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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021798
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】伸縮装置およびこれを備える試験装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/14 20060101AFI20240208BHJP
   B06B 1/12 20060101ALI20240208BHJP
   G09B 9/04 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02K7/14 Z
B06B1/12 Z
G09B9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124888
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊 栄生
(72)【発明者】
【氏名】内田 智規
(72)【発明者】
【氏名】保阪 友宏
【テーマコード(参考)】
5D107
5H607
【Fターム(参考)】
5D107AA13
5D107BB09
5H607EE28
5H607EE52
(57)【要約】
【課題】自在継手間の離隔間隔を効果的に伸長および縮小する伸縮装置を搭載するコンパクトに設置可能な試験装置を提供すること。
【解決手段】ベース101および支持台103に連結する十字軸ジョイント11、13間のアクチュエータ10がナット41を回転させてボールねじ軸17を正逆スライドさせて伸縮することで加振を行う加振装置であって、そのベース側とアクチュエータ側との間でX軸21とY軸23を中心に揺動する矩形プレート20を備え、その矩形プレートの内側にボールねじ軸の一端部の移動を拘束することなく収容する空間25が開口している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被連結部材および第2被連結部材の間に介在するように設置され、該第1被連結部材および該第2被連結部材の離隔方向に伸縮して当該離隔間隔を調整する伸縮装置であって、
前記第1被連結部材に連結される第1自在継手と、
前記第2被連結部材に連結される第2自在継手と、
前記第1自在継手に連結されて前記第1被連結部材に対する姿勢を自在に変化可能に支持する装置基部と、
前記第1被連結部材および前記第2被連結部材の離隔方向に延長されて該長手方向にスライド自在に前記装置基部に保持されつつ、該第2被連結部材に対する姿勢を自在に変化可能に当該装置基部の反対側端部を前記第2自在継手に連結されるスライド部材と、
前記スライド部材を長手方向にスライドさせる駆動力を駆動源から受け取って当該スライド部材を長手方向にスライドさせるスライド機構と、
を備えており、
前記第1自在継手および前記第2自在継手の一方あるいは双方は、
前記スライド部材のスライド方向に対する直交方向の回転軸を2組有して当該回転軸部を中心に揺動する揺動部材と、
前記揺動部材の第1回転軸部を回転自在に支持して前記第1被連結部材または前記第2被連結部材に固定される第1軸支持部材と、
前記揺動部材の第2回転軸部を回転自在に支持して前記装置基部に固定または前記スライド部材の該装置基部の反対側端部に固定される第2軸支持部材と、
を有し、
前記揺動部材は、スライドおよび揺動する前記スライド部材の移動を拘束しないように該スライド部材の端部を収容する空間が当該スライド部材の延長方向に開口するように形成されていることを特徴とする伸縮装置。
【請求項2】
前記スライド部材は、断面円形の外周面側に螺旋溝を形成されている螺旋溝構造シャフトに形成されており、
前記スライド機構は、前記螺旋溝構造シャフトの螺旋溝形状を利用して、前記駆動源から受け取る回転駆動力を直線駆動力に変換して当該螺旋溝構造シャフトを軸方向にスライドさせるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮装置。
【請求項3】
前記スライド機構は、前記螺旋溝構造シャフトの螺旋溝形状内に転動自在に収納されているボール群と、前記螺旋溝構造シャフトの外周面に対面する内周面側に前記螺旋溝形状内の前記ボール群を転動自在に収納する螺旋溝形状を形成されて該ボール群の当該収納状態を維持するボールケースと、前記ボールケースを前記螺旋溝構造シャフトの軸方向に位置決めして該螺旋溝構造シャフトの外周周りに回転自在に保持しつつ、前記駆動源から回転駆動力を受け取って当該ボールケースを回転させる駆動力変換機構と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の伸縮装置。
【請求項4】
前記螺旋溝構造シャフトの隣接位置に前記動力源として回転軸を回転させるモータが配置されており、
前記駆動力変換機構は、前記ボールケースおよび前記モータの回転軸のそれぞれに同軸回転するように設置されている一対のプーリにベルトを巻き掛けて該モータの回転駆動力を当該ボールケースに伝達する駆動力変換機構を備えることを特徴とする請求項3に記載の伸縮装置。
【請求項5】
上記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の伸縮装置を少なくとも3組以上設置される試験装置であって、
前記第1被連結部材の基板部材および前記第2被連結部材の天板部材を備え、
前記基板部材および前記天板部材との間の離隔間隔を前記伸縮装置毎に変更して当該基板部材に対する当該天板部材の姿勢を変化させることを特徴とする試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトな構造で必要な伸縮を実現する伸縮装置およびこれを備える試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両端側に具備する自在継手間の離隔間隔を駆動源の駆動力により調整する伸縮装置を複数組利用する試験装置として、例えば、特許文献1に記載のドライビングシミュレータが知られている。
【0003】
このドライビングシミュレータでは、6組の伸縮装置を利用することにより基台(ベース)に対して車両コックピットを支持するトップ側支持台をXYZ方向やピッチ方向、ロール方向およびヨー方向にチルト運動させるなど6自由度の動きを実現するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-33671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような伸縮装置にあっては、支持台側を基台側に対して有効に動作させるには伸縮距離を確保した上で、省スペースと作業性をよくするニーズに対応するために、その支持台側および基台側の面積を小さくし全高を低くする必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、自在継手間の離隔間隔を効果的に伸長および縮小する伸縮装置と共に、コンパクトに設置可能な試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する伸縮装置の発明の一態様は、第1被連結部材および第2被連結部材の間に介在するように設置され、該第1被連結部材および該第2被連結部材の離隔方向に伸縮して当該離隔間隔を調整する伸縮装置であって、前記第1被連結部材に連結される第1自在継手と、前記第2被連結部材に連結される第2自在継手と、前記第1自在継手に連結されて前記第1被連結部材に対する姿勢を自在に変化可能に支持する装置基部と、前記第1被連結部材および前記第2被連結部材の離隔方向に延長されて該長手方向にスライド自在に前記装置基部に保持されつつ、該第2被連結部材に対する姿勢を自在に変化可能に当該装置基部の反対側端部を前記第2自在継手に連結されるスライド部材と、前記スライド部材を長手方向にスライドさせる駆動力を駆動源から受け取って当該スライド部材を長手方向にスライドさせるスライド機構と、を備えており、前記第1自在継手および前記第2自在継手の一方あるいは双方は、前記スライド部材のスライド方向に対する直交方向の回転軸を2組有して当該回転軸部を中心に揺動する揺動部材と、前記揺動部材の第1回転軸部を回転自在に支持して前記第1被連結部材または前記第2被連結部材に固定される第1軸支持部材と、前記揺動部材の第2回転軸部を回転自在に支持して前記装置基部に固定または前記スライド部材の該装置基部の反対側端部に固定される第2軸支持部材と、を有し、前記揺動部材は、スライドおよび揺動する前記スライド部材の移動を拘束しないように該スライド部材の端部を収容する空間が当該スライド部材の延長方向に開口するように形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記課題を解決する試験装置の発明の一態様は、上記の伸縮装置を少なくとも3組以上設置される試験装置であって、前記第1被連結部材の基板部材および前記第2被連結部材の天板部材を備え、前記基板部材および前記天板部材との間の離隔間隔を前記伸縮装置毎に変更して当該基板部材に対する当該天板部材の姿勢を変化させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明の一態様によれば、自在継手の揺動部材の開口空間内に端部側が収容されるまでスライド部材をスライドさせることができ、従来にはスライド部材の長さに自在継手の大きさが加算されていたのをその開口空間内へのスライド移動分だけ自在継手間の離隔間隔を縮小することができるとともに、そのスライド部材の端部を揺動部材の開口空間内から離脱させてスライドさせることで従来と同様の自在継手間の離隔間隔を確保することができる。
【0010】
したがって、伸縮装置の自在継手間の離隔間隔を効果的に縮小しつつ伸長させることができ、その伸縮装置を利用して試験装置をコンパクトに設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る伸縮装置を搭載する試験装置の一例である加振装置の外観を示す斜視図である。
図2図2は、その加振装置を示す正面図である。
図3図3は、その伸縮装置を示す駆動源との並列方向と平行な一部縦断面図である。
図4図4は、その伸縮装置を示す図であり、(a)は図3と直交する方向と平行な一部縦断面図、(b)は(a)における伸縮装置の自在継手のIVb-IVb断面図である。
図5図5は、その伸縮装置の自在継手の揺動部材を示す斜視図である。
図6図6は、その伸縮装置の非揺動時の自在継手を示す図であり、(a)は一方向と平行な一部縦断面図、(b)は(a)と直交する方向と平行な一部縦断面図である。
図7図7は、その伸縮装置の揺動時の自在継手を示す図であり、(a)は一方向と平行な一部縦断面図、(b)は(a)と直交する方向と平行な一部縦断面図である。
図8図8は、その加振装置による作用効果を説明する図であり、(a)はその平面モデル図、(b)はその正面モデル図である。
図9図9は、その加振装置と比較する従来の加振装置を示す図であり、(a)はその平面モデル図、(b)はその正面モデル図である。
図10図10は、その加振装置による作用効果を示すために、動作時の状態を複数並置する従来の加振装置との比較正面モデル図である。
図11図11は、その従来の加振装置を示す一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1図11は本発明の一実施形態に係る伸縮装置を搭載する試験装置の一例である加振装置を説明する図である。
【0013】
図1および図2において、加振装置(試験装置)100は、ドライビングシミュレータの一部分を構成するヘキサポッドとして機能するように構成されており、試験室などに設置されるベース(基板部材、基台、第1被連結部材)101およびその上方にドライビングシミュレータのコックピットなどを固定する支持台(天板部材、第2被連結部材)103の間に6組のアクチュエータ(伸縮装置)10が介在して個々に支持するように配置されて構成されている。加振装置100は、6組のアクチュエータ10がドライビングシミュレータのホストコンピュータ(不図示)からの制御信号に従ってそれぞれ伸縮動作して設置箇所間の離隔間隔を調整することによってベース101に対して支持台103をXYZ方向やピッチ方向、ロール方向およびヨー方向にチルト運動させるなど6自由度の動きを実現するようになっている。ここで、本実施形態では、6組のアクチュエータ10を備える加振装置100を一例に説明するが、これに限るものではなく、例えば、3組以上のアクチュエータ10を備えることで、ベースに対して支持台を変位可能に支持することができることは言うまでもない。
【0014】
この加振装置100は、ベース101および支持台103の概略中心を共通にして対面する三角形101T、103Tの頂角付近101Ta、103Ta(図8を参照)の支持ブロック101B、103Bに2組のアクチュエータ10の両端部10eを連結して支持する構造に作製されている。この加振装置100は、ベース101の三角形101Tに対して支持台103の三角形103Tを60°回転(図8を参照)させた位置関係になるように作製されており、そのうちの1つの頂角付近101Ta、103Taから正逆回転方向に隣接する頂角付近101Ta、103Taとの間に介在するように2組毎のアクチュエータ10の両端部10eを支持ブロック101B、103Bに設置して、6組のアクチュエータ10のそれぞれをベース101および支持台103の間に配置している。これによって、この加振装置100は、ベース101に対して支持する支持台103を6組のアクチュエータ10の両端部10eの間の離隔間隔をそれぞれ調整することで所望の姿勢かつ安定した状態に変更したり加振するなどしつつ支持することができるようになっている。
【0015】
そして、アクチュエータ10は、図3および図4に示すように、ベース101の支持ブロック101Bには十字軸ジョイント(第1自在継手)11を設置して装置基部15がそのベース101に対する姿勢を自在に変化可能に支持されており、支持台103の支持ブロック103Bには十字軸ジョイント(第2自在継手)13を設置して装置基部15に長手方向にスライド自在に保持されているボールねじ軸(スライド部材)17の上端部17eがその支持台103に対する姿勢を自在に変化可能に支持されている。言い換えると、アクチュエータ10は、支持台103のベース101に対する姿勢を自在に変化可能に支持している。
【0016】
ベース101側の十字軸ジョイント11は、図5に示すように、矩形プレート20の一方の両平行側面20aの中央から一対のX軸21が突出するとともに、その矩形プレート20の他方の両平行側面20bの中央から一対のY軸23が突出する形状に作製されており、一対のX軸21は、ベース101上面に図中X軸方向に離隔して立設されている一対の軸受け(第2軸支持部材)27内のベアリング27bに回転自在に軸支されているとともに、一対のY軸23は、装置基部15下面に図中Y軸方向に離隔して立設されている一対の軸受け(第1軸支持部材)29内のベアリング29bに回転自在に軸支されている。
【0017】
これにより、加振装置100は、ベース101および装置基部15のそれぞれの軸受け27、29が十字軸ジョイント11(矩形プレート20)のX軸21およびY軸23を回転自在に保持することによって、ベース101に対して矩形プレート20が揺動部材として機能してアクチュエータ10の装置基部15の姿勢を自在に変化可能に支持することができる。
【0018】
支持台103側の十字軸ジョイント13は、十字軸ジョイント11と同様に、十字部材30の一対のX軸31が支持台103下面のX軸方向に離隔して立設されている一対の軸受け37内のベアリング37bに回転自在に軸支されているとともに、その十字部材30の一対のY軸33がボールねじ軸17の上端部17eのY軸方向に離隔して立設されている一対の軸受け39内のベアリング39bに回転自在に軸支されている。
【0019】
これにより、加振装置100は、支持台103およびボールねじ軸17のそれぞれの軸受け37、39が十字軸ジョイント13(十字部材30)のX軸31およびY軸33を回転自在に保持することによって、支持台103に対して十字部材30が揺動してアクチュエータ10のボールねじ軸17の姿勢を自在に変化可能に支持することができ、言い換えると、アクチュエータ10のボールねじ軸17に対して支持台103の姿勢を自在に変化可能に支持することができる。
【0020】
ここで、本実施形態の加振装置100では、アクチュエータ10のベース101側の十字軸ジョイント11のみに矩形プレート20を配置する場合を一例として説明するが、これに限るものではなく、支持台103側の十字軸ジョイント13に代えて配置してもよく、あるいは、これらの双方に配置するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0021】
装置基部15は、ボールねじ軸17と共に、ロータリーボールねじ40(例えば、THK株式会社製)を構成するナット(ボールケース)41を相対回転自在に一端部側で保持する筐体部材15aを備えており、この筐体部材15aの反対側の他端部にベース101側の十字軸ジョイント11のY軸23を回転自在に保持する軸受け29がベース101側に突出する形態で形成されている。
【0022】
ロータリーボールねじ40は、ベース101側の装置基部15の筐体部材15aに回転自在にナット41が保持されており、支持台103側では十字部材30のY軸33を回転自在に保持する軸受け37が上端部17eの支持台103側に突出形態で形成されていて、ボールねじ軸17がそのナット41内にスライド自在に保持されて構成されている。
【0023】
このロータリーボールねじ40は、図示することを省略するが、ボールねじ軸(螺旋溝構造シャフト)17の外周面およびナット41の内周面に複数のボール(ボール群)を転動可能に収納する螺旋状のネジ溝(螺旋溝)形状が形成されており、ボールねじ軸17およびナット41の一方が他方に対して相対回転することにより螺旋溝が収容するボールを一方向に押し出して、そのボールねじ軸17およびナット41の他方が反対方向にスライドするように構成されている。
【0024】
また、アクチュエータ10は、ベース101側の装置基部15に回転自在に保持されているロータリーボールねじ40のナット41(ボールねじ軸17)と駆動回転軸が平行姿勢になるようにサーボモータ(駆動源)49が併設されており、この装置基部15は、そのサーボモータ49の駆動回転軸に同軸に一体回転するように固定されているプーリ43と、そのナット41に同軸に一体回転するように固定されているプーリ45と、これら一対のプーリ43、45に巻き掛けられてサーボモータ49の駆動回転力をナット41に伝達するベルト47と、を備えて駆動力変換機構として機能するようになっている。
【0025】
これにより、アクチュエータ10は、サーボモータ49を駆動制御してロータリーボールねじ40のナット41を正逆回転させることによってボールねじ軸17を正逆方向にスライドさせることができ、ベース101側の装置基部15(ナット41)に対して支持台103側に向けてボールねじ軸17を進退させて全長を伸縮させることができる。
【0026】
このとき、アクチュエータ10は、全長の伸縮に応じて両端側の十字軸ジョイント11、13がベース101および装置基部15(ロータリーボールねじ40のナット41)と、支持台103およびロータリーボールねじ40のボールねじ軸17の上端部17eとを、これらの相対的な姿勢を自在に変化可能に支持して、加振装置100として機能して6自由度の傾斜や加振の動作を実現することができる。
【0027】
ここで、本実施形態の加振装置100では、ロータリーボールねじ40を搭載してボールねじ軸17を長手方向に回転させることなく軸方向にスライドさせるスライド機構を搭載する場合を一例に説明するが、これに限るものではなく、例えば、ボールねじ軸17を外周面に雄ネジ(螺旋溝形状)の形成されている雄ネジシャフト(螺旋溝構造シャフト)に代えるとともに、その雄ネジに螺合する雌ネジ(螺旋溝形状)を内周面に形成されている雌ネジナットを回転自在に保持することによって、その雄ネジシャフトを正逆回転させつつ進退方向にスライドさせるスライド機構を採用することもできる。
【0028】
そして、このアクチュエータ10は、図5に示すように、矩形プレート20の平行側面20a、20bの内側に概略平行な内周面20iを有するように大きく開口する収容空間25が形成されており、この矩形プレート20は、図6に示すように、ロータリーボールねじ40のナット41の相対回転に応じて上下方向にスライドするボールねじ軸17のベース側101側端部の移動が拘束されることなく収容空間25内に進入することを許容する。
【0029】
特に、矩形プレート20は、図7(a)に示すように、一対のX軸21を回転自在に支持する装置基部15の軸受け27と一体に、ベース101側の軸受け29に回転自在に支持されているY軸23を中心に正逆回転するので、その一対のX軸21間の収容空間25の内周面20i間を広く確保する必要はなく、そのままボールねじ軸17がその収容空間25の内周面20iに接触することはない。
【0030】
また、この矩形プレート20は、図7(b)に示すように、ベース101側に設置されている軸受け29に一対のY軸23が回転自在に支持されて、装置基部15の軸受け27と一体に、ボールねじ軸17のベース側101側端部が収容空間25内で揺動するので、その一対のY軸23間の収容空間25の内周面20i間をその揺動分だけ広く確保する必要がある。要するに、矩形プレート20は、装置基部15の軸受け27と一体に揺動するボールねじ軸17のベース側101側端部の移動が拘束されることなく、収容空間25の内周面20iに接触してしまうことがないように作製されている。すなわち、支持台103側の十字軸ジョイント13は、十字部材30を利用する所謂、汎用のユニバーサルジョイントに構成されているのに対して、ベース101側の十字軸ジョイント11は、収容空間25が形成されてX軸21およびY軸23を有する矩形プレート20を利用する中空十字軸ジョイントに構成されて、ロータリーボールねじ40のボールねじ軸17のベース101側端部を、そのボールねじ軸17の延長方向に開口する内側の収容空間25内に揺動自在に収容することができるように作製されている。
【0031】
これにより、アクチュエータ10は、図8に示すように、十字軸ジョイント11が連結されて支持台103を支持するとともに、ベース101に連結される十字軸ジョイント13がロータリーボールねじ40のボールねじ軸17のベース101側端部を矩形プレート20の収容空間25内まで移動(進入)することを許容することができる。
【0032】
このため、加振装置100は、図11に示す従来のアクチュエータ210が介在してベース201に対する姿勢を変化自在になるように支持台203を支持する加振装置200(図9を参照)よりもコンパクトな構造にすることができ、加振装置100のベース101および支持台103も、加振装置200のベース201および支持台203よりも小面積にして必要な設置スペースもコンパクトにすることができる。
【0033】
ここで、従来のアクチュエータ210は、簡単に説明すると、図11に示すように、本実施形態の十字軸ジョイント11と同様の構造に作製されている十字軸ジョイント211、213が連結されてベース201に対して支持台203の姿勢を変化自在に支持するようになっている。このアクチュエータ210は、ロータリーボールねじ240が基部本体215に固定されているナット241に回転自在に軸支されているボールねじ軸217をプーリ243、245およびベルト247を介して伝達されるサーボモータ249の回転駆動力で回転させて上下動させることによって、十字軸ジョイント211、213の離隔間隔を変化させて、ベース201に対する支持台203の姿勢を変化させるようになっている。
【0034】
したがって、例えば、ドライビングシミュレータの一部を構成するヘキサポッドとして機能する際には、図10に示すように、試験対象を支持する支持面が静止時(Na、Nb)の高さHnを中心にして下位(Ba、Bb)の高さHbから高位(Ta、Tb)の高さHtまでの間で振動等させる試験条件の場合、従来の加振装置200では大面積のベース201および支持台203の設置面積とともに高さ方向のスペースも確保する必要があるのに対して、本実施形態の加振装置100ではベース101および支持台103の設置面積と共に高さ方向のスペースもコンパクトに縮小することができる。
【0035】
このように、本実施形態のアクチュエータ10を搭載する加振装置100にあっては、ロータリーボールねじ40のボールねじ軸17のベース101側端部を十字軸ジョイント11の矩形プレート20の収容空間25内まで移動させることができ、従来のアクチュエータ200と同等の機能を備える場合でも、コンパクトな構造にしても、設置場所もコンパクトにすることができる。
【0036】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により特定される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって特定され得る。
【符号の説明】
【0037】
10……アクチュエータ(伸縮装置)
11……十字軸ジョイント(第1自在継手)
13……十字軸ジョイント(第2自在継手)
15……装置基部
15a……筐体部材
17……ボールねじ軸(スライド部材)
20……矩形プレート(揺動部材)
20i……内周面
21……X軸
23……Y軸
25……収容空間
27、29……軸受け
30……十字部材
41……ナット
43、45……プーリ
47……ベルト
49……サーボモータ
100……加振装置
101……ベース(基板部材、基台、第1被連結部材)
103……支持台(天板部材、第2被連結部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11