(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021653
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ストッカ
(51)【国際特許分類】
A47G 29/122 20060101AFI20240208BHJP
A47G 29/12 20060101ALI20240208BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A47G29/122 Z
A47G29/12 D
A47G29/12 Z
E05B65/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124642
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】柿木 正行
(72)【発明者】
【氏名】山内 高広
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA03
3K100CA43
3K100CA45
3K100CA49
3K100CA60
3K100CC05
3K100CC10
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】扉が開放された納品庫の位置をより確実に視認する。
【解決手段】本開示のストッカは、物品を収容する納品庫と、納品庫を閉鎖し施錠可能な扉と、扉の端部に設けられ扉表面とは異なる視認性を有する視認部と、扉の開放及び閉鎖を行う扉駆動部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する納品庫と、
前記納品庫を閉鎖し施錠可能な扉と、
前記扉の端部に設けられ前記扉表面とは異なる視認性を有する視認部と、
前記扉の開放及び閉鎖を行う扉駆動部と、
を備えたストッカ。
【請求項2】
前記視認部は、前記扉表面とは異なる色で形成された色領域、及び/又は前記扉表面の平面とは異なる凹凸面である、請求項1に記載のストッカ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のストッカであって、
使用者からの入力を受け付ける操作パネル、を備え、
前記扉は、前記操作パネル側が開放端部であり、支持軸に支持され回動して前記納品庫を開放するものであり、
前記扉駆動部は、前記操作パネルからの入力に基づいて前記扉を開放し、
前記視認部は、前記操作パネル側の端部に形成されており、前記扉の開放時に前記使用者に視認可能に外部に露出する、ストッカ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のストッカであって、
使用者からの入力を受け付ける操作パネル、を備え、
前記扉は、前記操作パネル側とは反対側が開放端部であり、支持軸に支持され回動して前記納品庫を開放するものであり、
前記扉駆動部は、前記操作パネルからの入力に基づいて前記扉を開放し、
前記視認部は、前記操作パネル側の端部に形成されており、前記扉の閉鎖時に前記使用者に視認可能に外部に露出する一方、前記扉の開放時に隠れる、ストッカ。
【請求項5】
前記扉駆動部は、前記扉を45°以下の角度範囲で開放する、請求項1又は2に記載のストッカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、ストッカを開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストッカとしては、預入れ者が依頼ボタンを押すと、ロックが解除されたドアの横に設けられているランプが、ロック解除信号に基づいて点灯し、預入れ者が空いているロッカーと空いていないロッカーとを判別することができるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載されたストッカでは、ロック解除信号に基づいてランプを点灯することにより、ロックが解除された扉を報知するが、煩雑な構成であり、ランプが点灯しない場合などには、ロックを解除した扉が視認できないことも生じ得た。このように、ストッカでは、扉が開放された納品庫の位置を確実に視認することが求められていた。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、扉が開放された納品庫の位置をより確実に視認することができるストッカを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のストッカは、
物品を収容する納品庫と、
前記納品庫を閉鎖し施錠可能な扉と、
前記扉の端部に設けられ前記扉表面とは異なる視認性を有する視認部と、
前記扉の開放及び閉鎖を行う扉駆動部と、
を備えたものである。
【0008】
このストッカでは、扉表面とは異なる視認性を有する視認部が扉の端部に設けられており、扉の開閉と共に、この視認部が視認されるか、又は視認部が隠れることにより、使用者は、開放された扉を視認することができる。したがって、このストッカでは、扉が開放された納品庫の位置をより確実に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ストッカシステム10の一例を示す概略説明図。
【
図2】納品庫20及び視認部24,24B,24Cの一例を示す説明図。
【
図3】扉制御ルーチンの一例を表すフローチャート。
【
図6】支持軸が異なる別の扉22Bの一例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、ストッカシステム10の一例を表す概略説明図である。
図2は、納品庫20及び視認部24,24B,24Cの一例を示す説明図であり、
図2Aが視認部24の一例の説明図、
図2Bが視認部24Bの一例の説明図、
図2Cが視認部24Cの一例の説明図である。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、各図に示した通りとする。
【0011】
ストッカシステム10は、1又は2以上のストッカ11と、管理装置12とを備えている。なお、
図1では、ストッカ11を1つだけ示した。管理装置12は、ネットワーク13を介してストッカ11と情報のやりとりを行うサーバとして構成されている。この管理装置12は、ストッカ11の利用状況などを管理する。
【0012】
ストッカ11は、
図1に示すように、1以上の納品庫20と、制御ユニット30とを備える。納品庫20は、物品Aを納入可能な箱状の収容部材である。制御ユニット30は、各納品庫20への物品Aの納入や取り出しに関する各種操作を受け付け、各納品庫20の施錠や解錠に関する各種処理を行うものである。ストッカ11は、上下に複数個(
図1では4個)ずつの納品庫20が左右に複数列(
図1では5列)並んで配置されており、左端の列の1の納品庫20に代えて制御ユニット30が配置されている。このストッカ11は、オフィスやコンビニエンスストア、駅、学校、マンション、ショッピングセンタなど様々な場所に設置され、屋内だけでなく屋外にも設置可能に構成されている。ストッカ11は、いずれかの納品庫20を配達先として配達者により物品Aが納入された後に、物品Aを受け取る使用者Mがこの納品庫20から物品Aを取り出して物品Aを受け取ることで、配達者により配達される物品Aの受け渡しに用いられる。
【0013】
納品庫20は、
図1に示すように、本体21と、扉22と、扉駆動部23とを備える。本体21は、物品Aを収容する直方体状の空間を有する箱体である。納品庫20は、扉22を開いて本体21内の空間に物品Aを納入可能となっている。本体21には図示しないロック機構が配設されており、このロック機構により扉22が施錠される。ロック機構は、駆動部により駆動され機械的にロックする機構としてもよいし、電磁的にロックする機構としてもよい。扉22は、本体21の開口部を開放及び閉鎖し施錠可能な矩形板状の部材である。この扉22は、支持軸に支持され回動して納品庫を開放、閉鎖するものである。この納品庫20では、上下方向に沿った支持軸が扉22の右側に配設され、操作パネル33側が開放端部であり、支持軸に支持された扉22が右開きで開口部を開放する(
図1参照)。
【0014】
扉駆動部23は、扉22を駆動し開放及び閉鎖するものであり、例えば、モータとしてもよいし、アクチュエータとしてもよいし、電力不要のバネ機構としてもよい。この扉駆動部23は、支持軸に直結されていてもよいし、支持軸にギアを介して接続されているものとしてもよい。また、扉駆動部23は、ロック機構を含んで構成されていてもよい。扉駆動部23は、扉22を開放する際は、扉22を45°以下の角度範囲で開放するものとしてもよい。この扉22の開放角度は、できるだけ小さい方が好ましく、30°以下としてもよいし、20°以下としてもよいし、15°以下としてもよい。また、扉駆動部23は、扉22の開放角度を5°以上としてもよい。
【0015】
扉22には、その端部に設けられ、扉表面25とは異なる視認性を有する視認部24が設けられている。視認部24は、操作パネル33を操作する使用者Mが扉22の開放を視認できる部位である。ストッカ11において、扉22が操作パネル33側が開放端部であり、支持軸に支持され回動して納品庫20を開放する場合、視認部24は、操作パネル33側の端部に形成されており、扉22の開放時に使用者Mに視認可能に外部に露出するものとしてもよい。このとき、視認部24は、支持軸が扉22の右側に配設された右開きの扉22では、扉22の左端部に形成されていることが好ましく、支持軸が扉22の左側に配設された左開きの扉22では、扉22の右端部に形成されていることが好ましい。視認部24は、
図2Aに示すように、扉表面25とは異なる色で形成された色領域としてもよい。色領域は、例えば、色相、彩度、明度のうち1以上が扉表面25とは異なるものとしてもよい。また、視認部24は、例えば、赤、青、緑、黄色など、扉表面25の色とは異なる色であって、視認しやすい色であることが好ましい。また、扉表面25とは異なる視認性を有する視認部は、
図2Aに示すように、扉表面25の平面とは異なる凹凸面である視認部24Bとしてもよい。凹凸面は、例えば、操作パネル33を操作する使用者Mが扉22の開放を視認可能なものであれば特に限定されず、扉22の端部面に対して凹面か凸面など平行な平行面としてもよいし、端部面に直交する垂直面としてもよいし、端部面に対して傾斜する傾斜面としてもよいし、これらの2以上を組み合わせた複合面としてもよい。あるいは、扉表面25とは異なる視認性を有する視認部は、
図2Cに示すように、扉表面25とは異なる色で形成され、且つ扉表面25の平面とは異なる凹凸面である視認部24Cとしてもよい。
【0016】
制御ユニット30は、
図1に示すように、制御部32と、操作パネル33とを備える。制御部32は、各納品庫20と同じサイズの直方体状の本体内の空間に配置されている。制御部32は、ストッカ11の全体を制御するものであり、図示しないCPUや記憶部を備えている。操作パネル33は、前面パネル31の中央に配設されている。操作パネル33は、使用者Mからの入力を受け付けるものであり、タッチ操作が可能な画面を有している。この操作パネル33は、例えば、物品Aの納入や取り出しに関する操作案内などを表示する案内画像や物品Aの納入や取り出しに関する入力操作などを受け付ける操作画像などを画面に表示する。この前面パネル31には、そのほかの機器として、カードリーダ、コードリーダ、受領印モジュール、カメラモジュール、シリンダ錠、音声ユニット及び人感センサなどが配設されている。制御部32は、前面パネル31に配設された操作パネル33やその他の機器の操作により配達者や受取者などの使用者が入力した情報などに基づいて、扉22の開錠や施錠などを行う。
【0017】
次に、このように構成された納品庫20において、扉22を開放する際の動作について説明する。
図3は、制御部32が実行する扉制御ルーチンの一例を表すフローチャートである。扉制御ルーチンは、制御部32が有する記憶部に記憶され、制御ユニット30が起動されたあと、所定のタイミングで繰り返し実行される。このルーチンを開始すると、制御部32は、扉22の開放指令を取得したか否かを判定する(S100)。扉22の開放指令を取得していないときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、S100で、開放指令を取得すると、制御部32は、使用者Mが認識できる開放角度θ1で扉22の開放を実行し(S110)、作業終了後に扉22を閉鎖する旨のメッセージを操作パネル33に表示させる(S120)。制御部32は、使用者Mからの開放指令を操作パネル33からの入力に基づいて取得する。なお、制御部32は、使用者Mからの開放信号を、操作パネル33を介さずに使用者Mの携帯端末から直接あるいは管理装置12などを介して間接的に取得するものとしてもよい。
【0018】
図4は、開放前後の扉22の一例の説明図であり、
図4Aが扉22の開放前、
図4Bが扉22の開放時の説明図である。
図5は、開放前後の扉22の一例の説明図であり、
図5Aが扉22の開放前、
図5Bが扉22の開放時の説明図である。制御部32は、
図4B、
図5Bに示すように、小さな開放角度θ1で扉22を開放する。制御部32は、45°以下の角度範囲で扉22を開放するよう扉駆動部23を制御するものとしてもよい。この開放角度θ1は、45°であるもとしてもよいし、45°よりも小さい30°以下や20°以下としてもよい。使用者Mは、開放角度がより小さくても、扉22の開放と共にその端部に形成された視認部24が外部に露出するため、扉22の開放を視認することができる。また、開放角度がより小さいと、扉22が通行人などへ接触することをより抑制することができる。使用者Mは、扉22が開放されたことを確認すると、所望の作業を行う。例えば、使用者Mが物品Aを受け取る場合、使用者Mは、扉22が開放された本体21の前へ移動し、扉22をより開放して中に収容された物品Aを取り出し、扉22を閉鎖する。
【0019】
S120のあと、制御部32は、図示しない扉センサからの信号に基づいて扉22が閉鎖されたか否かを判定し(S130)、扉22が閉鎖されていないときには、S120以降の処理を実行する。一方、S130で扉22が閉鎖されたときには、制御部32は、扉22の施錠を実行し(S140)、処理内容を記憶すると共に処理内容を管理装置12へ出力し(S150)、このルーチンを終了する。このように、ストッカ11は、使用者Mに応じた扉22の開放を行い、物品Aのやりとりを行うことができる。
【0020】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の納品庫20が本開示の納品庫の一例であり、扉22が扉の一例であり、扉駆動部23が扉駆動部の一例であり、視認部24が視認部の一例である。
【0021】
以上説明した本実施形態のストッカ11は、物品Aを収容する納品庫20と、納品庫20を閉鎖し施錠可能な扉22と、扉22の端部に設けられ扉表面25とは異なる視認性を有する視認部24と、扉22の開放及び閉鎖を行う扉駆動部23と、を備える。このストッカ11では、扉表面25とは異なる視認性を有する視認部24が扉22の端部に設けられており、扉22の開閉と共に、この視認部24が視認されることにより、使用者Mは、開放された扉22を視認することができる。したがって、このストッカ11では、扉22が開放された納品庫20の位置をより確実に視認することができる。
【0022】
また、視認部24は、扉表面25とは異なる色で形成された色領域、及び/又は扉表面25の平面とは異なる凹凸面であるため、このストッカ11では、相違する色、もしくは凹凸面によって開放された扉22をより確実に視認することができる。また、ストッカ11は、使用者Mからの入力を受け付ける操作パネル33、を備え、扉22は、操作パネル33側が開放端部であり、支持軸に支持され回動して納品庫20を開放するものであり、扉駆動部23は、操作パネル33からの入力に基づいて扉22を開放し、視認部24は、操作パネル33側の端部に形成されており、扉22の開放時に使用者Mに視認可能に外部に露出する。このストッカ11では、操作パネル33で操作している使用者M側の端部に視認部24が形成されており、扉22の開放と共にこの視認部24が露出することによって、扉22が開放された納品庫の位置をより確実に視認することができる。更に、扉駆動部23は、扉22を45°以下の角度範囲で開放する。このストッカ11では、比較的小さな開放度合いで開放される際に、扉22が開放された納品庫20の位置をより確実に視認することができる。
【0023】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0024】
例えば、上述した実施形態では、視認部24は、操作パネル33側の開放端部に設けられているものとしたが、特にこれに限定されず、操作パネル33側に配設された支持軸側の端部に設けられているものとしてもよい。
図6は、支持軸が異なる別の扉22Bの一例の説明図であり、
図6Aが扉22Bの開放前の説明図、
図6Bが扉22Bの開放時の説明図である。このストッカ11では、扉22Bは、操作パネル33側とは反対側が開放端部であり、支持軸に支持され回動して納品庫22を開放するものであり、扉駆動部23は、操作パネル33からの入力に基づいて扉22Bを開放する。また、視認部24は、操作パネル33側の端部に形成されており、扉22Bの閉鎖時に使用者Mに視認可能に外部に露出する一方、扉22Bの開放時に隠れるものとする。このストッカ11においても、操作パネル33で操作している使用者M側の端部に視認部24が形成されており、扉22Bの開放と共にこの視認部24が隠されることによって、扉22Bが開放された納品庫20の位置をより確実に視認することができる。
【0025】
上述した実施形態では、ストッカ11が複数の納品庫20を備えるものとしたが、これに限られず、1つの納品庫20を備えるものとしてもよい。また、上述した実施形態では、ストッカシステム10は、ネットワーク13に接続された管理装置12を有するものとしたが、管理装置12を省略してもよいし、管理装置12の機能を制御部32に備えるものとしてもよい。
【0026】
本明細書では、出願当初の請求項5において「請求項1又は2に記載のストッカ」を「請求項1~4のいずれか1項に記載のストッカ」に変更した技術思想も開示されている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本開示のストッカは、商品を配送する商品流通システムの技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 ストッカシステム、11 ストッカ、12 管理装置、13 ネットワーク、20 納品庫、21 本体、22,22B 扉、23 扉駆動部、24,24B,24C 視認部、25 扉表面、30 制御ユニット、31 前面パネル、32 制御部、33 操作パネル、A 物品、M 使用者、θ1 開放角度。