(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021651
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】診療用装置
(51)【国際特許分類】
A61G 15/16 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A61G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124640
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 達矢
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052LL05
(57)【要約】
【課題】収容部への診療用器具の収容の確実性を高める。
【解決手段】診療用器具300に、チューブ450が接続されている。このチューブ450は、収容部401に収容される診療用器具300から下方へ延びるように設けられている。チューブ450を介し、診療用器具300に対して、電力や圧縮空気や水など被供給物が供給される。診療用器具300が吸引用器具である場合には、吸引用器具から排出される液体が、チューブ450を通って、この吸引用器具の外部へ移動する。チューブ450を下方には、このチューブ450を下方から支持する第2回転体407が設けられている。第2回転体407は、診療用器具300から下方へ延びるチューブ450のうちの斜め下方に向かう部分である斜め部分453を下方から支持する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科の診療に用いられる診療用器具が収容される収容部と、
前記収容部に収容される前記診療用器具から下方へ延びるチューブのうちの斜め下方に向かう部分である斜め部分を下方から支持するチューブ支持部と、
を備える診療用装置。
【請求項2】
前記収容部に前記診療用器具が収容される際、斜め下方へ当該診療用器具が移動して当該収容部への当該診療用器具の収容が行われ、
前記チューブ支持部は、斜め下方へ移動する前記診療用器具から斜め下方へ延びる前記チューブの前記斜め部分を下方から支持する請求項1に記載の診療用装置。
【請求項3】
前記チューブ支持部によって前記斜め部分が下方から支持されることで、当該チューブ支持部による当該斜め部分の支持が行われない場合に比べ、前記斜め下方へ移動する前記診療用器具の水平方向に対する傾斜角度が小さくなる請求項2に記載の診療用装置。
【請求項4】
前記収容部に収容される前記診療用器具が予め定められた検知箇所へ到達したことを検知するセンサと、
前記チューブの前記斜め部分の上方に配置され、当該チューブが前記検知箇所に向かうことを規制するチューブ規制部と、
をさらに備える請求項1に記載の診療用装置。
【請求項5】
前記チューブ規制部は、前記チューブを挟み、前記チューブ支持部の設置側とは反対側に配置されるとともに、当該チューブ支持部の対向位置に配置され、
前記チューブが、前記チューブ規制部と前記チューブ支持部との間を通過する請求項4に記載の診療用装置。
【請求項6】
前記チューブ支持部は、前記チューブの延び方向と交差する方向に沿った回転軸を中心に回転可能となっている請求項1に記載の診療用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アームレストが、患者の手及び/又は前腕のマッサージを行うアームマッサージ部を備え、アームマッサージ部が、歯科治療ユニットのインスツルメントを制御するフットコントローラの操作に連動して動作する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯科用の診療用装置では、診療用器具が収容部に収容されて、診療用器具の収容が行われることがある。
ここで、診療用器具から延びるチューブが下方に向かう構成では、このチューブの影響を診療用器具が受け、診療用器具の姿勢が、収容部に診療用器具が入りにくくなる姿勢になるなどの事態が生じうる。この場合、収容部への診療用器具の収容の確実性が低下する。
本発明の目的は、収容部への診療用器具の収容の確実性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される診療用装置は、歯科の診療に用いられる診療用器具が収容される収容部と、前記収容部に収容される前記診療用器具から下方へ延びるチューブのうちの斜め下方に向かう部分である斜め部分を下方から支持するチューブ支持部と、を備える診療用装置である。
【0006】
ここで、前記収容部に前記診療用器具が収容される際、斜め下方へ当該診療用器具が移動して当該収容部への当該診療用器具の収容が行われ、前記チューブ支持部は、斜め下方へ移動する前記診療用器具から斜め下方へ延びる前記チューブの前記斜め部分を下方から支持するようにしてもよい。
また、前記チューブ支持部によって前記斜め部分が下方から支持されることで、当該チューブ支持部による当該斜め部分の支持が行われない場合に比べ、前記斜め下方へ移動する前記診療用器具の水平方向に対する傾斜角度が小さくなるようにしてもよい。
【0007】
また、前記収容部に収容される前記診療用器具が予め定められた検知箇所へ到達したことを検知するセンサと、前記チューブの前記斜め部分の上方に配置され、当該チューブが前記検知箇所に向かうことを規制するチューブ規制部と、をさらに備えるようにしてもよい。
また、前記チューブ規制部は、前記チューブを挟み、前記チューブ支持部の設置側とは反対側に配置されるとともに、当該チューブ支持部の対向位置に配置され、前記チューブが、前記チューブ規制部と前記チューブ支持部との間を通過するようにしてもよい。
また、前記チューブ支持部は、前記チューブの延び方向と交差する方向に沿った回転軸を中心に回転可能となっているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収容部への診療用器具の収容の確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1の矢印IIで示す方向からインスツルメントホルダを見た場合の斜視図である。
【
図4】
図3の矢印IVで示す方向から支持部材の一部を見た場合の図である。
【
図5】
図2のV―V線におけるインスツルメントホルダの断面図である。
【
図6】
図5の矢印VIで示す方向から第2回転体、回転体支持部材を見た場合の斜視図である。
【
図7】インスツルメントホルダの後部側からインスツルメントホルダを見た場合の斜視図である。
【
図8】支持部材に診療用器具が挿入される際の診療用器具の動きを説明する図である。
【
図9】支持部材から診療用器具が取り出される際の支持部材、診療用器具等の状態を示した図である。
【
図10】診療用器具の接続部のみが支持部材に挿入された状態を示した図である。
【
図11】インスツルメントホルダの比較例を示した図である。
【
図12】接続部が支持部材に挿入される際における本実施形態の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、歯科の診療に用いられる歯科用の診療用装置100を示した図である。
図1にて示すこの診療用装置100では、床面の上に、患者を下方から支持する歯科用の診療台2が設けられている。診療台2には、患者を下方から支持する支持部200と、この支持部200を昇降させる昇降機構250とが設けられている。
昇降機構250には、モータなどの駆動源(不図示)が設けられ、この駆動源が駆動することで支持部200が昇降する。
【0011】
支持部200には、座板2bが設けられている。さらに、診療台2には、背もたれ2cが設けられている。背もたれ2cは、一端が座板2bに取り付けられ、この一端を中心に回転する。
さらに、診療台2には、背もたれ2cに取り付けられ、患者の頭を支えるヘッドレスト2dが設けられている。
また、診療台2には、患者の脚部を支持する脚部支持部2eが設けられている。
【0012】
本実施形態では、座板2bの表面が、患者の臀部を支持する支持面2fとなっており、診療の際には、まず、座板2bの上に患者が座る。
なお、この際(患者が座る際)、背もたれ2cは、
図1にて示している状態とは異なり、立った状態(起きた状態)となっている。また、患者が座る際、脚部支持部2eは、
図1にて示している状態とは異なり、垂れ下がった状態となっている。
その後、本実施形態では、座板2bが上昇し、さらに、背板2cが倒れるようになる。また、脚部支持部2eが、一端部2gを中心に回転し、脚部支持部2eの他端部2hが、上昇する。
【0013】
さらに、本実施形態では、歯科医師などの診療者の足により操作されるフットコントローラ49が設けられている。
また、診療用装置100には、診療台2の脇に、医師用のトレーテーブル3が設けられ、さらに、医師用のインスツルメントホルダ10が設けられている。さらに、診療台2を挟みトレーテーブル3の反対側には、アシスタント用のインスツルメントホルダ4が設けられている。
さらに、可動する支持腕13が設けられており、トレーテーブル3、インスツルメントホルダ10は、この支持腕13により支持されている。これにより、トレーテーブル3、インスツルメントホルダ10は、水平及び上下方向に移動可能となっている。
また、診療用装置100には、患者の口腔への光照射を行う歯科用照明装置90、歯科用照明装置90を支持するアーム6b、アーム6bを支持する支柱6cが設けられている。
【0014】
図2は、
図1の矢印IIで示す方向からインスツルメントホルダ10を見た場合の斜視図である。
本実施形態では、インスツルメントホルダ10に、上方から下方に向かう貫通孔Hが設けられている。そして、この貫通孔Hには、歯科の診療に用いられる診療用器具300を支持する支持部材400が入れられている。この支持部材400は、筒状に形成されている。
診療用器具300としては、特に限定されないが、例えば、切削工具を備えるハンドピースや、水や空気などを噴射するスリーウェイシリンジや、患者の口腔内の唾液などの液体の吸引を行う吸引用器具が一例に挙げられる。
【0015】
貫通孔Hおよび支持部材400は、複数組設けられ、複数組設けられた貫通孔Hおよび支持部材400は、インスツルメントホルダ10の幅方向に並んだ状態で配置されている。
本実施形態では、インスツルメントホルダ10によって、ハンドピースなどの各種の診療用器具300が支持される。インスツルメントホルダ10による診療用器具300の支持が行われる際には、筒状に形成された支持部材400の内部に、診療用器具300が挿入される。
【0016】
図3は、支持部材400の斜視図である。
支持部材400は、筒状に形成され、本実施形態では、筒状に形成されたこの支持部材400の内部が、診療用器具300が収容される収容部401となっている。
支持部材400の軸方向における一方の端部402Aには、開口403が設けられている。この開口403は、診療用器具300が支持部材400に入れられる際の入口部となる開口である。言い換えると、開口403は、診療用器具300が収容部401に収容される際の入口部となる開口である。
以下、この一方の端部402Aに位置する開口403を、「入口側開口403」と称する。
【0017】
また、本実施形態では、支持部材400の軸方向における他方の端部402Bにも、開口404が設けられている。この開口404は、入口側開口403が設けられている側とは反対側に位置する。以下、この開口404を、「反対側開口404」と称する。
さらに、支持部材400の入口側開口403には、符号3Aで示す回転軸を中心に回転する円筒状の第1回転体405が設けられている。
本実施形態では、この第1回転体405によって、この第1回転体405により下方から支持される診療用器具300やチューブ(後述)が、より円滑に移動する。
さらに、支持部材400の下部には、支持部材400の軸方向に沿って延びる開口408(以下、「軸方向開口408」と称する)が設けられている。
【0018】
軸方向開口408は、支持部材400の外周面400G側から内周面400N側に向かって形成され、支持部材400を貫通する形で設けられている。本実施形態では、軸方向開口408によって、支持部材400の内側の空間と外側の空間とが接続される。
軸方向開口408は、第1回転体405が設けられている箇所から、支持部材400の他方の端部402Bにかけて設けられている。
【0019】
支持部材400の他方の端部402Bでは、軸方向開口408は塞がっておらず、符号3Cで示す箇所では、軸方向開口408は開放されている。
軸方向開口408は、スリットとして捉えることもでき、本実施形態の支持部材400には、支持部材400の軸方向に沿って延びるスリットが形成されている。
【0020】
軸方向開口408の延び方向と直交する方向における軸方向開口408の幅Wは、診療用器具300(
図2参照)の外径よりも小さく、この診療用器具300に接続されるチューブ(後述)の外径よりも大きい。
このため、本実施形態では、後述するように、軸方向開口408をチューブは通るが、診療用器具300については、軸方向開口408を通らない。
【0021】
さらに、本実施形態では、支持部材400の内周面400Nのうちの、軸方向開口408の両脇の部分に、診療用器具300の案内に用いられる案内面411が設けられている。
この案内面411は、支持部材400の軸方向に沿って設けられている。さらに、この案内面411は、支持部材400の下部に設けられている。
【0022】
図4は、
図3の矢印IVで示す方向から支持部材400の一部を見た場合の図である。
図4では、支持部材400の周囲に配置されたセンサ420も併せて表示している。
センサ420は、診療用器具300の検知に用いられる。センサ420は、透過型のセンサ420により構成されている。
本実施形態では、センサ420の一部を構成する光源421からの光が、センサ420の他の一部を構成する受光部422に達する構成となっている。
【0023】
支持部材400には、センサ420から出射された光を通すための貫通孔431が設けられている。
貫通孔431は、支持部材400の軸方向と交差(直交)する方向に沿って延びるように形成されている。また、この貫通孔431は、反対側開口404側に設けられている。
本実施形態では、センサ420の一部を構成する光源421からの光が、貫通孔431を通って、センサ420の他の一部を構成する受光部422に達する。
【0024】
本実施形態では、
図3の符号3Yで示す箇所が、診療用器具300の検知箇所441となっている。
図4に示すセンサ420は、検知箇所441に診療用器具300が存在せず、光源421からの光を受光部422が検知している場合、支持部材400に診療用器具300が挿入されていないことを検知する。
また、センサ420は、検知箇所441に診療用器具300が存在し、光源421からの光を受光部422が検知していない場合、支持部材400に診療用器具300が挿入されていることを検知する。
センサ420は、収容部401に収容される診療用器具300が予め定められた上記の検知箇所441へ到達したことを検知する。
【0025】
図5は、
図2のV―V線におけるインスツルメントホルダ10の断面図である。
図5に示すように、本実施形態では、診療用器具300に、チューブ450が接続されている。このチューブ450は、収容部401に収容される診療用器具300から下方へ延びるように設けられている。
診療用器具300は、器具本体部310と、この器具本体部310とチューブ450とを接続する接続部320とを備える。
【0026】
本実施形態では、チューブ450を介し、診療用器具300に対して、電力や圧縮空気や水など被供給物が供給される。
また、診療用器具300が吸引用器具である場合には、吸引用器具から排出される液体が、チューブ450を通って、この吸引用器具の外部へ移動する。
【0027】
チューブ450は、不図示の引っ張り機構によってチューブ450の根本側に向かって引っ張られている。言い換えると、チューブ450は、不図示の引っ張り機構によって、診療用器具300が設けられている側とは反対側に向かって引っ張られている。
これにより、本実施形態では、支持部材400の内部に、診療用器具300が向かうようになる。
【0028】
また、本実施形態のインスツルメントホルダ10では、チューブ450を下方から支持するチューブ支持部の一例としての第2回転体407がさらに設けられている。
第2回転体407は、診療用器具300から下方へ延びるチューブ450のうちの斜め下方に向かう部分である斜め部分453を下方から支持する(後述)。
さらに、本実施形態のインスツルメントホルダ10には、第2回転体407の支持を行う回転体支持部材510が設けられている。
【0029】
さらに、本実施形態では、チューブ450を挟み第2回転体407の設置側とは反対側に、チューブ450の上方への移動を規制するチューブ規制部560が設けられている。
チューブ規制部560は、チューブ450の斜め部分453の上方に配置されている。チューブ規制部560は、第2回転体407との間に位置する間隙を挟み、第2回転体407の対向位置に配置されている。
チューブ規制部560は、診療用器具300が支持部材400の外部に位置する状態(
図9参照)にて、チューブ450が検知箇所441に向かうことを規制する。
【0030】
図5に示すように、チューブ450は、チューブ規制部560と第2回転体407との間を通過する。
本実施形態では、支持部材400に診療用器具300が挿入されている状態では、案内面411(
図3参照)および第1回転体405によって、診療用器具300が下方から支持される。
【0031】
図6は、
図5の矢印VIで示す方向から第2回転体407、回転体支持部材510を見た場合の斜視図である。
本実施形態では、回転体支持部材510に、支持部材400(
図5参照)が設けられている側とは反対側に向かって突出する板金511が取り付けられている。
本実施形態では、この板金511の突出方向における先端部に、第2回転体407が取り付けられている。第2回転体407は、チューブ450(
図5参照)の延び方向と交差(直交)する形で設けられている。
また、第2回転体407は、チューブ450の延び方向と交差する方向に沿った回転軸407Aを中心に回転可能となっている。
【0032】
図7は、インスツルメントホルダ10の後部側からインスツルメントホルダ10を見た場合の斜視図である。
本実施形態では、インスツルメントホルダ10の後部に、インスツルメントホルダ10の幅方向に沿って延びる棒状の部材590が設けられている。
本実施形態では、この棒状の部材590の一部が、上記のチューブ規制部560として機能する。
図7においては、第2回転体407とチューブ規制部560との間に隙間Gが形成され、本実施形態では、この隙間Gを、チューブ450(
図7では不図示)が通る。
【0033】
図5を再度参照して、支持部材400等についてさらに説明する。
本実施形態では、支持部材400に診療用器具300が挿入されると、器具本体部310および接続部320の両者が、支持部材400の内部に入り込む。
言い換えると、支持部材400に診療用器具300が挿入されると、器具本体部310および接続部320の両者が、支持部材400に設けられた収容部401に収容される。
【0034】
本実施形態では、収容部401に診療用器具300が収容される際、矢印5Aで示す方向である斜め下方へ診療用器具300が移動して収容部401への診療用器具300の収容が行われる。
図5では図示を省略するが、この際、チューブ支持部として機能する第2回転体407は、斜め下方へ移動するこの診療用器具300から斜め下方へ延びるチューブ450の斜め部分453を下方から支持する。
そして、支持部材400の奥まで診療用器具300が入ると、支持部材400の内周面400Nから突出した突起400TKに対して、接続部320が突き当たり、これ以上の診療用器具300の移動が規制される。
【0035】
上記では説明を省略したが、本実施形態では、支持部材400の内周面400Nに、この内周面400Nから突出した突起400TKが設けられている。
本実施形態では、この突起400TKによって、支持部材400の奥側方向へ向かう診療用器具300の移動が規制される。
さらに、本実施形態では、符号5Cで示す箇所が、診療用器具300の検知が行われる検知箇所441となっており、この検知箇所441に診療用器具300が位置すると、センサ420(
図4参照)によって、診療用器具300が検知される。
【0036】
図8は、支持部材400に診療用器具300が挿入される際の診療用器具300の動きを説明する図である。
本実施形態では、支持部材400の内部へ診療用器具300が挿入される際には、支持部材400の外部にある診療用器具300が、矢印8Aで示す方向へ向かう。
具体的には、診療用器具300は、案内面411(
図3参照)が延びる方向であって、支持部材400の奥側方向に向かう。
支持部材400の奥側方向へ診療用器具300が向かう際、診療用器具300は、案内面411による案内が行われながらこの奥側方向へ向かう。
【0037】
なお、診療用器具300から延びるチューブ450については、軸方向開口408を通る形となり、案内面411による案内は行われない。
また、本実施形態では、支持部材400の奥側方向へ診療用器具300が向かう際、第1回転体405によって、チューブ450、診療用器具300が下方から支持され、また、第2回転体407によって、チューブ450が下方から支持される。より具体的には、第2回転体407によって、チューブ450の斜め部分453が下方から支持される。
【0038】
診療用器具300が、支持部材400の案内面411により案内されながら、支持部材400の奥側方向へ向かって移動して突起400TKまで達すると、
図5に示す状態となる。
この状態では、案内面411(
図5では不図示)によって、下方から、診療用器具300が支持される状態となる。また、この状態では、チューブ規制部560と第2回転体407との間にチューブ450が位置する状態となる。
【0039】
図9は、支持部材400から診療用器具300が取り出される際の支持部材400、診療用器具300等の状態を示した図である。
本実施形態では、支持部材400から診療用器具300が取り出される際には、診療用器具300が、支持部材400の外部へ向かうように移動する。
診療用器具300が支持部材400の外部へ向かうと、チューブ450が、第1回転体405および第2回転体407の両者に跨る形となり、この第1回転体405および第2回転体407の両者によって下方から支持される。この状態のとき、チューブ450の一部が、軸方向開口408内に位置する状態となる。
【0040】
診療用器具300が支持部材400の外部へ向かうと、診療用器具300およびチューブ450が、検知箇所441から外れた箇所に位置するようになる。
これにより、本実施形態では、センサ420(
図4参照)によって、支持部材400から診療用器具300が取り外されたことが検知される。
【0041】
本実施形態では、チューブ450の移動経路と、センサ420による検知の対象となる診療用器具300の移動経路とが異なっている。
支持部材400から診療用器具300が取り出される際、診療用器具300は、案内面411(
図3参照)に沿った直線状の経路R1を通る。
これに対し、支持部材400から診療用器具300が取り出される際、チューブ450は、診療用器具300が移動する際に通る経路R1とは異なる経路R2を通る。具体的には、チューブ450は、軸方向開口408内を通過する経路R2を通る。
【0042】
これにより、本実施形態では、チューブ450が、検知箇所441を通過する事態が避けられ、センサ420が、チューブ450を検知する事態が避けられる。
これにより、支持部材400から診療用器具300が取り出されているにも関わらず、未だ支持部材400に診療用器具300が挿入されていると誤検知されてしまう事態が避けられる。
【0043】
ここで、軸方向開口408が設けられていない場合を想定する。
この場合、支持部材400から診療用器具300が取り出される際、チューブ450は、支持部材400の反対側開口404、支持部材400の内部、入口側開口403を順に通って、支持部材400の外部に向かうことになる。
この場合、チューブ450が、検知箇所441に位置するようになり、支持部材400から診療用器具300が取り出されているにも関わらず、センサ420が、チューブ450を検知する事態が生じる。
これに対し、本実施形態の構成では、チューブ450は、検知箇所441を経由せず、軸方向開口408を通って入口側開口403に向かう。このため、センサ420が、チューブ450を検知する事態が生じにくくなる。
【0044】
さらに、本実施形態では、チューブ規制部560が設けられており、これによっても、センサ420がチューブ450を検知する事態が生じにくくなる。
図9にて示した状態から、チューブ450が、検知箇所441側へ移動した場合、センサ420がチューブ450を検知する事態が生じうる。
これに対し、本実施形態の構成では、チューブ規制部560によって、検知箇所441側へのチューブ450の移動が規制される。これにより、センサ420がチューブ450を誤って検知する事態が生じにくくなる。
【0045】
図10は、診療用器具300の接続部320のみが支持部材400に挿入された状態を示した図である。
本実施形態では、器具本体部310(
図10では不図示)の滅菌等のために、器具本体部310が診療用器具300から取り外される場合があり、この場合は、
図10に示すように、診療用器具300の接続部320のみが、支持部材400に挿入される。
【0046】
本実施形態では、接続部320のみが支持部材400に挿入される場合も、接続部320が、支持部材400の内部に入り込み、支持部材400の内周面400Nに形成された突起400TKに突き当たる。
この場合も、検知箇所441に、診療用器具300の一部である接続部320が位置する状態となり、センサ420(
図4参照)によって、診療用器具300が検知される。
【0047】
図11は、インスツルメントホルダ10の比較例を示した図である。
この比較例では、上記にて説明したチューブ規制部560、第2回転体407が設けられていない。
このため、接続部320が支持部材400に挿入される際に、接続部320が、支持部材400の入口側開口403などに引っ掛かるなどして、接続部320の移動が規制されやすくなる。
【0048】
チューブ支持部として機能する第2回転体407が設けられていないこの比較例では、第2回転体407が設けられている本実施形態の構成に比べ、
図11に示すように、接続部320が起立しやすくなる。
具体的には、比較例の構成では、接続部320のうちのチューブ450側の端部320Tが、チューブ450によって下方に向けて引っ張られ、接続部320が起立しやすくなる。
【0049】
この場合、支持部材400の入口側開口403側にて、接続部320が支持部材400に引っ掛かりやすくなり、支持部材400の奥まで接続部320が入らない事態が生じやすくなる。この場合、センサ420による診療用器具300の検知が行われなくなってしまう。
この場合、支持部材400へ診療用器具300を挿入する操作を行ったとユーザが認識しているにも関わらず、実際には、この挿入が不完全となり、支持部材400への診療用器具300の挿入が行われない事態が生じうる。
【0050】
図12は、接続部320が支持部材400に挿入される際における本実施形態の状態を示した図である。
図11にて示した比較例に対し、本実施形態では、
図12に示すように、接続部320が支持部材400に挿入される際、第2回転体407によって、チューブ450の斜め部分453が下方から支持され、下方へのチューブ450の移動が規制される。
この場合、
図12に示すように、接続部320が寝やすくなる。言い換えると、この場合、接続部320が、支持部材400に設けられた案内面411に沿いやすくなる。
【0051】
本実施形態では、第2回転体407によって、チューブ450の斜め部分453が下方から支持されることで、第2回転体407による斜め部分453の支持が行われない場合に比べ、斜め下方へ移動しようとする診療用器具300の水平方向に対する傾斜角度θが小さくなる。
この場合、診療用器具300が、案内面411に沿って移動しやすくなり、診療用器具300が、突起400TKまで達しやすくなる。言い換えると、この場合、検知箇所441まで診療用器具300が達しやすくなる。この場合、センサ420(
図4参照)が、診療用器具300を検知することになる。
【0052】
なお、
図8に示すように、接続部320に器具本体部310が取り付けられている場合には、第2回転体407が設けられていない構成であっても、診療用器具300が、支持部材400の奥まで入りやすい。
接続部320に器具本体部310が取り付けられている場合には、器具本体部310の重さによって、
図8の矢印8Cで示す回転モーメントが診療用器具300に作用する。
この場合、診療用器具300の状態が
図11に示す状態とはなりにくく、案内面411に対して診療用器具300が沿いやすくなる。この場合、案内面411に沿って診療用器具300が移動しやすく、支持部材400の奥まで診療用器具300が達しやすくなる。
【0053】
診療用器具300が接続部320のみの状態となると、上記の回転モーメントが小さくなり、案内面411に診療用器具300が沿いにくくなる。この場合、支持部材400の奥まで診療用器具300が達しにくくなる。
これに対し、本実施形態のように、第2回転体407が設けられていると、診療用器具300が接続部320のみの状態であったとしても、案内面411に対して診療用器具300が沿いやすくなる。この場合、支持部材400の奥まで診療用器具300が達しやすくなる。
【0054】
なお、第2回転体407(
図9参照)を設けると、第2回転体407が設けられてない上記の比較例に比べ、チューブ450が、検知箇所441に近づくようになる。この場合、センサ420(
図9では不図示)によるチューブ450の検知が行われやすくなり、誤検知が生じやすくなる。
これに対し、本実施形態では、チューブ規制部560が設けられており、検知箇所441に近づく方向へのチューブ450の移動が規制される。これにより、センサ420によるチューブ450の検知が行われにくくなり、誤検知が生じにくくなる。
【符号の説明】
【0055】
100…診療用装置、300…診療用器具、401…収容部、407…第2回転体、407A…回転軸、420…センサ、450…チューブ、453…斜め部分、560…チューブ規制部