(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021806
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ペルチェ素子およびペルチェ素子を有する電子装置
(51)【国際特許分類】
H10N 10/17 20230101AFI20240208BHJP
H10N 10/817 20230101ALI20240208BHJP
【FI】
H01L35/32 A
H01L35/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124897
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 智貴
(72)【発明者】
【氏名】豊田 将之
(72)【発明者】
【氏名】永沼 智也
(72)【発明者】
【氏名】西本 智久
(72)【発明者】
【氏名】平林 智則
(57)【要約】
【課題】光透過性を有するペルチェ素子を提供する。
【解決手段】ペルチェ素子において、複数のp型半導体素子(10―1、10―2)及び複数のn型半導体素子(20―1、20―2)と、第1金属電極(31―1、31―2)及び第2金属電極(32―1、32―2、32―3)と、絶縁基板(41、42)と、を備え、p型半導体及びn型半導体の夫々は、第1金属電極及び前記第2金属電極を介して交互に接続され、絶縁基板は、第1金属電極及び第2金属電極におけるp型半導体素子又はn型半導体素子との接触面とは反対側の面を覆って配置され、p型半導体素子及び前記n型半導体素子の夫々、第1金属電極、第2金属電極、及び絶縁基板は、光透過性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルチェ素子において、
複数のp型半導体素子及び複数のn型半導体素子と、
第1金属電極及び第2金属電極と、
絶縁基板と、を備え、
前記p型半導体素子及び前記n型半導体素子の夫々は、前記第1金属電極及び前記第2金属電極を介して交互に接続され、
前記絶縁基板は、前記第1金属電極及び前記第2金属電極における前記p型半導体素子又は前記n型半導体素子との接触面とは反対側の面を覆って配置され、
前記p型半導体素子及び前記n型半導体素子の夫々、前記第1金属電極、前記第2金属電極、及び前記絶縁基板は、光透過性を有する、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【請求項2】
請求項1に記載のペルチェ素子において、
前記p型半導体素子は、光透過性を有する第1支持体及び当該第1支持体の表面にp型半導体膜を有して構成され、
前記n型半導体素子は、光透過性を有する第2支持体及び当該第2支持体の表面にn型半導体膜を有して構成される、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【請求項3】
請求項2に記載のペルチェ素子において、
前記第1支持体及び前記第2支持体の少なくとも一方は、発泡体により形成される、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【請求項4】
請求項2に記載のペルチェ素子において、
前記絶縁基板の外表面の少なくとも一面は、凹凸面として形成される、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【請求項5】
請求項2に記載のペルチェ素子において、
前記第1支持体及び前記第2支持体の少なくとも一方は、中空構造を有して構成される、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【請求項6】
請求項2に記載のペルチェ素子において、
前記第1支持体及び前記第2支持体の少なくとも一方は、前記第1金属電極及び前記第2金属電極を含む断面における形状がコ字形状に形成される、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【請求項7】
請求項2に記載のペルチェ素子において、
前記p型半導体膜及び前記n型半導体膜の膜厚は100nm以下に形成される、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【請求項8】
請求項1に記載のペルチェ素子において、
前記第1金属電極及び前記第2金属電極は、針状金属を含んで形成される、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載されたペルチェ素子を有する、ことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチェ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルチェ素子の一例として、特許文献1は「P型、N型熱電材料体が電極を介して交互に接続されたペルチェ素子において、前記電極が導電性ペ―ストにより形成されていて、前記P型およびN型熱電材料体が電極中に埋設されている、前記素子。(要約抜粋)」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1のペルチェ素子は、電極と熱電材料との接合強度の向上を目的としているが、ペルチェ素子自体の光透過性については考慮されていないという実情がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、光透過性を有するペルチェ素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を備える。その一例を挙げるならば、ペルチェ素子において、複数のp型半導体素子及び複数のn型半導体素子と、第1金属電極及び第2金属電極と、絶縁基板と、を備え、前記p型半導体素子及び前記n型半導体素子の夫々は、前記第1金属電極及び前記第2金属電極を介して交互に接続され、前記絶縁基板は、前記第1金属電極及び前記第2金属電極における前記p型半導体素子又は前記n型半導体素子との接触面とは反対側の面を覆って配置され、前記p型半導体素子及び前記n型半導体素子の夫々、前記第1金属電極、前記第2金属電極、及び前記絶縁基板は、光透過性を有する、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記に記載されたペルチェ素子を有することを特徴とする電子装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光透過性を有するペルチェ素子を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るペルチェ素子の厚み方向の断面説明図。
【
図3】本実施形態に係るペルチェ素子を用いたHUDの概略構成図。
【
図4】第2実施形態におけるペルチェ素子の適用例を示す図。
【
図5】第2実施形態に係るペルチェ素子の厚み方向の断面説明図。
【
図6】第2実施形態の係るペルチェ素子(変形例)の厚み方向の断面説明図。
【
図7】第3実施形態に係るペルチェ素子の厚み方向の断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものには、同一の符号を付与し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るペルチェ素子の厚み方向の断面説明図である。
【0012】
ペルチェ素子1は、複数のp型半導体素子10―1、10―2、複数のn型半導体素子20―1、20―2、第1金属電極31―1、31―2、第2金属電極32―1、32―2、32―3、第1絶縁基板41及び第2絶縁基板42を備える。
【0013】
より具体的には、第1絶縁基板41上に、第1金属電極31―1、31―2を配置する。第1金属電極31―1上にp型半導体素子10―1、n型半導体素子20―1を、第1金属電極31―2上にp型半導体素子10―2、n型半導体素子20―1を配置する。更にp型半導体素子10―1上に第2金属電極32―1を配置し、n型半導体素子20―1及びp型半導体素子10―2上に第2金属電極32―2を配置し、n型半導体素子20―2上に第2金属電極32―3を配置する。更に第2金属電極32―1、32―2、32―3に第2絶縁基板42を配置する。つまり、2つの絶縁基板の間にp型半導体素子とn型半導体素子が交互して配置されており、p型半導体素子とn型半導体素子は金属電極または金属接合部を介して2つの絶縁基板と連結されている。金属電極と、p型およびn型の半導体素子がπの字型またはnの字型に交互に連結されている。
【0014】
p型半導体素子10―1、10―2は同一の構成であるため、以下p型半導体素子10―1を例示して説明する。同様にn型半導体素子20―1、20―2は同一の構成であるため、以下n型半導体素子20―1を例示して説明する。
【0015】
p型半導体素子10―1は、第1支持体11の表面にp型半導体12をコ―ティングしてp型半導体膜を形成して構成される。また、p型半導体膜が第1支持体11の表面の一部に形成されてもよい、あるいは、金属電極―半導体―金属電極の導通であればよい。
【0016】
同様にn型半導体素子20―1は、第2支持体21の表面にn型半導体22をコ―ティングしてn型半導体膜を形成して構成される。
【0017】
第1支持体11及び第2支持体21は、光透過性を有する部材、例えば透明プラスチック、(PET:ポリエチレンテレフタレ―ト、PMMA:メタクリル酸メチルエステル、PC:ポリカ―ボネ―ト、COP:シクロオレフィンポリマ―、COC:環状オレフィンコポリマ―等)が用いられる。
【0018】
p型半導体12又はn型半導体22は、光透過性を有する部材、例えばATO、FTO、ITO、PEDOT:PSSなどの透明導電膜材料が用いられる。p型半導体12又はn型半導体22の膜厚はペルチェ素子1の光を透過できる厚さでよい。あるいは、p型半導体12又はn型半導体22の膜厚は、ペルチェ素子1の光透過性を阻害しない厚さ、一例として膜厚を100nm以下が好ましい。
【0019】
これにより、p型半導体素子10―1及びn型半導体素子20―1は光透過性を有する半導体素子として形成される。
【0020】
第1金属電極31―1、31―2及び第2金属電極32―1、32―2、32―3は光透過性を有して形成される。一例として、銀ナノワイヤ―などの針状金属が用いられる。第1金属電極及び第2金属電極の素材は、光透過性を有する金属部材であればよく、針状金属、銀ナノワイヤ―はその一例でありこれらに限定されない。また、第1金属電極と第2金属電極の素材は、互いに異なる金属材料でもよい。
【0021】
第1絶縁基板41及び第2絶縁基板42も光透過性を有する部材で形成される。一例として、ガラス板や透明フィルムなどの光透過性を持つ部材で構成される。
【0022】
第1実施形態に係るペルチェ素子の作用効果を従来のペルチェ素子と比較して説明する。
図2は、従来のペルチェ素子の構成例を示す図である。
【0023】
従来のペルチェ素子100は、第1絶縁基板141に第1金属電極131―1、131―2を配列し、各第1金属電極131―1、131―2上にp型半導体素子111―1、111―2、n型半導体素子121―1、121―2を交互に配置し、さらにその上に第2金属電極132―1、132―2、132―3、更にその上に第2絶縁基板142を積層させて構成される。従来のペルチェ素子100は、第1絶縁基板141、第2絶縁基板142に例えばセラミックが用いられ、またペルチェ素子100の材料としてテルル化ビスマス(Bi2Te3)、テルル化鉛(PbTe)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ビスマス―アンチモン合金(Bi―Sb)などが用いられており、光透過性を有していない。
【0024】
これに対して本実施形態に係るペルチェ素子1は、p型半導体素子10―1、10―2、n型半導体素子20―1、20―2、第1金属電極31―1、31―2、第2金属電極32―1、32―2、32―3、第1絶縁基板41、及び第2絶縁基板42の各構成要素が光透過性を有しているため、それらを積層形成されたペルチェ素子1も光透過性を有して構成できる。これにより、第1絶縁基板41から入射した光は第2絶縁基板42から出射し、第2絶縁基板42から入射した光は第1絶縁基板41から出射する。よって、ディスプレイや光電素子等、光が入射、出射をするデバイスや素子の冷却部材として好適である。
【0025】
図3を参照して本実施形態に係るペルチェ素子1の適用例について説明する。
図3は、本実施形態に係るペルチェ素子を用いたHUDの概略構成図である。
【0026】
図3に示すように、本実施形態に係るペルチェ素子1を乗り物に搭載されたヘッドアップディスプレイ装置(Head Up Display:以下「HUD」と略記する)60に適用してもよい。本実施形態では乗り物は自動車を用いて説明する。
【0027】
自動車70はハンドル71、ハンドル71の前面に備えられたダッシュボード72、ウィンドシールド73を備え、ダッシュボード72内に運転者に虚像68を視認させるためのHUD60を収容する。
【0028】
HUD60は、光源61、照明光学系62、表示パネル63、折返しミラ―64、凹面ミラ―65、及びミラ―駆動装置66を含む。光源61から出射した光は照明光学系62に入射しコリメ―トされて表示パネル63に入射する。表示パネル63に表示された映像情報を含む映像光Lが表示パネル63から折返しミラ―64に向かって出射する。映像光Lは、折返しミラ―64から凹面ミラ―65に向かって反射する。さらに映像光Lは、凹面ミラ―65で反射してウィンドシールド73に向かい、ウィンドシールド73で反射して運転者の眼に入射する。これにより運転者は虚像68を見ることができる。
【0029】
HUD60は、映像光Lと映像光Lの進路を逆行して入射する太陽光により表示パネル63の温度が上昇し、破損する恐れがある。そこで、本実施形態に係るペルチェ素子1の吸熱面を表示パネル63に接触させて配置し、表示パネル63の温度上昇を抑止することができる。
【0030】
その際、ペルチェ素子1は光透過性を有しているため、光路上に設置でき表示パネル63のパネル面を直接冷却できる。
【0031】
図3では、表示パネル63のコリメ―ト光入射面にペルチェ素子1の吸熱面を接触させて表示パネル63を冷却する。これにより、映像光Lの結像映像がひずむといった、結像性への悪影響を防ぎつつ表示パネル63を冷却できる。
【0032】
図3ではペルチェ素子1をHUD60に適用したが、その他、テレビ、有機EL、プロジェクタ、PCや携帯情報端末のディスプレイなど、光路を考慮しつつ冷却が必要なデバイスに本実施形態に係るペルチェ素子1は好適である。その際は、結像性を考慮して表示パネルにおけるバックライトとの対向面にペルチェ素子1を接触させて配置してもよい。
【0033】
またテレビ、有機ELでは放熱しやすいところにペルチェ素子1を配置してもよい。例えばテレビ、有機Elを収めた筐体の下部が閉鎖空間の場合は、ペルチェ素子1から放熱した熱がこもるのを防ぐため筐体の上面にペルチェ素子1を配置してもよい。
【0034】
本実施形態によれば、ペルチェ素子に光透過性を付与することができる。これにより、光が入射、出射するデバイスに設置する際に、光路上であってもペルチェ素子を配置することができる。
【0035】
また、第1実施形態に係るペルチェ素子1の第1支持体11及び第2支持体21は中実構造とすることで第1支持体11及び第2支持体21を通過中の光の散乱を抑制しやすくなる。これにより、例えば表示パネルのバックライトとの対向面にペルチェ素子1を配置した際には、バックライトから光が表示パネルに入射するまでの光路上での散乱を抑止し、表示パネルに入射する光量の減衰を抑止することができる。
【0036】
<第2実施形態>
第2実施形態は、太陽光パネルに好適なペルチェ素子に係る実施形態である。
図4は、第2実施形態におけるペルチェ素子の適用例を示す図である。
【0037】
図4において、太陽光パネル80は架台81に支持されている。そして太陽光パネル80における太陽光入射面に、第2実施形態に係るペルチェ素子1aの吸熱面を接触させて配置する。
【0038】
太陽光パネル80は、パネル温度が上昇すると発電効率が低下する。光透過性を有しているペルチェ素子1aを太陽光パネル80の太陽光入射面に配置することで太陽光の入射を妨げることなく太陽光パネル80の冷却が行える。
【0039】
また積雪時には太陽光パネル80上に積雪し、太陽光パネル80が雪により遮光されて発電が不可能となる。そこで、ペルチェ素子1aを太陽光パネル80の太陽光入射面に配置し、ペルチェ素子1aを通電することで、ペルチェ素子1aの太陽光入射面が放熱し、ペルチェ素子1aの太陽光入射面の積雪を融雪して遮光状態を解消し、発電が可能となる。
【0040】
図5は、第2実施形態に係るペルチェ素子の厚み方向の断面説明図である。
【0041】
第1実施形態に係るペルチェ素子1と、本実施形態に係るペルチェ素子1aとの違いは、第1支持体11a及び第2支持体21aが発泡体を用いて形成する点と、第2絶縁基板42における外表面、即ち第2金属電極32―1、32―2、32―3との接触面とは反対側の面に凹凸面44を形成する点である。凹凸面44の形成箇所は第2金属電極32―1、32―2、32―3との接触面とは反対側の面に限定されず、例えば不図示のペルチェ素子1aの側面も凹凸面44を形成してもよい。
【0042】
図5では、発泡体を用いた支持体を含むp型半導体素子10a―1、10a―2、同じく発泡体を用いた支持体を含むn型半導体素子20a―1、20a―2を交互に配列したペルチェ素子1aを図示したが、p型半導体素子、n型半導体素子のいずれか一方に発泡体を用いた支持体を含む構成であってもよい。
【0043】
第2実施形態に係るペルチェ素子1aによればペルチェ素子に光透過性を付与することができる。更に第1支持体11a及び第2支持体21aの材料として発泡体を用いることで、放熱側となる第2絶縁基板42と、吸熱側となる第1絶縁基板41との熱伝導が抑制され、ペルチェ素子1aの冷却性能を更に向上させることができる。そのため、太陽光パネル80のようにペルチェ素子1aに入射した光が散乱しても太陽光パネル80に入射すればよいデバイスに好適なペルチェ素子を提供することができる。
【0044】
更に、第2絶縁基板42の外表面を凹凸面44とすることでペルチェ素子1aが空気と触れる面積を平面状に形成する場合と比べて増加させ、放熱性を向上させることができる。その結果、冷却性及び融雪性能を向上させることができる。
【0045】
(第2実施形態の変形例)
図6は、第2実施形態の係るペルチェ素子(変形例)の厚み方向の断面説明図である。
【0046】
図6に示すペルチェ素子1bと第1実施形態に係るペルチェ素子1との違いは、第1支持体11b及び第2支持体21bを中空構造に形成し、これらを含むp型半導体素子10b―1、10b―2、n型半導体素子20b―1、20b―2を交互に配列する点である。p型半導体素子10b―1、10b―2、n型半導体素子20b―1、20b―2のどちらかだけが発泡体を用いた支持体を含んでもよい。
【0047】
これにより、第1支持体11b及び第2支持体21bが中実構造に形成される場合と比べて断面を小さくし、更に、中空部の空気層が断熱効果を奏することで、放熱側から吸熱側への熱伝導が抑えられ、ペルチェ素子1bの冷却性能が向上する。
【0048】
図6では第2絶縁基板42の外表面を平面状に図示しているが、
図5のペルチェ素子1aと同様、凹凸面44を形成してもよい。これにより、ペルチェ素子1bの放熱性をさらに向上させることができる。
【0049】
<第3実施形態>
第3実施形態は、更にフレキシブル性を備えたペルチェ素子に係る。
図7は、第3実施形態に係るペルチェ素子の厚み方向の断面説明図である。
【0050】
図7に示すペルチェ素子1cと第1実施形態に係るペルチェ素子1との違いは、第1支持体11c及び第2支持体21cの断面形状がコの字型に形成し、第1支持体11c、第2支持体21c、第1絶縁基板41c、第2絶縁基板42cは例えば透明フィルムを用い、第1金属電極31c―1、31c―2、第2金属電極32c―1、32c―2、32c―3は銀ナノワイヤ―とすることでペルチェ素子1cにフレキシブル性を付与する点である。
【0051】
第1支持体11c、第2支持体21cは第2実施形態に係るペルチェ素子1bに用いた断面が中空の角柱状の第1支持体11b及び第2支持体21cと比べて更に断面積を小さくできるので放熱側から吸熱側への熱伝導が抑えられ、ペルチェ素子1cの冷却性能が向上する。更に断面形状がコ字形状である第1支持体11c、第2支持体21cは、中空の角柱状の第1支持体11b及び第2支持体21cと比べて変形しやすく、フレキシブル性の向上につながる。
【0052】
ペルチェ素子1cは、第1絶縁基板41cにおける第1金属電極31c―1、31c―2との接触面とは反対側の面(裏面)に粘着層50を備える。粘着層50として光学用透明粘着シ―ト(Optical Clear Adhesive)を用い、光透過性を担保する。
【0053】
第3実施形態によれば、ペルチェ素子1cに光透過性並びにフレキシブル性を付与することができる。フレキシブル性を有するペルチェ素子1cは曲面にも設置可能なので、例えばフィルム型太陽電池への適用が可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、言うまでもなく、本発明の技術を実現する構成は上記実施形態に限られるものではなく、様々な変形例が考えられる。
【0055】
また前述した実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成と置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。これらは全て本発明の範疇に属するものである。また、文中や図中に現れる数値やメッセ―ジ等もあくまでも一例であり、異なるものを用いても本発明の効果を損なうことはない。
【0056】
前記実施の形態は、以下の形態を含む。
(付記1)
ペルチェ素子において、
複数のp型半導体素子及び複数のn型半導体素子と、
第1金属電極及び第2金属電極と、
絶縁基板と、を備え、
前記p型半導体素子及び前記n型半導体素子の夫々は、前記第1金属電極及び前記第2金属電極を介して交互に接続され、
前記絶縁基板は、前記第1金属電極及び前記第2金属電極における前記p型半導体素子又は前記n型半導体素子との接触面とは反対側の面を覆って配置され、
前記p型半導体素子及び前記n型半導体素子の夫々、前記第1金属電極、前記第2金属電極、及び前記絶縁基板は、光透過性を有する、
ことを特徴とするペルチェ素子。
【0057】
(付記2)
また、上記ペルチェ素子を有する、ことを特徴とする電子装置。
【符号の説明】
【0058】
1 :ペルチェ素子
1a :ペルチェ素子
1b :ペルチェ素子
1c :ペルチェ素子
10a―1 :p型半導体素子
10b―1 :p型半導体素子
10―1 :p型半導体素子
10―2 :p型半導体素子
11 :第1支持体
11a :第1支持体
11b :第1支持体
11c :第1支持体
12 :p型半導体
20a―1 :n型半導体素子
20b―1 :n型半導体素子
20―1 :n型半導体素子
20―2 :n型半導体素子
21 :第2支持体
21a :第2支持体
21b :第2支持体
21c :第2支持体
22 :n型半導体
31c―1 :第1金属電極
31―1 :第1金属電極
31―2 :第1金属電極
32c―1 :第2金属電極
32―1 :第2金属電極
32―2 :第2金属電極
32―3 :第2金属電極
41 :第1絶縁基板
41c :第1絶縁基板
42 :第2絶縁基板
42c :第2絶縁基板
44 :凹凸面
50 :粘着層
61 :光源
62 :照明光学系
63 :表示パネル
66 :駆動装置
68 :虚像
70 :自動車
71 :ハンドル
72 :ダッシュボード
73 :ウィンドシールド
80 :太陽光パネル
81 :架台
100 :ペルチェ素子
111―1 :p型半導体素子
121―1 :n型半導体素子
131―1 :第1金属電極
131―2 :第1金属電極
132―1 :第2金属電極
132―2 :第2金属電極
132―3 :第2金属電極
141 :第1絶縁基板
142 :第2絶縁基板
L :映像光