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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021735
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】排出装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20240208BHJP
   A01C 7/16 20060101ALI20240208BHJP
   A01M 9/00 20060101ALI20240208BHJP
   B65G 65/48 20060101ALI20240208BHJP
   B65G 65/46 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A01C15/00 E
A01C7/16 P
A01M9/00 Z
B65G65/48 G
B65G65/46 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124784
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐山 和宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 隆太
(72)【発明者】
【氏名】飯田 友樹
【テーマコード(参考)】
2B052
2B054
2B121
3F075
【Fターム(参考)】
2B052BC08
2B052EA02
2B052EB08
2B054AA07
2B054BA01
2B054BB01
2B054DD08
2B121CB09
2B121CB37
2B121EA21
2B121FA20
3F075AA09
3F075BA01
3F075CA02
3F075CA06
3F075CA09
3F075CC05
3F075CD13
(57)【要約】
【課題】ユーザの意図しないところで対象物が排出部から漏れてしまうことを防止可能な排出装置を提供する。
【解決手段】排出装置は、ドローンと共に使用される、対象物を運搬し、排出するための装置である。排出装置は、対象物が排出される排出部26と、排出部26からの対象物の排出を防止可能なシャッタ部27と、シャッタ部27の動作を制御可能な制御部28と、を備えている。そして、制御部28が、ユーザからのシャッタ開放指示を受信した後、シャッタ部27を開放するように制御して、対象物を排出部26から排出するようにされている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンと共に使用される、対象物を運搬し、排出するための排出装置であって、
前記対象物が排出される排出部と、
前記排出部からの前記対象物の排出を防止可能なシャッタ部と、
前記シャッタ部の動作を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部が、ユーザからのシャッタ開放指示を受信した後、前記シャッタ部を開放するように制御して、前記対象物を前記排出部から排出するようにしたことを特徴とする排出装置。
【請求項2】
前記排出部は、
前記対象物の排出速度が制御される第1排出部と、
前記対象物の排出速度が制御されない第2排出部と、を有し、
前記シャッタ部は、前記対象物を、前記第1排出部と前記第2排出部のいずれかに供給する経路を切替え可能な位置に配置されている、請求項1に記載の排出装置。
【請求項3】
前記シャッタ部は、前記ユーザからのシャッタ閉塞指示で、前記対象物が前記第1排出部と前記第2排出部のいずれにも供給されない状態に位置することで、前記排出部からの前記対象物の排出を防止する、請求項2に記載の排出装置。
【請求項4】
前記対象物は、粉粒体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出装置に関する。更に詳細には、本発明は、ドローンと共に使用され、例えば、種籾や粒剤等の農薬、その他ドローンで運搬可能なもの全般(対象物)を運搬し、排出するために用いられる排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排出装置としては、例えば、特許文献1等に開示された種籾直播機が知られている。
特許文献1に開示された種籾直播機は、水田の上を移動する運搬車と、前記運搬車に搭載され、複数の種籾を収容している種籾収容容器と、前記運搬車が水田の上を所定距離だけ移動するごとに前記種籾収容容器に収容されている前記複数の種籾を落下させて水田に播く種籾落下ユニットと、を備えている。
【0003】
ところで、この種の排出装置にあっては、ユーザの意図しないところで種籾(対象物)が排出部から漏れてしまうことが懸念されており、ドローンを用いて上空から排出する場合に特に問題となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-340712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1等には、ユーザの意図しないところで種籾(対象物)が排出部から漏れてしまうことを防止する技術については何ら開示されておらず、かかる技術の開発が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ね、その結果、ユーザの意図しないところで対象物が排出部から漏れてしまうことを防止可能な構成に想到し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、ユーザの意図しないところで対象物が排出部から漏れてしまうことを防止可能な排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る排出装置の構成は、
(1)ドローンと共に使用される、対象物を運搬し、排出するための排出装置であって、
前記対象物が排出される排出部と、
前記排出部からの前記対象物の排出を防止可能なシャッタ部と、
前記シャッタ部の動作を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部が、ユーザからのシャッタ開放指示を受信した後、前記シャッタ部を開放するように制御して、前記対象物を前記排出部から排出するようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の排出装置の上記(1)の構成は、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、上記(1)の構成によれば、ユーザからのシャッタ開放指示が無い限り、シャッタ部が開放されることはなく、排出部からの対象物の排出が防止される。
従って、上記(1)の構成によれば、ユーザの意図しないところで対象物が排出部から漏れてしまうことを防止可能な排出装置を提供することができる。
【0010】
本発明の排出装置の上記(1)の構成においては、以下の(2)~(4)のような構成にすることが好ましい。
【0011】
(2)上記(1)の構成において、前記排出部は、
前記対象物の排出速度が制御される第1排出部と、
前記対象物の排出速度が制御されない第2排出部と、を有し、
前記シャッタ部は、前記対象物を、前記第1排出部と前記第2排出部のいずれかに供給する経路を切替え可能な位置に配置されている。
【0012】
上記(2)の好ましい構成によれば、対象物(例えば、種籾)の排出速度を任意に変更できるため、排出先(水田等)の状況に柔軟に対応することが可能となる。
【0013】
(3)上記(2)の構成において、前記シャッタ部は、前記ユーザからのシャッタ閉塞指示で、前記対象物が前記第1排出部と前記第2排出部のいずれにも供給されない状態に位置することで、前記排出部からの前記対象物の排出を防止する。
【0014】
上記(3)の好ましい構成によれば、ユーザからのシャッタ閉塞指示によって、第1及び第2排出部のいずれにも対象物が供給されなくなるため、制御部がユーザからのシャッタ閉塞指示を受信した後においても、ユーザの意図しないところで対象物が排出部から漏れてしまうことを防止することが可能となる。
【0015】
(4)上記(1)~(3)のいずれかの構成において、前記対象物は、粉粒体である。
粉粒体としては、例えば、種籾や粒剤等の農薬などが挙げられる。
種々の対象物の中でも、特に粉粒体は排出部から漏れやすいが、本発明の排出装置を用いれば、ユーザの意図しない漏れを完全に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの意図しないところで対象物が排出部から漏れてしまうことを防止可能な排出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における排出装置の全体構成を示す正面図
図2】本発明の一実施形態における排出装置の構成部材である種籾送り出し機構の内部構造を示す正面縦断面図
図3】本発明の一実施形態における排出装置の構成部材である、種籾送り出し機構と下段種籾送り出し機構の位置関係、並びに、それらの内部構造を示す正面縦断面図(但し、打ち込み・排出機構の本体部分については省略している)
図4】本発明の一実施形態における排出装置の、移送される種籾(対象物)の経路を示す正面図(正面視右側半分だけ縦断面図で示しているが、図面を見やすくするためにハッチングは省略している)
図5】本発明の一実施形態における排出装置の構成部材である、図1の下段種籾送り出し機構の右側の打ち込み・排出機構の本体部分の内部構造を示す、図1の右側から見た縦断面図(シャッタ部が打ち込み側、自由落下側ともに閉塞している状態)
図6】本発明の一実施形態における排出装置の構成部材である、図1の下段種籾送り出し機構の右側の打ち込み・排出機構の本体部分の内部構造を示す、図1の右側から見た縦断面図((a)はシャッタ部が打ち込み側を開放している状態、(b)はシャッタ部が自由落下側を開放している状態)
図7】本発明の一実施形態における排出装置の構成部材である打ち込み・排出機構の本体部分を、図5の右斜め後方から見た斜視図
図8図7の分解斜視図
図9】本発明の一実施形態における排出装置の、打ち込みモード時におけるシャッタ部及びプロペラ部材の制御方法を示す説明図
図10】本発明の一実施形態における排出装置の、自由落下モード時におけるシャッタ部及びプロペラ部材の制御方法を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好適な実施形態を用いて本発明を更に具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
(排出装置の基本構成)
まず、本発明の一実施形態における排出装置の基本構成について、当該排出装置が「播種機」である場合を例に挙げて、図1図4を参照しながら説明する。従って、本実施形態の排出装置における、運搬し、排出する対象物は、「種籾」である。
【0020】
図1は本実施形態における排出装置の全体構成を示す正面図、図2は当該排出装置の構成部材である種籾送り出し機構の内部構造を示す正面縦断面図、図3は当該排出装置の構成部材である、種籾送り出し機構と下段種籾送り出し機構の位置関係、並びに、それらの内部構造を示す正面縦断面図(但し、打ち込み・排出機構の本体部分については省略している)、図4は当該排出装置の、移送される種籾(対象物)の経路を示す正面図(正面視右側半分だけ縦断面図で示しているが、図面を見やすくするためにハッチングは省略している)である。
なお、図2では、正面視右側の種籾送り出し機構のみを示している。また、図3では、正面視右側の種籾送り出し機構及び下段種籾送り出し機構のみを示している。
【0021】
図1に示す本実施形態の排出装置1は、ドローン2と共に使用される、対象物である種籾を運搬し、排出するための装置(播種機)である。
図1に示すように、排出装置1は、ドローン2に取り付けられる種籾投入機構としてのホッパ3と、2つの種籾送り出し機構4a,4bと、種籾送り出し機構4a,4bの下方にそれぞれ配置された下段種籾送り出し機構15a,15bと、を備えている。ホッパ3は、種籾が貯留され、当該種籾を各種籾送り出し機構4a,4bに投入するためのものである。各種籾送り出し機構4a,4bは、それぞれ、投入された前記種籾を後記第1種籾出口8a(図2図3を参照)まで送り出し、当該種籾を、それぞれ、下段種籾送り出し機構15a,15bに押し出すためのものである。各下段種籾送り出し機構15a,15bは、それぞれ、押し出された前記種籾を後記第2種籾出口17a,18a(図3を参照)まで送り出し、当該種籾を、それぞれ、打ち込み・排出機構23を介して排出するためのものである。
【0022】
図1図3に示すように、正面視右側の種籾送り出し機構4bは、種籾投入口6aを有する継ぎ手6と、一方向型スクリュー7と、第1種籾出口8aを有する押出部8と、一方向型スクリュー7の外周を包囲する円筒状ケーシング9と、を含んでいる。ここで、円筒状ケーシング9の両端縁は、それぞれ、継ぎ手6と押出部8に嵌入固定されている。
このように、種籾送り出し機構4bは、スクリューフィーダーとして構成されている。
【0023】
継ぎ手6は、種籾投入口6a側が狭いテーパ断面を有している。一方向型スクリュー7は、種籾投入口6a側に向かうにつれて外径とピッチ間隔が小さくなる可変外径・可変ピッチ部10と、押出部8を構成する押出スクリュー部14と、可変外径・可変ピッチ部10と押出スクリュー部14との中間に位置する、外径とピッチ間隔が一定である固定ピッチ部11と、を含んでいる。ここで、可変外径・可変ピッチ部10は、固定ピッチ部11に対して着脱可能となっている。また、押出スクリュー部14は、先が拡がった形状に形成されている。
【0024】
一方向型スクリュー7は、継ぎ手6側と押出部8側で着脱可能に軸支され、継ぎ手6の外側端面に設けられたスクリューモータ13によって回転駆動するようにされている。
【0025】
正面視左側の種籾送り出し機構4aは、上記した正面視右側の種籾送り出し機構4bと同一の構造を有し、当該種籾送り出し機構4bと左右対称に配置されている。
【0026】
図1に示すように、ホッパ3の下部には、左右一対の種籾落下口3a,3bが設けられている。また、2つの種籾送り出し機構4a,4bは、水平状態で左右対称に配置されており、ホッパ3の左右一対の種籾落下口3a,3bが、それぞれ、左右の種籾送り出し機構4a,4bの各種籾投入口6aに連結されている(図2を参照)。ここで、左右の種籾送り出し機構4a,4bは、それぞれ、左右一対の連結部材12a,12bを介してホッパ3に固定されている。
【0027】
以上のように、種籾送り出し機構4a,4bの、種籾投入口6aを有する継ぎ手6が、種籾投入口6a側が狭いテーパ断面を有し、種籾送り出し機構4a,4bの一方向型スクリュー7が、種籾投入口6a側に向かうにつれて外径とピッチ間隔が小さくなる可変外径・可変ピッチ部10を含んでいるため、大量の種籾が種籾投入口6aに溜まらないようになり、一方向型スクリュー7の回転速度によらず、種籾の安定移送がスムーズになる。また、一方向型スクリュー7が、外径とピッチ間隔が一定である固定ピッチ部11を含んでいるため、一定スピードで一定量(適正量)の種籾を搬送することが可能となる。
また、可変外径・可変ピッチ部10が、固定ピッチ部11に対して着脱可能となっているため、当該可変外径・可変ピッチ部10を、様々な外径やピッチ間隔のものに交換することができる。そして、その結果、種籾だけでなく、様々な形状・特性の粉粒体に対応させることが可能となり、また、一方向型スクリュー7の回転量に応じて継ぎ手6内への種籾等の粉粒体の取出量を制御することも可能となる。
また、押出スクリュー部14は、先が拡がった形状に形成されているため、固定ピッチ部11によって押出部8に搬送されてきた種籾が滑り落ちやすくなる。そして、これにより、押出部8での種籾の詰まりを防止することが可能となる。
【0028】
図1図3に示すように、正面視右側の下段種籾送り出し機構15bは、中央の種籾入口部16と、左右の種籾出口部17,18と、左側と右側でスクリュー羽根の巻き方向が逆になった両方向型スクリュー19と、当該両方向型スクリュー19の外周を包囲する左右の円筒状ケーシング20,21と、を含んでいる。ここで、左側の円筒状ケーシング20の両端縁は、それぞれ、左側の種籾出口部17と中央の種籾入口部16に嵌入固定されている。また、右側の円筒状ケーシング21の両端縁は、それぞれ、中央の種籾入口部16と右側の種籾出口部18に嵌入固定されている。
このように、下段種籾送り出し機構15bは、スクリューフィーダーとして構成されている。
そして、下段種籾送り出し機構15bは、上記のように両方向型スクリュー19を含んでいるため、種籾を正確に左右に分配することが可能となる。
【0029】
中央の種籾入口部16は種籾入口16aを有し、左右の種籾出口部17,18は、それぞれ、第2種籾出口17a,18aを有している。両方向型スクリュー19は、左右の種籾出口部17,18側で軸支され、左側の種籾出口部17の外側端面に設けられたスクリューモータ22によって回転駆動するようにされている。
正面視右側の下段種籾送り出し機構15bの種籾入口16aには、正面視右側の種籾送り出し機構4bの第1種籾出口8aが連結されている。
【0030】
両方向型スクリュー19は、左右の種籾出口部17,18で、先が拡がった形状に形成されている。これにより、中央の種籾入口部16から左右の種籾出口部17,18に搬送されてきた種籾が滑り落ちやすくなるため、種籾出口部17,18での種籾の詰まりを防止することが可能となる。
【0031】
正面視左側の下段種籾送り出し機構15aは、上記した正面視右側の下段種籾送り出し機構15bと同一の構造を有し、当該下段種籾送り出し機構15bと左右対称に配置されている。そして、正面視左側の下段種籾送り出し機構15aの種籾入口16aには、正面視左側の種籾送り出し機構4aの第1種籾出口8aが連結されている。
【0032】
以上のように構成された排出装置1において、ホッパ3に貯留された種籾は、以下のような経路を辿って左右の下段種籾送り出し機構15a,15bの第2種籾出口17a,18a(打ち込み・排出機構23)から排出(播種)される。
【0033】
すなわち、図4に示すように、ホッパ3に貯留された種籾は、当該ホッパ3の右側の種籾落下口3bから種籾送り出し機構4bの種籾投入口6aを介して継ぎ手6内に投入される(図2図3図4の矢印Aを参照)。図2図4に示すように、継ぎ手6内に投入された種籾は、まず、一方向型スクリュー7の可変外径・可変ピッチ部10によって一方向型スクリュー7の固定ピッチ部11側に送り出され、次いで、当該固定ピッチ部11によって押出部8の押出スクリュー部14側に送り出される(図4の矢印Bを参照)。図2図4に示すように、押出部8の押出スクリュー部14側に送り出された種籾は、当該押出スクリュー部14によって、第1種籾出口8a、種籾入口16aを介して下段種籾送り出し機構15bの種籾入口部16内に押し出される(図4の矢印Cを参照)。図3図4に示すように、下段種籾送り出し機構15bの種籾入口部16内に押し出された種籾は、両方向型スクリュー19によって左右の種籾出口部17,18側に分岐して送り出され(図4の矢印D,Eを参照)、当該左右の種籾出口部17,18の第2種籾出口17a,18a(打ち込み・排出機構23)から排出(播種)される(図4の矢印F,Gを参照)。
【0034】
ホッパ3の左側の種籾落下口3aから種籾送り出し機構4aの種籾投入口6aを介して継ぎ手6内に投入された種籾も、同様の経路を辿って、下段種籾送り出し機構15aの左右の種籾出口部17,18の第2種籾出口17a,18a(打ち込み・排出機構23)から排出(播種)される。
【0035】
左右の下段種籾送り出し機構15a,15bは、それぞれ、左右の種籾送り出し機構4a,4bに着脱可能に取り付けられている。
かかる構成によれば、下段種籾送り出し機構15a,15bを、第2種籾出口17a,18a間の間隔の異なるものに交換することができる。その結果、種籾の植え付け間隔を調整することが可能となる。
【0036】
(打ち込み・排出機構の構成)
次に、本発明が具現化された打ち込み・排出機構の構成について、図5図8をも参照しながら説明する。
【0037】
図5は本実施形態における排出装置の構成部材である、図1の下段種籾送り出し機構の右側の打ち込み・排出機構の本体部分の内部構造を示す、図1の右側から見た縦断面図(シャッタ部が打ち込み側、自由落下側ともに閉塞している状態)、図6は当該打ち込み・排出機構の本体部分の内部構造を示す、図1の右側から見た縦断面図((a)はシャッタ部が打ち込み側を開放している状態、(b)はシャッタ部が自由落下側を開放している状態)、図7は当該打ち込み・排出機構の本体部分を、図5の右斜め後方から見た斜視図、図8図7の分解斜視図である。
【0038】
図1図3図5に示すように、下段種籾送り出し機構15a,15bのそれぞれの左右端部には、打ち込み・排出機構23が設けられている。
図1の最も右側の打ち込み・排出機構23は、種籾出口部18と、当該種籾出口部18の下端に連結された本体部分24と、からなっている。
【0039】
図5図8に示すように、本体部分24には、その上端に開口25が形成されており、本体部分24を種籾出口部18の下端に連結したときに、第2種籾出口18aと開口25が連通するようにされている。また、本体部分24には、開口25の下方に位置して、当該開口25と連通する排出部26が形成されている。排出部26は、対象物である種籾を排出するためのものである。
また、開口25と排出部26との間には、排出部26からの種籾の排出を防止可能なシャッタ部27が設けられている。
また、図1図5に示すように、排出装置1は、シャッタ部27の動作を制御可能な制御部28を備えている。そして、制御部28が、ユーザからのシャッタ開放指示を受信した後、シャッタ部27を開放するように制御して、種籾を排出部26から排出するようにされている。
【0040】
以上説明した本実施形態の排出装置1の構成は、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、かかる構成によれば、ユーザからのシャッタ開放指示が無い限り、シャッタ部27が開放されることはなく、排出部26からの種籾(対象物)の排出が防止される。
従って、かかる構成によれば、ユーザの意図しないところで種籾(対象物)が排出部26から漏れてしまうことを防止可能な排出装置1(播種機)を提供することができる。
【0041】
以下、更に詳細に説明する。
図7図8に示すように、本体部分24は、中央筐体30と、左側の第1蓋体31と、右側の第2蓋体32と、を備えている。
図5図8に示すように、中央筐体30内に形成された排出部26は、互いに上下に平行に延びる、前側の第1排出部26aと、後側の第2排出部26bと、を有している。また、中央筐体30内には、前側の第1排出部26aの前方に位置して、かつ、前側の第1排出部26aに重なった状態で、プロペラ部材29が設けられており、当該プロペラ部材29は、左側の第1蓋体31内に収容された、制御部28により制御される第2モータ35によって時計回りに回転可能となっている(図5図6(a)の矢印Hを参照)。プロペラ部材29は、主として、前側の第1排出部26aから排出される種籾を加速させて(図6(a)の矢印Iを参照)、当該種籾を水田等に打ち込むために用いられる。一方、後側の第2排出部26bから排出される種籾は、そのまま自由落下する(図6(b)の矢印Jを参照)。すなわち、前側の第1排出部26aにおいては、種籾の排出速度が制御され(打ち込みモード)、後側の第2排出部26bにおいては、種籾の排出速度は制御されない(自由落下モード)。なお、この場合、プロペラ部材29の回転速度を調整することにより、第1排出部26aから排出される種籾の排出速度を任意に変更することができる。
【0042】
また、中央筐体30内には、前側の第1排出部26aと後側の第2排出部26bの分岐部(開口25と排出部26との間)に位置して、縦断面略扇状のシャッタ部27が配置されている。シャッタ部27は、は、左側の第1蓋体31内に収容された、制御部28により制御される第1モータ33によって、要(かなめ)部を中心として前後に傾動可能となっている。また、中央筐体30内には、シャッタ部27の前後に位置して、漏れ防止用の一対のばね板34a,34bが逆ハの字状となるように固定されている。
そして、シャッタ部27を後側に傾動させることにより(図5の矢印Kを参照)、種籾出口部18からの種籾(図5図6(a)の矢印Lを参照)を前側の第1排出部26aに供給することができ(図6(a)の矢印Mを参照)、シャッタ部27を前側に傾動させることにより(図5の矢印Nを参照)、種籾出口部18からの種籾(図5図6(b)の矢印Lを参照)を後側の第2排出部26bに供給することができる(図6(b)の矢印Oを参照)。このように、シャッタ部27は、種籾出口部18からの種籾を、前側の第1排出部26aと後側の第2排出部26bのいずれかに供給する経路を切替え可能な位置に配置されている。
【0043】
以上の構成によれば、種籾(対象物)の排出速度を任意に変更できるため、水田等(排出先)の状況に柔軟に対応することが可能となる。
【0044】
なお、図6(b)のように後側の第2排出部26bから種籾を自由落下させる場合であっても、プロペラ部材29を一定時間回転させて(図6(b)の矢印Pを参照)、プロペラ部材29やばね板34aに付着した種籾を前側の第1排出部26aから排出するようにすることが好ましい。
【0045】
また、シャッタ部27は、ユーザからのシャッタ閉塞指示で、種籾が前側の第1排出部26aと後側の第2排出部26bのいずれにも供給されない状態に位置することで(図5の状態)、排出部26からの種籾の排出を防止する。
【0046】
かかる構成によれば、ユーザからのシャッタ閉塞指示によって、第1及び第2排出部26a,26bのいずれにも対象物が供給されなくなるため、制御部28がユーザからのシャッタ閉塞指示を受信した後においても、ユーザの意図しないところで種籾が排出部26から漏れてしまうことを防止することが可能となる。
【0047】
図1の右から2番目の打ち込み・排出機構23は、種籾出口部17と、当該種籾出口部17の下端に連結された本体部分24と、からなっている。当該打ち込み・排出機構23の構造は、上記した図1の最も右側の打ち込み・排出機構23と同一の構造を有するものであるため、その説明は省略する。
【0048】
(排出装置の制御)
次に、本発明の一実施形態における排出装置の動作の制御について、図9図10をも参照しながら説明する。
【0049】
図9は本実施形態における排出装置の、打ち込みモード時におけるシャッタ部及びプロペラ部材の制御方法を示す説明図((a)はシャッタ開放指示を受信する前の基本状態、(b)はシャッタ開放指示を受信した後の状態、(c)はシャッタ閉塞指示の受信時の状態、(d)はシャッタ閉塞指示を受信した後の基本状態)、図10は当該排出装置の、自由落下モード時におけるシャッタ部及びプロペラ部材の制御方法を示す説明図((a)はシャッタ開放指示を受信する前の基本状態、(b)はシャッタ開放指示を受信した後の状態、(c)はシャッタ閉塞指示の受信時の状態、(d)はシャッタ閉塞指示を受信した後の基本状態)である。
なお、図9図10は縦断面図で示しているが、図面を見やすくするためにハッチングは省略している。
【0050】
[打ち込みモード時]
図5図9(a)に示すように、制御部28がユーザからのシャッタ開放指示を受信する前においては、シャッタ部27は、種籾出口部18からの種籾(図5図9(a)の矢印Lを参照)が前側の第1排出部26aと後側の第2排出部26bのいずれにも供給されない状態に位置している(閉塞位置)。
すなわち、排出部26からの種籾の排出が防止された状態となっている。また、第2モータ35(図8を参照)はOFF状態にあり、プロペラ部材29は停止した状態となっている。
従って、制御部28がユーザからのシャッタ開放指示を受信する前においては、ユーザの意図しないところで種籾が排出部26から漏れてしまうことを防止することができる。
【0051】
図5図9(b)に示すように、制御部28は、ユーザからのシャッタ開放指示(開1(打ち込み))を受信した後、第1モータ33(図8を参照)を制御してシャッタ部27を後側に傾動させる(図5図9(b)の矢印Kを参照)。また、制御部28は、第2モータ35(図8を参照)をON状態に制御する。
これにより、種籾出口部18からの種籾(図5図9(b)の矢印Lを参照)が前側の第1排出部26aに供給される(図9(b)の矢印Mを参照)。また、プロペラ部材29が第2モータ35によって時計回りに回転し(図5図9(b)の矢印Hを参照)、前側の第1排出部26aから排出される種籾が加速されて(図9(b)の矢印Iを参照)当該種籾が水田等に打ち込まれる。
【0052】
図5図9(c)に示すように、制御部28は、ユーザからのシャッタ閉塞指示(閉)を受信した後、第1モータ33(図8を参照)を制御してシャッタ部27を閉塞位置に傾動させる(図9(c)の矢印Qを参照)。すなわち、シャッタ部27を、種籾出口部18からの種籾(図5図9(c)の矢印Lを参照)が前側の第1排出部26aと後側の第2排出部26bのいずれにも供給されない状態に位置させる。これにより、排出部26からの種籾の排出が防止された状態となる(図9(d)の基本状態)。
また、制御部28は、第2モータ35(図8を参照)をOFF状態に制御して、プロペラ部材29を停止させる。
従って、制御部28がユーザからのシャッタ閉塞指示を受信した後においても、ユーザの意図しないところで種籾が排出部26から漏れてしまうことを防止することができる。
【0053】
[自由落下モード時]
図5図10(a)に示すように、制御部28がユーザからのシャッタ開放指示を受信する前においては、シャッタ部27は、種籾出口部18からの種籾(図5図10(a)の矢印Lを参照)が前側の第1排出部26aと後側の第2排出部26bのいずれにも供給されない状態に位置している(閉塞位置)。
すなわち、排出部26からの種籾の排出が防止された状態となっている。また、第2モータ35(図8を参照)はOFF状態にあり、プロペラ部材29は停止した状態となっている。
従って、制御部28がユーザからのシャッタ開放指示を受信する前においては、ユーザの意図しないところで種籾が排出部26から漏れてしまうことを防止することができる。
【0054】
図5図10(b)に示すように、制御部28は、ユーザからのシャッタ開放指示(開2(自由落下))を受信した後、第1モータ33(図8を参照)を制御してシャッタ部27を前側に傾動させる(図5図10(b)の矢印Nを参照)。また、制御部28は、第2モータ35(図8を参照)を一定時間ON状態に制御する。
これにより、種籾出口部18からの種籾(図5図10(b)の矢印Lを参照)が後側の第2排出部26bに供給され(図9(b)の矢印Oを参照)、そのまま自由落下する(図10(b)の矢印Jを参照)。また、プロペラ部材29が第2モータ35によって一定時間時計回りに回転し(図10(b)の矢印Pを参照)、プロペラ部材29やばね板34aに付着した種籾を前側の第1排出部26aから排出させる。
【0055】
図5図10(c)に示すように、制御部28は、ユーザからのシャッタ閉塞指示(閉)を受信した後、第1モータ33(図8を参照)を制御してシャッタ部27を閉塞位置に傾動させる(図10(c)の矢印Rを参照)。すなわち、シャッタ部27を、種籾出口部18からの種籾(図5図10(c)の矢印Lを参照)が前側の第1排出部26aと後側の第2排出部26bのいずれにも供給されない状態に位置させる。これにより、排出部26からの種籾の排出が防止された状態となる(図10(d)の基本状態)。
また、制御部28は、第2モータ35(図8を参照)をOFF状態に制御して、プロペラ部材29を停止させる。
従って、制御部28がユーザからのシャッタ閉塞指示を受信した後においても、ユーザの意図しないところで種籾が排出部26から漏れてしまうことを防止することができる。
【0056】
なお、本実施形態においては、運搬し、排出する対象物が種籾(粉粒体)である場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもかかる構成に限定されるものではない。運搬し、排出する対象物は、例えば、粒剤等の農薬などの他の粉粒体であってもよい。また、運搬し、排出する対象物は、粉粒体に限定されるものではなく、ドローンで運搬可能なもの全般を含むものとする。
【0057】
また、本実施形態においては、種籾(対象物)の排出速度を制御する部材としてプロペラ部材29を用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもかかる構成に限定されるものではない。例えば、風圧を利用して、対象物の排出速度を制御するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態においては、いわゆるスクリューフィーダー(種籾送り出し機構4a等)を含む種籾移送装置を基本とした排出装置1を例に挙げて説明した。しかし、本発明は必ずしもかかる構成に限定されるものではない。排出部とシャッタ部と制御部を備えていれば、他の部分の構成は任意である。
【0059】
また、本実施形態においては、ドローン2と共に使用される排出装置1を例に挙げて説明したが、排出装置は、例えば、トラクター等の農機具のアタッチメントとして使用することもできる。
かかる使用態様の排出装置の構成は、
[1]農機具のアタッチメントとして使用される、対象物を運搬し、排出するための排出装置であって、
前記対象物が排出される排出部と、
前記排出部からの前記対象物の排出を防止可能なシャッタ部と、
前記シャッタ部の動作を制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部が、ユーザからのシャッタ開放指示を受信した後、前記シャッタ部を開放するように制御して、前記対象物を前記排出部から排出するようにしたことを特徴とする。
ここで、農機具としては、例えば、歩行型の耕運機、乗用型のトラクターなどが挙げられる。
【0060】
[2]上記[1]の構成において、前記排出部は、
前記対象物の排出速度が制御される第1排出部と、
前記対象物の排出速度が制御されない第2排出部と、を有し、
前記シャッタ部は、前記対象物を、前記第1排出部と前記第2排出部のいずれかに供給する経路を切替え可能な位置に配置されている。
【0061】
[3]上記[2]の構成において、前記シャッタ部は、前記ユーザからのシャッタ閉塞指示で、前記対象物が前記第1排出部と前記第2排出部のいずれにも供給されない状態に位置することで、前記排出部からの前記対象物の排出を防止する。
【0062】
[4]上記[1]~[3]のいずれかの構成において、前記対象物は、粉粒体である。
粉粒体としては、例えば、種籾や粒剤等の農薬などが挙げられる。
【0063】
以上の使用態様の排出装置の構成により得られる作用効果は、上述したものと同じであるため、ここでの説明は省略する。
【符号の説明】
【0064】
1 排出装置
2 ドローン
17,18 種籾出口部
23 打ち込み・排出機構
24 本体部分
25 開口
26 排出部
26a 第1排出部
26b 第2排出部
27 シャッタ部
28 制御部
29 プロペラ部材
30 中央筐体
31 第1蓋体
32 第2蓋体
33 第1モータ
34a,34b ばね板
35 第2モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10