(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021842
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20240208BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1335 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124970
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】岩浪 慶成
【テーマコード(参考)】
2H192
2H291
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192CB05
2H192CB14
2H192CB35
2H192CC02
2H192CC42
2H192DA12
2H192EA03
2H192EA13
2H291FA15Y
2H291FB14
2H291GA19
2H291LA03
(57)【要約】
【課題】 表示品位を向上させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、複数の画素を備え、複数の画素の各々は、TFTと、TFTを遮光する遮光層とを含む。TFTは、基板上に設けられたゲート電極と、ゲート電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられた半導体層と、半導体層上に設けられたソース電極及びドレイン電極とを含む。ゲート電極は、走査線に接続される。ソース電極は、画素電極に接続される。ドレイン電極は、信号線に接続される。遮光層の幅は、前記半導体層の幅より広い。ソース電極は、半導体層の1つの角を覆うように構成される。ドレイン電極は、半導体層の1つの角を覆うように構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を備え、
前記複数の画素の各々は、TFT(thin film transistor)と、前記TFTを遮光する遮光層とを含み、
前記TFTは、
基板上に設けられたゲート電極と、
前記ゲート電極上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に設けられた半導体層と、
前記半導体層上に設けられたソース電極及びドレイン電極とを含み、
前記ゲート電極は、走査線に接続され、
前記ソース電極は、画素電極に接続され、
前記ドレイン電極は、信号線に接続され、
前記遮光層の幅は、前記半導体層の幅より広く
前記ソース電極は、前記半導体層の1つの角を覆うように構成され、
前記ドレイン電極は、前記半導体層の1つの角を覆うように構成される
表示装置。
【請求項2】
前記ゲート電極の幅は、前記半導体層の幅より狭い
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ゲート電極の幅は、前記遮光層の幅より狭い
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ソース電極は、前記半導体層の2つの角を覆うように構成され、
前記ドレイン電極は、前記半導体層の2つの角を覆うように構成される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記遮光層は、前記画素電極に対向して配置される共通電極に電気的に接続される
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリックス方式の液晶表示装置は、スイッチング素子に薄膜トランジスタ(TFT)を用いている。TFTは、基板上に設けられたゲート電極と、ゲート電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられた半導体層と、半導体層上に部分的に設けられたソース電極及びドレイン電極とを有する。ゲート電極は、走査線に接続され、ソース電極は、画素電極に接続され、ドレイン電極は、信号線に接続される。
【0003】
TFTがオフ時に、TFTの半導体層に光が入射すると、光電効果によりTFTにリーク電流が発生する。このリーク電流により、液晶表示装置にフリッカーやクロストークなどが発生し、液晶表示装置の表示品位が低下してしまう。
【0004】
TFTのリーク電流を低減するために、TFTの半導体層を覆うように遮光層を設け、液晶表示装置の表面から入射する外光を遮光する手法がある。遮光層の幅がゲート電極の幅より広い場合、バックライトの光が遮光層で反射し、この反射光がTFTに照射される。これにより、TFTにリーク電流が発生してしまう。
【0005】
液晶表示装置の裏面に配置されたバックライトの光がTFTに入射すると、TFTにリーク電流が発生する。ゲート電極の幅を広くすることで、バックライトの光をゲート電極で遮光する手法がある。しかし、この場合、画素の開口率が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、表示品位を向上させることが可能な表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によると、複数の画素を備え、前記複数の画素の各々は、TFT(thin film transistor)と、前記TFTを遮光する遮光層とを含み、前記TFTは、基板上に設けられたゲート電極と、前記ゲート電極上に設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に設けられた半導体層と、前記半導体層上に設けられたソース電極及びドレイン電極とを含み、前記ゲート電極は、走査線に接続され、前記ソース電極は、画素電極に接続され、前記ドレイン電極は、信号線に接続され、前記遮光層の幅は、前記半導体層の幅より広く、前記ソース電極は、前記半導体層の1つの角を覆うように構成され、前記ドレイン電極は、前記半導体層の1つの角を覆うように構成される、表示装置が提供される。
【0009】
本発明の第2態様によると、前記ゲート電極の幅は、前記半導体層の幅より狭い、第1態様に係る表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第3態様によると、前記ゲート電極の幅は、前記遮光層の幅より狭い、第1態様に係る表示装置が提供される。
【0011】
本発明の第4態様によると、前記ソース電極は、前記半導体層の2つの角を覆うように構成され、前記ドレイン電極は、前記半導体層の2つの角を覆うように構成される、第1態様に係る表示装置が提供される。
【0012】
本発明の第5態様によると、前記遮光層は、前記画素電極に対向して配置される共通電極に電気的に接続される、第1態様に係る表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表示品位を向上させることが可能な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の回路図である。
【
図2】
図2は、画素アレイに含まれる画素の概略的な平面図である。
【
図3】
図3は、画素に含まれるTFTを抽出して示した平面図である。
【
図5】
図5は、液晶表示装置の製造方法の一工程を説明する図である。
【
図6】
図6は、液晶表示装置の製造方法の一工程を説明する図である。
【
図7】
図7は、液晶表示装置の製造方法の一工程を説明する図である。
【
図8】
図8は、液晶表示装置の製造方法の一工程を説明する図である。
【
図9】
図9は、液晶表示装置の製造方法の一工程を説明する図である。
【
図10】
図10は、TFTのオフ電流と入射光強度との関係を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
[1] 液晶表示装置1の全体構成
本実施形態では、表示装置として液晶表示装置を例に挙げて説明する。液晶表示装置は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置である。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置1の回路図である。液晶表示装置1は、画素アレイ2、走査線駆動回路3、信号線駆動回路4、及び共通電極駆動回路5を備える。
【0018】
画素アレイ2は、マトリクス状に配置された複数の画素PXを備える。画素アレイ2には、それぞれがX方向(ロウ方向ともいう)に延びる複数の走査線GL1~GLmと、それぞれがX方向に直交するY方向(カラム方向ともいう)に延びる複数の信号線SL1~SLnとが配設される。“m”及び“n”はそれぞれ、2以上の整数である。走査線GLと信号線SLとの交差領域には、画素PXが配置される。
【0019】
画素PXは、スイッチング素子(アクティブ素子)6、液晶容量(液晶素子)Clc、及び蓄積容量Csを備える。スイッチング素子6としては、例えば薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が用いられ、またnチャネルTFTが用いられる。なお、トランジスタのソース及びドレインは、トランジスタに流れる電流の向きによって変化するが、以下の説明では、トランジスタの接続状態の一例を説明する。しかし、ソース及びドレインが名称通りに固定されるものでないことは勿論である。
【0020】
後述するように、画素PXに含まれるTFTは、2個以上のTFTが並列接続されて構成される。
図1では、並列接続された複数のTFTを纏めて1個のTFTとして図示している。
【0021】
TFT6のドレインは、信号線SLに接続され、そのゲートは、走査線GLに接続され、そのソースは、液晶容量Clcの一方の電極に接続される。液晶素子としての液晶容量Clcは、画素電極と、共通電極と、これらに挟まれた液晶層とにより構成される。液晶容量Clcの他方の電極には、共通電極駆動回路5により共通電圧Vcomが印加される。
【0022】
蓄積容量Csの一方の電極は、液晶容量Clcの一方の電極に接続される。蓄積容量Csの他方の電極には、共通電極駆動回路5により共通電圧Vcomが印加される。蓄積容量Csは、画素電極に生じる電位変動を抑制するとともに、画素電極に印加された駆動電圧を次の信号に対応する駆動電圧が印加されるまでの間保持する機能を有する。蓄積容量Csは、画素電極と、蓄積容量線と、これらに挟まれた絶縁層とにより構成される。蓄積容量Csの他方の電極(蓄積容量線)には、共通電圧Vcomと異なる蓄積容量電圧を印加してもよい。
【0023】
画素アレイ2の裏面には、バックライト(図示せず)が配置される。バックライトは、画素アレイ2の裏面に、照明光を照射する。バックライトとしては、例えば、直下型又はサイドライト型(エッジライト型)のLEDバックライトが用いられる。
【0024】
走査線駆動回路3は、複数の走査線GLに接続される。走査線駆動回路3は、制御回路(図示せず)から送られる制御信号に基づいて、TFTをオン/オフするための走査信号を画素アレイ2に送る。
【0025】
信号線駆動回路4は、複数の信号線SLに電気的に接続される。信号線駆動回路4は、制御回路から制御信号、及び表示データを受ける。信号線駆動回路4は、制御信号に基づいて、表示データに対応する複数の階調信号(複数の駆動電圧)を画素アレイ2に送る。
【0026】
共通電極駆動回路5は、共通電圧Vcomを生成し、これを画素アレイ2内の共通電極及び蓄積容量線に供給する。
【0027】
[2] 画素アレイ2の構成
次に、画素アレイ2の構成について説明する。
【0028】
図2は、画素アレイ2に含まれる画素PXの概略的な平面図である。画素PXは、TFT6、画素電極7、及び蓄積電極9を備える。画素電極7は、Y方向に延びる。画素電極7は、画素PXが占める面積より若干小さい面積を有する。
【0029】
TFT6は、ゲート電極11、半導体層13、ソース電極15、及びドレイン電極17を備える。TFT6の具体的な構成については後述する。
【0030】
ゲート電極11は、X方向に延びる。ゲート電極11は、走査線GLとして機能する。
【0031】
ソース電極15は、スルーホール8を介して画素電極7に電気的に接続される。スルーホール8は、ソース電極15に向けて窪んだ電極部分に対応する。
【0032】
蓄積電極9は、X方向に延びる。蓄積電極9は、画素電極7の下方に配置され、画素電極7に部分的に重なるように構成される。蓄積電極9と画素電極7との間には、絶縁層が設けられる。蓄積電極9は、前述した蓄積容量線に対応し、蓄積容量を構成する。
【0033】
ドレイン電極17は、信号線SLに電気的に接続される。
【0034】
図3は、画素PXに含まれるTFT6を抽出して示した平面図である。
図4は、
図3のA-A’線に沿ったTFT6の断面図である。
【0035】
TFT6は、例えば、ボトムゲート型かつチャネルエッチ型のTFTである。ボトムゲート型TFTとは、走査線として機能するゲート電極がソース電極及びドレイン電極よりも下方(絶縁基板側)に設けられたTFTである。ボトムゲート型TFTは、逆スタガ型TFTとも呼ばれる。チャネルエッチ型TFTとは、ソース電極及びドレイン電極を分離する際に、半導体層を多少エッチングするような製法で製造されたTFTである。なお、本実施形態は、チャネルエッチ型のTFTに限定されず、他の種類のTFTに適用してもよい。
【0036】
液晶表示装置1は、TFT及び画素電極が配置される基板(TFT基板ともいう)10を備える。TFT基板10は、透明かつ絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。
【0037】
なお、図示は省略するが、液晶表示装置1は、TFT基板10に対向して配置される対向基板と、TFT基板10と対向基板との間に挟持された液晶層とを備える。対向基板は、透明かつ絶縁性を有する基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。対向基板には、ブラックマトリクス、カラーフィルタ、及び共通電極などが設けられる。
【0038】
TFT基板10上には、ゲート電極11が設けられる。ゲート電極11は、走査線GLとして機能するとともに、走査線GLに電気的に接続される。
【0039】
ゲート電極11及びTFT基板10上には、ゲート絶縁膜12が設けられる。ゲート絶縁膜12を絶縁層ともいう。
【0040】
ゲート絶縁膜12上には、半導体層13が設けられる。半導体層13は、X方向に延びるとともに、四角形を有する。本明細書において、四角形とは、製造工程に起因して角が丸まった形状も含む。半導体層13は、ゲート電極11に重なるように配置される。
【0041】
半導体層13上には、オーミックコンタクト層14を介して、ソース電極15が設けられる。ソース電極15は、X方向に延びる。オーミックコンタクト層14は、半導体層と電極との電気的接続を良好にする機能を有する。オーミックコンタクト層14は、高濃度のn型不純物が導入されたn+型半導体層で構成される。オーミックコンタクト層14は、省略しても構わない。ソース電極15は、画素電極7に電気的に接続される。
【0042】
半導体層13上には、オーミックコンタクト層16を介して、ドレイン電極17が設けられる。ドレイン電極17は、X方向に延びる。オーミックコンタクト層16の構成は、オーミックコンタクト層14と同じである。オーミックコンタクト層16は、省略しても構わない。ドレイン電極17は、信号線SLに電気的に接続される。
【0043】
ソース電極15及びドレイン電極17上には、絶縁層18が設けられる。
【0044】
絶縁層18上には、遮光層19が設けられる。遮光層19は、光を遮光する機能を有する。遮光層19は、X方向に延びる。遮光層19は、TFT6を覆うように構成される。遮光層19は、共通電極に電気的に接続され、共通電圧Vcomが印加される。
【0045】
遮光層19上には、絶縁層20が設けられる。絶縁層20上には、前述した画素電極7が設けられる。
【0046】
(材料の例示)
半導体層13としては、アモルファスシリコンが用いられる。
【0047】
ゲート電極11、ソース電極15、ドレイン電極17、走査線GL、及び信号線SLとしては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、及びタングステン(W)のいずれか、又はこれらの1種類以上を含む合金等が用いられる。
【0048】
画素電極7、及び蓄積電極9としては、透明電極が用いられ、例えばITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。
【0049】
遮光層19としては、アルミニウム(Al)、又はアルミニウム(Al)含む合金等が用いられる。
【0050】
ゲート絶縁膜12、絶縁層18、及び絶縁層20としては、透明な絶縁材料が用いられ、例えばシリコン窒化物(SiN)が用いられる。
【0051】
(寸法の条件)
次に、ゲート電極11、半導体層13、ソース電極15、ドレイン電極17、及び遮光層19における寸法の条件について説明する。
【0052】
ゲート電極11の幅(Y方向の長さ)をW1、半導体層13の幅(Y方向の長さ)をW2、遮光層19の幅(Y方向の長さ)をW3とする。
【0053】
ゲート電極11の幅W1は、半導体層13の幅W2より狭い。ゲート電極11のY方向における両端は、半導体層13に覆われる。
【0054】
ソース電極15は、半導体層13に部分的に重なるように配置され、半導体層13のY方向における一端を覆うように構成される。ソース電極15は、半導体層13の2個の角を覆う面積を有する。ソース電極15のX方向の長さは、半導体層13のX方向の長さより長い。
【0055】
ドレイン電極17は、半導体層13に部分的に重なるように配置され、半導体層13のY方向における他端を覆うように構成される。ドレイン電極17は、半導体層13の2個の角を覆う面積を有する。ドレイン電極17のX方向の長さは、半導体層13のX方向の長さより長い。
【0056】
遮光層19は、半導体層13を覆う面積を有する。遮光層19の幅W3は、ゲート電極11の幅W1より広く、半導体層13の幅W2より広い。ゲート電極11のY方向における両端は、遮光層19に覆われる。半導体層13のY方向における両端は、遮光層19に覆われる。TFT6が占める領域以外において、遮光層19の幅は、例えば、ゲート電極11の幅と同じかそれより若干広く設定される。
【0057】
遮光層19のX方向に長さは、半導体層13のX方向に長さより長い。遮光層19のX方向に長さは、ソース電極15及びドレイン電極17のX方向に長さより長い。
【0058】
[3] 製造方法
次に、液晶表示装置1の製造方法について説明する。
【0059】
図5に示すように、ガラス基板からなるTFT基板10を準備する。続いて、スパッタリング法を用いて、TFT基板10上に、モリブデン(Mo)を含む合金からなる金属層を成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法を用いて、この金属層を所定のパターンに加工して、ゲート電極11を形成する。
【0060】
続いて、
図6に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、ゲート電極11を覆うように、シリコン窒化物(SiN)からなるゲート絶縁膜12を成膜する。続いて、CVD法を用いて、アモルファスシリコンからなる半導体層13と、アモルファスシリコンに高濃度のn型不純物が導入されて構成されたn型アモルファスシリコン層14Aとをこの順に成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法を用いて、半導体層13及びn型アモルファスシリコン層14Aからなる積層膜を所定のパターンに加工する。平面視において、半導体層13の幅は、ゲート電極11の幅より広い。
【0061】
続いて、
図7に示すように、スパッタリング法を用いて、モリブデン(Mo)を含む合金からなる金属層を成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法を用いて、この金属層を所定のパターンに加工して、ソース電極15及びドレイン電極17を形成する。平面視において、ソース電極15及びドレイン電極17は、半導体層13の4つの角を覆うように形成される。
【0062】
続いて、
図8に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、ソース電極15及びドレイン電極17間に設けられたn型アモルファスシリコン層14Aをエッチングするとともに、半導体層13をハーフエッチングする。また、n型アモルファスシリコン層14Aが部分的にエッチングされて、ソース電極15に電気的に接続されたオーミックコンタクト層14と、ドレイン電極17に電気的に接続されたオーミックコンタクト層16とが形成される。
【0063】
続いて、
図9に示すように、CVD法を用いて、ソース電極15及びドレイン電極17を覆うように、シリコン窒化物(SiN)からなる絶縁層18を成膜する。
【0064】
続いて、スパッタリング法を用いて、絶縁層18上に、アルミニウム(Al)を含む合金からなる金属層を成膜する。続いて、フォトリソグラフィ法を用いて、この金属層を所定のパターンに加工して、遮光層19を形成する。平面視において、遮光層19は、ゲート電極11及び半導体層13の幅より広い。
【0065】
続いて、
図4に示すように、CVD法を用いて、遮光層19を覆うように、シリコン窒化物(SiN)からなる絶縁層20を成膜する。
【0066】
以上の工程により、ボトムゲート型のTFT6が形成される。その後、ブラックマトリクス、カラーフィルタ、及び共通電極などが設けられ対向基板を形成する。続いて、TFT基板10と対向基板との間に、シール材で囲まれた液晶層を形成する。
【0067】
[4] 作用
上記のように構成された液晶表示装置1の作用について説明する。
【0068】
画素アレイ2の裏面には、バックライトが配置される。バックライトは、TFT基板10のTFT6が設けられる側と反対側に配置される。バックライトは、画素アレイ2の裏面に、照明光を照射する。バックライトからの光は、TFT基板10側からTFT6に入射する。
【0069】
ゲート電極11は、光を遮光する材料で構成される。バックライトの光は、ゲート電極11で遮光される。よって、半導体層13に入射する光が低減される。
【0070】
TFT6の上方からは、外光が入射する。外光は、太陽光、及び屋内の照明が発光する光を含む。
【0071】
液晶表示装置1にバックライトと反対側から入射した外光は、遮光層19によって遮光される。よって、半導体層13に入射する外光が低減される。また、遮光層19の幅は、半導体層13の幅より広く設定される。よって、半導体層13に入射する外光をより低減できる。
【0072】
本実施形態では、遮光層19の幅がゲート電極11の幅より広いため、バックライトの光が遮光層19の底面で反射され、この反射光が半導体層13に入射する可能性がある。しかし、本実施形態では、ソース電極15及びドレイン電極17は、半導体層13の4つの角を覆うによう構成される。ソース電極15及びドレイン電極17は、光を遮光する材料で構成される。すなわち、半導体層13のY方向両端部をソース電極15及びドレイン電極17で遮光することができる。よって、バックライトの光が遮光層19の底面で反射された反射光は、ソース電極15及びドレイン電極17で遮光される。これにより、半導体層13に入射する光が低減される。
【0073】
このように、本実施形態では、バックライトからの光と、液晶表示装置1に入射する外光と、バックライトの光が遮光層19の底面で反射された反射光とが、TFT6の半導体層13に入射するのを低減できる。これにより、TFT6のオフ時のリーク電流を低減できる。
【0074】
図10は、TFT6のオフ電流と入射光強度との関係を説明するグラフである。
図10の実線が本実施形態のオフ電流に関するグラフである。
図10の横軸が入射光強度(cd/m
2)であり、縦軸がTFTのオフ電流(A)である。オフ電流とは、オフ時のTFTのリーク電流に対応する。入射光強度は、画素アレイ2の裏面から入射する光の強度であり、バックライトの光強度に対応する。
【0075】
本実施形態では、入射光強度が高くなっても、オフ電流がほとんど増加しないことが理解できる。
【0076】
次に、比較例に係る液晶表示装置の構成について説明する。
図11は、比較例に係るTFT6Aの平面図である。
図12は、
図11のB-B’線に沿ったTFT6Aの断面図である。
【0077】
TFT6Aは、ゲート電極11、ゲート絶縁膜12、半導体層13、オーミックコンタクト層14、ソース電極15、オーミックコンタクト層16、及びドレイン電極17を備える。TFT6Aは、遮光層19によって遮光される。
【0078】
ゲート電極11の幅は、半導体層13の幅より広い。よって、バックライトからの光が半導体層13に入射するのを低減できる。
【0079】
ソース電極15及びドレイン電極17は、半導体層13を部分的に覆うように配置される。ソース電極15及びドレイン電極17は、半導体層13の内側に配置される。
【0080】
遮光層19の幅は、半導体層13の幅及びゲート電極11の幅より広い。よって、液晶表示装置にバックライトと反対側から入射した外光が、TFT6Aの半導体層13に入射するのを低減できる。
【0081】
比較例では、バックライトの光が遮光層19の底面で反射された反射光を遮光するための構造を有していない。よって、バックライトの光が遮光層19の底面で反射された反射光は、半導体層13に入射する。
【0082】
また、比較例では、ゲート電極11の幅が半導体層13の幅より広い。よって、比較例では、画素の開口率が低下してしまう。
【0083】
図10には、比較例に係るTFT6Aのオフ電流のグラフも載せている。比較例では、入射光強度が大きくなるにつれて、オフ電流が大きくなる。比較例に比べて、本実施形態では、オフ電流を大幅に低減できる。
【0084】
[5] 変形例
次に、変形例に係る液晶表示装置1について説明する。
【0085】
図13は、変形例に係るTFT6の平面図である。
図13のA-A’線に沿った断面図は、
図4と同じである。
【0086】
ソース電極15は、半導体層13の1つの角を覆うように構成される。すなわち、ソース電極15のX方向の長さは、前述した
図3の構成と比べて短い。ソース電極15は、半導体層13のY方向における一端を部分的に覆うように構成される。
【0087】
ドレイン電極17は、半導体層13の1つの角を覆うように構成される。すなわち、ドレイン電極17のX方向の長さは、前述した
図3の構成と比べて短い。ドレイン電極17は、半導体層13のY方向における一端を部分的に覆うように構成される。
【0088】
変形例のように、ソース電極15及びドレイン電極17のX方向の長さは、TFT6に求められる特性に応じて、適宜設定可能である。
【0089】
変形例においても、比較例に比べて、TFT6のオフ電流を低減できる。
【0090】
[6] 実施形態の効果
本実施形態によれば、バックライトからの光がTFT6に入射するのを抑制できるとともに、外光がTFT6に入射するのを抑制できる。これにより、TFT6のリーク電流を低減できる。ひいては、表示品位を向上させることが可能な表示装置を実現できる。
【0091】
また、ゲート電極11の幅を半導体層13の幅及び遮光層19の幅より狭くしている。これにより、画素PXの開口率を大きくすることができる。
【0092】
すなわち、本実施形態によれば、画素PXの開口率を低下させることなく、バックライトの光によるTFT6のリーク電流を低減することができる。
【0093】
上記実施形態では、表示装置として液晶表示装置を例に挙げて説明している。本実施形態は、液晶表示装置以外の表示装置にも適用可能である。例えば、本実施形態は、有機EL(electroluminescence)表示装置にも適用可能である。
【0094】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0095】
1…液晶表示装置、2…画素アレイ、3…走査線駆動回路、4…信号線駆動回路、5…共通電極駆動回路、6…TFT、7…画素電極、8…スルーホール、9…蓄積電極、10…TFT基板、11…ゲート電極、12…ゲート絶縁膜、13…半導体層、14…オーミックコンタクト層、15…ソース電極、16…オーミックコンタクト層、17…ドレイン電極、18…絶縁層、19…遮光層、20…絶縁層。