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特開2024-21814ライニング構造及びライニングプレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021814
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ライニング構造及びライニングプレート
(51)【国際特許分類】
   E02B 8/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
E02B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124913
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000241290
【氏名又は名称】豊国工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 裕明
(72)【発明者】
【氏名】有村 圭二
(72)【発明者】
【氏名】大上 幸海
(57)【要約】
【課題】点検者の目視により、容易に多数のライニングプレートの摩耗量を段階的に把握することができ、その結果、多数のライニングプレートの交換時期を推測でき、適宜タイミングで交換することができるライニング構造を提供する。
【解決手段】ライニング構造1の摩耗量判定ライニングプレート12には、複数の摩耗量判定部位30A~30Cが設けられ、各摩耗量判定部位30A~30Cには、互いに色が異なる異配色部材31A~31Cがそれぞれ埋設されており、各摩耗量判定部位30A~30Cは、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの深さD1~D3が異なる位置に、各異配色部材31A~31Cがそれぞれ埋設されている。これにより、容易に多数のライニングプレート12、13、14の摩耗量を段階的に把握でき、多数のライニングプレート12、13、14の交換時期を推測して、適宜タイミングで交換することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保護面を交換可能な多数のライニングプレートにより覆って流下する土砂から保護するライニング構造であって、
前記多数のライニングプレートは、摩耗量を判定可能な摩耗量判定ライニングプレートを含み、
該摩耗量判定ライニングプレートには、複数の摩耗量判定部位が設けられ、
前記各摩耗量判定部位には、互いに色が異なる異配色部材がそれぞれ埋設されており、
前記各摩耗量判定部位は、前記摩耗量判定ライニングプレートの表面からの深さが異なる位置に、前記各異配色部材がそれぞれ埋設されていることを特徴とするライニング構造。
【請求項2】
前記摩耗量判定ライニングプレートの表面から前記異配色部材までの深さが最も大きい摩耗量判定部位は、前記摩耗量判定ライニングプレートにおいて土砂流下方向上流側の部位に配置されることを特徴とする請求項1に記載のライニング構造。
【請求項3】
前記摩耗量判定ライニングプレートの表面から前記異配色部材までの深さが最も大きい摩耗量判定部位において、前記深さは、前記多数のライニングプレートを前記被保護面に固定する固定ボルトに対する摩耗量の許容限界値より浅く設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のライニング構造。
【請求項4】
前記摩耗量判定ライニングプレートの土砂流下方向に沿う端部には、その下面が厚さ方向に対して所定の傾斜角度で斜め上方に延びる傾斜面を有する突出部が設けられ、
前記摩耗量判定ライニングプレートの土砂流下方向に沿って隣接して判定補助ライニングプレートが配置され、該判定補助ライニングプレートの土砂流下方向に沿う端部には、その上面が厚さ方向に対して所定の傾斜角度で斜め下方に延びる傾斜面を有する突出部が設けられ、
前記摩耗量判定ライニングプレートの突出部の傾斜面と、前記判定補助ライニングプレートの突出部の傾斜面とが対向するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のライニング構造。
【請求項5】
前記各異配色部材は、互いに色が異なる樹脂材であることを特徴とする請求項1に記載のライニング構造
【請求項6】
前記摩耗量判定ライニングプレートは、金属製プレートであることを特徴とする請求項1に記載のライニング構造。
【請求項7】
被保護面を覆って流下する土砂から保護しつつ、摩耗量を判定可能なライニングプレートであって、
該ライニングプレートには、複数の摩耗量判定部位が設けられ、
前記各摩耗量判定部位には、互いに色が異なる異配色部材がそれぞれ埋設されており、
前記各摩耗量判定部位は、前記ライニングプレートの表面からの深さが異なる位置に、前記各異配色部材がそれぞれ埋設されていることを特徴とするライニングプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばダム、排砂路設備、ダム放流設備、河川ゲート設備等に設置した放流路や排砂路等の表面(被保護面)を、交換可能な多数のライニングプレートにより覆って流下する土砂から保護するライニング構造及びそのライニングプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ダムには放流設備が備えられ、放流路の表面(被保護面)には、土砂の流下などによる表面の摩耗や損傷に備えて、交換可能な多数のライニングプレートが取り付けられることがある。しかしながら、放流路内は、歩行通路ではないために普段近寄れず、ときに水没していることもあり、現状では、ライニングプレートの交換時期を精度良く把握することが困難になっている。このライニングプレートの設置枚数は数千枚と多いために、精密測定による摩耗状態の把握には、多大なコストと労力が必要になる。
【0003】
そこで、点検者の目視により構造物の摩耗状態を把握できる従来技術として、特許文献1には、摩耗の激しい条件下に設けられる土木構造物、または既設の土木構造物摩耗部の補修に用いられる耐摩耗プレキャストコンクリート部材であって、該耐摩耗プレキャストコンクリート部材が、許容摩耗深さを表示する摩耗検知手段を備え、該摩耗検知手段が、耐摩耗プレキャストコンクリート部材の表面から所定深さ位置に埋設したコンクリート色と色調が異なる摩耗検知プレートである、土木構造物用耐摩耗プレキャストコンクリート部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-245912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の発明では、摩耗検知手段の摩耗検知プレートが、該摩耗検知プレートの下面から突出するボックス型の脚をプレキャストコンクリート部材内に埋設される補強鉄筋に固定することで、摩耗検知プレートをプレキャストコンクリート部材の表面から所定深さの位置(許容摩耗代の位置)に設置する構成としているが、摩耗検知プレートを固定する構造が複雑であり、またその固定にはプレキャストコンクリート部材内の補強鉄筋が採用され、プレキャストコンクリート部材以外の構造物には適用できず、改善する余地がある。
【0006】
また、特許文献1の発明では、摩耗検知プレートは、プレキャストコンクリート部材の表面から許容摩耗代の位置に設置され、これにより、プレキャストコンクリート部材の上面が許容摩耗代の位置まで摩耗すると摩耗検知プレートが表面に発現して、プレキャストコンクリート部材の摩耗が限度に達したことを検知する構成としているが、この構成では、プレキャストコンクリート部材の摩耗が限度に達した後、速やかにプレキャストコンクリート部材を交換しなければならず、新しいプレキャストコンクリート部材の準備期間もなく、また交換作業を急ぐ必要があり、その交換作業に対して大きな労力が必要となる。
【0007】
このように、特許文献1の発明では、プレキャストコンクリート部材の摩耗量を経時的に把握することができないので、摩耗量の管理として十分なものとは言えず、そのため、交換時期を精度良く推測することができない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、点検者の目視により、容易に多数のライニングプレートの摩耗量を段階的に把握することができ、その結果、多数のライニングプレートの交換時期を推測でき、適宜タイミングで交換することができるライニング構造、及び容易に摩耗量を段階的に把握することができるライニングプレートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1のライニング構造に係る発明は、被保護面を交換可能な多数のライニングプレートにより覆って流下する土砂から保護するライニング構造であって、前記多数のライニングプレートは、摩耗量を判定可能な摩耗量判定ライニングプレートを含み、該摩耗量判定ライニングプレートには、複数の摩耗量判定部位が設けられ、前記各摩耗量判定部位には、互いに色が異なる異配色部材がそれぞれ埋設されており、前記各摩耗量判定部位は、前記摩耗量判定ライニングプレートの表面からの深さが異なる位置に、前記各異配色部材がそれぞれ埋設されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、摩耗量判定ライニングプレートに設けた複数の摩耗量判定部位は、摩耗量判定ライニングプレートの表面からの深さが異なる位置に各異配色部材がそれぞれ埋設されている。そして、摩耗量判定ライニングプレートの表面からの摩耗量に伴って、各摩耗量判定部位の異配色部材が順次発現される。これにより、点検者は目視にて、摩耗量判定ライニングプレート、ひいてはその他多数のライニングプレートの摩耗量を段階的に把握することができる。言い換えれば、点検者は目視にて、摩耗量判定ライニングプレート、ひいてはその他多数のライニングプレートの摩耗量を傾向管理することができる。しかも、環境条件に伴う一定期間の摩耗量をも把握することができる。これにより、摩耗量判定ライニングプレートを含む多数のライニングプレートの交換時期を、コストや労力をかけずに点検者の目視にて容易に推測することができる。
【0010】
請求項2のライニング構造に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記摩耗量判定ライニングプレートの表面から前記異配色部材までの深さが最も大きい摩耗量判定部位は、前記摩耗量判定ライニングプレートにおいて土砂流下方向上流側の部位に配置されることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、摩耗量判定ライニングプレートの表面から異配色部材までの深さが最も大きい摩耗量判定部位が摩耗量判定ライニングプレートにおいて土砂流下方向上流側の部位、例えば摩耗量判定ライニングプレートにおいて相対的に摩耗の進行が遅いと推測される部位に配置されることで、当該摩耗量判定部位の異配色部材の発現に伴う、摩耗量判定ライニングプレートを含む多数のライニングプレートの交換を早過ぎず、遅過ぎず適切に実施することができる。一方、摩耗量判定ライニングプレートの表面から異配色部材までの深さが最も小さい摩耗量判定部位が、摩耗量判定ライニングプレートにおいて土砂流下方向下流側の部位、例えば摩耗量判定ライニングプレートにおいて相対的に摩耗の進行が早いと推測される部位に配置されることで、摩耗の初期段階を早期に把握することができ、この早い段階にて、摩耗量判定ライニングプレートを含む多数のライニングプレートの交換時期を大略推測することができる。
【0011】
請求項3のライニング構造に係る発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記摩耗量判定ライニングプレートの表面から前記異配色部材までの深さが最も大きい摩耗量判定部位において、前記深さは、前記多数のライニングプレートを前記被保護面に固定する固定ボルトに対する摩耗量の許容限界値より浅く設定されることを特徴とするものである。
なお、摩耗量判定ライニングプレートの表面から異配色部材までの深さが最も大きい摩耗量判定部位において、その深さを、固定ボルトに対する摩耗量の許容限界値と略同じまたは許容限界値よりも深く設定すると、当該摩耗量判定部位の異配色部材が発現した以降、摩耗量判定ライニングプレートを含む多数のライニングプレートの交換を進める際、固定ボルトも摩耗量の許容限界値に到達するために、固定ボルトを容易に取り外すことができず、摩耗量判定ライニングプレートを含む多数のライニングプレートの交換できない虞がある。このような事情に鑑みて、請求項3の発明では、異配色部材の、摩耗量判定ライニングプレートの表面からの深さが最も大きい摩耗量判定部位において、その深さは、固定ボルトに対する摩耗量の許容限界値より浅く設定される。そして、当該摩耗量判定部位の異配色部材が発現した以降、摩耗量判定ライニングプレートを含む多数のライニングプレートの交換を進める際、固定ボルトは摩耗量の許容限界値に到達していないために、固定ボルトを容易に取り外すことができ、摩耗量判定ライニングプレートを含む多数のライニングプレートの交換をスムーズに実施することができる。
【0012】
請求項4のライニング構造に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記摩耗量判定ライニングプレートの土砂流下方向に沿う端部には、その下面が厚さ方向に対して所定の傾斜角度で斜め上方に延びる傾斜面を有する突出部が設けられ、前記摩耗量判定ライニングプレートの土砂流下方向に沿って隣接して判定補助ライニングプレートが配置され、該判定補助ライニングプレートの土砂流下方向に沿う端部には、その上面が厚さ方向に対して所定の傾斜角度で斜め下方に延びる傾斜面を有する突出部が設けられ、前記摩耗量判定ライニングプレートの突出部の傾斜面と、前記判定補助ライニングプレートの突出部の傾斜面とが対向するように配置されることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、摩耗量判定ライニングプレートの突出部の端縁から基準線までの距離を計測することで、摩耗量判定ライニングプレートの摩耗量を定量的に把握することができる。
【0013】
請求項5のライニング構造に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記各異配色部材は、互いに色が異なる樹脂材であることを特徴とするものである。
請求項5の発明では、摩耗量判定ライニングプレートの各摩耗量判定部位が配置される位置に、その下面から深さが異なる小孔をそれぞれ設けて、各小孔に、対応する色の樹脂材を充填させて、各摩耗量判定部位を形成することができる。
【0014】
請求項6のライニング構造に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記摩耗量判定ライニングプレートは、金属製プレートであることを特徴とするものである。
請求項6の発明では、摩耗量判定ライニングプレートにおいて、各摩耗量判定部位の構造を簡易化することができる。
【0015】
請求項7のライニングプレートに係る発明は、被保護面を覆って流下する土砂から保護しつつ、摩耗量を判定可能なライニングプレートであって、該ライニングプレートには、複数の摩耗量判定部位が設けられ、前記各摩耗量判定部位には、互いに色が異なる異配色部材がそれぞれ埋設されており、前記各摩耗量判定部位は、前記ライニングプレートの表面からの深さが異なる位置に、前記各異配色部材がそれぞれ埋設されていることを特徴とするものである。
請求項7の発明では、点検者は目視にて、容易にライニングプレートの摩耗量を段階的に把握することができ、環境条件に伴う一定期間の摩耗量をも把握することができる。これにより、当該ライニングプレートの交換時期を容易に推測することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るライニング構造では、点検者の目視により、容易に多数のライニングプレートの摩耗量を段階的に把握でき、その結果、多数のライニングプレートの交換時期を容易に推測でき、多数のライニングプレートを適宜タイミングで交換することができる。また、本発明に係るライニングプレートでは、容易にその摩耗量を段階的に把握することができ、当該ライニングプレートの交換時期を容易に推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に係るライニング構造全体の断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るライニング構造であって、管胴板の側壁部の表面を覆う摩耗量判定ライニングプレート、各標準ライニングプレート及び判定補助ライニングプレートの正面図である。
図3図3は、図2のA-A線に沿う断面図である。
図4図4は、図3のB部拡大図である。
図5図5(a)は、本発明の実施形態に係るライニング構造に採用された固定ボルトの平面図であり、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図1図5に基づいて詳細に説明する。
図1を参照して、本発明の実施形態に係るライニング構造1は、例えばダム、排砂路設備、ダム放流設備、河川ゲート設備等に設置した放流路や排砂路等の表面3(被保護面)を、交換可能な多数のライニングプレート12、13、14により覆って流下する土砂から保護するものである。本実施形態では、ライニング構造1は、ダムの常用洪水吐きの呑口部や排砂路設備(排砂路)の表面3(被保護面)を保護するために採用されている。図1を参照して、例えば、ダムの常用洪水吐きの呑口部や排砂路には、ステンレス製の管胴板6(固定式ライニング)が備えられている。管胴板6は、一対の側壁部8、8及び底壁部9を有する、上方を開放した正面視コ字状に形成される。なお、図1には、ダムの常用洪水吐きの呑口部に備えた管胴板6が示されている。そして、本発明の実施形態に係るライニング構造1の多数のライニングプレート12、13、14により、管胴板6の一対の側壁部8、8及び底壁部9の表面3(被保護面)を保護している。
【0019】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るライニング構造1は、縦横に整列配置された多数のライニングプレート12、13、14を備えており、多数のライニングプレート12、13、14は、摩耗量を判定可能な摩耗量判定ライニングプレート12及び判定補助ライニングプレート14が多数の標準ライニングプレート13に混在して構成される。摩耗量判定ライニングプレート12及び判定補助ライニングプレート14は、例えば、排砂路設備の排砂路において、その上流側、中流側、下流側それぞれに複数箇所設置される。図2は、管胴板6の側壁部8の表面3を覆う摩耗量判定ライニングプレート12、各標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14の正面図を示しており、本実施形態では、摩耗量判定ライニングプレート12は、八方から標準ライニングプレート13、13及び判定補助ライニングプレート14にて囲まれるように配置される。
【0020】
なお、摩耗量判定ライニングプレート12は、多数の標準ライニングプレート13に対して、規則的または不規則に配置することができ、摩耗量判定ライニングプレート12の、多数の標準ライニングプレート13に対する配置位置は、特に限定されることはない。また、隣接する摩耗量判定ライニングプレート12と標準ライニングプレート13との間、隣接する標準ライニングプレート13、13間、隣接する摩耗量判定ライニングプレート12と判定補助ライニングプレート14との間、及び隣接する標準ライニングプレート13と判定補助ライニングプレート14との間にはエポキシ樹脂が充填される。なお、本実施形態では、充填材としてエポキシ樹脂を採用しているが、他の樹脂材、ゴム材、金属材等を採用してもよい。
【0021】
摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14は、ステンレス製プレートである。なお、摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14を、耐食性または耐摩耗性の優れた他の金属製プレートや、樹脂製またはゴム製プレートにて構成してもよい。図2及び図3を参照して、摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14は、正面視略正方形状の略同一形状である。摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14は、その厚みが同じである。摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14は、複数の固定ボルト15により、管胴板6(一対の側壁部8、8及び底壁部9)の表面3に、エポキシ樹脂26を介して脱着自在に取り付けられる。なお、充填材としてエポキシ樹脂26以外の、他の樹脂材、ゴム材、金属材等を採用してもよい。
【0022】
図2及び図3を参照して、摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14の四隅には、固定ボルト15の挿通孔21がそれぞれ形成される。該挿通孔21は、固定ボルト15の頭部16を収容する大径挿通孔22と、固定ボルト15のねじ部17が挿通される小径挿通孔23と、から構成される。固定ボルト15は、ステンレス製である。本実施形態では、固定ボルト15にステンレス材を採用しているが、他の金属材、樹脂材、ゴム材等を採用してもよい。図5を参照して、固定ボルト15は、頭部16と、ねじ部17とを有する。頭部16の上端面には、一対の工具用孔19、19が形成される。各工具用孔19、19は、頭部16の上端面から所定深さHで穿設される。これら一対の工具用孔19、19に、ライニング着脱用工具(図示略)の一対のシャフト部(図示略)をそれぞれ挿入して、固定ボルト15を回転させることで固定ボルト15を着脱する。
【0023】
そして、摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14の四隅に設けた各挿通孔21に各固定ボルト15を挿入して、ライニング着脱用工具の一対のシャフト部を固定ボルト15の頭部16に設けた一対の工具用孔19、19に挿入し、固定ボルト15を回転させる。その結果、固定ボルト15を、管胴板6(一対の側壁部8、8及び底壁部9)内に埋め込まれた埋込ナット27に予め螺合された六角穴付きねじ込みナット28に螺合させ、摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14を各固定ボルト15により管胴板6の表面3にエポキシ樹脂26を介してそれぞれ固定する。このとき、摩耗量判定ライニングプレート12、標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14の表面と、各固定ボルト15の頭部16の表面とは同一平面上に位置する。固定ボルト15の頭部16と、挿通孔21の大径挿通孔22との間にはエポキシ樹脂が充填される。なお、本実施形態では、充填材としてエポキシ樹脂を採用しているが、他の樹脂材、ゴム材、金属材等を採用してもよい。図3の符号29はワッシャである。
【0024】
図2及び図3を参照して、摩耗量判定ライニングプレート12には、複数の摩耗量判定部位30A、30B、30Cが設けられる。各摩耗量判定部位30A、30B、30Cには、互いに色が異なる異配色部材31A、31B、31Cがそれぞれ埋設されている。各異配色部材31A、31B、31Cの色は、摩耗量判定ライニングプレート12の色(ステンレス鋼の色)と類似しない色に設定される。例えば、複数の摩耗量判定部位30A、30B、30Cのうち、特定の摩耗量判定部位30Aには、赤色の異配色部材31Aが埋設され、また、特定の摩耗量判定部位30Bには、黄色の異配色部材31Bが埋設され、さらに、特定の摩耗量判定部位30Cには、青色の異配色部材31Cが埋設される。なお、本実施形態では、異配色部材31A、31B、31Cに、摩耗量判定ライニングプレート12の色と類似しない色として、赤色、黄色、青色が採用されているが、その他蛍光色等、視認性の良いものを採用することができる。
【0025】
摩耗量判定部位30Aでは、摩耗量判定ライニングプレート12の表面から最も深い位置、すなわち表面からの深さD1の位置に赤色の異配色部材31Aが埋設される。摩耗量判定部位30Bでは、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの深さD2の位置に黄色の異配色部材31Bが埋設される。摩耗量判定部位30Cでは、摩耗量判定ライニングプレート12の表面から最も浅い位置、すなわち表面からの深さD3の位置に青色の異配色部材31Cが埋設される。本実施形態では、上述した深さD1、D2、D3は、D1>D2>D3であり、D1-D2=D2-D3に設定される。
【0026】
摩耗量判定部位30Aにおいて、摩耗量判定ライニングプレート12の表面から赤色の異配色部材31Aまでの深さD1は、多数のライニングプレート12、13、14を、管胴板6(一対の側壁部8、8及び底壁部9)の表面3に固定する固定ボルト15に対する摩耗量の許容限界値に基づいて設定される。具体的には、深さD1は、固定ボルト15に対する摩耗量の許容限界値より浅く設定される。なお、固定ボルト15の対する摩耗量の許容限界値は、例えば、固定ボルト15の頭部16に対する摩耗量の許容限界値である。当該頭部16が摩耗することで、頭部16に設けた一対の工具用孔19、19の深さHが次第に浅くなり、その深さHが略ゼロ付近に到達する。
【0027】
すると、ライニング着脱用工具の一対のシャフト部を一対の工具用孔19、19に安定して挿入できず、固定ボルト15を回転させることが不可能になり、多数のライニングプレート12、13、14を交換することが不可能になる。これに鑑みて、摩耗量判定部位30Aにおいて、摩耗量判定ライニングプレート12の表面から赤色の異配色部材31Aまでの深さD1は、固定ボルト15の頭部16に対する摩耗量の許容限界値、例えば一対の工具用孔19、19の深さHより浅く設定される。
【0028】
なお、各異配色部材31A、31B、31Cは、特別に配合したエポキシ樹脂にフィラー(充填材)を混合したものであり、高強度で耐久性に優れている。すなわち、各異配色部材31A、31B、31Cは、高い、圧縮強度、曲げ強度、引張強度を有し、繰り返し荷重及び熱ショックに優れた耐久性能を有する。また、各異配色部材31A、31B、31Cは、硬化時の発熱抑制及び収縮低減による、優れた寸法安定性能を有している。なお、本実施形態では、各異配色部材31A、31B、31Cにエポキシ樹脂材を採用したが、他の樹脂材、ゴム材、または金属材等を採用してもよい。
【0029】
そして、各摩耗判定部位30A、30B、30Cには、摩耗量判定ライニングプレート12の裏面(管胴板6側の面)から所定深さの小孔33A、33B、33Cがそれぞれ形成される。すなわち、赤色の異配色部材31Aが埋設される摩耗判定部位30Aでは、摩耗量判定ライニングプレート12の厚さ寸法Tとすると、小孔33Aは深さ(T-D1)に設定される。そして、この小孔33Aに赤色の異配色部材31Aが充填される。また、黄色の異配色部材31Bが埋設される摩耗判定部位30Bでは、小孔33Bは深さ(T-D2)に設定される。そして、この小孔33Bに黄色の異配色部材31Bが充填される。さらに、青色の異配色部材31Cが埋設される摩耗判定部位30Cでは、小孔33Cは深さ(T-D3)に設定される。そして、この小孔33Cに青色の異配色部材31Cが充填される。各小孔33A、33B、33Cは円形状に形成される。摩耗判定部位30Aの小孔33Aと、摩耗判定部位30Bの小孔33Bと、摩耗判定部位30Cの小孔33Cとはその内径が略同じである。なお、本実施形態では、各小孔33A、33B、33Cは円形状に形成されているが、矩形状や三角形状、楕円形状、長孔形状等に形成してもよく、その形状が限定されることはない。また、各小孔33A、33B、33Cの大きさも限定されることなく、点検者が適宜目視できる程度の大きさに設定される。
【0030】
図2及び図3を参照して、摩耗量判定ライニングプレート12には、土砂流下方向下流側(以下、単に下流側という)から土砂流下方向上流側(以下、単に上流側という)に沿って、例えば、摩耗の進行が相対的に早いと推測される部位から摩耗の進行が相対的に遅いと推測される部位に沿って、青色の異配色部材31Cが埋設される各摩耗量判定部位30C、黄色の異配色部材31Bが埋設される各摩耗量判定部位30B、赤色の異配色部材31Aが埋設される各摩耗量判定部位30Aが順次配置される。本実施形態では、各摩耗量判定部位30A、30B、30Cは、摩耗量判定ライニングプレート12を固定する4箇所の固定ボルト15、すなわち4箇所の挿通孔21の内側に配置されるが、この位置に限定されるものではない。例えば、青色の異配色部材31Cが埋設される各摩耗量判定部位30Cを、摩耗量判定ライニングプレート12を固定する下流側の各固定ボルト15よりも下流側に配置して、黄色の異配色部材31Bが埋設される各摩耗量判定部位30Bを土砂流下方向略中間位置に配置して、赤色の異配色部材31Aが埋設される各摩耗量判定部位30Aを、摩耗量判定ライニングプレート12を固定する上流側の各固定ボルト15よりも上流側に配置してもよい。なお、本実施形態では、一辺が500mmの正面視正方形の摩耗量判定ライニングプレート12に対して、青色の異配色部材31Cが埋設される各摩耗量判定部位30Cが最も下流側であって、土砂流下方向に対して直交する方向に間隔を置いて3箇所配置される。隣接する、青色の異配色部材31C、31Cが埋設される各摩耗量判定部位30C、30C間の距離L1、L1は100mmにそれぞれ設定される。
【0031】
また、各摩耗量判定部位30C、30Cから上流側に黄色の異配色部材31B、31Bが埋設される各摩耗量判定部位30B、30Bが土砂流下方向に対して直交する方向に間隔を置いて3箇所配置される。隣接する、黄色の異配色部材31B、31Bが埋設される各摩耗量判定部位30B、30B間の距離L1、L1は100mmにそれぞれ設定される。青色の異配色部材31Cが埋設される摩耗量判定部位30Cと、黄色の異配色部材31Bが埋設される摩耗量判定部位30Bとの間の土砂流下方向に沿う距離L2は100mmに設定される。さらに、赤色の異配色部材31A、31Aが埋設される各摩耗量判定部位30A、30Aが、最も上流側であって、土砂流下方向に対して直交する方向に間隔を置いて3箇所配置される。隣接する、赤色の異配色部材31A、31が埋設される各摩耗量判定部位30A、30A間の距離L1、L1は100mmにそれぞれ設定される。黄色の異配色部材31Bが埋設される摩耗量判定部位30Bと、赤色の異配色部材31Aが埋設される摩耗量判定部位30Aとの間の土砂流下方向に沿う距離L3は100mmに設定される。
【0032】
図2図4を参照して、摩耗量判定ライニングプレート12の下流側端部には、その下面が厚さ方向に対して所定の傾斜角度θで斜め上方に延びる傾斜面35を有する突出部36が設けられる。摩耗量判定ライニングプレート12の突出部36全体が、摩耗量判定ライニングプレート12の土砂流下方向に対して直交する方向に沿って配置される各標準ライニングプレート13の下流側端縁よりも下流側に突出している。
【0033】
摩耗量判定ライニングプレート12の下流側には、隣接して判定補助ライニングプレート14が配置される。摩耗量判定ライニングプレート12の突出部36と対向する判定補助ライニングプレート14の上流側端部には、その上面が厚さ方向に対して所定の傾斜角度θで斜め下方に延びる傾斜面38を有する突出部39が設けられる。当該判定補助ライニングプレート14の突出部39全体が、当該判定補助ライニングプレート14の土砂流下方向に対して直交する方向に沿って配置される各標準ライニングプレート13の上流側端縁よりも下流側に位置している。そして、摩耗量判定ライニングプレート12の突出部36の傾斜面35と、判定補助ライニングプレート14の突出部39の傾斜面38とがエポキシ樹脂を介して対向するように配置される。なお、本実施形態では、充填材としてエポキシ樹脂を採用しているが、他の樹脂材、ゴム材、金属材等を採用してもよい。また、本実施形態では、傾斜角度θは、傾斜角度45°に設定されているが、例えば、傾斜角度30°に、あるいは傾斜角度60°に設定されても良く、適宜設定することができる。
【0034】
そして、本実施形態に係るライニング構造1では、多数のライニングプレート12、13、14の摩耗が進行して、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの摩耗量D3に到達すると、各摩耗量判定部位30A、30B、30Cのうち、摩耗量判定部位30Cの青色の異配色部材31Cが発現される。これを点検者が目視することで、多数のライニングプレート12、13、14が摩耗量D3にて摩耗が進んでいることを把握することができる。そして、当該摩耗量判定部位30Cは、摩耗量判定ライニングプレート12の下流側部位、例えば摩耗量判定ライニングプレート12において相対的に摩耗の進行が早いと推測される部位に配置されることで、摩耗の初期段階を把握することができ、この早い段階にて、多数のライニングプレート12、13、14の交換時期を大略推測することができる。
【0035】
さらに摩耗が進行して、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの摩耗量D2に到達すると、各摩耗量判定部位30A、30B、30Cのうち、摩耗量判定部位30Cの青色の異配色部材31Cに加えて、摩耗量判定部位30Bの黄色の異配色部材31Bも発現される。これを点検者が目視することで、多数のライニングプレート12、13、14が摩耗量D2にて摩耗が進んでいることを把握することができる。そして、多数のライニングプレート12、13、14の交換時期を精度良く推測することができる。
【0036】
さらに摩耗が進行して、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの摩耗量D1に到達すると、各摩耗量判定部位30A、30B、30Cのうち、摩耗量判定部位30B、30Cの黄色及び青色の異配色部材31B、31Cに加えて、摩耗量判定部位30Aの赤色の異配色部材31Aも発現される。これを点検者が目視することで、多数のライニングプレート12、13、14が摩耗量D1まで摩耗が進み、摩耗量の許容限界値に到達したことを把握することができる。そして、この時点で、多数のライニングプレート12、13、14の交換が速やかに実施される。
【0037】
この交換時、摩耗量判定ライニングプレート12の各摩耗量判定部位30B、30Cの黄色及び青色の異配色部材31B、31Cの発現により、多数のライニングプレート12、13、14の交換時期を精度良く推測できていたので、新しい多数のライニングプレート12、13、14を交換時期までに容易に準備することができ、摩耗量判定部位30Aの赤色の異配色部材31Aの発現に伴って、多数のライニングプレート12、13、14を速やかにスムーズに交換することができ、またその交換を早過ぎず、遅過ぎず適切に実施することができる。
【0038】
なお、多数のライニングプレート12、13、14が摩耗する過程において、点検者が、摩耗量判定ライニングプレート12の突出部36の端縁から基準線(図2参照)までの距離W(図4参照)を適宜計測することで、摩耗量判定ライニングプレート12の摩耗量を定量的に速やかに把握することができ、ひいては多数のライニングプレート12、13、14の摩耗量を定量的に速やかに把握することができる。なお、前記基準線は、図2を参照して、摩耗量判定ライニングプレート12の土砂流下方向に対して直交する方向に沿って配置される各標準ライニングプレート13の下流側端縁を結ぶ線である。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るライニング構造1では、多数のライニングプレート12、13、14に含まれる摩耗量判定ライニングプレート12には、複数の摩耗量判定部位30A、30B、30Cが設けられ、各摩耗量判定部位30A、30B、30Cには、赤色、黄色、青色の異配色部材31A、31B、31Cがそれぞれ埋設されており、各摩耗量判定部位30A、30B、30Cは、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの深さD1、D2、D3が異なる位置に、赤色、黄色、青色の異配色部材31A、31B、31Cがそれぞれ埋設されている。言い換えれば、各摩耗量判定部位30A、30B、30Cでは、赤色の異配色部材31Aが埋設される、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの深さ位置D1と、黄色の異配色部材31Bが埋設される、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの深さ位置D2と、青色の異配色部材31Cが埋設される、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの深さ位置D3とがそれぞれ相違される。
【0040】
そして、多数のライニングプレート12、13、14に対して摩耗が進行して、摩耗量判定ライニングプレート12の表面からの摩耗量D3、D2、D1に順次到達すると、各摩耗量判定部位30C、30B、30Aにおいて、青色、黄色、赤色の異配色部材31C、31B、31Aが順次発現される。その結果、作業者が目視にて、摩耗量判定ライニングプレート12、ひいてはその他多数の標準ライニングプレート13及び判定補助ライニングプレート14の摩耗量D3、D2、D1を段階的に把握することができる。言い換えれば、点検者は目視にて、摩耗量判定ライニングプレート12、ひいてはその他多数のライニングプレート13、14の摩耗量を傾向管理することができる。しかも、環境条件に伴う一定期間の摩耗量をも把握することができる。これにより、多数のライニングプレート12、13、14の交換時期を、コストや労力をかけずに点検者の目視にて容易に、また精度良く推測することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るライニング構造1では、摩耗量判定ライニングプレート12の表面から赤色の異色配色部材31Aまでの深さD1が最も大きい摩耗量判定部位30Aが、摩耗量判定ライニングプレート12において土砂流下方向上流側の部位、例えば摩耗量判定ライニングプレート12において相対的に摩耗の進行が遅いと推測される部位に配置される。これにより、摩耗量判定部位30Aの赤色の異配色部材31Aの発現に伴って、多数のライニングプレート12、13、14を速やかに交換し、その交換作業を早過ぎず、遅過ぎず適切に実施することができる。
【0042】
さらに、本実施形態に係るライニング構造1では、摩耗量判定部位30Aにおいて、摩耗量判定ライニングプレート12の表面から赤色の異配色部材31Aまでの深さD1は、固定ボルト15に対する摩耗量の許容限界値より浅く設定される。そして、摩耗量判定部位30Aにて赤色の異配色部材31Aが発現した以降、多数のライニングプレート12、13、14の交換を進める際、固定ボルト15は摩耗量の許容限界値に到達していないために、固定ボルト15を回転させて容易に取り外すことができ、多数のライニングプレート12、13、14の交換作業をスムーズに実施することができる。
【0043】
さらにまた、本実施形態に係るライニング構造1では、摩耗量判定ライニングプレート12の下流側端部には、その下面が厚さ方向に対して所定の傾斜角度θで斜め上方に延びる傾斜面35を有する突出部36が設けられ、摩耗量判定ライニングプレート12の下流側に隣接する判定補助ライニングプレート14の上流側端部には、その上面が厚さ方向に対して所定の傾斜角度θで斜め下方に延びる傾斜面38を有する突出部39が設けられ、摩耗量判定ライニングプレート12の突出部36の傾斜面35と、判定補助ライニングプレート14の突出部39の傾斜面38とがエポキシ樹脂を介して対向するように配置される。そして、摩耗量判定ライニングプレート12の突出部36の端縁から基準線までの距離Wを適宜計測することで、摩耗量判定ライニングプレート12の摩耗量を定量的に速やかに把握することができ、ひいては多数のライニングプレート12、13、14の摩耗量を定量的に速やかに把握することができる。
【0044】
さらにまた、本実施形態に係るライニング構造1では、摩耗量判定ライニングプレート12は金属製であり、また各異配色部材31A、31B、31Cは、互いに色が異なる(赤色、黄色、青色)エポキシ樹脂材であるので、摩耗量判定ライニングプレート12の各摩耗量判定部位30A、30B、30Cの構造を簡易化することができ、各摩耗量判定部位30A、30B、30Cに対する加工性が優れたものになる。
【0045】
なお、本実施形態に係るライニング構造1では、摩耗量判定ライニングプレート12の下流側端部に傾斜面35を有する突出部36が設けられ、摩耗量判定ライニングプレート12の下流側に隣接する判定補助ライニングプレート14の上流側端部に傾斜面38を有する突出部39が設けられているが、摩耗量判定ライニングプレート12の上流側端部に傾斜面35を有する突出部36を設け、摩耗量判定ライニングプレート12の上流側に隣接する判定補助ライニングプレート14の下流側端部に傾斜面38を有する突出部39を設けてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、管胴板6の表面3を覆う多数のライニングプレート12、13、14を含むライニング構造1を採用したが、摩耗量判定ライニングプレート12を独立して他の設置場所に採用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 ライニング構造,6 管胴板,3 表面(被保護面),12 摩耗量判定ライニングプレート,13 標準ライニングプレート,14 判定補助ライニングプレート,15 固定ボルト,30A、30B、30C 摩耗量判定部位,31A、31B、31C 異配色部材,35 傾斜面,36 突出部,38 傾斜面,39 突出部
図1
図2
図3
図4
図5