(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021797
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B05B 15/00 20180101AFI20240208BHJP
【FI】
B05B15/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124887
(22)【出願日】2022-08-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】512314075
【氏名又は名称】▲寧▼波工程学院
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】董升
【テーマコード(参考)】
4D073
【Fターム(参考)】
4D073AA05
4D073BB03
4D073CA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置及び方法を提供する。
【解決手段】温度変化により凹凸が切り替わり、軸方向が直交するように転換される湾曲胴体1と、湾曲胴体を固定支持する固定支持台5とを含む。湾曲胴体の両側に可動棒4が対称に設置され、可動棒の一端は湾曲胴体と回転接続され、もう一端は固定支持台とスライド接続される。湾曲胴体の上表面の中心にT型密封栓3が固定設置され、湾曲胴体の真上に冷却水噴霧装置6が設置され、固定支持台は冷却水噴霧装置と固定接続される。湾曲胴体が下に湾曲して凸状態を呈するとき、T型密封栓の頂部は冷却水噴霧装置の底部噴霧口をちょうど塞ぐ。本発明は温度で作動するスナップスルーを利用して、繰り返し起動、停止を行うことを実現し、胴体が屈曲するエネルギー障壁により、純粋な機械構造を利用して噴霧を実現する。電子制御装置を必要とせず、適用範囲が広い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度変化により凹凸が切り替わり、軸方向が直交するように転換される湾曲胴体と、前記湾曲胴体を固定支持する固定支持台とを含み、前記湾曲胴体の両側に可動棒が対称に設置され、前記可動棒の一端が前記湾曲胴体と回転接続され、もう一端が前記固定支持台とスライド接続され、前記湾曲胴体の上表面の中心にT型密封栓が固定設置され、前記湾曲胴体の真上に冷却水噴霧装置が設置され、前記固定支持台が冷却水噴霧装置と固定接続され、前記湾曲胴体が下に湾曲して凸状態を呈するとき、前記T型密封栓の頂部は前記冷却水噴霧装置の底部噴霧口をちょうど塞ぐことを特徴とする、繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置。
【請求項2】
前記湾曲胴体の上表面に等間隔に分布する縦方向リブがいくつか設置され、前記湾曲胴体の熱膨張係数が縦方向リブの熱膨張係数より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置。
【請求項3】
前記湾曲胴体がアルミニウムであり、前記縦方向リブがステンレスであることを特徴とする、請求項2に記載の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置。
【請求項4】
前記湾曲胴体がヒンジ連結により前記可動棒と接続され、前記湾曲胴体が前記可動棒の端部を中心にして上下に回転することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置。
【請求項5】
前記可動棒及び固定支持台が滑り対偶により接続され、前記可動棒が前記固定支持台に沿って水平に移動することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置。
【請求項6】
前記湾曲胴体が双安定性の円柱面胴体又は鞍に類似した形状の曲面胴体であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置。
【請求項7】
S1、自然な常温下で、湾曲胴体及び縦方向リブは自然に伸びた状態にあり、両側の互いの間に応力はなく、湾曲胴体は自然に下に湾曲した凸状態にあり、このときT型密封栓は湾曲胴体により突き上げられ、T型密封栓の頂部が冷却水噴霧装置の底部噴霧口をちょうど塞ぎ、冷却水噴霧装置は密封状態にある工程と;
S2、温度が上昇したとき、縦方向リブ及び湾曲胴体のいずれにも体膨張が生じ、湾曲胴体の熱膨張係数が縦方向リブの熱膨張係数よりはるかに大きいため、縦方向リブが湾曲胴体を引張する傾向が生じ、この種の温度上昇により蓄積された変形の位置エネルギーが胴体のスナップスルーに必要なエネルギー障壁より大きいとき、湾曲胴体は迅速に上が突出した初期状態から下が凹んだ状態に移行し、同時に湾曲胴体の軸方向が直交するように転換され、湾曲胴体の中心が下に運動し、T型密封栓を下に移動させて冷却水噴霧装置から離脱させ、冷却水噴霧装置が水流を放出し、外部を冷却する工程と;
S3、温度が低下したとき、縦方向リブ及び湾曲胴体は収縮して初期体積を回復し、このとき縦方向リブの湾曲胴体に対する引張が解消され、湾曲胴体の弾性的な回復力の作用下で、湾曲胴体は迅速に下が凹んだ状態から上が突出した初期状態に移行し、同時に湾曲胴体の軸方向は直交するように転換され、湾曲胴体の中心は上に運動し、T型密封栓を上に移動させて再び冷却水噴霧装置の底部噴霧口を塞ぎ、噴霧が停止し、これにより繰り返し起動、停止し、温度によるリアルタイム制御を実現する工程と;
を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置を利用した、繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却噴霧装置の技術分野に関し、特に繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国の都市化の過程に伴い、大量の人工発熱、建築物及び道路などの高蓄熱体、並びに緑地の減少などの要因により、都市では「高温化」が起こり、都市のヒートアイランド現象を形成している。現在、ヒューマンケアの強化に伴い、建築現場、観光地など特定の人口が密集する屋外の場所では、冷却に対する需要が次第に増加している。これらの場所では囲いに噴霧システムを取り付けて、ミストにより冷却する必要がある。同時に、防火消防も冷却分野における重要な需要であり、機能の違いに基づいて、手動制御及び自動制御の2つの形式に分けることができる。システムに警報装置を取り付け、火災が発生したときに自動的に警報を発することができる。自動制御の消防噴霧システムは自動的に噴霧し、さらにその他の消防設備と連動して動作することができるため、効果的に制御し、初期火災を消し止めることができる。しかし、既存の冷却噴霧装置において、1つは電子感応により自動制御するため、対応して回路制御装置が必要であり、これによりコストが高くなる。もう1つは機械原理を利用して作動させるが、たびたび1回限りの作動装置であり、使用コストが増加し、さらに冷却噴霧システムをリアルタイム制御する要求を満たさない。従って、繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置の開発を急ぎ必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置及び方法を提供して、上記問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明は繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置及び方法を提供し、温度変化により凹凸が切り替わり、軸方向が直交するように転換される湾曲胴体と、前記湾曲胴体を固定支持する固定支持台とを含む。前記湾曲胴体の両側に可動棒が対称に設置され、前記可動棒の一端は前記湾曲胴体と回転接続され、もう一端は前記固定支持台とスライド接続される。前記湾曲胴体の上表面の中心にT型密封栓が固定設置され、前記湾曲胴体の真上に冷却水噴霧装置が設置され、前記固定支持台は冷却水噴霧装置と固定接続される。前記湾曲胴体が下に湾曲して凸状態を呈するとき、前記T型密封栓の頂部は前記冷却水噴霧装置の底部噴霧口をちょうど塞ぐ。
【0005】
さらに、前記湾曲胴体の上表面に等間隔に分布する縦方向リブがいくつか設置され、前記湾曲胴体の熱膨張係数は縦方向リブの熱膨張係数より大きい。
【0006】
さらに、前記湾曲胴体はアルミニウムであり、前記縦方向リブはステンレスであることを特徴とする。
【0007】
さらに、前記湾曲胴体はヒンジ連結により前記可動棒と接続され、前記湾曲胴体は前記可動棒の端部を中心にして上下に回転する。
【0008】
さらに、前記可動棒及び固定支持台は滑り対偶により接続され、前記可動棒は前記固定支持台に沿って水平に移動する。
【0009】
さらに、前記湾曲胴体は双安定性の円柱面胴体又は鞍に類似した形状の曲面胴体である。
【0010】
本発明は、上記装置を利用した、繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧方法も開示し、以下の工程を含む。
S1、自然な常温下で、湾曲胴体及び縦方向リブは自然に伸びた状態にあり、両側の互いの間に応力はなく、湾曲胴体は自然に下に湾曲した凸状態にある。このときT型密封栓は湾曲胴体に突き上げられ、T型密封栓の頂部は冷却水噴霧装置の底部噴霧口をちょうど塞ぎ、冷却水噴霧装置は密封状態にある。
S2、温度が上昇したとき、縦方向リブ及び湾曲胴体のいずれにも体膨張が生じる。湾曲胴体の熱膨張係数は縦方向リブの熱膨張係数よりはるかに大きいため、縦方向リブは湾曲胴体を引張する傾向が生じる。この種の温度上昇により蓄積された変形の位置エネルギーが胴体のスナップスルーに必要なエネルギー障壁より大きいとき、湾曲胴体は迅速に上が突出した初期状態から下が凹んだ状態に移行し、同時に湾曲胴体の軸方向が直交するように転換される。湾曲胴体の中心が下に運動し、T型密封栓を下に移動させて冷却水噴霧装置から離脱させ、冷却水噴霧装置は水流を放出し、外部を冷却する。
S3、温度が低下したとき、縦方向リブ及び湾曲胴体は収縮して初期体積を回復する。このとき縦方向リブの湾曲胴体に対する引張が解消され、湾曲胴体の弾性的な回復力の作用下で、湾曲胴体は迅速に下が凹んだ状態から上が突出した初期状態に移行し、同時に湾曲胴体の軸方向は直交するように転換される。湾曲胴体の中心が上に運動し、T型密封栓を上に移動させて再び冷却水噴霧装置の底部噴霧口を塞ぎ、噴霧が停止する。これにより繰り返し起動、停止し、温度によるリアルタイム制御を実現する。
【発明の効果】
【0011】
既存技術と比較して、本発明の利点は次の通りである。本発明は繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置及び方法を初めて開示した。該噴霧装置は温度で作動するスナップスルーを利用して、繰り返し噴霧の起動、停止を行うことを実現する。利点は以下の通りである。
【0012】
1、本発明の装置は主に温度で作動するスナップスルーを利用して、繰り返し起動、停止を行うことを実現し、胴体が屈曲するエネルギー障壁により、純粋な機械構造を利用して噴霧を実現する。電子制御装置を必要とせず、環境の適用範囲が広く、効果は信頼できる。
2、本発明の装置は構造が簡単で、生産コストが低く、構造がコンパクトな特徴を有する。
3、本発明の装置は繰り返し起動、停止を行うことを実現することができ、通常の1回限りの防火噴霧システムと比較して、使用コストがより低い。
【0013】
上記をまとめると、本発明の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置は、効果が信頼でき、適用範囲が広く、構造が簡単で、製造が便利な利点を有する。ある種の意義において、従来の噴霧装置から逸脱し、既存の多数の噴霧装置と比較して、より幅広い応用の余地を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置が閉じた状態の概要図である。
【
図2】
図2は、本発明の繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置が開いた状態の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記目的及び効果を達成するため、本発明が採用した技術的手段及び構造について、図を組み合わせて、本発明の好ましい実施例の特徴及び機能を詳しく説明する。
【実施例0016】
繰り返し起動、停止が可能な胴体の屈曲による冷却噴霧装置は、
図1及び
図2に示すように、凹凸が切り替わり、軸方向が直交するように転換される湾曲胴体1と、湾曲胴体1を固定支持する固定支持台5とを含む。湾曲胴体1の側方に可動棒4が対称に設置され、可動棒4の一端は湾曲胴体1と回転接続され、もう一端は固定支持台5とスライド接続される。湾曲胴体1の上表面の中心にT型密封栓3が固定設置され、湾曲胴体1の真上に冷却水噴霧装置6が設置され、固定支持台5は冷却水噴霧装置6と固定接続される。湾曲胴体1が下に湾曲して凸状態を呈するとき、T型密封栓3の頂部は冷却水噴霧装置6の底部噴霧口をちょうど塞ぐ。
【0017】
本実施例において、湾曲胴体1の上表面に等間隔に分布する縦方向リブ2がいくつか設置される。縦方向リブ2及び湾曲胴体1はいずれも金属材料で製造され、湾曲胴体1の熱膨張係数は縦方向リブ2の熱膨張係数よりはるかに大きい。湾曲胴体1はアルミニウムを選択することができ、縦方向リブ2はステンレスを選択することができる。
【0018】
本実施例において、湾曲胴体1はヒンジ連結により可動棒4と接続され、湾曲胴体1は可動棒4の端部を中心にして上下に回転する。可動棒4及び固定支持台5は滑り対偶により接続され、可動棒4は固定支持台5に沿って水平に移動する。可動棒4及び固定支持台5からなる滑り対偶は、湾曲胴体1のスナップスルー過程でのスペースの需要を保障する。湾曲胴体1は、双安定性の円柱面胴体又は鞍に類似した形状の曲面胴体である。T型密封栓3の頂部表面に、1層のゴム密封パッド(図示せず)が設けられる。冷却水噴霧装置6に採用するのは斐卓社のJBC型噴射ノズルである。
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。いかなる人も本発明の教示の下で行う構造の変更が、いずれも本発明と同じ又は似た技術案を有し、いずれも本発明の保護範囲に属すると理解するべきである。