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特開2024-21815表示装置用パネル、表示装置用筐体、及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021815
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表示装置用パネル、表示装置用筐体、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240208BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G02F1/1335
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124914
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100218855
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 政輝
(72)【発明者】
【氏名】舩木 速人
(72)【発明者】
【氏名】武田 忠
【テーマコード(参考)】
2H291
5G435
【Fターム(参考)】
2H291FA13X
2H291FA81Z
2H291FA95X
2H291GA02
2H291LA21
2H291LA40
5G435AA01
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB12
5G435DD12
5G435EE02
5G435FF13
5G435GG43
5G435HH02
(57)【要約】
【課題】ディスプレイ機器に適用される表示装置用パネルであって、ディスプレイ機器が表示する画像の優れた視認性と、ディスプレイ機器が画像を表示していないときの印刷層の絵柄の優れた視認性との両立が可能である表示装置用パネルを提供する。
【解決手段】印刷層と、隠蔽層と、を備える積層構造を有し、印刷層は、当該印刷層の他の領域と比較して低い印刷濃度で印刷されている低濃度領域を有する、表示装置用パネル。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷層と、隠蔽層と、を備える積層構造を有し、
前記印刷層は、当該印刷層の他の領域と比較して低い印刷濃度で印刷されている低濃度領域を有する、表示装置用パネル。
【請求項2】
前記印刷層において前記低濃度領域が規則的に配置されている、請求項1に記載の表示装置用パネル。
【請求項3】
前記低濃度領域がヘアライン状に配置されている、請求項1に記載の表示装置用パネル。
【請求項4】
前記低濃度領域の印刷濃度が、前記他の領域を印刷する印刷濃度の50~80%である、請求項1に記載の表示装置用パネル。
【請求項5】
前記印刷層がインクジェット印刷法により印刷されている、請求項1に記載の表示装置用パネル。
【請求項6】
前記印刷層と前記隠蔽層の間に配置された透明基材を更に備える、請求項1に記載の表示装置用パネル。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の表示装置用パネルと、
前記表示装置用パネルを支持する支持体と、
を備える、表示装置用筐体。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の表示装置用パネルと、
ディスプレイ機器と、
を備え、
前記表示装置用パネルの前記印刷層と前記ディスプレイ機器との間に前記隠蔽層が配置されている、表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は表示装置用パネル、表示装置用筐体、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁面等の装飾用シートとして、基材と、基材の表面に設けられた印刷層とを備え、印刷層が木目柄や抽象柄などの絵柄を有する積層シートが知られている。この積層シートが設けられた壁面においては、常時、上記絵柄が視認される。一方、積層シートの裏面側に光源が設置され、光源の点灯により、印刷層の絵柄とは異なる絵柄を表示可能な積層シートも知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、絵柄部と透過部を有する加飾シートにおいて、開口率及び透過部の間の距離が特定の値以上であることで、表示装置の表示面に画像を表示しない場合は絵柄部の絵柄が視認され、画像を表示した場合は画像光が透過部を透過し、外部から画像を視認できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6696014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の加飾シートのように、絵柄を印刷しない透過部を設けると、ディスプレイ機器が画像を表示していないときに絵柄が途切れて見えてしまうため、好ましくない。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ディスプレイ機器に適用される表示装置用パネルであって、ディスプレイ機器が表示する画像の優れた視認性と、ディスプレイ機器が画像を表示していないときの印刷層の絵柄の優れた視認性との両立が可能である表示装置用パネルを提供する。また、本開示は、当該表示装置用パネルを用いた表示装置用筐体及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面は、印刷層と、隠蔽層と、を備える積層構造を有し、印刷層は、当該印刷層の他の領域と比較して低い印刷濃度で印刷されている低濃度領域を有する、表示装置用パネルに関する。
【0008】
上記表示装置用パネルは、印刷層が、印刷層の他の領域と比較して低い印刷濃度で印刷されている低濃度領域を有することにより、低濃度領域が他の領域よりも高い光透過性を有するため、ディスプレイ機器が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる。一方、ディスプレイ機器が画像を表示していないときは、印刷層の絵柄が低濃度領域と他の領域とで連続的に印刷されているように見えるため、印刷層の絵柄の視認性が優れる。
【0009】
上記表示装置用パネルにおいて、上記印刷層において上記低濃度領域が規則的に配置されていてもよい。上記低濃度領域が規則的に配置されていることにより、印刷層の絵柄全体が均一に印刷されているように見えるため、印刷層の絵柄の視認性がより優れる。
【0010】
上記表示装置用パネルは、上記低濃度領域がヘアライン状に配置されていてもよい。上記低濃度領域がヘアライン状に配置されていることにより、各低濃度領域は十分に細いことから、印刷層の絵柄全体が均一に印刷されているように見えるため、印刷層の絵柄の視認性がより優れる。
【0011】
上記表示装置用パネルは、上記低濃度領域の印刷濃度が上記他の領域の最大印刷濃度の50~80%であってもよい。上記低濃度領域の印刷濃度が上記他の領域の最大印刷濃度の50~80%であることにより、ディスプレイ機器が表示する画像の優れた視認性と、ディスプレイ機器が画像を表示していないときの印刷層の絵柄の優れた視認性との両立をより達成しやすくなる。
【0012】
上記表示装置用パネルは、上記印刷層がインクジェット印刷法により印刷されていてもよい。上記印刷層がインクジェット印刷法により印刷されていることにより、印刷層の低濃度領域の印刷濃度を調整しやすいと共に、印刷層の絵柄を表示装置の設置環境に応じて変更し易くなる。
【0013】
上記表示装置用パネルは、上記印刷層と上記隠蔽層の間に配置された透明基材を更に備えていてもよい。上記透明基材が上記印刷層と上記隠蔽層の間に配置されていていることにより、ディスプレイ機器が表示する画像の視認性がより優れる。
【0014】
本開示の他の一側面は、上表示装置用パネルと、上記表示装置用パネルを支持する支持体と、を備える、表示装置用筐体に関する。このような表示装置用筐体をディスプレイ機器に適用することにより、ディスプレイ機器が表示する画像の優れた視認性と、ディスプレイ機器が画像を表示していないときの印刷層の絵柄の優れた視認性とを両立した表示装置を提供できる。
【0015】
本開示の他の一側面は、上記表示装置用パネルと、ディスプレイ機器と、を備え、上記表示装置用パネルの上記印刷層と上記ディスプレイ機器との間に上記隠蔽層が配置されている、表示装置に関する。このような表示装置は、ディスプレイ機器が表示する画像の優れた視認性と、ディスプレイ機器が画像を表示していないときの印刷層の絵柄の優れた視認性とを両立できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、ディスプレイ機器に適用される表示装置用パネルであって、ディスプレイ機器が表示する画像の優れた視認性と、ディスプレイ機器が画像を表示していないときの印刷層の絵柄の優れた視認性との両立が可能である表示装置用パネルが提供される。また、本開示によれば、当該表示装置用パネルを用いた表示装置用筐体及び表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は表示装置が壁面に設置された状態を模式的に示す断面図である。
図2図2図1に示す表示装置用パネルの構成の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は図1に示す表示装置の表面の状態の一例をそれぞれ示す正面図であり、図3(a)は積層シートの裏面側に配置されている画面が黒色のときの状態を示し、図3(b)は上記画面に画像が表示されている状態を示す。
図4図4は一実施形態に係る表示装置用パネルの印刷層の正面視の部分拡大図である。
図5図5は他の実施形態に係る表示装置用パネルの印刷層の正面視の部分拡大図である。
図6図6は表示装置用パネルの他の実施形態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、図面は模式的なものであり、例えば、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本開示の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本開示の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに限定されるものではない。
【0019】
図1は本実施形態に係る表示装置100が壁面Wに設置された状態を模式的に示す断面図である。表示装置100は、表示装置用パネル20Aと、ディスプレイ機器30とを備える。ディスプレイ機器30は、例えば、壁面Wに固定されている。ディスプレイ機器30は、その内部には光源35を備え、例えば、液晶モニター、有機ELモニター、LEDモニターである。また、表示装置100は、表示装置用パネル20Aを支持する支持体40を備える。すなわち、表示装置100は、表示装置用パネル20Aと、表示装置用パネル20Aを支持する支持体40とを備える表示装置用筐体50及びディスプレイ機器30を備えるともいえる。支持体40は、強度が確保できる材質(例えば、鉄製)であり、壁面Wに対して治具(不図示)により固定される。支持体40には開口部(窓部)42が設けられている。開口部42には、ディスプレイ機器30が配置されている。ディスプレイ機器30の表面30Sと、支持体40の表面40Sとは、略同一平面上であってもよい。
【0020】
図2は、図1に示す表示装置用パネル20Aの構成を模式的に示す断面図である。図2に示されるように、表示装置用パネル20Aは、一例として、ディスプレイ機器30が存在する側を内側として、印刷層1を有する化粧シート15と、第一の透明基材11と、隠蔽層5と、を外側から内側に向けてこの順序で備える。化粧シート15は、図2に示されるように第二の透明基材12を備えていてもよい。各層の間には、層同士を接着する接着剤層(図示せず)が設けられていてもよい。
【0021】
表示装置用パネル20Aは、画面32に画像が表示されていないとき、印刷層1の絵柄が暗く見えることを抑制できる十分な隠蔽性を有する。他方、画面32に画像が表示されているとき、画像の視認性が優れる。なお、表示装置用パネル20Aが設置されている空間の明るさ(面F1側の明るさ)よりも、画像によって照らされる面F2側の明るさを強くすることにより、ディスプレイ機器30が表示する画像をより鮮明に表示することができる。
【0022】
図3(a)は表示装置100の表面の状態の一例を示す正面図であり、画面32に画像が表示されていない状態を示す。表示装置100の表面は、例えば、濃い茶色を基調にした木目柄であり、周囲の壁面と調和がとれており、ディスプレイ機器30が存在していないように見える。他方、図3(b)は表示装置100の表面の状態の一例を示す正面図であり、画面32の画像が表示装置100の表面(面F1)に投影されている状態を示す。表示装置100の表面には、例えば、図3に示されるように、日付、時刻、天気予報等の情報が表示される。
【0023】
以下、表示装置用パネル20Aの各層について説明する。
【0024】
(化粧シート)
化粧シート15は、例えば、印刷層1と第二の透明基材12とを有する。
【0025】
(印刷層)
印刷層1は、表示装置用パネル20Aに意匠性を付与する目的で設けられる層である。印刷層1の少なくとも一部の領域は、光透過性を有しており、ディスプレイ機器30が表示する画像を表示装置用パネル20Aの外側から視認できる。印刷層1は、例えば、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法により透明基材(例えば、第一の透明基材11、第二の透明基材12)の表面上に形成することができる。
【0026】
印刷層1の絵柄は、表示装置の設置場所の環境に応じて決定することができる。印刷層1の絵柄としては、例えば、木目柄、石目柄、及び抽象柄が挙げられる。
【0027】
図4及び図5は、それぞれ、表示装置用パネル20Aの印刷層1の一例を示す部分拡大図である。図4図5に示されるように、印刷層1A,1Bは、低濃度領域2と他の領域(低濃度領域2以外の領域)3とを有する。低濃度領域2は、他の領域3と比較して低い印刷濃度で印刷されている。印刷層1A,1Bが、印刷層1A,1Bの他の領域3と比較して低い印刷濃度で印刷されている低濃度領域2を有することにより、低濃度領域2が他の領域3よりも高い光透過性を有するため、ディスプレイ機器30が画像を表示しているときは、画像の視認性が優れる。一方、ディスプレイ機器30が画像を表示していないときは、印刷層1A,1Bの絵柄が低濃度領域2と他の領域3とで連続的に印刷されているように見えるため、印刷層1A,1Bの絵柄の視認性が優れる。印刷層1A,1B全体が低濃度領域2を有していてもよく、印刷層1A,1Bの一部のみが低濃度領域2を有していてもよい。例えば、印刷層1A,1Bは、ディスプレイ機器が表示する画像を投影する箇所にのみ低濃度領域2を有していてもよい。
【0028】
低濃度領域2の形状としては、例えば、円形状、楕円形状、矩形状、多角形状、及び線状が挙げられる。低濃度領域2が円形状である場合、低濃度領域2の直径は、例えば、10μm以上であってもよく、1mm以下であってもよい。低濃度領域2が矩形状である場合、低濃度領域2の1辺の長さは、例えば、10μm以上であってもよく、1mm以下であってもよい。低濃度領域2が線状である場合、低濃度領域2の長さは、例えば、10μm以上であってもよく、5mm以下であってもよい。
【0029】
図4に示されるように印刷層1Aにおいて低濃度領域2は、規則的に配置されていてもよい。低濃度領域2が規則的に配置されているとは、例えば、低濃度領域2が横方向及び/又は縦方向に等間隔に配置されていることを意味する。低濃度領域2が規則的に配置されていることにより、印刷層1Aの絵柄全体が均一に印刷されているように見えるため、印刷層1Aの絵柄の視認性がより優れる。低濃度領域2が規則的に配置されている場合、低濃度領域2同士の間隔は、例えば、10μm以上であってもよく、1mm以下であってもよい。
【0030】
図5に示されるように印刷層1Bにおいて低濃度領域2は、不規則に配置されていてもよく、ヘアライン状に配置されていてもよい。低濃度領域2がヘアライン状に配置されているとは、図5に示されるように、低濃度領域2が線状であり、略平行に配置されていることを意味する。低濃度領域2がヘアライン状に配置されていることにより、各低濃度領域2が十分細いことから、印刷層1Bの絵柄全体が均一に印刷されているように見えるため、印刷層1Bの絵柄の視認性がより優れる。低濃度領域2がヘアライン状に配置されている場合、低濃度領域2同士の間隔は、例えば、10μm以上であってもよく、1mm以下であってもよい。低濃度領域2がヘアライン状に配置されている場合、1mmの幅に低濃度領域2が3~4本形成されていてもよい。
【0031】
印刷層1は、例えば、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法により透明基材(例えば、第一の透明基材11、第二の透明基材12)の表面上に形成することができる。すなわち、印刷層1A,1Bの低濃度領域2及び他の領域3は、例えば、インクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法により透明基材に印刷することができる。
【0032】
低濃度領域2の印刷濃度は、他の領域3を印刷する印刷濃度の5~95%であってもよい。他の領域3を印刷する印刷濃度とは、他の領域3を印刷するときの濃度の設定値を意味し、印刷層1に印刷される絵柄が本来印刷されるべき印刷濃度を意味する。すなわち、低濃度領域2が他の領域3を印刷する印刷濃度で印刷された場合(すなわち、低濃度領域2が他の領域3を印刷する印刷濃度の100%で印刷された場合)には、低濃度領域2と他の領域3との境界が認識できないように絵柄が印刷される。低濃度領域2の印刷濃度は、ディスプレイ機器30が画像を表示していないときの印刷層1A,1Bの絵柄の視認性が向上する観点から、他の領域3を印刷する印刷濃度の20%以上、40%以上、又は50%以上であってもよい。低濃度領域2の印刷濃度は、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性が向上する観点から、他の領域3を印刷する印刷濃度の90%以下又は80%以下であってもよい。低濃度領域2の印刷濃度は、他の領域3を印刷する印刷濃度の20~90%、40~90%、又は50~80%であってもよい。
【0033】
印刷層1の厚さは、画面32に画像が表示されていないとき、印刷層1の絵柄が暗く見えることを抑制する観点から、0.5μm以上、1μm以上、又は2μm以上であってもよい。印刷層1の厚さは、画面32に画像が表示されているとき、画像の視認性がより優れる観点から、30μm以下、20μm以下、又は15μm以下であってもよい。
【0034】
(第二の透明基材12)
第二の透明基材12は、印刷層1を形成する基材として用いられる層である。第二の透明基材は、印刷層1を保護し、印刷層1の劣化を抑制する観点から、表示装置用パネル20Aの外側(面F1側)に配置されていてもよい。言い換えると、表示装置用パネル20Aは、図2に示されるように、ディスプレイ機器30が存在する側を内側として、第二の透明基材12、印刷層1、及び隠蔽層5を外側から内側に向けてこの順序で備えていてもよい。
【0035】
第二の透明基材12は、優れた可視光透過性を有し、例えば、透明性を有する樹脂により形成されている。第二の透明基材12は、ディスプレイ機器30から発生られる熱に耐え得る材料で構成されていてもよい。第二の透明基材12は、第二の透明基材12が優れた透明性及び優れた耐熱性を有する観点から、PET、アクリル、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、又はポリプロピレン等で形成されていてもよい。
【0036】
第二の透明基材12の厚さは、表示装置用パネル20Aが十分な強度を有する観点から、25μm以上、50μm以上、又は75μm以上であってもよい。第二の透明基材12の厚さは、表示装置用パネル20Aが過度に厚くなることを抑制する観点から、500μm以下、350μm以下、又は250μm以下であってもよい。
【0037】
(第一の透明基材)
第一の透明基材11は、印刷層1とディスプレイ機器30との間に配置される層であり、印刷層1、第一の透明基材11、及び隠蔽層5がこの順序で配置されていてもよく、印刷層1、隠蔽層5、及び第一の透明基材11がこの順序で配置されていてもよい。第一の透明基材11は、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点から、印刷層1と隠蔽層5との間に配置されていてもよい。第一の透明基材11は、透明性を有する材料で形成され、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ガラス、PETで形成される。
【0038】
第一の透明基材11の隠蔽層5側の表面は、平坦であってもよく、ディスプレイ機器30及び/又は支持体40の形状に応じて凹凸が形成されていてもよい。例えば、第一の透明基材11は、支持体40の開口部45にはめ込まれるように、第一の透明基材11の隠蔽層5側の表面の一部に凸部が形成されていてもよい。
【0039】
第一の透明基材11の厚さは、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点及び表示装置用パネル20Aが十分な強度を有する観点から、0.2mm以上、0.5mm以上、又は1mm以上であってもよい。第一の透明基材11の厚さは、表示装置用パネル20Aが過度に厚くなることを抑制する観点から、10mm以下、8mm以下、又は5mm以下であってもよい。印刷層1と隠蔽層5との間に配置される層が第一の透明基材11のみである場合、第一の透明基材11の厚さが印刷層1から隠蔽層5までの距離に相当するため、このときの第一の透明基材11の厚さは0.2mm以上である。
【0040】
(隠蔽層)
隠蔽層5は、表示装置用パネル20Aの内側(面F2側)の構成が透けて見えることを抑制する層である。隠蔽層5の印刷層1側の表面5Saの色は、画面32に画像が表示されていないとき、印刷層1の絵柄が暗く見えることを抑制する観点から、白色であってよい。隠蔽層5の可視光線透過率は、例えば、10%以上であってもよく、70%以下であってもよい。
【0041】
隠蔽層5は、表示装置用パネル20Aの内側に配置される。隠蔽層5が表示装置用パネル20Aの内側に配置されることにより、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性が優れる。隠蔽層5は、表示装置用パネル20Aの一方の表面上(面F2側の表面上)に形成された層であってもよい。
【0042】
ディスプレイ機器30の表面から隠蔽層5までの距離(ディスプレイ機器30の表面30Sから隠蔽層5の印刷層1とは反対側の表面5Sbまでの距離)は、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点から、10mm以下、5mm以下、又は3mm以下であってもよい。ディスプレイ機器30の表面と隠蔽層5とは実質的に接触する(ディスプレイ機器30の表面から隠蔽層5までの距離が0mmである)態様であってもよい。
【0043】
隠蔽層5は、例えば、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法により、第一の透明基材11の表面上に形成することができる。隠蔽層5は、例えば、酸化チタンを含有する白色インキを用いて形成される。
【0044】
隠蔽層5の厚さは、画面32に画像が表示されていないとき、印刷層1の絵柄が暗く見えることを抑制する観点から、1μm以上、3μm以上、又は5μm以上であってもよい。隠蔽層5の厚さは、ディスプレイ機器30が表示する画像の視認性がより優れる観点から、30μm以下、25μm以下、又は20μm以下であってもよい。
【0045】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態においては、印刷層1と隠蔽層5との間に、第一の透明基材11のみを備える表示装置用パネル20Aを例示したが、図6に示されるように、印刷層1と第一の透明基材11との間に第三の透明基材13を更に備えてもよい。
【0046】
図6に示す表示装置用パネル20Bは、ディスプレイ機器30が存在する側を内側として、第二の透明基材12及び印刷層1を有する化粧シート15と、第三の透明基材13と、第一の透明基材11と、隠蔽層5と、を外側から内側に向けてこの順序で備える。表示装置用パネル20Bにおける印刷層1、第二の透明基材12、第一の透明基材11、及び隠蔽層5は、上記の表示装置用パネル20Aと同様のものであってもよい。
【0047】
第三の透明基材13は、印刷層1の内側の表面1S側に配置され、印刷層1を保護するために配置される層である。第三の透明基材13は、透明性を有する材料で形成され、例えば、PET、アクリル、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、又はポリプロピレン等で形成される。
【0048】
第三の透明基材13の厚さは、印刷層1を十分に保護する観点から、25μm以上、50μm以上、又は75μm以上であってもよい。第三の透明基材13の厚さは、表示装置用パネル20Bが過度に厚くなることを抑制する観点から、500μm以下、350μm以下、又は250μm以下であってもよい。
【0049】
上記実施形態においては、隠蔽層5が表示装置用パネル20A,20Bの一方の表面上(面F2側の表面上)に形成されたものを例示したが、表示装置用パネル20A,20Bの内側(面F2側)には隠蔽層5以外の層が配置されていてもよい。例えば、上記の第三の透明基材13が印刷層1と隠蔽層5との間に配置され、第一の透明基材11が隠蔽層5の第三の透明基材13とは反対側に配置されていてもよく、印刷層1、隠蔽層5、第三の透明基材13、及び第一の透明基材11がこの順序で配置されていてもよい。
【0050】
上記実施形態に係る表示装置用パネルは、例えば、透明基材の一方の表面上に、印刷層を形成する工程(印刷層形成工程)と、透明基材の他の一方の表面上に隠蔽層を形成する工程(隠蔽層形成工程)とを備え、印刷層形成工程が、印刷層が他の領域と比較して低い印刷濃度で印刷されている低濃度領域を有するように印刷層を形成する工程(低濃度領域形成工程)を含む、方法により製造することができる。
【0051】
上記の表示装置用パネルの製造方法において、印刷層形成工程は、低濃度領域の印刷濃度を元データ濃度に対して5~95%に調整する工程を低濃度領域形成工程よりも前に更に含んでもよい。元データ濃度とは、低濃度領域以外の他の領域を印刷するときの濃度の設定値を意味し、印刷層に印刷される絵柄が本来印刷されるべき印刷濃度を意味する。低濃度領域の印刷濃度は、元データ濃度に対して20~90%、40~90%、又は50~80%に調整してもよい。
【0052】
本開示は以下の発明に関する。
[1]印刷層と、隠蔽層と、を備える積層構造を有し、
前記印刷層は、当該印刷層の他の領域と比較して低い印刷濃度で印刷されている低濃度領域を有する、表示装置用パネル。
[2]前記印刷層において前記低濃度領域が規則的に配置されている、[1]に記載の表示装置用パネル。
[3]前記低濃度領域がヘアライン状に配置されている、[1]に記載の表示装置用パネル。
[4]前記低濃度領域の印刷濃度が前記他の領域を印刷する印刷濃度の50~80%である、[1]~[3]のいずれかに記載の表示装置用パネル。
[5]前記印刷層がインクジェット印刷法により印刷されている、[1]~[4]のいずれかに記載の表示装置用パネル。
[6]前記印刷層と前記隠蔽層の間に配置された透明基材を更に備える、[1]~[5]のいずれかに記載の表示装置用パネル。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の表示装置用パネルと、
前記表示装置用パネルを支持する支持体と、
を備える、表示装置用筐体。
[8][1]~[6]のいずれかに記載の表示装置用パネルと、
ディスプレイ機器と、
を備え、
前記表示装置用パネルの前記印刷層と前記ディスプレイ機器との間に前記隠蔽層が配置されている、表示装置。
【実施例0053】
以下、本開示の実施例及び比較例について説明する。なお、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
基材として、厚さ50μmのPETフィルム(透明基材)を準備した。インクジェット装置を使用してPETフィルムの一方の表面に木目柄の印刷層を形成し、化粧シートを作製した。印刷層は、直径200μmの円形状の低濃度領域を縦方向又は横方向にそれぞれ200μm間隔で格子状に配置して形成した。低濃度領域の印刷濃度は、低濃度領域以外の領域を印刷する印刷濃度の50%とした。次いで、印刷層の表面上に、インクジェット装置を使用して隠蔽層を形成し、表示装置用パネルを作製した。隠蔽層は白色であり、隠蔽層の厚さは6μmであり、可視光線透過率は55%であった。
【0055】
(実施例2)
低濃度領域を1辺が1mmの正方形として縦方向又は横方向にそれぞれ1mm間隔で格子状に配置したこと、低濃度領域の印刷濃度を低濃度領域以外の領域を印刷する印刷濃度の80%にしたこと以外は実施例1と同様にして表示装置用パネルを作製した。
【0056】
(実施例3)
低濃度領域をヘアライン状に配置したこと、低濃度領域の印刷濃度を低濃度領域以外の領域を印刷する印刷濃度の90%にしたこと以外は実施例1と同様にして表示装置用パネルを作製した。
【0057】
(実施例4)
低濃度領域の印刷濃度を低濃度領域以外の領域を印刷する印刷濃度の75%にしたこと、接着剤層を介して厚さ100μmのPETフィルムを隠蔽層の表面に積層したこと、透明基材(厚さ50μmのPETフィルム)の印刷層とは反対側の表面に接着剤層を介して厚さ80μmのアクリルフィルムを積層したこと以外は実施例3と同様にして表示装置用パネルを作製した。
【0058】
(比較例1)
低濃度領域を配置しなかった(印刷層全体を印刷濃度100%で印刷した)こと以外は実施例1と同様にして表示装置用パネルを作製した。
【0059】
(比較例2)
低濃度領域の印刷濃度を低濃度領域以外の領域を印刷する印刷濃度の0%にしたこと以外は実施例1と同様にして表示装置用パネルを作製した。
【0060】
<評価>
実施例及び比較例の表示装置用パネルの透明基材(厚さ50μmのPETフィルム)を外側として、表示装置用パネルの内側にディスプレイ機器(液晶モニター)を設置した。表示装置用パネルとディスプレイ機器の間隔は3mmとした。ディスプレイ機器の電源がオンの状態とオフの状態の視認性を評価した。評価は4名の被験者が目視で行い、評価基準は以下のとおりとした。表1に評価結果の平均値を示す。
【0061】
[ディスプレイ機器の電源がオンのとき]
5点:液晶モニターに表示されている映像及び文字が明るく見える。
3点:液晶モニターに表示されている映像及び文字がやや暗く見える。
1点:液晶モニターに表示されている映像及び文字がかなり暗く見える。
【0062】
[ディスプレイ機器の電源がオフのとき]
5点:印刷層の木目柄が違和感なく(途切れなく)見える。
3点:印刷層の木目柄がやや粗く(ややがさついて又は部分的に途切れて)見える。
1点:印刷層の木目柄がかなり粗く(かなりがさついて又は全体的に途切れて)見える。
【0063】
【表1】
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B…印刷層、2…低濃度領域、3…他の領域、5…隠蔽層、11…第一の透明基材、12…第二の透明基材、13…第三の透明基材、15…化粧シート、20A,20B…表示装置用パネル、30…ディスプレイ機器、32…画面、35…光源、40…支持体、42…開口部、50…表示装置用筐体、100…表示装置、W…壁面。

図1
図2
図3
図4
図5
図6