(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021643
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】雲発生装置
(51)【国際特許分類】
G09B 23/12 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G09B23/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124629
(22)【出願日】2022-08-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】722008733
【氏名又は名称】雨宮 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 尚輝
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032BC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】雲や霧を空気の圧縮及び空気の解放を用いて確実かつ容易に発生させ、それに伴う現象等も観察することが出来る雲発生装置を提供する。
【解決手段】少なくともシリンジ3-a及びプランジャー3-cを備えるポンプ部と、瞬時に容器を垂直方向に着脱可能な機構を備える放出タップ2-aを備える雲発生装置本体と、容器と前記放出部とを接続し、瞬時に着脱自在に操作できる接続具5-dと容器を含む雲発生装置である。持ち手3-d及びプランジャーを図の右側に引き、十分に引いた後、持ち手及びプランジャーを図の左側に押す操作を繰り返し、容器5-c内に気体を貯留し、使用者が貯留量が十分であると判断したら、引いて押す操作を終了し、容器を保持した状態で、放出タップの放出ロック2-bを図の上方向にスライドさせ、主に容器内の気体を外部に放出させると、容器内の気圧が急激に低下し、温度が低下などと共に雲が容器内に発生する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ部と放出部とを備える雲発生装置本体と、容器と前記放出部とを接続し、瞬時に着脱自在に操作できる接続具とを有する雲発生装置であって、
前記ポンプ部は、少なくとも気体を注入するためのシリンジ及びプランジャーを有し、
前記放出部は、少なくとも瞬時に容器を垂直方向に着脱可能とする操作を行える機構を備えていることを特徴とする雲発生装置。
【請求項2】
前記雲発生装置本体はさらに排気部を備え、当該排気部は、穏やかに気体を排出することができる排出機構とそれに伴い排気量を調節することが出来る排気量調節機構を備えることを特徴とする請求項1記載の雲発生装置。
【請求項3】
前記ポンプ部は、注入される気体を溜めるシリンジ部分と、気体を押し込むプランジャー部分とを備え、プランジャー部分は持ち手(3-d)とプランジャー(3-c)とガスケット(3-e)を含み、ガスケットはOリング(3-g)と切れ込みがあるガスケット部品を備え、シリンジ(3-a)とプランジャー部分のガスケット(3-e)のOリング(3-g)が接することにより、気体が漏出せずに気体の押し込みが行えるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の雲発生装置。
【請求項4】
前記排気部は、排気機構部と排気量調節機構部を備え、排気機構部は排気ボタン(1-b)と排気ボタン(1-b)と連動した排気軸部(1-c)と、排気軸部(1-c)を受ける排気リング(7-h)と、自然状態で密閉状態を保持する役割を持つばね(7-m)と、これらの部品を適切な位置に保持し気体の漏出を防ぎ、かつ気体の流路の機能をもつ着脱自在の排気部密封キャップ(7-d)を有し、排気量調節機構部は排気機構部の排気部密封キャップ(7-d)に着脱自在に接続し気体の流量を調節し、気体の流路ともなる排気量調節キャップ(7-a)を有することを特徴とする請求項2記載の雲発生装置。
【請求項5】
前記放出部は、少なくとも瞬時に着脱が行える機構を有し、かつ、複数種類の着脱自在機構を備えた放出タップ(2-a)を有し、当該放出タップ(2-a)は、少なくとも瞬時に着脱が行える機構と締め付けによる着脱機構を含むことを特徴とする請求項1記載の雲発生装置。
【請求項6】
前記接続具は少なくとも、接続キャップ(5-d)と、接続パーツ(4-a)と、圧力保持パーツ(4-b)の三種を含み、前記接続キャップ(5-d)は、締め付けによる着脱機構を含む容器(5-c)と瞬時に着脱が行える機構を含む放出タップ(2-a)を接続する特徴を有し、前記接続パーツ(4-a)は、前記放出タップ(2-a)と接続する構造を両端に備え、前記放出タップ(2-a)同士を接続することを可能にする特徴を有し、前記圧力保持パーツ(4-b)は、前記放出タップ(2-a)を備え、逆流防止機構である逆止弁(4-i)が備えられることにより、雲発生装置本体を脱離しても気圧の保持を可能にすることを特徴とする請求項1記載の雲発生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の雲発生装置と、前記雲発生装置に接続され内部の様子を外部から観察可能な容器とを備えることを特徴とする雲発生実験キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雲発生装置に関し、特に理科教材に好適な雲発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異常気象などが発生している中で、大気や気象現象について学習することの
重要性は増している。
理科の大気、気象についての教材が発明されているが、使いやすく、
より教材として好適なものを提供する事は重要である。
【0003】
従来、理科の実験などで使用される雲もしくは霧発生装置として複数の製品が考案されている。
【0004】
特許文献1は温水と冷却剤を用いて温度差を生じさせ雲を発生させる仕組みとなっている。しかしながら、特許文献1に示される装置は、湯及び保冷剤の用意が必要であり、実施のために容器、台座、筒状体、蓋部、冷却源を組み立てる必要のある複雑な構造であるため、準備及び使用に労するという不都合があった。
【0005】
特許文献2は容器内において電熱器もしくはペルチェ素子を用いて温度差を生じさせ、それによって雲を発生させることのできる装置である。
特許文献2においては雲を発生させるために電源や水の用意が必要である。
また、この装置では現象の観察はできるが、生徒になんらかの操作をさせるものではなく、生徒の関心を惹きにくいものであった。
【0006】
非特許文献1、637ページCat.No.J46-3511はポンプ部、解放部、接続部構成のものである。
Cat.No.J46-3511のポンプ部は球体であり、かつ小さいため、一度に押込する空気量が約15ml程度と少なく、また指先で操作するため使用者にとって多くの労力を要するものであった。ポンプ部は、エストラマーが素材として用いられるが、繰り返し負荷を受けるため亀裂などの損傷が生じやすく、教材として利用しにくい不都合がある。
Cat.No.J46-3511では気体を注入させる機能のみが備えられ、一度注入された気体は全て放出するしかなかった。そのため、容器内の気体量もしくは気圧を調節するためには不都合があった。このことから一度注入された気体を排出する機構を持つ雲発生装置は、雲発生装置のさらなる利用法の発展に貢献すると考えられる。透明容器との接続部を除き、解放部の構造などは独自の規格により構成されているため、一般的な圧力がかかるものに使われる部品との互換性がなく応用利用の可能性がわずかであった。
【0007】
非特許文献1、637ページCat.No.J46-3512はシリンジ、ゴム管、ゴム栓、フラスコから構成される雲発生装置である。この製品では系内に含まれる空気の量は一定であり、生じさせることの出来る気圧変化は小さい。気圧の変化が小さいと発生させることの出来る雲の量も減少するため、線香の煙を使用することが必須である。また、雲の発生量を増加させるため注射筒の容量を大きくし気圧の変化を大きくしようとしても、ゴム栓を使用しているため圧力が高まると栓が外れてしまい目的が達成されなかった。高圧で利用しようとすると、ガラス製のフラスコを利用するため、装置の破裂、損傷が発生した場合、使用者がけがをする恐れがある。
【0008】
非特許文献1、637ページCat.No.J46-3513はゴム管、ゴム栓、ガラス管、透明容器から構成される雲発生装置である。
この製品では系内に含まれる空気の量は一定であり、生じさせることの出来る気圧変化は小さい。気圧の変化が小さく、生じさせることができる雲の量も少ないため、線香の煙を使用することが必須である。
また、行った操作に対して生じる効果が小さいため、使用者の関心を惹きにくいという点もある。
【特許文献1】特許第3711134号
【特許文献2】特許第3884877号
【非特許文献1】ナリカ総合カタログvol.57 2021・22年度 637ページ(https://www.rika.com/g0057/#page=689)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の雲発生装置は以下3種類のものがあった。
【0010】
(1)冷却源を使用し水蒸気との温度差によって雲を発生させる装置
この方式による装置では、電源や冷却材が必要であり、このような消耗品が必要であった。冷却剤には氷等が用いられる。
冷却剤や雲の元となる水を装置に充填し、装置を組み立てる等の手間が必要であり、授業等で使用する際には不都合であった。
【0011】
(2)二つの容器等の間で片側の容器内の気圧を変化させることによって、気圧差を生じさせ雲を発生させる装置。
この方式による装置では、生じる気圧差が小さいため発生する雲の量が少なく、雲をより発生させるために凝縮の核となる添加物を必要とした。使用される添加物としては線香の煙の煙等が使用される。接続部がゴム栓をはめ込み接続しているのみであるため結合は弱く、高圧に耐えられず外れてしまうなど利用に際して不都合であった。気圧の変化が小さいことにより生じる現象も小さく、使用者が雲が発生するという現象に対し興味、関心を持ちにくいという問題点もあった。
【0012】
(3)球状のポンプ部を圧し雲が発生する透明容器内の圧力を高め、圧力を解放することにより圧力差で雲を発生させる装置。
この方式による装置では、ポンプ部がエストラマー製であり球状で小さいため、一度に注入される気体が少なく、注入圧力も低いものであった。そのため空気を入れるのが大変である。一方で、透明容器内に生じる圧力は低く、透明容器内を水で湿らせず、凝縮の核となる添加物を用いない状態で、透明容器内の圧力を解放した際の圧力差は目視で確認できるほど十分な量は発生しにくいものであった。この方式による装置では排気機構が備えられておらず、透明容器内を一度加圧すると雲を発生させる場合と同様に圧力を解放しなければならず、容器内における圧力の調整などにおいて不都合である。またこのような装置は多くの場合、接続部などの規格が独自のものが多く、他の部品と互換性が少なく装置の応用利用可能性が低い。
【0013】
本発明はかかる課題を解決するためのものである。
電源や冷却剤などの使用ごとに必要となる準備品を使用することなく、使用時の装置の組み立て等の用意が最小限で雲を発生させることが可能で、これまでの気圧変化による雲発生装置と比較し、一度により多くの気体を押し込むことが可能であり、高い圧力で気体を容器に溜めることにより、解放時の気圧差を増大し、より多量の雲を発生させることができる雲発生装置を提供する。また、高い圧力状態にあっても、接続部等から空気漏れをせず、確実かつ安全に雲発生に至り、使用時はこれまで必要であった雲の発生源となる水や、凝縮の核となる添加物を使用しなくとも目視で確認できるほどの雲を発生させることができる。
さらに、空気を注入する機構だけでなく、穏やかに容器内の圧力を放出する排気機構を備えることにより、一度加圧した容器内の圧力を減圧することを可能とし、容器内の圧力の調節を容易にする。これらの雲発生に関わる装置の一連の操作を小学生、中学生でも容易に操作することを可能とし、簡便に目視で確認できるほどの雲を発生せしめる装置を提供する。
加えて、装置と容器の接続部などに一般的な規格を使用することにより、装置の応用利用可能性を向上させたものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ポンプ部と放出部とを備える雲発生装置本体と、容器と前記放出部とを接続し、瞬時に着脱自在に操作できる接続具とを有する雲発生装置であって、前記ポンプ部は、少なくとも気体を注入するためのシリンジ及びプランジャーを有し、前記放出部は、少なくとも瞬時に容器を垂直方向に着脱可能とする操作を行える機構を備える雲発生装置である。
【0015】
請求項及び明細書、要約等において雲発生装置や雲などと表記し霧とは表記しない場合があるが、より好ましく正確な表記としては雲もしくは霧である。
【0016】
本発明において、前記雲発生装置本体はさらに排気部を備え、当該排気部は、穏やかに気体を排出することができる排出機構とそれに伴い排気量を調節することが出来る排気量調節機構を備える。
【0017】
本発明において、前記ポンプ部は、注入される気体を溜めるシリンジ部分と、気体を押し込むプランジャー部分とを備え、プランジャー部分は持ち手(3-d)とプランジャー(3-c)とガスケット(3-e)を含み、ガスケットはOリング(3-g)と切れ込みがあるガスケット部品を備え、シリンジ(3-a)とプランジャー部分のガスケット(3-e)のOリング(3-g)が接することにより、気体が漏出せずに気体の押し込みが行えるように構成されている。
【0018】
本発明において、前記排気部は、排気機構部と排気量調節機構部を備え、排気機構部は排気ボタン(1-b)と排気ボタン(1-b)と連動した排気軸部(1-c)と、排気軸部(1-c)を受ける排気リング(7-h)と、自然状態で密閉状態を保持する役割を持つばね(7-m)と、これらの部品を適切な位置に保持し気体の漏出を防ぎ、かつ気体の流路の機能をもつ着脱自在の排気部密封キャップ(7-d)を有し、排気量調節機構部は排気機構部の排気部密封キャップ(7-d)に着脱自在に接続し気体の流量を調節し、気体の流路ともなる排気量調節キャップ(7-a)を有する。
【0019】
本発明において、前記放出部は、少なくとも瞬時に着脱が行える機構を有し、かつ、複数種類の着脱自在機構を備えた放出タップ(2-a)を有し、当該放出タップ(2-a)は、少なくとも瞬時に着脱が行える機構と締め付けによる着脱機構を含む。瞬時に着脱が行える機構は、例えば、
図12の放出ロック2-b、固定爪ロック8-n、固定爪8-m、固定爪外側突起8-lのことである。締め付けによる着脱機構は、例えば、
図12のねじ切り8-hのことである。
【0020】
本発明において、前記接続具は少なくとも、接続キャップ(5-d)と、接続パーツ(4-a)と、圧力保持パーツ(4-b)の三種を含み、前記接続キャップ(5-d)は、締め付けによる着脱機構を含む容器(5-c)と瞬時に着脱が行える機構を含む放出タップ(2-a)を接続する特徴を有し、前記接続パーツ(4-a)は、前記放出タップ(2-a)と接続する構造を両端に備え、前記放出タップ(2-a)同士を接続することを可能にする特徴を有し、前記圧力保持パーツ(4-b)は、前記放出タップ(2-a)を備え、逆流防止機構である逆止弁(4-i)が備えられることにより、雲発生装置本体を脱離しても気圧の保持を可能にする。
【0021】
本発明は、ポンプ部と放出部とを備える雲発生装置本体と、容器と前記放出部とを接続し、瞬時に着脱自在に操作できる接続具とを有する雲発生装置であって、前記ポンプ部は、少なくとも気体を注入するためのシリンジ及びプランジャーを有し、前記放出部は、少なくとも瞬時に容器を垂直方向に着脱可能とする操作を行える機構を備える雲発生装置と、前記雲発生装置に接続され、発生する雲等の内部の様子を外部から観察可能な容器とを備える雲発生実験キットである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の雲発生装置によれば、容易に雲もしくは霧を発生させることができる。
【0023】
以上のように、本発明によれば、容易に雲を発生させることができ、これまでの発明に比べ容易かつ堅牢であるため安心して利用することが出来る。
【0024】
またその様子を観察でき、雲の発生原理や発生した雲の動きを知ることが可能であり、気象や大気について理解する大きな助けとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】発明の実施の形態に係る雲発生装置の斜視図である。
【
図2】発明の実施の形態に係る雲発生装置の平面図である。
【
図3】発明の実施の形態に係る雲発生装置の断面図である。
【
図4】発明の実施の形態に係る圧力保持パーツの断面図である。
【
図5】発明の実施の形態に係る雲発生装置における形態例の平面図である。
【
図6】発明の実施の形態に係る雲発生装置の使い方の説明図である。
【
図7】発明の実施の形態に係る雲発生装置の使い方の説明図である。
【
図8】発明の実施の形態に係る雲発生装置の使い方の説明図である。
【
図9】発明の実施の形態に係る雲発生装置の形態例の説明図である。
【
図10】発明の実施の形態に係る排出機構及び排出量調節機構の断面図である。
【
図11】発明の実施の形態に係る接続パーツ及び容器側差し込み部の断面図である。
【
図12】発明の実施の形態に係る放出タップの断面図である。
【
図13】発明の実施の形態に係るガスケットの斜視図である。
【0026】
図1を参照して雲発生装置の使用方法(気体の流れ)について概説する。プランジャー3-cを引くことにより、シリンジ3-aに気体が充填され、プランジャーでシリンジ内の気体が押し込まれることにより、シリンジ内の気体が放出タップ2-aを通り、
図1には示されていないが、容器5-cの方向へと移動し、保持され、排気ボタン1-bが作動すると、容器5-c側で保持されていた気体が、放出タップ2-aを再び通り、排気部の方向に流れ、排気量調節部(1-a)から外部に排出される。雲を発生させる際は、容器5-cの方向へと移動し、保持された気体が、容器5-cと雲発生装置本体が分離し保持されていた気体が一気に外部へ放出されることにより、雲が発生する。
例えば、本発明の雲発生装置では、1気圧条件下において一度の押し込みによって約40mlの気体が注入される。
【0027】
図2及び
図3を参照して各部品について説明する。圧力保持パーツ4-bについては、段落0028で
図4を参照して説明する。排出機構及び排気量調節機構については、段落0030で
図10を参照して説明する。放出タップ2-a、4-e-1、4-e-2と接続パーツ4-a容器側差し込み部5-aの接続については、段落0031において
図11及び
図12を参照して説明する。プランジャー及びガスケットについては、段落0032において
図2、
図3、
図6、
図13を参照して説明する。
各部位に使用される、ねじ切り部分(例:2-d、3-f、3-l、5-e、8-h)の規格は、直径28mmの一般的なペットボトルに用いられるものが好適である。ただし、特定のねじ切り部分(例:7-c、7-f、7-i、7-l)は特にこれに限定されない。
好ましくは、シリンジ3-a、プランジャー固定蓋3-b、持ち手3-d、排気量調節キャップ7-aとばね7-mとOリング7-pと排気リング7-hとゴム板7-n以外の排気機構及び排気量調節部、Oリング3-g以外のガスケット3-eの材質はポリプロピレン、ばね8-k以外の接続タップ2-a、接続キャップ5-d(接続パーツ容器側差し込み部と容器接続部)、Oリング8-a-1、8-a-2、8-f以外の接続パーツ4-aの材質はABS樹脂、圧力保持パーツ4-bの内筒4-d、外筒4-cの材質は塩化ビニル樹脂、プランジャー3-c、ばね7-m、8-k、圧力保持パーツ4-bの外筒固定具4-hの材質はステンレス鋼、排気量調節キャップ7-aの材質は銅、Oリング3-g、7-p、8-a-1、8-a-2、8-f、排気リング7-h、ゴム板7-nの材質は合成ゴムである。これ以外の素材であっても好適なものが存在すればそれらを用いても良い。
容器5-cはガラス容器やプラスチック容器など、全体が透明又は透明な窓部を有するものであればよく、雲発生の様子など内部の様子を確認できる構造、仕組みのものであれば構わないが、市販されている飲料用のペットボトルなどのポリエチレンテレフタレート製の容器が破裂の危険性が低いこと、内部の様子が観察しやすいこと、安価で入手が容易であることから使用に好適である。
必要に応じてシリンジ3-a内や排気部密封キャップ7-d内などに潤滑剤を使用する。使用される潤滑剤としてシリコンオイル等がある。
雲発生装置を構成する上記パーツ類は、既成技術を組み合わせ、構成しているため、部品の製造方法がおおよそ確立されており、また同規格の部品などが多く存在し様々な応用が可能であり、比較的安価に実施が可能である。
【0028】
図4を参照して圧力保持パーツ4-bについて説明する。
圧力保持パーツ4-bは主に外筒4-c、内筒4-d、放出タップ4-e-1、4-e-2で構成され、放出タップ4-e-1側に逆止弁4-iが備えられ、放出タップ4-e-2の放出ロック4-f-2と外筒4-cが外筒固定具4-hによって接続される。放出タップ4-e-1と4-e-2は内筒4-dによって接続され、内筒4-dは、それぞれの放出タップ4-e-1、4-e-2に備えられた内筒固定具4-gによって、それぞれの放出タップ4-e-1、4-e-2と接続している。放出タップ4-e-1側と接続パーツ4-aを介し、雲発生装置本体が接続し、放出タップ4-e-2側と接続キャップ5-dを介し、容器5-cと接続し、雲発生装置本体から押し込まれた気体は、接続パーツ4-aを介し、放出タップ4-e-1に流入し、さらに内筒4-d内を通過し、放出タップ4-e-2から接続キャップ5-dの容器側差し込み部5-b、容器接続部5-bを通過し容器5-cに流入する。気体を排気部から放出する際は容器5-cから上記の通過順の逆で雲発生装置本体に気体が流入する。逆止弁4-iは、放出タップ4-e-1に接続パーツ4-aもしくは接続パーツ4-aと同様の構造を持った部品が接続されている間は、内筒4-d側に押し込まれていることにより、作動せず流路を開通し、放出タップ4-e-1から接続パーツ4-aもしくは接続パーツ4-aと同様の構造を持った部品が分離され、内側の放出タップ4-e-2側から圧力が掛けられている場合、逆止弁が
図4の上方向に移動し、流路を塞ぐ構造となり、圧力保持パーツ4-bに接続している容器5-cからの気体の漏出を停止し、主に容器5-c内の圧力を保持する。
外筒4-cは、外筒固定具4-hを介し放出ロック4-f-2と接続し、外筒4-cを
図4の上方向にスライドさせると、それと連動し、放出ロック4-f-2も
図4の上方向にスライドし、容器側差し込み部5-aもしくは容器側差し込み部5-aと同様の構造を持った部品が分離される状態となり、放出ロック4-f-2や内筒4-dに圧力がかかっている場合には、自発的に放出タップ4-e-2と容器側差し込み部5-aもしくは容器側差し込み部5-aと同様の構造を持った部品が分離し、圧力保持パーツ4-bの内部や容器5-cなどから気体が放出される。
分離の際に放出ロック4-f-2は、気体の圧力により一定の力がかかっており、分離の操作が行いにくい。しかし、外筒4-cを備えることで、使用者が、放出ロック4-f-2部分に力を掛けやすくなり、操作が行いやすい。また、分離時、気体が噴出するため、放出ロック4-f-2のみを備え、外筒4-cを備えない場合は、使用者が圧力保持パーツ4-bを十分に保持できず、使用者の手から圧力保持パーツ4-b等が飛び出す恐れがある。そのため、十分に圧力保持パーツ4-bを手で保持することが可能な外筒4-cを備えることが好適である。
圧力保持パーツの実施例等については段落0035及び
図8を参照されたい。
【0029】
図5は変型例の概略図である。
雲発生装置の内雲発生装置本体は縦型になり、シリンジとプランジャーからなるポンプ部と放出タップからなる放出部が垂直に備えられ、排気機構部及び排気量調節機構部が水平方向に備えられているものが考えられる。この場合、容器5-cに対し垂直方向から気体を押し込むことができ、
図1等に記載した水平方向の雲発生装置本体に比べ容易に気体を押し込むことが可能となる。なお、
図5には圧力保持パーツ4-b及び接続パーツ4-aや排気機構部及び排気量調節機構部を備える排気部を初めとする各部品が記載されているが、それらは、例えば、段落0027、段落0028、段落0030、段落0031、段落0032と同様の部品を使用しても良い。
【0030】
図10を参照して排出機構及び排気量調節機構について説明する。
気体流入口7-oから気体が流入し、排気部密封キャップ7-dのねじ切り7-iが雲発生装置本体のねじ切り7-lに装着されることにより、排気軸7-jが排気リング7-hの排気穴7-gを塞ぎ、圧力を保った状態を保持し、雲発生装置本体と排気部密封キャップ7-d内に保たれる。排気ボタン1-bを押すことにより、仕切り7-pを貫通し、排気ボタン1-bと接続している排気軸1-cが排気ボタンの運動に連動して図の右側に移動し、排気軸1-cと排気リング7-hの間に隙間を生じ、排気穴7-gから気体が流出し、気体流路口7-eから流出することで、排気機構が成り立つ。
排気量調節機構においては排気部密封キャップ7-dのねじ切り7-fに排気量調節キャップ7-aのねじ切り7-cが装着することと、Oリング7-pにより排気部密封キャップ7-dと排気量調節キャップ7-aの隙間が塞がれることにより、気体放出口7-b以外から気体が漏出することを防止し、排気量調節キャップ7-aの締め付け強度を調節することにより排気部密封キャップ7-dと排気量調節キャップ7-aの間に生じる流路の幅を変化させることにより、排気量を調節する。
【0031】
図11及び
図12を参照して放出タップ2-a、4-e-1、4-e-2と接続パーツ4-a及び容器側差し込み部5-aの接続について説明する。
図11に示すように接続キャップ5-dは容器側差し込み部5-aと容器接続部5-bを備え、容器側差し込み部5-aは接続パーツ4-aの片側半分と同じ構造を有している。接続パーツ4-aは、中央突起を軸に線対称の構造をなしているため、Oリング8-aと8-fは同様の部品であり、固定突起8-bと8-eは同様の部品である。
放出タップ2-a、4-e-1、4-e-2に接続パーツ4-a及び容器側差し込み部5-aが差し込まれると、固定突起8-b-1、8-b-2、8-eが固定爪8-mにより捕らえられ、離脱しない状態になり、Oリング密着部8-iにOリング8-a-1、8-a-2、8-b-1、8-b-2、8-fが密着し接続部を密閉し気体の漏出を防ぎ、気体は気道8-c-1、8-c-2と気体流路8-gに保持され高圧状態であっても安全に使用することが可能となる。
放出タップ2-a、4-e-1、4-e-2と、接続パーツ4-a及び容器側差し込み部5-aを分離する場合には、放出ロック2-bをねじ切り8-h方向にスライドさせ、放出ロック2-bに連結された固定爪ロック8-nも同様にスライドさせると、固定爪外側突起8-lが押され、固定爪8-mが差し込み筒部8-jの外側方向に移動し、固定突起8-b-1、8-b-2、8-eが差し込み筒部8-jを自由に移動できるようになり、自由に離脱できる。気道8-c-1、8-c-2内や気体流路8-g内に一定の圧力がかかっている場合には、その圧力により接続パーツ4-a及び容器側差し込み部5-aが自動で離脱する。一度スライドさせられた放出ロック2-b、固定爪ロック8-nは、ばね8-kの弾性力により押し戻され、元の位置に戻る。
【0032】
図2、
図3、
図6、
図13を参照してプランジャー及びガスケットについて説明する。
ガスケット3-eは、プランジャー3-cの先端に備えられ、シリンジ3-a内の気体を押し込む役割を担い、プランジャー接続部3-hはプランジャー3-cと接続するが、その接続方法は任意であるが、好適はねじ切りによる接続である。圧縮板3-i及び先端板3-jは、Oリング3-gが脱落しないために、Oリング3-gの内径以上の直径が必要であるが、シリンジ3-a内を自由に移動するために、シリンジ3-aの内径よりも直径は小さい必要がある。Oリング3-gがシリンジ3-aと接し、プランジャーが気体を押し込む機能を果たすためにOリング3-gの外径はシリンジ3-aの内径と同一である必要がある。
ガスケット3-e部分における気体の流れについて説明する。
図6において持ち手3-d及びプランジャーが
図6の右方向に引かれると、
図13のOリング3-gは、先端板3-j側に移動し、気体は、圧縮板3-iとシリンジ3-aの壁面の間を通過し、Oリング3-gの内側の穴から、先端板3-jに設けられたガスケット気体流路3-kを通過し、シリンジ3-a内のガスケット3-eよりも内側に貯留される。
図6において持ち手3-d及びプランジャーが
図6の左方向に押されると、
図13のOリング3-gは圧縮板3-i側に移動し圧縮板3-iとOリング3-gが密着することによって、完全にシリンジ3-a内が圧縮板3-iとOリング3-gにより密封され、気体が外部と遮断され漏出しなくなり、さらに持ち手3-d及びプランジャーがおされると、気体が圧縮され、シリンジ3-aから放出タップ2-aや容器5-cなどに移動する。
【実施例0033】
図6を参照し雲発生装置の使用方法について説明する。プランジャー及びそれに付随する部品(3-b~3-e)が雲発生装置に取り付けられた状態で、容器5-cと容器接続部5-bを接続し、容器5-cと容器接続部5-bが接続した状態で、雲発生装置本体の放出タップ2-aに容器側差し込み部5-aを差し込み接続する。持ち手3-dを手動で引き、押し戻すことによりシリンジ内の空気を逆止弁2-c、放出タップ2-a、容器側差し込み部5-b、容器接続部5-bを経て容器5-c内に送り、この操作を繰り返すことにより、容器5-c内の圧力を高めた状態になる。使用者が十分に気体を充填したと判断した時点で加圧を終了する。容器5-cを手で持つなど固定した状態で、放出タップ2-aに備えられた放出ロック2-cを雲発生装置本体側にスライドさせることにより、放出ロック2-bにより固定されていた容器側差し込み部5-aの固定が解除し、放出タップ2-a及び容器側差し込み部5-a内に溜まっていた気体の圧力により、放出タップ2-aと容器側差し込み部5-aを分離させ、容器5-c内に蓄圧された気体を容器5-cから容器接続部5-b、容器側差し込み部5-aを経て、外部に放出させる。それにより容器5-c内の圧力が急激に低下し容器5-c内に雲が発生する。本発明では素早く一度に大量の空気(例えば、1気圧条件下において約40ml)を押し込むことが可能であるため、容器5-cなどにおいて断熱圧縮の効果を得られやすく、断熱圧縮による温度の上昇を確認、体感しやすい。また放出した際の気圧変化が大きいため断熱膨張の程度も大きく、温度の低下も確認、体感しやすい特徴がある。
【0034】
図7を参照し雲発生装置の使用方法について説明する。プランジャー及びそれに付随する部品(3-b~3-e)が雲発生装置に取り付けられた状態で、透明な容器5-c内に計器(温度計や圧力計、湿度計等)を備えた状態にする。容器5-cと容器接続部5-bを接続し、容器5-cと容器接続部5-bが接続した状態で雲発生装置本体、放出タップ2-aに容器側差し込み部5-aを差し込み接続し、この時点での容器5-c内の計器の値を記録する。段落0033の操作と同様に、持ち手3-dを手動で引き、押し戻すことによりシリンジ内の空気を逆止弁2-c、放出タップ2-a、容器側差し込み部5-b、容器接続部5-bを経て容器5-c内に送り、この操作を繰り返すことにより、容器5-c内の圧力を高めた状態にする。使用者の判断もしくは計器の値が一定の値になった時点で加圧操作を終了する。気体を必要以上に、容器5-c内に入れすぎてしまった場合には、排気ボタン1-bを押し容器5-c内の気体を穏やかに排出することにより、容器5-c内の圧力を低下させることが可能である。容器内の圧力を調節後、容器5-cを手で持つなど固定した状態で、放出タップ2-aに備えられた放出ロック2-cを引き、放出ロック2-cにより固定されていた容器側差し込み部5-aの固定を解除し、放出タップ2-a及び容器側差し込み部5-a内に溜まっていた気体の圧力により、放出タップ2-aと容器側差し込み部5-aを分離させ、容器5-c内に蓄圧された気体を容器接続部5-b、容器側差し込み部5-aを経て、容器5-c内の気体を外部に放出させ、容器5-c内の圧力を急激に低下させることにより、容器5-c内に雲が発生する。発生した雲や容器内の計器の値などについて記録する。加圧し気体を貯留した時と容器5-c内の気体を放出した後での比較などを行う。
本発明では素早く一度に大量の空気(例えば、1気圧条件下において約40ml)を押し込むことが可能であるため、容器5-cなどにおいて断熱圧縮の効果を得られやすく、断熱圧縮による温度の上昇を確認、体感しやすい。また放出した際の気圧変化が大きいため断熱膨張の程度も大きく、温度の低下も確認、体感しやすい特徴がある。
これまでの雲発生装置ではおよそ雲が出来るという定性的な実験のみ行われていたのに対し、本雲発生装置では、容器内の気圧や気温を確認、記録することにより、それらの違いにより発生する雲の特徴の観察や、雲の発生量の比較をするという定量的な実験を行うことが可能であり、大気や気象現象に対する理解を深める事が可能である。
【0035】
図8を参照し雲発生装置と圧力保持パーツの使用方法について説明する。プランジャー及びそれに付随する部品(3-b~3-e)が雲発生装置に取り付けられた状態で、容器5-cと容器接続部5-bを接続し、容器5-cと容器接続部5-bが接続した状態にする。圧力保持パーツ4-bの放出タップ4-e-2に容器側差し込み部5-aを差し込み接続し、放出タップ4-e-1に接続パーツ4-aを差し込み接続する。容器5-c、容器側差し込み部5-a、容器接続部5-b、圧力保持パーツ4-bが接続した状態の接続パーツ4-aを雲発生装置の放出タップ2-aに差し込み接続する。段落0033と同様に、持ち手3-dを手動で引き、押し戻すことによりシリンジ内の空気を逆止弁2-c、放出タップ2-a、接続パーツ4-a、放出タップ、内筒、放出タップ、容器側差し込み部5-a、容器接続部5-bを経て容器5-c内に送り、この操作を繰り返すことにより、容器5-c内の圧力を高めた状態にする。使用者が十分に気体を充填したと判断した時点で加圧を終了する。容器5-cを手で持つなど固定した状態で、圧力保持パーツ4-bの放出ロック4-f-1を内筒方向にスライドさせ、放出ロック4-f-1により固定されていた接続パーツ4-aの固定を解除し、接続した状態の雲発生装置本体及び接続パーツ4-aと圧力保持パーツ4-b及び容器側差し込み部5-a、容器接続部5-b、容器5-cを接続パーツ4-a及び放出タップ4-e-1内に溜まっていた気体の圧力により、分離させる。その時、逆止弁4-jが放出タップ4-e-1内で空気の流れを遮断することにより、容器5-cに蓄えられた気体が放出されず、蓄圧された状態が保持される。使用者が容器5-c内の圧力を解放し雲を発生させたいと思った任意のタイミングで、容器5-cを手で持つなど固定した状態で、圧力保持パーツ4-bの外筒4-cを放出タップ4-e-1方向にスライドさせることにより、放出ロック4-f-2を内筒側にスライドさせ、放出ロック4-f-2により固定されていた容器側差し込み部5-aの固定を解除し、圧力保持パーツ4-bと容器5-c及び容器側差し込み部5-a、容器接続部5-bを放出タップ4-e-2及び容器側差し込み部5-a内に溜まっていた気体の圧力により、分離させる。容器5-c内の気体を容器接続部5-b、容器側差し込み部5-aを経て外部へ放出させ、容器5-c内の圧力を急激に低下させることにより容器5-c内に雲が発生する。
この使用例では容器内に計器等を入れた状態での使用例では無かったものの、圧力保持パーツを使用する場合であっても、前記段落0034と同様に圧力計や温度計もしくは湿度計等の計器を使用しても良い。
【0036】
段落0033~段落0035の実施例では容器内に雲の発生源となる水や凝縮の核となる添加物を加えない場合を示したが、この雲発生装置においては、容器内に雲の発生源となる水や凝縮の核となる添加物を加えなくとも、目視で確認できるほどの雲もしくは霧を発生させることが可能であるため、容器内に雲の発生源となる水や凝縮の核となる添加物を加えることは必須ではない。しかし、いずれの場合であっても水や添加物を使用した条件での使用も可能であり、水や添加物を使用しない場合と使用した場合との比較等も学習として有効である。
【0037】
段落0034と段落0035の使用例では計器を容器5-c内に入れ使用したが、接続が可能であれば容器接続部5-bと容器5-cの間や放出タップ2-aと容器側差し込み部5-aの間や放出タップ4-e-2と容器側差し込み部5-aの間などに計器を組み込み使用しても良い。
【0038】
いずれの操作も単純かつ容易であり、多くの者が実際に取り扱うことができ、多くの使用者の興味関心を引き立てることが可能である。