IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三甲株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-台車 図1
  • 特開-台車 図2
  • 特開-台車 図3
  • 特開-台車 図4
  • 特開-台車 図5
  • 特開-台車 図6
  • 特開-台車 図7
  • 特開-台車 図8
  • 特開-台車 図9
  • 特開-台車 図10
  • 特開-台車 図11
  • 特開-台車 図12
  • 特開-台車 図13
  • 特開-台車 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021689
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240208BHJP
   B60B 33/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B62B5/00 K
B60B33/00 504B
B60B33/00 504Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124705
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】春日 一輝
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE09
3D050EE15
3D050FF05
(57)【要約】
【課題】台車の取扱性、キャスターの交換作業の作業性を高める。
【解決手段】台盤(12)及びロック部材(30)のうちの一方は、ロック部材(30)の変位方向に離隔した第1被係止部(30d)及び第2被係止部(30h)を有する。台盤(12)及びロック部材(30)のうちの他方は、ロック部材(30)が保持位置に位置するときに第1被係止部(30d)に係止する第1係止部(54)と、ロック部材(30)が解除位置に位置するときに第2被係止部(30h)に係止する第2係止部(54)と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置する台盤と、
該台盤の下面側に取付けられた複数のキャスターと、
前記台盤の下面側に前記キャスター毎に取付けられ、前記キャスターを保持する保持位置と、前記キャスターの保持状態を解除する解除位置との間で変位可能であって、前記キャスターの座板を前記台盤に対して固定するロック部材と、を備え、
前記台盤及び前記ロック部材のうちの一方は、前記ロック部材の変位方向に離隔した第1被係止部及び第2被係止部を有し、
前記台盤及び前記ロック部材のうちの他方は、前記ロック部材が前記保持位置に位置するときに前記第1被係止部に係止する第1係止部と、前記ロック部材が前記解除位置に位置するときに前記第2被係止部に係止する第2係止部と、を有する、台車。
【請求項2】
前記第1係止部及び前記第2係止部は、兼用の係止部からなり、
前記係止部は、上下方向に弾性変形可能な弾性片と、前記弾性片の先端に設けられかつ前記第1被係止部及び前記第2被係止部に係止可能な係止突起と、を有し、
前記台盤又は前記ロック部材は、前記弾性片の過大な弾性変形を規制する弾性規制部を有する、請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記台盤及び前記ロック部材のうちの一方は、被係合部を有し、
前記台盤及び前記ロック部材のうちの他方は、前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記変位方向の片側から前記被係合部に係合する係合部と、該係合部と協働して前記被係合部の一部を挟持する挟持部と、を有する、請求項1に記載の台車。
【請求項4】
前記変位方向は、水平方向の1つであり、
前記台盤の下面側に前記座板を収容する収容領域が前記キャスター毎に設けられ、
前記台盤は、
前記収容領域において、前記変位方向の両側から前記座板の位置を規定する一対の第1位置決め壁と、
前記変位方向に直交する水平方向の両側から前記座板の位置を規定する一対の第2位置決め壁と、
上方向から前記座板の位置を規定する第3位置決め壁と、
下方向から前記座板の一側部の位置を規定する第4位置決め壁と、を有し、
前記ロック部材は、
前記保持位置に位置したときに前記座板の他側部を下方向から保持する保持部と、
前記座板を前記収容領域に収容する際に、前記変位方向に対して傾斜した前記座板を前記直交する水平方向の両側から挟んだ状態で前記収容領域側に案内する一対のガイド壁と、を有する請求項1に記載の台車。
【請求項5】
前記係合部及び前記被係合部の断面形状は、それぞれ、前記係合部の係合方向の反対側に向かって開口した横U字形状である、請求項3に記載の台車。
【請求項6】
前記台盤は、前記第3位置決め壁の下端に下方向に突出して設けられ、前記座板に形成された嵌合孔に嵌合する嵌合突起を有し、
前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記保持部の少なくとも一部は、底面視において前記嵌合突起と重なる、請求項4に記載の台車。
【請求項7】
前記台盤及び前記ロック部材のうちの一方は、前記被係合部から離隔した位置に配置された補助被係合部を有し、
前記台盤及び前記ロック部材のうちの他方は、前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記変位方向の片側から前記補助被係合部に係合する補助係合部を有し、
前記補助被係合部への前記補助係合部の係合に先立って、前記係合部の一部が前記被係合部に係合する、請求項3に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬に用いられる台車に関する。
【背景技術】
【0002】
台車の先行技術として特許文献1に示すものがあり、その先行技術に係る台車の構成について簡単に説明すると、次の通りである。台車は、物品を載置する台盤と、該台盤の下面側に取付けられた複数のキャスターとを備えている。台車は、キャスターの座板を台盤に対して固定するロック部材(特許文献1では固定部材と称される)を備えており、ロック部材は、台盤の下面側にキャスター毎に取付けられている。ロック部材には、係止部としての係止爪が設けられている。ロック部材が座板を保持した状態で、ロック部材の係止爪は、台盤の被係止部に係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-15449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、先行技術に係る台車においては、ロック部材の係止爪の係止状態を解除して、ロック部材による座板の保持状態を解除すると、ロック部材が台盤から分離して外れることになる。そのため、ロック部材の紛失のおそれがあり、台車の取扱性が低下するという問題がある。また、キャスターの交換時に、外したロック部材を別途管理する必要があり、キャスターの交換作業の作業性が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、ロック部材の紛失を防止して、台車の取扱性を高めると共に、キャスターの交換作業の作業性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するため、本発明の一態様に係る台車は、物品を載置する台盤と、該台盤の下面側に取付けられた複数のキャスターと、前記台盤の下面側に前記キャスター毎に取付けられ、前記キャスターを保持する保持位置と、前記キャスターの保持状態を解除する解除位置との間で変位可能であって、前記キャスターを前記台盤に対して固定するロック部材と、を備える。前記台盤及び前記ロック部材のうちの一方は、前記ロック部材の変位方向に離隔した第1被係止部及び第2被係止部を有し、前記台盤及び前記ロック部材のうちの他方は、前記ロック部材が前記保持位置に位置するときに前記第1被係止部に係止する第1係止部と、前記ロック部材が前記解除位置に位置するときに前記第2被係止部に係止する第2係止部と、を有する。
【0007】
前記の構成によれば、前記ロック部材が前記保持位置に位置するときに、前記第1係止部が前記第1被係止部に係止する。そのため、前記ロック部材による前記座板の保持状態を解除しても、前記ロック部材が前記台盤から分離して外れることを回避することができる。これにより、前記ロック部材の紛失を防止して、前記台車の取扱性を高めることができる。また、前記キャスターの交換時に、前記ロック部材を別途管理する必要がなくなり、前記キャスターの交換作業の作業性を高めることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る台車において、前記第1係止部及び前記第2係止部は、兼用の係止部からなり、前記係止部は、上下方向に弾性変形可能な弾性片と、前記弾性片の先端に設けられかつ前記第1被係止部及び前記第2被係止部に係止可能な係止突起と、を有し、前記台盤又は前記ロック部材は、前記弾性片の過大な弾性変形を規制する弾性規制部を有してもよい。
【0009】
前記の構成によれば、前記第1係止部及び前記第2係止部が兼用の前記係止部からなるため、前記台車の構成要素を減らして、前記台車の構成の簡略化を図ることができる。また、前記弾性規制部が前記弾性片の過大な弾性変形を規制するため、前記係止部の破損を防止して、前記台車の耐久性を高めることができる。
【0010】
本発明の一態様に係る台車において、前記台盤及び前記ロック部材のうちの一方は、被係合部を有し、前記台盤及び前記ロック部材のうちの他方は、前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記変位方向の片側から前記被係合部に係合する係合部と、該係合部と協働して前記被係合部の一部を挟持する挟持部と、を有してもよい。
【0011】
前記の構成により、前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記係合部が前記変位方向の片側から前記被係合部に係合すると共に、前記挟持部が前記係合部と協働して前記被係合部の一部を挟持する。そのため、前記台盤に対する前記ロック部材の位置ずれを抑えて、前記ロック部材による前記座板の保持状態を安定させることができる。
【0012】
本発明の一態様に係る台車において、前記変位方向は、水平方向の1つであり、前記台盤の下面側に前記座板を収容する収容領域が前記キャスター毎に設けられ、前記台盤は、前記収容領域において、前記変位方向の両側から前記座板の位置を規定する一対の第1位置決め壁と、前記変位方向に直交する水平方向の両側から前記座板の位置を規定する一対の第2位置決め壁と、上方向から前記座板の位置を規定する第3位置決め壁と、下方向から前記座板の一側部の位置を規定する第4位置決め壁と、を有してもよい。前記ロック部材は、前記保持位置に位置したときに前記座板の他側部を下方向から保持する保持部と、前記座板を前記収容領域に収容する際に、前記変位方向に対して傾斜した前記座板を前記直交する水平方向の両側から挟んだ状態で前記収容領域側に案内する一対のガイド壁と、を有してもよい。
【0013】
前記の構成によれば、前記収容領域において、一対の前記第1位置決め壁が前記変位方向の両側から前記座板の位置を規定すると共に、一対の前記第2位置決め壁が前記直交する水平方向の両側から前記座板の位置を規定する。また、前記収容領域において、前記第3位置決め壁が上方向から前記座板の位置を規定すると共に、前記第4位置決め壁が下方向から前記座板の一側部の位置を規定する。そのため、前記座板を前記収容領域に位置決めできる共に、前記台盤に対する前記キャスターの位置ずれを防止することができる。
【0014】
また、前記座板を前記収容領域に収容する際に、一対の前記ガイド壁が傾斜した前記座板を前記直交する水平方向の両側から挟んだ状態で前記収容領域側に案内する。そのため、前記座板を前記収容領域に容易に位置決めすることができ、前記キャスターの取付作業の作業性を高めことができる。
【0015】
本発明の一態様に係る台車において、前記係合部及び前記被係合部の断面形状は、それぞれ、前記係合部の係合方向の反対側に向かって開口した横U字形状であってもよい。
【0016】
前記の構成によれば、前記係合部の断面形状が前記係合部の係合方向に向かって開口した場合に比べて、前記座板から前記ロック部材に負荷が加わった際における、前記係合部の変形を抑えることができる。これにより、前記台盤に対する前記ロック部材の位置ずれをより十分に抑えて、前記ロック部材による前記座板の保持状態をより安定させることができる。
【0017】
本発明の一態様に係る台車において、前記台盤は、前記第3位置決め壁の下端に下方向に突出して設けられ、前記座板に形成された嵌合孔に嵌合する嵌合突起を有し、前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記保持部の少なくとも一部は、底面視において前記嵌合突起と重なってもよい。
【0018】
前記の構成によれば、前記嵌合突起が前記座板の前記嵌合孔に嵌合するため、前記座板を前記収容領域に容易に位置決めできると共に、前記台盤に対する前記キャスターの位置ずれをより防止することができる。
【0019】
また、前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記保持部の少なくとも一部が底面視において前記嵌合突起と重なるため、前記嵌合突起と重なる分だけ、前記保持部と前記座板との接触面積を減らすることができる。そのため、前記ロック部材によって前記座板を保持する際における負荷を低減することができ、前記台車の耐久性を高めることができる。
【0020】
本発明の一態様に係る台車において、前記台盤及び前記ロック部材のうちの一方は、前記被係合部から離隔した位置に配置された補助被係合部を有し、前記台盤及び前記ロック部材のうちの他方は、前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記変位方向の片側から前記補助被係合部に係合する補助係合部を有し、前記補助被係合部への前記補助被係合部の係合に先立って、前記係合部の一部が前記被係合部に係合してもよい。
【0021】
前記の構成によれば、前記ロック部材が前記保持位置に位置したときに、前記補助係合部が前記変位方向の片側から前記補助被係合部に係合する。そのため、前記台盤に対する前記ロック部材の位置ずれを十分に抑えて、前記ロック部材による前記座板の保持状態をより安定させることができる。
【0022】
また、前記補助被係合部への前記補助係合部の係合に先立って、前記係合部の一部が前記被係合部に係合するため、前記補助係合部の係合動作を前記係合部の係合動作と同時に行う必要がなく、前記キャスターの取付作業の作業性を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様は、ロック部材の紛失を防止して、台車の取扱性を高めると共に、キャスターの交換作業の作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る台車の模式的な斜視図である。
図2】本実施形態に係る台車を下面側から見た模式的な斜視図である。
図3】本実施形態に係る台車の模式的な部分底面図であり、ロック部材が保持位置に位置した状態を示している。
図4】本実施形態に係る台車の模式的な部分底面図であり、ロック部材が解除位置に位置した状態を示している。
図5】本実施形態の台車における台盤の模式的な部分斜視図である。
図6図3におけるVI-VI線に沿った模式的な断面図である。
図7図3におけるVII-VII線に沿った模式的な断面図である。
図8図4におけるVIII-VIII線に沿った模式的な断面図である。
図9図4におけるIX-IX線に沿った模式的な断面図である。
図10】本実施形態の台車におけるロック部材の模式的な斜視図である。
図11】本実施形態の台車におけるロック部材の模式的な斜視図であり、図6と異なる方向から見た斜視図である。
図12】本実施形態の台車におけるロック部材の模式的な斜視図であり、図6及び図7と異なる方向から見た斜視図である。
図13】座板を台盤の収容領域に収容する様子を示す模式的な斜視図である。
図14】座板を台盤の収容領域に収容する様子を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、横方向とは、台車又は台盤の横方向のことであり、水平方向の1つである。縦方向とは、台車又は台盤の縦方向のことであり、横方向に直交する水平方向の1つである。矩形状とは、厳密な矩形形状に限るものでなく、例えば角部が湾曲状になっていても、全体的に矩形状として視認できる形状を含む意である。矩形枠状とは、厳密な矩形枠状に限るものでなく、例えば角部が湾曲状になっていても、全体的に矩形枠状として視認できる形状を含む意である。図面中、台車の位置を基準として、「CD」は横方向、「LD」は縦方向、「UD」は上方向、「DD」は下方向をそれぞれ示している。
【0026】
(台車10、台盤12)
図1に示すように、本実施形態に係る台車10は、物品の運搬に用いられるものであり、物品を載置する矩形状の台盤12を備えている。台盤12は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂からなり、射出成形によって成形される。台盤12の長手方向は、横方向になっており、台盤12の長辺部は、横方向に延びており、台盤12の短辺部は、縦方向に延びている。なお、本実施形態では、台盤12の長手方向が横方向であるが、縦方向であってもよい。
【0027】
(台盤本体14、載置領域CA、区画壁16、外周壁18、補強リブ20)
図1及び図2に示すように、台盤12は、矩形状の台盤本体14を有しており、台盤本体14は、板状に形成されている。台盤本体14は、その上面に、物品を載置するための載置領域CAを有している。台盤本体14の上面における2つの長辺部から1つの短辺部にかけて、載置領域CAを区画するための区画壁16が設けられている。また、台盤本体14の下面の周縁部には、矩形枠状の外周壁18が垂下して設けられている。台盤本体14の下面における外周壁18の内側には、台盤本体14を補強する複数の補強リブ20が格子状に設けられている。
【0028】
(キャスター22、座板24、支持脚26、車輪28)
図1から図4に示すように、台車10は、床面を走行するための複数のキャスター22を備えており、複数のキャスター22は、台盤12の下面側の4隅に取付けられている。各キャスター22は、台盤12の下面側に取付可能な座板24を有しており、各座板24は、金属からなる。各座板24には、複数の嵌合孔24hが形成されている。各キャスター22は、座板24に取付けられた支持脚26を有しており、各支持脚26は、金属からなる。各キャスター22は、支持脚26に回転自在に取付けられた車輪28を有している。各支持脚26は、座板24に対して鉛直な軸心回りに旋回自在に構成されてもよい。換言すれば、各キャスター22は、旋回自在な所謂自在キャスターであってもよい。なお、各支持脚26が座板24に旋回不能な構成であってもよい。
【0029】
(ロック部材30)
図2から図4に示すように、台車10は、座板24を台盤12に対して固定するブロック状のロック部材30を備えており、ロック部材30は、台盤12の下面側にキャスター22毎に取付けられている。各ロック部材30は、例えばポリプロピレン等の合成樹脂からなり、射出成形によって成形される。各ロック部材30は、キャスター22を下方向から保持する保持位置(図4参照)と、キャスター22の保持状態を解除する解除位置(図5参照)との間で横方向に変位可能(移動可能)である。本実施形態では、各ロック部材30の変位方向(移動方向)が横方向であるが、縦方向又は上下方向であってもよい。
【0030】
(収容領域SA、第1位置決め壁32、第2位置決め壁34)
図3から図10に示すように、台盤12の下面側には、座板24を収容する収容領域SAがキャスター22毎に設けられている。台盤12は、各収容領域SAにおいて、横方向(ロック部材30の変位方向)の両側から座板24の横方向の位置を規定するリブ状の一対の第1位置決め壁32を有している。各一対の第1位置決め壁32は、台盤本体14の下面に横方向に離隔して設けられており、各第1位置決め壁32は、縦方向に延びている。台盤12は、各収容領域SAにおいて、縦方向(ロック部材30の変位方向に直交する方向)の両側から座板24の縦方向の位置を規定するリブ状の一対の第2位置決め壁34を有している。各一対の第2位置決め壁34は、台盤本体14の下面に縦方向に離隔して設けられており、各第2位置決め壁34は、横方向に延びている。
【0031】
(第3位置決め壁36、第4位置決め壁38)
図3から図10に示すように、台盤12は、各収容領域SAにおいて、上方向から座板24の上下方向の位置を規定するリブ状の複数の第3位置決め壁36を有している。各複数の第3位置決め壁36は、台盤本体14の下面に設けられており、各第3位置決め壁36は、横方向又は縦方向に延びている。台盤12は、各収容領域SAにおいて、下方向から座板24の一側部の上下方向の位置を規定する梁状の第4位置決め壁38を有している。各第4位置決め壁38は、各一対の第1位置決め壁32のうちの一方の第1位置決め壁32に設けられており、縦方向に延びている。ここで、一方の第1位置決め壁32は、図3図4図6から図9において右側に位置する第1位置決め壁32であり、他方の第1位置決め壁32は、図3図4図6から図9において左側に位置する第1位置決め壁32である。
【0032】
(嵌合突起40)
図4及び図5に示すように、台盤12は、各収容領域SAに横方向に離隔して配置された円筒状の一対の嵌合突起40を有している。各一対の嵌合突起40は、いずれかの第3位置決め壁36の下端に下方向に突出して設けられている。各嵌合突起40は、座板24の対応する嵌合孔24hに嵌合可能である。
【0033】
(変位領域DA、支持壁42、ストッパ部44)
図3から図10に示すように、台盤12の下面側における各収容領域SAに横方向に隣接する位置には、ロック部材30を横方向へ変位させるための変位領域(移動領域)DAが設けられている。台盤12は、各変位領域DAにおいて、ロック部材30を横方向へ変位可能(移動可能)に支持するリブ状の一対の支持壁42を有している。各一対の支持壁42は、台盤本体14の下面に縦方向に離隔して設けられており、各支持壁42は、横方向に延びている。各支持壁42の横方向の端部側には、各収容領域SAに離反する方向のロック部材30の移動を規制するストッパ部44が設けられている。なお、ロック部材30の横方向への変位動作は、台盤12を上下反転させた状態で、キャスター22の取付作業又は交換作業において行われる。
【0034】
(保持部46、補強リブ48、補助保持部50)
図3図7図10から図12に示すように、各ロック部材30は、その下端側に、保持位置に位置したときに座板24の他側部を下方向から保持する一対の保持部46を有している。各一対の保持部46は、縦方向に離隔しており、各保持部46は、各収容領域SA側に突出している。各ロック部材30が保持位置に位置したときに、各保持部46の少なくとも一部は、底面視において嵌合突起40と重なる(図3参照)。なお、各保持部46の少なくとも一部が底面視において嵌合突起40と重ならなくてもよい。
【0035】
図10及び図11に示すように、各ロック部材30の下端側には、各保持部46を補強するための補強リブ48が設けられており、各補強リブ48は、横方向に延びている。各ロック部材30は、その下端側に、保持位置に位置したときに座板24の他側部を下方向から補助的に保持する補助保持部50を有している。各一対の補助保持部50は、一対の保持部46の間に配置されており、縦方向に離隔している。
【0036】
(ガイド壁52、傾斜面46f)
図10図13、及び図14に示すように、各ロック部材30は、その下端側に、横方向に延びた一対のガイド壁52を有している。各一対のガイド壁52は、座板24を各収容領域SAに収容する際に、横方向に対して傾斜した座板24を縦方向の両側から挟んだ状態で各収容領域SA側に案内する。また、各保持部46の下端側には、各収容領域SA側に向かって徐々に高くなるように横方向に対して傾斜した傾斜面46fが設けられている。
【0037】
(貫通路30s、係止凹部30d、係止孔30h)
図6図8図10から図12に示すように、各ロック部材30の中央部には、横方向に沿って貫通した貫通路30sが設けられている。各ロック部材30の貫通路30sの断面形状は、矩形状になっている。各ロック部材30の下端側には、第1被係止部としての係止凹部30dが設けられており、係止凹部30dは、横方向の一方側に窪んでいる。各ロック部材30の下端側における係止凹部30dから横方向に離隔した位置には、第2被係止部としての係止孔30hが設けられており、係止孔30hは、貫通路30sに連通している。換言すれば、各ロック部材30は、その下端側に、横方向に離隔した係止凹部30d及び係止孔30hを有している。
【0038】
(兼用の係止部54、弾性片56、係止突起58)
図5図6、及び図8に示すように、台盤12は、各変位領域DA側に、兼用の係止部54を有しており、各係止部54は、各一対の第1位置決め壁32のうちの他方の第1位置決め壁32に設けられている。各係止部54は、横方向に突出しており、貫通路30sに挿通可能である。各係止部54は、各ロック部材30が保持位置に位置したときに、各貫通路30sに挿通した状態で上方向から係止凹部30dに係止する。各係止部54は、各ロック部材30が解除位置に位置したときに、上方向から係止孔30hに係止する。兼用の係止部54は、係止凹部30dに係止する第1係止部としての機能、及び係止孔30hに係止する第2係止部としての機能を兼用する。換言すれば、第1係止部及び第2係止部は、兼用の係止部54からなる。
【0039】
各係止部54は、各一対の第1位置決め壁32のうちの他方の第1位置決め壁32に設けられた弾性片56を有しており、弾性片56は、上下方向に弾性変形可能である。各係止部54は、各弾性片56の先端に設けられた係止突起58を有しており、各係止突起58は、係止凹部30d及び係止孔30hに係止可能である。また、各ロック部材30の貫通路30sの内側面は、弾性片56の過大な弾性変形を規制する弾性規制部に相当する。換言すれば、各ロック部材30は、弾性片56の過大な弾性変形を規制する弾性規制部を有する。なお、台盤12が各弾性片56の過大な弾性変形を規制する規制リブ等の弾性規制部を有してもよい。
【0040】
(他の係止態様)
台盤12は、兼用の係止部54の代わりに、係止凹部30dに係止する専用の第1係止部及び係止孔30hに係止する専用の第2係止部を有してもよい。ロック部材30が第1被係止部としての係止凹部30d及び第2被係止部としての係止孔30hを有する代わりに、台盤12が横方向に離隔した第1被係止部及び第2被係止部を有してもよい。この場合には、各ロック部材30が専用の第1係止部及び専用の第2係止部を有するか、又は兼用の係止部を有する。また、台盤12及びロック部材30のうちの一方は、第1被係止部及び第2被係止部以外の他の被係止部(不図示)を有してもよい。この場合には、台盤12及びロック部材30の他方は、他の被係止部(不図示)に係止する他の係止部を有する。
【0041】
(被係合部60、係合部62、挟持部64)
図5図7図9から図12に示すように、台盤12は、各変位領域DA側において、縦方向に離隔した一対の被係合部60を有している。一対の被係合部60は、各一対の第1位置決め壁32のうちの他方の第1位置決め壁32に設けられている。各被係合部60の断面形状は、収容領域SAの反対側に向かって開口した横U字形状である。
【0042】
図7図10から図12に示すように、各ロック部材30は、縦方向に離隔した一対の係合部62を有しており、各係合部62は、ロック部材30が保持位置に位置したときに、横方向の片側から被係合部60に係合する。各被係合部60及び各係合部62の断面形状は、それぞれ、各係合部62の係合方向の反対側(図7において左側)に向かって開口した横U字形状である。また、各ロック部材30は、各係合部62の下側に、縦方向に離隔した一対の挟持部64を有しており、各挟持部64は、ロック部材30が保持位置に位置したときに、係合部62と協働して被係合部60の一部を挟持する。
【0043】
(係合孔32h、補助係合部66)
図5図6図10、及び図11に示すように、台盤12は、各変位領域DA側において、縦方向に離隔した一対の補助被係合部としての矩形状の一対の係合孔32hを有している。各一対の係合孔32hは、一対の第1位置決め壁32のうちの他方の第1位置決め壁32に設けられている。また、各ロック部材30は、保持位置に位置したときに、横方向の片側から係合孔32hに係合する四角柱状の一対の補助係合部66を有している。各一対の補助係合部66は、一対の係合部62の間に配置されている。各係合部62の一部が被係合部60に係合した後に、各一対の補助係合部66は、各一対の係合孔32hに係合する。換言すれば、各一対の係合孔32hへの一対の補助係合部66の係合に先立って、各係合部62は、被係合部60に係合する。
【0044】
(他の係合態様)
台盤12が一対の被係合部60及び一対の補助被係合部としての一対の係合孔32hを有する代わりに、各ロック部材30が一対の被係合部及び一対の補助被係合部を有してもよい。この場合には、台盤12が一対の係合部及び一対の補助係合部を有する。
【0045】
(作用効果)
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
【0046】
本実施形態に係る台車10の構成によると、前述のように、各ロック部材30が保持位置に位置するときに、兼用の係止部54が第1被係止部としての係止凹部30dに係止する。そのため、ロック部材30による座板24の保持状態を解除しても、ロック部材30が台盤12から分離して外れることを回避することができる。これにより、本実施形態によれば、ロック部材30の紛失を防止して、台車10の取扱性を高めることができる。また、キャスター22の交換時に、ロック部材30を別途管理する必要がなくなり、キャスター22の交換作業の作業性を高めることができる。
【0047】
本実施形態に係る台車10の構成によると、前述のように、各ロック部材30が保持位置に位置したときに、各係合部62が横方向の片側から被係合部60に係合する共に、各挟持部64が係合部62と協働して被係合部60の一部を挟持する。各ロック部材30が保持位置に位置したときに、各補助係合部66が横方向の片側から係合孔32hに係合する。そのため、本実施形態によれば、台車10の走行中に、座板24からロック部材30に負荷が加わっても、台盤12に対するロック部材30の位置ずれを抑えて、ロック部材30による座板24の保持状態を安定させることができる。
【0048】
特に、前述のように、各係合部62の断面形状が各係合部62の係合方向の反対側に向かって開口した横U字形状である。そのため、各係合部62の断面形状が各係合部62の係合方向に向かって開口した場合に比べて、台車10の走行中に、座板24からロック部材30に負荷が加わった際における、係合部62の変形を抑えることができる。これにより、本実施形態によれば、台盤12に対するロック部材30の位置ずれをより十分に抑えて、ロック部材30による座板24の保持状態をより安定させることができる。
【0049】
本実施形態に係る台車10の構成によると、前述のように、各収容領域SAにおいて、一対の第1位置決め壁32が横方向の両側から座板24の横方向の位置を規定すると共に、一対の第2位置決め壁34が縦方向の両側から座板24の縦方向の位置を規定する。また、各収容領域SAにおいて、複数の第3位置決め壁36が上方向から座板24の上下方向の位置を規定すると共に、第4位置決め壁38が下方向から座板24の一側部の上下方向の位置を規定する。更に、各嵌合突起40が座板の対応する嵌合孔24hに嵌合する。そのため、本実施形態によれば、座板24を各収容領域SAに容易に位置決めすることができ共に、台盤12に対する各キャスター22の位置ずれを防止することができる。
【0050】
本実施形態に係る台車10の構成によると、前述のように、座板24を各収容領域SAに収容する際に、各一対のガイド壁52が傾斜した座板24を縦方向の両側から挟んだ状態で各収容領域SA側に案内する。そのため、本実施形態によれば、座板24を各収容領域SAに容易に位置決めすることができ、キャスター22の取付作業の作業性を高めことができる。
【0051】
また、前述のように、各一対の係合孔32hへの一対の補助係合部66の係合に先立って、各係合部62が被係合部60に係合する。そのため、本実施形態によれば、補助係合部66の係合動作を係合部62の係合動作と同時に行う必要がなく、キャスター22の取付作業の作業性をより高めることができる。
【0052】
本実施形態に係る台車10の構成によると、前述のように、第1係止部及び第2係止部が兼用の係止部54からなる。そのため、本実施形態によれば、台車10の構成要素を減らして、台車10の構成の簡略化を図ることができる。
【0053】
本実施形態に係る台車10の構成によると、前述のように、各ロック部材30の貫通路30sの内側面が各弾性片56の過大な弾性変形を規制する。そのため、本実施形態によれば、兼用の係止部54の破損を防止して、台車10の耐久性を高めることができる。
【0054】
本実施形態に係る台車10の構成によると、前述のように、各ロック部材30が保持位置に位置したときに、各保持部46の少なくとも一部が底面視において嵌合突起40と重なっている。そのため、嵌合突起40と重なる分だけ、保持部46と座板24との接触面積を減らすることができる。これにより、本実施形態によれば、各ロック部材30によって座板24を保持する際における負荷(接触負荷)を低減することができ、台車10の耐久性を高めることができる。
【0055】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 台車
12 台盤
14 台盤本体
16 区画壁
18 外周壁
20 補強リブ
22 キャスター
24 座板
24h 嵌合孔
26 支持脚
28 車輪
30 ロック部材
30d 係止凹部(第1被係止部)
30h 係止孔(第2被係止部)
30s 貫通路
32 第1位置決め壁
32h 係合孔(補助被係合部)
34 第2位置決め壁
36 第3位置決め壁
38 第4位置決め壁
40 嵌合突起
42 支持壁
44 ストッパ部
46 保持部
46f 傾斜面
48 補強リブ
50 補助保持部
52 ガイド壁
54 兼用の係止部(第1係止部、第2係止部)
56 弾性片
58 係止突起
60 被係合部
62 係合部
64 挟持部
66 補助係合部
CA 載置領域
SA 収容領域
DA 変位領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14