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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021803
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】燃料噴射制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/32 20060101AFI20240208BHJP
   F02B 43/00 20060101ALI20240208BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F02D41/32
F02B43/00 Z
F02M21/02 S
F02M21/02 301F
F02M21/02 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124894
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100192511
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 晃史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】菰田 孝夫
【テーマコード(参考)】
3G301
【Fターム(参考)】
3G301HA22
3G301JA11
3G301LB01
3G301MA12
3G301MA27
3G301ND02
3G301NE01
3G301PA01Z
3G301PA07Z
3G301PB08Z
3G301PE01Z
(57)【要約】
【課題】亜音速で燃料が噴射される運転領域においても、気体状態の燃料を燃料噴射弁で適切に噴射させることができる燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】燃料噴射制御装置100は、LPガスエンジンの吸気通路に設けられ、LPガスエンジンの吸気量に関する検出値を取得する吸気量センサ2と、燃料配管に設けられ、気体状態の燃料を噴射するインジェクタ5と、燃料配管のインジェクタ5よりも上流側の圧力である噴射前圧力を取得する噴射前圧力取得部12と、インジェクタ5により燃料が噴射される空間の圧力である噴射後圧力を取得する噴射後圧力取得部13と、吸気量センサ2の検出値と噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、インジェクタ5が燃料を亜音速で噴射する場合に、インジェクタ5が燃料を音速で噴射する場合と比べて長い噴射時間でインジェクタ5に燃料を噴射させる燃料制御部14と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関への燃料の供給量を制御する燃料噴射制御装置であって、
前記内燃機関の吸気通路に設けられ、前記内燃機関の吸気量に関する検出値を取得する吸気量検出部と、
前記燃料の供給路に設けられ、気体状態の前記燃料を噴射する燃料噴射弁と、
前記供給路の前記燃料噴射弁よりも上流側の圧力である噴射前圧力を取得する噴射前圧力取得部と、
前記燃料噴射弁により前記燃料が噴射される空間の圧力である噴射後圧力を取得する噴射後圧力取得部と、
前記吸気量検出部の検出値と前記噴射前圧力と前記噴射後圧力とに基づいて、前記燃料噴射弁が前記燃料を亜音速で噴射する場合に、前記燃料噴射弁が前記燃料を音速で噴射する場合と比べて長い噴射時間で前記燃料噴射弁に前記燃料を噴射させる燃料制御部と、を備える、燃料噴射制御装置。
【請求項2】
前記燃料制御部は、
前記吸気量検出部の検出値に基づいて、前記燃料噴射弁の単位噴射回数当たりの前記燃料の噴射量である単位噴射量を算出し、
前記噴射前圧力と前記噴射後圧力とに基づいて、前記単位噴射量の前記燃料を噴射するための噴射時間である噴射換算時間を算出し、
前記単位噴射量と前記噴射換算時間とを乗算した噴射時間に基づいて前記燃料噴射弁に前記燃料を噴射させる、請求項1記載の燃料噴射制御装置。
【請求項3】
前記燃料制御部は、前記吸気量検出部の検出値と前記内燃機関の回転数とに基づいて、前記単位噴射量を算出する、請求項2記載の燃料噴射制御装置。
【請求項4】
前記燃料制御部は、
前記噴射前圧力と前記噴射後圧力とが所定の基準条件であるときの前記噴射換算時間である基準噴射換算時間を算出し、
前記燃料噴射弁が噴射する前記燃料の質量流量と前記噴射前圧力と前記噴射後圧力とに基づいて、前記基準噴射換算時間に対する比率であって前記基準条件以外の前記噴射前圧力と前記噴射後圧力とに対応する前記噴射換算時間を算出するための前記比率である換算比率を算出し、
前記単位噴射量と前記基準噴射換算時間と前記換算比率とに基づいて算出した噴射時間で前記燃料噴射弁に前記燃料を噴射させる、請求項2又は3記載の燃料噴射制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴射制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料噴射制御装置に関する技術として、例えば特許文献1には、燃焼室に気体燃料を直接噴射するインジェクタを具備するエンジンの制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-345884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気体状態の燃料を燃料噴射弁が噴射する内燃機関においては、燃料噴射弁の位置で燃料を気体状態としておく制約があることから、燃料噴射弁の上流側の圧力には一定の上限がある。そのため、燃料噴射弁の上流側及び下流側の圧力との関係によっては、燃料噴射弁が燃料を音速よりも低速な亜音速で噴射する運転領域が存在することがある。この場合、例えば互いに等しい噴射時間で燃料を噴射したのでは、亜音速での燃料の噴射量は音速での燃料の噴射量よりも減少してしまう。
【0005】
本発明は、亜音速で燃料が噴射される運転領域においても、気体状態の燃料を燃料噴射弁で適切に噴射させることができる燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る燃料噴射制御装置は、内燃機関への燃料の供給量を制御する燃料噴射制御装置であって、内燃機関の吸気通路に設けられ、内燃機関の吸気量に関する検出値を取得する吸気量検出部と、燃料の供給路に設けられ、気体状態の燃料を噴射する燃料噴射弁と、供給路の燃料噴射弁よりも上流側の圧力である噴射前圧力を取得する噴射前圧力取得部と、燃料噴射弁により燃料が噴射される空間の圧力である噴射後圧力を取得する噴射後圧力取得部と、吸気量検出部の検出値と噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、燃料噴射弁が燃料を亜音速で噴射する場合に、燃料噴射弁が燃料を音速で噴射する場合と比べて長い噴射時間で燃料噴射弁に燃料を噴射させる燃料制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る燃料噴射制御装置では、吸気量に応じた量の燃料を燃料噴射弁が噴射するにあたり、噴射前圧力及び噴射後圧力に基づいて、亜音速で噴射する場合には音速で噴射する場合と比べて長い噴射時間で燃料噴射弁に燃料を噴射させる。これにより、例えば亜音速での噴射と音速での噴射とで互いに等しい噴射時間で燃料噴射弁を動作させる場合と比べて、亜音速での燃料の噴射量が音速での燃料の噴射量よりも減少することを抑制することができる。したがって、本発明の一態様に係る燃料噴射制御装置によれば、亜音速で燃料が噴射される運転領域においても、気体状態の燃料を燃料噴射弁で適切に噴射させることができる。
【0008】
一実施形態において、燃料制御部は、吸気量検出部の検出値に基づいて、燃料噴射弁の単位噴射回数当たりの燃料の噴射量である単位噴射量を算出し、噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、単位噴射量の燃料を噴射するための噴射時間である噴射換算時間を算出し、単位噴射量と噴射換算時間とを乗算した噴射時間に基づいて、燃料噴射弁に燃料を噴射させてもよい。この場合、吸気量検出部の検出値に基づいて、噴射時間ではなく単位噴射量を算出する。噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、噴射換算時間を算出する。よって、亜音速で燃料が噴射される運転領域において音速で燃料が噴射される運転領域よりも噴射換算時間を大きく設定することで、亜音速の燃料の噴射量が音速の燃料の噴射量よりも減少することを抑制することができる。
【0009】
一実施形態において、燃料制御部は、吸気量検出部の検出値と内燃機関の回転数とに基づいて、単位噴射量を算出してもよい。この場合、吸気量検出部の検出値と内燃機関の回転数とに応じた値の単位噴射量を用いることができる。
【0010】
一実施形態において、燃料制御部は、噴射前圧力と噴射後圧力とが所定の基準条件であるときの噴射換算時間である基準噴射換算時間を算出し、燃料噴射弁が噴射する燃料の質量流量と噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、基準噴射換算時間に対する比率であって基準条件以外の噴射前圧力と噴射後圧力とに対応する噴射換算時間を算出するための比率である換算比率を算出し、単位噴射量と基準噴射換算時間と換算比率とに基づいて算出した噴射時間で燃料噴射弁に燃料を噴射させてもよい。この場合、例えば所定の理論式に従う換算比率を用いないで噴射前圧力と噴射後圧力とで規定される2次元マップを予め設定する場合と比べて、噴射換算時間の設定の容易化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、亜音速で燃料が噴射される運転領域においても、気体状態の燃料を燃料噴射弁で適切に噴射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態の燃料噴射制御装置を備える内燃機関の概略構成図である。
図2図1の燃料噴射制御装置のブロック図である。
図3図2のECUの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、第1実施形態の燃料噴射制御装置の概略構成図である。図1に示されるように、燃料噴射制御装置100は、LPガスエンジン(内燃機関)20への燃料の供給量を制御する装置である。燃料噴射制御装置100は、例えば産業車両等に搭載される。
【0015】
LPガスエンジン20には、燃料タンク(図示省略)に貯留される液体燃料を気化させた気体状態の燃料が供給される。燃料として、例えば液化石油ガス(LPG:[Liquefied Petroleum Gas],LPガス)が用いられる。液化石油ガスは、主成分としてプロパン及びブタンを含む。その他の液体燃料として、DME(ジメチルエーテル)等、内燃機関を供する環境温度に近い温度域(例えば-45℃~0℃)に沸点を有する燃料を用いてもよい。つまり、LPガスエンジン20は、燃料として液化石油ガス(LPガス)を含む混合気を燃焼させる内燃機関である。
【0016】
LPガスエンジン20は、シリンダブロック21及びシリンダヘッド22等で構成されたエンジン本体23を有している。エンジン本体23では、シリンダブロック21、シリンダヘッド22、及びピストン(図示省略)により燃焼室が画成されている。シリンダヘッド22には、燃焼室に連通するように吸気通路24及び排気流路(図示省略)が接続されている。吸気通路24には、吸入空気の流量を調整するスロットルバルブ25が設けられている。
【0017】
ここでのLPガスエンジン20では、シリンダヘッド22の近傍の吸気通路24にインジェクタ(燃料噴射弁)5が取り付けられている。インジェクタ5には、気体状態のLPガスが供給される燃料配管(供給路)26が接続されている。燃料配管26の上流側では、例えば燃料タンクの液体燃料がタンク内圧力(飽和蒸気圧)にてレギュレータ(図示省略)に送出され、タンク内圧力から所定の圧力まで減圧される。燃料配管26には、所定の圧力の気体状態となったLPガスが供給される。インジェクタ5は、気体状態のLPガスをシリンダヘッド22の近傍の吸気通路24内に噴射する。噴射された気体状態のLPガスが吸入空気と混じり合うことにより、混合気が形成される。エンジン本体23では、吸気通路24から燃焼室に供給された混合気がピストンで圧縮され、シリンダヘッド22に設けられた点火プラグ(図示省略)で点火されて燃焼する。燃焼した混合気は、排気流路から排気ガスとして排出される。
【0018】
燃料噴射制御装置100は、ECU[Electronic Control Unit]10を備えている。ECU10は、LPガスエンジン20を制御する電子制御ユニットである。ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、通信回路等を有している。ECU10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0019】
図2は、図1の燃料噴射制御装置のブロック図である。図2に示されるように、ECU10は、エンジン回転センサ1、吸気量センサ(吸気量検出部)2、噴射前圧力センサ3、及び、噴射後圧力センサ4と電気的に接続されている。
【0020】
エンジン回転センサ1は、LPガスエンジン20のエンジン回転数を検出する検出器である。エンジン回転センサ1は、検出したエンジン回転数の検出信号をECU10に出力する。
【0021】
吸気量センサ2は、LPガスエンジン20の吸気通路24に設けられ、LPガスエンジン20の吸気量に関する検出値を検出する検出器である。ここでの吸気量センサ2は、一例として、LPガスエンジン20の吸気量に関する検出値としてサージタンク24a内部の圧力を検出する吸気圧センサである。吸気量センサ2は、LPガスエンジン20の吸気量の検出信号をECU10に出力する。
【0022】
噴射前圧力センサ3は、燃料配管26のインジェクタ5よりも上流側の圧力である噴射前圧力を検出するための検出器である。噴射前圧力センサ3は、例えば複数のインジェクタ5が並設されている燃料配管26(レール)に取り付けられており、燃料配管26内部の気体状態の燃料の圧力(レール圧)を噴射前圧力として検出する。噴射前圧力センサ3は、噴射前圧力の検出信号をECU10に出力する。
【0023】
噴射後圧力センサ4は、インジェクタ5により燃料が噴射される空間の圧力である噴射後圧力を検出するための検出器である。インジェクタ5により燃料が噴射される空間とは、吸気通路24の内部空間を意味する。噴射後圧力センサ4は、例えば、サージタンク24aよりもシリンダヘッド22側の吸気通路24であるインテークマニフォールド24bのそれぞれに取り付けられている。噴射後圧力センサ4は、インテークマニフォールド24b内部の吸入空気の圧力(以下、単に「吸気管圧力」という)を噴射後圧力として検出する。噴射後圧力センサ4は、噴射前圧力の検出信号をECU10に出力する。
【0024】
ちなみに、噴射後圧力センサ4をインテークマニフォールド24bのそれぞれに取り付けることで、サージタンク24aで大きく平滑化される前の各気筒の圧力を噴射後圧力センサ4で検出することができる。噴射後圧力センサ4の検出値は、噴射後圧力センサ4をサージタンク24aに取り付ける場合と比べて、インジェクタ5により燃料が噴射される空間の圧力の変動をより直接的に表したものとなる。
【0025】
次に、ECU10の機能的構成について、図3の処理の一例と併せて説明する。図3は、図2のECUの処理の一例を示すフローチャートである。図3の処理は、LPガスエンジン20の運転中に実行される。ECU10は、エンジン状態量取得部11と、噴射前圧力取得部12と、噴射後圧力取得部13と、燃料制御部14と、を有している。
【0026】
図3に示されるように、ECU10は、S11において、エンジン状態量取得部11により、エンジン回転数及び吸気量の取得を行う。エンジン状態量取得部11は、エンジン回転センサ1の検出結果に基づいて、エンジン回転数を取得する。エンジン状態量取得部11は、吸気量センサ2の検出結果に基づいて、吸気量を取得する。
【0027】
ECU10は、S12において、噴射前圧力取得部12により、噴射前圧力の取得を行う。噴射前圧力取得部12は、噴射前圧力センサ3の検出結果に基づいて、例えば複数のインジェクタ5が並設されている燃料配管26(レール)のレール圧(P1)を噴射前圧力として取得する。
【0028】
ECU10は、S13において、噴射後圧力取得部13により、噴射後圧力の取得を行う。噴射後圧力取得部13は、噴射後圧力センサ4の検出結果に基づいて、例えばインテークマニフォールド24b内部の吸気管圧力(P2)を噴射後圧力として取得する。
【0029】
ECU10は、S14において、燃料制御部14により、単位噴射量の算出を行う。単位噴射量は、インジェクタ5の単位噴射回数当たりの燃料の噴射量である。単位噴射回数とは、1気筒における1回の燃焼(1ストローク)分の燃料噴射回数に相当する。単位噴射回数は、例えば本実施形態のようなポート噴射の場合、通常、1回の吸気行程で1回の燃料を噴射して当該燃料が燃焼室に吸入されることから、1回である。単位噴射回数が1回の場合、その1回で噴射される燃料の噴射量が単位噴射量に相当する。
【0030】
燃料制御部14は、吸気量センサ2の検出値に基づいて、単位噴射量を算出する。燃料制御部14は、例えば、LPガスエンジン20の吸気量及びエンジン回転数に基づいて、単位噴射量を算出する。具体的な一例として、燃料制御部14は、下記表1で示されるように、吸気量センサ2の検出値としての吸気管圧力とエンジン回転数とで規定される2次元マップを用いて単位噴射量UFnmを算出してもよい。
【表1】
【0031】
上記表1において、行はエンジン回転数(Ne)であり、列は吸気管圧力(P2)であり、マップ値は単位噴射量UFkjである。ただし、kはエンジン回転数のマップ点に対応する0~5の整数であり、jは吸気管圧力のマップ点に対応する0~9の整数である。単位噴射量UFkjは、例えば、整数kに対応するエンジン回転数(Ne)及び整数jに対応する吸気管圧力(P2)において1回の燃焼(1ストローク)分に対応する吸気量に対して所望の空燃比とするための燃料量として、実験によって求めることができる。単位噴射量UFkjの単位は、例えばmg/ストロークであってもよい。
【0032】
ECU10は、S15において、燃料制御部14により、噴射換算時間の算出を行う。噴射換算時間は、単位噴射量の燃料を噴射するための噴射時間である。より詳しくは、噴射換算時間は、1回の燃焼(1ストローク)分に対応する燃料の噴射量を、インジェクタ5の噴射時間(駆動時間)に換算するための係数に相当する。噴射換算時間は、亜音速での燃料の噴射であっても、単位噴射量の燃料をインジェクタ5が噴射するような噴射時間(駆動時間)となるように、音速での燃料の噴射での噴射換算時間よりも大きい値として設定される。
【0033】
燃料制御部14は、噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、噴射換算時間を算出する。具体的な一例として、燃料制御部14は、下記表2で示されるように、2次元マップを用いて噴射換算時間を算出してもよい。下記表2で示される2次元マップは、噴射前圧力センサ3の検出値としてのレール圧(P1)と、噴射後圧力センサ4の検出値としての吸気管圧力(P2)と、を引数として規定されている。
【表2】
【0034】
上記表2において、行はレール圧(P1)であり、列は吸気管圧力(P2)であり、マップ値は噴射換算時間TFnmである。ただし、nはレール圧のマップ点に対応する0~4の整数であり、mは吸気管圧力のマップ点に対応する0~9の整数である。噴射換算時間TFnmの単位は、例えばmsec/mgであってもよい。
【0035】
噴射換算時間TFnmの値は、インジェクタ5を使った実験により、例えばレール圧(P1)と吸気管圧力(P2)とに応じてインジェクタ5が単位噴射量の燃料を噴射するような数値として求めることができる。より詳しくは、気体状態の燃料を噴射するインジェクタ5においては、下記(数1)で示される臨界圧力比よりも吸気管圧力(P2)/レール圧(P1)の比率が大きい場合には亜音速での燃料の噴射となり、吸気管圧力(P2)/レール圧(P1)の比率が臨界圧力比以下である場合には音速での燃料の噴射となる。ただし、κは気体状態の燃料の比熱比である。
【数1】
【0036】
上記表2は、一例として、太実線で示される罫線の部分を境に左側(等しいP2においてP1の低圧側)のグレーの網掛けを付した運転領域で亜音速での燃料の噴射となる。また、太実線で示される罫線の部分を境に右側(等しいP2においてP1の高圧側)の運転領域で音速での燃料の噴射となる。亜音速で燃料が噴射される運転領域においては、音速で燃料が噴射される運転領域よりも噴射換算時間が大きく設定されている。亜音速で燃料が噴射される運転領域においては、レール圧(P1)が低くなるほど噴射換算時間が大きく設定されている。亜音速で燃料が噴射される運転領域においては、吸気管圧力(P2)が高くなるほど噴射換算時間が大きく設定されている。つまり、上記表2のグレーの網掛けを付した運転領域では、表中の左上に向かうに従って噴射換算時間が大きくなる。
【0037】
例えば、レール圧(P1)が120kPaである場合、亜音速で燃料が噴射される運転領域に属するTF00~TF03は、音速で燃料が噴射される運転領域に属するTF04~TF09よりも大きく設定されている。TF00~TF03は、吸気管圧力(P2)が高くなるほど大きく設定されている。TF04~TF09は、互いに等しい値とされている。
【0038】
例えば、レール圧(P1)が140kPaである場合、亜音速で燃料が噴射される運転領域に属するTF10~TF12は、音速で燃料が噴射される運転領域に属するTF13~TF19よりも大きく設定されている。TF10~TF12は、吸気管圧力(P2)が高くなるほど大きく設定されている。TF13~TF19は、互いに等しい値とされている。
【0039】
例えば、レール圧(P1)が160kPaである場合、亜音速で燃料が噴射される運転領域に属するTF20~TF21は、音速で燃料が噴射される運転領域に属するTF22~TF29よりも大きく設定されている。TF20は、TF21よりも大きく設定されている。TF22~TF29は、互いに等しい値とされている。
【0040】
レール圧(P1)が180kPaである場合、TF30~TF39は、音速で燃料が噴射される運転領域に属するため、互いに等しい値とされている。レール圧(P1)が200kPaである場合、TF40~TF49は、音速で燃料が噴射される運転領域に属するため、互いに等しい値とされている。
【0041】
ECU10は、S16において、燃料制御部14により、燃料の噴射を行う。燃料制御部14は、算出した単位噴射量と噴射換算時間とを乗算した噴射時間に基づいて、インジェクタ5に燃料を噴射させる。すなわち、燃料制御部14は、吸気量センサ2の検出値と噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、インジェクタ5が燃料を亜音速で噴射する場合に、インジェクタ5が燃料を音速で噴射する場合と比べて長い噴射時間でインジェクタ5に燃料を噴射させる。なお、燃料制御部14は、単位噴射量と噴射換算時間とを乗算した噴射時間に、例えば噴射前圧力の変化と直接関係のない吸気温等の環境補正を施してインジェクタ5に燃料を噴射させてもよい。その後、ECU10は、図3の処理を終了する。
【0042】
[作用及び効果]
ここで、内燃機関を供する環境温度に近い温度域に沸点を有する液化石油ガス等を燃料として用いる内燃機関にあっては、運転領域の全域にわたって音速で燃料が噴射されるような圧力まで噴射前圧力を上げ過ぎると、圧力により燃料の気化が妨げられて内燃機関の運転に支障が生じる場合がある。そのため、噴射前圧力は、一部の運転領域において亜音速で燃料が噴射されることを許容するような圧力に抑えられた設定とされる。しかしながら、従来の燃料噴射制御装置にあっては、亜音速で燃料が噴射される運転領域でのインジェクタ5の噴射時間の算出に改善の余地がある。例えばエンジン回転数と吸気管圧力とのマップから噴射時間を決定する制御方式(いわゆるスピード・デンシティ方式)の場合、高度差(気圧差)、レギュレータのバラツキ、燃料タンク内圧力等によって、インジェクタの上流圧が変動することがある。例えば吸気管圧力が同一条件下であっても、インジェクタの上流圧の変動によって、亜音速での燃料噴射と音速での燃料噴射とが入れ替わることがあり、一般的な学習制御及び環境補正等では十分に補正できない場合があり得る。
【0043】
この点、以上説明したような燃料噴射制御装置100では、吸気量に応じた量の燃料をインジェクタ5が噴射するにあたり、噴射前圧力及び噴射後圧力に基づいて、亜音速で噴射する場合には音速で噴射する場合と比べて長い噴射時間でインジェクタ5に燃料を噴射させる。これにより、例えば亜音速での噴射と音速での噴射とで互いに等しい噴射時間でインジェクタ5を動作させる場合と比べて、亜音速での燃料の噴射量が音速での燃料の噴射量よりも減少することを抑制することができる。したがって、燃料噴射制御装置100によれば、亜音速で燃料が噴射される運転領域においても、気体状態の燃料をインジェクタ5で適切に噴射させることができる。
【0044】
燃料噴射制御装置100では、燃料制御部14は、吸気量センサ2の検出値に基づいて、インジェクタ5の単位噴射回数当たりの燃料の噴射量である単位噴射量を算出し、噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、単位噴射量の燃料を噴射するための噴射時間である噴射換算時間を算出し、単位噴射量と噴射換算時間とを乗算した噴射時間に基づいて、インジェクタ5に燃料を噴射させる。これにより、吸気量センサ2の検出値に基づいて、噴射時間ではなく単位噴射量を算出する。噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、噴射換算時間を算出する。よって、亜音速で燃料が噴射される運転領域において音速で燃料が噴射される運転領域よりも噴射換算時間を大きく設定することで、亜音速の燃料の噴射量が音速の燃料の噴射量よりも減少することを抑制することができる。
【0045】
ちなみに、噴射換算時間には噴射前圧力の変動の影響が内在されているため、単位噴射量と噴射換算時間とを乗算した噴射時間は、音速又は亜音速の噴射形態の違いも反映されたものとなる。したがって、単位噴射量と噴射換算時間とを乗算した噴射時間に、噴射前圧力の変動分の補正を別途行うことを省くことができる。
【0046】
燃料噴射制御装置100では、燃料制御部14は、吸気量センサ2の検出値とエンジン回転数とに基づいて(ここでは吸気管圧力とエンジン回転数とで規定される2次元マップを用いて)、単位噴射量を算出する。これにより、吸気量センサ2の検出値とエンジン回転数とに応じた値の単位噴射量を用いることができる。
【0047】
[変形例]
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上述した各実施形態に限られるものではない。
【0048】
例えば、ECU10は、S15において、上記表2のような2次元マップを用いることに代えて、燃料制御部14により、下記のような処理を行ってもよい。具体的には、燃料制御部14は、噴射前圧力と噴射後圧力とが所定の基準条件であるときの噴射換算時間である基準噴射換算時間を算出してもよい。所定の基準条件は、換算の基準として用いる2次元マップのうちの1点に相当する運転条件を意味し、予め設定された所定の噴射前圧力及び噴射後圧力の条件であってもよい。所定の基準条件は、亜音速での燃料の噴射となる運転領域でもよいし、音速での燃料の噴射となる運転領域でもよい。所定の基準条件は、一例として、上記表2の2次元マップのうちの1点に相当する運転条件を基準とするように、レール圧(P1)が140kPaであり且つ吸気管圧力(P2)が100kPaである運転条件であってもよい。
【0049】
燃料制御部14は、インジェクタ5が噴射する燃料の質量流量と噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、基準噴射換算時間から現在の運転条件での噴射時間を算出するために、換算比率を算出してもよい。換算比率は、基準噴射換算時間に対する比率であって基準条件以外の噴射前圧力と噴射後圧力とに対応する噴射換算時間を算出するための比率である。換算比率は、例えば下記(数2)及び/又は下記(数3)の関係に基づいて求めてもよい。下記の(数2)は、亜音速での燃料の噴射となる運転領域におけるP1とWとの関係を示しており、下記の(数3)は、音速での燃料の噴射となる運転領域におけるP1とWとの関係を示している。ただし、各Wはインジェクタ5で噴射される気体燃料の質量流量であり、P1は噴射前圧力であり、P2は噴射後圧力であり、κは気体燃料の比熱比であり、γは気体燃料の比重量である。なお、下記(数2)及び(数3)は一例であり、インジェクタ5の仕様等に応じて一部異なる理論式が用いられてもよい。
【数2】

【数3】
【0050】
上記(数2)においてγはP1に比例するとの関係を用いると、下記(数4)が得られる。上記(数3)においてγはP1に比例し、κは一定であるとの関係を用いると、下記(数5)が得られる。
【数4】

【数5】
【0051】
次に、所定の基準条件に対応するパラメータに添え字「a」を付し、現在の運転条件に対応するパラメータに添え字「b」を付して、上記(数4)及び上記(数5)の比例関係を用いると、下記(数6)及び下記(数7)が得られる。下記(数6)及び下記(数7)において、分数部分が換算比率に相当する。下記(数6)は、亜音速での燃料の噴射となる運転領域における質量流量の換算式を意味する。下記(数7)は、音速での燃料の噴射となる運転領域における質量流量の換算式を意味する。下記(数6)及び下記(数7)によれば、所定の基準条件でインジェクタ5で噴射される気体燃料の質量流量Waから現在の運転条件でインジェクタ5で噴射される気体燃料の質量流量Wbを換算することができる。
【数6】

【数7】
【0052】
所定の基準条件で質量流量Waの気体燃料を噴射するためのインジェクタ5の噴射換算時間をTaとし、現在の運転条件で質量流量Wbの気体燃料を噴射するためのインジェクタ5の噴射換算時間をTbとすると、Ta,Tbは、Wa,Wbにそれぞれ反比例の関係にあることから、下記(数8)及び下記(数9)のように表すことができる。
【数8】

【数9】
【0053】
上記(数8)に示されるように、所定の基準条件が亜音速での燃料の噴射となる運転領域に設定される場合、亜音速での燃料の噴射となる運転領域における所定の基準条件以外の噴射換算時間Tbは、所定の基準条件での基準噴射換算時間Taに上記(数8)の分数部分の換算比率を乗算することで算出することができる。音速での燃料の噴射となる運転領域の噴射換算時間は、臨界点のみ上記(数8)を用いて同様の計算で算出してもよい。音速での燃料の噴射となる運転領域ではP1が同一のマップ値は互いに等しいため、予め算出した定数として与えられてもよい。
【0054】
そして、燃料制御部14は、図3のS16において、単位噴射量と基準噴射換算時間と換算比率とを乗算した噴射時間に基づいて、燃料噴射弁に燃料を噴射させてもよい。燃料制御部14は、単位噴射量と基準噴射換算時間と換算比率とを乗算した噴射時間に、例えば噴射前圧力の変化と直接関係のない吸気温等の環境補正を施してインジェクタ5に燃料を噴射させてもよい。すなわち、燃料制御部14は、吸気量センサ2の検出値と噴射前圧力と噴射後圧力とに基づいて、インジェクタ5が燃料を亜音速で噴射する場合に、インジェクタ5が燃料を音速で噴射する場合と比べて長い噴射時間でインジェクタ5に燃料を噴射させる。その後、ECU10は、図3の処理を終了する。
【0055】
以上のS15及びS16の変形例の処理を行う燃料噴射制御装置100では、燃料制御部14は、噴射前圧力と噴射後圧力とが所定の基準条件(P1a,P2a)であるときの噴射換算時間である基準噴射換算時間Taを算出し、インジェクタ5が噴射する燃料の質量流量Wと噴射前圧力P1と噴射後圧力P2とに基づいて、基準噴射換算時間Taに対する比率であって基準条件以外の噴射前圧力P1bと噴射後圧力P2bとに対応する噴射換算時間Tbを算出するための比率である換算比率を算出し、基準噴射換算時間Taと換算比率とを乗算して得られる噴射換算時間Tbを単位噴射量に適用した噴射時間でインジェクタ5に燃料を噴射させる。これにより、例えば所定の理論式に従う換算比率を用いないで噴射前圧力と噴射後圧力とで規定される2次元マップを予め設定する場合と比べて、噴射換算時間の設定の容易化を図ることができる。
【0056】
その他の変形例として、上記実施形態では、吸気量検出部として、サージタンク24a内部の圧力を検出する吸気圧センサを例示したが、この例に限定されない。吸気量検出部は、例えば、LPガスエンジン20の吸気量に関する検出値として吸入空気の流量を検出するエアフローセンサであってもよい。この場合、吸気量をエンジン回転数で除算して所定の定数を乗算することで単位噴射量を算出してもよい。或いは、上記表1の吸気管圧力P2に代えて流量を軸とした2次元マップを用いてもよい。エアフローセンサは、サージタンク24aよりも上流側の吸気通路24に設けられていてもよい。エアフローセンサは、スロットルバルブ25よりも上流側の吸気通路24に設けられていてもよい。また、上記表1の軸は、その他、充填効率であってもよい。
【0057】
上記実施形態では、噴射前圧力を検出するためのセンサとして、複数のインジェクタ5が並設されている燃料配管26(レール)に取り付けられた噴射前圧力センサ3を例示したが、これに限定されない。噴射前圧力を検出するためのセンサは、レギュレータ以降の燃料配管26に取り付けられていればよい。なお、噴射前圧力として、例えば燃料タンク内圧及び大気圧に基づいて推定された圧力の推定値を用いてもよい。
【0058】
上記実施形態では、噴射後圧力を検出するためのセンサとして、インテークマニフォールド24bのそれぞれに取り付けられた噴射後圧力センサ4を例示したが、これに限定されない。噴射後圧力を検出するためのセンサは、サージタンク24aに取り付けられた圧力センサであってもよい。この場合、サージタンク24a内部の圧力を検出する吸気圧センサと共用してもよい。なお、噴射後圧力として、公知の手法で推定された吸気管圧力の推定値を用いてもよい。
【0059】
上記実施形態では、燃料噴射弁として、インテークマニフォールド24b内に燃料を噴射するように設けられた、いわゆるポート噴射のインジェクタ5を例示したが、これに限定されない。燃料噴射弁は、例えば、筒内に燃料を噴射するように設けられた、いわゆる筒内直接噴射のインジェクタであってもよい。要は、燃料噴射弁の上流側及び下流側の圧力との関係によっては、燃料噴射弁が燃料を音速よりも低速な亜音速で噴射する運転領域が存在する内燃機関であれば、本発明を適用することができる。
【0060】
上記実施形態では、インジェクタ5にミキサーを併用しない形態を例示したが、インジェクタ5にミキサーが併用されてもよい。この場合、吸気量に応じた量の燃料を供給するにあたり、吸気量に応じた量の燃料からミキサーで供給される燃料を差し引いた残りの分を燃料噴射弁が噴射することとなる。よって、例えば差し引いた残りの分の燃料噴射量を実験等により求めて、この燃料噴射量について、上述したように、インジェクタ5が燃料を亜音速で噴射する場合に、インジェクタ5が燃料を音速で噴射する場合と比べて長い噴射時間でインジェクタ5に燃料を噴射させればよい。
【0061】
上記実施形態では、上記表2において、亜音速又は音速のどちらで燃料を噴射するのかを特に判定することなくマップ値を読み取る形態として説明したが、例えば、亜音速又は音速のどちらで燃料を噴射するのかを判定し、判定結果に基づいて用いる噴射時間の切替えをしてもよい。
【0062】
上記実施形態では、単位噴射回数は、1回であったが、これに限定されない。単位噴射回数は、複数回の燃料噴射を1回の燃焼のために(1ストロークで)行う場合、2以上の値であってもよい。この場合、単位噴射量は、1回の燃焼のための燃料の噴射量であるから、その複数回で噴射される燃料の噴射量の合計に相当してもよい。
【符号の説明】
【0063】
2…吸気量センサ(吸気量検出部)、5…インジェクタ(燃料噴射弁)、12…噴射前圧力取得部、13…噴射後圧力取得部、14…燃料制御部、20…LPガスエンジン(内燃機関)、24…吸気通路、26…燃料配管(供給路)、100…燃料噴射制御装置。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
図1は、実施形態の燃料噴射制御装置を備える内燃機関の概略構成図である。図1に示されるように、燃料噴射制御装置100は、LPガスエンジン(内燃機関)20への燃料の供給量を制御する装置である。燃料噴射制御装置100は、例えば産業車両等に搭載される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図3に示されるように、ECU10は、S11において、エンジン状態量取得部11により、エンジン回転数及び吸気量の取得を行う。エンジン状態量取得部11は、エンジン回転センサ1の検出結果に基づいて、エンジン回転数を取得する。エンジン状態量取得部11は、吸気量センサ2の検出結果に基づいて、吸気量に関する検出値としてサージタンク24a内部の圧力(P0)を取得する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
燃料制御部14は、吸気量センサ2の検出値に基づいて、単位噴射量を算出する。燃料制御部14は、例えば、LPガスエンジン20の吸気量及びエンジン回転数に基づいて、単位噴射量を算出する。具体的な一例として、燃料制御部14は、下記表1で示されるように、吸気量センサ2の検出値としてのサージタンク24a内部の圧力(P0)とエンジン回転数とで規定される2次元マップを用いて単位噴射量UFnmを算出してもよい。
【表1】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
上記表1において、行はエンジン回転数(Ne)であり、列はサージタンク24a内部の圧力(P0)であり、マップ値は単位噴射量UFkjである。ただし、kはエンジン回転数のマップ点に対応する0~5の整数であり、jはサージタンク24a内部の圧力のマップ点に対応する0~9の整数である。単位噴射量UFkjは、例えば、整数kに対応するエンジン回転数(Ne)及び整数jに対応するサージタンク24a内部の圧力(P0)において1回の燃焼(1ストローク)分に対応する吸気量に対して所望の空燃比とするための燃料量として、実験によって求めることができる。単位噴射量UFkjの単位は、例えばmg/ストロークであってもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
燃料噴射制御装置100では、燃料制御部14は、吸気量センサ2の検出値とエンジン回転数とに基づいて(ここではサージタンク24a内部の圧力(P0)とエンジン回転数とで規定される2次元マップを用いて)、単位噴射量を算出する。これにより、吸気量センサ2の検出値とエンジン回転数とに応じた値の単位噴射量を用いることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
その他の変形例として、上記実施形態では、吸気量検出部として、サージタンク24a内部の圧力を検出する吸気圧センサである吸気量センサ2を例示したが、この例に限定されない。吸気量検出部は、例えば、LPガスエンジン20の吸気量に関する検出値として吸入空気の流量を検出するエアフローセンサであってもよい。この場合、吸気量をエンジン回転数で除算して所定の定数を乗算することで単位噴射量を算出してもよい。或いは、上記表1のサージタンク24a内部の圧力(P0)に代えて流量を軸とした2次元マップを用いてもよい。エアフローセンサは、サージタンク24aよりも上流側の吸気通路24に設けられていてもよい。エアフローセンサは、スロットルバルブ25よりも上流側の吸気通路24に設けられていてもよい。また、上記表1の軸は、その他、充填効率であってもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2