(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021665
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】大豆ミート作製器
(51)【国際特許分類】
A47J 42/26 20060101AFI20240208BHJP
A23L 11/00 20210101ALI20240208BHJP
【FI】
A47J42/26
A23L11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124662
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】温 岩
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB19
4B020LG01
4B020LP05
4B020LP08
4B020LP15
4B020LP20
(57)【要約】
【課題】家庭で大豆ミートを作成する装置を提供する。
【解決手段】粉砕容器と、
前記粉砕容器中にお湯若しくは蒸気を注入できる湯・蒸気注入部と、
前記粉砕容器の底部に設けられたブレードと、
前記湯・蒸気注入部と前記ブレードを制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記粉砕容器に所定量のお湯を注入させる工程と、
前記ブレードを粉砕時間の間回転させる粉砕工程と、
前記粉砕容器内に蒸気を蒸し時間の間流す蒸し工程を実行させる大豆ミート作製器は、家庭で代替肉である大豆ミートを作製することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕容器と、
前記粉砕容器中にお湯若しくは蒸気を注入できる湯・蒸気注入部と、
前記粉砕容器の底部に設けられたブレードと、
前記湯・蒸気注入部と前記ブレードを制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記粉砕容器に所定量のお湯を注入させる工程と、
前記ブレードを粉砕時間の間回転させる粉砕工程と、
前記粉砕容器内に蒸気を蒸し時間の間流す蒸し工程を実行させる大豆ミート作製器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記お湯を注入させる工程と前記粉砕工程の間に、前記粉砕容器内に蒸気を前蒸し時間の間流す前蒸し工程を実行させる請求項1に記載された大豆ミート作製器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記蒸し工程の後に乾燥工程と、練り工程を実行させる請求項2に記載された大豆ミート作製器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記蒸し工程と前記乾燥工程の間に追粉砕時間の間前記ブレードを回転させる追粉砕工程を実行させる請求項3に記載された大豆ミート作製器。
【請求項5】
さらに、前記粉砕容器に投入する開閉弁つき添加剤タンクを有し、
前記制御部は、
前記練り工程で、前記添加剤タンクの前記開閉弁を開く請求項3または4の何れかに記載された大豆ミート作製器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆を原料として代替肉となりえる大豆ミート作製器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物性人工肉については特許文献1に、「大豆または脱脂大豆を粉砕し、これに燐酸ソーダ塩、膨張剤および殿粉または殿粉と小麦蛋白からなる改質剤を添加、混合し、得られた混合物を杵と臼で搗き上げ、これを混合物の粘度が急上昇する直前まで続けた後順次に蒸煮および乾燥に付すことを特徴とする植物性人工肉の製造方法」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている方法は、大豆を粉砕し、リン酸ソーダ塩等の混合物を添加した後、杵と臼で搗き上げる工程が必要であり、家庭で気軽に利用できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みて想到されたものであり、大豆を用いた代替肉を家庭でも作れるような大豆ミート作製器を提供するものである。
【0006】
具体的に本発明の大豆ミート作製器は、
粉砕容器と、
前記粉砕容器中にお湯若しくは蒸気を注入できる湯・蒸気注入部と、
前記粉砕容器の底部に設けられたブレードと、
前記湯・蒸気注入部と前記ブレードを制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記粉砕容器に所定量のお湯を注入させる工程と、
前記ブレードを粉砕時間の間回転させる粉砕工程と、
前記粉砕容器内に蒸気を蒸し時間の間流す蒸し工程を実行させることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る大豆ミート作製器は、上記のように、粉砕した大豆に、熱量が高い水蒸気で加熱するため、水で茹でるより短時間で大豆ミートを得ることができる。また、水蒸気は高温であるにも関わらず、水分を含むため、大豆が焦げることなくミート状にすることができる。
【0008】
また、お湯を注入させる工程で入れるお湯は、後の蒸し工程の蒸気が、ブレードの回転軸から漏れないようにウォーターシールの効果もある。
【0009】
本大豆ミート作製器は、上記の構成において、
前記制御部は、
前記お湯を注入させる工程と前記粉砕工程の間に、前記粉砕容器内に蒸気を前蒸し時間の間流す前蒸し工程を実行させる。
【0010】
このような工程を実行させれば、粉砕前により一層大豆に水分を吸収させることができ、粉砕される。
【0011】
また、本大豆ミート作製器は、上記の構成において、蒸し工程の後に、乾燥工程と、練り工程を実行させる。
【0012】
このような工程を実行させることで、余分な水分を飛ばし粘り気のある肉らしい食感を得ることができる。また、乾燥工程では、ブレードを間欠回転させることで、大豆は容器の底にくっつかない(焦げない)ようにすることができる。
【0013】
また、本大豆ミート作製器は、上記の構成において、蒸し工程と、乾燥工程の間に追粉砕工程を実行させる。
【0014】
このような工程を実行させることで、粉砕工程で形成された粉砕片より小さな粉砕片を得ることができ、粉砕工程を粗挽き程度とすれば、細挽き、二度挽きといった挽き方の変化をつけることができる。
【0015】
また、本大豆ミート作製器は、上記の構成に加え添加剤を添加できる添加剤タンクを有し、前記制御部は、前記練り工程で添加剤を添加させる。
【0016】
このような工程を実行させることで、より肉らしい味と風味をもつ代替肉を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の大豆ミート作製器の構成を示す図である。
【
図2】大豆ミート作製器の処理を示すフロー図である。
【
図3】粉砕容器中に乾燥大豆を入れ、お湯を入れる工程を示す図である。
【
図5】ブレードを回転させ粉砕工程を行っている様子を示す図である。
【
図6】粉砕容器内に蒸気を噴出させる蒸し工程を示す図である。
【
図7】再びブレードを回転させ追粉砕工程を行っている様子を示す図である。
【
図8】ブレードの間欠運転を行いながらヒータで粉砕容器を温め、水分を除去する乾燥工程を示す図である。
【
図9】添加剤を加えながら練り工程を行っている様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「上」とは重力方向で上に向かう方向であり、「下」はその逆方向である。
【0019】
本発明の大豆ミート作製器1は、乾燥大豆を原料として、代替肉となりうる大豆ミートを作成する調理器である。
【0020】
<全体構造の概略>
図1に本発明に係る大豆ミート作製器1の全体構成を示す。大豆ミート作製器1は、底を有する粉砕容器10と、蓋12と、貯留タンク14と、貯留タンク14とヒータ30との間を連通させる第1水路16と、ヒータ30と粉砕容器10の間を連通させる第2水路18を有する。また、添加剤タンク40が備えられていてもよい。
【0021】
粉砕容器10は特に限定されないが、筒状容器が好適に利用できる。粉砕容器10の底10bの中央には、貫通孔10bhが形成され、粉砕容器10の底10bの外側に配置されたモータ20の回転軸22が、底10b側(粉砕容器10の内側)に備えられたシールド10sを介して挿設されている。シールド10sは、回転軸22部分で粉砕容器10内の水分を漏らさないために配置される。回転軸22の粉砕容器10内側には、ブレード26が固定され、モータ20の回転と共に回転する。
【0022】
ブレード26は回転軸22に対して、半径方向に複数枚を等角度に設けられている。ブレード26の回転軸22からの長さは、粉砕容器10の内半径未満であって、粉砕容器10の内壁にまで接近した長さとするのがよい。ブレード26と粉砕容器10の内壁の間に原料が停留するのを回避するためである。またブレード26の回転は右回転および左回転のどちらもできるようにするのが望ましい。適度に空気を含んだ混錬物にするためである。
【0023】
ヒータ30は、粉砕容器10の底10bの外側(下側)にあたる位置に配置され、粉砕容器10を加熱する。また、粉砕容器10の加熱と共に、貯留タンク14からの水を加熱し、お湯若しくは蒸気を発生させ、粉砕容器10に注入することができる。なお、ヒータ30は粉砕容器10と分離可能であるのが好適である。ヒータ30の入水端は、第1水路16の出水端16bである。また、ヒータ30の出水端は、第2水路18の入水端18aである。
【0024】
ヒータ30には、温度計32が備えられており、貯留タンク14には水位計34が備えられている。粉砕容器10内の状態を後述する制御部50が把握できるようにするためである。粉砕容器10には蓋12が配置される。蓋12には、第2水路18の出水端18bが貫通配置されている。なお、出水端18bは、蓋12ではなく、粉砕容器10の上部に設けられていてもよい。
【0025】
貯留タンク14は水を入れるタンクである。貯留タンク14には、水位計34が設けられている。水位計34からの受信信号Slによって後述する制御部50は、貯留タンク14中の水の量を知る。
【0026】
第1水路16の入水端16aは、貯留タンク14の下方端に設けられる。すなわち、第1水路16は、貯留タンク14の下端からヒータ30まで設置されている。
【0027】
第1水路16には、ポンプ36が備えられている。ポンプ36は粉砕容器10に向けて水を送り出す。ヒータ30は、第1水路16中を通過する水を加熱し、お湯若しくは沸騰蒸気に変えることができる。ヒータ30には、第2水路18の入水端18aが接続されている。第2水路18の出水端18bは、粉砕容器10内に設置されている。第2水路18の出水端18bからお湯を注入させるか、蒸気を注入させるかは、ヒータ30への投下電力とポンプ36の運転量(水の流量)で決まる。
【0028】
なお、貯留タンク14、第1水路16、ポンプ36、ヒータ30、第2水路18は、湯・蒸気注入部を構成する。
【0029】
添加剤タンク40は、代替肉らしい触感や味をだすための公知の材料が準備される。例えば、燐酸ソーダ、膨張剤および改質剤等が添加剤として好適に利用できる。添加剤タンク40から粉砕容器10内まで繋ぐ投入路44が設けられている。投入路44の一端は添加剤タンク40に連結される。投入路44の他端は、粉砕容器10内に位置されている。投入路44の途中には後述する制御部50の指示による開閉する開閉弁42が設けられている。なお、添加剤は、後述する練り工程の際に投入されるのが望ましい。
【0030】
制御部50は、MPU(Micro Processor Unit)とメモリで構成される。制御部50は、少なくともモータ20、温度計32、水位計34、ポンプ36、ヒータ30および開閉弁42と接続され、信号の授受を行う。ポンプ36、モータ20、ヒータ30および開閉弁42に対してはそれぞれ制御信号Cp、Cm、Ch、Caが送信され、この信号によって各装置の動作を制御する。一方、温度計32、水位計34からは受信信号St、Slを受信し、ヒータ30の温度および貯留タンク14の水位を把握する。また、制御部50は、以下のプロセスを実行するプログラムを有する。なお、図では省略しているが、電源は電力を必要とする各部に電力を供給する。
【0031】
<大豆ミート作製器の動作>
大豆ミート作製器1は、以下のプロセスを経て、大豆ミートを調理する。
図2には処理のフローを示す。まず、使用する材料は乾燥大豆を用いる。乾燥大豆には、脱脂処理は不要である。特に皮を剥く必要もない。乾燥大豆は特に乾燥処理を行ったものでなくてもよく、通常販売されている状態でよい。
【0032】
乾燥大豆60は粉砕容器10に投入される。蓋12は乾燥大豆60投入後閉じられる。この後
図2のフローがスタートする。
【0033】
図2を参照して、大豆ミート作製器1がスタートすると(ステップS100)、お湯62が湯・蒸気注入部を介して粉砕容器10内に投入される(ステップS102)。
図3を参照する。
図3では、ブレード26が隠れる程度まで乾燥大豆60が投入されている状態を示している。なお、乾燥大豆60の量はより少なくても、多くても粉砕はできる。
【0034】
お湯62は、貯留タンク14からポンプ36で水を第1水路16中に流し、第1水路16中の水をヒータ30が加熱し、お湯にする。お湯はヒータ30から第2水路18を通じて粉砕容器10内に注入される(湯・蒸気注入部)。ポンプ36、ヒータ30の制御は制御部50が行う。
【0035】
お湯62は、乾燥大豆60の投入量が決まっていれば、その量と粉砕容器10の容量から決まる一定量のお湯62を粉砕容器10に入れるようにすればよい。注入されるお湯の量は、少なくとも回転軸22のシールド10sが隠れる程度であれば、蒸気64(
図4参照。)が噴出される際に、シールド10sから蒸気64が漏れないようなウォーターシールの効果も発揮する。なお、お湯62の量が多くなると余分な水分を飛ばす必要があり、少なくなると大豆を十分に吸水できなくなる。
【0036】
次に前蒸し工程を行うか否かを判断する(ステップS104)。これは予め使用者によって設定されていてもよい。もちろん、常に行う工程であってもよい。前蒸し工程を行う場合(ステップS104のY分岐)は、前蒸し工程を行う(ステップS106)。前蒸し工程を行わない場合(ステップS104のN分岐)は、処理を次のステップS108に移す。
【0037】
前蒸し工程は、前蒸し時間の間粉砕容器10に蒸気64を流す(
図4参照。)。蒸気64は、お湯62よりも温度が高い。この蒸気64に晒されることで、乾燥大豆60は吸水しやすくなり、それと共に粉砕しやすくなる。前蒸し時間は2分~10分、より好ましくは5分~10分が好適である。なお、この間乾燥大豆60が満遍なく蒸気64に晒されるように、ブレード26を数秒間回転させる間欠動作を入れてもよい。前蒸し工程は、乾燥大豆60に吸水させ、なおかつ粉砕しやすくする工程である。前蒸し工程が終了したら処理をステップS108に移す。
【0038】
ステップS108では、モータ20を回転させ、粉砕時間の間ブレード26を回し、大豆60に粉砕工程を行う(
図2のステップS108)。ブレード26は毎分700回転~1500回転で行われる。また、一定回転だけで粉砕時間の間回転させるのではなく、回転速度を変更しながら回転させてもよい。また、逆回転を混ぜてもよい。粉砕時間は、10分~20分であるが、大豆の量によって変化してかまわない。この工程は粉砕工程と呼ぶことができる。
【0039】
図5に粉砕工程を行っている状態(粉砕時間の間ブレード26を回転させた状態)を示す。ブレード26を回転させる粉砕によって、大豆60はある程度の大きさ(5mm程度の破片がまだ残っている程度:破片塊66と呼ぶ。)になっている。お湯の中で破片塊66になることで、より粉砕しやすくなる。粉砕工程を続けると、大豆60の吸水はより促進されながら粉砕され、2~5mm程度の粉砕塊68(
図6参照)にすることができる。粉砕塊68は粗挽き程度の粒径である。
【0040】
図6に粉砕工程が終了し、蒸し工程(
図2のステップS110)を行っている状態を示している。粉砕工程によって、数mm程度の粉砕塊68になると、表面積が増えるため、蒸気64に晒されることで水分の吸収はより容易になる。また、蒸気64で蒸し工程を行うことで、粉砕塊68が焦げることなく、加熱吸水を行える。蒸し時間は40分~60分が好ましく、50分~60分がより好適である。この工程は蒸し工程と呼ぶことができる。なお、蒸し工程においても、ブレード26を間欠に回転させてよい。粉砕塊68を均一に蒸すためである。
【0041】
蒸し工程(ステップS110)が終了することで、大豆ミートは完成する。したがって、蒸し工程での完成品を料理の素材(粗挽き程度の代替肉)として利用することができる。しかし、より肉らしくするために、乾燥工程(ステップS118)および練り工程(ステップS122)を付け加えてもよい。
【0042】
図2を再度参照し、蒸し工程(ステップS110)が終了したら、追粉砕工程を行うか否かを判断する(ステップS112)。これは蒸し工程が終了した際に利用者に問い合わせてもよいし、調理のシーケンスが始まる前に利用者によって設定されるようにされていてもよい。
【0043】
追粉砕工程を行う場合(ステップS112のY分岐)は、追粉砕工程を実行する(ステップS114)。そうでない場合(ステップS112のN分岐)は、処理を次のステップS116に移す。
【0044】
図7には追粉砕工程を行っている様子を示す。蒸し工程(ステップS110)の完成品である粉砕塊68(
図6参照。)は、粗挽き程度の粒径であるが、これを細挽き若しくは2度挽き程度の粗さまで細かくするのが追粉砕工程である。追粉砕工程を行ったものを細粉塊70と呼ぶ。細粉塊70は粉砕塊68より細かくなり、また粒径の均一度も高くなる。
【0045】
追粉砕工程の実施時間はどの程度まで挽きを進めるかで異なる。細挽きよりも二度挽きの方が処理時間は長くなる。これは予め設定されていてもよいし、追粉砕工程を行う際に利用者が設定してもよい。
【0046】
図2を再度参照する。追粉砕工程(ステップS114)は粉砕塊68の大きさをさらに細かくするか否かという好みの問題であり、実施しなくてもよい。ステップS112若しくはステップS114からの処理は、乾燥工程を行うか否かの判断である(ステップS116)。乾燥工程を行う場合(ステップS116のY分岐)は、乾燥工程を行い(ステップS118)、処理をステップS120に移す。行わない場合(ステップS116のN分岐)は、そのまま処理をステップS120に移す。
【0047】
大豆ミート作製器1のメニューは、大豆と水の推奨量は提示される。しかし、料理の環境や材料によって、大豆と水の適切な比率は変わる。したがって、乾燥工程では、水が多すぎる場合は水を蒸発させ、大豆ミートを適度な粘度にする。乾燥工程を行うか否かは、利用者が目視で判断してもよいし、ブレード26を回転させた際の抵抗で判断してもよい。
【0048】
図8には、乾燥工程を行っている様子を示す。乾燥工程では、ヒータ30によって、粉砕容器10が加熱され、水蒸気を追い出す事によって混錬物の水分調整を行う。なお、
図8では混錬物は細粉塊70として示したが、粉砕塊68であってもよい。また、乾燥工程においてもブレード26を間欠的に回転させてもよい。熱を混錬物に均等にかけ混錬物の水分量を一定にするためである。
【0049】
図2を再度参照する。乾燥工程が終了若しくはスキップされると練り工程を行うか否かが判断される(ステップS120)。行う場合(ステップS120のY分岐)は、練り工程を実施し(ステップS122)、処理を終了する(ステップS124)。行わない場合(ステップS120のN分岐)は、そのまま処理を終了する。
【0050】
ステップS120までの工程によって、原料の乾燥大豆60は粗挽き、細挽き、二度挽きといった、挽きの程度の粒径での混錬物として得られる。この混錬物は代替肉として利用可能であるが、より肉本来の味や食感を出すために「練り」を行う。
【0051】
図9に練り工程を行っている様子を示す。練り工程は、ブレード26を低速で正転、逆転させ、全体をなじませながら攪拌する工程である。この「練り」を行うことで混錬物は肉らしい粘度特性を発揮するようになる。
【0052】
また、この練り工程では、添加剤72を混錬物(ここでは細粉塊70)に加えてもよい。添加剤72は、制御部50が制御信号Caによって添加剤タンク40の開閉弁42を開くことで、粉砕容器10へ投入される。
【0053】
以上のように本発明に係る大豆ミート作製器1により、乾燥大豆から数時間で大豆ミートを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る大豆ミート作製器は、家庭で代替肉となる大豆ミートを作製することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 大豆ミート作製器
10 粉砕容器
14 貯留タンク
16 第1水路
18 第2水路
22 回転軸
26 ブレード
30 ヒータ
36 ポンプ
40 添加剤タンク
50 制御部