(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021703
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】実装順序決定方法および実装順序決定装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124728
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴仁
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB08
5E353DD08
5E353DD14
5E353EE02
5E353EE84
5E353GG01
5E353HH30
5E353JJ22
5E353JJ43
5E353JJ45
5E353JJ48
5E353KK01
5E353LL04
5E353QQ01
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】部品を同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、部品の特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することが可能な実装順序決定方法を提供する。
【解決手段】この実装順序決定方法は、基板Pを複数の領域Aに分割するステップと、複数のノズル232のうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズル232に吸着される、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの対を設定するステップと、複数の領域Aのうちの互いに隣り合う領域Aに部品Eの対がそれぞれ実装され、かつ、同一の部品供給部210から供給される部品Eが互いに隣接しないように、実装位置P1に実装する部品Eを決定するステップと、実装位置P1に実装する部品Eの決定結果に基づいて、部品Eを実装する実装順序を決定するステップと、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
規則的に配列されて同一種類の部品が実装される複数の実装位置を含む基板に対して、円周状に配列された複数のノズルを含むロータリーヘッドにより前記部品を実装するための実装順序決定方法であって、
前記基板を複数の領域に分割するステップと、
前記複数のノズルのうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズルに吸着される、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の前記部品の対を設定するステップと、
前記複数の領域のうちの互いに隣り合う領域に前記部品の対がそれぞれ実装され、かつ、同一の前記部品供給部から供給される前記部品が互いに隣接しないように、前記実装位置に実装する前記部品を決定するステップと、
前記実装位置に実装する前記部品の決定結果に基づいて、前記部品を実装する実装順序を決定するステップと、を備える、実装順序決定方法。
【請求項2】
前記基板を前記複数の領域に分割するステップは、前記一対のノズル間の距離に基づいて、前記基板を前記複数の領域に分割するステップを含む、請求項1に記載の実装順序決定方法。
【請求項3】
前記基板を前記複数の領域に分割するステップは、前記互いに隣り合う領域の互いに対応する前記実装位置の間の距離が前記一対のノズル間の距離の近傍の値となるように、前記基板を前記複数の領域に分割するステップを含む、請求項2に記載の実装順序決定方法。
【請求項4】
前記基板を前記複数の領域に分割するステップは、前記基板の端部において前記一対のノズル間の距離よりも小さい幅を有する終端領域を含むように、前記基板を前記複数の領域に分割するステップを含み、
前記実装位置に実装する前記部品を決定するステップは、前記終端領域の前記実装位置に実装する前記部品を決定するステップを含む、請求項3に記載の実装順序決定方法。
【請求項5】
前記基板を前記複数の領域に分割するステップは、前記互いに隣り合う領域の互いに対応する前記実装位置を抽出するステップを含み、
前記実装位置に実装する前記部品を決定するステップは、抽出した前記互いに対応する実装位置に前記部品の対がそれぞれ実装されるように、前記実装位置に実装する前記部品を決定するステップを含む、請求項1に記載の実装順序決定方法。
【請求項6】
前記実装位置に実装する前記部品を決定するステップは、
互いに異なる前記部品供給部から供給される同一種類の前記部品の配列を取得するステップと、
取得した前記部品の配列の順番をランダムに入れ替えるステップと、
入れ替えた前記部品の配列の順番で、前記実装位置に前記部品を割り当てるステップと、
を含む、請求項1に記載の実装順序決定方法。
【請求項7】
前記部品は、LED部品を含む、請求項1に記載の実装順序決定方法。
【請求項8】
規則的に配列されて同一種類の部品が実装される複数の実装位置を含む基板に対して、円周状に配列された複数のノズルを含むロータリーヘッドにより前記部品を実装するための実装順序決定装置であって、
制御部を備え、
前記制御部は、
前記基板を複数の領域に分割する処理と、
前記複数のノズルのうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズルに吸着される、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の前記部品の対を設定する処理と、
前記複数の領域のうちの互いに隣り合う領域に前記部品の対がそれぞれ実装され、かつ、同一の前記部品供給部から供給される前記部品が互いに隣接しないように、前記実装位置に実装する前記部品を決定する処理と、
前記実装位置に実装する前記部品の決定結果に基づいて、前記部品を実装する実装順序を決定する処理と、
を行う、実装順序決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実装順序決定方法および実装順序決定装置に関し、特に、部品を基板に実装する実装順序を決定する実装順序決定方法および実装順序決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を基板に実装する部品実装機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、部品を基板に実装する部品実装機が開示されている。この部品実装機は、部品を基板に実装するマルチノズルヘッドと、マルチノズルヘッドに部品を供給するテープフィーダとを備える。この部品実装機は、たとえば、テープフィーダによりLED部品を供給し、供給されたLED部品をマルチノズルヘッドにより基板に実装するように構成されている。基板には、同一種類のLED部品が密集するように実装される。
【0004】
また、上記特許文献1には、同一種類のLED部品が密集するように実装される場合、LED部品の仕様上の特性は同じであっても輝度が異なると人間の目では異なる発光状態と認識されるため、同一ロットのLED部品を用いることが好ましく、さらには、同一リールのLED部品を用いることが好ましいことが記載されている。このため、上記特許文献1の部品実装機は、LED部品であるか否かを判定し、LED部品であると判定した場合、同一ロットに属するLED部品のみを実装する条件を採用するように構成されている。具体的には、この部品実装機は、同一ロットに属するLED部品のみを実装する条件を採用した場合、同一ロットのLED部品を保持する同一のテープフィーダから供給されるLED部品をマルチノズルヘッドを移動させつつ順次吸着するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された部品実装機では、同一ロットに属するLED部品のみを実装する条件を採用した場合、同一ロットに属するLED部品のみを実装することにより、LED部品の特性の差に起因する輝度ムラが発生することが抑制される。しかしながら、上記特許文献1に記載された部品実装機では、同一ロットに属するLED部品のみを実装する条件を採用した場合、同一のテープフィーダから供給されるLED部品のみをマルチノズルヘッドを移動させつつ順次吸着するため、互いに異なるテープフィーダから供給される同一種類のLED部品を同時に吸着する効率的な部品吸着ができないという不都合がある。この場合、LED部品(部品)を同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、LED部品(部品)の特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することが困難であるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品を同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、部品の特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することが可能な実装順序決定方法および実装順序決定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の局面による実装順序決定方法は、規則的に配列されて同一種類の部品が実装される複数の実装位置を含む基板に対して、円周状に配列された複数のノズルを含むロータリーヘッドにより部品を実装するための実装順序決定方法であって、基板を複数の領域に分割するステップと、複数のノズルのうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズルに吸着される、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品の対を設定するステップと、複数の領域のうちの互いに隣り合う領域に部品の対がそれぞれ実装され、かつ、同一の部品供給部から供給される部品が互いに隣接しないように、実装位置に実装する部品を決定するステップと、実装位置に実装する部品の決定結果に基づいて、部品を実装する実装順序を決定するステップと、を備える。
【0009】
この発明の第1の局面による実装順序決定方法では、上記のように、複数のノズルのうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズルに吸着される、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品の対を設定するステップを設ける。これにより、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品の対を設定することができるので、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品を同時に吸着する効率的な部品吸着を行うことができる。また、同一の部品供給部から供給される部品が互いに隣接しないように、実装位置に実装する部品を決定するステップと、実装位置に実装する部品の決定結果に基づいて、部品を実装する実装順序を決定するステップと、を設ける。これにより、決定した実装順序に基づいてロータリーヘッドにより部品を実装することにより、同一の部品供給部から供給される部品を互いに隣接しないように実装することができるので、同一の部品供給部から供給される部品が一部に密集することを抑制することができる。その結果、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品(異ロットの部品など)を実装する場合にも、部品の特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することができる。これらの結果、部品を同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、部品の特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することができる。
【0010】
なお、同一の部品供給部から供給される部品が一部に密集することを抑制するために、ランダムに部品を実装することも考えられるが、この場合、ロータリーヘッドがランダムに移動されるようになるため、ロータリーヘッドの移動が複雑になる。その結果、部品の実装に要する時間が増加するという不都合がある。これに対して、上記のように、複数の領域のうちの互いに隣り合う領域に部品の対がそれぞれ実装されるように、実装位置に実装する部品を決定するステップと、実装位置に実装する部品の決定結果に基づいて、部品を実装する実装順序を決定するステップと、を設ける。これにより、決定した実装順序に基づいてロータリーヘッドにより部品を実装することにより、複数の領域のうちの互いに隣り合う領域に部品の対をそれぞれ実装することができるので、ロータリーヘッドがランダムに移動される場合に比べて、ロータリーヘッドの移動を抑制することができる。その結果、部品の実装に要する時間の増加を抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による実装順序決定方法において、好ましくは、基板を複数の領域に分割するステップは、一対のノズル間の距離に基づいて、基板を複数の領域に分割するステップを含む。このように構成すれば、一対のノズル間の距離に基づいて、部品の対を実装する際のロータリーヘッドの移動が少なくなるような複数の領域を容易に設定することができるので、部品の実装に要する時間の増加を容易に抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、基板を複数の領域に分割するステップは、互いに隣り合う領域の互いに対応する実装位置の間の距離が一対のノズル間の距離の近傍の値となるように、基板を複数の領域に分割するステップを含む。このように構成すれば、互いに隣り合う領域の互いに対応する実装位置の間の距離が一対のノズル間の距離の近傍の値となることにより、部品の対を実装する際のロータリーヘッドの移動が少なくなるような複数の領域をより容易に設定することができるので、部品の実装に要する時間の増加をより容易に抑制することができる。
【0013】
上記複数の領域の各々が一対のノズル間の距離の近傍の幅を有する構成において、好ましくは、基板を複数の領域に分割するステップは、基板の端部において一対のノズル間の距離よりも小さい幅を有する終端領域を含むように、基板を複数の領域に分割するステップを含み、実装位置に実装する部品を決定するステップは、終端領域の実装位置に実装する部品を決定するステップを含む。このように構成すれば、基板を複数の領域に分割する際に、基板の端部において一対のノズル間の距離の近傍の幅が確保できない場合にも、一対のノズル間の距離よりも小さい幅を有する終端領域を設定することにより、基板を複数の領域に分割することができるとともに、終端領域の実装位置にも実装する部品を決定することができる。
【0014】
上記第1の局面による実装順序決定方法において、好ましくは、基板を複数の領域に分割するステップは、互いに隣り合う領域の互いに対応する実装位置を抽出するステップを含み、実装位置に実装する部品を決定するステップは、抽出した互いに対応する実装位置に部品の対がそれぞれ実装されるように、実装位置に実装する部品を決定するステップを含む。このように構成すれば、ロータリーヘッドの移動距離が少ない互いに対応する実装位置に部品の対を実装することができるので、部品の実装に要する時間の増加をより一層容易に抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面による実装順序決定方法において、好ましくは、実装位置に実装する部品を決定するステップは、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品の配列を取得するステップと、取得した部品の配列の順番をランダムに入れ替えるステップと、入れ替えた部品の配列の順番で、実装位置に部品を割り当てるステップと、を含む。このように構成すれば、ランダムに実装位置に部品を割り当てていくことができるので、同一の部品供給部から供給される部品が一部に密集することを容易に抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による実装順序決定方法において、好ましくは、部品は、LED部品を含む。このように構成すれば、LED部品を用いた場合に、部品を同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、部品の特性の差に起因する輝度ムラが発生することを抑制することができる。
【0017】
この発明の第2の局面による実装順序決定装置は、規則的に配列されて同一種類の部品が実装される複数の実装位置を含む基板に対して、円周状に配列された複数のノズルを含むロータリーヘッドにより部品を実装するための実装順序決定装置であって、制御部を備え、制御部は、基板を複数の領域に分割する処理と、複数のノズルのうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズルに吸着される、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品の対を設定する処理と、複数の領域のうちの互いに隣り合う領域に部品の対がそれぞれ実装され、かつ、同一の部品供給部から供給される部品が互いに隣接しないように、実装位置に実装する部品を決定する処理と、実装位置に実装する部品の決定結果に基づいて、部品を実装する実装順序を決定する処理と、を行う。
【0018】
この発明の第2の局面による実装順序決定装置では、上記のように、複数のノズルのうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズルに吸着される、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品の対を設定する処理を設ける。これにより、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品の対を設定することができるので、互いに異なるテープフィーダから供給される同一種類の部品を同時に吸着する効率的な部品吸着を行うことができる。また、同一の部品供給部から供給される部品が互いに隣接しないように、実装位置に実装する部品を決定する処理と、実装位置に実装する部品の決定結果に基づいて、部品を実装する実装順序を決定する処理と、を設ける。これにより、決定した実装順序に基づいてロータリーヘッドにより部品を実装することにより、同一の部品供給部から供給される部品を互いに隣接しないように実装することができるので、同一の部品供給部から供給される部品が一部に密集することを抑制することができる。その結果、互いに異なる部品供給部から供給される同一種類の部品(異ロットの部品など)を実装する場合にも、部品の特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することができる。これらの結果、部品を同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、部品の特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、部品を同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、部品の特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態による部品実装システムを示す図である。
【
図2】一実施形態による部品実装装置を示す図である。
【
図3】一実施形態による部品供給部を示す図である。
【
図4】一実施形態によるヘッドユニットを示す図である。
【
図6】一実施形態による基板を複数の領域に分割することを説明するための図である。
【
図7】一実施形態による同時に吸着する部品を設定することを説明するための図である。
【
図8】一実施形態による実装位置に実装する部品を決定することを説明するための図である。
【
図9】一実施形態による実装順序を決定することを説明するための図である。
【
図10】一実施形態による終端領域における実装位置に実装する部品を決定することを説明するための図である。
【
図11】一実施形態による終端領域における実装順序を決定することを説明するための図である。
【
図12】一実施形態による実装順序の決定に関する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~
図11を参照して、一実施形態による実装順序決定装置100を備える部品実装システム300の構成について説明する。
【0023】
(部品実装システムの構成)
部品実装システム300は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装して、部品Eが実装された基板Pを生産するシステムである。
【0024】
図1に示すように、部品実装システム300は、実装順序決定装置100と、部品実装装置200とを備える。
【0025】
実装順序決定装置100は、たとえばパーソナルコンピュータにより構成されている。実装順序決定装置100は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14とを含んでいる。制御部11は、CPU(中央演算処理装置)などのプロセッサを含み、実装順序決定装置100の各部を制御する制御回路である。制御部11は、後述する実装順序の情報を含む実装データ12aを作成するように構成されている。記憶部12は、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記録媒体を含み、情報を記憶可能に構成されている。記憶部12には、実装データ12aなどの情報が記憶される。表示部13は、液晶モニタなどのモニタを含み、実装順序決定装置100の操作のための画面などを表示可能に構成されている。操作部14は、キーボードおよびマウスなどの入力装置を含み、ユーザからの操作を受け付ける。実装順序決定装置100は、部品実装装置200と通信可能に接続されている。
【0026】
図1および
図2に示すように、部品実装装置200は、基台201と、基板搬送部202と、ロータリーヘッド203と、ヘッド水平移動機構部204と、部品撮像部205と、基板撮像部206と、制御部207と、記憶部208とを備えている。なお、以下の説明では、基板搬送方向をX方向とし、水平面内でX方向と直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。
【0027】
基台201は、部品実装装置200において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台201上には、基板搬送部202、レール部242および部品撮像部205が設けられている。また、基台201内には、制御部207が設けられている。また、基台201のY方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)には、複数の部品供給部210がX方向に並んで配置されている。
【0028】
図3に示すように、部品供給部210は、基板Pに実装される部品Eを供給するテープフィーダである。部品供給部210には、複数の部品Eを保持した部品供給テープTが巻き回されたリールRが取り付けられている。部品供給部210は、ロータリーヘッド203による部品吸着動作に応じて、リールRを回転させて部品供給テープTを送り出すことにより、部品Eを供給するように構成されている。
【0029】
図2に示すように、基板搬送部202は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、基板搬送部202は、搬入された基板Pを基板固定位置Paまで搬送するとともに、基板固定位置Paにおいて基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、基板搬送部202は、一対の搬送ベルトを含んでいる。基板搬送部202は、一対の搬送ベルトにより、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、基板Pを基板搬送方向に搬送するように構成されている。
【0030】
図2および
図4に示すように、ロータリーヘッド203は、部品実装用のロータリ型のヘッドユニットである。ロータリーヘッド203は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pに部品Eを実装する。ロータリーヘッド203は、部品Eを吸着して実装するための複数(12本)の実装ヘッド部231と、実装ヘッド部231の先端に装着された部品Eを吸着するためのノズル232とを含む。複数の実装ヘッド部231および複数のノズル232は、円周状に配列されている。また、実装ヘッド部231は、負圧供給部(図示せず)から供給された負圧により、ノズル232に部品Eを吸着可能に構成されている。また、実装ヘッド部231およびノズル232は、部品Eを吸着するためかまたは吸着された部品Eを実装するための下降位置と、吸着された部品Eを基板Pに搬送するための上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド部231および複数のノズル232は、配列による円の中心を回転中心として、円周方向に回転可能に構成されている。また、複数のノズル232のうちの水平方向に互いに対向する位置に配置される一対のノズル232は、距離D1だけ離間して配置されている。一対のノズル232は、互いに異なる部品供給部210から部品Eを同時に吸着することが可能な位置に配置されたノズルである。
【0031】
また、ロータリーヘッド203は、複数(2つ)設けられている。Y1方向側のロータリーヘッド203と、Y1方向側の部品供給部210とは、Y1方向側の実装テーブル211を構成する。また、Y2方向側のロータリーヘッド203と、Y2方向側の部品供給部210とは、Y2方向側の実装テーブル211を構成する。部品実装装置200には、2つの実装テーブル211が設けられている。
【0032】
ヘッド水平移動機構部204は、ロータリーヘッド203を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部204は、ロータリーヘッド203をX方向に移動可能に支持する支持部241と、支持部241をY方向に移動可能に支持するレール部242とを含む。支持部241は、複数(2つ)のロータリーヘッド203に対応するように複数(2つ)設けられている。支持部241は、たとえばX軸モータとボールねじ軸機構とにより、ロータリーヘッド203をX方向に移動させるように構成されている。レール部242は、支持部241のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する。レール部242は、たとえばY軸モータとボールねじ軸機構とにより、支持部241をY方向に移動させるように構成されている。
【0033】
ヘッド水平移動機構部204の2つの支持部241とレール部242とにより、2つのロータリーヘッド203は、基台201上を互いに独立して水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ロータリーヘッド203は、部品供給部210の上方に移動して、部品供給部210から供給される部品Eを吸着可能である。また、ロータリーヘッド203は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pの上方に移動して、吸着された部品Eを基板Pに実装可能である。なお、Y1方向側のロータリーヘッド203は、Y1方向側の部品供給部210から部品Eを取得するように構成されている。また、Y2方向側のロータリーヘッド203は、Y2方向側の部品供給部210から部品Eを取得するように構成されている。
【0034】
部品撮像部205は、部品認識用のカメラである。部品撮像部205は、ロータリーヘッド203による部品Eの基板Pへの搬送中に、実装ヘッド部231のノズルに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部205は、基台201の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、実装ヘッド部231のノズル232に吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部205による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部207は、部品Eの吸着状態(回転姿勢およびノズル232に対する吸着位置)を取得(認識)する。
【0035】
基板撮像部206は、基板認識用のカメラである。基板撮像部206は、ロータリーヘッド203による基板Pへの部品Eの実装開始前に、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マークF(フィデューシャルマーク)を上方から撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部206による位置認識マークFの撮像画像に基づいて、制御部207は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。また、基板撮像部206は、ロータリーヘッド203に取り付けられている。基板撮像部206は、ロータリーヘッド203と共に、水平方向に移動可能に構成されている。
【0036】
制御部207は、CPU(中央演算処理装置)などのプロセッサを含み、部品実装装置200の動作を制御する制御回路である。制御部207は、実装順序決定装置100から取得した実装データ12aに基づいて、基板搬送部202、ヘッド水平移動機構部204および部品供給部210などを制御することにより、ロータリーヘッド203により基板Pに部品Eを実装させて、基板Pを生産する制御を行うように構成されている。記憶部208は、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記録媒体を含み、情報を記憶可能に構成されている。記憶部208には、実装順序決定装置100から取得した実装データ12aが記憶されている。
【0037】
(基板の構成)
図5に、部品EとしてLED部品が実装される基板Pを示す。基板Pは、規則的に配列されて同一種類の部品(LED部品)Eが実装される複数の実装位置P1を含む。複数の実装位置P1は、マトリクス状に配列されている。このような基板Pは、たとえば、液晶ディスプレイなどの発光基板として用いられる。以下では、このような基板Pに対して、ロータリーヘッド203により部品Eを実装する順序を決定する方法について説明する。
【0038】
(実装順序決定の構成)
ここで、本実施形態では、
図6~
図11に示すように、制御部11は、基板Pを複数の領域Aに分割する処理と、複数のノズル232のうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズル232に吸着される、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの対を設定する処理と、複数の領域Aのうちの互いに隣り合う領域A(A1、A2)に部品Eの対がそれぞれ実装され、かつ、同一の部品供給部210から供給される部品Eが互いに隣接しないように、実装位置P1に実装する部品Eを決定する処理と、実装位置P1に実装する部品Eの決定結果に基づいて、部品Eを実装する実装順序を決定する処理と、を行うように構成されている。なお、便宜上、複数の領域Aが、第1領域A1と、第2領域A2と、終端領域A3との3つの領域を含む例について説明するが、複数の領域Aは、4つ以上の領域を含んでいてもよい。
【0039】
図6に示すように、制御部11は、一対のノズル232間の距離(ピッチ)D1に基づいて、基板Pを複数の領域Aに分割する処理を行うように構成されている。具体的には、制御部11は、互いに隣り合う領域A(A1、A2)の互いに対応する実装位置P1(1番の実装位置P1など)の間の距離(ピッチ)D2が一対のノズル232間の距離D1の近傍の値となるように、基板Pを複数の領域Aに分割する処理を行うように構成されている。距離D2は、距離D1と同程度の値を有する。具体的には、距離D2は、基板Pの隣り合う実装位置P1の間の距離(ピッチ)をD3とすると、D1-D3≦D2≦D1+D3の範囲内の値を有する。なお、理想的には、距離D2の値は、距離D1の値と同一であることが好ましい。また、複数の領域A(A1、A2)の各々の幅W1も、一対のノズル232間の距離D1の近傍の値となっている。また、複数の領域A(A1、A2)の各々には、同一の数で同一の配置の実装位置P1が含まれている。
【0040】
また、本実施形態では、制御部11は、基板Pを複数の領域Aに分割する処理において、互いに隣り合う領域A(A1、A2)の互いに対応する実装位置P1を抽出する処理を行うように構成されている。互いに対応する実装位置P1とは、互いに隣り合う領域A(A1、A2)を比較した場合に、領域A(A1、A2)内の配置位置が同一とみなせる実装位置P1同士を意味する。
図6に示す例では、便宜的に、互いに対応する実装位置P1に、同じ番号(1番、2番・・・16番)を付して図示している。また、上記のように、互いに対応する実装位置P1の間の距離D2が一対のノズル232間の距離D1の近傍の値となるように、基板Pが複数の領域Aに分割されているため、互いに対応する実装位置P1は、ロータリーヘッド203をほとんどまたは全く移動させずに、一対のノズル232に吸着される部品Eの対(同時に吸着される部品Eの対)を実装させることが可能な位置関係になっている。
【0041】
図7に示すように、制御部11は、一対のノズル232に吸着される1または複数の部品Eの対(
図7では、2対)を設定する処理を行うように構成されている。具体的には、制御部11は、ユーザの入力に基づいて設定される分割数dに基づいて、一対のノズル232に吸着される部品Eの対を設定する処理を行うように構成されている。分割数dは、部品分割の数を表す。また、部品分割とは、同一種類の複数の部品Eを同時に吸着することが可能なように、同一種類の部品Eを供給する複数の部品供給部210を部品実装装置200に配置することを意味する。分割数dは、以下の式(1)により求められる。
d=2×T×L ・・・(1)
ここで、
d:分割数
T:実装テーブル数(ロータリーヘッド数)
L:分割レベル
である。
【0042】
上記式(1)において、係数「2」は、一対のノズル232により同時に吸着される部品Eの数を表している。Tは、実装テーブル数を表し、本実施形態では、2である。Lは、部品分割の程度(レベル)を表し、ユーザにより入力されて設定される。たとえば、Tが2で、Lが1である場合、分割数dは、2×2×1=4となる。また、分割数dが4である場合、同一種類の部品Eが4つに分割されることになる。すなわち、同一種類の部品Eを供給する4つの部品供給部210(リールR)が部品実装装置200に配置されることになる。
【0043】
図7において、A、B、CおよびDは、部品分割された同一種類の部品Eを表している。
図7に示す例では、AおよびBの部品Eが、一対のノズル232に吸着される部品Eの対として設定されるとともに、CおよびDの部品Eの対が、一対のノズル232に吸着される部品Eの対として設定されている。なお、本実施形態のロータリーヘッド203は一対のノズル232を6セット含むため、たとえば、3セットの一対のノズル232に対してAおよびBの部品Eの対が割り当てられ、残りの3セットの一対のノズル232に対してCおよびDの部品Eの対が割り当てられる。
【0044】
図8に示すように、制御部11は、抽出した互いに対応する実装位置P1に部品Eの対がそれぞれ実装されるように、実装位置P1に実装する部品Eを決定する処理を行うように構成されている。具体的には、制御部11は、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの配列を取得する処理と、取得した部品Eの配列の順番をランダムに入れ替える処理と、入れ替えた部品Eの配列の順番で、実装位置P1に部品Eを割り当てる処理と、を行うように構成されている。
【0045】
図8に示す例では、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの配列として、配列(A、B、C、D)が取得されている。また、取得された配列(A、B、C、D)の順番がランダムに入れ替えられること(シャッフルされること)により、入れ替えられた配列(C、D、A、B)が取得されている。また、入れ替えられた配列(C、D、A、B)の順番で、第1領域A1の1列目の実装位置P1に部品Eが割り当てられている。なお、
図8に示す例では、1列目の実装位置P1の数が配列に含まれる部品Eの数と同数であるが、通常は基板Pには実装位置P1が多数形成されているため、1列目の実装位置P1の数が配列に含まれる部品Eの数よりも多くなることが多い。この場合には、配列(C、D、A、B)の順番が、C、D、A、B、C、D、A・・・というように繰り返されながら、第1領域A1の1列目の実装位置P1の全てに割り当てられることになる。
【0046】
また、第1領域A1の1列目の実装位置P1に部品Eが割り当てられた後、第2領域A2の対応する実装位置P1に対応する部品E(部品Eの対のうち、第1領域A1の対応する実装位置P1に割り当てられなかった方の部品E)が割り当てられる。具体的には、
図8に示す例では、第1領域A1の1番の実装位置P1にCの部品Eが割り当てられているため、第2領域A2の1番の実装位置P1にDの部品Eが割り当てられている。同様に、第1領域A1の2番の実装位置P1にDの部品Eが割り当てられているため、第2領域A2の2番の実装位置P1にCの部品Eが割り当てられている。また、その他の実装位置P1についても同様である。これにより、第2領域A2の1列目の実装位置P1にも部品Eが割り当てられる。このように部品Eの対を割り当てることにより、互いに対応する実装位置P1に部品Eを実装する際には、ロータリーヘッド203をほとんどまたは全く移動させずに、一対のノズル232に吸着される部品Eの対(同時に吸着される部品Eの対)を実装させることが可能である。
【0047】
そして、第1領域A1の2列目の実装位置P1にも同様に部品Eが割り当てられるとともに、第2領域A2の2列目の実装位置P1にも同様に部品Eが割り当てられる。そして、第1領域A1および第2領域A2内の全ての実装位置P1に部品Eが割り当てられるまで、上記の処理が繰り返される。これにより、互いに隣り合う第1領域A1および第2領域A2に部品Eの対がそれぞれ実装され、かつ、同一の部品供給部210から供給される部品Eが互いに隣接しないように、実装位置P1に実装する部品Eが決定される。なお、実装位置P1の列ごとに部品Eを割り当てる例について説明したが、実装位置P1の行ごとに部品Eを割り当ててもよい。
【0048】
図9に示すように、制御部11は、実装位置P1に実装する部品Eの決定結果に基づいて、部品Eを実装する実装順序を決定する処理を行うように構成されている。具体的には、制御部11は、行方向(X方向)または列方向(Y方向)に(
図9では列方向に)実装位置P1の1つ分ずつ順番にずれながら、隣り合う領域A(A1、A2)の互いに対応する実装位置P1に部品Eを実装するように、実装順序を決定する処理を行うように構成されている。より具体的には、制御部11は、列方向に順番にずれる場合には、列方向に順番にずれること、および、列方向に順番にずれることにより領域A(A1、A2)の端部に到達した場合に行方向にずれて折り返すこと、を繰り返しながら、隣り合う領域A(A1、A2)の互いに対応する実装位置P1に部品Eを実装するように、実装順序を決定する処理を行うように構成されている。同様に、制御部11は、行方向に順番にずれる場合には、行方向に順番にずれること、および、行方向に順番にずれることにより領域A(A1、A2)の端部に到達した場合に列方向にずれて折り返すこと、を繰り返しながら、隣り合う領域A(A1、A2)の互いに対応する実装位置P1に部品Eを実装するように、実装順序を決定する処理を行うように構成されている。
【0049】
以上のように、1つの実装テーブル211(1つのロータリーヘッド203)により実装される領域A(A1、A2)の実装順序が決定される。なお、
図6~
図11に示す例では、便宜的に、複数の領域Aが第1領域A1と第2領域A2とを1つずつ含む例について説明したが、通常は、複数の領域Aが第1領域A1と第2領域A2とを複数ずつ含むことになる。この場合、第1領域A1および第2領域A2の対ごとに、実装テーブル211(ロータリーヘッド203)が割り当てられるとともに、実装順序が決定されることになる。
【0050】
また、本実施形態では、
図6に示すように、制御部11は、基板Pの端部において一対のノズル232間の距離D1よりも小さい幅W2を有する終端領域A3を含むように、基板Pを複数の領域Aに分割する処理を行うように構成されている。また、
図10および
図11に示すように、制御部11は、終端領域A3の実装位置P1に実装する部品Eを決定する処理と、終端領域A3の実装順序を決定する処理とを行うように構成されている。これらの処理は、第1領域A1および第2領域A2の場合と同様である。
【0051】
すなわち、
図10に示すように、制御部11は、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの配列を取得する処理と、取得した部品Eの配列の順番をランダムに入れ替える処理と、入れ替えた部品Eの配列の順番で、終端領域A3の実装位置P1に部品Eを割り当てる処理と、を行うように構成されている。詳細な説明は省略するが、
図10に示す例では、入れ替えられた配列として(A、C、B、D)が取得されて、入れ替えられた配列(A、C、B、D)の順番で、終端領域A3の実装位置P1に部品Eが割り当てられている。なお、
図10に示す例では、終端領域A3が1列の実装位置P1のみを含むが、終端領域A3が複数列の実装位置P1を含む場合もある。この場合には、第1領域A1および第2領域A2の場合と同様に、部品Eを割り当てる列を順番にずらしながら、複数列の実装位置P1の全てに部品Eを割り当てればよい。
【0052】
また、
図11に示すように、制御部11は、列方向(Y方向)に順番にずれながら、終端領域A3の実装位置P1に部品Eを実装するように、実装順序を決定する処理を行うように構成されている。なお、終端領域A3が複数列の実装位置P1を含む場合には、制御部11は、行方向(X方向)に順番にずれながら、終端領域A3の実装位置P1に部品Eを実装するように、実装順序を決定する処理を行うように構成されていてもよい。
【0053】
以上のように、制御部11は、規則的に配列されて同一種類の部品Eが実装される複数の実装位置P1を含む基板Pに対して、ロータリーヘッド203により部品Eを実装するための実装順序を決定するように構成されている。また、制御部11は、決定した実装順序の情報を含む実装データ12aを作成するように構成されている。部品実装装置200は、基板Pの生産を開始する前に、作成された実装データ12aを取得するように構成されている。そして、部品実装装置200は、基板Pの生産を開始すると、取得した実装データ12aに基づいて、ロータリーヘッド203により部品Eを基板Pに実装するように構成されている。すなわち、部品実装装置200は、一対のノズル232により互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの対を同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、実装データ12aで指定された実装順序で部品Eを基板Pに実装するように構成されている。
【0054】
(実装順序の決定に関する制御処理)
次に、
図12を参照して、本実施形態の実装順序決定装置100による実装順序の決定に関する制御処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、制御部11により行われる。
【0055】
図12に示すように、まず、ステップS1において、基板Pを複数の領域Aに分割する処理が行われる。
【0056】
そして、ステップS2において、基板Pを複数の領域Aに分割する処理が成功したか否かが判定される。処理される基板PがLED部品が実装される基板以外の基板(実装位置P1が不規則に配置されている基板)などである場合、基板Pを複数の領域Aに分割する処理が失敗する。この場合、制御処理が終了される。また、処理される基板PがLED部品が実装される基板(実装位置P1が規則的に配置されている基板)である場合、基板Pを複数の領域Aに分割する処理が成功する。この場合、ステップS3に進む。
【0057】
そして、ステップS3において、一対のノズル232に吸着される、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの対が設定される。すなわち、ステップ3では、一対のノズル232により互いに異なる部品供給部210から同時に吸着される部品Eの対が設定される。
【0058】
そして、ステップS4において、複数の領域Aのうちの互いに隣り合う領域A(A1、A2)に部品Eの対がそれぞれ実装され、かつ、同一の部品供給部210から供給される部品Eが互いに隣接しないように、実装位置P1に実装する部品Eを決定する処理が行われる。
【0059】
そして、ステップS5において、実装位置P1に実装する部品Eの決定結果に基づいて、部品Eを実装する実装順序を決定する処理が行われる。
【0060】
そして、ステップS6において、複数の領域Aのうちの終端領域A3に対する処理が行われる。すなわち、ステップ6では、終端領域A3の実装位置P1に実装する部品Eを決定する処理と、終端領域A3の実装順序を決定する処理とが行われる。そして、制御処理が終了される。
【0061】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0062】
本実施形態では、上記のように、複数のノズル232のうちの互いに対向する位置に配置される一対のノズル232に吸着される、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの対を設定するステップを設ける。これにより、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの対を設定することができるので、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eを同時に吸着する効率的な部品吸着を行うことができる。また、同一の部品供給部210から供給される部品Eが互いに隣接しないように、実装位置P1に実装する部品Eを決定するステップと、実装位置P1に実装する部品Eの決定結果に基づいて、部品Eを実装する実装順序を決定するステップと、を設ける。これにより、決定した実装順序に基づいてロータリーヘッド203により部品Eを実装することにより、同一の部品供給部210から供給される部品Eを互いに隣接しないように実装することができるので、同一の部品供給部210から供給される部品Eが一部に密集することを抑制することができる。その結果、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品E(異ロットの部品Eなど)を実装する場合にも、部品Eの特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することができる。これらの結果、部品Eを同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、部品Eの特性の差に起因する輝度ムラなどの不具合が発生することを抑制することができる。
【0063】
なお、同一の部品供給部210から供給される部品Eが一部に密集することを抑制するために、ランダムに部品Eを実装することも考えられるが、この場合、ロータリーヘッド203がランダムに移動されるようになるため、ロータリーヘッド203の移動が複雑になる。その結果、部品Eの実装に要する時間が増加するという不都合がある。これに対して、上記のように、複数の領域Aのうちの互いに隣り合う領域A(A1、A2)に部品Eの対がそれぞれ実装されるように、実装位置P1に実装する部品Eを決定するステップと、実装位置P1に実装する部品Eの決定結果に基づいて、部品Eを実装する実装順序を決定するステップと、を設ける。これにより、決定した実装順序に基づいてロータリーヘッド203により部品Eを実装することにより、複数の領域Aのうちの互いに隣り合う領域A(A1、A2)に部品Eの対をそれぞれ実装することができるので、ロータリーヘッド203がランダムに移動される場合に比べて、ロータリーヘッド203の移動を抑制することができる。その結果、部品Eの実装に要する時間の増加を抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、基板Pを複数の領域Aに分割するステップは、一対のノズル232間の距離D1に基づいて、基板Pを複数の領域Aに分割するステップを含む。これにより、一対のノズル232間の距離D1に基づいて、部品Eの対を実装する際のロータリーヘッド203の移動が少なくなるような複数の領域Aを容易に設定することができるので、部品Eの実装に要する時間の増加を容易に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、基板Pを複数の領域Aに分割するステップは、互いに隣り合う領域A(A1、A2)の互いに対応する実装位置P1の間の距離D2が一対のノズル232間の距離D1の近傍の値となるように、基板Pを複数の領域Aに分割するステップを含む。これにより、互いに隣り合う領域A(A1、A2)の互いに対応する実装位置P1の間の距離D2が一対のノズル232間の距離D1の近傍の値となることにより、部品Eの対を実装する際のロータリーヘッド203の移動が少なくなるような複数の領域Aをより容易に設定することができるので、部品Eの実装に要する時間の増加をより容易に抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、基板Pを複数の領域Aに分割するステップは、基板Pの端部において一対のノズル232間の距離D1よりも小さい幅W2を有する終端領域A3を含むように、基板Pを複数の領域Aに分割するステップを含み、実装位置P1に実装する部品Eを決定するステップは、終端領域A3の実装位置P1に実装する部品Eを決定するステップを含む。これにより、基板Pを複数の領域Aに分割する際に、基板Pの端部において一対のノズル232間の距離D1の近傍の幅が確保できない場合にも、一対のノズル232間の距離D1よりも小さい幅W2を有する終端領域A3を設定することにより、基板Pを複数の領域Aに分割することができるとともに、終端領域A3の実装位置P1にも実装する部品Eを決定することができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、基板Pを複数の領域Aに分割するステップは、互いに隣り合う領域A(A1、A2)の互いに対応する実装位置P1を抽出するステップを含み、実装位置P1に実装する部品Eを決定するステップは、抽出した互いに対応する実装位置P1に部品Eの対がそれぞれ実装されるように、実装位置P1に実装する部品Eを決定するステップを含む。これにより、ロータリーヘッド203の移動距離が少ない互いに対応する実装位置P1に部品Eの対を実装することができるので、部品Eの実装に要する時間の増加をより一層容易に抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、実装位置P1に実装する部品Eを決定するステップは、互いに異なる部品供給部210から供給される同一種類の部品Eの配列を取得するステップと、取得した部品Eの配列の順番をランダムに入れ替えるステップと、入れ替えた部品Eの配列の順番で、実装位置P1に部品Eを割り当てるステップと、を含む。これにより、ランダムに実装位置P1に部品Eを割り当てていくことができるので、同一の部品供給部210から供給される部品Eが一部に密集することを容易に抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、部品Eは、LED部品を含む。これにより、LED部品を用いた場合に、部品Eを同時に吸着する効率的な部品吸着を行いながら、部品Eの特性の差に起因する輝度ムラが発生することを抑制することができる。
【0070】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0071】
たとえば、上記実施形態では、部品実装装置とは独立して設けられた実装順序決定装置の制御部が本発明の制御処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置の制御部が本発明の制御処理を行ってもよい。この場合、部品実装装置は、特許請求の範囲の「実装順序決定装置」の一例である。
【0072】
また、上記実施形態では、部品実装装置が、2つの実装テーブル(2つのロータリーヘッド)を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置が、1つの実装テーブル(1つのロータリーヘッド)を備えていてもよいし、3つ以上の実装テーブル(3つ以上のロータリーヘッド)を備えていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、規則的に配列されて同一種類の部品が実装される複数の実装位置を含む基板として、LED部品が実装される基板の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、規則的に配列されて同一種類の部品が実装される複数の実装位置を含む基板が、LED部品が実装される基板以外の基板であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0075】
11 制御部
100 実装順序決定装置
203 ロータリーヘッド
210 部品供給部
232 ノズル
A 領域
A1 第1領域(領域)
A2 第2領域(領域)
A3 終端領域(領域)
D1 一対のノズル間の距離
D2 互いに対応する実装位置の間の距離
E 部品
P 基板
P1 実装位置
W2 幅