(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021636
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】発電施設における補機回転機械の状態監視システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240208BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G06Q50/06
G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124621
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】391037814
【氏名又は名称】株式会社東京エネシス
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金川 鐘泰
(72)【発明者】
【氏名】田澤 祐輔
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA02
3C223BA03
3C223BB13
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB03
3C223FF04
3C223FF13
3C223FF14
3C223FF15
3C223FF24
3C223FF42
3C223GG01
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】発電施設における補機回転機械の状態を遠隔で監視可能なシステムを簡易に低コストで構築する。
【解決手段】発電施設1における補機回転機械2aの振動などの状態を状態センサ10によって検知する。検知した状態情報を通信子機21によってWiFi等の短距離電波信号にして中継機22を介して又は直接、通信親機23へ伝送する。通信親機23と接続された現地処理端末24においては、通信親機23から状態情報を受け取り画面表示する。遠隔処理端末30によって、公衆通信ネットワーク4を介して、現地処理端末24の画面表示を共有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電施設における補機回転機械の状態を監視するシステムであって、
前記補機回転機械の状態情報を検知する状態センサと、
前記状態センサに接続され、前記検知した状態情報を短距離電波信号にして伝送する通信子機と、
前記伝送を中継する中継機と、
前記通信子機及び前記中継機と共に構内無線通信網を構成する通信親機と、
前記通信親機と接続され、前記通信親機を介して受け取った前記状態情報を画面表示する現地処理端末と、
公衆通信ネットワークを介して前記現地処理端末の画面表示を共有可能な遠隔処理端末と、
を備えたことを特徴とする発電施設における補機回転機械の状態監視システム。
【請求項2】
前記現地処理端末が、公衆通信ネットワークを介して接続されたクラウドデータロガーに前記状態情報を転送する転送部を含むことを特徴とする請求項1に記載の補機回転機械の状態監視システム。
【請求項3】
発電施設における補機回転機械の状態を監視する方法であって、
前記補機回転機械の状態情報を状態センサによって検知する工程と、
前記検知した状態情報を通信子機によって短距離電波信号にして中継機を介して又は直接、通信親機へ伝送する工程と、
前記通信親機と接続された現地処理端末によって、前記通信親機を介して受け取った前記状態情報を画面表示する工程と、
遠隔処理端末によって、公衆通信ネットワークを介して、前記現地処理端末の画面表示を共有する工程と、
を備えたことを特徴とする発電施設における補機回転機械の状態監視方法。
【請求項4】
前記状態情報を、前記現地処理端末から公衆通信ネットワークを介してクラウドデータロガーへ転送して該クラウドデータロガーに蓄積させることを特徴とする請求項3に記載の補機回転機械の状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電施設における主機の運転を補助する補機の回転機械の状態を監視するシステム及び方法に関し、特に既存の発電施設に後付けで構築するのに適したシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発電施設には主機と補機が設備されている。主機は、発電機のほか、発電機に機械駆動力を付与するタービン、ボイラ、エンジン等の原動機を含む。補機は、主機の運転に必要不可欠な補助設備であり、燃料系統、冷却系統、潤滑系統、出力制御系統等を含む。主機については、発電施設の建設時から常時監視するシステムが構築されることが通例である。一方、補機については、通常、定期的に監視する態勢になっている。
【0003】
特許文献1には、定置式発電設備の運転データを遠隔監視センターへ送信して異常診断する遠隔監視システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
補機においても、回転機械が故障したら発電を緊急停止しなければならなくなることもあるため、そのような緊急停止防止のために、故障につながる異常兆候の有無を常時監視すべきと考えられる。しかし、各補機における回転機械の振動等の測定データから異常兆候の有無を的確に診断するのは高度な専門性を要する。そのような専門技術者が遠隔地にいる場合には、発電施設の点検技術者が専門技術者にデータを送って判断を仰ぐことになる。そのための専用の測定及び通信システムを既存の発電設備に後付けで構築するには、通常、大掛かりな工事をしなければならず、経済的負担が大きい。
特許文献1の遠隔監視システムは、遠隔監視センターに運転データを蓄積して解析するサーバーを設備する必要があり、コストが嵩む。
本発明は、かかる事情に鑑み、補機回転機械の状態を遠隔監視可能なシステムを簡易に低コストで構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係るシステムは、発電施設における補機回転機械の状態を監視するシステムであって、
前記補機回転機械の状態情報を検知する状態センサと、
前記状態センサに接続され、前記検知した状態情報を短距離電波信号にして伝送する通信子機と、
前記伝送を中継する中継機と、
前記通信子機及び前記中継機と共に構内無線通信網を構成する通信親機と、
前記通信親機と接続され、前記通信親機を介して受け取った前記状態情報を画面表示する現地処理端末と、
公衆通信ネットワークを介して前記現地処理端末の画面表示を共有可能な遠隔処理端末と、
を備えたことを特徴とする。
遠隔地に居る補機の専門技術者は、遠隔処理端末によって現地処理端末の画面表示を共有して、該画面表示を閲覧したり操作したりすることで、補機の状態を診断することができる。補機回転機械の状態情報のデータを現地処理端末から遠隔処理端末へ送信する必要は無い。かつ遠隔処理端末には、補機回転機械の状態情報のデータを蓄積したり解析したりする機能を付与する必要が無い。したがって、補機回転機械の遠隔監視システムを簡易に低コストで構築できる。
【0007】
好ましくは、前記現地処理端末が、公衆通信ネットワークを介して接続されたクラウドデータロガーに前記状態情報を転送する転送部を含む。
そうすることで、現地処理端末には、補機回転機械の状態情報のデータを長期間、蓄積しておく必要が無い。
【0008】
本発明方法は、発電施設における補機回転機械の状態を監視する方法であって、
前記補機回転機械の状態情報を状態センサによって検知する工程と、
前記検知した状態情報を通信子機によって短距離電波信号にして中継機を介して又は直接、通信親機へ伝送する工程と、
前記通信親機と接続された現地処理端末によって、前記通信親機を介して受け取った前記状態情報を画面表示する工程と、
遠隔処理端末によって、公衆通信ネットワークを介して、前記現地処理端末の画面表示を共有する工程と、
を備えたことを特徴とする。
前記共有は、前記現地処理端末の画面表示の閲覧及び操作を含む。
前記状態情報を、前記現地処理端末から公衆通信ネットワークを介してクラウドデータロガーへ転送して該クラウドデータロガーに蓄積させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発電施設における補機回転機械の状態を遠隔で監視可能なシステムを簡易に低コストで構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る補機回転機械状態監視システムの概要を示す構成図である。
【
図2】
図2は、前記補機回転機械状態監視システムの概要を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、前記補機回転機械状態監視システムによる補機回転機械状態監視方法における状態情報取得のフローチャートである。
【
図4】
図4は、前記補機回転機械状態監視システムによる補機回転機械状態監視方法における画面共有による遠隔診断のフローチャートである。
【
図5】
図5は、前記補機回転機械状態監視システムによる補機回転機械状態監視方法におけるデータ蓄積のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、発電施設1における補機回転機械状態監視システム3を示したものである。発電施設1には複数種の補機2が設けられている。補機2は、原動機(ボイラ、タービン、エンジン等)や発電機等の主機(図示省略)を運転するのに必要不可欠な補助機械設備であり、燃料系統補機、冷却系統補機、潤滑系統補機、制御系統補機等が挙げられる。各補機2は、モータ、ポンプ、回転軸、軸受け等の補機回転機械2aを含む。これら補機2の回転機械2aの振動等の状態を監視システム3によって監視する。
【0012】
監視システム3は、発電施設1内の状態センサ10及び構内通信網20と、発電施設1外の遠隔処理端末30及びクラウドデータロガー40とを備えている。各補機2に1又は複数の状態センサ10が設けられている。状態センサ10は、例えば振動センサによって構成され、回転機械2aの振動周波数、振幅等の状態情報を検知する。状態センサ10には、取り付け台座11が付属されている。取り付け台座11が回転機械2aに粘着剤を介して取り付けられている。
【0013】
発電施設1には構内通信網20(ローカル通信ネットワーク)が構築されている。構内通信網20は、1又は複数の通信子機21と、1又は複数の中継機22と、通信親機23と、現地処理端末24とによって構成されている。補機2ごとに通信子機21が設けられている。通信子機21には、対応する補機2の1又は複数の状態センサ10が有線接続されている。
【0014】
通信子機21は、変換部21aと、発信部21bとを有している。変換部21aは、通信子機21は、状態センサ10からのアナログの検知信号(状態情報)をデジタルの短距離電波信号に変換する。発信部21bは、変換後の短距離電波信号s(状態情報)を発信(伝送)する。短距離電波信号sとしては、Wi-Fi電波が用いられているが、ブルートゥース(登録商標)電波が用いられていてもよい。
【0015】
好ましくは、複数の中継機22が、発電施設1内に互いに分散して配置されている。中継機22は、前記短距離電波信号sの伝送を中継する。ある通信子機21が他の通信子機21からの短距離電波信号sの伝送を中継してもよい。
【0016】
通信親機23は、通信子機21及び中継機22と共に構内無線通信網20aを構成している。該構内無線通信網20aの終端に通信親機23が配置されている。通信親機23は、受信部23aと、変換部23bを有している。受信部23aは、通信子機21又は中継機22から短距離電波信号sを受信する。変換部23bは、受信した短距離電波信号をイーサネット等の有線LAN伝送形式に信号変換する。
【0017】
通信親機23と現地処理端末24とが、LANケーブル25を介して有線接続されることで、構内有線通信網20bを構成している。構内有線通信網20bは、ゲートウェイ26を介して、インターネット等の公衆通信ネットワーク4に接続可能である。
なお、通信親機23と現地処理端末24とゲートウェイ26がWi-Fi等で無線接続されていてもよい。
【0018】
現地処理端末24は、発電施設1内に配置されたコンピューターによって構成されている。現地処理端末24は、デスクトップパソコンであってもよく、ノートパソコンであってもよく、タブレットであってもよく、スマートフォンであってもよい。現地処理端末24は、公衆通信ネットワーク4を介して、遠隔処理端末30及びクラウドデータロガー40と通信可能である。
【0019】
現地処理端末24は、機能として、状態情報受取部24aと、自動編集部24bと、状態情報表示部24cと、画面共有許否部24dと、状態情報転送部24eを含む。状態情報受取部24aは、通信親機23から有線LAN伝送形式の状態情報を受け取る。自動編集部24bは、受け取った状態情報をグラフ、表、数値、文字等に自動編集する。状態情報表示部24cは、自動編集によって作成されたグラフ、表、数値、文字等による状態情報を現地処理端末24のディスプレイに画面表示する。
【0020】
画面共有許否部24dは、遠隔処理端末30等の他の機器から当該現地処理端末24の画面表示の共有要求を許容したり拒否したりする。状態情報転送部24eは、前記状態情報を定期的又は入力操作に応じてクラウドデータロガー40へ転送(アップロード)する。
【0021】
遠隔処理端末30は、例えば補機2の保守管理事業者のコンピューターによって構成されている。遠隔処理端末30は、遠隔に配置されており、発電施設1の構内通信網20に組み込まれていない。遠隔処理端末30は、デスクトップパソコンであってもよく、ノートパソコンであってもよく、タブレットであってもよく、スマートフォンであってもよい。遠隔処理端末30には、画面共有要求部31として機能するプログラムが組み込まれている。画面共有要求部31は、現地処理端末24の表示画面を、衆通信ネットワーク4を介して共有することを要求する。
【0022】
クラウドデータロガー40は、クラウドデータベースによって構成されている。現地処理端末24が、公衆通信ネットワーク4を介してクラウドデータロガー40と接続可能である。クラウドデータロガー40は、現地処理端末24から転送(アップロード)された状態情報を蓄積する状態情報蓄積領域41を有している。
【0023】
かかる構成の監視システム3によって、発電施設1における補機回転機械2aの状態が、次のようにして遠隔監視される。
図3に示すように、各補機2の回転機械2aの振動状態情報を、対応する状態センサ10によって検知する(状態情報検知工程(100))。好ましくは、秒間隔ないしは分間隔で検知を行なう。具体的には、監視システム3全体の複数の状態センサ10について、1つずつ順番に例えば約1秒~数秒間隔で振動状態情報の検知(データ採取)を行なう。
振動の生波形を採取してもよく、その場合、好ましくは数分間かけて1回のデータ採取を行なう。このため、データ採取間隔が数分間となる。
特定の補機回転機械2aについて異常値が検出された場合、その補機回転機械2aと対応する状態センサ10に限定してデータ採取することにしもよい。この場合、当該特定の補機回転機械2aについて秒単位でデータ採取できる。現地処理端末24において、予め振動検出値の閾値を設定しておき、特定の状態センサ10が閾値を超えた場合、現地処理端末24の指令によって自動的に当該特定の状態センサ10に限定したデータ採取がなされるようにしもよい。現地の担当者Aや専門技術者Bの判断によって、特定の状態センサ10に限定してデータ採取がなされるよう人為的に指令できるようにしてもよい。
【0024】
検知された状態情報は、電圧信号や電流信号等のアナログ検知信号で通信子機21に入力される(子機入力工程(101))。
通信子機21の変換部21aにおいて、前記アナログ検知信号がデジタルの短距離電波信号に変換される(子機変換工程(102))。該短距離電波信号には、情報元の状態センサ10ひいては補機回転機械2aの識別情報と、現地処理端末24を指定した宛先アドレスとが付される。該短距離電波信号が、発信部21bから発信される(子機発信工程(103))。短距離電波信号は、中継機22や他の通信子機21で中継されながら、又は直接、通信親機23へ伝送される(伝送工程(110))。
【0025】
通信親機23においては、前記短距離電波信号からなる状態情報が、受信部23aによって受信され(親機受信工程(111))、更に変換部23bによって有線LAN伝送信号に変換されて(親機変換工程(112))、現地処理端末24へ送られる(親機送信工程(113))。
【0026】
これによって、現地処理端末24の状態情報受取部24aが、状態センサ10による補機回転機械2aの状態情報を通信子機21、中継機22及び通信親機23を介して受け取る(状態情報受取工程(120))。現地処理端末24の自動編集部24bにおいては、受け取った状態情報をグラフ、表、数値、文字等に自動編集する(自動編集工程(121))。さらに、状態情報表示部24cが、作成されたグラフ、表、数値、文字等による状態情報を現地処理端末24のディスプレイに画面表示する(画面表示工程(122))。発電施設1内の点検技術者は、現地処理端末24の表示画面から補機回転機械2aの状態をある程度診断できる。
【0027】
図4に示すように、遠隔に居る補機2の専門技術者Bが、遠隔処理端末30の画面共有要求部31を起動させて、現地処理端末24の画面共有を要求する操作をすると(画面共有要求工程(201))、その画面共有要求情報が、公衆通信ネットワーク4を介して、現地処理端末24に入る(画面共有要求受信工程(202))。画面共有要求情報は、専門技術者Bを識別するログインID及びパスワードを含む。
【0028】
現地処理端末24においては、画面共有許否部24dの働きによって、ログインID及びパスワードを登録情報と照会し、画面共有要求を許容するか拒否するかを選択する。すなわち、画面共有要求の許否を行なう(画面共有許否工程(203))。現地処理端末24が画面共有要求の許否を自動的に行なうのに限らず、発電施設1内の点検技術者その他の現地担当者Aによる現地処理端末24への入力操作によって、画面共有要求の許否がなされるようにしてもよい。
【0029】
画面共有要求を許容する選択がなされた場合、現地処理端末24の画面表示情報がエンコードされて、公衆通信ネットワーク4を介して、遠隔処理端末30へ送られる(画面表
示情報送信工程(210))。遠隔処理端末30は、受け取った画面表示情報をデコードして、当該遠隔処理端末30のディスプレイに表示する(遠隔表示工程(211))。画面共有要求を拒否する選択がなされた場合、現地処理端末24の画面表示情報の送信は行われない(拒否工程(212))。
現地処理端末24の画面表示情報が、常時、遠隔処理端末30へ送られて共有されるようにしてもよい。
【0030】
これによって、遠隔地に居る補機の専門技術者Bは、遠隔処理端末30によって、現地処理端末24の画面表示を閲覧することができる。更に好ましくは、遠隔処理端末30によって、現地処理端末24の画面表示を操作できる(遠隔画面操作工程(221))。すなわち、遠隔処理端末30によるキーボード、マウス等の入力操作情報が、公衆通信ネットワーク4を介して、現地処理端末24へ送られ、現地処理端末24がその入力操作情報の通りに動作される(遠隔画面操作受け入れ工程(222))。例えば、遠隔処理端末30によって、現地処理端末24の画面表示を他の補機回転機械2aの情報に切り替えたり、画面表示中の特定項目の詳細情報を表示させたりできる。
現地処理端末24と遠隔処理端末30とが、公衆通信ネットワーク4上のサーバを介して画面情報を授受するようにしてもよく、サーバを介さずに直接、画面情報を授受するようにしてもよい。
【0031】
これによって、専門技術者Bは、遠隔に居ながら発電施設1の各補機回転機械2aの状態を把握して診断できる。診断の結果、補機2の故障につながり得る異常兆候が見られたときは、現地担当者A等へ連絡する等して、故障が未然に防止されるよう対処することができる。あるいは、異常兆候が無い補機2については分解点検時期を先送りする等して、保全コストの低減に役立てることができる。
【0032】
補機回転機械2aの状態情報を現地処理端末24から遠隔処理端末30へ送信する必要は無い。遠隔処理端末30は、現地処理端末24の画面表示を共有して閲覧及び操作するものであり、状態情報が遠隔処理端末30に転送されて蓄積されることはない。したがって、遠隔処理端末30は大きな記憶容量を必要としない。また、情報漏洩のおそれを低減できる。さらに、遠隔処理端末30自体には、状態情報を解析して異常診断をする機能を付与する必要が無い。したがって、補機回転機械の遠隔監視システムを簡易に低コストで構築できる。
【0033】
図5に示すように、現地処理端末24に記憶された状態情報は、現地処理端末24の状態情報転送部24eによって、公衆通信ネットワーク4を介してクラウドデータロガー40へ転送(アップロード)される(転送工程(301))。転送された状態情報は、クラウドデータロガー40の状態情報蓄積領域41に蓄積される(蓄積工程(302))。
【0034】
転送処理(ステップ301)は、現地処理端末24への転送指令の入力があったとき実行されるようにしてもよく、現地処理端末24における状態情報のデータ量が所定以上になったとき実行されるようにしてもよく、定期的に実行されるようにしてもよい。
【0035】
好ましくは、転送処理(ステップ301)後、現地処理端末24の記憶部から転送済の状態情報が削除される(削除工程(303))。これによって、補機2の点検管理の受託事業者側に発電施設1の情報が残り続けるのを防止できる。
監視システム3によれば、大掛かりな専用の通信設備及びソフトウェアが不要であり、既存の発電施設1にも低コストで設置でき、経済的負担を軽減できる。
【0036】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨に反しない限り、種々の改変をなすことができる。
例えば、状態情報は、振動に限られず、温度、圧力を含んでいてもよい。状態センサは、振動センサに限られず、温度センサ、圧力センサ等を含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、発電施設の補機の状態監視システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
A 現地担当者
B 専門技術者
1 発電施設
2 補機
2a 回転機械
3 補機回転機械状態監視システム
4 公衆通信ネットワーク
10 状態センサ
11 取り付け台座
20 構内通信網
20a 構内無線通信網
20b 構内有線通信網
21 通信子機
21a 変換部
21b 発信部
22 中継機
23 通信親機
23a 受信部
23b 変換部
24 現地処理端末
24a 状態情報受取部
24b 自動編集部
24c 状態情報表示部
24d 画面共有許否部
24e 状態情報の転送部
25 LANケーブル
26 ゲートウェイ
30 遠隔処理端末
31 画面共有要求部
40 クラウドデータロガー
41 状態情報蓄積領域