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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021834
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】荷役システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/24 G
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124954
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】葛堀 健一
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BD02
3F333BG05
3F333FA29
3F333FD06
3F333FD14
3F333FE04
3F333FE05
3F333FE07
3F333FE08
3F333FE09
(57)【要約】
【課題】荷役車両の速度を決定すること。
【解決手段】荷役車両は、車両側制御装置と、カメラと、を備える。車両側制御装置は、カメラによる撮像で得られた画像データであって荷役車両による荷役の対象となる荷を撮像した画像データを取得する。車両側制御装置は、画像データから荷の種類を判別する。車両側制御装置は、荷の種類から荷役車両の速度を決定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置を備え、
前記制御装置は、
カメラによる撮像で得られた画像データであって荷役車両による荷役の対象となる荷を撮像した画像データを取得し、
前記画像データから前記荷の種類を判別し、
前記荷の種類から前記荷役車両の速度を決定する、荷役システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記荷の重量を検出する重量センサによって得られた重量データを取得し、
前記画像データ、及び前記重量データから前記荷の種類を判別する、請求項1に記載の荷役システム。
【請求項3】
前記荷役車両は、前記荷を搬送する搬送車両から前記荷を荷取りするものであり、
前記制御装置は、
前記搬送車両によって搬送される前記荷に関する情報である運行情報を取得し、
前記画像データ、及び前記運行情報から前記荷の種類を判別する、請求項1に記載の荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷役システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の荷役車両は、制御装置を備える。制御装置の制御によって荷役車両は、自動での走行、及び自動での荷役を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-79136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御装置は、荷役車両を制御する際に、荷役車両の速度を決定する。そして、制御装置は、決定した速度で荷役車両が動作するように制御を行う。荷役車両の速度を決定する際には、適切な速度を決定することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する荷役システムは、制御装置を備え、前記制御装置は、カメラによる撮像で得られた画像データであって荷役車両による荷役の対象となる荷を撮像した画像データを取得し、前記画像データから前記荷の種類を判別し、前記荷の種類から前記荷役車両の速度を決定する。
【0006】
荷の種類によって荷役車両の適切な速度は異なる。制御装置は、荷の種類から荷役車両の速度を決定する。このため、制御装置は、荷の種類に応じて、適切な速度を決定することができる。
【0007】
上記荷役システムについて、前記制御装置は、前記荷の重量を検出する重量センサによって得られた重量データを取得し、前記画像データ、及び前記重量データから前記荷の種類を判別してもよい。
【0008】
上記荷役システムについて、前記荷役車両は、前記荷を搬送する搬送車両から前記荷を荷取りするものであり、前記制御装置は、前記搬送車両によって搬送される前記荷に関する情報である運行情報を取得し、前記画像データ、及び前記運行情報から前記荷の種類を判別してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷役車両の速度を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】荷役車両の側面図である。
図2図1の荷役車両の概略構成図である。
図3図1の荷役車両が荷役する対象となる荷の一例を示す斜視図である。
図4図2の車両側制御装置が荷役車両の速度を決定する際に行う制御を示す図である。
図5図2の車両側制御装置が荷役車両の速度を決定する際に行う制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
荷役システムの一実施形態について説明する。
<荷役車両>
図1に示すように、荷役車両10は、リーチ式のフォークリフトである。荷役車両10は、カウンタ式のフォークリフトであってもよい。荷役車両10は、自動で動作する。荷役車両10は、自動での動作と手動での動作とを切り替え可能に構成されていてもよい。以下の説明において、前後左右は、荷役車両10を基準とした場合の前後左右である。
【0012】
荷役車両10は、車体11を備える。荷役車両10は、リーチレグ12を備える。リーチレグ12は、左右方向に互いに離間して2つ設けられている。リーチレグ12は、車体11から前方に延びている。
【0013】
荷役車両10は、前輪13を備える。前輪13は、各リーチレグ12に1つずつ設けられている。荷役車両10は、後輪14を備える。後輪14は、車体11に設けられている。後輪14は、操舵輪である。後輪14は、駆動輪である。
【0014】
荷役車両10は、荷役装置21を備える。荷役装置21は、車体11の前方に設けられている。
荷役装置21は、マスト22を備える。マスト22は、多段式のマストである。マスト22は、アウタマスト23と、インナマスト24と、を備える。インナマスト24は、アウタマスト23に対して昇降可能に設けられている。
【0015】
荷役装置21は、リフトブラケット25を備える。荷役装置21は、フォーク26を備える。フォーク26は、リフトブラケット25に固定されている。フォーク26は、左右方向に互いに離間して2つ設けられている。
【0016】
荷役装置21は、リフトシリンダ31を備える。リフトシリンダ31は、油圧シリンダである。リフトブラケット25は、リフトシリンダ31への作動油の給排によって昇降する。フォーク26は、リフトブラケット25とともに昇降する。
【0017】
荷役装置21は、ティルトシリンダ32を備える。ティルトシリンダ32は、油圧シリンダである。リフトブラケット25は、ティルトシリンダ32への作動油の給排によって前後方向に傾動する。フォーク26は、リフトブラケット25とともに傾動する。
【0018】
荷役装置21は、リーチシリンダ33を備える。リーチシリンダ33は、油圧シリンダである。マスト22は、リーチシリンダ33への作動油の給排によって前後方向に移動する。フォーク26は、マスト22とともに前後方向に移動する。
【0019】
図2に示すように、荷役車両10は、カメラ41を備える。カメラ41は、デジタルカメラである。カメラ41は、撮像素子を備える。撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device image sensor)、又はCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor image sensor)である。カメラ41は、単眼カメラである。カメラ41は、例えば、RGBカメラ、赤外線カメラ、グレースケールカメラ、又は可視光カメラである。カメラ41は、前方を撮像するように配置されている。詳細にいえば、カメラ41は、荷役車両10が荷役を行う際に、荷役車両10の前方に位置する荷を撮像できるように配置されている。カメラ41は、例えば、リフトブラケット25に設けられる。
【0020】
荷役車両10は、重量センサ42を備える。重量センサ42は、フォーク26に積載された荷の重量を検出する。重量センサ42は、例えば、リフトシリンダ31の油圧を検出する圧力センサである。
【0021】
荷役車両10は、油圧機構43を備える。油圧機構43は、油圧機器への作動油の給排を制御するための部材である。油圧機器は、リフトシリンダ31、ティルトシリンダ32、及びリーチシリンダ33を含む。油圧機構43は、作動油を吐出するポンプ、及び油圧機器への作動油の給排を制御するコントロールバルブを含む。
【0022】
荷役車両10は、駆動機構44を備える。駆動機構44は、荷役車両10を走行させるための部材である。駆動機構44は、後輪14を駆動させるための駆動源及び後輪14を操舵するための操舵機構を含む。駆動源をモータとする荷役車両10であれば、駆動機構44はモータドライバを含む。駆動源をエンジンとする荷役車両10であれば、駆動機構44は燃料噴射装置を含む。
【0023】
荷役車両10は、車両側制御装置45を備える。車両側制御装置45は、走行に関する制御、及び荷役に関する制御を行う。車両側制御装置45は、プロセッサ46と、記憶部47と、を備える。プロセッサ46としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部47は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部47には、荷役車両10を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部47は、処理をプロセッサ46に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部47、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。車両側制御装置45は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である車両側制御装置45は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。車両側制御装置45は、制御装置である。荷役車両10は、荷役システムである。
【0024】
荷役車両10は、補助記憶装置48を備える。補助記憶装置48は、車両側制御装置45が読み取り可能な情報を記憶している。補助記憶装置48は、例えば、ハードディスクドライブ、又はソリッドステートドライブである。補助記憶装置48は、荷役車両10を自動で動作させるためのデータ49を記憶している。
【0025】
荷役車両10は、通信部50を備える。通信部50は、任意の無線通信方式で通信を行うことが可能な通信機器である。無線通信方式は、例えば、無線LAN、Zigbee(登録商標)、LPWA(Low Power Wide Area)、又は移動通信システムである。通信部50は、無線信号を送受信可能である。通信部50は、受信した無線信号を復調したデータを車両側制御装置45に出力する。通信部50は、上位システム51と通信可能に設けられている。上位システム51は、荷役車両10に対して種々の指令を与える装置である。
【0026】
上位システム51は、上位制御装置52と、通信部55と、を備える。上位制御装置52は、プロセッサ53と、記憶部54と、を備える。プロセッサ53は、例えば、車両側制御装置45のプロセッサ46と同様の装置である。記憶部54は、例えば、車両側制御装置45の記憶部47と同様の装置である。
【0027】
通信部55は、例えば、通信部50と同様の装置である。通信部55は、荷役車両10からの無線信号を受信する。通信部55は、荷役車両10からの無線信号を復調したデータを上位制御装置52に出力する。通信部55は、上位制御装置52から入力されたデータを無線信号として荷役車両10に送信する。
【0028】
車両側制御装置45は、荷役車両10による荷役の対象となる荷の種類に応じて荷役車両10の速度を決定する。そして、車両側制御装置45は、決定した速度で荷役車両10が動作するように荷役車両10の制御を行う。荷役車両10の速度は、荷役車両10の走行速度、及び荷役車両10の荷役速度の少なくとも1つを含む。荷役速度は、フォーク26の昇降速度、フォーク26の傾動速度、及びフォーク26のリーチ速度の少なくとも1つを含む。フォーク26のリーチ速度は、リーチシリンダ33によるフォーク26の前後方向への移動速度である。車両側制御装置45は、決定された走行速度で荷役車両10が走行するように駆動機構44を制御する。車両側制御装置45は、決定された荷役速度で荷役装置21が動作するように油圧機構43を制御する。車両側制御装置45は、決定された昇降速度でフォーク26が昇降するように油圧機構43を制御する。車両側制御装置45は、決定された傾動速度でフォーク26が傾動するように油圧機構43を制御する。車両側制御装置45は、決定されたリーチ速度でフォーク26が前後方向に移動するように油圧機構43を制御する。
【0029】
車両側制御装置45が荷役車両10の速度を決定する際の制御について説明する。車両側制御装置45は、荷役車両10を自動で動作させる際に、荷役車両10の速度を決定する。この速度は、荷役車両10の目標速度である。
【0030】
<荷役対象となる荷の一例>
一例として、図3に示すように、搬送車両60の荷台61に積載された荷70の荷役を行う場合について説明する。荷役車両10は、搬送車両60の荷台61とは異なる場所に置かれた荷70の荷役を行うことも可能である。搬送車両60は、例えば、トラックである。搬送車両60は、AGV(Automatic Guided Vehicle)又はAMR(Autonomous Mobile Robot)であってもよい。荷役は、荷取り、荷取りした荷70の運搬、及び荷取りした荷70の荷降ろしの少なくとも1つを含む。
【0031】
図3に示すように、荷役対象となる荷70は、パレット74に積まれている。荷70は、例えば、商品71と、梱包材72と、を備える。商品71は、梱包材72に包まれている。梱包材72は、表示部73を備える。表示部73には、例えば、商品71の商品名、及び商品71の製造者の少なくとも一方が印字されている。
【0032】
<速度を決定する際の制御>
図4に示すように、ステップS1において、車両側制御装置45は、カメラ41から画像データを取得する。画像データは、カメラ41による撮像で得られた画像データであって荷役車両10による荷役の対象となる荷70を撮像した画像データである。
【0033】
次に、ステップS2において、車両側制御装置45は、画像データに基づいて荷役速度を決定する。車両側制御装置45は、画像データから荷70の種類を推定する。本実施形態において、荷70の種類は、壊れやすい荷、重量が軽い荷、過去に荷崩れを起こした荷、又は通常の荷に分類される。壊れやすい荷は、衝撃が加わることによって破損しやすい荷であって、例えば、商品71がガラス製又は陶器製の荷である。重量が軽い荷は、衝撃が加わることによって商品71が移動しやすい荷である。通常の荷は、壊れやすい荷、重量が軽い荷及び過去に荷崩れを起こした荷のいずれにも分類されない荷である。通常の荷は、壊れやすい荷よりも、衝撃が加わることによって破損しにくい。通常の荷は、軽い荷よりも重量が重い。通常の荷は、過去に荷崩れを起こしていない。
【0034】
車両側制御装置45は、例えば、機械学習によって得られた学習済みモデルを用いて画像データから荷70の種類を推定する。学習済みモデルは、例えば、画像データに、当該画像データに含まれる荷70の種類に応じたラベルを付した学習データを用いて学習を行ったものである。荷70の種類と荷70の外観には相関がある。例えば、梱包材72の表示部73に印字された商品71の商品名や商品71の製造者から荷70の種類を推定することができる。このため、学習済みモデルを用いることで画像データから荷70の種類を推定することができる。学習済みモデルは、例えば、データ49に含まれる。
【0035】
荷70の種類には、荷役速度が対応付けられている。通常の荷に対応付けられた荷役速度を通常荷役速度とする。壊れやすい荷に対応付けられた荷役速度を第1荷役速度、重量が軽い荷に対応付けられた荷役速度を第2荷役速度、過去に荷崩れを起こした荷に対応付けられた荷役速度を第3荷役速度とする。第1荷役速度、第2荷役速度、及び第3荷役速度は、通常荷役速度よりも低い荷役速度である。第1荷役速度及び第3荷役速度は、第2荷役速度よりも低い荷役速度であってもよい。
【0036】
車両側制御装置45は、画像データから荷70の種類を推定すると、荷70の種類に対応付けられた荷役速度を荷役車両10の荷役速度として決定する。車両側制御装置45は、画像データから推定した荷70の種類に基づいて荷役速度を決定すると、当該荷役速度で荷役装置21が動作するように油圧機構43を制御する。これにより、荷役車両10は、決定された荷役速度によって荷取りを行う。
【0037】
次に、ステップS3において、車両側制御装置45は、重量センサ42から荷70の重量を示す重量データを取得する。詳細にいえば、車両側制御装置45は、フォーク26に荷70が積載されると、当該荷70の重量を示す重量データを重量センサ42から取得する。
【0038】
次に、ステップS4において、車両側制御装置45は、荷70の種類を判別する。ステップS4における荷70の種類は、ステップS2における荷70の種類と同様の分類である。車両側制御装置45は、例えば、機械学習によって得られた学習済みモデルを用いて、画像データ及び重量データから荷70の種類を判別する。学習済みモデルは、例えば、画像データに、当該画像データに含まれる荷70の種類に応じたラベルを付した学習データ、及び重量データに荷70の種類に応じたラベルを付した学習データを用いて学習を行ったものである。荷70の種類と荷70の外観には相関がある。荷70の種類と荷70の重量には相関がある。例えば、梱包材72の表示部73に印字された商品71の製造者からは商品71を特定できない場合であっても、梱包材72の表示部73に印字された商品71の製造者と荷70の重量との組み合わせによって商品71を特定できる場合がある。このため、学習済みモデルを用いることで、画像データから把握できる荷70の外観と、重量データから把握できる荷70の重量と、に基づいて荷70の種類を判別することができる。この学習済みモデルは、例えば、データ49に含まれる。
【0039】
次に、ステップS5において、車両側制御装置45は、ステップS4で判別された荷70の種類から走行速度、及び荷役速度を決定する。荷70の種類には、走行速度が対応付けられている。通常の荷に対応付けられた走行速度を通常走行速度とする。壊れやすい荷に対応付けられた走行速度を第1走行速度、重量が軽い荷に対応付けられた走行速度を第2走行速度、過去に荷崩れを起こした荷に対応付けられた走行速度を第3走行速度とする。第1走行速度、第2走行速度、及び第3走行速度は、通常走行速度よりも低い走行速度である。第1走行速度及び第3走行速度は、第2走行速度よりも低い走行速度であってもよい。荷70の種類には、荷役速度が対応付けられている。荷70の種類に対応付けられる荷役速度は、ステップS2で決定される荷役速度と同様のものである。ステップS2では、画像データのみから荷70の種類を推定しているのに対し、ステップS5では画像データ及び重量データから荷70の種類を判別している。ステップS2よりもステップS5のほうが、荷70の種類を判別する精度が高い。このため、ステップS5では、ステップS2で決定された荷役速度が更新される。
【0040】
車両側制御装置45は、荷70の種類に基づいて走行速度を決定すると、当該走行速度で荷役車両10が走行するように駆動機構44を制御する。これにより、荷役車両10は、荷降ろしを行う場所に向けて、決定された走行速度で走行する。車両側制御装置45は、荷70の種類に基づいて荷役速度を決定すると、当該荷役速度で荷役装置21が動作するように油圧機構43を制御する。これにより、荷役車両10は、決定された荷役速度で荷降ろしを行う。
【0041】
[本実施形態の作用]
荷役車両10による荷役が行われる際には、車両側制御装置45が、荷役車両10の速度を決定する。荷70の種類によって荷役車両10の適切な速度は異なる。壊れやすい荷であれば、荷役車両10の荷役や荷役車両10の走行による衝撃によって荷70が壊れることを抑制することが好ましい。重量が軽い荷であれば、荷役車両10の荷役や荷役車両10の走行によって荷70が移動することを抑制することが好ましい。過去に荷崩れを起こした荷であれば、荷役車両10の荷役や荷役車両10の走行を慎重に行うことが好ましい。従って、荷70の種類がこれらの荷であれば、荷役速度は通常荷役速度よりも低くすることが好ましい。同様に、走行速度は、通常走行速度よりも低くすることが好ましい。
【0042】
車両側制御装置45は、画像データから荷70の種類を判別する。車両側制御装置45は、荷70の種類に応じた速度を決定する。本実施形態であれば、壊れやすい荷、重量が軽い荷、及び過去に荷崩れを起こした荷であれば、通常の荷に比べて荷役車両10の速度が低くなる。
【0043】
[本実施形態の効果]
(1)車両側制御装置45は、荷70の種類に応じて、適切な速度を決定することができる。
【0044】
(2)車両側制御装置45は、画像データ及び重量データから荷70の種類を判別している。画像データのみから荷70の種類を判別する場合に比べて、荷70の種類を判別する精度が向上する。
【0045】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
○車両側制御装置45は、画像データ、及び運行情報から荷70の種類を判別してもよい。運行情報は、搬送車両60によって搬送される荷70に関する情報である。運行情報は、例えば、搬送車両60によって搬送される荷70の商品71の商品名を示す情報である。搬送車両60によって荷70を搬送する際には、搬送車両60の便毎に運行情報が作成される。運行情報は、例えば、上位システム51に記憶されている。
【0047】
図5に示すように、画像データ、及び運行情報から荷70の種類を判別する場合、実施形態のステップS3に代えてステップS13の処理を行う。ステップS13において、車両側制御装置45は、通信部50を介して運行情報を上位システム51から取得する。車両側制御装置45は、ステップS4に代えてステップS14の処理を行う。
【0048】
ステップS14において、車両側制御装置45は、例えば、梱包材72の表示部73に印字された商品71の製造者を運行情報と照合することによって商品71を特定する。例えば、運行情報によって商品71の製造者と商品71の商品名とが対応付けられていれば、車両側制御装置45は、画像データから商品71の製造者を認識することによって、運行情報から商品71の商品名を認識することができる。車両側制御装置45は、商品71の商品名から荷70の種類を判別することができる。そして、車両側制御装置45は、荷70の種類から荷役車両10の速度を決定することができる。車両側制御装置45は、画像データ、運行情報、及び重量データから荷70の種類を判別してもよい。
【0049】
○車両側制御装置45は、画像データのみから荷70の種類を判別してもよい。即ち、車両側制御装置45は、実施形態でのステップS2で推定された荷70の種類を、荷70の種類であると判別して、当該荷70の種類から荷役車両10の速度を決定してもよい。
【0050】
○車両側制御装置45は、ステップS2の処理を行わなくてもよい。即ち、車両側制御装置45は、荷取りの際には、荷70の種類に応じた荷役速度の決定を行わなくてもよい。
【0051】
○車両側制御装置45は、画像データに基づいて、光学文字認識によって表示部73に印字された文字の文字コードを認識してもよい。この場合、車両側制御装置45は、認識した文字コードから荷70の種類を判別してもよい。例えば、車両側制御装置45は、文字コードを荷70の種類に対応付けたデータベースから荷70の種類を判別してもよい。このデータベースは、補助記憶装置48に記憶されたデータ49に含まれていてもよいし、上位システム51に記憶されていてもよい。上位システム51にデータベースが記憶されている場合、車両側制御装置45は、認識した文字コードを通信部50から上位システム51に送信する。上位システム51は、文字コードに対応付けられた荷70の種類を示す情報を荷役車両10に送信する。車両側制御装置45は、通信部50を介して荷70の種類を示す情報を取得する。車両側制御装置45は、荷70の種類を判別すると、当該荷70の種類から荷役車両10の速度を決定する。車両側制御装置45は、文字コードと、重量データ及び運行情報の少なくとも1つとの組み合わせから、荷70の種類を判別してもよい。
【0052】
○表示部73には、二次元コードが印されていてもよい。二次元コードは、例えば、商品71の商品名を示す商品コードである。二次元コードは、例えば、バーコード又はQRコード(登録商標)である。車両側制御装置45は、画像データに含まれる二次元コードから商品71の商品名を認識する。車両側制御装置45は、商品71の商品名から荷70の種類を判別する。例えば、車両側制御装置45は、商品71の商品名を荷70の種類に対応付けたデータベースから荷70の種類を判別してもよい。車両側制御装置45は、荷70の種類に応じた荷役車両10の速度を決定する。
【0053】
○梱包材72は、表示部73を備えていなくてもよい。梱包材72の形状、梱包材72の意匠、及び梱包材72の大きさは、商品71によって異なり得る。このため、梱包材72が表示部73を備えていない場合であっても、これらの特徴から学習済みモデルを用いて荷70の種類を判別し得る。
【0054】
○荷70は、梱包材72を備えていなくてもよい。この場合、画像データには、商品71が写る。車両側制御装置45は、画像データから荷70の種類を判別する。例えば、車両側制御装置45は、学習済みモデルを用いて荷70の種類を判別する。
【0055】
○荷70の種類の分類は、任意に変更してもよい。例えば、荷70の種類は、商品71の商品名毎の分類であってもよい。
○荷70の種類には、通常荷役速度よりも荷役速度を高くする分類が含まれていてもよい。例えば、荷70の種類には、重量が重い荷が含まれていてもよい。重量が重い荷は、通常の荷よりも重量が重い。荷70の種類が、重量が重い荷の場合、車両側制御装置45は、走行速度を通常走行速度より高くしてもよい。
【0056】
○荷役車両10は、例えば、ロボットアームを備えているものであってもよい。
○車両側制御装置45は、荷役車両10が手動で動作する際に、荷役車両10の速度を決定してもよい。
【0057】
○荷役車両10の速度を決定する制御は、上位システム51によって行われてもよい。この場合、車両側制御装置45は、画像データを通信部50によって上位システム51に送信する。上位制御装置52は、通信部55を用いて画像データを取得する。上位制御装置52は、画像データを用いて荷役車両10の速度を決定する。上位制御装置52は、実施形態及び変更例で車両側制御装置45が実行した制御と同様の制御を行うことで、荷役車両10の速度を決定する。上位制御装置52は、荷役車両10の速度を示す情報を通信部55によって荷役車両10に送信する。車両側制御装置45は、上位システム51から受信した荷役車両10の速度を示す情報から、荷70の種類に応じた速度を認識する。車両側制御装置45は、当該速度で荷役車両10が動作するように制御を行う。上位制御装置52は、画像データ及び重量データに基づいて荷役車両10の速度を決定してもよい。この場合、車両側制御装置45は、画像データ及び重量データを通信部50によって上位システム51に送信する。上位制御装置52は、画像データ及び運行情報に基づいて荷役車両10の速度を決定してもよい。上記した場合、上位制御装置52が制御装置である。上位システム51が荷役システムである。
【符号の説明】
【0058】
10…荷役システムである荷役車両、41…カメラ、42…重量センサ、45…制御装置である車両側制御装置、60…搬送車両、70…荷。
図1
図2
図3
図4
図5