(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002175
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】決済端末
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/22 20120101AFI20231228BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G06Q20/22
G07G1/12 331A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101220
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】馬場 千晶
【テーマコード(参考)】
3E142
5L055
【Fターム(参考)】
3E142CA12
3E142DA07
3E142FA08
3E142GA03
3E142GA06
3E142HA03
3E142KA01
5L055AA51
(57)【要約】
【課題】不正に持ち出された決済端末を利用した決済処理を制限可能な構成を提供する。
【解決手段】決済許可エリアには、当該決済許可エリアを特定可能なエリア情報が記録される近距離無線通信用の記録媒体30が配置される。そして、決済情報が取得された際に、決済処理の実施が許可される決済許可エリアのエリア情報が許可エリア情報として記憶部22に記憶されていると、無線通信部27により記録媒体30からエリア情報が読み取られ、かつ、当該エリア情報が記憶部22に記憶される許可エリア情報に一致する決済可能状態であるか否かについて判定される。そして、決済可能状態であると判定されている状態では、取得された決済情報に応じて決済処理が実施され、決済可能状態であると判定されていない状態では、決済処理が実施されない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の利用エリア内にて決済処理が行われる決済端末であって、
前記所定の利用エリアには、当該所定のエリアを特定可能なエリア情報が記録される近距離無線通信用の記録媒体が配置され、
決済に関する決済情報を取得することで前記決済処理を実施可能な処理部と、
前記記録媒体に記録される前記エリア情報を読み取る無線通信部と、
記憶部と、
前記決済情報が取得された際に、前記決済処理の実施が許可される1又は2以上の前記所定の利用エリアの前記エリア情報が許可エリア情報として前記記憶部に記憶されていると、前記無線通信部により前記記録媒体から前記エリア情報が読み取られ、かつ、当該エリア情報が前記記憶部に記憶される前記許可エリア情報に含まれる決済可能状態であるか否かについて判定する判定部と、
を備え、
前記処理部は、前記判定部により前記決済可能状態であると判定されている状態では、取得された前記決済情報に応じて前記決済処理を実施し、前記判定部により前記決済可能状態であると判定されていない状態では、前記決済処理を実施しないことを特徴とする決済端末。
【請求項2】
前記記録媒体は、当該決済端末が載置される載置面に接着固定されるシート部材によって接着固定されることを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【請求項3】
前記処理部は、前記判定部により前記決済可能状態と判定されてから一定時間経過するまで、前記判定部の判定結果を考慮することなく、取得された前記決済情報に応じて前記決済処理を実施することを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【請求項4】
前記処理部は、当該決済端末の電源オン時に前記判定部にて前記決済可能状態と判定されると、当該決済端末が電源オフになるまで、前記判定部の判定結果を考慮することなく、取得された前記決済情報に応じて前記決済処理を実施することを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【請求項5】
前記処理部は、前記エリア情報に応じて前記決済処理にて決済可能な商品を変更することを特徴とする請求項1に記載の決済端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、現金の代わりに、ICカードなどの決済用記録媒体から読み取った情報や携帯端末に画面表示されるQRコード(登録商標)から読み取った情報に基づいて行う電子決済取引が広く利用されている。このような決済処理を行う場合には、セキュリティ性を高めることが必要であり、このようなセキュリティ性を高めた決済システムに関する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される情報コード読取システムが知られている。
【0003】
この情報コード読取システムでは、携帯端末のタッチパネルに特定用コードが表示された後、そのタッチパネルに対して予め登録された所定の入力情報が入力されると、その所定の入力情報に関連する判定用コードがタッチパネルに表示される。そして、読取装置では、携帯端末に画面表示された特定用コードが読み取られた後、上記所定の入力情報の入力を促すための情報が報知され、この報知後に読み取られた情報が報知された所定の入力情報に関連付けられる判定情報に一致している場合に、認証が成功したとして、サービス利用者に対して所定のサービスが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、QRコード決済のCPM方式では、顧客側が見せたQRコードを店舗側の決済端末にて読み取るため、その顧客に関する顧客ID等の秘匿すべき情報が決済端末に一時的でも蓄積される。そうすると、仮に決済端末が盗難されて使用されてしまうと、その決済端末に蓄積される秘匿情報が漏洩してしまう可能性がある。この問題は、QRコード決済に限らずICカード等を利用した決済などの他の電子決済取引でも同様に生じるため、盗難等を含めた決済端末の不正持ち出しに対する対策を講じる必要がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、不正に持ち出された決済端末を利用した決済処理を制限可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
所定の利用エリア内にて決済処理が行われる決済端末(10)であって、
前記所定の利用エリアには、当該所定のエリアを特定可能なエリア情報が記録される近距離無線通信用の記録媒体(30)が配置され、
決済に関する決済情報を取得することで前記決済処理を実施可能な処理部(21)と、
前記記録媒体に記録される前記エリア情報を読み取る無線通信部(27)と、
記憶部(22)と、
前記決済情報が取得された際に、前記決済処理の実施が許可される1又は2以上の前記所定の利用エリアの前記エリア情報が許可エリア情報として前記記憶部に記憶されていると、前記無線通信部により前記記録媒体から前記エリア情報が読み取られ、かつ、当該エリア情報が前記記憶部に記憶される前記許可エリア情報に含まれる決済可能状態であるか否かについて判定する判定部(21)と、
を備え、
前記処理部は、前記判定部により前記決済可能状態であると判定されている状態では、取得された前記決済情報に応じて前記決済処理を実施し、前記判定部により前記決済可能状態であると判定されていない状態では、前記決済処理を実施しないことを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、所定の利用エリアには、当該所定のエリアを特定可能なエリア情報が記録される近距離無線通信用の記録媒体が配置される。そして、決済情報が取得された際に、決済処理の実施が許可される1又は2以上の所定の利用エリアのエリア情報が許可エリア情報として記憶部に記憶されていると、無線通信部により記録媒体からエリア情報が読み取られ、かつ、当該エリア情報が記憶部に記憶される許可エリア情報に含まれる決済可能状態であるか否かについて判定部により判定される。そして、判定部により決済可能状態であると判定されている状態では、取得された決済情報に応じて決済処理が処理部により実施され、判定部により決済可能状態であると判定されていない状態では、決済処理が実施されない。
【0009】
これにより、決済端末が盗難等されて所定の利用エリアから不正に持ち出されると、無線通信部により記録媒体からエリア情報を読み取れなくなるために、決済可能状態あると判定されずに決済処理が実施されなくなる。また、盗難等された決済端末を異なる利用エリア内に移動させた場合でも、その利用エリアのエリア情報が許可エリア情報に含まれない場合には、決済可能状態であると判定されずに決済処理が実施されなくなる。したがって、不正に持ち出された決済端末を利用した決済処理を制限することができる。
【0010】
請求項2の発明では、記録媒体は、当該決済端末が載置される載置面に接着固定されるシート部材に接着固定されるため、決済端末とともに持ち出そうとしたシート部材を載置面から剥がす際に記録媒体が破損しやすくなる。このため、その破損した記録媒体からエリア情報を読み取れなくなるので、記録媒体まで不正に持ち出そうとした場合でも、不正に持ち出された決済端末を利用した決済処理を制限することができる。
【0011】
請求項3の発明では、判定部により決済可能状態と判定されてから一定時間経過するまで、判定部の判定結果を考慮することなく、取得された決済情報に応じて決済処理が処理部により実施される。これにより、所定の利用エリア内にて1度決済処理が実施されると、一定時間が経過するまでは上記所定の利用エリア外でも決済処理を一時的に実施できるので、セキュリティ性を確保しつつ利便性を向上させることができる。
【0012】
請求項4の発明では、当該決済端末の電源オン時に判定部にて決済可能状態と判定されると、当該決済端末が電源オフになるまで、判定部の判定結果を考慮することなく、取得された決済情報に応じて決済処理が処理部により実施される。これにより、所定の利用エリア内にて決済端末が電源オンされると、電源オフになるまでは上記所定の利用エリア外でも決済処理を一時的に実施できるので、セキュリティ性を確保しつつ利便性を向上させることができる。
【0013】
請求項5の発明では、処理部により、エリア情報に応じて決済処理にて決済可能な商品が変更される。これにより、例えば、第1の利用エリア内ではA関連商品のみ販売し、第2の利用エリア内ではB関連商品のみ販売するなど、決済端末が位置している利用エリアに応じて決済可能な商品を変更することができる。このため、A関連商品のみを販売している業者等とB関連商品のみを販売している業者等とで、決済端末を共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る決済端末を示す斜視図である。
【
図2】決済端末の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図3】第1実施形態において制御部によりなされる決済可否判定処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図4】
図4(A)は、記録媒体がシート部材に接着固定される状態を断面的に示す説明図であり、
図4(B)は、シート部材を剥がす際にこのシート部材とともに記録媒体が破損した状態を断面的に示す説明図である。
【
図5】
図5(A)は、記録媒体がシート部材に接着固定される状態を説明する斜視図であり、
図5(B)は、シート部材を剥がす際にこのシート部材とともに記録媒体が破損した状態を説明する斜視図である。
【
図6】第2実施形態において制御部によりなされる決済可否判定処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】第3実施形態に係る決済端末の概略構成を説明する説明図である。
【
図8】第3実施形態において制御部によりなされる決済可否判定処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明の決済端末を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る決済端末10は、持ち運び可能な電子決済用の端末であって、通常、所定の載置面S上に載置されて使用される。本実施形態では、決済端末10にて利用な決済として、接触式又は非接触式の決済用ICカードを利用した電子決済、QRコードを利用したQRコード決済等が採用されている。
【0016】
図1に示すように、決済端末10は、その外郭を構成する筐体11の前面11aに狭額縁化(狭ベゼル化)されるように大型化された表示画面23aが配置され、筐体11の上面11bに接触式のICカード等が挿入される挿入口12が設けられている。
【0017】
筐体11内には、決済端末10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、半導体メモリ等からなる記憶部22とともに情報処理装置を構成している。記憶部22には、各種の決済処理を実行するためのプログラムや後述する決済可否判定処理を実行するためのプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。
【0018】
また、
図2に示すように、決済端末10は、上述した制御部21及び記憶部22に加えて、表示部23、操作部24、報知部25、撮像部26、無線通信部27、外部インタフェース28などを備えている。表示部23は、例えば、液晶表示器やタッチパネルなどの公知の表示デバイスであって、その表示画面23aの表示内容が制御部21によって制御されるように構成されている。操作部24は、操作ボタン等を有し、制御部21に対して操作ボタン等の操作に応じた操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。報知部25は、LEDなどの発光部やブザー、バイブレータ等を備えており、制御部21による制御によって発光部の発光状態やブザーの鳴動状態、バイブレータの振動等が制御されることで、決済処理の結果等に応じた所定の報知を行うように構成されている。
【0019】
撮像部26は、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成されており、制御部21により制御されて、撮像画像データを制御部21に出力するように構成されている。制御部21は、図略の読取口を介して撮像部26により撮像された決済用のQRコードの画像データを利用してそのQRコードから決済情報等が読み取られることでQRコード決済用の決済処理を行う。
【0020】
無線通信部27は、制御部21により制御されて、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)機能を利用して、表示画面23aにかざされた非接触式のICカード等に記録される決済情報を読み書きするように構成されている。また、無線通信部27は、NFC機能を利用して後述する記録媒体30に記録されたエリア情報を読み取るように構成されている。制御部21は、無線通信部27により非接触式のICカード等から決済情報等が読み取られることで電子決済用の決済処理を行う。
【0021】
制御部21では、上述のように読み取ったQRコードからの決済情報や非接触式のICカードからの決済情報、挿入口12から挿入された接触式のICカードから読み取った決済情報など、決済に関する決済情報を取得することでその決済情報を利用した決済処理が実施される。なお、制御部21は、決済情報を取得することで決済処理を実施可能な「処理部」の一例に相当し得る。
【0022】
外部インタフェース28は、POS端末等の外部機器との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行うように機能する。
【0023】
このように構成される決済端末10は、近距離無線通信用の記録媒体30が設置された所定の載置面S上に載置されて使用される。記録媒体30は、NFCタグであって、固有のエリア情報が記録されるICチップ31及びアンテナ32を備え、載置面Sに接着固定されるシート部材40と載置面Sとの間に介在するようにして載置面Sに設置されている。すなわち、記録媒体30は、上面がシート部材40に貼り付いた状態で下面が載置面Sに接触するようにして、シート部材40と載置面Sとの間に介在している。本実施形態では、記録媒体30の盗難等を防止するため、シート部材40として、無理に剥がそうとするとその部分をきっかけとして破損し易い脆質シールが採用されている。
【0024】
そして、決済端末10の不正利用を防止するため、制御部21にてなされる決済可否判定処理により、記録媒体30を利用して決済端末10が決済処理を実施可能な状態であるか否かについて判定して、決済可能状態であると判定される場合に決済処理が行われる。このため、記録媒体30に記録されるエリア情報が許可エリア情報として予め記憶部22に記憶されており、無線通信部27を利用して記録媒体30から読み取ったエリア情報が記憶部22に記憶される許可エリア情報に一致する場合に、クレジットカード決済や電子マネー決済、QRコード決済などの決済処理が実施可能な決済可能状態であると判定される。すなわち、載置面Sに設置される記録媒体30からエリア情報を読み取り可能なエリアが、決済端末10によって決済処理が実施可能な決済許可エリアとなる。そして、その決済許可エリアには、当該決済許可エリアを特定可能なエリア情報が記録される近距離無線通信用の記録媒体30が配置されることになる。なお、決済許可エリアは、「所定のエリア」の一例に相当し得る。
【0025】
このため、決済端末10を載置面Sに載置した状態や決済端末10を載置面Sから持ち上げた程度の状態では決済処理を実施できる一方で、決済端末10を持ち出したために記録媒体30との距離がエリア情報を読み取れない程度に離れることで決済処理を実施できない状態になる。
【0026】
以下、制御部21にてなされる決済可否判定処理について、
図3に示すフローチャートを参照して詳述する。
操作部24に対してQR決済又は電子決済等を行うための所定の操作がなされることで制御部21により決済可否判定処理が開始されると、
図3のステップS101に示す判定処理にて、決済情報が取得されているか否かについて判定される。ここで、撮像部26により撮像された決済用のQRコードから決済情報等が読み取られているか、無線通信部27により非接触式のICカードから決済情報等が読み取られているか、挿入口12から挿入された接触式のICカードから決済情報等が読み取られていると(S101でYes)、ステップS103に示す判定処理にて、許可エリア情報が記憶部22に記憶されているか否かについて判定される。
【0027】
上述のように許可エリア情報が記憶部22に記憶されていると(S103でYes)、ステップS105に示すエリア情報読取処理がなされ、無線通信部27により記録媒体30からエリア情報を読み取るための処理がなされる。
【0028】
続いて、ステップS107に示す判定処理にて、無線通信部27により記録媒体30からエリア情報が読み取られ、かつ、当該エリア情報が記憶部22に記憶される許可エリア情報に一致する状態(決済可能状態)であるか否かについて判定される。ここで、決済端末10が載置面Sに載置されており、その載置面Sに設置される記録媒体30からエリア情報が読み取られていることから、その読み取ったエリア情報が記憶部22に記憶される許可エリア情報に一致していると、決済可能状態であると判定されて(S107でYes)、ステップS109に示す決済処理がなされ、上述のように取得された決済情報等を利用した決済処理が実施される。なお、上述のように決済可能状態であると判定される場合には、当該決済端末10が決済処理を実施可能な状態であることを報知部25による所定の報知に応じて報知するようにしてもよい。なお、上記ステップS107の判定処理を行う制御部21は、「判定部」の一例に相当し得る。
【0029】
一方、記録媒体30からエリア情報が読み取られない状態が一定時間継続する場合には、決済端末10が持ち出されているため、決済可能状態でないと判定されて(S107でNo)、ステップS111に示すエラー報知処理がなされる。この処理では、報知部25が所定の報知状態になることで、当該決済端末10が決済処理を実施できない状態であることが報知される。なお、この報知では、決済端末10が載置面Sから離されていることに起因して決済処理できない旨を報知してもよいし、単に決済処理できない旨のみを報知してもよい。また、その決済端末10での決済処理が許可された決済許可エリアと異なる他の決済許可エリアのエリア情報が読み取られた場合(読み取ったエリア情報が記憶部22に記憶される許可エリア情報に一致しない場合)にも、決済可能状態でないと判定されて(S107でNo)、上記ステップS111に示すエラー報知処理がなされる。
【0030】
また、許可エリア情報が記憶部22に記憶されていない場合には(S103でNo)、上述したステップS111のエラー報知処理がなされ、許可エリア情報が記憶されていないために、決済処理できない旨が報知される。なお、利用環境等によっては、許可エリア情報が記憶されていないと判定された場合であっても(S103でNo)、許可エリア情報がユーザによって意識的に記憶部22から削除されているとして、エリア情報の読み取りの有無にかかわらず、ステップS109に示す決済処理を実施してもよい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、決済許可エリア(所定のエリア)には、当該決済許可エリアを特定可能なエリア情報が記録される近距離無線通信用の記録媒体30が配置される。そして、決済情報が取得された際に、決済処理の実施が許可される決済許可エリアのエリア情報が許可エリア情報として記憶部22に記憶されていると(S103でYes)、無線通信部27により記録媒体30からエリア情報が読み取られ、かつ、当該エリア情報が記憶部22に記憶される許可エリア情報に一致する決済可能状態であるか否かについて判定される。そして、決済可能状態であると判定されている状態では(S107でYes)、取得された決済情報に応じて決済処理が実施され、決済可能状態であると判定されていない状態では(S107でNo)、決済処理が実施されない。
【0032】
これにより、決済端末10が盗難等されて決済許可エリアから不正に持ち出されると、無線通信部27により記録媒体30からエリア情報を読み取れなくなるために、決済可能状態あると判定されずに決済処理が実施されなくなる。また、盗難等された決済端末10を異なる他の決済許可エリア内に移動させた場合でも、その他の決済許可エリアのエリア情報が許可エリア情報に一致しないことで、決済可能状態であると判定されずに決済処理が実施されなくなる。したがって、不正に持ち出された決済端末10を利用した決済処理を制限することができる。
【0033】
特に、記録媒体30は、
図4(A)及び
図5(A)に示すように、決済端末10が載置される載置面Sに接着固定されるシート部材40に接着固定されている。載置面Sから離れた場所で決済端末10を利用した決済処理を実施するために、決済端末10だけでなく記録媒体30までも盗難等しようとすると、
図4(B)及び
図5(B)に例示するように、決済端末10とともに持ち出そうとしたシート部材40を載置面Sから剥がす際に記録媒体30が破損しやすくなる。このため、その破損した記録媒体30からエリア情報を読み取れなくなるので、記録媒体30まで不正に持ち出そうとした場合でも、不正に持ち出された決済端末10を利用した決済処理を制限することができる。
【0034】
なお、記憶部22には1つのエリア情報が許可エリア情報として記憶されることに限らず、複数のエリア情報が許可エリア情報として記憶されてもよい。この場合には、無線通信部27により記録媒体30から読み取られたエリア情報が記憶部22に記憶される許可エリア情報に含まれる場合に、ステップS107の判定処理にて決済可能状態であると判定することができる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る決済端末について、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、決済可能状態と判定されると一定時間経過するまで記録媒体30を読み取ることなく決済処理を一時的に実施可能とする点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0036】
上記第1実施形態のように決済許可エリア内のみで決済端末10による決済処理を可能とする構成では、一時的に決済端末10を決済許可エリア外に持ち出した際に決済処理を実施できず、利便性が悪いという問題がある。
【0037】
そこで、本実施形態における決済可否判定処理では、決済許可エリア内にて1度決済処理が実施されると、一定時間が経過するまでは上記決済許可エリア外でも決済処理を一時的に実施可能とする。
【0038】
具体的には、
図6に示すフローチャートのように、決済可能状態と判定された最新の時刻を決済可能判定時刻として記憶部22に記憶する(
図6のS113)。そして、決済可能判定時刻の記憶後に開始された決済可否判定処理において、ステップS103にてYesと判定された際に、上記決済可能判定時刻から一定時間(例えば、30s)経過していない場合には(S115でNo)、ステップS107の判定結果を考慮することなく、S109に示す決済処理が実施される。
【0039】
これにより、決済許可エリア内にて1度決済処理が実施されると、一定時間が経過するまでは上記決済許可エリア外でも決済処理を一時的に実施できるので、セキュリティ性を確保しつつ利便性を向上させることができる。
【0040】
本実施形態の変形例として、当該決済端末10の電源オン時に決済可能状態と判定されると、当該決済端末10が電源オフになるまで、決済可能状態であるか否かの判定結果を考慮することなく(記録媒体30を読み取ることなく)、取得された決済情報に応じて決済処理が実施されてもよい。これにより、決済許可エリア内にて決済端末10が電源オンされると、電源オフになるまでは上記決済許可エリア外でも決済処理を一時的に実施できるので、セキュリティ性を確保しつつ利便性を向上させることができる。
【0041】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る決済端末について、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、エリア情報に応じて決済処理にて決済可能な商品が変更される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、それぞれエリアが重ならない複数の決済許可エリアが用意されており、各決済許可エリアでは、それぞれ異なる商品を決済可能としている。各決済許可エリアには、それぞれ固有のエリア情報を記録した記録媒体30が、載置面Sに接着固定されるシート部材40によって接着固定されている。
【0043】
具体的には、
図7に示すように、本実施形態では、「ジュース」を販売する第1の決済許可エリアと、「カレー」を販売する第2の決済許可エリアと、「焼きそば」を販売する第3の決済許可エリアとが用意されている。そして、第1の決済許可エリアでは、第1エリア情報を記録した記録媒体30aがシート部材40aによって載置面Saに接着固定される。また、第2の決済許可エリアでは、第2エリア情報を記録した記録媒体30bがシート部材40bによって載置面Sbに接着固定され、第3の決済許可エリアでは、第3エリア情報を記録した記録媒体30cがシート部材40cによって載置面Sc接着固定される。
【0044】
このため、決済端末10の記憶部22には、第1エリア情報、第2エリア情報及び第3エリア情報を含めた許可エリア情報が予め記憶される。そして、制御部21にてなされる決済可否判定処理では、
図8に示すフローチャートのように、記録媒体30aから第1エリア情報が読み取られたことで決済可能状態であると判定されると(
図8のS103でYes)、取得された決済情報の対象となる購入商品が「ジュース」である場合に、決済対象品であると判定されて(S117でYes)、上記決済情報等を利用した決済処理が実施される(S109)。一方、取得された決済情報の対象となる購入商品が「カレー」又は「焼きそば」である場合には、決済対象品でないと判定されて(S117でNo)、上記エラー報知処理がなされ、決済対象でない商品である旨等が報知部25によって報知される(S111)。すなわち、記録媒体30aから読み取った第1エリア情報に応じて決済処理にて決済可能な商品が「ジュース」に変更される。
【0045】
また、記録媒体30bから第2エリア情報が読み取られたことで決済可能状態であると判定されて(S103でYes)、取得された決済情報の対象となる購入商品が「カレー」である場合には決済対象品であると判定され(S117でYes)、上記購入商品が「ジュース」又は「焼きそば」である場合には決済対象品でないと判定される(S117でNo)。すなわち、記録媒体30bから読み取った第2エリア情報に応じて決済処理にて決済可能な商品が「カレー」に変更される。
【0046】
また、記録媒体30cから第3エリア情報が読み取られたことで決済可能状態であると判定されて(S103でYes)、取得された決済情報の対象となる購入商品が「焼きそば」である場合には決済対象品であると判定され(S117でYes)、上記購入商品が「ジュース」又は「カレー」である場合には決済対象品でないと判定される(S117でNo)。すなわち、記録媒体30cから読み取った第3エリア情報に応じて決済処理にて決済可能な商品が「焼きそば」に変更される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る決済端末10では、記録媒体30から読み取ったエリア情報に応じて決済処理にて決済可能な商品が変更される。これにより、決済端末10が位置している決済許可エリア(利用エリア)に応じて決済可能な商品を変更することができる。このため、上述の例では、「ジュース」を販売している業者等と「カレー」を販売している業者等と「焼きそば」を販売している業者等とで、決済端末10を共用することができる。
【0048】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)制御部21にてなされる決済可否判定処理では、ステップS103以降の処理は、撮像部26により撮像された決済用のQRコードから決済情報等が読み取られているか、無線通信部27により非接触式のICカードから決済情報等が読み取られているか、挿入口12から挿入された接触式のICカードから決済情報等が読み取られていることで実施されることに限らず、上記決済情報等が読み取られる前に実施されてもよい。このような構成では、操作部24に対して決済可否判定処理を開始するための所定の操作がなされると、ステップS103以降の処理を実施した後に決済可能状態であると判定されることで(S107でYes)、上記決済情報の読み取りを待ってからステップS109に示す決済処理を実施してもよい。
【0049】
(2)記録媒体30は、シート部材40によって接着固定されることで載置面Sに設置されることに限らず、他の部材に組み付け等されることで載置面Sに設置されてもよい。また、記録媒体30は、利用環境等によっては、載置面Sに対して着脱可能に設置されてもよい。
【0050】
(3)記録媒体30は、NFC機能を有することで近距離無線通信用の記録媒体として構成されることに限らず、他の機能を有することで近距離無線通信用の記録媒体として構成されてもよく、例えば、近距離無線通信用のRFタグとして構成されてもよい。
【0051】
10…決済端末
21…制御部(処理部,判定部)
22…記憶部
27…無線通信部
30,30a~30c…記録媒体
40,40a~40c…シート部材
S,Sa~Sc…載置面