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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021677
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20240208BHJP
   D06F 19/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
D06F19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124679
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】米澤 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 由佳
(72)【発明者】
【氏名】直野 浩樹
【テーマコード(参考)】
3B166
3B168
【Fターム(参考)】
3B166AA11
3B166AA15
3B166AB04
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA47
3B166BA48
3B166BA83
3B166CA02
3B166CA03
3B166CA11
3B166CA21
3B166CB01
3B166CB11
3B166CB12
3B166CD01
3B166CD15
3B166DA31
3B166DA40
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE04
3B166DF01
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA12
3B166GA27
3B168AA11
3B168AA15
3B168AB04
3B168AE01
3B168AE02
3B168BA47
3B168BA48
3B168BA83
(57)【要約】
【課題】超音波洗浄装置を収納部から容易に引き出すことができ得る洗濯機を提供する。
【解決手段】全自動洗濯機は、超音波洗浄装置50と、引出位置に移動させるための弾性力を超音波洗浄装置50に付与する定荷重バネと、弾性力により引出位置に向けて移動する超音波洗浄装置50に制動力を付与するダンパ530と、超音波洗浄装置50の後端部を上下方向から挟持することにより、引出位置での超音波洗浄装置50の上下方向のガタつきを防止するガタつき防止部480と、を備える。超音波洗浄装置50の後端部に対するガタつき防止部480による挟持は、超音波洗浄装置50が引出位置に到達する手前の位置から開始される。ダンパ530は、超音波洗浄装置50がガタつき防止部480による挟持が開始される挟持開始位置に到達する前に、超音波洗浄装置50への制動力の付与を停止する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波発生体が発生した超音波を被洗浄物に作用させて、被洗浄物に付着した汚れを除去する超音波洗浄装置と、
投入口を有する上面板と、
前記上面板の内部に設けられ、前記超音波洗浄装置が前記投入口内に引き出し可能に収納される収納部と、
前記超音波洗浄装置が、前記収納部に収納された収納位置から前記投入口内に引き出された引出位置へ至る間、前記引出位置に移動させるための弾性力を前記超音波洗浄装置に付与するバネと、
前記収納位置にある前記超音波洗浄装置が前記弾性力により移動しないようにロックを行うとともに、所定の操作がなされたことに基づいて前記ロックを解除するロック機構と、
前記弾性力により前記引出位置に向けて移動する前記超音波洗浄装置に制動力を付与するダンパと、
前記超音波洗浄装置が前記引出位置に移動したときに前記収納部内に残る前記超音波洗浄装置の端部を上下方向から挟持することにより、前記引出位置での前記超音波洗浄装置の上下方向のガタつきを防止するガタつき防止部と、を備え、
前記超音波洗浄装置の端部に対する前記ガタつき防止部による挟持は、前記超音波洗浄装置が前記引出位置に到達する手前の位置から開始され、
前記ダンパは、前記超音波洗浄装置が前記ガタつき防止部による挟持が開始される挟持開始位置に到達する前に、前記超音波洗浄装置への制動力の付与を停止する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記ダンパは、
高粘性の液体が封入されたケースと、
前記ケース内に配置されたロータと、
前記ケースから突出する前記ロータの軸に取り付けられるギアと、を含み、
前記超音波洗浄装置が移動する方向に直線的に延びるラックギアを、さらに備え、
前記ギアが前記ラックギアと噛み合って回転することにより、前記ダンパが前記超音波洗浄装置に制動力を付与し、
前記超音波洗浄装置が前記挟持開始位置に到達する前に前記ギアと前記ラックギアとの噛み合いが無くなるように、前記ラックギアの長さが設定される、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記ロック機構は、前記超音波洗浄装置を前記収納部の奥へ押す操作がなされたことに基づいて前記ロックを解除するプッシュラッチ機構である、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記バネは、定荷重バネである、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記収納部に対して前記超音波洗浄装置を出し入れするための出入口と、
前記超音波洗浄装置が前記収納部に収納されているときに前記出入口を覆うカバーと、
前記収納部に対する前記超音波洗浄装置の出し入れ動作に連動して前記カバーを開閉する連動機構と、をさらに備え、
前記連動機構は、
前記超音波洗浄装置に連結された第1スライダと、
前記カバーが前記出入口を開閉する方向に回動可能に連結された第2スライダと、
前記第1スライダおよび前記第2スライダを、前記超音波洗浄装置が前記収納部から引き出される引出方向と前記超音波洗浄装置が前記収納部へ収納される収納方向にスライド可能に保持する保持部と、
一端側が前記第1スライダに連結されるとともに他端側が前記第2スライダに連結され、前記一端側が動いた方向と反対方向に前記他端側が動くことにより、前記第1スライダがスライドした方向と反対方向に前記第2スライダをスライドさせるリンクと、を含み、
前記カバーは、前記第2スライダが前記収納方向にスライドしたときに開放し、
前記バネは、前記第1スライダを前記引出方向にスライドさせるとともに前記第2スライダを前記収納方向にスライドさせる弾性力を、前記連動機構に付与する、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波発生体が発生した超音波を被洗浄物に作用させて、被洗浄物に付着した汚れを除去する超音波洗浄装置と、投入口を有する上面板と、上面板の内部に設けられ、超音波洗浄装置が投入口内に引き出し可能に収納される収納部とを備える洗濯機が、特許文献1に記載されている。
【0003】
この洗濯機では、被洗浄物を洗浄する洗浄運転が行われるときには、超音波洗浄装置が収納部から引き出されての投入口の内側に張り出す。一方、洗浄運転が行われないときには、超音波洗浄装置が収納部に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-10809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の洗濯機では、収納部に対する超音波洗浄装置の出し入れを、ユーザが自身の手により行う必要がある。
【0006】
超音波洗浄装置を収納部から引き出す動作を、ユーザが自身の手により行わなくてよくなれば、その分、超音波洗浄装置の出し入れが行いやすくなり、超音波洗浄装置の使い勝手を向上させることが可能となる。
【0007】
そこで、本発明は、超音波洗浄装置を収納部から容易に引き出すことができ得る洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、超音波発生体が発生した超音波を被洗浄物に作用させて、被洗浄物に付着した汚れを除去する超音波洗浄装置と、投入口を有する上面板と、前記上面板の内部に設けられ、前記超音波洗浄装置が前記投入口内に引き出し可能に収納される収納部と、前記超音波洗浄装置が、前記収納部に収納された収納位置から前記投入口内に引き出された引出位置へ至る間、前記引出位置に移動させるための弾性力を前記超音波洗浄装置に付与するバネと、前記収納位置にある前記超音波洗浄装置が前記弾性力により移動しないようにロックを行うとともに、所定の操作がなされたことに基づいて前記ロックを解除するロック機構と、前記弾性力により前記引出位置に向けて移動する前記超音波洗浄装置に制動力を付与するダンパと、前記超音波洗浄装置が前記引出位置に移動したときに前記収納部内に残る前記超音波洗浄装置の端部を上下方向から挟持することにより、前記引出位置での前記超音波洗浄装置の上下方向のガタつきを防止するガタつき防止部と、を備える。ここで、前記超音波洗浄装置の端部に対する前記ガタつき防止部による挟持は、前記超音波洗浄装置が前記引出位置に到達する手前の位置から開始される。前記ダンパは、前記超音波洗浄装置が前記ガタつき防止部による挟持が開始される挟持開始位置に到達する前に、前記超音波洗浄装置への制動力の付与を停止する。
【0009】
本態様に係る洗濯機によれば、所定の操作がなされると、ロック機構によるロックが解除されて、バネの弾性力により超音波洗浄装置が収納部から引き出される。これにより、ユーザは、超音波洗浄装置を使用する際に、自身の手で超音波洗浄装置を収納部から引き出さなくてよくなり、収納部からの超音波洗浄装置の引き出しが容易になる。
【0010】
また、移動する超音波洗浄装置にダンパから制動力が付与されるので、超音波洗浄装置の移動速度を適度な速度に調節できる。
【0011】
さらに、超音波洗浄装置が挟持開始位置に到達する前に、ダンパが超音波洗浄装置への制動力の付与を停止するので、超音波洗浄装置が挟持開始位置から収納位置へ移動する間、ダンパによる制動時よりも強い力を超音波洗浄装置に作用させることができる。これにより、ガタつき防止部による抵抗に負けることなく、超音波洗浄装置を確実に引出位置に到達させることができる。
【0012】
本態様に係る洗濯機において、前記ダンパが、高粘性の液体が封入されたケースと、前記ケース内に配置されたロータと、前記ケースから突出する前記ロータの軸に取り付けられるギアと、を含み、前記超音波洗浄装置が移動する方向に直線的に延びるラックギアを、さらに備え、前記ギアが前記ラックギアと噛み合って回転することにより、前記ダンパが前記超音波洗浄装置に制動力を付与するような構成が採られ得る。この場合、前記超音波洗浄装置が前記挟持開始位置に到達する前に前記ギアと前記ラックギアとの噛み合いが無くなるように、前記ラックギアの長さが設定され得る。
【0013】
この構成によれば、超音波洗浄装置が挟持開始位置に到達する前に、ギアとラックギアとの噛み合いが無くなるようにすることによりダンパによる超音波洗浄装置への制動力の付与を停止させることができる。
【0014】
本態様に係る洗濯機において、前記ロック機構は、前記超音波洗浄装置を前記収納部の奥へ押す操作がなされたことに基づいて前記ロックを解除するプッシュラッチ機構とされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、ユーザが超音波洗浄装置を収納部の奥へ押す操作を行うことにより、自動で超音波洗浄装置を収納部から引き出すことができる。
【0016】
本態様に係る洗濯機において、前記バネは、定荷重バネとされ得る。
【0017】
上記の構成によれば、定荷重バネにより超音波洗浄装置に一定の弾性力が付与されるので、超音波洗浄装置が定速で移動する。これより、収納部からの超音波洗浄装置の急激な飛び出しを防止でき、超音波洗浄装置の円滑な引き出しが行える。
【0018】
本態様に係る洗濯機において、前記収納部に対して前記超音波洗浄装置を出し入れするための出入口と、前記超音波洗浄装置が前記収納部に収納されているときに前記出入口を覆うカバーと、前記収納部に対する前記超音波洗浄装置の出し入れ動作に連動して前記カバーを開閉する連動機構と、をさらに備え、前記連動機構は、前記超音波洗浄装置に連結された第1スライダと、前記カバーが前記出入口を開閉する方向に回動可能に連結された第2スライダと、前記第1スライダおよび前記第2スライダを、前記超音波洗浄装置が前記収納部から引き出される引出方向と前記超音波洗浄装置が前記収納部へ収納される収納方向にスライド可能に保持する保持部と、一端側が前記第1スライダに連結されるとともに他端側が前記第2スライダに連結され、前記一端側が動いた方向と反対方向に前記他端側が動くことにより、前記第1スライダがスライドした方向と反対方向に前記第2スライダをスライドさせるリンクと、を含み、前記カバーは、前記第2スライダが前記収納方向にスライドしたときに開放されるような構成が採られ得る。この場合、前記バネは、前記第1スライダを前記引出方向にスライドさせるとともに前記第2スライダを前記収納方向にスライドさせる弾性力を、前記連動機構に付与するような構成とされ得る。
【0019】
上記の構成によれば、バネの弾性力を超音波洗浄装置に伝える機構として、連動機構を利用するようにしているので、超音波洗浄装置を自動で引き出す機能とカバーを自動で開閉する機能とを実現する構成の簡素化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、超音波洗浄装置を収納部から容易に引き出すことができ得る洗濯機を提供できる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
図2図2(a)は、実施の形態に係る、収納部から引き出された状態の超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。図2(b)および(c)は、実施の形態に係る、収納部に収納された状態の超音波洗浄装置および上面板の要部の斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る、貯水部が本体部から離脱した状態の超音波洗浄装置の斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る、超音波洗浄部の前部の側面断面図である。
図5図5(a)および(b)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置、カバーおよび自動引出装置の斜視図である。
図6図6は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置とカバーとが、第1スライダ、第2スライダおよびリンクにより連結された構成を示す斜視図である。
図7図7(a)は、実施の形態に係る、リンク保持部材の斜視図である。図7(b)は、実施の形態に係る、カバー案内部材の斜視図である。
図8図8は、実施の形態に係る、後方から見た超音波洗浄装置、カバーおよび自動引出装置の斜視図である。
図9図9(a)は、実施の形態に係る、後方から見たバネモジュールとブラケットの斜視図である。図9(b)は、実施の形態に係る、ダンパとレバー部材の斜視図である。
図10図10(a)は、実施の形態に係る、プッシュラッチ機構の斜視図である。図10(b)は、実施の形態に係る、係合部材の斜視図である。図10(c)は、実施の形態に係る、係合部材とプッシュラッチ機構とが係合した状態を示す図である。図10(d)は、実施の形態に係る、係合部材とプッシュラッチ機構との係合が解除された状態を示す図である。
図11図11(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が引出位置にある状態を示す超音波洗浄装置、カバーおよび自動引出装置の正面図である。図11(b)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置の後端部がガタつき防止部により挟持された状態を示す図である。
図12図12(a)および(b)は、実施の形態に係る、2つの上挟持部の構成を示す図である。図12(c)および(b)は、実施の形態に係る、2つの下挟持部の構成を示す図である。
図13図13(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が収納位置にあるときのダンパとラックギアの状態を示す図である。図13(b)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が挟持開始位置まで移動したときのダンパとラックギアの状態を示す図である。
図14図14は、実施の形態に係る、カバーが開く様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0025】
全自動洗濯機1は、外郭を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御部16が配置される。制御部16は、全自動洗濯機1による洗濯運転および超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0026】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配置される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配置される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。
【0027】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配置される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0028】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0029】
外槽20の上部には、溢水口20bが形成される。外槽20内に所定の溢水水位以上の水が溜められると、溢水口20bから水が排出される。外槽20の外面には、溢水口20bを覆うように溢水受け部25が設けられる。溢水受け部25の底部には、溢水パイプ26の一端が接続される。溢水パイプ26の他端は、排水ホース41に接続される。溢水口20bから排出された水は、溢水受け部25により受けられた後、溢水パイプ26を通って排水ホース41へ流れる。
【0030】
上面板12の後部のほぼ中央には、超音波洗浄装置50が配置される。超音波洗浄装置50では、主に、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去するための洗浄運転が行われる。
【0031】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50の後方に貯留タンク60が配置され、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。貯留タンク60には、超音波洗浄装置50の貯水槽210に供給される洗剤を含む水を、洗浄水として溜めることができる。貯留タンク60には、貯留タンク60内からの洗浄水の流出口を開閉する供給バルブ61が設けられる。供給バルブ61に繋がる供給ノズル62が、貯留タンク60から超音波洗浄装置50の貯水槽210の上方へと延びる。
【0032】
排水受け部70は、トレイ状を有し、貯水槽210から排出された水を受ける。排水受け部70には、受けた水が排出される排出孔71が形成される。排出孔71には、排水パイプ72の一端が接続される。排水パイプ72の他端は、溢水パイプ26の上部に接続される。排水受け部70が受けた水は、排水パイプ72および溢水パイプ26を通じて排水ホース41に排出される。
【0033】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50を取り囲むようにして、給水装置80が配置される。給水装置80は、水道栓に繋がり、洗濯脱水槽22内へ給水を行う機能を有する。また、給水装置80は、液体の洗剤および柔軟剤がそれぞれ収容される図示しない洗剤タンクおよび柔軟剤タンクを有し、洗剤および柔軟剤を洗濯脱水槽22内に自動投入する自動投入装置としても機能する。さらに、給水装置80は、水道栓からの水と洗剤タンクからの洗剤とにより洗浄水を生成して貯留タンク60に供給する機能も備える。
【0034】
図2(a)は、収納部17から引き出された状態の超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。図2(b)および(c)は、収納部17に収納された状態の超音波洗浄装置50および上面板12の要部の斜視図である。図2(c)では、収納部17の内部が見えるよう、カバー19の図示が省略されている。
【0035】
上面板12には、後部の中央部に、超音波洗浄装置50が収納される収納部17が設けられる。上面板12は、収納部17の前方が出入口18として開口する。出入口18には、投光性を有するほぼ方形状のカバー19が設けられる。
【0036】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と、貯水部200と、本体部300とを備える。超音波洗浄部100は、超音波を発生させる超音波発生体110を有する。貯水部200には、超音波発生体110の下方に位置し、洗浄水が溜められる貯水槽210が設けられる。貯水槽210には、貯留タンク60から供給ノズル62を通じて洗浄水が供給される。
【0037】
図2(a)に示すように、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は収納部17から前方に引き出されて上面板12の投入口14の内側に張り出す。このときの超音波洗浄装置50の位置が引出位置となる。
【0038】
一方、図2(b)および(c)に示すように、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は収納部17に収納される。このときの超音波洗浄装置50の位置が収納位置となる。収納部17の出入口18がカバー19により閉じられる。カバー19の下端は、貯水部200の前端部に当接する。
【0039】
上面板12の内部には、自動引出装置90が設けられる。自動引出装置90は、収納部17に収納された超音波洗浄装置50に対して、超音波洗浄装置50の一部である貯水部200の前端部を収納部17の奥へ押す操作が行われたときに、自動で超音波洗浄装置50を収納部17から投入口14内に引き出す。
【0040】
さらに、自動引出装置90は、収納部17に対する超音波洗浄装置50の出し入れ動作に連動させてカバー19を開閉させる連動機構400を含む。超音波洗浄装置50が収納部17に収納されると、カバー19が収納部17に収納された収納位置から出入口18を閉じる閉鎖位置へ移動する。即ち、カバー19が閉じる。超音波洗浄装置50が収納部17から引き出されると、カバー19が閉鎖位置から収納位置へ移動する。即ち、カバー19が開く。なお、収納部17は、超音波洗浄装置50が収納される装置収納部17aと、装置収納部17aの上方に隣接し、開放されたカバー19が収納されるカバー収納部17bとに分けられる。自動引出装置90の構成については、追って詳細に説明する。
【0041】
図3は、貯水部200が本体部300から離脱した状態の超音波洗浄装置50の斜視図である。図4は、超音波洗浄部100の前部の側面断面図である。なお、図3では、排水口211が開放された状態の貯水部200が示されている。
【0042】
超音波洗浄装置50では、超音波洗浄部100が本体部300に保持され、貯水部200が本体部300に離脱可能に装着される。
【0043】
超音波洗浄部100は、超音波発生体110と、ハウジング120とを備える。超音波発生体110は、超音波振動子111と、超音波振動子111に結合される振動ホーン112とを含む。超音波発生体110は、超音波振動子111の高周波振動により、振動ホーン112の先端から超音波を発生させる。ハウジング120は、前後方向に延び、その先端部121が下方に屈曲するようなアーム形状を有する。ハウジング120内の前部に超音波発生体110が配置される。振動ホーン112の先端部がハウジング120の開口部122から露出する。ハウジング120の後部123が、本体部300の上部に固定される。ハウジング120の後部123は、ほぼ水平な上面123aを有する。
【0044】
貯水部200には、貯水部200の形状に沿った形状を有する貯水槽210が形成される。貯水槽210には、後面の下部に排水口211が形成される。排水口211は、弁体220により閉塞される。弁体220には、弁可動部材230が連結される。弁可動部材230は、後部231が貯水部200よりも後方に張り出す。弁可動部材230は、図示しないスプリングにより、弁体220が閉じる後方向に付勢される。
【0045】
超音波洗浄装置50が収納部17から引き出されているとき、弁体220により排水口211が閉鎖された状態となる。超音波洗浄装置50が収納部17に収納されると、弁可動部材230が、排水受け部70の後壁に当接して前方へ移動する。これにより、図3のように、弁体220が前方へ移動し、排水口211が開放される。排水口211が開放されると、貯水槽210内の洗浄水が排水受け部70へ排出される。
【0046】
本体部300は、正面視において、ほぼ方形状を有する。本体部300の左右の下端部には、前方へ延びるレール部301が設けられる。貯水部200が前方から本体部300に装着される際に、左右のレール部301が貯水部200の左右の端部に挿入される。また、本体部300には、左側に、貯水部200の後部と供給ノズル62の前部とが通される開口部302が形成される。さらに、本体部300には、左右の側面の下部に、第1スライダ440が固定されるスライダ固定部303が設けられる。スライダ固定部303は、前部にほぼ水平な下面303aを有する。
【0047】
本体部300における左右のレール部301を除く部分とハウジング120の後部123とが、超音波洗浄装置50の後端部となる。
【0048】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転を行うことができる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0049】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0050】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0051】
全自動洗濯機1では、超音波洗浄装置50による洗浄運転を行うことができる。
【0052】
洗浄運転の際には、貯留タンク60から貯水槽210へ洗浄水が供給された後に、洗濯物、即ち被洗浄物の汚れの付着部分が貯水槽210と超音波発生体110との間にセットされる。汚れの付着部分が、貯水槽210内に溜められた洗浄水に浸されるとともに、超音波発生体110の先端面に接触する。超音波発生体110が作動すると、その先端から超音波が発生する。超音波の作用によって被洗浄物から汚れが剥離する。この際、洗剤の力が加わることにより、洗浄力が高まる。
【0053】
次に、カバー19と、連動機構400を含む自動引出装置90とについて、詳細に説明する。
【0054】
図5(a)および(b)は、超音波洗浄装置50、カバー19および自動引出装置90の斜視図である。図5(a)は、装置収納部17a内に超音波洗浄装置50が収納された状態を示す。図5(b)は、装置収納部17aから超音波洗浄装置50が引き出された状態を示す。
【0055】
図6は、超音波洗浄装置50とカバー19とが、第1スライダ440、第2スライダ450およびリンク460により連結された構成を示す斜視図である。図6では、自動引出装置90において、第1スライダ440、第2スライダ450およびリンク460以外の連動機構400、駆動機構500およびプッシュラッチ機構600の図示が省略さている。図7(a)は、リンク保持部材420の斜視図である。図7(b)は、カバー案内部材430の斜視図である。
【0056】
図8は、後方から見た超音波洗浄装置50、カバー19および自動引出装置90の斜視図である。図9(a)は、後方から見たバネモジュール510とブラケット520の斜視図である。図9(b)は、ダンパ530とレバー部材540の斜視図である。図10(a)は、プッシュラッチ機構600の斜視図である。図10(b)は、係合部材700の斜視図である。図10(c)は、係合部材700とプッシュラッチ機構600とが係合した状態を示す図である。図10(d)は、係合部材700とプッシュラッチ機構600との係合が解除された状態を示す図である。
【0057】
超音波洗浄装置50は、自動引出装置90により自動で収納部17から引き出され、ユーザにより手動で収納部17に収納される。前方向が、超音波洗浄装置50が収納部17から引き出される引出方向となる。後方向が、超音波洗浄装置50が収納部17へ収納される収納方向となる。
【0058】
自動引出装置90は、超音波洗浄装置50の周囲に設けられ、連動機構400と、駆動機構500と、プッシュラッチ機構600とを備える。連動機構400は、収納部17に対する超音波洗浄装置50の出し入れ動作に連動してカバー19を開閉する。
【0059】
駆動機構500は、定荷重バネ511を含み、当該定荷重バネ511の弾性力を超音波洗浄装置50に付与することにより、収納部17に収納された超音波洗浄装置50を引出方向へ移動させ、収納部17から引き出す。超音波洗浄装置50は、定荷重バネ511の弾性力により収納部17、即ち装置収納部17aに収納された収納位置から投入口14内に引き出された引出位置まで、ほぼ水平に移動する。
【0060】
さらに、駆動機構500は、ダンパ530を含み、定荷重バネ511の弾性力により移動する超音波洗浄装置50にダンパ530による制動力を付与する。
【0061】
プッシュラッチ機構600は、定荷重バネ511の弾性力により超音波洗浄装置50が移動しないようにロックを行うとともに、超音波洗浄装置50を収納部17の奥へ押す操作がなされると、ロックを解除する。プッシュラッチ機構600は、本発明のロック機構に相当する。
【0062】
図5(a)ないし図7(a)、(b)を参照して、連動機構400は、左右の2つのリンク機構410と、リンク保持部材420と、カバー案内部材430とで構成される。2つのリンク機構410は、左右に反対の形状を有する。上面板12の内部において、超音波洗浄装置50は、リンク保持部材420により左右方向と下方向から覆われ、カバー案内部材430により上方向から覆われる。リンク保持部材420とカバー案内部材430とで囲まれた空間が装置収納部17aとなり、カバー案内部材430の上方がカバー収納部17bとなる。リンク保持部材420は、本発明の「保持部」に相当する。
【0063】
各リンク機構410は、第1スライダ440と、第2スライダ450と、リンク460と、を含む。
【0064】
第1スライダ440は、ほぼ長円板状を有し、超音波洗浄装置50の本体部300のスライダ固定部303に固定される。第1スライダ440には、スライダ固定部303との間に、前後方向に並ぶ2つの円筒状のすべり部441が設けられる。また、第1スライダ440の前側には、外側に突出する軸部442が設けられる。
【0065】
第2スライダ450は、ほぼ長円板状を有する。第2スライダ450には、内側に突出するすべり部451および取付部452が設けられる。すべり部451は円筒状を有し、取付部452は断面逆U字の方形板を有する。取付部452には、取付孔452aが形成される。左側の第2スライダ450では、2つのすべり部451が前後に並ぶように設けられ、これら2つのすべり部451の間に取付部452が設けられる。右側の第2スライダ450では、後部に1つのすべり部451が設けられ、このすべり部451の前方に取付部452が設けられる。さらに、第2スライダ450には、後端部に、外側に突出する軸部453が設けられ、前端部に、ボス孔454が形成される。
【0066】
リンク460は、細長い板状を有する。リンク460には、一端側に細長い長円状の連結孔461が形成される。連結孔461には、第1スライダ440の軸部442がスライド可能に嵌め込まれる。これにより、リンク460の一端側が第1スライダ440に連結される。また、リンク460には、他端部に連結ボス462が設けられる。連結ボス462には、第2スライダ450の軸部453が回転可能に嵌め込まれる。これにより、リンク460の他端側が第2スライダ450に連結される。さらに、リンク460には、他端側に長円形の固定孔463が形成される。
【0067】
リンク保持部材420は、左右の2つのリンク機構410を保持する。リンク保持部材420は、金属製のベース部材471と、樹脂製の左側面部材472および右側面部材473とで構成される。左側面部材472と右側面部材473は、左右に反対の形状を有する。
【0068】
ベース部材471は、底面部471aと、底面部471aの左右両端から立ち上がる左側面部471bおよび右側面部471cとを含む。これら左側面部471bおよび右側面部471cの外側に、それぞれ、左側面部材472および右側面部材473が取り付けられる。左側面部471bと左側面部材472とにより、リンク保持部材420の左側面部420aが構成される。右側面部471cと右側面部材473とにより、リンク保持部材420の右側面部420bが構成される。
【0069】
なお、ベース部材471には、後側に排水受け部70が装着される。排水受け部70の前部が、ベース部材471の底面部471aの上に重なる。
【0070】
リンク保持部材420の左側面部420aおよび右側面部420bには、下部および上部に、それぞれ、第1スライド孔421および第2スライド孔422が形成される。第1スライド孔421および第2スライド孔422は、細長い長円形状を有し、前後方向、即ち装置収納部17aに対して超音波洗浄装置50が出し入れされる方向に延びる。
【0071】
第1スライド孔421には、第1スライダ440のすべり部441が挿入される。すべり部441が第1スライド孔421の中をスライドすることにより、第1スライダ440が第1スライド孔421に案内されて前後方向にスライドできる。第2スライド孔422には、第2スライダ450のすべり部451が挿入される。すべり部451が第2スライド孔422の中をスライドすることにより、第2スライダ450が第2スライド孔422に案内されて前後方向にスライドできる。このように、第1スライダ440および第2スライダ450は、リンク保持部材420によって、前後方向、即ち引出方向と、後方向、即ち収納方向とにスライド可能に保持される。
【0072】
左側面部420aおよび右側面部420bには、上部の中央部に、円筒状の固定軸423が形成される。固定軸423は、リンク460の固定孔463に挿入される。リンク460は、固定軸423を中心に前後方向に回動可能であり、一端側が前方または後方へ動くと、他端側が、一端側とは反対に後方または前方へ動く。
【0073】
固定軸423の先端には、固定孔463よりも外径の大きな、図示しないワッシャが、図示しないネジで取り付けられる。リンク460は、固定孔463の周縁部分がワッシャで止められることにより、固定軸423から外側へ抜けない。
【0074】
左側面部420aおよび右側面部420bには、上部の前端部と後端部に、取付ボス424が形成され、後端部の取付ボス424の近傍に、取付孔425が形成される。2つの取付ボス424と取付孔425は、リンク保持部材420にカバー案内部材430を取り付ける際に用いられる。各取付ボス424は中空であり、左側面部420aおよび右側面部420bの内側に開口424aを有する。
【0075】
カバー案内部材430は、天面部430aと、天面部430aの左右両端から垂下する左側面部430bおよび右側面部430cとを含む。
【0076】
天面部430aは、上方から見て、ほぼ方形状を有する。天面部430aには、左右の端部に、前端から後方へと延びる平坦なレール面431が形成される。また、天面部430aには、レール面431の後方に、取付ボス432が、外側に向くように形成される。さらに、天面部430aには、中央部に、ラックギア433が前後方向、即ち超音波洗浄装置50が移動する方向に直線的に延びるように形成される。
【0077】
左側面部430bおよび右側面部430cには、前端部と後端部に嵌合ボス434が形成される。
【0078】
カバー案内部材430は、リンク保持部材420の上端部に取り付けられる。この際、カバー案内部材430の左側面部430bの2つの嵌合ボス434が、リンク保持部材420の左側面部420aの2つの取付ボス424の内部に、内側から嵌め込まれ、カバー案内部材430の右側面部430cの2つの嵌合ボス434が、リンク保持部材420の右側面部420bの2つの取付ボス424の内部に、内側から嵌め込まれる。また、カバー案内部材430の左側面部430bの取付ボス432が、リンク保持部材420の左側面部420aの取付孔425に整合し、カバー案内部材430の右側面部430cの取付ボス432が、リンク保持部材420の右側面部420bの取付孔425に整合する。左右両側において、取付ボス424と嵌合ボス434とが図示しないネジで止められ、取付ボス432が取付孔425に図示しないネジで止められる。
【0079】
図5(a)、(b)、図8ないし図9(b)を参照して、駆動機構500は、バネモジュール510と、ブラケット520と、ダンパ530と、レバー部材540とを含む。
【0080】
バネモジュール510は、帯状の定荷重バネ511と、定荷重バネ511が巻かれるドラム512と、ドラム512の中心を貫通するシャフト513とを含む。バネモジュール510は、たとえば、定荷重巻きバネによって実現される。定荷重バネ511は、ドラム512に巻き取られる方向に、弾性力を有する。弾性力は、定荷重バネ511がドラム512から引き出された長さによらず、一定となる。定荷重バネ511の先端部には、取付孔511aが設けられる。定荷重バネ511は、本発明のバネに相当する。
【0081】
ブラケット520は、金属材料により所定の形状に形成され、中央部に一対の支持片521を有する。一対の支持片521には、後方に開口する溝部521aが形成され、この溝部521aにバネモジュール510のシャフト513が嵌め込まれる。これにより、バネモジュール510のドラム512が、一対の支持片521に回転可能に支持される。ブラケット520の左右の端部には、取付孔522aを有する取付片522が設けられる。
【0082】
ブラケット520は、カバー案内部材430の天面部430aの後部に取り付けられる。ブラケット520の左右の取付片522は、その取付孔522aがカバー案内部材430の左右の取付ボス424に整合し、リンク保持部材420とカバー案内部材430とが結合される際に、左右の取付ボス424に図示しないネジで固定される。ブラケット520に装着されたバネモジュール510が、天面部430aの後部中央に配置される。
【0083】
ダンパ530は、ロータリーダンパであり、高粘性の液体が封入されたケース531と、ケース531内に配置され、高粘性の液体の中で回転して当該液体から抵抗を受けるロータ532と、ケース531から突出するロータ532の軸に取り付けられるギア533と、を含む。ケース531には、左右に爪部531aが形成される。
【0084】
レバー部材540は、樹脂材料により形成され、方形の棒状を有する。レバー部材540には、中央部にバネ取付部541が設けられ、中央部よりも右側にダンパ取付部542が設けられる。バネ取付部541は、図示しないナットが埋め込まれた凹部541aを有する。ダンパ取付部542は、ダンパ530に対応する形状の凹部542aおよび開口部542bを有する。さらに、レバー部材540には、左右の端部に、直方体状の取付ボス543と、外側に突出する軸部544とが設けられる。取付ボス543には、取付孔543aが形成される。
【0085】
ドラム512から引き出された定荷重バネ511の先端部が、下方からバネ取付部541に取り付けられる。この際、定荷重バネ511の取付孔511aを通された図示しないネジがバネ取付部541のナットに止められる。さらに、ダンパ530が、上方からダンパ取付部542に取り付けられる。この際、ダンパ530の左右の爪部531aが、ダンパ取付部542の開口部542bの内周縁に係合する。ダンパ530のギア533が、レバー部材540の下方に突出する。
【0086】
レバー部材540の左右の端部が、左右の第2スライダ450に取り付けられる。この際、レバー部材540の左右の取付ボス543が、下方から左右の第2スライダ450の取付部452に嵌め込まれ、図示しないネジで固定される。レバー部材540の左右の軸部544が、リンク保持部材420の第2スライド孔422に挿入される。定荷重バネ511が、レバー部材540を介して左右の第2スライダ450に連結される。超音波洗浄装置50が装置収納部17aに収納されている状態、即ち収納位置にある状態において、ダンパ530のギア533が、カバー案内部材430の天面部430aのラックギア433と噛み合う。
【0087】
図8図10(a)ないし(d)を参照して、プッシュラッチ機構600は、収納部17内に収納された超音波洗浄装置50の後方に配置される。プッシュラッチ機構600は、排水受け部70の後部に設けられたラッチ取付部73に取り付けられる。
【0088】
図10(a)に示すように、プッシュラッチ機構600は、ケース610と、ロッド620と、オルタネイト機構630とを備える。ケース610は、前面が開口する。ロッド620は、その先端部の両側に保持片621を有し、ケース610から出入りする。オルタネイト機構630は、ハートカムを含み、ケース610内に設けられる。
【0089】
超音波洗浄装置50には、プッシュラッチ機構600の正面位置に係合部材700が配置される。係合部材700は、本体部300の背面に、ネジ710により取り付けられる。図10(b)に示すように、係合部材700には、その後方のプッシュラッチ機構600側に突出する突起部701が形成される。突起部701は、先端部が台形状を有する。
【0090】
図10(d)に示す状態から突起部701によってケース610の内部にロッド620が押し込まれると、図10(c)に示すように、突起部701の先端部が両側から保持片621により捕まえられるとともに、ロッド620がオルタネイト機構630の作用によって押し込まれた状態に保持される。突起部701がロッド620から外れなくなり、係合部材700とプッシュラッチ機構600とが係合した状態となる。
【0091】
図10(c)に示す状態から、もう一度、突起部701によってロッド620が押し込まれると、オルタネイト機構630の作用により保持が解除される。押し込む力が開放されると、図10(d)に示すように、ロッド620がケース610から前方へ突出し、保持片621が開く。突起部701がロッド620から外れ、係合部材700とプッシュラッチ機構600との係合が解除した状態となる。
【0092】
図5(a)、(b)および図6を参照して、カバー19は、透光性を有する樹脂材料により形成される。カバー19は、出入口18を覆うほぼ方形板状の本体部810と、本体部810の左右の両端に設けられ、後方へ延びる側面部820とを含む。側面部820の後縁は、上部に、前方に凹む凹部821を有し、この凹部821の下方に、直線状に延びる直線部822を有する。
【0093】
各側面部820の上端部には、外側に突出する回動軸830が設けられる。回動軸830は、第2スライダ450のボス孔454に、回動可能に嵌め込まれる。これにより、カバー19の上端部は、上下方向、即ち出入口18を開閉する方向に回動可能となるように、第2スライダ450に連結される。なお、カバー19の回動軸830にねじりバネが取り付けられ、カバー19が、ねじりバネによって出入口18が閉鎖される方向に付勢されるようにしてもよい。
【0094】
図11(a)は、超音波洗浄装置50が引出位置にある状態を示す超音波洗浄装置50、カバー19および自動引出装置90の正面図である。図11(b)は、超音波洗浄装置50の後端部がガタつき防止部480により挟持された状態を示す図である。図11(b)では、ガタつき防止部480の上挟持部481および下挟持部482が断面で示されている。
【0095】
図12(a)および(b)は、2つの上挟持部481の構成を示す図であり、図12(c)および(d)は、2つの下挟持部482の構成を示す図である。図12(a)は、裏返された状態のカバー案内部材430の前端部の斜視図である。図12(b)は、右側のレール面431の位置で切断されたカバー案内部材430の前端部の側面断面図である。図12(c)および(d)は、それぞれ、左側面部材472および右側面部材473の前下端部の斜視図である。
【0096】
装置収納部17aにおける出入口18の近傍には、ガタつき防止部480が設けられる。超音波洗浄装置50が引出位置に移動したとき、超音波洗浄装置50の後端部は装置収納部17a内に残る。ガタつき防止部480は、上側の左右の2つの上挟持部481と下側の左右の2つの下挟持部482とを含み、これら上挟持部481と下挟持部482とにより、装置収納部17a内に残る超音波洗浄装置50の後端部を上下方向から挟持する。これにより、引出位置での超音波洗浄装置50の上下方向のガタつきが防止される。
【0097】
図12(a)および(b)に示すように、2つの上挟持部481は、カバー案内部材430の前端部において左右のレール面431の裏側から下方に突出し、前後方向に長いリブ状を有する。各上挟持部481は、前側に、ほぼ水平な上挟持面481aを有し、後側に、後方に向かって上り傾斜する上案内面481bを有する。
【0098】
図7(a)、図12(c)および(d)に示すように、2つの下挟持部482は、左側面部材472および右側面部材473の前下端部において内側に突出し、前後方向に長い形状を有する。各下挟持部482は、前側に、ほぼ水平な下挟持面482aを有し、後側に、後方に向かって下り傾斜する下案内面482bを有する。
【0099】
上挟持部481の上挟持面481aと下挟持部482の下挟持面482aとの間の距離は、超音波洗浄装置50の後端部のハウジング120の後部123の上面123aと左右のスライダ固定部303の下面303aとの間の距離よりも僅かに大きくされている。
【0100】
図11(b)に示すように、超音波洗浄装置50が引出位置に移動すると、ハウジング120の後部123の上面123aと左右のスライダ固定部303の下面303aとが、上挟持部481の上挟持面481aと下挟持部482の下挟持面482aとの間に後方から入り込み、上挟持面481aと下挟持面482aとにより挟み込まれる。この際、超音波洗浄装置50の後端部が上案内面481bおよび下案内面482bに案内されることにより、超音波洗浄装置50の前方への移動に伴って、上面123aおよび下面303aが上挟持面481aと下挟持面482aとの間に円滑に入り込む。
【0101】
ハウジング120の後部123の上面123aと上挟持面481aとが、ほぼ面接触するように近接対向し、スライダ固定部303の下面303aと下挟持面482aとが、ほぼ面接触するように近接対向する。これにより、超音波洗浄装置50の上下方向にガタつきにくくなる。
【0102】
上記の通り、超音波洗浄装置50の後端部に対するガタつき防止部480による挟持は、収納位置の手前の位置から開始され、超音波洗浄装置50が引出位置に到達すると完了する。ガタつき防止部480による挟持が開始される位置を、挟持開始位置と称する。
【0103】
次に、超音波洗浄装置50が収納部17から出し入れされる動作と、それに伴いカバー19が開閉される動作について説明する。
【0104】
図5(a)に示すように、超音波洗浄装置50が、収納部17、即ち装置収納部17aに収納されており、収納位置にあるとき、第1スライダ440が第1スライド孔421の後端部に位置する。リンク460は、第1スライダ440に連結された一端側が後方、他端側が前方に位置し、他端側に連結された第2スライダ450とレバー部材540とが第2スライド孔422の前端部に位置する。なお、第1スライダ440の後端と第1スライド孔421の後端との間、および、第2スライダ450の前端と第2スライド孔422の前端との間には、僅かに隙間がある。
【0105】
定荷重バネ511は、ドラム512から長く引き出された状態、即ち伸びた状態にあり、第2スライダ450には、レバー部材540を介して、第2スライダ450を後方、即ち収納方向にスライドさせる弾性力が付与される。この弾性力は、リンク460および第1スライダ440を介して超音波洗浄装置50に伝わる。これにより、超音波洗浄装置50には、超音波洗浄装置50を前方、即ち引出方向にスライドさせる弾性力が付与される。
【0106】
超音波洗浄装置50が、装置収納部17aに収納されているときには、図10(c)のように、係合部材700とプッシュラッチ機構600とが係合した状態にある。このため、超音波洗浄装置50は、プッシュラッチ機構600によりロックされ、定荷重バネ511の弾性力によって引出方向へ移動しない。
【0107】
第2スライダ450に連結されたカバー19は、カバー収納部17bから前方へ出て、その自重によりほぼ鉛直な状態となり、出入口18を閉鎖する。
【0108】
超音波洗浄装置50の貯水部200の前端部が、収納部17の出入口18から外部に露出して、外部から貯水部200の前端部に触れることができる。ユーザは、超音波洗浄装置50を収納部17から引き出す際、超音波洗浄装置50、即ち貯水部200の前端部を収納部17の奥へ押す操作を行う。これにより、超音波洗浄装置50が収納部17の奥方へ僅かに移動し、係合部材700の突起部701によってプッシュラッチ機構600のロッド620が押し込まれる。図10(d)のように、係合部材700とプッシュラッチ機構600との係合が解除され、プッシュラッチ機構600による超音波洗浄装置50のロックが解除される。
【0109】
定荷重バネ511の弾性力により引かれて、レバー部材540と第2スライダ450が収納方向へスライドする。リンク460が回動し、その他端側が収納方向に動き、その一端側が引出方向へ動く。これにより、第1スライダ440が引出方向にスライドし、図5(b)のように、超音波洗浄装置50が装置収納部17aから引き出され、収納位置に到達して投入口14内に張り出す。定荷重バネ511は、ドラム512に巻き取られて、引き出された部分の長さが短い状態、即ち縮んだ状態となる。
【0110】
定荷重バネ511は、超音波洗浄装置50が収納位置から引出位置へ至る間、引出位置に移動させるための弾性力を超音波洗浄装置50に付与する。超音波洗浄装置50が引出位置に到達した後、定荷重バネ511は、完全に縮んだ状態とならずに弾性力を発揮してもよいし、完全に縮んだ状態になって弾性力を発揮しなくなってもよい。
【0111】
超音波洗浄装置50には、定荷重バネ511から一定の弾性力が付与される。これにより、引き出される際、超音波洗浄装置50は、定速で移動する。これより、収納部17からの超音波洗浄装置50の急激な飛び出しを防止でき、超音波洗浄装置50の円滑な引き出しが行える。
【0112】
図13(a)は、超音波洗浄装置50が収納位置にあるときのダンパ530とラックギア433の状態を示す図である。図13(b)は、超音波洗浄装置50が挟持開始位置まで移動したときのダンパ530とラックギア433の状態を示す図である。なお、図13(a)および(b)では、ダンパ530のギア533とラックギア433とが見えるように、ダンパ530が透明な状態で描かれており、ロータ532の図示が省略されている。
【0113】
図13(a)に示すように、超音波洗浄装置50が収納位置にあるときには、ダンパ530がラックギア433の前端部に位置し、ダンパ530のギア533がラックギア433に噛み合っている。超音波洗浄装置50が引出位置に向かって移動すると、ダンパ530がラックギア433の後端部へと向かって移動する。ダンパ530では、ラックギア433と噛み合ったギア533が回転し、ケース531内において、高粘性の液体の中をロータ532が抵抗を受けながら回転する。これにより、ダンパ530からレバー部材540に制動力が付与される。第2スライダ450、リンク460および第1スライダ440を介して超音波洗浄装置50に制動力が付与され、超音波洗浄装置50の移動速度が適度な速度に調節される。
【0114】
収納位置へと移動する超音波洗浄装置50は、やがて挟持開始位置に到達する。ラックギア433は、超音波洗浄装置50が挟持開始位置に到達する直前にギア533とラックギア433との噛み合いが無くなるように、その長さが設定されている。このため、図13(b)に示すように、超音波洗浄装置50が挟持開始位置に到達したとき、ダンパ530では、ギア533がラックギア433の後端部を通り過ぎ、ギア533とラックギア433との噛み合いが無くなっている。ギア533とラックギア433との噛み合いが無くなると、ダンパ530による超音波洗浄装置50への制動力の付与が停止する。これにより、その後、超音波洗浄装置50が挟持開始位置から収納位置へ移動する間、定荷重バネ511の弾性力がダンパ530による制動力で打ち消されなくなるので、ダンパ530による制動時よりも強い力が超音波洗浄装置50に作用する。
【0115】
超音波洗浄装置50が挟持開始位置から収納位置へ移動する間、ハウジング120の後部123の上面123aと上挟持面481aとが接触したり、スライダ固定部303の下面303aと下挟持面482aとが接触したりすることにより、移動する超音波洗浄装置50にガタつき防止部480による抵抗が加わり得る。しかしながら、上記の通り、超音波洗浄装置50には強い力が作用しているため、ガタつき防止部480による抵抗に負けることなく、超音波洗浄装置50が確実に引出位置に到達する。
【0116】
図14は、カバー19が開く様子を示す図である。図14には、便宜上、超音波洗浄部100の前端部が破線で示されている。
【0117】
図14に示すように、定荷重バネ511の弾性力が付与されることにより、第2スライダ450が収納方向にスライドを開始すると、カバー19の側面部820の凹部821がカバー案内部材430の前端部に当接する。そして、第2スライダ450が収納方向にスライドするに従って、凹部821がカバー案内部材430の前端部に当った状態を維持しつつ、カバー19が開いてカバー収納部17bへ収納されていく。カバー19がほぼ水平な状態まで開くと、カバー19の側面部820の直線部822が、レール面431に乗り上げ、その後はレール面431を収納方向に移動する。このとき、カバー19は、本体部810よりも後方に張り出した側面部820がカバー案内部材430の前端部に当接する。このため、前方へ移動した超音波洗浄装置50の超音波洗浄部100がカバー19の本体部810に当ることなく、カバー19がほぼ水平な状態へと至る。よって、カバー19の本体部810への超音波洗浄装置50の衝突を防止できる。
【0118】
このようにして、第2スライダ450が収納方向にスライドしたとき、カバー19は、その側面部820がカバー案内部材430に当接し、開放されつつカバー収納部17bへ案内される。
【0119】
図5(b)に示すように、超音波洗浄装置50が引出位置まで引き出され、第1スライダ440が第1スライド孔421の前端部に至ると、第2スライダ450が第2スライド孔422の後端部に至る。これにより、カバー19が、最後までカバー収納部17bに収納される。カバー19の下端部は、僅かにカバー収納部17bから前方にはみ出す。
【0120】
超音波洗浄装置50は、ユーザの手で後方へ押されて装置収納部17aに収納される。超音波洗浄装置50が装置収納部17aに収納されて収納位置に達すると、第1スライダ440が収納方向にスライドして第1スライド孔421の後端部に至り、第2スライダ450が引出方向にスライドして第2スライド孔422の前端部に至る。これにより、図5(a)のように、カバー19が閉じて、出入口18がカバー19により閉鎖される。係合部材700とプッシュラッチ機構600とが係合し、プッシュラッチ機構600により超音波洗浄装置50がロックされる。
【0121】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、超音波洗浄装置50を収納部17の奥へ押す操作がなされると、プッシュラッチ機構600によるロックが解除されて、定荷重バネ511の弾性力により超音波洗浄装置50が収納部17から引き出される。これにより、ユーザは、超音波洗浄装置50を使用する際に、自身の手で超音波洗浄装置50を収納部17から引き出さなくてよくなり、収納部17からの超音波洗浄装置50の引き出しが容易になる。
【0122】
また、移動する超音波洗浄装置50にダンパ530から制動力が付与されるので、超音波洗浄装置50の移動速度を適度な速度に調節できる。
【0123】
さらに、超音波洗浄装置50が挟持開始位置に到達する前に、ダンパ530が超音波洗浄装置50への制動力の付与を停止するので、超音波洗浄装置50が挟持開始位置から収納位置へ移動する間、ダンパ530による制動時よりも強い力を超音波洗浄装置50に作用させることができる。これにより、ガタつき防止部480による抵抗に負けることなく、超音波洗浄装置50を確実に引出位置に到達させることができる。
【0124】
さらに、収納部17から引き出された超音波洗浄装置50を、定荷重バネ511の弾性力により引出方向へ押した状態にできるので、洗浄運転時に超音波洗浄装置50が収納方向に容易に動いてしまうことを防止できる。このため、たとえば、超音波洗浄装置50が収納方向へ動かないようロックする爪を設け、収納時には超音波洗浄装置50を爪に当てて弾性変形させ、ロック解除を行う、というようなロック構造を採らなくて済む。よって、ロック解除が行われる際の衝撃により、貯水槽210内から洗浄水が飛び出して手に掛かかってしまう、ということが生じない。
【0125】
さらに、本実施の形態によれば、ダンパ530が、高粘性の液体が封入されたケース531と、ケース531内に配置されたロータ532と、ケース531から突出するロータ532の軸に取り付けられるギア533と、を含み、自動引出装置90に、超音波洗浄装置50が移動する方向に直線的に延びるラックギア433が設けられ、ギア533がラックギア433と噛み合って回転することにより、ダンパ530が超音波洗浄装置50に制動力を付与するような構成とされている。そして、超音波洗浄装置50が挟持開始位置に到達する前にギア533とラックギア433との噛み合いが無くなるように、ラックギア433の長さが設定されている。
【0126】
この構成によれば、超音波洗浄装置50が挟持開始位置に到達する前に、ギア533とラックギア433との噛み合いが無くなるようにすることによりダンパ530による超音波洗浄装置50への制動力の付与を停止させることができる。
【0127】
さらに、本実施の形態によれば、定荷重バネ511により超音波洗浄装置50に一定の弾性力が付与されるので、超音波洗浄装置50が定速で移動する。これより、収納部17からの超音波洗浄装置50の急激な飛び出しを防止でき、超音波洗浄装置50の円滑な引き出しが行える。
【0128】
さらに、本実施の形態によれば、定荷重バネ511の弾性力を超音波洗浄装置50に伝える機構として、収納部17に対する超音波洗浄装置50の出し入れ動作に連動してカバー19を開閉する連動機構400を利用するようにしているので、超音波洗浄装置50を自動で引き出す機能とカバー19を自動で開閉する機能とを実現する構成の簡素化を図ることが可能となる。
【0129】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0130】
たとえば、上記実施の形態では、自動引出装置90が、図10(a)に示す構成のプッシュラッチ機構600を備える。しかしながら、弾性力により超音波洗浄装置50が移動しないようにロックでき、超音波洗浄装置50を収納部17の奥へ押す操作がなされたときにロックを解除できる構成であれば、自動引出装置90が、如何なる構成のプッシュラッチ機構を備えてもよい。
【0131】
さらに、自動引出装置90は、収納位置にある超音波洗浄装置50が定荷重バネ511の弾性力により移動しないようにロックを行うとともに、所定の操作がなされたことに基づいてロックを解除する構成を有する、プッシュラッチ機構600以外のロック機構を備えてもよい。所定の操作は、たとえば、ボタン操作とすることができる。
【0132】
さらに、上記実施の形態では、第1スライダ440を引出方向にスライドさせ、第2スライダ450を収納方向にスライドさせる弾性力が、定荷重バネ511により、第2スライダ450に付与されたが、第1スライダ440に付与されてもよい。この場合、定荷重バネ511により、第1スライダ440を引出方向へ押す弾性力が付与されてもよい。
【0133】
さらに、上記実施の形態では、定荷重バネ511の弾性力およびダンパ530の制動力を超音波洗浄装置50に伝える機構として、収納部17に対する超音波洗浄装置50の出し入れ動作に連動してカバー19を開閉する連動機構400を利用した。しかしながら、定荷重バネ511の弾性力およびダンパ530の制動力を、連動機構400を利用することなく、超音波洗浄装置50に伝えるようにしてもよい。
【0134】
さらに、上記実施の形態では、自動引出装置90が、弾性力が一定となる定荷重バネ511を備える。しかしながら、自動引出装置90が、弾性力が一定でないバネを備えてもよい。
【0135】
さらに、上記実施の形態では、ダンパ530は、ロータリーダンパであり、粘性抵抗により制動力を発揮する。しかしながら、摩擦抵抗により制動力を発揮する構成の装置が、ダンパとして用いられてもよい。
【0136】
さらに、上記実施の形態では、カバー19が上下方向に開閉された。しかしながら、カバー19が左右方向に開閉されてもよい。
【0137】
さらに、上記実施の形態では、収納部17が上面板12の後部に設けられ、超音波洗浄装置50が前方に引き出された。しかしながら、収納部17が上面板12の左部または右部に設けられ、超音波洗浄装置50が右方または左方に引き出されてもよい。
【0138】
さらに、上記実施の形態では、連動機構400が、開閉されたカバー19を、カバー収納部17bに収納する。しかしながら、連動機構400が、開閉されたカバー19を、カバー収納部17bに収納しないようにしてもよい。
【0139】
さらに、ガタつき防止部480の構成は、上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、収納部17内に残る超音波洗浄装置50の端部を上下方向から挟持することにより、引出位置での超音波洗浄装置50の上下方向のガタつきを防止することができれば、如何なる構成であってもよい。
【0140】
さらに、超音波洗浄装置50は、超音波発生体110が発生した超音波を被洗浄物に作用させて、被洗浄物に付着した汚れを除去するものであれば、上記実施の形態の構成と異なる構成とされてもよい。
【0141】
さらに、上記実施の形態では、超音波洗浄装置50を備える全自動洗濯機1が示された。しかしながら、本発明は、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機にも適用できる。
【0142】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
12 上面板
14 投入口
17 収納部
18 出入口
19 カバー
50 超音波洗浄装置
110 超音波発生体
400 連動機構
410 リンク機構
420 リンク保持部材(保持部)
433 ラックギア
440 第1スライダ
450 第2スライダ
460 リンク
480 ガタつき防止部
511 定荷重バネ(バネ)
530 ダンパ
531 ケース
532 ロータ
533 ギア
600 プッシュラッチ機構(ロック機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図14