波の情報を監視サーバ45に出力する。
【0028】
[監視サーバ45]
監視サーバ45は、広帯域監視用受信機40から入力された受信電波の情報から当該電波の周波数帯域、到来方向、無線装置10の位置情報等を推測し、送信装置60に広帯域となる妨害電波を送信するよう制御を行う制御装置である。広帯域の妨害電波の形成方法は後述する。
【0029】
また、監視サーバ45は、監視対象の無線装置10が発信周波数の帯域を変更したことを広帯域受信機40からの受信電波の情報から判断した場合には、その変更された周波数帯域に追従するよう妨害電波の周波数帯域をシフトして妨害電波を送信するよう送信装置60を制御する。
【0030】
[送信装置60]
複数の送信装置60は、監視サーバ45からの妨害電波を生成するための制御情報を入力し、それぞれの送信装置60が異なる帯域の妨害電波を変調して生成する。送信される妨害電波の生成には、目標地点において振幅が同一で位相差がゼロとなるように調整される。
【0031】
尚、同じ帯域の妨害電波を生成するようにしてもよいが、広帯域とはならないものの、目標地点での妨害電波が重なり合って電力は送信装置60の数の倍数となる。
また、異なる帯域の妨害電波は、部分的に重なっていても構わない。
更に、広帯域の幅は、監視サーバ45からの制御情報によって定まるものであり、広帯域の幅も固定ではなく、監視対象の電波の状況に応じて変動させることができる。
【0032】
[送信アンテナ61]
複数の送信アンテナ61は、接続する送信装置60から出力される送信電力を監視対象エリアの空間に出力する。
図1では、一つの無線装置10aに向けて全ての送信アンテナ61が同時に妨害電波を送出している。各送信アンテナ61から送信される妨害電波が異なる帯域のものであれば、空間合成された総体的な妨害電波は広帯域となる。
【0033】
第1の通信システムの特徴は、複数の送信装置60を備え、対応する複数の送信アンテナ61から特定の無線装置10a(特定のエリア)に一斉に広帯域の妨害電波を送信するものである。
ここで、広帯域の妨害電波の送信を実現するには、特定の送信アンテナ61aから周波数帯域F1の妨害電波を送信すると共に、他の送信アンテナ61bから周波数帯域F1-f(周波数帯域F1の周波数f分低域)、また別の送信アンテナ61cから周波数帯域F1+f(周波数帯域F1の周波数f分高域)の妨害電波等を同時に送信して空間合成することで、広帯域(周波数帯域F1-f,F1,F1+f)に妨害電波を送信できるものである。
【0034】
[第2の通信システム:図2
本通信システムにおける第2の通信システムについて図2を参照しながら説明する。図2は、第2の通信システムの構成概略図である。
第2の通信システムは、図2に示すように、第1の通信システムと基本的には同様であるが、第1の通信システムが単一の無線装置10aを対象にして全ての送信アンテナ61から妨害電波を送信していたが、第2の通信システムでは、複数の送信装置60をグループ化し、グループ内の複数の送信アンテナ61が特定の無線装置10に妨害電波を送信している。
【0035】
具体的には、図2において、送信装置60a,60b,60cが接続する送信アンテナ61a,61b,61cが無線装置10aに対して妨害電波を送信しており、送信装置60d,60eが接続する送信アンテナ61d,61eが無線装置10cに対して妨害電波を送信している。
第2の通信システムでは、空間合成の効果は小さくなるが、複数の無線装置10を対象に妨害電波を送信できるので、送信効率は良くなる。
【0036】
[第3の通信システム:図3
本通信システムにおける第3の通信システムについて図3を参照しながら説明する。図3は、第3の通信システムの構成概略図である。
第3の通信システムは、図3に示すように、構成は第1及び第2の通信システムと同様であるものの、複数の送信装置60を個々の無線装置10に割り当て、グループを最小単位にして妨害電波を送信するものである。
【0037】
具体的には、図3において、送信装置60aが接続する送信アンテナ61aが無線装置10aに妨害電波を送信し、送信装置60bが接続する送信アンテナ61bが無線装置10bに妨害電波を送信し、送信装置60cが接続する送信アンテナ61cが無線装置10cに妨害電波を送信し、送信装置60dが接続する送信アンテナ61dが無線装置10dに妨害電波を送信し、送信装置60eが接続する送信アンテナ61eが無線装置10eに妨害電波を送信している。
【0038】
但し、第3の通信システムでは、空間合成が為されないので、広帯域に対応していないものであるが、監視サーバ45の制御により、送信アンテナ61が連携しながら、個々の、無線装置10にきめ細かく妨害電波を送信できるものである。
【0039】
[第4の通信システム:図4
本通信システムにおける第4の通信システムについて図4を参照しながら説明する。図4は、第4の通信システムの構成概略図である。
第4の通信システムは、図4に示すように、第2の通信システムを基にして、複数の設置型受信装置70を監視対象エリア内にメッシュ状に配置し、その複数の設置型受信装置70で受信した無線装置10の電波の情報を有線又は無線で監視サーバ45に送信し、監視対象エリアでの無線装置10の電波状況を報告して、無線装置10に対する妨害電波の送信を監視サーバ45が制御している。
尚、第4の通信システムは、第2の通信システムの代わりに、第1,3の通信システムを基にしてもよい。
【0040】
また、第4の通信システムにおいて、メッシュ状に配置した複数の設置型受信装置70に送信装置60と送信アンテナ61を搭載して、設置した場所から妨害電波を送信するよう監視サーバ45が制御を行うようにしてもよい。
【0041】
[本通信システムの送信装置:図5
本通信システムの送信装置(本送信装置)について図5を参照しながら説明する。図5は、本送信装置の構成概略図である。
本送信装置は、図5に示すように、外部インタフェース部(外部IF)60aと、妨害送信増幅器60b-1~60b-N(妨害送信増幅器60bとする)と、を備え、それら妨害送信増幅器60bからに電力を合成して各々接続する送信アンテナ61a~61Nから妨害電波を送信している。ここで、複数の送信アンテナ61の指向性は、監視サーバ45により制御される。
本送信装置における外部IF60aを除いた、横方向に並んだ構成が各送信装置60、送信アンテナ61を構成しているので、送信装置60を分散させることができ、小型化・軽量化できるものである。
【0042】
本送信装置の妨害送信増幅器60bは、ベースバンド信号の振幅を制御する可変減衰器(可変ATT)601と、位相を制御する可変位相器602と、変調を行うための局部発振器603と、ベースバンド信号と局部発振器603の発振信号とを合成するミキサー604と、増幅器605と、バンドパスフィルタ(BPF)606とを有し、個別の送信アンテナ61に目的とする妨害電波の電力を出力している。
【0043】
また、本通信システムの応用例として、ATMの近くにいる携帯電話の電波に対して妨害電波を発生させて、振り込め詐欺等へ対応できるものである。
【0044】
[実施の形態の効果]
本通信システムによれば、広帯域受信機40が、複数の監視対象の電波の帯域を含む広帯域の電波を受信可能で、受信した監視対象の電波から受信状況のデータを出力し、複数の送信装置60が、受信した監視対象の電波を発生させる無線装置10に対して妨害用の電波を送信し、監視サーバ45が、広帯域受信機40から受信状況のデータを入力し、無線装置10が発生する電波の帯域に合わせて無線装置10に対する妨害用の電波を広帯域とするよう複数の送信装置60、送信アンテナ61から異なる帯域で送信させ、複数の送信アンテナ61からの電波を空間合成させる制御を行うようにしているので、監視対象の無線装置10に向けて広帯域の電波に対応した妨害電波を送信できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、監視対象の無線装置に対して広帯域の電波に対応した妨害電波を送信できる通信システムに好適である。
【符号の説明】
【0046】
10…無線装置、 20…監視用受信機、 24…監視サーバ、 30…送信装置、 31…送信アンテナ、 40…広帯域受信機、 45…監視サーバ、 60…送信装置、 61…送信アンテナ、 70…設置型受信装置、 30a,60a…外部インタフェース部、 30b,60b…妨害送信増幅装置、 301,601…可変ATT、 302,602…可変位相器、 303,603…局部発振器、 304,604…ミキサー、 305,605…増幅器、 306,606…BPF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8