(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021714
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】避難者情報提供システム、避難者情報提供方法及び避難者情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240208BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124748
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】513225224
【氏名又は名称】株式会社ホットブレイン
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】高田 英基
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】
災害時などの緊急時に避難者情報を提供するための避難者情報提供システム、避難者情報提供方法及び避難者情報提供プログラムを提供する。
【解決手段】
受付部、登録部、表示処理部を有し、前記登録部は、避難者が操作する端末によって送信される臨時端末登録要求を受け付け、前記端末を臨時端末として前記端末に固有の臨時端末IDを登録し、前記受付部は、更に、前記臨時端末を介して送信される避難者を特定可能な情報を含む前記避難者情報を受け付けて記憶し、前記表示処理部は、前記避難者情報を表示処理する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難者情報を提供するための避難者情報提供システムであって、
受付部、登録部、表示処理部を有し、
前記登録部は、避難者が操作する端末によって送信される臨時端末登録要求を受け付け、前記端末を臨時端末として前記端末に固有の臨時端末IDを登録し、
前記受付部は、更に、前記臨時端末を介して送信される避難者を特定可能な情報を含む前記避難者情報を受け付けて記憶し、
前記表示処理部は、前記避難者情報を表示処理する、
避難者情報提供システム。
【請求項2】
前記登録部は、前記避難者が操作する端末によって送信される避難所情報を受け付け、前記端末が有する前記臨時端末IDを避難所情報に含まれる避難所IDと紐づけて登録する、
請求項1に記載の避難者情報提供システム。
【請求項3】
前記避難者情報提供システムは、更に記憶部を有し、
前記避難者が携帯するタグはタグIDを有し、
前記記憶部は、前記タグIDに紐づいて支援が必要な避難者の属性である要支援者属性を記憶しており、
前記受付部は、前記臨時端末を介して送信される前記タグIDと臨時端末が有する臨時端末IDとを含む前記避難者情報を受け付けて記憶する、
請求項2に記載の避難者情報提供システム。
【請求項4】
前記避難者情報提供システムは、更に集計部と提供部とを有し、
前記集計部は、前記記憶部に記憶された前記要支援者属性を前記タグIDに紐づく前記避難所情報に基づいて集計し、集計結果を記憶し、
前記提供部は、前記集計結果を提供し、
前記要支援者属性は、医療機関への収容が必要な要収容者及び/又は処方薬利用者であるかを含む患者属性を含む、
請求項3に記載の避難者情報提供システム。
【請求項5】
前記要支援者属性は、時間の経過で支援の内容が異なる属性に変化する、支援変化属性を含み、
前記集計部は、前記支援変化属性を定期的に更新し、記憶する、
請求項4に記載の避難者情報提供システム。
【請求項6】
前記避難者情報提供システムは、更に送信部を有し、
前記送信部は、前記避難者が前記臨時端末を介して送信した避難所情報及び前記要支援者属性と紐づいた避難者情報を避難所収容通知として前記避難者のかかりつけ医が操作するかかりつけ医端末に送信する、
請求項3に記載の避難者情報提供システム。
【請求項7】
前記避難者情報提供システムは、更に配送先特定部を有し、
前記受付部は、かかりつけ医によって処方された処方箋データに紐づく処方箋IDを受け付け、避難者を特定可能な情報と紐づけて記憶し、
前記配送先特定部は、前記避難者を特定可能な情報より得た前記避難者情報に紐づいた前記避難所情報より処方薬の配送先となる避難所を特定する、
請求項6に記載の避難者情報提供システム。
【請求項8】
前記受付部は、前記臨時端末を介して送信される現所在地確認要求を受け付けて、
前記配送先特定部は、避難者を特定可能な情報及び/又は処方箋IDから配送先の避難所情報又は避難者情報を特定し、
前記送信部は、前記臨時端末に配達先の避難所及び避難者が正しいか判別するための配送先確認情報を送信し、
前記配送先確認情報は、前記臨時端末に対する前記タグIDの入力要求を含む、
請求項7に記載の避難者情報提供システム。
【請求項9】
前記避難者を特定可能な情報及び/又は前記処方箋IDは、処方薬に二次元コードとして付与される、
請求項8に記載の避難者情報提供システム。
【請求項10】
前記避難者情報提供システムは、更に予測部を有し、
前記受付部は、避難所における避難者の人数構成を臨時端末を介して受け付け、
前記予測部は、前記人数構成を入力データとし、前記避難所で不足する物資の種別と数量とを出力データとして機械学習された学習済みモデルを用いて、前記学習済みモデルに前記人数構成を入力することで避難所において不足する物資の種別と数量とを出力する、
請求項2に記載の避難者情報提供システム。
【請求項11】
前記避難者情報提供システムは、更にアドレス生成部と情報共有部とを有し、
前記アドレス生成部は、臨時端末IDに紐づけて、情報共有のための新規のメールアドレスを生成し、
前記受付部は、生成された前記メールアドレスを用いて前記臨時端末から送信された情報共有メールを受け付け、
前記情報共有部は、前記臨時端末の前記臨時端末IDが紐づく前記避難所IDに紐づいた臨時端末IDを有する他の臨時端末及び/又は上位団体端末に前記情報共有メールの送信処理を行い、
前記上位団体端末は、避難所の管理団体と前記避難所の属する自治体とを含む上位団体において操作される端末である、
請求項2に記載の避難者情報提供システム。
【請求項12】
避難者情報を提供するための避難者情報提供方法であって、
受付ステップ、登録ステップ、表示処理ステップを実行し、
前記登録ステップは、避難者が操作する端末によって送信される臨時端末登録要求を受け付け、前記端末を臨時端末として前記端末に固有の臨時端末IDを登録し、
前記受付ステップは、更に、前記臨時端末を介して送信される避難者を特定可能な情報を含む前記避難者情報を受け付けて記憶し、
前記表示処理ステップは、前記避難者情報を表示処理する、
避難者情報提供方法。
【請求項13】
避難者情報を提供するための避難者情報提供プログラムであって、
前記避難者情報提供プログラムは、コンピュータを受付部、登録部、表示処理部として機能させ、
前記登録部は、避難者が操作する端末によって送信される臨時端末登録要求を受け付け、前記端末を臨時端末として前記端末の固有に臨時端末IDを登録し、
前記受付部は、更に、前記臨時端末を介して送信される避難者を特定可能な情報を含む前記避難者情報を受け付けて記憶し、
前記表示処理部は、前記避難者情報を表示処理する、
避難者情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
災害時を含む特定の状況下で避難者情報を提供するための避難者情報提供システム、避難者情報提供方法及び避難者情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年多くなった気象災害や地震を含む災害時など特定の状況下では通常の状況では使用できるシステムが機能しないことが想定される。そのような特定の状況下で避難者の安全及び健康を確認又は確保するためのシステムが知られている。
【0003】
従来、離れた場所で被災した家族の状態を、電子タグを利用して遠隔で確認できる技術が知られている。特許文献1では、使用者が有する電子タグの情報を固定して設置された送受信端末が受信する、又は受信しないことで使用者の状態の変化を判定し、提供するシステムが知られている。
【0004】
また、従来、災害時に避難場所に医療情報を提供するシステムが知られている。特許文献2では、通常時に個人の医療情報を管理するシステムが災害時に使用できない場合に、避難場所に医療情報を提供するシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-187720
【特許文献2】特開2015-219769
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明において、使用者の状態を把握するためには前もって避難所や避難経路に電子タグの信号を受信するための送受信端末を設置する必要があるが、すべての避難所や避難経路に送受信端末を設置することはコストの点から難しいという問題が生じていた。
【0007】
また、特許文献2に記載の発明において、閲覧可能な端末に関する情報を含む避難所情報に基づいて医療情報が提供されるため、医療情報の提供の際に事前にシステムに登録されていない端末を利用することができない。
【0008】
上述した課題に鑑みて、本発明は、災害時などの緊急時に避難者情報を提供するための避難者情報提供システム、避難者情報提供方法及び避難者情報提供プログラムを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、受付部、登録部、表示処理部を有し、前記登録部は、避難者が操作する端末によって送信される臨時端末登録要求を受け付け、前記端末を臨時端末として前記端末に固有の臨時端末IDを登録し、前記受付部は、更に、前記臨時端末を介して送信される避難者を特定可能な情報を含む前記避難者情報を受け付けて記憶し、前記表示処理部は、前記避難者情報を表示処理する。
このような構成とすることで、避難者は、避難所に安否確認用の端末が設置されていない場合に自身の端末を臨時端末として登録して避難者情報を提供できる。また、避難者は自身の有するコンピュータ端末を紛失した場合でも、自身の所有する端末以外の端末を臨時端末として操作し、避難者情報を提供することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では前記登録部は、前記避難者が操作する端末によって送信される避難所情報を受け付け、前記端末が有する前記臨時端末IDを避難所情報に含まれる避難所IDと紐づけて登録する。
このような構成とすることで、避難所と紐づいた臨時端末を介して避難者が避難者情報の入力を行い、使用した臨時端末の臨時端末IDから避難者がいる避難所に関する避難所情報を提供することができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、更に記憶部を有し、前記避難者が携帯するタグはタグIDを有し、前記記憶部は、前記タグIDに紐づいて支援が必要な避難者の属性である要支援者属性を記憶しており、前記受付部は、前記臨時端末を介して送信される前記タグIDと臨時端末が有する臨時端末IDとを含む前記避難者情報を受け付けて記憶する。
このような構成とすることで、避難者は臨時端末を介して避難者情報を送信し、避難所と、当該避難所に避難している避難者の情報を匿名で提供できる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、更に集計部と提供部とを有し、前記集計部は、前記記憶部に記憶された前記要支援者属性を前記タグIDに紐づく前記避難所情報に基づいて集計し、集計結果を記憶し、前記提供部は、前記集計結果を提供し、前記要支援者属性は、医療機関への収容が必要な要収容者及び/又は処方薬利用者であるかを含む患者属性を含む。
このような構成とすることで、避難所に避難する避難者で支援が必要な人数や、必要な支援の種類に関する情報を医療機関や自治体等の支援を行う団体に提供し、支援や救助の計画を立てることができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記要支援者属性は、時間の経過で支援の内容が異なる属性に変化する、支援変化属性を含み、前記集計部は、前記支援変化属性を定期的に更新し、記憶する。
このような構成とすることで、妊婦属性など時間の経過で変化する要支援者属性に関しても、現在の属性に関する情報を提供することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、更に送信部を有し、前記送信部は、前記避難者が前記臨時端末を介して送信した避難所情報及び前記要支援者属性と紐づいた避難者情報を避難所収容通知として前記避難者のかかりつけ医が操作するかかりつけ医端末に送信する。
このような構成とすることで、避難者が収容された避難所の避難所情報をかかりつけ医が取得することができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、更に配送先特定部を有し、前記受付部は、かかりつけ医によって処方された処方箋データに紐づく処方箋IDを受け付け、避難者を特定可能な情報と紐づけて記憶し、前記配送先特定部は、前記避難者を特定可能な情報より得た前記避難者情報に紐づいた前記避難所情報より処方薬の配送先となる避難所を特定する。
このような構成とすることで、避難者による避難所情報の入力がない場合でも避難者のいる避難所を特定し、処方薬を配送することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記臨時端末を介して送信される現所在地確認要求を受け付けて、前記配送先特定部は、避難者を特定可能な情報及び/又は処方箋IDから配送先の避難所情報又は避難者情報を特定し、前記送信部は、前記臨時端末に配達先の避難所及び避難者が正しいか判別するための配送先確認情報を送信し、前記配送先確認情報は、前記臨時端末に対する前記タグIDの入力要求を含む。
このような構成とすることで、処方薬が配送された先の避難所及び避難者が配送先として正しいか、読み取ったタグIDと処方箋IDに紐づく避難者情報のタグIDとから判別し、処方箋IDに紐づいた配送先として正しい避難者に処方薬を届けることができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記避難者を特定可能な情報及び/又は前記処方箋IDは、処方薬に二次元コードとして付与される。
このような構成とすることで、処方薬に付与された避難者を特定可能な情報を、処方薬を配送する者を含む仲介者に取得されるような個人情報の流出の可能性を小さくできる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、更に予測部を有し、前記受付部は、避難所における避難者の人数構成を臨時端末を介して受け付け、前記予測部は、前記人数構成を入力データとし、前記避難所で不足する物資の種別と数量とを出力データとして機械学習された学習済みモデルを用いて、前記学習済みモデルに前記人数構成を入力することで避難所において不足する物資の種別と数量とを出力する。
このような構成とすることで、避難所における医療的支援以外の物資的な支援の予測の精度を向上させ、災害時の支援の計画を好適に行うことができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、更にアドレス生成部と情報共有部とを有し、前記アドレス生成部は、臨時端末IDに紐づけて、情報共有のための新規のメールアドレスを生成し、前記受付部は、生成された前記メールアドレスを用いて前記臨時端末から送信された情報共有メールを受け付け、前記情報共有部は、前記臨時端末の前記臨時端末IDが紐づく前記避難所IDに紐づいた臨時端末IDを有する他の臨時端末及び/又は上位団体端末に前記情報共有メールの送信処理を行い、前記上位団体端末は、避難所の管理団体と前記避難所の属する自治体とを含む上位団体において操作される端末である。
このような構成とすることで、避難者は連絡先等の自身の情報を上位団体に提供せずに、避難所における情報共有を上位団体と行うことで個人情報の流出の可能性を小さくできる。
【0020】
本発明は、避難者情報を提供するための避難者情報提供方法であって、受付ステップ、登録ステップ、表示処理ステップを実行し、前記登録ステップは、避難者が操作する端末によって送信される臨時端末登録要求を受け付け、前記端末を臨時端末として前記端末に固有の臨時端末IDを登録し、前記受付ステップは、更に、前記臨時端末を介して送信される避難者を特定可能な情報を含む前記避難者情報を受け付けて記憶し、前記表示処理ステップは、前記避難者情報を表示処理する。
【0021】
本発明は、避難者情報を提供するための避難者情報提供プログラムであって、前記避難者情報提供プログラムは、コンピュータを受付部、登録部、表示処理部として機能させ、前記登録部は、避難者が操作する端末によって送信される臨時端末登録要求を受け付け、前記端末を臨時端末として前記端末に固有の臨時端末IDを登録し、前記受付部は、更に、前記臨時端末を介して送信される避難者を特定可能な情報を含む前記避難者情報を受け付けて記憶し、前記表示処理部は、前記避難者情報を表示処理する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、災害時を含む特定の状況下で避難者情報を提供するための避難者情報提供システム、避難者情報提供方法及び避難者情報提供プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る避難者情報提供システムの構成を表す図を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係るデータ構成図を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係るデータ構成図を示す。
【
図4】本発明の実施形態に係る各装置のハードウェア構成図を示す。
【
図5】本発明の実施形態に係る避難者の人数構成及び不足物資の入力フォームを示す。
【
図6】本発明の実施形態に係る臨時端末登録する処理のフローチャートを示す。
【
図7】本発明の実施形態に係る要支援者属性を集計する処理のフローチャートを示す。
【
図8】本発明の実施形態に係る処方薬配送に関する処理のフローチャートを示す。
【
図9】本発明の実施形態に係る処方薬配送に関する処理のフローチャートを示す。
【
図10】本発明の実施形態に係る情報共有メールの送信に係る処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を用いて、本発明の実施形態に関する避難者情報提供システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明の構成を以下の形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することができる。
【0025】
以下、本実施形態における避難者情報提供システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、コンピュータプログラム及び当該プログラムを格納したプログラム記録媒体なども、同様の作用効果を奏することができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実現可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスク等の非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を介して提供可能である。
【0026】
避難者情報提供システムの各機能構成部と、避難者情報提供方法の各ステップと、は同様の作用効果を実現する。
【0027】
本発明において、避難所は、災害などの緊急時において各地方自治体が設ける避難場所や臨時で避難所として利用される施設を示す。避難者は、固有の識別情報であるタグIDを有するタグ6を所有する。タグIDは、避難者のかかりつけ医によって登録される避難者の緊急時の医療処置などに関するかかりつけ医情報と予め紐づけて登録される。避難所において臨時端末5は、当該タグ6のタグIDを読取り、本システムに送信することで、かかりつけ医等に避難者情報が提供される。
【0028】
図1は本実施形態における避難者情報提供システムのシステム構成を示す。避難者情報提供システム1は各機能構成部を実行するサーバ装置2と、かかりつけ医や薬局などの医療機関が利用する医療機関システム3と、避難者が操作する臨時端末IDを有さない避難者端末4と、臨時端末IDを有する登録済みの臨時端末5と、臨時端末5を介して取得されるタグIDを有するタグ6と、自治体や医療機関等において集計結果と避難者情報を閲覧するための閲覧用端末7と、避難所の管理団体であって、避難所が属する自治体を含む上位団体が操作する端末である上位団体端末8と、がネットワークNWを介して通信可能に構成される。
【0029】
本発明において避難者端末4とは避難者により操作される、臨時端末IDが未登録の端末であり、臨時端末5とは臨時端末IDが登録済みであり、タグIDを送信可能な端末である。避難者端末4は臨時端末IDが登録されることで臨時端末5となる。なお、
図1においてサーバ装置2は1つのみ示したが、複数の装置で分散して処理を行い、機能構成を実現してもよい。また、
図1において医療機関システム3と避難者端末4と臨時端末5とタグ6と閲覧用端末7と上位団体端末8とは1つのみ示したが、複数存在してもよい。
【0030】
医療機関システム3は、かかりつけ医を含む医療従事者が利用する避難者の医療情報であるカルテデータを記憶するかかりつけ医サーバ31と、薬局などに設置され、処方箋データを記憶する薬局サーバ32と、かかりつけ医により操作されるかかりつけ医端末33とを含み、カルテデータ及び処方箋データを生成、記憶するシステムである。本発明においてかかりつけ医とは、タグ6の所有者(緊急時の避難者)に対する医療処置や診察を行ったことがあり、避難者に関するカルテデータ等の医療情報を有する医療機関に属する医療従事者である。一人の避難者に複数のタグIDとかかりつけ医に関する情報とが紐づいていてもよい。かかりつけ医は、
図2(c)に示すように、タグIDを避難者が災害時に必要な支援に関する要支援者属性と紐づけて登録する。また、医療機関システム3は、かかりつけ医により避難者の医療情報とタグIDを紐づけて登録され、タグIDより当該避難者の医療情報を参照可能に構成される。医療機関システム3は医療機関連携システムを有し、かかりつけ医サーバ31は医療機関連携システムを介してサーバ装置2と通信を行ってもよい。
【0031】
避難者端末4は、避難者により操作される、臨時端末IDが未登録のコンピュータ端末である。避難者端末4は、避難所を特定するための避難所情報に基づき、当該避難所における臨時端末5として登録するための臨時端末登録要求を送信する端末であり、臨時端末IDが登録されることで臨時端末5として登録される。
【0032】
臨時端末5は、災害などの緊急時において、臨時端末IDが登録され、臨時端末IDにより識別可能となった端末である。臨時端末5は、避難者の所有するタグ6を読取り、タグIDを送信可能な端末である。臨時端末5として、避難者の携帯する端末や避難所に設置された端末等が登録されてもよい。避難者が臨時端末5を登録した避難所とは異なる避難所に移動した際、タグIDは避難先の新たな避難所に設置される避難所情報と新たに紐づけて記憶されてもよい。
【0033】
本実施形態において、タグ6はパッシブ型のRFID(Radio Frequency Identification)を搭載した電子タグであり、避難者に関する情報と紐づいた固有の識別情報であるタグIDが臨時端末5を介して近距離無線によって読み取られる。タグIDは、近距離無線通信規格として、Mifare(登録商標)、FeliCa(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、zigbee(登録商標)や、独自のプロトコル等、任意の無線通信規格を有する電子タグとの通信を介してタグIDを取得されてもよく、また、QRコード(登録商標)のような二次元コードなどによりタグIDを記載したカード等を読み取る、又は記載されたタグIDを入力することで臨時端末5を介して取得されてもよい。
【0034】
図1に示すように、避難者情報提供システム1におけるサーバ装置2は、機能構成要素として、避難者端末4である端末を臨時端末5として登録するための臨時端末IDを含む情報の登録を行う登録部201と、各種情報の入力を受け付ける受付部202と、避難者情報を含む情報の表示処理を行う表示処理部203と、要支援者属性の集計を行う集計部204と、集計結果を送信し、提供を行う提供部205と、情報の送信を行う送信部206と、処方薬の配送先の避難所を特定する配送先特定部207と、必要な物資の種別及び数量の予測を行う予測部208と、臨時メールアドレスを生成するアドレス生成部209と、情報共有メールを送信する情報共有部210と、を備える。
【0035】
登録部201は、避難者端末4による臨時端末登録要求を受け付け、避難者端末4を臨時端末5として登録するため、臨時端末IDを登録する処理を行う。登録部201は、避難者が操作する避難者端末4から送信される避難所情報及び臨時端末IDを登録するための臨時端末登録要求を受け付ける。臨時端末登録要求は、避難者端末4を、臨時端末5として登録するための要求である。臨時端末登録要求は、避難者端末4を識別するための情報と、避難所情報を含む。本実施形態において、避難者端末4を識別するための情報は、臨時端末5が有するメールアドレスである避難者メールアドレスや端末IDを含む。登録部201は、受け付けた避難所情報に含まれる避難所IDを臨時端末IDと紐づけて記憶する。本実施形態において避難所情報は、避難所にQRコードの形で設置され、臨時端末5によって読み取られ、サーバ装置2に送信される。例えば、臨時端末5は、QRコードを読み取ると、臨時端末登録画面に遷移し、当該画面より避難者メールアドレスなどを含む登録要求を送信可能に構成されている。臨時端末IDは避難所情報に含まれる避難所IDと紐づけて登録されるため、サーバ装置2は、臨時端末IDを取得することで避難所情報を特定することができる。
【0036】
図3(a)は、臨時端末5と避難所の対応関係を示す臨時端末情報のデータ構成の一例を示す。
図3(a)は臨時端末登録時に登録部201により登録される臨時端末ID及び避難所情報を紐づけたデータであり、臨時端末IDと避難所IDと避難者メールアドレスとを含む。本実施形態において臨時端末IDを避難所IDと紐づけて記憶している。
【0037】
図2(a)は、避難所を管理する団体を含む避難所管理者によって登録される避難所情報のデータ構成の一例を示す。本実施形態において、避難所情報は、避難所管理者により予め登録されているが、臨時で設置された避難所に関する避難所情報が、避難所管理者によって災害時に新たに登録されてもよい。避難所情報は、避難所IDと避難所の名称と物理的位置情報と論理的位置情報と、を含む。本実施形態では物理的位置情報として避難所の座標、論理的位置情報として避難所の住所と行政区とが記憶されている。また、避難所情報として施設の紹介ページのURL(Uniform Resource Locator)等が登録されてもよい。行政区に関する情報は全国地方公共団体コードで記憶される。
【0038】
受付部202は、医療機関システム3と端末10(かかりつけ医端末33、避難者端末4、臨時端末5、閲覧用端末7、上位団体端末8)とから送信される情報及び要求を受け付ける。受付部202は、臨時端末5から送信されるタグIDと臨時端末IDとを含む避難者情報を受け付けて記憶部213に記憶する。
【0039】
図3(b)は、臨時端末5を介して受付部202が受け付けた避難者情報のデータ構成の一例を示す。本実施形態では記憶される避難者情報として避難者が臨時端末5で取得したタグID及び読み取り日時、臨時端末ID、を含む。臨時端末IDは、避難所IDと紐づいているため避難者情報から避難所情報を取得することができる。
【0040】
また、受付部202は、医療機関システム3から送信される処方箋IDを受け付け、避難者を特定可能な情報と紐づけて記憶する。本実施形態では、受付部202は、臨時端末5を介して避難者情報を受け付け、臨時の避難者IDを生成する。臨時で生成された避難者IDは、避難者情報を受け付ける際にタグIDと紐づけて記憶部213に記憶される。本実施形態において、生成される避難者IDは避難者の個人IDを介して間接的にタグIDと紐づけられる。個人IDはデータ管理で利用される、避難者の有するIDの一つである。避難者IDは、避難者の処方薬に関する情報を管理するための臨時のIDである。また、処方箋IDは、かかりつけ医が避難者に対して処方した処方箋データと紐づいて医療機関システム3に登録される。受付部202は、臨時端末5を介して送信される現所在地確認要求と、タグIDと引き渡し完了通知と、を受け付ける。現所在地確認要求は、処方薬の配送先である避難所が配送先として正しいか判定させ、正しければタグ6からタグIDを読み取る命令を含む配送先確認情報を臨時端末5に送信させるための要求である。本実施形態では避難者を特定可能な情報として臨時の避難者IDを利用しているが、避難者IDの代わりにタグID等を利用してもよい。また、受付部202は、処方薬配送の際に臨時端末5を介して送信される引き渡し完了通知を受け付ける。受付部202は、臨時端末5から送信される避難者の人数構成と臨時で生成された新規のメールアドレスである臨時メールアドレスを介した臨時端末5から送信される情報共有メールとを受け付ける。
【0041】
図2(c)は、かかりつけ医によって入力される、避難者の有するタグIDをかかりつけ医の情報と紐づけるためのかかりつけ医情報のデータ構造の一例を示す。本実施形態ではかかりつけ医情報はかかりつけ医によって予めタグIDと紐づけて登録されているが、災害時の避難所において避難者又は医療従事者によって入力されてもよい。かかりつけ医情報は、避難者のタグ6をかかりつけ医端末33を介して読み取り、タグIDを取得したかかりつけ医によってタグIDと紐づけて予め登録され、かかりつけ医拠点に関する情報であるかかりつけ医拠点名と、要支援者属性に関する情報として属性IDと、を有する。また、かかりつけ医情報は複数のかかりつけ医拠点名と要支援者属性を有してもよい。本実施形態ではタグIDを利用しているが、避難者を特定可能な情報として、避難所における臨時の避難者IDやカルテの番号、避難者により入力された符牒や自動生成された符号等をタグIDの代わり又はタグIDとともに利用してもよい。また、
図2(c)において、かかりつけ医拠点名は、医療機関毎に割り振られた医療機関IDなどであってもよい。かかりつけ医情報は、更にかかりつけ医の連絡先とかかりつけ医の医院に属する医療スタッフ等の連絡先を含み、避難者が何れの避難所に収容されたかを示す避難所収容通知をかかりつけ医端末33などに送信する構成としてもよい。また、タグIDと紐づいた避難者の個人IDに家族等の連絡先が紐づけて登録され、登録された家族の連絡先に避難所収容通知が送信されてもよい。かかりつけ医情報の属性IDは、かかりつけ医端末33を介して、
図2(b)の要支援者属性のデータに含まれる要支援者属性から1または複数選択され、登録される。タグIDは、避難者情報と紐づく情報として、タグIDの代わりに医療機関システム3で利用する避難者の患者としてのIDや避難者ID等を利用してもよい。
【0042】
図3(c)は、臨時端末5を介して受け付けた避難者の人数構成を示す人数構成情報のデータ構成の一例を示す。本実施形態では、人数構成情報は、避難者の性別、年齢ごとに記憶され、予測部208に入力される。人数構成情報は、このデータが入力された臨時端末5の臨時端末ID及び入力日時に関するデータと紐づいている。
【0043】
図3(d)は、臨時端末5を介して入力された不足物資に関する物資情報のデータ構成の一例を示す。
図3(c)に示される人数構成のデータと
図3(d)に示される物資情報のデータとは、紐づいて記憶されている、予測部208で利用される学習済みモデルが機械学習を行う際に用いられるデータである。本実施形態において記憶部213は、臨時端末5を介して
図5に示すチェックリストに入力された不足している物資の種別のデータを記憶しているが、必要な物資の数量を記憶してもよい。
【0044】
また、本実施形態において
図3(c)に示す人数構成情報及び
図3(d)に示す物資情報は臨時端末5を介して入力されるため、臨時端末IDから避難所情報を取得できる。
【0045】
表示処理部203は、臨時端末5を含む端末10からの要求に応じて避難者情報や集計結果等の情報に基づき各種画面を表示処理し、表示処理結果を端末10に送信する。表示処理部203は、避難者情報を表示処理する。表示処理部203は、臨時端末5における入力画面及びかかりつけ医端末33における避難所収容通知を表示処理してもよい。また、表示処理の一部又は全部が端末10で行われてもよい。
【0046】
集計部204は、避難者に付与された要支援者属性を避難所情報に基づいて集計を行う。要支援者属性は避難者情報に含まれるタグIDに紐づく、
図2(c)に示されるかかりつけ医が入力したかかりつけ医情報から取得される。集計に用いられる、必要な支援の内容を示す属性である要支援者属性は、一定期間後に必要な支援の内容が異なる属性に変化する属性である支援変化属性を含む。本実施形態では、集計部204は避難所情報に含まれる物理的位置情報と論理的位置情報との位置情報に基づき、行政区や支援団体の支援範囲など特定の範囲に含まれる避難者の要支援者属性の人数の集計を行い、記憶する。
【0047】
図2(b)は、要支援者属性情報のデータ構成の一例を示す。要支援者属性情報は、緊急時において支援を必要とする者の属性を示す属性名(要支援者属性)と、属性IDと、を有する。要支援者属性情報は、要支援者属性ごとに必要な物資の情報が記憶されてもよい。要支援者属性は、透析患者など医療処置を必要とする要支援者を示す患者属性と、慢性疾患用の薬の処方を必要とする要支援者を示す要処方属性と、一定期間後に必要な支援の内容が異なる属性に変化する要支援者を示す支援変化属性と、が含まれる。
【0048】
集計部204は、支援変化属性を含む要支援者属性を定期的に集計し、記憶された属性の内容を更新し、記憶する。支援変化属性は、例えば、妊婦、怪我人などを含む。妊婦の属性は、一定時間経過後に「乳児連れ」、「幼児連れ」などの属性に経時的に変化する。また、怪我人の属性は、一定時間経過後に、怪我が完治したものとして削除されてもよい。
【0049】
提供部205は、要支援者属性の集計結果を提供する。提供部205は、本実施形態においては閲覧用端末7に表示するための集計結果を提供する。また、提供部205は、要支援者属性を閲覧用端末7に提供し、閲覧用端末7は、提供された要支援者属性を集計処理し、集計結果を閲覧可能に表示する構成としてもよい。
【0050】
送信部206は、かかりつけ医端末33に避難所収容通知の送信を行う。本実施形態において、送信部206から送信された避難所収容通知は、医療機関システム3を介してかかりつけ医端末33に送信される。送信部206は、医療機関システム3を介さずに避難所収容通知をかかりつけ医端末33に送信してもよい。
【0051】
また、送信部206は、臨時端末5へ配送先確認情報の送信を行う。配送先確認情報は、処方薬が配達された先の避難者と処方薬に二次元コードの形で付される処方箋IDと紐づいた避難者とが一致するかを判別するため、臨時端末5を介してタグIDを受け付けるための要求とタグIDを含む。本実施形態において処方薬に付された処方箋ID及び避難者IDはQRコードの形で付されるが、臨時端末5を介して読み取り可能であるなら、二次元コードや、バーコード等の形であってもよい。本実施形態では避難者を特定可能な情報としてタグIDを臨時端末5を介して受け付けているが、臨時の避難者ID等の情報を受け付けてもよい。
【0052】
配送先特定部207は、避難者を特定可能な情報及び/又は処方箋IDから配送先となる避難所及び避難者を特定する。本実施形態において配送先特定部207は、現所在地確認要求に従い、最後に避難者がタグIDを読み取った臨時端末5の臨時端末IDが紐づく避難所情報を有する避難所を処方薬の配送先として、処方薬に付された避難者IDを有する避難者の配送先の避難所の避難所IDが、配送先の避難所IDと一致するかを判定する。配送先特定部207は、受付部202が受け付けたタグIDと引き渡し完了通知に従い、処方薬に付された処方箋IDに紐づく避難者IDと受け付けたタグIDに紐づく避難者IDが同一の、配送先として正しい避難者かを特定する。本実施形態では避難者を特定可能な情報として臨時の避難者IDが利用されるが、タグID等が利用されてもよい。
【0053】
予測部208は、避難者の人数構成情報を臨時端末5を介して受け付け、避難所において必要な物資の種別及び数量を結果として出力する。本実施形態において予測部208は、年齢、性別ごとの避難者の人数構成情報と、不足する物資に関する物資情報を用いて機械学習を行った学習済みモデルを利用して不足する物資の種別及び数量の予測を行う。提供部205は、予測した結果を閲覧用端末7に送信し、提供してもよい。
【0054】
本実施形態において、予測部208で用いられる機械学習の学習済みモデルは、避難者の人数構成のデータを教師データにおける入力データとして、不足物資の種別及び数量のデータを教師データにおける出力データとして、機械学習され、生成される。学習済みモデルの機械学習処理は、避難者情報提供システム1の内部又は避難者情報提供システム1の外部のどちらで行われてもよい。また、予測部208で用いられる学習済みモデルに物資の配送のタイミングを学習させ、予測部208が配送のタイミングを予測できるようにしてもよい。学習済みモデルの機械学習において、
図3(c)及び
図3(d)に示す、臨時端末5を介して入力された人数構成情報及び物資情報のデータが用いられるが、避難者情報提供システム1の管理者等によって入力されたデータが用いられてもよい。
【0055】
なお、集計部204は、人数構成情報と物資情報のデータを集計してもよい。予測部208は、集計された人数構成情報を学習済みモデルに入力し、物資情報を出力してもよい。
【0056】
アドレス生成部209は、情報共有のための臨時メールアドレスを生成する。生成される臨時メールアドレスは、臨時端末5と、他の臨時端末5’と、上位団体と、の間で情報共有を行うためのメールアドレスである。臨時端末5は、生成された臨時メールアドレスを介して他の臨時端末5’にメールを送信処理することができる。上位団体は、避難所の管理団体と避難所の属する自治体とを含む避難所の関連団体であるが、避難所に支援を提供する団体が含まれていてもよい。なお、アドレス生成部209は、登録メールアドレスを生成してもよい。また、上位団体に送信される情報はWEB掲示板と同様の形式で表示されてもよい。
【0057】
情報共有部210は、臨時端末5から送信された情報共有メールを、他の臨時端末5’に送信処理する。本実施形態において、情報共有メールは、避難所に関する情報を共有するためのメールであって、避難者など、避難所に関係する者の有する他の臨時端末5’に情報共有部210から送信され共有される。情報共有部210は、情報共有メールを送信した臨時端末5の臨時端末IDと紐づく避難所IDに紐づいた臨時端末IDを有する他の臨時端末5’に送信処理を行う。送信先の臨時端末5’は複数あってもよい。また、表示処理部203は、上位団体端末8による表示要求に基づいて情報共有メールに含まれるテキストデータ等をWEB掲示板と同様の形式で表示処理してもよい。
【0058】
図4は、各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4(a)は、サーバ装置2のハードウェア構成図を示す。サーバ装置2はネットワークNWを介して外部の装置と通信するための通信部211と、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置による処理部212と、HDD(Hard Disc Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などによる記憶部213と、を備えている。通信部211は、ネットワークNWとの通信制御を行い、各種装置とデータ通信させるために必要な処理を行う。記憶部213は、避難者情報提供プログラムおよび、処理部212がプログラムに基づき処理を実行する際に利用する、避難者情報や避難所情報を含むデータ等を記憶する。サーバ装置2において、避難者情報提供プログラムが処理部212により実行されることで、後述する機能構成を実現することができる。
図4において記憶部213はサーバ装置2の内部に一つのみ表示されているが、サーバ装置2の内部又はクラウド上等のサーバ装置2の外部に、複数存在してもよい。
【0059】
図4(b)は、端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。端末10は、ハードウェア構成として通信部101と、処理部102と、記憶部103と、入力部104と、出力部105と、を備える。通信部101はネットワークNWとの通信を制御する。処理部102はCPU等の演算装置を含み、端末10の処理を制御する。記憶部103はHDD、RAM、ROM等を備え、サーバ装置2にアクセスするためのアプリケーション等を記憶する。入力部104はタッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を処理部102に入力する。出力部105は、ディスプレイ等であって、処理部102の処理の結果等を出力する。端末10はパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータ端末を用いて構成される。
【0060】
図5は、臨時端末5を介して避難者の人数の構成及び不足する物資に関する物資情報を入力するための入力画面W1の画面表示例を示す。
図5に示す入力画面W1は画面表示の一例であって、表示の形式は図示例に限定されない。入力画面W1を介して入力された人数構成情報及び物資情報に関するデータは、予測部208で利用する学習済みモデルの学習で利用される。入力画面W1は怪我人の人数及び怪我の程度を入力する怪我人情報入力部W11と、避難者の年齢及び性別ごとの人数を入力する構成情報入力部W12と不足物資に関する情報を入力する不足物資入力部W13とを備える。物資が不足する避難所の避難所情報は、人数構成情報及び物資情報が入力画面W1に臨時端末5を介して入力されることから、臨時端末5の臨時端末IDを利用して取得される。
【0061】
図6~
図10は本実施形態における処理のフローの一例を示す。図に示すフローは本発明の実施の一例であり、処理の順番等のフローは図示例に限定されない。
【0062】
図6は、臨時端末5の臨時端末IDを避難所情報と紐づけて登録する処理のフローを示す。避難者は、避難者端末4を介して避難所IDを入力し、サーバ装置2に送信する(S401)。本実施形態では避難所IDは予め避難所にQRコード等の形で設置され、臨時端末5を介して読み取られ、サーバ装置2に送信される。登録部201は避難所IDを受け付け(S201)、送信部206は、臨時端末5に避難所情報確認を送信する(S202)。本実施形態において、避難所情報確認は、受け付けた避難所IDに紐づく避難所情報を含み、避難者が送信した避難所IDが避難者が避難した避難所として正しいか確認するための情報である。本実施形態では避難所情報は避難所名と位置情報とを含む。
【0063】
避難者端末4は、避難所情報確認を受け付け(S402)、避難所情報確認に含まれる避難所名や住所等の避難所情報が避難者の避難した避難所に関する情報として正しければ、避難者は避難者端末4を操作し、臨時端末登録要求を送信する(S403)。登録部201は、臨時端末登録要求を受け付けると(S203)、登録メールアドレスを避難者端末4に送信する(S204)。避難者端末4は登録メールアドレスを受信すると(S404)、登録メールアドレスを送信先のアドレスとしてサーバ装置2に登録メールを送信する(S405)。登録メールアドレスは、避難者端末4が登録メールの送信先とするために生成されたメールアドレスであり、臨時端末5の登録の際に用いられるが、臨時メールアドレスとして利用されてもよい。登録部201は、登録メールを受け付け、その送信元の避難者メールアドレスを、避難者端末4を識別するための情報として臨時端末IDと紐づけて臨時端末情報として登録する(S205)。登録が完了すると送信部206は、登録完了通知を臨時端末5として登録が完了した避難者端末4に送信する(S206)。
【0064】
図7は、要支援者属性の集計に関する処理のフローを示す。臨時端末5は、避難者が携帯する電子タグのタグIDを読み取り(S501)、避難者情報に含まれるタグIDと臨時端末IDをサーバ装置2に送信する(S502)。臨時端末5は、複数の避難者が携帯するタグのタグIDを読み取って送信してもよい。受付部202は、避難者情報を受け付け、記憶する(S211)。避難者情報に含まれる読み取り日時は、受付部202がタグIDを受け付ける際に付与されるが、臨時端末5がタグ6を読み取った際に付与されてもよい。集計部204は、受け付けた避難者情報から記憶部213に記憶される要支援者属性及び避難所情報を取得し(S212)、避難所における要支援者属性ごとの避難者数を集計し、記憶する(S213)。本実施形態において集計部204は、一定期間において、避難所ごと又は行政区ごとの範囲において、避難者情報と要支援者属性から得た必要な支援の内容及び支援を必要とする避難者の人数を集計している。集計部204は、自治体等の支援を行うものが予定する支援範囲を集計範囲として集計してもよい。閲覧用端末7は避難者情報又は集計結果の閲覧要求を送信し(S701)、表示処理部203は避難者情報を表示処理して(S214)、提供部205は、避難者情報と集計結果とを閲覧用端末7に送信し(S215)、閲覧用端末7が避難者情報と集計結果とを表示する(S702)。
【0065】
図8と
図9は処方薬の配送に係る処理のフローを示す。臨時端末5は、避難者が携帯する電子タグのタグIDを読み取り(S511)、タグIDを含む避難者情報を送信する(S512)。受付部202は、臨時端末5から送信された避難者情報を受け付け記憶し(S221)、避難者の要支援者属性が慢性疾患を有するため、継続使用の必要のある処方を要する要処方属性の場合に、送信部206が医療機関システム3に避難所収容通知を送信する(S222)。かかりつけ医によってかかりつけ医端末33を介して操作される医療機関システム3は、避難所収容通知を受信し(S301)、避難者に薬の処方が必要と判断したかかりつけ医によって処方された処方箋データに紐づけて登録された処方箋IDを送信する(S302)。本実施形態において避難所収容通知は医療機関システム3を介してかかりつけ医端末33に送信され、避難者が避難所に避難したことを知らせる通知である。登録部201は処方箋IDを受け付け、避難者の有する臨時の避難者IDに紐づけて登録する(S223)。本実施形態では避難者を特定可能な情報として臨時の避難者IDを利用しているが、避難者IDの代わりにタグID等を利用してもよい。処方箋に従い処方薬を処方した薬局等の医療機関の利用する薬局サーバ32が配送先の避難所に関する情報を取得するために、医療機関システム3は、処方薬を配送する配送先の避難所情報を得るための臨時の避難者IDを含む避難所情報送信要求を送信する(S303)。配送先特定部207は、受信した避難所情報送信要求に含まれる避難者IDから配送先の避難所情報を特定する(S224)。送信部206は配送先の避難所情報と配送先の避難者を特定可能な情報を医療機関システム3に送信する(S225)。医療機関システム3は避難所情報と避難者を特定可能な情報を受信する(S304)。本実施形態では医療機関システム3に送信される避難者を特定可能な情報として、避難者ID及び避難者の患者としてのIDをハッシュ化したものが含まれる。処方薬を配送する者は、薬局等の医療機関システム3を利用し、取得した避難所情報及び避難者を特定可能な情報である避難者ID及び処方箋IDを二次元コード、本実施形態においてはQRコードとして処方薬に付し、配送する。
【0066】
図9は処方薬の受け渡しに関するフローを示す。臨時端末5は、配送された処方薬に付されたQRコードで示される、避難者を特定するための避難者IDを読み取り(S513)、読み取った避難者IDを含む現所在地確認要求をサーバ装置2に送信する(S514)。送信される現所在地確認要求は、QRコードを読み取った臨時端末5の属する避難所が処方薬の配送先である避難者の属する避難所として正しいか判定させ、正しければ配送先確認情報を送信させるための要求である。配送先の避難者が属する避難所は、避難者が最後にタグIDを読み取った臨時端末5が紐づく避難所である。配送先特定部207は、臨時端末IDに紐づいた避難所情報と、QRコードから読み取られた避難者IDに紐づいた避難所情報と、が一致し、配送先の避難所として正しいかを特定する(S226)。配送先の避難所が正しくない場合は、配送先確認情報は送信されず、配送状態が記憶され(S229)、当該臨時端末5を介した処理は終了する。また、配送を行う仲介者は他の避難所における臨時端末5を介してQRコードを読み取る必要がある。送信部206は、配送先が正しい場合において、タグ6からタグIDを読み取る命令を含む配送先確認情報を臨時端末5に送信する(S227)。配送先確認情報はタグIDを含み、臨時端末5を介してタグ6からタグIDを読み取るための要求を含む。臨時端末5は、配送先確認情報を受け付けるとタグ6のタグIDを読み取り(S515)、読み取ったタグIDと配送先確認情報に含まれる配送先の避難者のタグIDから配送先の避難者として正しいかを判定する(S516)。臨時端末5は配送先の避難者が正しい場合、引き渡し完了通知をサーバ装置2に送信する(S517)。受付部202は、タグIDと引き渡し完了通知を受け付け(S228)、記憶部213に配送完了として、タグIDと紐づけて配送状態を記憶処理する(S229)。
【0067】
図10は情報共有メールの送信に係る処理のフローを示す。本フローにおける臨時端末5及び5’は臨時端末IDを有する登録済みの端末である。臨時端末5は情報共有メールを送信するための臨時端末IDを含む臨時メールアドレス生成要求をサーバ装置2に送信する(S521)。受付部202は臨時メールアドレス生成要求を受信し(S231)、アドレス生成部209は臨時メールアドレスを生成し(S232)、送信部206は生成した臨時メールアドレスを臨時端末5に送信する(S233)。生成された臨時メールアドレスは、避難者が上位団体との情報共有を行うために新規で生成されたメールアドレスであり、臨時端末IDに基づいて避難所情報を特定できる。臨時端末5は臨時メールアドレスを受信する(S522)。臨時端末5は、避難者メールアドレスを送信元とし、受信した臨時メールアドレスを送信先とする情報共有メールを送信する(S523)。受付部202は、情報共有メールを受信(S234)する。情報共有部210は、受信した情報共有メールを他の臨時端末5’に送信処理を行う(S235)。情報共有部210は、臨時メールアドレスを送信元として、避難所情報に基づいて特定される他の臨時端末5’の臨時端末情報に含まれる避難者メールアドレスと上位団体が事前に登録した上位団体メールアドレスとを送信先として送信する。臨時端末5’は情報共有メールを受信する(S601)。
図10で示されるフローにおいて、情報共有メールは臨時端末5において作成され送信されるが、上位団体端末8で作成及び送信され、サーバ装置2から臨時端末5及び他の上位団体端末8に送信されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 避難者情報提供システム
2 サーバ装置
3 医療機関システム
4 避難者端末
5 臨時端末
6 タグ
7 閲覧用端末
8 上位団体端末
201 登録部
202 受付部
203 表示処理部
204 集計部
205 提供部
206 送信部
207 配送先特定部
208 予測部
209 アドレス生成部
210 情報共有部
231 記憶部
W1 入力フォーム
NW ネットワーク