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  • 特開-ガス混合システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021721
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ガス混合システム
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20240208BHJP
   F23N 1/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F23K5/00 303
F23N1/02 102
F23N1/02 F
F23K5/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124760
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】紺野 大統
(72)【発明者】
【氏名】笹俣 優一
(72)【発明者】
【氏名】川口 元頌
(72)【発明者】
【氏名】野口 知宏
(72)【発明者】
【氏名】四辻 修道
(72)【発明者】
【氏名】田中 健吾
【テーマコード(参考)】
3K003
3K068
【Fターム(参考)】
3K003AB02
3K003CA04
3K003CB05
3K003DA03
3K068AA01
3K068AB02
3K068BA03
3K068BB12
3K068BB20
3K068CA05
(57)【要約】
【課題】制御弁を用いた簡単な構成によって、主燃料ガスと副燃料ガスとの混焼を行う場合の空燃比及び発熱量を適切に維持することができるガス混合システムを提供する。
【解決手段】ガス混合システム1は、主燃料ガス制御弁2と、主燃料ガス制御弁2によって制御される流量に応じて、燃料使用機器10へ供給する燃焼用空気Aの流量を制御する燃焼用空気制御弁3と、主燃料ガスF1に混合する副燃料ガスF2の流量を制御する副燃料ガス制御弁4とを備える。また、ガス混合システム1は、副燃料ガス制御弁4の下流側位置から、主燃料配管61における、主燃料ガス制御弁2の上流側位置に接続された上流側分岐管631と、副燃料ガス制御弁4の下流側位置から、主燃料配管61における、主燃料ガス制御弁2の下流側位置に接続された下流側分岐管632と、下流側分岐管632に流れる副燃料ガスF2の流量を制御する比例制御弁5とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主燃料ガスと、前記主燃料ガスよりも単位体積当たりの発熱量が低い副燃料ガスとの混合燃料ガスを燃料使用機器へ供給するガス混合システムであって、
前記主燃料ガスが供給される主燃料配管に配置された主燃料ガス制御弁と、
前記主燃料ガス制御弁によって制御される流量に応じて、前記燃料使用機器へ供給する燃焼用空気の流量を制御するよう構成された燃焼用空気制御弁と、
前記副燃料ガスが供給される副燃料配管に配置され、前記主燃料ガスに混合する前記副燃料ガスの流量を制御するよう構成された副燃料ガス制御弁と、
前記副燃料ガス制御弁の下流側位置から、前記主燃料配管における、前記主燃料ガス制御弁の配置位置の上流側位置に接続された上流側分岐管と、
前記副燃料ガス制御弁の下流側位置から、前記主燃料配管における、前記主燃料ガス制御弁の配置位置の下流側位置に接続された下流側分岐管と、
前記上流側分岐管と前記下流側分岐管との少なくとも一方に流れる前記副燃料ガスの流量を制御するよう構成された比例制御弁と、を備えるガス混合システム。
【請求項2】
前記比例制御弁は、前記下流側分岐管に配置され、前記下流側分岐管に流れる前記副燃料ガスの流量を制御するよう構成されており、
前記燃焼用空気制御弁は、前記主燃料ガス制御弁を流れる前記主燃料ガスと、前記上流側分岐管を経由して前記主燃料ガス制御弁を流れる前記副燃料ガスとの合計流量に応じて、前記燃料使用機器へ供給する燃焼用空気の流量を制御するよう構成されており、
前記比例制御弁の開度の制御によって、前記下流側分岐管を経由して前記燃料使用機器へ流れる前記副燃料ガスによって、前記燃料使用機器に供給される、前記主燃料ガスと前記副燃料ガスとの混合燃料ガスの発熱量を、前記燃料使用機器に前記主燃料ガスのみが供給される場合の前記主燃料ガスの発熱量に近づけるよう構成されている、請求項1に記載のガス混合システム。
【請求項3】
前記燃料使用機器において、前記主燃料ガスと前記燃焼用空気との燃焼を目標とする空燃比で行うよう、前記主燃料ガス制御弁の開度及び前記燃焼用空気制御弁の開度を制御するよう構成された第1制御装置と、
前記主燃料ガス制御弁の開度及び前記副燃料ガス制御弁の開度の制御によって、前記主燃料ガスと前記副燃料ガスとの混合比率を決定し、前記比例制御弁の開度の制御によって、前記空燃比を維持するよう構成された第2制御装置と、を備える請求項1又は2に記載のガス混合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス混合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
都市ガス等の燃料ガスを用いる燃料使用機器においては、都市ガスだけでなく、例えば水素、プロパン等の燃料ガスも用いて燃焼を行いたい場合がある。この場合には、2種類の燃料ガスを混合させて生成した混合燃料ガスを燃料使用機器へ供給するガス混合システムが用いられる。
【0003】
混合燃料ガスを燃料使用機器としてのエンジンに用いる装置としては、例えば、特許文献1に記載された多種燃料エンジンの燃料制御装置がある。この燃料制御装置においては、第1燃料を噴射する第1の燃料噴射弁と第2燃料を噴射する第2の燃料噴射弁とを用い、第1燃料及び第2燃料を所定の比率でエンジンに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-133110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、都市ガス等の主燃料ガスを専焼させる燃料使用機器において、主燃料ガスに主燃料ガスと組成が異なる副燃料ガスを混合させて混焼させる場合には、主燃料ガスと副燃料ガスとの発熱量の違いが問題になることがある。そのため、燃料使用機器において、主燃料ガスと副燃料ガスとの混焼を行う場合には、空燃比を適切に維持しつつ、主燃料ガスの専焼を行う場合との発熱量の違いを、簡単な構成によって補うためには更なる工夫が必要とされる。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、制御弁を用いた簡単な構成によって、主燃料ガスと副燃料ガスとの混焼を行う場合の空燃比及び発熱量を適切に維持することができるガス混合システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
主燃料ガスと、前記主燃料ガスよりも単位体積当たりの発熱量が低い副燃料ガスとの混合燃料ガスを燃料使用機器へ供給するガス混合システムであって、
前記主燃料ガスが供給される主燃料配管に配置された主燃料ガス制御弁と、
前記主燃料ガス制御弁によって制御される流量に応じて、前記燃料使用機器へ供給する燃焼用空気の流量を制御するよう構成された燃焼用空気制御弁と、
前記副燃料ガスが供給される副燃料配管に配置され、前記主燃料ガスに混合する前記副燃料ガスの流量を制御するよう構成された副燃料ガス制御弁と、
前記副燃料ガス制御弁の下流側位置から、前記主燃料配管における、前記主燃料ガス制御弁の配置位置の上流側位置に接続された上流側分岐管と、
前記副燃料ガス制御弁の下流側位置から、前記主燃料配管における、前記主燃料ガス制御弁の配置位置の下流側位置に接続された下流側分岐管と、
前記上流側分岐管と前記下流側分岐管との少なくとも一方に流れる前記副燃料ガスの流量を制御するよう構成された比例制御弁と、を備えるガス混合システムにある。
【発明の効果】
【0008】
前記一態様のガス混合システムにおいては、副燃料ガス制御弁が主燃料配管に接続される配管を、主燃料ガス制御弁の配置位置の上流側位置に接続された上流側分岐管と、主燃料ガス制御弁の配置位置の下流側位置に接続された下流側分岐管とに分けている。そして、比例制御弁によって、上流側分岐管と下流側分岐管との少なくとも一方に流れる副燃料ガスの流量を制御する。この構成により、主燃料ガス制御弁を経由して燃料使用機器に流れる副燃料ガスの流量の割合と、主燃料ガス制御弁をバイパスして(経由せずに)燃料使用機器に流れる副燃料ガスの流量の割合とを調整することができる。
【0009】
より具体的には、上流側分岐管から主燃料ガス制御弁に流れる、主燃料ガスと副燃料ガスとの混合燃料ガスの流量に応じて、燃焼用空気制御弁による燃焼用空気の流量が調整される。そして、主燃料ガス制御弁、副燃料ガス制御弁及び比例制御弁の開度の調整によって、燃焼用空気制御弁の開度を適切に保つための混合燃料ガスが主燃料ガス制御弁を通過する。これにより、燃料使用機器に供給される混合燃料ガスの空燃比が適切に調整される。一方、主燃料ガスに副燃料ガスが混合されていることにより、主燃料ガス制御弁を通過する混合燃料ガスの発熱量は、主燃料ガス制御弁を主燃料ガスのみが通過する場合の発熱量に比べて低くなる。
【0010】
そこで、主燃料ガス制御弁を通過した混合燃料ガスには、下流側分岐管から流れる副燃料ガスがさらに混合される。これにより、燃料使用機器に供給される混合燃料ガスの発熱量の不足分が補われ、燃料使用機器に供給される混合燃料ガスの発熱量が適切に調整される。そのため、主燃料ガスと副燃料ガスとの混焼を行う場合には、上流側分岐管、下流側分岐管及び比例制御弁を用いた構成により、燃料使用機器に供給される混合燃料ガスの空燃比及び発熱量が適切に調整される。
【0011】
それ故、前記一態様のガス混合システムによれば、制御弁を用いた簡単な構成によって、主燃料ガスと副燃料ガスとの混焼を行う場合の空燃比及び発熱量を適切に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態にかかる、ガス混合システムの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述したガス混合システムにかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態>
本形態のガス混合システム1は、図1に示すように、主燃料ガスF1と、主燃料ガスF1よりも単位体積当たりの発熱量が低い副燃料ガスF2との混合燃料ガスF3を燃料使用機器10へ供給するものである。ガス混合システム1は、主燃料ガス制御弁2、燃焼用空気制御弁3、副燃料ガス制御弁4、上流側分岐管631、下流側分岐管632及び比例制御弁5を備える。
【0014】
主燃料ガス制御弁2は、主燃料ガスF1が供給される主燃料配管61に配置されている。燃焼用空気制御弁3は、主燃料ガス制御弁2によって制御される流量に応じて、燃料使用機器10へ供給する燃焼用空気Aの流量を制御するよう構成されている。副燃料ガス制御弁4は、副燃料ガスF2が供給される副燃料配管63に配置されており、主燃料ガスF1に混合する副燃料ガスF2の流量を制御するよう構成されている。
【0015】
上流側分岐管631は、副燃料ガス制御弁4の下流側位置から、主燃料配管61における、主燃料ガス制御弁2の配置位置の上流側位置に接続されている。下流側分岐管632は、副燃料ガス制御弁4の下流側位置から、主燃料配管61における、主燃料ガス制御弁2の配置位置の下流側位置に接続されている。比例制御弁5は、下流側分岐管632に配置されており、下流側分岐管632に流れる副燃料ガスF2の流量を制御するよう構成されている。
【0016】
以下に、本形態のガス混合システム1について詳説する。
(ガス混合システム1)
図1に示すように、ガス混合システム1は、燃料ガスを使用する燃料使用機器10へ、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との混合燃料ガスF3を供給するために用いられる。ガス混合システム1は、燃料使用機器10と独立して形成されており、種々の燃料使用機器10に対して混合燃料ガスF3を供給する装置として設置可能である。燃料使用機器10には、ガスエンジンを含むコージェネレーション機器、バーナ等の燃焼機器などがある。
【0017】
(主燃料ガスF1及び副燃料ガスF2)
本形態においては、主燃料ガスF1には都市ガスが用いられ、副燃料ガスF2には水素ガスが用いられる。副燃料ガスF2としての水素ガスの単位体積当たりの発熱量は、主燃料ガスF1としての都市ガスの単位体積当たりの発熱量に比べて低い。そのため、主燃料ガスF1の専焼が行われる場合の流量と同じ流量の混合燃料ガスF3が燃料使用機器10に供給される場合には、主燃料ガスF1に対する副燃料ガスF2の混合比率が高くなるほど、燃料使用機器10に供給される混合燃料ガスF3の発熱量が低くなる。そこで、燃料使用機器10において消費される混合燃料ガスF3の発熱量は、下流側分岐管632及び比例制御弁5によって、主燃料ガス制御弁2をバイパスして燃料使用機器10に副燃料ガスF2を供給することによって確保する。なお、主燃料ガスF1及び副燃料ガスF2には、互いに異なる組成を有する種々の燃料ガスを用いてもよい。
【0018】
(第1制御装置71及び第2制御装置72)
図1に示すように、本形態のガス混合システム1は、主燃料ガスF1と燃焼用空気Aとの燃焼を行う既存の燃料使用機器10に増設して、主燃料ガスF1及び副燃料ガスF2の混合燃料ガスF3と燃焼用空気Aとの燃焼を適切な空燃比及び発熱量で行うことができるものである。本形態のガス混合システム1の制御装置(第2制御装置72という。)は、燃料使用機器10の制御装置(第1制御装置71という。)とは別に設けられたものである。第1制御装置71と第2制御装置72とが別々に動作することにより、ガス混合システム1は既存の燃料使用機器10の構成を変更することなく、既存の燃料使用機器10に対して適用可能である。
【0019】
本形態の燃料使用機器10の第1制御装置71は、燃料使用機器10において、主燃料ガスF1と燃焼用空気Aとの燃焼を目標とする空燃比で行うよう、主燃料ガス制御弁2の開度及び燃焼用空気制御弁3の開度を制御するよう構成されている。換言すれば、第1制御装置71は、目標とする空燃比で主燃料ガスF1の専焼を行うよう構成されている。第1制御装置71によって、燃料使用機器10に供給される主燃料ガスF1の単位時間当たりの発熱量が目標発熱量に設定されている。
【0020】
ガス混合システム1の第2制御装置72は、主燃料ガス制御弁2の開度及び副燃料ガス制御弁4の開度の制御によって、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との混合比率を決定し、比例制御弁5の開度の制御によって、燃料使用機器10における空燃比及び発熱量を維持するよう構成されている。換言すれば、第2制御装置72は、主燃料ガスF1の専焼を行う場合の燃料使用機器10における空燃比と、主燃料ガスF1の専焼を行う場合の燃料使用機器10における単位時間当たりの発熱量とを維持できるよう、比例制御弁5の開度を調整するよう構成されている。
【0021】
第1制御装置71及び第2制御装置72を併用することにより、既存の燃料使用機器10に対してガス混合システム1を増設することが容易である。なお、第2制御装置72の機能を第1制御装置71に一体的に組み込んで、制御装置としてもよい。この場合には、ガス混合システム1の制御構成を既存の第1制御装置71を利用して構築することができる。
【0022】
(主燃料ガス制御弁2)
図1に示すように、主燃料ガス制御弁2は、都市ガス等の主燃料ガスF1が供給される主燃料配管61に配置されており、燃料使用機器10へ供給する主燃料ガスF1の流量を制御するよう構成されている。主燃料ガス制御弁2は、質量流量を計測する機能を有し、必要とする質量流量の流体の供給が可能なマスフローコントローラによって構成されている。燃料使用機器10へ目標とする空燃比の混合気を供給するために、主燃料ガス制御弁2によって調整される主燃料ガスF1の質量流量を受けて、燃焼用空気制御弁3の開度の調整による燃焼用空気Aの質量流量が決定される。
【0023】
(燃焼用空気制御弁3)
図1に示すように、燃焼用空気制御弁3は、主燃料ガス制御弁2を流れる主燃料ガスF1と、上流側分岐管631を経由して主燃料ガス制御弁2を流れる副燃料ガスF2との合計流量に応じて、燃料使用機器10へ供給する燃焼用空気Aの流量を制御するよう構成されている。燃焼用空気制御弁3は、主燃料ガス制御弁2と同様に、マスフローコントローラによって構成されている。
【0024】
燃焼用空気制御弁3は、主燃料配管61における、主燃料ガス制御弁2の配置位置よりも主燃料ガスF1の流れの下流側に接続又は配置されている。より具体的には、主燃料配管61には、空気配管62が合流して接続されており、空気配管62には、外気を燃焼用空気Aとして取り込むブロワが接続されている。燃焼用空気制御弁3は、空気配管62に配置されており、空気配管62から主燃料配管61へ燃焼用空気Aを流すよう構成されている。
【0025】
(副燃料ガス制御弁4)
図1に示すように、副燃料ガス制御弁4は、水素ガス等の副燃料ガスF2が供給される副燃料配管63に配置されており、燃料使用機器10へ供給する副燃料ガスF2の流量を制御するよう構成されている。副燃料ガス制御弁4は、主燃料ガス制御弁2と同様に、マスフローコントローラによって構成されている。
【0026】
主燃料ガス制御弁2の開度と副燃料ガス制御弁4の開度との比率によって、燃料使用機器10において使用される主燃料ガスF1の質量流量と副燃料ガスF2の質量流量との比率が設定される。換言すれば、主燃料ガス制御弁2の開度と副燃料ガス制御弁4の開度との比率によって、燃料使用機器10において使用される混合燃料ガスF3中の副燃料ガスF2の混焼率が設定される。
【0027】
(上流側分岐管631及び下流側分岐管632)
図1に示すように、副燃料配管63は、副燃料ガス制御弁4の配置位置よりも副燃料ガスF2の流れの下流側において、上流側分岐管631と下流側分岐管632とに分岐されている。上流側分岐管631は、副燃料ガス制御弁4の下流側から主燃料ガス制御弁2の上流側に接続されている。下流側分岐管632は、副燃料ガス制御弁4の下流側から主燃料ガス制御弁2の下流側に接続されている。下流側分岐管632に比例制御弁5が配置され、下流側分岐管632に流れる副燃料ガスF2の流量が絞られることにより、下流側分岐管632から主燃料配管61に流れる副燃料ガスF2の流量は、上流側分岐管631から主燃料配管61に流れる副燃料ガスF2の流量よりも少なくなる。
【0028】
(比例制御弁5)
図1に示すように、比例制御弁5は、副燃料ガス制御弁4の下流側に接続された下流側分岐管632に配置されている。比例制御弁5は、開度の調整が可能な電磁弁等によって構成されている。比例制御弁5の開度を調整することにより、下流側分岐管632へ流れる副燃料ガスF2の流量が調整され、これに伴って上流側分岐管631へ流れる副燃料ガスF2の流量も調整される。本形態においては、比例制御弁5の開度の制御によって、下流側分岐管632を経由して燃料使用機器10へ流れる副燃料ガスF2によって、燃料使用機器10に供給される、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との混合燃料ガスF3の発熱量を、燃料使用機器10に主燃料ガスF1のみが供給される場合の主燃料ガスF1の発熱量に近づけるよう構成されている。
【0029】
換言すれば、比例制御弁5の開度は、下流側分岐管632を経由して燃料使用機器10へ流れる副燃料ガスF2の流量を調整することにより、燃料使用機器10に供給される主燃料ガスF1の単位時間当たりの発熱量が、燃料使用機器10の第1制御装置71による単位時間当たりの目標発熱量に近づくように設定される。この構成により、既存の燃料使用機器10にガス混合システム1を適用したときでも、既存の燃料使用機器10に必要な発熱量を適切に確保することができる。
【0030】
燃料使用機器10に供給される、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との混合燃料ガスF3の発熱量は、燃料使用機器10に主燃料ガスF1のみが供給される場合の主燃料ガスF1の発熱量と同等になるようにしてもよい。この場合には、上流側分岐管631及び主燃料ガス制御弁2を経由して燃料使用機器10に流れる副燃料ガスF2の流量(体積流量)をQ1[m3]、下流側分岐管632を経由して燃料使用機器10へ流れる副燃料ガスF2の流量(体積流量)をQ2[m3]、主燃料ガスF1を完全燃焼させるときの理論空気量をA1[m3]、副燃料ガスF2を完全燃焼させるときの理論空気量をA2[m3]としたとき、Q1とQ2の比が、Q1:Q2=1:(A1/A2)-1となるよう比例制御弁5の開度を調整する。
【0031】
発熱量及び混焼率を考える場合の主燃料ガスF1及び副燃料ガスF2の流量は、体積流量として扱えばよい。一方、空燃比を考える場合の主燃料ガスF1及び副燃料ガスF2の流量は、質量流量として扱えばよい。
【0032】
第1制御装置71の他に、主燃料ガス制御弁2、燃焼用空気制御弁3、主燃料配管61、空気配管62等は、既存の燃料使用機器10に設けられたものとすればよい。一方、第2制御装置72の他に、副燃料ガス制御弁4、比例制御弁5、副燃料配管63、上流側分岐管631及び下流側分岐管632は、ガス混合システム1として増設すればよい。
【0033】
(作用効果)
本形態のガス混合システム1においては、副燃料ガス制御弁4が主燃料配管61に接続される配管を、主燃料ガス制御弁2の配置位置の上流側位置に接続された上流側分岐管631と、主燃料ガス制御弁2の配置位置の下流側位置に接続された下流側分岐管632とに分けている。そして、比例制御弁5によって、下流側分岐管632に流れる副燃料ガスF2の流量と、上流側分岐管631に流れる副燃料ガスF2の流量との割合が調整される。この構成により、主燃料ガス制御弁2を経由して燃料使用機器10に流れる副燃料ガスF2の流量の割合と、主燃料ガス制御弁2をバイパスして(経由せずに)燃料使用機器10に流れる副燃料ガスF2の流量の割合とを調整することができる。
【0034】
より具体的には、上流側分岐管631から主燃料ガス制御弁2に流れる、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との混合燃料ガスF3の流量に応じて、燃焼用空気制御弁3による燃焼用空気Aの流量が調整される。そして、主燃料ガス制御弁2、副燃料ガス制御弁4及び比例制御弁5の開度の調整によって、燃焼用空気制御弁3の開度を適切に保つための混合燃料ガスF3が主燃料ガス制御弁2を通過する。これにより、燃料使用機器10に供給される混合燃料ガスF3の空燃比が適切に調整される。一方、主燃料ガスF1に副燃料ガスF2が混合されていることにより、主燃料ガス制御弁2を通過する混合燃料ガスF3の発熱量は、主燃料ガス制御弁2を主燃料ガスF1のみが通過する場合の発熱量に比べて低くなる。
【0035】
そこで、主燃料ガス制御弁2を通過した混合燃料ガスF3には、下流側分岐管632から流れる副燃料ガスF2がさらに混合される。これにより、燃料使用機器10に供給される混合燃料ガスF3の発熱量の不足分が補われ、燃料使用機器10に供給される混合燃料ガスF3の発熱量が適切に調整される。そのため、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との混焼を行う場合には、上流側分岐管631、下流側分岐管632及び比例制御弁5を用いた構成により、燃料使用機器10に供給される混合燃料ガスF3の空燃比及び発熱量が適切に調整される。
【0036】
それ故、本形態のガス混合システム1によれば、比例制御弁5を用いた簡単な構成によって、主燃料ガスF1と副燃料ガスF2との混焼を行う場合の空燃比及び発熱量を適切に維持することができる。また、ガス混合システム1は、既存の燃料使用機器10に対して増設することが可能であり、副燃料ガス制御弁4、上流側分岐管631、下流側分岐管632、比例制御弁5等の簡単な装置の追加によって実現することができる。
【0037】
本発明は、実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。
【符号の説明】
【0038】
1 ガス混合システム
10 燃料使用機器
2 主燃料ガス制御弁
3 燃焼用空気制御弁
4 副燃料ガス制御弁
5 比例制御弁
61 主燃料配管
62 空気配管
63 副燃料配管
631 上流側分岐管
632 下流側分岐管
71 第1制御装置
72 第2制御装置
F1 主燃料ガス
F2 副燃料ガス
F3 混合燃料ガス
A 燃焼用空気
図1