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特開2024-21836プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021836
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/105 20230101AFI20240208BHJP
【FI】
G06Q10/10 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124961
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】522174720
【氏名又は名称】リーガルネットワーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】川西 唯道
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】
【課題】従業員に対する評価に基づき昇給額を算出するプログラム等を提供すること。
【解決手段】プログラムは、従業員が入力した目標管理の自己評価に関する第一評価情報および人事考課の自己評価に関する第二評価情報を取得し、各従業員に対する第一評価情報および第二評価情報の入力を上長から受け付け、各従業員の第一評価情報および第二評価情報を表示し、該第一評価情報および該第二評価情報に基づき、各従業員の昇給額を調整し、調整後の昇給額を含む給与改定通知書を出力する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
従業員が入力した目標管理の評価に関する第一評価情報および人事考課の評価に関する第二評価情報を取得し、
各従業員に対する第一評価情報および第二評価情報の入力を上長から受け付け、
各従業員の第一評価情報および第二評価情報を表示し、
該第一評価情報および該第二評価情報に基づき、各従業員の昇給額を調整し、
調整後の昇給額を含む給与改定通知書を出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
給与原資を取得し、
取得した給与原資、第一評価情報および第二評価情報に応じた評価点に基づき昇給額を調整する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
各従業員の評価点を合計した合計値を算出し、
前記合計値を前記給与原資により除算し、
評価点あたりの昇給額を決定し、
各従業員の評価点に評価点あたりの昇給額を乗算する
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
所定の統計量に基づき、昇給額の基準となる従業員を決定し、
前記従業員の評価点を取得し、
前記評価点に対応する昇給額を決定し、
決定した昇給額に基づき、各従業員に所定の昇給額を割り当てる
請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
各従業員の労働条件の入力を受け付け、
前記労働条件に基づく労働条件通知書を出力する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
従業員が操作する入力画面を出力し、
前記入力画面に、複数の目標、各目標に対する評価点、自己評価、および上長評価を表示する
請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項7】
管理者が操作する入力画面を表示し、
各従業員に対応する昇給額の合計金額が給与原資を超えた場合に、所定の提案画面を前記入力画面に表示する
請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項8】
従業員が入力した経営理念に従った行動をしているかの評価に関する第三評価情報を取得し、
各従業員に対する第三評価情報の入力を上長から受け付け、
各従業員の第三評価情報を表示し、
該第三評価情報、前記給与原資、前記第一評価情報、および前記第二評価情報に応じた評価点に基づき昇給額を調整する
請求項2に記載のプログラム。
【請求項9】
コンピュータが、
従業員が入力した目標管理の評価に関する第一評価情報および人事考課の評価に関する第二評価情報を取得し、
各従業員に対する第一評価情報および第二評価情報の入力を上長から受け付け、
各従業員の第一評価情報および第二評価情報を表示し、
各従業員の昇給額を調整し、
調整後の昇給額を含む給与改定通知書を出力する
情報処理方法。
【請求項10】
制御部を備える情報処理装置において、
前記制御部は、
従業員が入力した目標管理の評価に関する第一評価情報および人事考課の評価に関する第二評価情報を取得し、
各従業員に対する第一評価情報および第二評価情報の入力を上長から受け付け、
各従業員の第一評価情報および第二評価情報を表示し、
各従業員の昇給額を調整し、
調整後の昇給額を含む給与改定通知書を出力する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
企業をはじめとする組織を効率的に運営するための技術がいくつか提案されている。たとえば、人事労務の業務を支援するシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-135949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
企業の人事評価では、評価者である上長が、被評価者である従業員の能力および企業への貢献度等を評価して、従業員の昇給または昇進等に反映させる。従業員を適切に評価して適正な報酬を与えることは、従業員の勤労意欲を向上させるために欠かせない。
【0005】
しかし、特許文献1に開示された技術では、従業員の評価に基づいて昇給額を算出する機能は実現しておらず、人事労務の業務を支援するシステムとして不十分である。
【0006】
一つの側面では、従業員に対する評価に基づき昇給額を算出するプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面に係るプログラムは、従業員が入力した目標管理の評価に関する第一評価情報および人事考課の評価に関する第二評価情報を取得し、各従業員に対する第一評価情報および第二評価情報の入力を上長から受け付け、各従業員の第一評価情報および第二評価情報を表示し、該第一評価情報および該第二評価情報に基づき、各従業員の昇給額を調整し、調整後の昇給額を含む給与改定通知書を出力する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、従業員に対する評価に基づき昇給額を算出するプログラム等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】労務システムの構成例を示す模式図である。
図2】従業員端末の構成例を示すブロック図である。
図3】上長端末の構成例を示すブロック図である。
図4】管理者端末の構成例を示すブロック図である。
図5】従業員DBのデータレイアウトを示す説明図である。
図6】評語対応テーブルのデータレイアウトを示す説明図である。
図7】従業員または上長が操作する入力画面の一例である。
図8】従業員または上長が操作する入力画面の一例である。
図9】管理者が操作する入力画面の一例である。
図10】管理者端末が実行するプログラムの処理手順を示すフローチャートである。
図11】管理者が操作する入力画面の一例である。
図12】管理者端末が実行するプログラムの処理手順を示すフローチャートである。
図13】管理者端末が生成する給与改定通知書の一例である。
図14】管理者端末が生成する労働条件通知書の一例である。
図15】従業員DBのデータレイアウトを示す説明図である。
図16】管理者端末が実行するプログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態における労務システムは、従業員の評価内容に基づき自動的に昇給額を算出する。昇給額は後述する2つの方法によって算出され、評価内容に応じて各従業員に配分される。さらに、本システムは、昇給額を反映した給与改定通知書と、管理者が任意に設定した労働条件を反映した労働条件通知書とを生成した後、従業員または上長の端末に送信する。従業員または上長は、自身の所有する端末を通じてこれらの書面を確認することができる。
【0011】
本明細書では、企業または個人が設定した目標の達成度に応じて、従業員自らがおこなう評価を「自己評価」、上長が従業員に対しておこなう評価を「上長評価」という。
【0012】
以下、実施の形態1から実施の形態4までを図面に基づいて説明する。
【0013】
[実施の形態1]
図1は、労務システムの構成例を示す模式図である。
【0014】
本システムは、従業員端末20、20、…、上長端末30、30、…、および管理者端末40を含む。各装置は、インターネットまたはLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNWに接続されている。
【0015】
従業員端末20は、被評価者である従業員が操作する情報処理端末である。上長端末30は、評価者である上長が操作する情報処理端末である。管理者端末40は、人事労務を管理する管理者が操作する情報処理端末である。各情報処理端末は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレット端末等である。上長端末30および管理者端末40は、共通する一台の情報処理端末であってもよい。
【0016】
本実施の形態では、一つの管理者端末40が本システムに係る処理をおこなうものとして説明するが、複数の管理者端末40が分散して処理をおこなってもよい。また、管理者端末40が実行する処理の一部または全部をクラウド上で実行してもよい。
【0017】
従業員は、従業員端末20を通じて、目標管理の評価に関する第一評価情報(以下、従業員側の第一評価情報という)と、人事考課の評価に関する第二評価情報(以下、従業員側の第二評価情報という)とを入力する。従業員端末20は、入力された従業員側の第一評価情報および第二評価情報を管理者端末40に送信する。管理者端末40はこれらの情報を受信して、後述する従業員DB430(data base)に記憶する。
【0018】
上長は、上長端末30を通じて、目標管理の評価に関する第一評価情報(以下、上長側の第一評価情報という)と、人事考課の評価に関する第二評価情報(以下、上長側の第二評価情報という)とを入力する。上長端末30は、入力された上長側の第一評価情報および第二評価情報を管理者端末40に送信する。管理者端末40はこれらの情報を受信して、後述する従業員DB430に記憶する。
【0019】
管理者は管理者端末40を操作して、第一評価情報、第二評価情報、各従業員の昇給額、給与改定通知書、および労働条件通知書等の情報を管理する。管理者端末40は、上長端末30から送信された上長側の第一評価情報および第二評価情報に基づき、昇給額を調整する。管理者端末40は、調整後の給与が記載された給与改定通知書(図13参照)および労働条件通知書(図14参照)を従業員端末20、20、…、または上長端末30、30、…、に送信する。
【0020】
図2は、従業員端末20の構成例を示すブロック図である。従業員端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、および表示部25を含む。
【0021】
制御部21は一または複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、もしくは量子プロセッサ等のプロセッサであり、種々の情報処理を実行する。
【0022】
記憶部22はSRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の一時記憶領域であり、制御部21が処理を実行するうえで必要なデータを一時的に記憶する。
【0023】
通信部23は、インターネットまたはLAN等の通信ネットワークNWに接続するための通信インタフェースである。
【0024】
入力部24はタッチパネルまたは機械式操作ボタン等の入力インタフェースであり、従業員から操作入力を受け付ける。入力部24は、従業員の音声指令を収集するマイクロフォンであってもよい。
【0025】
表示部25は液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。表示部25は、たとえば後述する給与改定通知書および労働条件通知書の画面を表示する。
【0026】
図3は、上長端末30の構成例を示すブロック図である。上長端末30は、制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、および表示部35を含む。
【0027】
制御部31は一または複数のCPU、MPU、GPU、もしくは量子プロセッサ等のプロセッサであり、種々の情報処理を実行する。
【0028】
記憶部32はSRAMまたはDRAM等の一時記憶領域であり、制御部31が処理を実行するうえで必要なデータを一時的に記憶する。
【0029】
通信部33は、インターネットまたはLAN等の通信ネットワークNWに接続するための通信インタフェースである。
【0030】
入力部34はタッチパネルまたは機械式操作ボタン等の入力インタフェースであり、上長から操作入力を受け付ける。入力部34は、上長の音声指令を収集するマイクロフォンであってもよい。
【0031】
表示部35は液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。表示部35は、たとえば各従業員に対する評価を入力する画面を表示する。
【0032】
図4は、管理者端末40の構成例を示すブロック図である。管理者端末40は、制御部41、主記憶部42、補助記憶部43、通信部44、入力部45、および表示部46を含む。
【0033】
制御部41は一または複数のCPU、MPU、GPU、もしくは量子プロセッサ等のプロセッサであり、種々の情報処理を実行する。
【0034】
主記憶部42はSRAMまたはDRAM等の一時記憶領域であり、制御部41が処理を実行するうえで必要なデータを一時的に記憶する。
【0035】
補助記憶部43は、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disk Drive)等のメモリである。補助記憶部43は、従業員DB430、評語対応テーブル431、給与改定通知書のフォーマット、労働条件通知書のフォーマット、管理者端末40に処理を実行させるプログラム440(プログラム製品)、およびその他のデータを記憶する。従業員DB430および評語対応テーブル431は、他のDBサーバに記憶させてもよい。
【0036】
なお、管理者端末40は可搬型記憶媒体40aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体40aからプログラム440を読み込んでもよい。また、管理者端末40は、通信ネットワークNW等を介して他のコンピュータからプログラム440をダウンロードしてもよい。
【0037】
通信部44は、インターネットまたはLAN等の通信ネットワークNWに接続するための通信インタフェースである。
【0038】
入力部45はタッチパネルまたは機械式操作ボタン等の入力インタフェースであり、管理者から操作入力を受け付ける。入力部45は、管理者の音声指令を収集するマイクロフォンであってもよい。
【0039】
表示部46は液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。表示部46は、たとえば従業員の目標、複数の上長からの評価、または自社の給与原資を確認する管理画面を表示する。
【0040】
図5は、従業員DB430のデータレイアウトを示す説明図である。
【0041】
従業員DB430は、従業員ID(Identifier)、氏名、目標管理の評価、人事考課の評価、評価点、最終評価、および評語のフィールドを記憶するDBである。目標管理の評価フィールドおよび人事考課の評価フィールドは、それぞれ自己評価フィールドと上長評価フィールドとを有する。
【0042】
従業員IDフィールドには、従業員を識別するための識別情報が記憶される。氏名フィールドには、従業員IDに対応する従業員の氏名が記憶される。目標管理の評価フィールドには、目標管理の評価に関する自己評価および上長評価が記憶される。人事考課の評価フィールドには、人事考課の評価に関する自己評価および上長評価が記憶される。
【0043】
評価点フィールドには、目標管理の評価および人事考課の評価に所定の係数を乗じて合算した評価点が記憶される。たとえば、従業員aの評価点を算出する場合、目標管理の評価フィールドにある「上長評価の点数(81点)」に所定の係数(たとえば0.6)を乗じ、人事考課の評価点フィールドにある「上長評価の点数(70点)」に所定の係数(たとえば0.4)を乗じ、それぞれを合計して76.6と算出する。計算式は、以下の式1の通りである。
(従業員aの評価点)=81×0.6+70×0.4=76.6(点) (式1)
【0044】
最終評価フィールドには、従業員に対して最終評価者が下した評価が記憶される。従業員への評価は複数の上長によりおこなわれるが、複数の上長の内、最終的な判断をおこなう最終評価者が下した評価が昇給額の計算に用いられる。最終評価者は、従業員に対して自動的に算出された評価点を考慮して、上長端末30を通じて「最終評価」を入力する。
【0045】
たとえば、従業員aに対応する最終評価フィールドには、評価点:76.6点よりも高い点数として、最終評価:80点が記憶されている。このように、最終評価者が従業員に対する評価を上方修正する場合がある。また、従業員dに対応する最終評価フィールドには、評価点:70点よりも低い点数として、最終評価:69点が記憶されている。このように、最終評価者が従業員に対する評価を下方修正する場合がある。その他、管理者端末40が自動的に算出した評価点をそのまま「最終評価」として入力してもよい。
【0046】
評語フィールドには、従業員の評語が記憶される。管理者端末40は、後述する評語対応テーブル431を参照して、最終評価に対応した評語を特定する。
【0047】
図6は、評語対応テーブル431のデータレイアウトを示す説明図である。評語対応テーブル431は、評価点と評語の対応関係を記憶する。
【0048】
評価点フィールドには、従業員に対する評価点が記憶される。評語フィールドには、従業員に対する評価が段階的に記憶される。評語は評価点の範囲に応じて振り分けることができ、たとえば、90~100点:S、80~89点:A、70~79点:B、60~69点:C、59点以下:Dのように設定できる。
【0049】
次に、従業員、上長、または管理者がそれぞれの所有する端末から評価点を入力する際の詳細について、図7から図9を用いて説明する。
【0050】
図7は、従業員または上長が操作する入力画面の一例である。図7に示すように、各端末の表示部は、目標管理の詳細画面として、従業員の氏名、複数の目標、自己評価、および上長評価を表示する。複数の目標には、ウェイト、プロセス点、および達成点が設定される。
【0051】
図8は、従業員または上長が操作する入力画面の一例である。図8に示すように、各端末の表示部は、人事考課の詳細画面として、基本業務実行実績エリアおよび応用業務実行実績エリアを表示する。それぞれのエリアは、ウェイト、上長評価(たとえば従業員へのコメント)、自己評価、および複数の上長評価を表示する。
【0052】
従業員および上長は、従業員の目標を相談のうえ決定する。従業員は従業員端末20を通じて、自身の目標を設定する。上長は上長端末30を通じて、目標の種類に応じたウェイト、プロセス点、および達成点を設定する。従業員端末20および上長端末30は、各利用者からの設定の入力を受け付け、管理者端末40に入力された情報を送信する。管理者端末40は、種々の設定値を補助記憶部43に記憶する。管理者端末40は当該入力内容を受信する度、入力画面に表示する情報を書き換える。
【0053】
ウェイト、プロセス点、および達成点は従業員を評価するための判断材料であり、所定の数値が設定される。たとえば、ウェイトは1から20の20段階で設定される。また、たとえば、プロセス点および達成点は1から5の5段階で設定され、数値が高いほど高評価を得ているものとする。
【0054】
ウェイトは、評価点を算出するに際して得点に乗じる係数である。達成が難しい目標は重み付けの数値を高くし、達成が容易な目標は重み付けの数値を低くしてよい。プロセス点は、目標を達成する過程を評価するために設定される指標である。達成点は、目標の達成度合いに応じて決まる指標である。
【0055】
従業員および上長は、あらかじめ企業内で取り決められたウェイト、プロセス点、および達成点に基づき、目標管理および人事考課の評価点を決定する。従業員および上長は、自身が所有する端末を通じて、目標管理および人事考課の評価点を入力する。
【0056】
上長端末30は、目標の種類に応じて、プロセス点または達成点のいずれか一方のみを設定することもできる。たとえば、図7のように、「#1:部下の指導に力を入れる」という定性的に評価される目標には、プロセス点および達成点の両方を設定してもよい。一方、「#2:売上100万円を達成する」という定量的に評価される目標には、達成点のみを設定してもよい。
【0057】
最終評価者を含む上長(たとえば図8の上長a、上長b、および上長c)が所有する上長端末30は、従業員に対する人事考課の上長評価を入力する。それぞれの上長端末30は、上長評価の評価点を管理者端末40に送信する。管理者端末40は上長評価の評価点を受信して、当該上長評価の評価点に基づき平均値を算出する。管理者端末40は、算出した平均値を従業員DB430における人事考課の上長評価フィールドに記憶する。
【0058】
図7および図8に示したように、各端末が自己評価および上長評価を一覧として表示するため、従業員および上長がお互いの評価の差異を認識することができ、勤労意欲の向上に資するシステムを提供できる。
【0059】
図9は、管理者が操作する入力画面の一例である。図9に示すように、管理者端末40は、総合評価の詳細画面として、従業員の氏名、給与に反映させる期間、目標管理の評価、人事考課の評価、最終評価、最終評価の調整欄、および更新ボタンを表示する。
【0060】
管理者端末40は、従業員DB430における目標管理の上長評価および人事考課の上長評価を読み出す。管理者端末40は、読み出した各評価を表示する。管理者端末40は、最終評価(自動集計)として、式1にて算出した評価点を表示する。管理者端末40は、評語対応テーブル431を参照して各評価点に対応する評語を表示する。
【0061】
最終評価者が、従業員aに対して自動的に算出された「最終評価(自動集計)」を適正な評価であると判断した際、従業員aの評価は調整しない。その場合、管理者端末40は自動集計された評価を従業員DB430の最終評価フィールドに記憶する。一方、最終評価者が、従業員aに対して自動的に算出された「最終評価(自動集計)」を適正な評価ではないと判断した際、管理者端末40を通じて従業員aの評価を調整することができる。
【0062】
最終評価者は、図9の総合評価の詳細画面を参考にして、従業員に対する最終評価の点数を調整する。最終評価者は、管理者端末40を通じて更新ボタンを選択する。管理者端末40は最終評価の点数の入力および更新ボタンの選択を受け付け、従業員DB430の最終評価フィールドに調整後の評価を記憶する。
【0063】
[給与原資の調整方法]
管理者はあらかじめ管理者端末40を通じて、自社の給与原資を入力しておく。管理者端末40は、入力された給与原資を補助記憶部43に記憶する。昇給額を調整する際、管理者端末40は、補助記憶部43に記憶されている給与原資を読み出す。管理者端末40は、当該給与原資、第一評価情報、および第二評価情報に基づき昇給額を調整する。以下、2つの調整方法を順に説明する。
【0064】
ひとつは「給与原資を従業員の評価分布に応じて調整する方法」であり、もうひとつは「基準となる従業員を特定し、特定された従業員を基準に給与原資を調整する方法」である。
【0065】
<給与原資を従業員の評価分布に応じて調整する方法>
以下、増分用として用意できた24,200円分の給与原資を従業員a、従業員b、従業員cの昇給額として調整する場合を例示する。
【0066】
管理者端末40は、従業員DB430から、従業員a:80点、従業員b:90点、従業員c:72点の最終評価を読み出す。管理者端末40は、各従業員の点数を合計する。たとえば、80+90+72=242(点)と合計点数を算出する。
【0067】
管理者端末40は、補助記憶部43に記憶されている給与原資を読み出す。管理者端末40は、読み出した給与原資により合計点数を除算することにより、評価点あたりの昇給額(以下、配分点という)を算出する。たとえば、24,200(円)÷242(点)=100(円/点)と配分点を算出する。
【0068】
管理者端末40は、従業員の評価点に配分点を乗じて、式2から式4のように各従業員の昇給額を算出する。
(従業員aの昇給額)=80(点)×100(円/点)=8,000(円) (式2)
(従業員bの昇給額)=90(点)×100(円/点)=9,000(円) (式3)
(従業員cの昇給額)=72(点)×100(円/点)=7,200(円) (式4)
【0069】
最後に、管理者端末40は、各従業員の昇給額を「給与改定通知書」の昇給額欄に出力する。
【0070】
図10は、管理者端末40が実行するプログラムの処理手順を示すフローチャートである。管理者端末40の制御部41は、プログラム440に基づき以下の処理を実行する。
【0071】
制御部41は、従業員DBに記憶してある各従業員の評価点を読み出す(ステップS101)。制御部41は、各従業員の評価点を合計する(ステップS102)。制御部41は、補助記憶部43に記憶してある給与原資を読み出す(ステップS103)。制御部41は、算出した合計値を読み出した給与原資により除算する(ステップS104)。
【0072】
制御部41は、除算した値に基づく配分点を取得する(ステップS105)。制御部41は、各従業員の評価点に対し配分点を乗算する(ステップS106)。制御部41は、各従業員の昇給額を決定する(ステップS107)。
【0073】
制御部41は、決定した昇給額を各従業員に対応させて従業員DB430に記憶する(ステップS108)。制御部41は、各従業員の調整後の昇給額を「給与改定通知書」の昇給額欄に出力する(ステップS109)。制御部41は、給与改定通知書を従業員端末20または上長端末30に出力する(ステップS110)。制御部41は、一連の処理を終了する。
【0074】
<基準となる従業員を特定し、特定された従業員を基準に給与原資を調整する方法>
以下、増分用として用意できた15,000円分の給与原資を従業員a、従業員b、従業員c、従業員d、従業員eの昇給額として調整する場合を例示する。
【0075】
管理者端末40は、各従業員の最終評価を従業員DB430から読み出す。各従業員の最終評価は、以下の通りである。
従業員a:80点
従業員b:90点
従業員c:72点
従業員d:69点
従業員e:54点
【0076】
管理者端末40は、最終評価の平均値を算出する。たとえば、平均値=(80+90+72+69+49)÷5=72(点)である。管理者端末40は、算出した平均値と各従業員の最終評価との差を算出し、それぞれの差の絶対値を従業員同士で比較する。管理者端末40は、最終評価の平均値に最も近い最終評価を得ている従業員を特定する。上記の例では、管理者端末40は、従業員cを基準となる従業員として特定する。
【0077】
管理者端末40は、基準となる従業員に対して配分する昇給額について、(給与原資÷従業員の人数)により求める。たとえば、配分額=15,000÷5=3,000(円)である。管理者端末40は、従業員cに対して当該配分額を割り当てて、従業員cの昇給額とする。管理者端末40は、基準となる従業員の評語から一段階上の評価であれば+500円、一段階下の評価であれば-500円として各評語の昇給額を算出する。この算出方法を当てはめると、当該昇給額を基準に、S評価が4,000円、A評価が3,500円、C評価が2,500円、D評価が2,000円となる。
【0078】
各従業員の昇給額が決定した後、管理者端末40は、昇給額の合計が給与原資の範囲内であるか否かを判定する。昇給額の合計が給与原資の範囲内である場合、管理者端末40は、算出された昇給額を各従業員に割り当てる。このとき、管理者端末40を通じて最終的な昇給額を調整できるようにしてもよい。管理者端末40は、従業員DB430に記憶されている情報に基づき、給与改定通知書を生成する。
【0079】
一方、昇給額の合計が給与原資の範囲内ではない場合、昇給額の再調整の処理に移る。管理者端末40は、昇給額の再調整をする際、表示部46に「昇給額を再調整する必要がある」旨を表示させる。管理者端末40は、昇給額の合計を給与原資の範囲内に収まるべく、所定の提案画面を表示部46に表示させる。
【0080】
図11は、管理者が操作する入力画面の一例である。図11に示すように、管理者端末40は、昇給額を再調整する必要がある旨のテキストを表示する。
【0081】
管理者端末40が表示する所定の提案内容は、たとえば、従業員の評価点を変更する(対応1)、所定の評価(本例ではS評価)を受けている従業員の人数を減らす(対応2)、または、所定の評価(本例ではA評価)に割り当てられる昇給額を減額する(対応3)等の調整方法である。管理者は昇給額を再調整すべく、管理者端末40を通じて対応1から対応3のいずれかを選択する。この選択により、配分される昇給額の合計金額が抑えられ、給与原資の範囲内に収めることができる。
【0082】
本実施の形態では、管理者端末40がひとつの対応案の選択を受け付けて、給与原資の範囲内に収める場合を例示する。なお、各対応案を組み合わせて給与原資の範囲内に収めてもよい。
【0083】
管理者端末40が対応1の選択を受け付けた場合、所定の提案画面から総合評価の詳細画面(図9)に遷移する。管理者は管理者端末40を通じて、評価点を変更したい従業員を選択する。管理者端末40は、従業員DB430から該当する従業員の評価情報を読み出して、表示部46に表示する。管理者は、従業員に対する最終評価の点数を変更する。
【0084】
管理者は、管理者端末40を通じて更新ボタンを選択する(図9参照)。管理者端末40は最終評価の点数の入力および更新ボタンの選択を受け付け、従業員DB430の最終評価フィールドに調整後の評価を記憶する。最後に、管理者が管理者端末40を通じて図11の再調整ボタンを選択すると、管理者端末40は、「対応1」で受け付けた評価点の変更内容に基づき昇給額を再調整する。
【0085】
管理者端末40が対応2の選択を受け付けた場合、所定の提案画面から総合評価の詳細画面(図9)に遷移する。管理者端末40は従業員DB430を参照して、S評価を受けている従業員の評価情報を読み出して表示部46に表示する。管理者は従業員に対する最終評価の点数を変更して、S評価を受けている従業員の人数を減らす。
【0086】
管理者は、管理者端末40を通じて更新ボタンを選択する(図9参照)。管理者端末40は最終評価の点数の入力および更新ボタンの選択を受け付け、従業員DB430の最終評価フィールドに調整後の評価を記憶する。最後に、管理者が管理者端末40を通じて図11の再調整ボタンを選択すると、管理者端末40は、「対応2」で受け付けた下方修正に基づき昇給額を再調整する。
【0087】
管理者端末40が対応3の選択を受け付けた場合、新たな設定値(昇給額)を入力するための画面に遷移する(図示省略)。あらかじめ、管理者端末40は基準となる従業員を特定して、各評語の昇給額を算出してある。管理者はこの昇給額を変更すべく、管理者端末40を通じて新たな昇給額を入力する。
【0088】
たとえば、A評価を受けている従業員が20人いる場合、A評価の昇給額を3,500円から3,000円に変更すると、給与原資を超えた10,000円分が解消されて給与原資の範囲内に収めることができる。最後に、管理者が管理者端末40を通じて図11の再調整ボタンを選択すると、管理者端末40は、「対応3」で受け付けた新たな設定値に基づき昇給額を再調整する。
【0089】
対応1、対応2、または対応3の処理後、管理者端末40が給与原資の範囲内に収まっていると判定した場合、再調整後の昇給額を従業員DB430に記憶する。管理者端末40は、昇給額の合計金額が給与原資の範囲内に収まったため、昇給額を再調整する必要がある旨のテキストを表示しない。
【0090】
以上、各従業員に対応する昇給額の合計金額が給与原資を超えた場合であっても、適切に昇給額を配分することができる。
【0091】
図12は、管理者端末40が実行するプログラムの処理手順を示すフローチャートである。管理者端末40の制御部41は、プログラム440に基づき以下の処理を実行する。
【0092】
制御部41は、従業員DB430に記憶してある各従業員の評価点を読み出す(ステップS201)。制御部41は、各従業員の評価点に基づき所定の統計量を算出する(ステップS202)。制御部41は、算出した所定の統計量に基づき従業員を特定する(ステップS203)。制御部41は、特定した従業員の評価点を取得する(ステップS204)。
【0093】
制御部41は、特定した従業員の昇給額を昇給計算テーブルに基づき仮決定する(ステップS205)。制御部41は、仮決定した昇給額に基づき、残りの従業員に昇給額を割り当てる(ステップS206)。制御部41は、各従業員の昇給額の合計が給与原資の範囲内であるか否かを判定する(ステップS207)。
【0094】
範囲内ではないと判定した場合(ステップS207:NO)、制御部41は、昇給額を再調整する必要がある旨を管理者端末40に表示させる(ステップS208)。制御部41は、昇給額を再調整した後(ステップS209)、ステップS207の処理に戻る。
【0095】
一方、範囲内であると判定した場合(ステップS207:YES)、制御部41は、各従業員の昇給額を従業員DB430に記憶する(ステップS210)。制御部41は、各従業員の調整後の昇給額を「給与改定通知書」の昇給額欄に出力する(ステップS211)。制御部41は、給与改定通知書を従業員端末20または上長端末30に出力する(ステップS212)。制御部41は、一連の処理を終了する。
【0096】
以上の2つの調整方法により、各従業員の昇給額が決定される。各従業員の昇給額を自動的に算出することで、人事労務の業務が効率化されるほか、従業員にとって納得しやすい昇給額を提示することができる。
【0097】
なお、本システムによる昇給額の計算方法は上記の内容に限定されず、評価によっては昇給額を0円と算出したり、減給対象の従業員を特定したりしてもよい。
【0098】
本実施の形態では、一般給与(基本給)に対して昇給額を反映させる場合を説明したが、これに限定されない。昇給額は、賞与に対して反映させてもよく、また、一般給与(基本給)と賞与の両方に反映させてもよい。両方に反映させる場合には、情報処理装置10は、一般給与(基本給)と賞与に対して所定の配分(たとえば基本給:賞与=6:4)を特定し、昇給額を決定する。
【0099】
なお、本実施の形態では、給与原資に基づいて昇給額を調整する場合を説明したが、これに限定されない。情報処理装置10は、給与原資の代わりに、昇給額用の原資として人件費の総額を取得し、当該総額に基づいて昇給額を調整してもよい。
【0100】
また、従業員が得た評価内容に応じて等級を定めることで、間接的に昇給額に反映させるようにしてもよい。その場合、たとえば、情報処理装置10は、S評価の従業員は2等級昇格、A評価の従業員は1等級昇格と特定した後、昇格後の等級に対応する基本給または賞与を該当する従業員に割り当てる。
【0101】
[実施の形態2]
実施の形態2では、決定した昇給額を踏まえて給与改定通知書を生成する処理について説明する。なお、実施の形態1と重複する内容は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
図13は、管理者端末40が生成する給与改定通知書の一例である。図13に示すように、給与改定通知書には、昇給前の給与欄(改定前)および昇給後の給与欄(改定後)等の改定内容が記載される。たとえば、基本給、各種手当、役職、等級、号数、または残業時間が記載される。
【0103】
図13に示す従業員の基本情報は、管理者端末40に備えられた基本情報DBが記憶している(図示省略)。管理者端末40の制御部41は、基本情報DBから該当する従業員の基本情報を読み出し、補助記憶部43に記憶されている給与改定通知書のフォーマットに書き込む。
【0104】
制御部41は各従業員の昇給額を算出した後、当該昇給額を給与改定通知書に書き込む。管理者端末40は、調整後の昇給額を含む給与改定通知書を生成する。管理者端末40は、生成した給与改定通知書を従業員端末20に送信する。従業員は、従業員端末20を通じて自身の給与改定通知書を確認することができる。
【0105】
以上、実施の形態2によれば、各従業員の昇給額を踏まえた給与改定通知書を作成することができる。
【0106】
[実施の形態3]
実施の形態3では、管理者端末40が生成する労働条件通知書の詳細について説明する。なお、実施の形態1と重複する内容は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0107】
図14は、管理者端末40が生成する労働条件通知書の一例である。図14に示すように、労働条件通知書には、種々の労働条件が記載されている。種々の労働条件は、たとえば、契約期間、雇用形態、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、所定外労働の規定、年次有給休暇の規定、賃金(たとえば基本給、各種手当、または残業代等)、賃金の規定、退職の規定、社会保険、または試用期間等である。
【0108】
図14に示す従業員の労働条件は、管理者端末40に備えられた労働条件DBが記憶している(図示省略)。管理者端末40の制御部41は、労働条件DBから該当する従業員の労働条件を読み出し、補助記憶部43に記憶されている労働条件通知書のフォーマットに書き込む。
【0109】
管理者は、各従業員の労働条件を上長端末30または管理者端末40を通じて入力する。上長端末30または管理者端末40は、各従業員の労働条件の入力を受け付ける。管理者端末40は、当該労働条件に基づく労働条件通知書を生成する。管理者端末40は、生成した労働条件通知書を従業員端末20に送信する。従業員は、従業員端末20を通じて自身の労働条件を確認することができる。
【0110】
以上、実施の形態3によれば、各従業員の労働条件を踏まえた労働条件通知書を作成することができる。
【0111】
[実施の形態4]
実施の形態4では、経営理念に従った行動をしているかの評価をおこない昇給額を算出する形態について説明する。なお、実施の形態1と重複する内容は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0112】
従業員を評価するにあたって、実施の形態1にて述べた第一評価情報および第二評価情報のほかに、「従業員は経営理念に従った行動をしているか」という観点がある。企業の中には、高いパフォーマンスを示してはいるものの、経営理念に反した行動をする従業員がいる。この場合、第一評価情報および第二評価情報に基づいて昇給額を決定すると、経営理念に反した行動をしているにも関わらず高待遇を与えることとなり、周囲の従業員から不満が出ることが想定される。
【0113】
そこで、経営理念に従った行動をしているかの評価を昇給額に反映することにより、従業員全体の勤労意欲を向上させることができる。
【0114】
図15は、従業員DB430のデータレイアウトを示す説明図である。従業員DB430は、従業員ID、氏名、目標管理の評価点、人事考課の評価点、経営理念の評価点、評価点、最終評価、および評語のフィールドを記憶するDBである。経営理念の評価点フィールド以外のフィールドは、図5の従業員DB430にて説明した内容と同一であるため説明を省略する。
【0115】
経営理念の評価点フィールドには、従業員が経営理念に従った行動をしているかの第三評価情報が記憶される。当該第三評価情報には、自己評価および上長評価が含まれる。管理者端末40は、第一評価情報、第二評価情報、および第三評価情報に基づき、実施の形態1にて述べた方法と同様にして昇給額を算出する。
【0116】
経営理念に従った行動を例示すると、「顧客第一」または「正直」等の社訓に従って従業員が日々行動しているか、経営理念の内容を新入社員に分かりやすく説明できるか、社内宛の文書またはメールにて経営理念を引用しているか、が挙げられる。
【0117】
上長は従業員の普段の行動を観察して、経営理念に従った行動をしているか否かの上長評価をおこなう。上長は、上長端末30を通じて経営理念の評価における上長評価を入力する。従業員は自身の行動を振り返り、経営理念に従った行動をしていたか否かの自己評価をおこなう。従業員は、従業員端末20を通じて経営理念の評価における自己評価を入力する。
【0118】
従業員端末20および上長端末30は、経営理念の評価における自己評価および上長評価を管理者端末40に送信する。管理者端末40は、当該評価を図15に示す従業員DB430に記憶する。
【0119】
図16は、管理者端末40が実行するプログラムの処理手順を示すフローチャートである。管理者端末40の制御部41は、プログラム440に基づき以下の処理を実行する。
【0120】
制御部41は、目標管理の評価における自己評価および上長評価と、人事考課の評価における自己評価および上長評価と、経営理念の評価における自己評価および上長評価とを取得する(ステップS301)。制御部41は、それぞれの評価に基づき評価点を算出する(ステップS302)。制御部41は、算出した評価点を従業員端末20または上長端末30に出力する(ステップS303)。
【0121】
最終評価者は、制御部41が算出した評価点を考慮して、入力部45を通じて最終評価を入力する。制御部41は、最終評価の入力を受け付ける(ステップS304)。制御部41は、最終評価に基づき各従業員の昇給額を調整する(ステップS305)。制御部41は、調整後の昇給額を含む給与改定通知書を生成する(ステップS306)。制御部41は、生成した給与改定通知書を従業員端末20または上長端末30に出力する(ステップS307)。
【0122】
管理者は、入力部45を通じて各従業員の労働条件を入力する。制御部41は、各従業員の労働条件の入力を受け付ける(ステップS308)。管理者端末40は、当該労働条件に基づく労働条件通知書を生成する(ステップS309)。管理者端末40は、生成した労働条件通知書を従業員端末20に送信する(ステップS310)。制御部41は、一連の処理を終了する。
【0123】
以上、実施の形態4によれば、経営理念に従った行動をしているかの評価を昇給額に反映させることができる。
【0124】
以上、実施の形態1から実施の形態4によれば、従業員に対する評価に基づき昇給額を算出するプログラム等を提供できる。
【0125】
本実施の形態では、上長評価に基づいて昇給額を調整するものとして説明したが、これに限定されない。管理者端末40は、上長評価に自己評価を加えて昇給額を調整してもよい。その場合、管理者端末40は、上長評価および自己評価の評価点に基づく平均値を算出した後、当該平均値に所定の係数を乗じて評価点を算出する。管理者端末40は、当該評価点に基づいて各従業員の昇給額を調整する。自己評価を昇給額に取り入れることで、従業員がより納得できる昇給額を算出することができる。
【0126】
この他、管理者端末40は、目標管理、人事考課、および経営理念の自己評価のみに基づいて評価点を算出してもよい。また、管理者端末40は、第一評価情報、第二評価情報、および第三評価情報の平均値に基づいて評価点を算出するか、もしくは、第一評価情報、第二評価情報、および第三評価情報のそれぞれに所定の係数を乗じて評価点を算出してもよい。
【0127】
なお、上述した調整方法に含まれる種々のパラメータ(たとえば評価点に乗じる所定の係数、プロセス点、または達成点等)は、管理者端末40の入力部45を通じて変更が可能である。また、いずれの調整方法で従業員の昇給額を算出するかについても、管理者端末40を通じて設定することができる。
【0128】
今回開示された実施の形態はすべての点において例示であり、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は上記のように開示された意味ではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて定められ、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内において、すべての変更が含まれる。
【0129】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項および従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0130】
20 従業員端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 表示部
30 上長端末
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 入力部
35 表示部
40 管理者端末
40a 可搬型記憶媒体
41 制御部
42 主記憶部
43 補助記憶部
430 従業員DB
440 プログラム(プログラム製品)
44 通信部
45 入力部
46 表示部
NW 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16