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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021732
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】もち米を原料とする米飯用品質改良剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240208BHJP
【FI】
A23L7/10 B
A23L7/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124777
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】服部 桂祐
(72)【発明者】
【氏名】及川 里央奈
(72)【発明者】
【氏名】末田 依里桂
(72)【発明者】
【氏名】島津 理江子
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE11
4B023LG04
4B023LK06
4B023LK17
4B023LP08
4B023LP17
(57)【要約】
【課題】本発明は、もち米を原料とする米飯の食感を改良することができる米飯用品質改良剤を提供することを目的とする。
【解決手段】下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する、もち米を原料とする米飯用品質改良剤。
(A)チオールプロテアーゼ
(B)アスパルティックプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ及び金属プロテアーゼからなる群から選ばれるいずれか一種以上
(C)エキソマルトテトラオヒドロラーゼ
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する、もち米を原料とする米飯用品質改良剤。
(A)チオールプロテアーゼ
(B)アスパルティックプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ及び金属プロテアーゼからなる群から選ばれるいずれか一種以上
(C)エキソマルトテトラオヒドロラーゼ
【請求項2】
さらに、水飴を含有する、請求項1に記載のもち米を原料とする米飯用品質改良剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もち米を原料とする米飯用品質改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
おこわ、赤飯等のもち米を原料とする米飯は、特有の粘りのあるもちもちとした食感が好まれ、消費者の嗜好の多様化が進むなか、各社よりもち米を原料とする様々な米飯商品が開発されている。一方で、一般的に、もち米は、うるち米よりも吸水コントロールが難しく、物性が変化しやすいため、もち米の品質や調理工程等によっては、米飯が軟化しやすく食感がべたつく、といった課題や、反対に、水分が感じられずパサつく、食感がボソつく、といった課題を有している。このため、もち米を原料とする米飯について、これらの課題を改善し、適度な粒感、粘り、しっとり感が得られる技術が求められている。
【0003】
米飯の品質改良に関する技術としては、例えば、米飯固形分100重量部に対してペクチンを0.12~3.00重量部含有し、水分含有率が64~68重量%である米飯食品(特許文献1)、(a)プロテアーゼ、(b)ペクチン及び/又はタマリンドシードガム、及び(c)グリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とするチルド又は冷凍米飯用品質改良剤(特許文献2)、(a)プロテアーゼ及び(b)ペクチン又はタマリンドシードガムを含有することを特徴とするチルド又は冷凍米飯用改良剤(特許文献3)、不揮発性有機酸、冷水可溶性高分子多糖類、還元水あめ及び/又はデキストリンを含有することを特徴とする米飯類の食味改良剤及び米飯類(特許文献4)、特定のプロテアーゼを有効成分とする、もち米を原料とする米飯用品質改良剤(特許文献5)等が開示されている。
【0004】
しかし、これらの技術では、もち米を原料とする米飯に対する食感改良効果は必ずしも十分とはいえず、より実用性があり、効果に富んだ米飯用改良剤に関する技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-252773号公報
【特許文献2】特開2012-034611号公報
【特許文献3】特開2008-245582号公報
【特許文献4】特開2004-159629号公報
【特許文献5】特開2021-108627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、もち米を原料とする米飯の食感を改良することができる米飯用品質改良剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題に対して鋭意検討を行った結果、複数種類のプロテアーゼとエキソマルトテトラオヒドロラーゼを併用することにより、前記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、次の構成から成っている。
(1)下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する、もち米を原料とする米飯用品質改良剤。
(A)チオールプロテアーゼ
(B)アスパルティックプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ及び金属プロテアーゼからなる群から選ばれるいずれか一種以上
(C)エキソマルトテトラオヒドロラーゼ
(2)さらに、水飴を含有する、上記(1)に記載のもち米を原料とする米飯用品質改良剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明の米飯用品質改良剤は、もち米を原料とする米飯の調理時に添加して使用することにより、もち米を原料とする米飯の食感を改良することができる。特に、米粒各々の存在を適度に感じること(粒感)、適度な粘りがあること(もちもち感)、適度な水分を感じること(しっとり感)等の食感を改良することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の米飯用品質改良剤は、もち米を原料とする米飯に用いられ、下記成分(A)、(B)及び(C)を含有する。
(A)チオールプロテアーゼ
(B)アスパルティックプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ及び金属プロテアーゼからなる群から選ばれるいずれか一種以上
(C)エキソマルトテトラオヒドロラーゼ
【0011】
成分(A)として用いられるチオールプロテアーゼは、活性中心にSH基を持つプロテアーゼであり、例えば、パパイン、フィシン、ブロメライン等を挙げることができ、これらのなかでも、パパイン、ブロメラインが好ましく用いられる。
【0012】
チオールプロテアーゼとしては、例えば、スミチームP(商品名;パパイン;酵素活性300U/g;新日本化学工業社製)、スミチームBR(商品名;ブロメライン;酵素活性2000U/g;新日本化学工業社製)等が商業的に販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0013】
成分(B)として用いられるアスパルティックプロテアーゼは、活性中心にアスパラギン酸残基とアスパラギン酸のカルボン酸イオンが関与するプロテアーゼであり、例えば、ペプシン、Aspergillus属等に属する微生物由来の中性又は酸性プロテアーゼ等を挙げることができ、これらのなかでも、Aspergillus属に属する微生物由来の酸性プロテアーゼが好ましく用いられる。
【0014】
アスパルティックプロテアーゼとしては、例えば、スミチームNPL-180(商品名;Aspergillus oryzae由来の酸性プロテアーゼ;酵素活性200000U/g;新日本化学工業社製)、スミチームLPL-G(商品名;Aspergillus oryzae由来の酸性プロテアーゼ;酵素活性500000U/g;新日本化学工業社製)等が商業的に販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0015】
成分(B)として用いられるセリンプロテアーゼは、活性中心にセリン残基をもつプロテアーゼであり、例えば、トリプシン、キモトリプシン、ズブチリシン、Streptomyces属、Aspergillus属又はBacillus属等に属する微生物由来の弱アルカリ性又はアルカリ性プロテアーゼ、アルカラーゼ、ビオプラーゼ等を挙げることができ、これらのなかでも、Aspergillus属に属する微生物由来の弱アルカリ性プロテアーゼが好ましく用いられる。
【0016】
セリンプロテアーゼとしては、例えば、スミチームMP(商品名;Aspergillus melleus由来のアルカリ性プロテアーゼ;酵素活性130000U/g;新日本化学工業社製)等が商業的に販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
【0017】
成分(B)として用いられる金属プロテアーゼは、金属が触媒作用に関連しているプロテアーゼであり、例えば、Bacillus属、Streptomyces属又はAspergillus属等に属する微生物由来の中性プロテアーゼ、サモアーゼ等を挙げることができ、これらのなかでも、Bacillus属又はAspergillus属に属する微生物由来の中性プロテアーゼが好ましく用いられる。
【0018】
金属プロテアーゼとしては、例えば、オリエンターゼ90N(商品名;Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼ;酵素活性900000U/g;エイチビィアイ社製)等が商業的に販売されており、本発明ではこれを用いることができる。
【0019】
なお、商業的に販売されている上記成分(A)及び(B)のプロテアーゼの商品には、主体とするプロテアーゼ以外に他のプロテアーゼを少量含有するものもある。本発明の米飯用品質改良剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、このようなプロテアーゼの商品を用いても良い。
【0020】
成分(C)として用いられるエキソマルトテトラオヒドロラーゼは、澱粉を基質として、α-1,4-D-グルコシド結合を非還元末端から4分子のグルコースからなるマルトテトラオース単位に加水分解するエキソ型の酵素であり、その由来に特に制限はないが、微生物(例えば、Bacillus属、Pseudomonas属等)由来のものが好ましく用いられる。
【0021】
エキソマルトテトラオヒドロラーゼとしては、例えば、POWERFRESH S8100(商品名;Bacillus licheniformis由来;酵素活性100U/g;ダニスコジャパン社製)、デナベイクEXTRA(商品名;Pseudomonas stutzeri由来;酵素活性6500U/g;ナガセケムテックス社製)等が商業的に販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0022】
本発明の米飯用品質改良剤に、さらに水飴を含有させた米飯用品質改良剤も本発明の形態の一つである。
【0023】
本発明に用いられる水飴は、澱粉を酸、酵素等により分解して得られる澱粉分解物のうち、デキストロース当量(DE値)が、通常、20~40、好ましくは27~38のものをいう。水飴として、水飴を還元して得られる還元水飴を用いても良い。水飴は、液体状、ペースト状の形態の他、これを粉末化した粉末状の形態のもの(粉飴)であっても良い。水飴の原料澱粉は、特に制限はなく、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉等を挙げることができる。なお、DE値とは、一般には澱粉の分解程度を示す指標であり、澱粉を加水分解したときに生成する澱粉分解物中のブドウ糖等の還元糖の割合を示す。DE値が大きい程、還元糖の含有量が多く、DE値が小さい程、還元糖の含有量が少ないことを示す。DE値は、ウィルシュテッター・シューデル法に従って算出することができる他、商業的に販売されている商品の公称値を採用することができる。
【0024】
水飴としては、例えば、マルデックPH400P(商品名;粉飴;DE値33;昭和産業社製)、SPD(商品名;DE値30;昭和産業社製)等が商業的に販売されており、本発明ではこれらを用いることができる。
【0025】
本発明の米飯用品質改良剤に含まれる成分(A)、(B)及び(C)の含有量に特に制限はないが、例えば、米飯用品質改良剤1g中の成分(A)の含有量は、酵素活性として0.1~30U含まれることが好ましく、0.3~15U含まれることがより好ましく、0.3~3U含まれることがさらに好ましく、0.3~1.5U含まれることが最も好ましく、米飯用品質改良剤1g中の成分(B)の含有量は、酵素活性として200~20000U含まれることが好ましく、1000~10000U含まれることがより好ましく、米飯用品質改良剤1g中の成分(C)の含有量は、酵素活性として0.03~10U含まれることが好ましく、0.1~5U含まれることがより好ましく、0.3~3U含まれることがさらに好ましい。なお、各成分のU(酵素の活性単位)の値は、商業的に販売されている商品の公称値を採用することができる。
【0026】
本発明の米飯用品質改良剤に含まれる水飴の含有量に特に制限はないが、例えば、米飯用品質改良剤100質量%中に水飴を1~50質量%含有することが好ましく、5~30質量%含有することがより好ましく、5~15質量%含有することがさらに好ましい。
【0027】
本発明の米飯用品質改良剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の成分を含有させることができる。このような成分としては、食品用乳化剤、酵素[但し、成分(A)、(B)又は(C)に該当するものを除く]、賦形剤(但し、水飴に該当するものを除く)、有機酸又はその塩、無機酸又はその塩等を挙げることができる。
【0028】
食品用乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等を挙げることができる。グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等を挙げることができる。レシチンとしては、油糧種子又は動物原料から得られるもので、リン脂質を主成分とするものであれば特に制限はなく、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン等の油分を含む液状レシチンから油分を除き乾燥した粉末レシチン、液状レシチンを分別精製した分別レシチン、レシチンを酵素で処理した酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等を挙げることができる。
【0029】
酵素[但し、成分(A)、(B)又は(C)に該当するものを除く]としては、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ等のアミラーゼ、セルラーゼ、グルコシルトランスフェラーゼ等を挙げることができる。
【0030】
賦形剤(但し、水飴に該当するものを除く)としては、ブドウ糖、果糖等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖等の二糖類、デキストリン等の澱粉分解物、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等のマルトオリゴ糖類、ソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール類、アラビアガム、大豆多糖類、タマリンドガム、グァガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、ペクチン等の増粘多糖類、大豆蛋白、小麦蛋白、エンドウ蛋白等の植物性蛋白質又はこれらの分解物、ゼラチン、乳清蛋白等の動物性蛋白質、水溶性ヘミセルロース等の食物繊維、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉等の澱粉、これらの澱粉に酸処理、アルカリ処理、酸化処理、エステル化処理、エーテル化処理、リン酸化処理、架橋処理、加熱処理、α化処理、粉砕処理、酵素処理等を施した加工澱粉等を挙げることができる。
【0031】
有機酸又はその塩としては、酢酸、乳酸等の有機酸又はこれらの塩等を挙げることができ、無機酸又はその塩としては、リン酸、メタリン酸、ポリリン酸等の無機酸又はこれらの塩等を挙げることができる。
【0032】
本発明の米飯用品質改良剤の製造方法は特に制限はなく、自体公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、粉末状の成分(A)、(B)及び(C)を混合した粉末に、必要により水飴、賦形剤を配合し、これを粉末状、顆粒状、錠剤状等に成形してなる乾燥(固形)状態の製剤として調製することができる。
【0033】
本発明の米飯用品質改良剤の使用対象である米飯は、少なくとも原料の一部としてもち米を用いた米(例えば、もち米を好ましくは10~100質量%、より好ましくは50~100質量%含有)を、喫食状態となるように蒸し、又は炊飯等により調理したものをいう。また、米飯には、調味料、具材等を含んでも良く、このような米飯としては、例えば、赤飯、山菜おこわ、五目おこわ等のおこわ等を挙げることができる。また、おにぎり等のように、米飯をさらに加工した成形米飯、米飯を冷凍した冷凍米飯、チルド温度帯(例えば、1~15℃)下で保存したチルド米飯も米飯に含まれる。
【0034】
本発明の米飯用品質改良剤は、米飯の調理時に使用されれば、その使用方法に特に制限はなく、例えば、蒸し器を使用する場合には、米飯用品質改良剤を水に溶解したものをもち米に加えてもち米に吸水させたうえで、水切りをしてから蒸し調理する方法を挙げることができ、炊飯器を使用する場合には、炊飯器にもち米を入れ、そこへ水の一部又は全部に米飯用品質改良剤を溶解したものを加えてもち米に吸水させたうえで、炊飯する方法等を挙げることができる。本発明の米飯用品質改良剤は、もち米を原料とする米飯の調理に使用することにより、比較的短い吸水時間(例えば、5時間以下、4時間以下又は3.5時間以下)であっても、食感改良効果が十分に得られる。
【0035】
本発明の米飯用品質改良剤の添加量は、米飯の種類、米飯中のもち米以外の配合物、もち米に対する加水量等により異なり一様ではないが、もち米100質量部に対し、0.1~1質量部が好ましい。また、米飯用品質改良剤を添加する際に、もち米100gに対し、成分(A)を酵素活性として、好ましくは0.045~0.45U、成分(B)を酵素活性として、好ましくは200~8000U、成分(C)を酵素活性として、好ましくは0.05~1Uとなるよう米飯用品質改良剤の添加量を調整してもよい。また、本発明の米飯用品質改良剤に水飴を含有する場合は、もち米100質量部に対し、水飴を好ましくは0.01~0.3質量部となるよう米飯用品質改良剤の添加量を調整してもよい。
【0036】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【実施例0037】
[米飯用品質改良剤の作製]
(1)原材料
1)チオールプロテアーゼ(商品名:スミチームP;パパイン;酵素活性300U/g;新日本化学工業社製)
2)アスパルティックプロテアーゼ(商品名:スミチームNPL-180;Aspergillus oryzae由来の酸性プロテアーゼ;酵素活性200000U/g;新日本化学工業社製)
3)セリンプロテアーゼ(商品名:スミチームMP;Aspergillus melleus由来のアルカリ性プロテアーゼ;酵素活性130000U/g;新日本化学工業社製)
4)金属プロテアーゼ(商品名:オリエンターゼ90N;Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼ;酵素活性900000U/g;エイチビィアイ社製)
5)エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(商品名:POWERFRESH S8100;Bacillus licheniformis由来;酵素活性100U/g;ダニスコジャパン社製)
6)β-アミラーゼ(商品名:β-アミラーゼ♯1500S;ナガセケムテックス社製)
7)グルコシルトランスフェラーゼ(商品名:グライコトランスフェラーゼ「アマノ」;天野エンザイム社製)
8)水飴(商品名:マルデックPH400P;粉飴;DE値33;昭和産業社製)
9)デキストリン(商品名:パインデックス♯2;DE値11;松谷化学工業社製)
【0038】
(2)米飯用品質改良剤の配合
上記原材料を用いて作製した米飯用品質改良剤1~12の配合組成を表1に示す。このうち、米飯用品質改良剤1~7は本発明の実施例であり、米飯用品質改良剤8~12は比較例である。
【0039】
【表1】
【0040】
(3)米飯用品質改良剤の作製方法
表1に示した原材料(全て粉末状)の配合割合に基づいて、各原材料を均一に混合し、粉末状の米飯用品質改良剤1~12を各100g得た。
【0041】
[おこわの作製と評価]
(1)おこわの作製
もち米(商品名:もち精米;販売者:田島屋)200gに対し、水400gに米飯用品質改良剤1~12のいずれか1.6gを溶解させたものを加え、室温で3時間静置した後、吸水させたもち米をザルへ移して水を切り、蒸し網の上に広げ、スチーマーボックス(型式:K-1DX;アラハタフードマシン社製)で3分間蒸した。これに50gの水を加えて吸水させた後、さらに3分間蒸した。蒸し上がったもち米を食品包装材(寸法:110mm×130mm×15mm)に100gずつ詰め、粗熱をとり、おこわ1~12を得た。また、対照として、米飯用品質改良剤を添加せずに同様に作製し、おこわ13を得た。
【0042】
(2)おこわの評価試験
おこわ1~13について、作製直後及び約20℃の恒温器(型式:K-1DX;アオハタフードマシン社製)内で24時間保存後のそれぞれにおいて食感を評価するため官能試験を行った。
官能試験では、表2に示す評価基準に従い10名のパネラーで評価を行い、評点の平均点を求め、以下の基準に従って記号化した。その結果を表3に示す。なお、「○○○」「○○」「○」を本発明の効果を満足するものとした。
○○○:平均点4.5以上
○○:平均点3.5以上、4.5未満
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
本発明の米飯用品質改良剤1~7(実施例)を添加して得られたおこわ1~7は、作製直後及び24時間保存後において、粒感、もちもち感及びしっとり感の全ての評価項目で「○」以上の結果を得た。特に、水飴を含有する米飯用品質改良剤5~7は、粒感、もちもち感及びしっとり感について、ほとんどの評価項目で「○○○」の結果を得た。これに対し、米飯用品質改良剤8~12(比較例)を添加して得られたおこわ8~12及び対照のおこわ13では、粒感、もちもち感及びしっとり感について、少なくとも1以上の評価項目で「△」以下の結果であり、本発明のものに比べて劣っていた。