(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021722
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ロータリー圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04C 29/04 20060101AFI20240208BHJP
F04C 18/356 20060101ALI20240208BHJP
F04C 29/12 20060101ALI20240208BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F04C29/04 M
F04C18/356 A
F04C18/356 J
F04C29/12 E
F04C29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124761
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】宇野 将成
(72)【発明者】
【氏名】島谷 紘史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】荒木 勇人
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】岡田 義之
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA13
3H129AB03
3H129BB12
3H129BB32
3H129BB42
3H129CC04
3H129CC13
3H129CC49
(57)【要約】
【課題】デッドボリュームの発生を抑制しつつ、インジェクション孔を自由度高く配置することが可能となるロータリー圧縮機を提供する。
【解決手段】ロータリー圧縮機は、軸線回りに回転可能な回転軸と、回転軸の回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成されたシリンダと、シリンダに設けられて、回転軸を回転可能に支持する軸受部と、軸受部に形成されて、を圧縮室内に供給可能なインジェクション部とを備える。インジェクション部は、外部から供給された冷媒が流通するポートと、回転軸の周方向に延びて、ポートから冷媒が導入される中間圧室と、中間圧室内に設けられて、中間圧室内の冷媒が前記ポートへ逆流することを防止する逆止弁と、中間圧室と圧縮室とを連通させる複数のインジェクション孔とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転可能な回転軸と、
前記回転軸の回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成されたシリンダと、
前記シリンダに設けられて、前記回転軸を回転可能に支持する軸受部と、
前記軸受部に形成されて、冷媒を前記圧縮室内に供給可能なインジェクション部と、
を備え、
前記インジェクション部は、
外部から供給された冷媒が流通するポートと、
前記回転軸の周方向に延びて、前記ポートから冷媒が導入される中間圧室と、
前記中間圧室内に設けられて、前記中間圧室内の冷媒が前記ポートへ逆流することを防止する逆止弁と、
前記中間圧室と前記圧縮室とを連通させる複数のインジェクション孔と、
を有するロータリー圧縮機。
【請求項2】
複数の前記インジェクション孔は、前記軸線方向に延び、前記周方向で等間隔に並んで配置されている請求項1に記載のロータリー圧縮機。
【請求項3】
前記軸受部は、
前記インジェクション部が形成された軸受本体と、
前記軸受本体に着脱可能に設けられ、前記軸受本体から取り外されることで前記中間圧室内を開放可能な蓋部と、
を有し、
前記ポート、前記中間圧室、及び前記蓋部は、前記圧縮室から離間する方向で、前記ポート、前記中間圧室、前記蓋部の順に配置されている請求項1又は2に記載のロータリー圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータリー圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インジェクション流路を通じて第1圧縮室及び第2圧縮室のそれぞれにインジェクション冷媒を供給するツインロータリー圧縮機が開示されている。
【0003】
このインジェクション流路では、インジェクションマフラーにつながる第1インジェクション管、及び上軸受に形成された穴(第1共通穴と、これにつながる第1噴射穴及び第2噴射穴)を通じて、インジェクション冷媒が第1圧縮室に供給される。また、インジェクションマフラーにつながる第2インジェクション管、及び下軸受に形成された穴(第2共通穴と、これにつながる第3噴射穴及び第4噴射穴)を通じて、インジェクション冷媒が第2圧縮室に供給される。
【0004】
上記インジェクションマフラーは、第1圧縮室と第2圧縮室とを連通させて差圧が生じないようにすることで、各圧縮室で冷媒が圧縮される際、軸受の穴を通じて圧縮室から冷媒が逆流することを抑制するために設けられている。これにより、より大きい流量のインジェクション冷媒を圧縮室内に流入させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、圧縮室が一つのロータリー圧縮機の場合、圧縮室からインジェクション冷媒が逆流することを抑制するためにインジェクション冷媒の供給流路中に逆止弁等を配置する場合がある。この場合、供給流路中における圧縮室から逆止弁までの区間に存在する冷媒は、圧縮室内で圧縮されないため、この区間が圧縮機の効率低下を招くデッドボリュームとなる。
【0007】
圧縮効率低下の原因となるデッドボリュームの低減を目的として、例えば、軸受に形成された穴の内部に逆止弁を配置することは、穴内が狭隘な空間であるため現状難しい。したがって、外部から軸受の穴につながる供給流路中に逆止弁を配置せざるを得ないといった課題がある。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の技術では、共通穴(第1共通穴、第2共通穴)が直線状に形成されている。このため、流量を増加させる目的でインジェクション用の孔(第1噴射穴、第2噴射穴、第3噴射穴、第4噴射穴)の数を増加させる際、この孔の配置が直線状に限定されるといった課題がある。
【0009】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、デッドボリュームの発生を抑制しつつ、インジェクション孔を自由度高く配置することが可能となるロータリー圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示に係るロータリー圧縮機は、軸線回りに回転可能な回転軸と、前記回転軸の回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成されたシリンダと、前記シリンダに設けられて、前記回転軸を回転可能に支持する軸受部と、前記軸受部に形成されて、冷媒を前記圧縮室内に供給可能なインジェクション部と、を備え、前記インジェクション部は、外部から供給された冷媒が流通するポートと、前記回転軸の周方向に延びて、前記ポートから冷媒が導入される中間圧室と、前記中間圧室内に設けられて、前記中間圧室内の冷媒が前記ポートへ逆流することを防止する逆止弁と、前記中間圧室と前記圧縮室とを連通させる複数のインジェクション孔と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、デッドボリュームの発生を抑制しつつ、インジェクション孔を自由度高く配置することが可能となるロータリー圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第一実施形態に係るロータリー圧縮機の構成を説明するための縦断面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線方向の断面視を示した図である。
【
図4】本開示の第二実施形態に係るロータリー圧縮機の構成を説明するための縦断面図であり、
図2に対応する部分である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本開示によるロータリー圧縮機を実施するための形態を説明する。
【0014】
<第一実施形態>
ロータリー圧縮機は、例えば、空気調和機や冷凍装置等に用いられる密閉型の電動ロータリー圧縮機である。
図1に示すように、ロータリー圧縮機100は、圧縮機本体1と、インジェクション部2と、インジェクション管3と、アキュムレータ4と、吸入管5と、吐出管6と、脚部7とを備えている。
【0015】
以下、ロータリー圧縮機100を、単に「圧縮機100」と称する。
圧縮機100で圧縮される冷媒には、例えば、R32、R454C等のHFO(ハイドロフルオロオレフィン)冷媒や、CO2、プロパン、ヘリウム等の自然冷媒を採用することができる。
【0016】
(圧縮機本体)
圧縮機本体1は、外部から供給された冷媒を圧縮する。
圧縮機本体1は、ハウジング10と、回転軸11と、ロータリー圧縮部12と、軸受部13と、電動モータ14とを有している。
【0017】
(ハウジング)
ハウジング10は、圧縮機100が床面や地面等に設けられた際に、鉛直方向Dv(
図1中における上下方向)に延在する圧力容器である。ハウジング10は、圧縮機本体1の外殻を成している。以下、説明の便宜上、鉛直方向Dvにおける上方側を単に「上方側Dvu」と称し、鉛直方向Dvにおける下方側を単に「下方側Dvd」と称する。
ハウジング10は、本体部10aと、上部蓋部10bと、下部蓋部10cと、冷媒導入部10dと、吸入ポート10eとを有している。
【0018】
本体部10aは、鉛直方向Dvに延びる円筒状を成している。したがって、本体部10aは、上方側Dvu及び下方側Dvdの双方に開口を有している。
上部蓋部10bは、本体部10aにおける上方側Dvuの開口を上方側Dvuから閉塞するように本体部10aに設けられている。
下部蓋部10cは、本体部10aにおける下方側Dvdの開口を下方側Dvdから閉塞するように本体部10aに設けられている。なお、下部蓋部10cには、脚部7が設けられており、この脚部7によってハウジング10全体が支持されている。
【0019】
冷媒導入部10dは、外部からの冷媒を本体部10aの内側へ導入するための孔である。
冷媒導入部10dは、本体部10aの厚さ方向で本体部10aを貫通するように形成された側面開口101dと、この側面開口101dの内側に配置された円筒部102dとを有している。
【0020】
側面開口101dは、開口が円形状を成している。側面開口101dは、本体部10aにおける下方側Dvdの部分に配置されている。円筒部102dは、側面開口101dに隙間無く嵌められており、側面開口101dから本体部10aの外側に向かって延びている。
【0021】
吸入ポート10eは、冷媒導入部10dの円筒部102dの内側に配置されたシリンジ状を成す部材である。吸入ポート10eは、円筒部102dに隙間無く嵌められている。吸入ポート10eの先端は、円筒部102dよりも本体部10aの内側に向かって延びている。なお、吸入ポート10eの後端は、例えば、円筒部102dの開口部分と面一とされている。
【0022】
ここで、ハウジング10の外部には、圧縮機本体1に供給するに先立って冷媒を気液分離するためのアキュムレータ4が配置されている。アキュムレータ4は、例えば、ブラケットBrを介してハウジング10における本体部10aに固定されている。
【0023】
アキュムレータ4内の冷媒は、このアキュムレータ4と吸入ポート10eとを接続する吸入管5を通じてハウジング10の内部に導かれる。吸入管5の一端は、アキュムレータ4内を延びている。吸入管5の他端は、吸入ポート10e内に挿入されている。
【0024】
(回転軸)
回転軸11は、ハウジング10に収容されている。回転軸11は、鉛直方向Dvに延びる軸線Oを中心として回転可能である。以下、説明の便宜上、回転軸11が中心とする軸線Oの延びる方向を軸線方向Daと称する。また、軸線方向Daにおける一方側Dauを単に「一方側Dau」と称し、軸線方向Daにおける他方側Dadを単に「他方側Dad」と称する。本実施形態における軸線方向Daは、鉛直方向Dvと一致しており、一方側Dauが上方側Dvuに一致しており、他方側Dadが下方側Dvdに一致している。
【0025】
(ロータリー圧縮部)
ロータリー圧縮部12は、ハウジング10に収容され、冷媒導入部10dによって導入された冷媒を圧縮する。ロータリー圧縮部12は、ハウジング10の本体部10a内における下方側Dvdの部分に配置されている。
ロータリー圧縮部12は、シリンダ121と、偏心軸部122と、ピストンロータ123と、ブレード124(
図3参照)とを有している。
【0026】
シリンダ121は、円環状を成すとともに、ハウジング10に収容された際、軸線方向Daに延びている部材である。シリンダ121は、ハウジング10の本体部10aの内周面における下方側Dvdの部分に固定されている。このシリンダ121の内周面によって画定されるシリンダ121内部の空間は、冷媒を圧縮する圧縮室121aとされている。すなわち、シリンダ121には、軸線方向Daに延びる円柱状の圧縮室121aが形成されている。
【0027】
また、シリンダ121には、このシリンダ121の内周面から外周面にかけて貫通する吸入孔121bが形成されている。吸入孔121bには、冷媒導入部10dの吸入ポート10eの上記先端が隙間無く挿入されている。したがって、吸入ポート10eを通じて冷媒が圧縮室121a内に導入される。また、シリンダ121には、内周面から外周面に向かって延び、内側にブレード124が配置されるブレード溝121c(
図3参照)が形成されている。
【0028】
偏心軸部122は、回転軸11の下端部でこの回転軸11と一体に設けられた円柱状を成す部材である。偏心軸部122は、圧縮室121a内で、回転軸11が中心とする軸線Oからこの軸線Oに対して直交する方向へオフセットされた位置に配置されている。
【0029】
ピストンロータ123は、シリンダ121の内径よりも小さい外径の円筒状を成す部材である。ピストンロータ123は、軸線方向Daに延びている。ピストンロータ123は、偏心軸部122に設けられている。ピストンロータ123の内部には、偏心軸部122がピストンロータ123と一体に配置されている。ピストンロータ123は、回転軸11の回転に伴って軸線Oに対して偏心した状態で偏心軸部122と共に回転する。
【0030】
図3に示すように、ブレード124は、シリンダ121に形成された上記ブレード溝121c内に配置されている板状を成す部材である。ブレード124は、ブレード溝121cの内面に摺動可能に案内されるとともに、回転軸11の径方向に進退自在に保持されている。
【0031】
ブレード124は、ブレード溝121c内に配置された圧縮ばね(図示省略)によって、回転軸11の径方向内側に向かって弾性的に押圧されている。圧縮機100の運転中におけるブレード124は、圧縮ばねによって押圧されることで、径方向内側の端縁がピストンロータ123の外周面に常に接触している。
【0032】
ここで、偏心軸部122は、ピストンロータ123の内径よりも僅かに小さい外径を有している。これによって、回転軸11が回転すると、偏心軸部122が軸線O回りに旋回し、ピストンロータ123がシリンダ121の圧縮室121a内で偏心転動する。ピストンロータ123の偏心転動に伴ってブレード124が径方向に進出した際、ブレード124は、ピストンロータ123に接触する。ブレード124がピストンロータ123に接触することで、ブレード124は、このピストンロータ123と共に圧縮室121a内を二つの領域に区画している。
【0033】
以下、ブレード124の全体がブレード溝121c内に収容された際のピストンロータ123の位置を「初期位置」と称する。つまり、初期位置では、ブレード124が圧縮室121a内に進出していない状態となる。また、本実施形態では、初期位置にいるピストンロータ123の軸線Oに対する位相角を0°とする。すなわち、回転軸11の回転に伴ってピストンロータ123が偏心転動することで、ピストンロータ123の軸線Oに対する位相角が、軸線Oを中心として上方側Dvuから見た際に左回りで0°から360°の範囲で変化する。
【0034】
冷媒導入部10dの吸入ポート10eから供給された冷媒が圧縮室121a内に導入された際、ピストンロータ123の偏心転動により、ピストンロータ123及びブレード124によって区画された二つの圧縮室121a内の領域のうち一方の領域の容積が徐々に減少する。これによって、一方の領域中に存在する冷媒が次第に圧縮される。
【0035】
(軸受部)
図1及び
図2に示すように、軸受部13は、ハウジング10内で回転軸11を回転可能に支持している。軸受部13は、シリンダ121に設けられており、シリンダ121を軸線方向Daから挟むように一対が配置されている。
【0036】
以下、一対の軸受部13のうち、シリンダ121よりも一方側Dau(上方側Dvu)に配置された軸受部13を「上部軸受131」と称し、シリンダ121よりも他方側Dad(下方側Dvd)に配置された軸受部13を「下部軸受132」と称する。
【0037】
図2に示すように、上部軸受131は、回転軸11を外周側から摺動可能に囲んだ状態で、一方側Dauからシリンダ121に固定されている。
本実施形態における上部軸受131は、第一筒部131cと、第一フランジ部131dとを有している。
【0038】
第一筒部131cは、軸受部13がシリンダ121に設けられた際、軸線方向Daに延びる円筒状を成している。第一筒部131cは、回転軸11を外周側から摺動可能に囲っている。
【0039】
第一フランジ部131dは、第一筒部131cと一体の状態でこの第一筒部131cから回転軸11の径方向に広がる部材である。第一フランジ部131dは、第一筒部131cにおける他方側Dadの部分に配置されている。第一フランジ部131dは、軸線方向Daから見た際に円環状を成している。第一フランジ部131dは、例えばボルト等の締結部によって、シリンダ121における一方側Dauを向く面に固定されている。
【0040】
下部軸受132は、回転軸11を外周側から摺動可能に囲んだ状態で、他方側Dadからシリンダ121に固定されている。
本実施形態における下部軸受132は、下部軸受本体132aと、下部軸受蓋部132bとを有している。
下部軸受本体132aは、第二筒部132cと、第二フランジ部132dとを有している。
【0041】
第二筒部132cは、軸受部13がシリンダ121に設けられた際、軸線方向Daに延びる円筒状を成している。第二筒部132cは、回転軸11を外周側から摺動可能に囲っている。
【0042】
第二フランジ部132dは、第二筒部132cと一体の状態でこの第二筒部132cから回転軸11の径方向に広がる部材である。第二フランジ部132dは、ボルト等の締結部によって、シリンダ121における他方側Dadを向く面に固定されている。
【0043】
第二フランジ部132dは、第二筒部132cにおける一方側Dauの部分に配置されている。第二フランジ部132dは、軸線方向Daから見た際に円環状を成している。第二フランジ部132dにおける他方側Dadを向く面には、一方側Dauに凹むとともに、回転軸11の周方向に延びる凹所132fが形成されている。
【0044】
下部軸受蓋部132bは、第二フランジ部132dに形成された凹所132fを他方側Dadから閉じるように、第二フランジ部132dの他方側Dadを向く面に設けられている。下部軸受蓋部132bは、第二筒部132cを外周側から取り囲むように第二フランジ部132dに設けられている。下部軸受蓋部132bは、第二フランジ部132dに対して着脱可能である。下部軸受蓋部132bは、例えば、ボルト等の締結部によって第二フランジ部132dに固定されている。
【0045】
ここで、上部軸受131の第一フランジ部131d、及び下部軸受本体132aの第二フランジ部132dには、圧縮された冷媒をハウジング10内の空間に吐出するための吐出孔131e,132eが形成されている。したがって、吐出孔131e,132eは、圧縮室121aとハウジング10の内部におけるロータリー圧縮部12の外側の空間とを連通させている。
【0046】
第一フランジ部131dに形成された吐出孔131eは、例えば、第一フランジ部131dの他方側Dadを向く面、及び第一フランジ部131dの外周面のそれぞれに開口している。第二フランジ部132dに形成された吐出孔132eは、例えば、第二フランジ部132dの一方側Dauを向く面、及び第二フランジ部132dの外周面のそれぞれに開口している。
【0047】
第一フランジ部131dの外周面、及び第二フランジ部132dの外周面に形成された吐出孔131e,132eの開口には、例えば、吐出弁としてのリード弁(図示省略)が配置されている。圧縮されることで所定の圧力まで高まった冷媒は、このリード弁を押し開き、吐出孔131e,132eを通じてハウジング10内における軸受部13の外部へ吐出される。吐出孔131e,132eからハウジング10内に吐出された冷媒は、ハウジング10の上部蓋部10bに設けられた吐出管6を通じて、圧縮機100の外部の装置へ送られる。
【0048】
圧縮室121aに開口する吐出孔131e,132eの開口部分は、例えば、軸線Oに対する位相角が315°よりも大きく360°よりも小さい範囲に配置されている。また、圧縮室121aに開口する吸入孔121bの開口部分は、例えば、軸線Oに対する位相角が0°よりも大きく45°よりも小さい範囲に配置されている。
【0049】
(電動モータ)
電動モータ14は、ハウジング10に収容されており、回転軸11を回転させる。
電動モータ14は、ロータ141と、ステータ142とを有している。
【0050】
ロータ141は、ロータリー圧縮部12よりも上方側Dvuで回転軸11を外周側から囲むようにこの回転軸11に固定された回転子である。ステータ142は、ロータ141を外周側から囲むようにハウジング10の本体部10aの内面に固定された固定子である。ステータ142には、電力を供給する電源(図示省略)が接続されている。電動モータ14は、この電源から供給される電力によって回転軸11を回転させる。
【0051】
(インジェクション部)
インジェクション部2は、冷媒導入部10dとは独立して、外部からの冷媒をシリンダ121の圧縮室121a内に供給する。インジェクション部2は、軸受部13における下部軸受132に形成されている。
本実施形態におけるインジェクション部2は、ポート21と、中間圧室22と、逆止弁23と、インジェクション孔24とを有している。
【0052】
(ポート)
ポート21は、下部軸受132の第二フランジ部132dに形成された孔である。ポート21は、第二フランジ部132dの外周面から、第二フランジ部132dに形成された凹所132fの内面にかけて延びている。したがって、ポート21は、第二フランジ部132dの外周面、及び凹所132fの内面のそれぞれに開口している。
【0053】
ここで、第二フランジ部132dの外周面に形成されたポート21の開口には、冷媒を供給するためのインジェクション管3が接続されている。したがって、このインジェクション管3を通じて、ポート21に外部からの冷媒が供給される。インジェクション管3は、ハウジング10の本体部10aを貫通し、ハウジング10の外側に配置されたインジェクション用の冷媒を供給する装置等(図示省略)に接続されている。
【0054】
(中間圧室)
中間圧室22は、下部軸受132に形成された部屋である。本実施形態における中間圧室22は、第二フランジ部132dに形成された上記凹所132fである。具体的には、中間圧室22は、第二フランジ部132dに形成された凹所132fが下部軸受蓋部132bによって閉じられることで画定されている。したがって、中間圧室22は、下部軸受蓋部132bが下部軸受本体132aから取り外されることで開放される。中間圧室22には、ポート21を流通する冷媒が流入する。
【0055】
(逆止弁)
逆止弁23は、中間圧室22内に設けられ、中間圧室22内にポート21から流入した冷媒がポート21へ逆流することを防止するためのリード弁である。逆止弁23は、中間圧室22内に開口するポート21の開口部分を塞ぐように中間圧室22内に配置されている。
【0056】
(インジェクション孔)
インジェクション孔24は、中間圧室22と、シリンダ121に形成された圧縮室121aとを連通させる孔である。インジェクション孔24は、中間圧室22における他方側Dadを向く内面から圧縮室121aに向かって一方側Dauに延びている。インジェクション孔24は、凹所132fの内面、及び第二フランジ部132dにおける一方側Dauを向く面のそれぞれに開口している。
【0057】
本実施形態におけるインジェクション孔24は、複数形成されている。
図2及び
図3に示すように、複数のインジェクション孔24は、軸線方向Daに延び、回転軸11の周方向で等間隔に並んで配置されている。
図3に示すように、本実施形態では、四つのインジェクション孔24が配置されている場合を一例として示している。
【0058】
ここで、圧縮室121aを吸入孔121bの開口部分が配置される側と吐出孔131e,132eの開口部分が配置される側とに二等分した際に、複数のインジェクション孔24の開口部分は、吐出孔131e,132eの開口部分が配置される側に配置されている。本実施形態では、圧縮室121a内に開口する複数のインジェクション孔24の開口部分は、軸線Oに対する位相角が例えば、200°~300°の範囲に配置されている。
【0059】
また、
図2に示すように、インジェクション部2のポート21及び中間圧室22、並びに下部軸受132の下部軸受蓋部132bは、軸線方向Daでポート21、中間圧室22、下部軸受蓋部132bの順に配置されている。言い換えれば、ポート21、中間圧室22、及び下部軸受蓋部132bは、圧縮室121aから離間する方向でポート21、中間圧室22、下部軸受蓋部132bの順に配置されている。
【0060】
(作用効果)
上記構成では、下部軸受132にインジェクション部2の中間圧室22が形成されているため、中間圧室22内に逆止弁23を配置させることができる。これにより、例えば、軸受部13外部のインジェクション管3等に逆止弁23を配置する場合と比較して、圧縮室121aと逆止弁23との間における冷媒の流路の長さを短くすることができる。したがって、デッドボリュームの発生を抑制することができる。また、下部軸受132に形成された中間圧室22が周方向に延びているため、圧縮室121aに開口するインジェクション孔24を周方向に配置することができる。したがって、インジェクション孔24を自由度高く配置することが可能となる。
【0061】
また、上記構成では、複数のインジェクション孔24が中間圧室22から軸線方向Daに延びているため、インジェクション孔24の長さを最短に形成することができる。したがって、デッドボリュームの発生をより抑制することができる。また、インジェクション孔24が複数形成されているため、圧縮室121aに供給可能な冷媒の量を増加させることができる。更に、複数のインジェクション孔24が回転軸11の周方向に等間隔に並んでいるため、冷媒が圧縮される過程で各インジェクション孔24が圧縮室121a内に開口する時間を揃えることができる。したがって、インジェクション部2による圧縮室121aへの冷媒の供給効率を高めることができる。
【0062】
また、上記構成では、圧縮室121aから離間する方向でポート21、中間圧室22、下部軸受蓋部132bの順に配置されているため、下部軸受蓋部132bを下部軸受本体132aから取り外した際、ポート21を介さずに中間圧室22内を開放することができる。つまり、下部軸受蓋部132bを取り外すことで、中間圧室22内に配置された逆止弁23にアクセスすることができる。したがって、下部軸受132をシリンダ121等から取り外すことなく逆止弁23を容易にメンテナンスすることができる。
【0063】
<第二実施形態>
次に、本開示に係るロータリー圧縮機100の第二実施形態について
図4を参照して説明する。なお、以下に説明する第二実施形態では、上記の第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
【0064】
本実施形態における圧縮機100は、二つの圧縮室121aを有するツインロータリー圧縮機である。
圧縮機100は、圧縮機本体1と、インジェクション部2と、第一インジェクション管31と、第二インジェクション管32と、アキュムレータ4と、第一吸入管51と、第二吸入管52と、吐出管6と、脚部7とを備えている。
【0065】
圧縮機本体1は、ハウジング10と、回転軸11と、ロータリー圧縮部12aと、軸受部13と、電動モータ14とを有している。
【0066】
ハウジング10は、本体部10aと、上部蓋部10bと、下部蓋部10cと、第一冷媒導入部10hと、第二冷媒導入部10iと、第一吸入ポート10fと、第二吸入ポート10gとを有している。
【0067】
第一冷媒導入部10hは、本体部10aの厚さ方向で本体部10aを貫通するように形成された第一側面開口101hと、この第一側面開口101hの内側に配置された第一筒部131cとを有している。
【0068】
第一側面開口101hは、開口が円形状を成している。第一円筒部102hは、この第一側面開口101hに隙間無く嵌められており、第一側面開口101hから本体部10aの外側に向かって延びている。
【0069】
第一吸入ポート10fは、第一冷媒導入部10hの第一円筒部102hの内側に配置されたシリンジ状を成す部材である。第一吸入ポート10fは、第一円筒部102hに隙間無く嵌められている。第一吸入ポート10fの先端は、第一円筒部102hよりも本体部10aの内側に向かって延びている。なお、第一吸入ポート10fの後端は、例えば、第一円筒部102hの開口部分と面一とされている。
【0070】
第二冷媒導入部10iは、第一冷媒導入部10hよりも下方側Dvd(他方側Dad)に配置されている。第二冷媒導入部10iは、本体部10aの厚さ方向で本体部10aを貫通するように形成された第二側面開口101iと、この第二側面開口101iの内側に配置された第二円筒部102iとを有している。
【0071】
第二側面開口101iは、開口が円形状を成している。第二円筒部102iは、第二側面開口101iに隙間無く嵌められており、第二側面開口101iから本体部10aの外側に向かって延びている。
【0072】
第二吸入ポート10gは、第二冷媒導入部10iの第二円筒部102iの内側に配置されたシリンジ状を成す部材である。第二吸入ポート10gは、第二円筒部102iに隙間無く嵌められている。第二吸入ポート10gの先端は、第二円筒部102iよりも本体部10aの内側に向かって延びている。なお、第二吸入ポート10gの後端は、例えば、第二円筒部102iの開口部分と面一とされている。
【0073】
アキュムレータ4内の冷媒は、このアキュムレータ4と第一吸入ポート10fとを接続する第一吸入管51、及びアキュムレータ4と第二吸入ポート10gとを接続する第二吸入管52を通じて、ハウジング10の内部に導かれる。第一吸入管51及び第二吸入管52の一端は、アキュムレータ4内を延びている。第一吸入管51の他端は、第一吸入ポート10f内に挿入されており、第二吸入管52の他端は、第二吸入ポート10g内に挿入されている。
【0074】
ロータリー圧縮部12aは、第一シリンダ120aと、第二シリンダ120dと、第一偏心軸部122aと、第二偏心軸部122bと、第一ピストンロータ123aと、第二ピストンロータ123bと、中間板125と、ブレード(図示省略)とを有している。
【0075】
第一シリンダ120aは、円環状を成すとともに、ハウジング10に収容された際、軸線方向Daに延びている部材である。第一シリンダ120aは、ハウジング10の本体部10aの内周面における下方側Dvdの部分に固定されている。この第一シリンダ120aの内周面によって画定される第一シリンダ120a内部の空間は、冷媒を圧縮する第一圧縮室120bとされている。すなわち、第一シリンダ120aには、軸線方向Daに延びる円柱状の第一圧縮室120bが形成されている。
【0076】
また、第一シリンダ120aには、この第一シリンダ120aの内周面から外周面にかけて貫通する第一吸入孔120cが形成されている。第一吸入孔120cには、第一冷媒導入部10hの第一吸入ポート10fの上記先端が隙間無く挿入されている。したがって、第一吸入ポート10fを通じて冷媒が第一圧縮室120b内に導入される。また、第一シリンダ120aには、内周面から外周面に向かって延び、内側にブレードが配置されるブレード溝(図示省略)が形成されている。
【0077】
第一偏心軸部122aは、回転軸11と一体に設けられた円柱状を成す部材である。第一偏心軸部122aは、圧縮室121a内で、回転軸11が中心とする軸線Oからこの軸線Oに対して直交する方向へオフセットされた位置に配置されている。
【0078】
第一ピストンロータ123aは、第一シリンダ120aの内径よりも小さい外径の円筒状を成す部材である。第一ピストンロータ123aは、軸線方向Daに延びている。第一ピストンロータ123aは、第一偏心軸部122aに設けられている。第一ピストンロータ123aの内部には、第一偏心軸部122aが第一ピストンロータ123aと一体に配置されている。第一ピストンロータ123aは、回転軸11の回転に伴って軸線Oに対して偏心した状態で第一偏心軸部122aと共に回転する。第一ピストンロータ123aは、第一実施形態で説明したピストンロータ123と同様に、回転軸11の回転に伴って第一圧縮室120b内で偏心転動する。
【0079】
第二シリンダ120dは、円環状を成すとともに、ハウジング10に収容された際、軸線方向Daに延びている部材である。第二シリンダ120dは、ハウジング10の本体部10aの内周面における第一シリンダ120aよりも下方側Dvdの部分に固定されている。この第二シリンダ120dの内周面によって画定される第二シリンダ120d内部の空間は、冷媒を圧縮する第二圧縮室120eとされている。すなわち、第二シリンダ120dには、軸線方向Daに延びる円柱状の第二圧縮室120eが形成されている。
【0080】
また、第二シリンダ120dには、この第二シリンダ120dの内周面から外周面にかけて貫通する第二吸入孔120fが形成されている。第二吸入孔120fには、第二冷媒導入部10iの第二吸入ポート10gの上記先端が隙間無く挿入されている。したがって、第二吸入ポート10gを通じて冷媒が第二圧縮室120e内に導入される。また、第二シリンダ120dには、内周面から外周面に向かって延び、内側にブレードが配置されるブレード溝(図示省略)が形成されている。
【0081】
第二偏心軸部122bは、回転軸11と一体に設けられた円柱状を成す部材である。第二偏心軸部122bは、第二圧縮室120e内で、回転軸11が中心とする軸線Oからこの軸線Oに対して直交する方向へオフセットされた位置に配置されている。本実施形態における第二偏心軸部122bは、例えば、第一偏心軸部122aが回転軸11に対してオフセットされた方向と反対の方向にオフセットされている。
【0082】
第二ピストンロータ123bは、第二シリンダ120dの内径よりも小さい外径の円筒状を成す部材である。第二ピストンロータ123bは、軸線方向Daに延びている。第二ピストンロータ123bは、第二偏心軸部122bに設けられている。第二ピストンロータ123bの内部には、第二偏心軸部122bが第二ピストンロータ123bと一体に配置されている。第二ピストンロータ123bは、回転軸11の回転に伴って軸線Oに対して偏心した状態で第二偏心軸部122bと共に回転する。第二ピストンロータ123bは、第一実施形態で説明したピストンロータ123と同様に、回転軸11の回転に伴って第二圧縮室120e内で偏心転動する。
【0083】
中間板125は、第一シリンダ120aと第二シリンダ120dとの間に配置され、第一シリンダ120aに形成された第一圧縮室120bと第二シリンダ120dに形成された第二圧縮室120eとを互いに隔離させる部材である。本実施形態における中間板125は、円柱状を成しており、ハウジング10の本体部10aの内面に固定されている。
【0084】
上部軸受131は、第一シリンダ120aよりも一方側Dauで第一シリンダ120aに設けられ、ハウジング10内で回転軸11を回転可能に支持している。下部軸受132は、第二シリンダ120dよりも他方側Dadで第二シリンダ120dに設けられ、ハウジング10内で回転軸11を回転可能に支持している。したがって、これら上部軸受131及び下部軸受132は、第一シリンダ120a及び第二シリンダ120dを軸線方向Daから挟むように配置されている。
【0085】
上部軸受131は、回転軸11を外周側から摺動可能に囲んだ状態で、一方側Dauから第一シリンダ120aに固定されている。下部軸受132は、回転軸11を外周側から摺動可能に囲んだ状態で、他方側Dadから第二シリンダ120dに固定されている。
【0086】
上部軸受131は、上部軸受本体131aと、上部軸受蓋部131bとを有している。
上部軸受本体131aは、第一筒部131cと、第一フランジ部131dとを有している。
【0087】
第一筒部131cは、上部軸受131が第一シリンダ120aに設けられた際、軸線方向Daに延びる円筒状を成している。第一筒部131cは、回転軸11を外周側から摺動可能に囲っている。第一フランジ部131dは、第一筒部131cと一体の状態でこの第一筒部131cから回転軸11の径方向に広がる部材である。第一フランジ部131dは、ボルト等の締結部によって、第一シリンダ120aにおける他方側Dadを向く面に固定されている。第一フランジ部131dは、第一筒部131cにおける他方側Dadの部分に配置されている。第一フランジ部131dは、軸線方向Daから見た際に円環状を成している。第一フランジ部131dにおける一方側Dauを向く面には、他方側Dadに凹むとともに、回転軸11の周方向に延びる凹所131fが形成されている。
【0088】
上部軸受蓋部131bは、第一フランジ部131dに形成された凹所131fを一方側Dauから閉じるように、第一フランジ部131dの一方側Dauを向く面に設けられている。上部軸受蓋部131bは、第一筒部131cを外周側から取り囲むように第一フランジ部131dに設けられている。上部軸受蓋部131bは、第一フランジ部131dに対して着脱可能である。上部軸受蓋部131bは、例えば、ボルト等の締結部によって第一フランジ部131dに固定されている。
【0089】
本実施形態における下部軸受132は、下部軸受本体132aと、下部軸受蓋部132bとを有している。
下部軸受本体132aは、第二筒部132cと、第二フランジ部132dとを有している。
【0090】
第二筒部132cは、下部軸受132が第二シリンダ120dに設けられた際、軸線方向Daに延びる円筒状を成している。第二筒部132cは、回転軸11を外周側から摺動可能に囲っている。
第二フランジ部132dは、第二筒部132cと一体の状態でこの第二筒部132cから回転軸11の径方向に広がる部材である。第二フランジ部132dは、ボルト等の締結部によって、第二シリンダ120dにおける他方側Dadを向く面に固定されている。
【0091】
第二フランジ部132dは、第二筒部132cにおける一方側Dauの部分に配置されている。第二フランジ部132dは、軸線方向Daから見た際に円環状を成している。第二フランジ部132dにおける他方側Dadを向く面には、一方側Dauに凹むとともに、回転軸11の周方向に延びる凹所132fが形成されている。
【0092】
下部軸受蓋部132bは、第二フランジ部132dに形成された凹所132fを他方側Dadから閉じるように、第二フランジ部132dの他方側Dadを向く面に設けられている。下部軸受蓋部132bは、第二筒部132cを外周側から取り囲むように第二フランジ部132dに設けられている。下部軸受蓋部132bは、第二フランジ部132dに対して着脱可能である。下部軸受蓋部132bは、例えば、ボルト等の締結部によって第二フランジ部132dに固定されている。
【0093】
本実施形態におけるインジェクション部2は、上部軸受131に形成された第一インジェクション部20aと、下部軸受132に形成された第二インジェクション部20bとを有している。
【0094】
第一インジェクション部20aは、第一ポート21aと、第一中間圧室22aと、第一逆止弁23aと、第一インジェクション孔24aとを有している。
【0095】
第一ポート21aは、上部軸受131の第一フランジ部131dに形成された孔である。第一ポート21aは、第一フランジ部131dの外周面から、第一フランジ部131dに形成された凹所131fの内面にかけて延びている。したがって、第一ポート21aは、第一フランジ部131dの外周面及び凹所131fの内面のそれぞれに開口している。第一フランジ部131dの外周面に形成された第一ポート21aの開口には、冷媒を供給するための第一インジェクション管31が接続されている。したがって、この第一インジェクション管31を通じて、第一ポート21aに外部からの冷媒が供給される。第一インジェクション管31は、ハウジング10の本体部10aを貫通し、ハウジング10の外側に配置されたインジェクション用の冷媒を供給する装置等(図示省略)に接続されている。
【0096】
第一中間圧室22aは、上部軸受131に形成された部屋である。第一中間圧室22aは、第一フランジ部131dに形成された上記凹所131fである。具体的には、第一中間圧室22aは、第一フランジ部131dに形成された凹所131fが上部軸受蓋部131bによって閉じられることで画定されている。したがって、第一中間圧室22aは、上部軸受蓋部131bが上部軸受本体131aから取り外されることで開放される。第一中間圧室22aには、第一ポート21aを流通する冷媒が流入する。
【0097】
第一逆止弁23aは、第一中間圧室22a内に設けられ、第一中間圧室22a内にポート21から流入した冷媒が第一ポート21aへ逆流することを防止するためのリード弁である。第一逆止弁23aは、第一中間圧室22a内に開口する第一ポート21aの開口部分を塞ぐように第一中間圧室22a内に配置されている。
【0098】
第一インジェクション孔24aは、第一中間圧室22aと、第一シリンダ120aに形成された第一圧縮室120bとを連通させる孔である。第一インジェクション孔24aは、第一中間圧室22aにおける一方側Dauを向く内面から第一圧縮室120bに向かって他方側Dadに延びている。第一インジェクション孔24aは、凹所131fの内面、及び第一フランジ部131dにおける他方側Dadを向く面のそれぞれに開口している。
【0099】
第一インジェクション部20aの第一ポート21a及び第一中間圧室22a、並びに上部軸受131の上部軸受蓋部131bは、軸線方向Daで第一ポート21a、第一中間圧室22a、上部軸受蓋部131bの順に配置されている。言い換えれば、第一ポート21a、第一中間圧室22a、及び上部軸受蓋部131bは、第一圧縮室120bから離間する方向で第一ポート21a、第一中間圧室22a、上部軸受蓋部131bの順に配置されている。
【0100】
第二インジェクション部20bは、第二ポート21bと、第二中間圧室22bと、第二逆止弁23bと、第二インジェクション孔24bとを有している。
【0101】
第二ポート21bは、下部軸受132の第二フランジ部132dに形成された孔である。第二ポート21bは、第二フランジ部132dの外周面から、第二フランジ部132dに形成された凹所132fの内面にかけて延びている。したがって、第二ポート21bは、第二フランジ部132dの外周面及び凹所132fの内面のそれぞれに開口している。第二フランジ部132dの外周面に形成された第二ポート21bの開口には、冷媒を供給するための第二インジェクション管32が接続されている。したがって、この第二インジェクション管32を通じて、第二ポート21bに外部からの冷媒が供給される。第二インジェクション管32は、ハウジング10の本体部10aを貫通し、ハウジング10の外側に配置されたインジェクション用の冷媒を供給する装置等(図示省略)に接続されている。
【0102】
第二中間圧室22bは、下部軸受132に形成された部屋である。第二中間圧室22bは、第二フランジ部132dに形成された上記凹所132fである。具体的には、第二中間圧室22bは、第二フランジ部132dに形成された凹所132fが下部軸受蓋部132bによって閉じられることで画定されている。したがって、第二中間圧室22bは、下部軸受蓋部132bが下部軸受本体132aから取り外されることで開放される。第二中間圧室22bには、第二ポート21bを流通する冷媒が流入する。
【0103】
第二逆止弁23bは、第二中間圧室22b内に設けられ、第二中間圧室22b内にポート21から流入した冷媒が第二ポート21bへ逆流することを防止するためのリード弁である。第二逆止弁23bは、第二中間圧室22b内に開口する第二ポート21bの開口部分を塞ぐように第二中間圧室22b内に配置されている。
【0104】
第二インジェクション孔24bは、第二中間圧室22bと、第二シリンダ120dに形成された第二圧縮室120eとを連通させる孔である。第二インジェクション孔24bは、第二中間圧室22bにおける他方側Dadを向く内面から第二圧縮室120eに向かって他方側Dadに延びている。第一インジェクション孔24aは、凹所132fの内面、及び第二フランジ部132dにおける一方側Dauを向く面のそれぞれに開口している。
【0105】
第二インジェクション部20bの第二ポート21b及び第二中間圧室22b、並びに下部軸受132の下部軸受蓋部132bは、軸線方向Daで第二ポート21b、第二中間圧室22b、下部軸受蓋部132bの順に配置されている。言い換えれば、第二ポート21b、第二中間圧室22b、及び下部軸受蓋部132bは、第二圧縮室120eから離間する方向で第二ポート21b、第二中間圧室22b、下部軸受蓋部132bの順に配置されている。
【0106】
以上、第二実施形態で説明した構成によっても、第一実施形態で説明した作用効果を奏することができる。
【0107】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0108】
なお、第一実施形態で説明したインジェクション部2は、上部軸受131にのみ形成されてもよい。したがって、例えば、第一実施形態で説明したインジェクション部2が下部軸受132に形成されず、第二実施形態で説明した第一インジェクション部20aのみが、第一実施形態で説明した上部軸受131に形成される構成であってもよい。
【0109】
また、インジェクション部2は、上部軸受131及び下部軸受132の両方に形成されてもよい。したがって、例えば、第一実施形態で説明したインジェクション部2が下部軸受132に形成されず、第二実施形態で説明した第一インジェクション部20aが、第一実施形態で説明した上部軸受131に形成され、第二実施形態で説明した第二インジェクション部20bが、第一実施形態で説明した下部軸受132に形成される構成であってもよい。
【0110】
また、第二実施形態で説明した中間板125に第一圧縮室120b及び第二圧縮室120eのそれぞれに冷媒を供給可能なインジェクション部2が形成されてもよい。
【0111】
<付記>
実施形態に記載のロータリー圧縮機は、例えば以下のように把握される。
【0112】
(1)第1の態様に係るロータリー圧縮機100は、軸線O回りに回転可能な回転軸11と、前記回転軸11の回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室121aが形成されたシリンダ121と、前記シリンダ121に設けられて、前記回転軸11を回転可能に支持する軸受部13と、前記軸受部13に形成されて、冷媒を前記圧縮室121a内に供給可能なインジェクション部2と、を備え、前記インジェクション部2は、外部から供給された冷媒が流通するポート21と、前記回転軸11の周方向に延びて、前記ポート21から冷媒が導入される中間圧室22と、前記中間圧室22内に設けられて、前記中間圧室22内の冷媒が前記ポート21へ逆流することを防止する逆止弁23と、前記中間圧室22と前記圧縮室121aとを連通させる複数のインジェクション孔24と、を有する。
【0113】
これにより、例えば、軸受部13外部に配置された冷媒を供給するための流路に逆止弁23を配置する場合と比較して、圧縮室121aと、中間圧室22内に配置された逆止弁23との間における冷媒の流路の長さを短くすることができる。また、軸受部13に形成された中間圧室22が周方向に延びているため、圧縮室121aに開口するインジェクション孔24を周方向に配置することができる。
【0114】
(2)第2の態様に係るロータリー圧縮機100は、(1)のロータリー圧縮機100であって、複数の前記インジェクション孔24は、前記軸線方向Daに延び、前記周方向で等間隔に並んで配置されていてもよい。
【0115】
これにより、中間圧室22から圧縮室121aに延びるインジェクション孔24の長さを最短に形成することができる。また、冷媒が圧縮される過程で各インジェクション孔24が圧縮室121a内に開口する時間を揃えることができる。
【0116】
(3)第3の態様に係るロータリー圧縮機100は、(1)又は(2)のロータリー圧縮機100であって、前記軸受部13は、前記インジェクション部2が形成された軸受本体と、前記軸受本体に着脱可能に設けられ、前記軸受本体から取り外されることで前記中間圧室22内を開放可能な蓋部と、を有し、前記ポート21、前記中間圧室22、及び前記蓋部は、前記圧縮室121aから離間する方向で、前記ポート21、前記中間圧室22、前記蓋部の順に配置されている。
【0117】
これにより、蓋部を軸受本体から取り外した際、ポート21を介さずに中間圧室22内を開放することができる。つまり、蓋部を取り外すことで、中間圧室22内に配置された逆止弁23にアクセスすることができる。
【符号の説明】
【0118】
1…圧縮機本体 2…インジェクション部 3…インジェクション管 4…アキュムレータ 5…吸入管 6…吐出管 7…脚部 10…ハウジング 10a…本体部 10b…上部蓋部 10c…下部蓋部 10d…冷媒導入部 10e…吸入ポート 10f…第一吸入ポート 10g…第二吸入ポート 10h…第一冷媒導入部 10i…第二冷媒導入部 11…回転軸 12,12a…ロータリー圧縮部 13…軸受部 14…電動モータ 20a…第一インジェクション部 20b…第二インジェクション部 21…ポート 21a…第一ポート 21b…第二ポート 22…中間圧室 22a…第一中間圧室 22b…第二中間圧室 23…逆止弁 23a…第一逆止弁 23b…第二逆止弁 24…インジェクション孔 24a…第一インジェクション孔 24b…第二インジェクション孔 31…第一インジェクション管 32…第二インジェクション管 100…圧縮機 101d…側面開口 101h…第一側面開口 101i…第二側面開口 102d…円筒部 102h…第一円筒部 102i…第二円筒部 120a…第一シリンダ 120b…第一圧縮室 120c…第一吸入孔 120d…第二シリンダ 120e…第二圧縮室 120f…第二吸入孔 121…シリンダ 121a…圧縮室 121b…吸入孔 121c…ブレード溝 122…偏心軸部 122a…第一偏心軸部 122b…第二偏心軸部 123…ピストンロータ 123a…第一ピストンロータ 123b…第二ピストンロータ 124…ブレード 125…中間板 131…上部軸受 131a…上部軸受本体 131b…上部軸受蓋部 131c…第一筒部 131d…第一フランジ部 131e,132e…吐出孔 131f,132f…凹所 132…下部軸受 132a…下部軸受本体 132b…下部軸受蓋部 132c…第二筒部 132d…第二フランジ部 141…ロータ 142…ステータ Br…ブラケット Da…軸線方向 Dad…他方側 Dau…一方側 Dv…鉛直方向 Dvd…下方側 Dvu…上方側 O…軸線