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特開2024-21868車載装置、情報処理方法及び車載システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021868
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】車載装置、情報処理方法及び車載システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20240208BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20240208BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20240208BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B60R16/02 660K
B60R16/023 P
H04L12/28 100A
H04L12/28 200Z
H02J7/00 302B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125015
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】谷中 裕太
【テーマコード(参考)】
5G503
5K033
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA17
5G503DA18
5K033AA04
5K033BA06
5K033CB01
5K033DA01
5K033DB25
(57)【要約】
【課題】起動が不要な車載ECUに対する電源装置からの給電を遮断する車載装置等を提供する。
【解決手段】車載装置は、車載ネットワークに接続される複数の車載ECUと通信可能に接続される車載装置であって、前記車載ECUとの通信に関する処理を行う制御部を備え、前記車載ECUには、前記車載ECUへの給電を遮断する給電遮断部が接続されており、前記制御部は、起動対象の車載ECUに関する情報を取得し、前記起動対象の車載ECU以外の車載ECUに接続される前記給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行い、前記起動対象の車載ECUに対し、給電が行われている状態を維持しつつ、前記車載ネットワークを介して起動信号を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載ネットワークに接続される複数の車載ECUと通信可能に接続される車載装置であって、
前記車載ECUとの通信に関する処理を行う制御部を備え、
前記車載ECUには、前記車載ECUへの給電を遮断する給電遮断部が接続されており、
前記制御部は、
起動対象の車載ECUに関する情報を取得し、
前記起動対象の車載ECU以外の車載ECUに接続される前記給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行い、
前記起動対象の車載ECUに対し、給電が行われている状態を維持しつつ、前記車載ネットワークを介して起動信号を出力する
車載装置。
【請求項2】
前記車載ネットワークは、複数の通信線により構成され、
前記制御部は、
前記起動対象の車載ECUと同じ通信線に接続される他の車載ECUを特定し、
特定した前記他の車載ECUに接続される前記給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行う
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記車載ネットワークが搭載される車両には、前記複数の車載ECUへ給電を行う電源装置が設けられており、
前記給電遮断部は、前記車載ECUに対し、前記電源装置側の電源線又はグランド側の電源線に配置されている
請求項1又は請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記複数の車載ECUは、前記給電遮断部が接続されている車載ECUと、前記給電遮断部が接続されておらず前記電源装置から常時給電される車載ECUとを含む
請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記車載ネットワークは、複数の通信線により構成され、
いずれかの前記通信線に接続される前記複数の車載ECUのうち、消費電力が所定の閾値以下の車載ECU以外の車載ECUには、前記給電遮断部が接続されている
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記車載ネットワークは、複数の通信線により構成され、
いずれかの前記通信線に接続される前記複数の車載ECUのうち、消費電力が所定の閾値よりも大きい車載ECUには、前記給電遮断部が接続されている
請求項4に記載の車載装置。
【請求項7】
前記複数の車載ECUそれぞれが、前記給電遮断部が接続されている車載ECUであるか、又は前記給電遮断部が接続されていない車載ECUであるかを示す接続形態情報が記憶される記憶部を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶される前記接続形態情報を参照して、制御対象となる前記給電遮断部が接続されている車載ECUを特定する
請求項4に記載の車載装置。
【請求項8】
車載ネットワークに接続される複数の車載ECUと、通信可能に接続されるコンピュータに、
起動対象の車載ECUに関する情報を取得し、
取得した情報に基づき、前記起動対象の車載ECUを特定し、
前記起動対象の車載ECU以外の車載ECUに接続される給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行い、
前記起動対象の車載ECUに対し、給電が行われている状態を維持しつつ、前記車載ネットワークを介して起動信号を出力する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項9】
車載ネットワークに接続される複数の車載ECUと車載装置とを含む車載システムであって、
前記車載ECUには、前記車載ECUへの給電を遮断する給電遮断部が接続されており、
前記車載装置は、
起動対象の車載ECUに関する情報を取得し、
取得した情報に基づき、前記起動対象の車載ECUを特定し、
前記起動対象の車載ECU以外の車載ECUに接続される前記給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行い、
前記起動対象の車載ECUに対し、給電が行われている状態を維持しつつ、前記車載ネットワークを介して起動信号を出力する
車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、情報処理方法及び車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のECU(Electronic Control Unit)が通信バスに接続されている車載システムが開示されている。各ECUは、通信バスを介して他のECUと通信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-182679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車載システムでは、複数のECUの消費電力に関し何ら考慮されていないという問題点がある。
【0005】
本開示は、起動が不要な車載ECUに対する電源装置からの給電を遮断することができる車載装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、車載ネットワークに接続される複数の車載ECUと通信可能に接続される車載装置であって、前記車載ECUとの通信に関する処理を行う制御部を備え、前記車載ECUには、前記車載ECUへの給電を遮断する給電遮断部が接続されており、前記制御部は、起動対象の車載ECUに関する情報を取得し、前記起動対象の車載ECU以外の車載ECUに接続される前記給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行い、前記起動対象の車載ECUに対し、給電が行われている状態を維持しつつ、前記車載ネットワークを介して起動信号を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、起動が不要な車載ECUに対する電源装置からの給電を遮断する車載装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図2】車載装置の内部構成を例示するブロック図である。
図3】給電遮断部が電源装置側の電源線に配置される接続形態を例示する模式図である。
図4】給電遮断部がグランド側の電源線に配置される接続形態を例示する模式図である。
図5】車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図6】車載ECUの接続形態を示す接続形態テーブルに関する説明図である。
図7】実施形態2(コスト考慮型)に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図8】車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図9】車載ECUの接続形態を示す接続形態テーブルに関する説明図である。
図10】実施形態3(コスト優先型)に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図11】実施形態4(電源及び通信複合型)に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車載ネットワークに接続される複数の車載ECUと通信可能に接続される車載装置であって、前記車載ECUとの通信に関する処理を行う制御部を備え、前記車載ECUには、前記車載ECUへの給電を遮断する給電遮断部が接続されており、前記制御部は、起動対象の車載ECUに関する情報を取得し、前記起動対象の車載ECU以外の車載ECUに接続される前記給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行い、前記起動対象の車載ECUに対し、給電が行われている状態を維持しつつ、前記車載ネットワークを介して起動信号を出力する。
【0011】
本態様にあたっては、車載ネットワークに接続される車両に搭載される複数の車載ECUは、車載装置と通信可能に接続されており、車載装置から送信されるウェイクアップ信号又はスリープ信号を受信することにより、ウェイクアップ状態(起動状態)、又はスリープ状態(停止又は待機状態)に遷移する。複数の車載ECUには、車両に搭載される電源装置から分岐して延設される電源線が、接続されている。当該電源線それぞれには給電遮断部が配置されており、すなわち、個々の車載ECUには、給電遮断部が接続されている。給電遮断部それぞれと、車載装置とは、例えばシリアルケーブル、ワイヤーハーネス又は、一つの信号のみを送信する導電ケーブル(じか線)等の信号線により通信可能に接続されている。給電遮断部は、例えば、半導体リレー、機械式リレー又は開閉スイッチにより構成されており、車載装置から出力される信号に応じて、車載ECUが電源装置から給電される接続状態(給電状態)と、電源装置からの給電が遮断される遮断状態(非給電状態)とを遷移する。給電遮断部がリレー等により構成される場合、車載ECUが電源装置から給電される接続状態はリレーのオン状態に相当し、電源装置からの給電が遮断される遮断状態はリレーのオフ状態に相当する。このように車載装置の制御部による給電遮断部に対する制御、すなわち給電を遮断(リレーをオフ)する制御、及び給電を開始(リレーをオン)する制御は、給電遮断部の構成、特性及び仕様に応じて行われる。車載装置の制御部は、例えば特定のサービスを実行するため、起動対象となる車載ECUに対し、例えばウェイクアップ信号等の起動信号を出力する際、当該起動対象となる車載ECUに接続される給電遮断部を、給電を開始(リレーをオン)する状態に制御する。この際、当該起動対象の車載ECU以外の車載ECUであって、起動信号(ウエイクアップ信号)に影響を受ける車載ECUに接続される給電遮断部は、給電を遮断(リレーをオフ)する状態を維持するように制御する。従って、車載ネットワークを介して起動信号を出力された場合であっても、遮断状態となっている給電遮断部に接続される車載ECUは起動しない。これにより、実行を要するサービスに関する処理を行う車載ECUのみを起動し、当該サービスの実行に関与しない他の車載ECUが起動することを防止(回避)し、これら他の車載ECUによって電力が不要に消費されることを抑制することができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載ネットワークは、複数の通信線により構成され、前記制御部は、前記起動対象の車載ECUと同じ通信線に接続される他の車載ECUを特定し、特定した前記他の車載ECUに接続される前記給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行う。
【0013】
本態様にあたっては、車載ネットワークにおいて、例えばCAN(Controller Area Network)又はCAN-FDの通信プロコトルに応じた通信が行われる場合、当該車載ネットワークの物理層は、CANバス等による複数の通信線により構成される。この際、単一の通信線(同じ通信線)には、複数の車載ECUが接続されるものとなり、これら複数の車載ECUのうち、いずれかの車載ECUを起動(ウェイクアップ)されるための起動信号(ウェイクアップ信号)は、同じ通信線に接続される全ての車載ECUに対し出力(送信)されるものとなる。このような場合であっても、車載装置の制御部は、起動対象の車載ECUと同じ通信線に接続される他の車載ECUを特定し、特定した他の車載ECUに接続される給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行う。従って、起動対象でない車載ECU(他の車載ECU)に接続されているリレー等の給電遮断部は、車載装置の制御部により、給電を遮断する状態(遮断状態/オフ状態)となる。これにより、当該起動対象でない車載ECU(他の車載ECU)は、給電がされていない状態にあるため、起動信号(ウェイクアップ信号)を受信できず、起動(ウェイクアップ)しない。従って、起動対象でない車載ECUにおける停止状態を維持することができ、これら起動対象でない車載ECUによって電力が消費されることを抑制することができる。又、起動(ウェイクアップ)又は待機(スリープ)の状態遷移に対し個別に対応が可能なパーシャル機能を有する車載ECUを用いる場合と比較し、当該パーシャル機能を有する車載ECUよりも比較的に安価な車載ECUを用いて車載システムを構築することができる。すなわち、同一の通信線に複数の車載ECUが接続される車載ネットワークを含む車載システムにおいて、車載ECUの選択起動を給電遮断方式にて実現することにより、製品コストを低減しつつ、起動不要な車載ECUによる暗電流が増加することを抑制することができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載ネットワークが搭載される車両には、前記複数の車載ECUへ給電を行う電源装置が設けられており、前記給電遮断部は、前記車載ECUに対し、前記電源装置側の電源線又はグランド側の電源線に配置されている。
【0015】
本態様にあたっては、車両には、鉛バッテリ、オルタネータ又は二次電池等にて構成される電源装置が搭載されている。複数の車載ECUそれぞれに対し、電源装置から延設及び並列分岐された電源線それぞれが、接続されている。車載ECUそれぞれに接続される電源線それぞれにおいて、リレー等にて構成される給電遮断部は、電源装置側の電源線又はグランド側の電源線に配置されている。車載ECUの制御対処となる車載負荷が、当該車載ECUよりも電源装置の側に接続されている場合、給電遮断部は、当該車載ECUに対し、電源装置側の電源線に配置(ハイ側接続)されるものであってもよい。車載ECUの制御対処となる車載負荷が、当該車載ECUよりもグランドの側に接続されている場合、給電遮断部は、当該車載ECUに対し、グランド側の電源線に配置(ロー側接続)されるものであってもよい。これら接続形態において、車載ECU、車載負荷、及び電源装置は、車両に設けられた共通グランドに接続(設置)されるものであってもよい。このように車載ECUの制御対処となる車載負荷の接続形態に応じて、給電遮断部は、当該車載ECUに対し、電源装置側の電源線又はグランド側の電源線に配置(接続)されるため、車載負荷の接続形態に対し柔軟に対応することができる。更に、給電遮断部は車載負荷と並列に接続されるものであってもよく、この場合、電源装置から流れる電流を、給電遮断部が配置される電源線と、車載負荷が配置される電源線とにより分流し、当該車載負荷に流れる電流を少なくすることができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記複数の車載ECUは、前記給電遮断部が接続されている車載ECUと、前記給電遮断部が接続されておらず前記電源装置から常時給電される車載ECUとを含む。
【0017】
本態様にあたっては、電源装置から電源線を介して給電される複数の車載ECUは、給電遮断部が接続されている(給電遮断部を介して電源装置に接続される)車載ECUと、給電遮断部が接続されておらず電源装置から常時給電される(給電遮断部を介さず電源装置に直接、接続される)車載ECUとを含む。従って、例えば、起動される頻度が比較的に高い車載ECUは、給電遮断部を介さず、電源装置に直接接続することにより、給電遮断部の必要数量を低減し、製品コストの削減を行うことができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載ネットワークは、複数の通信線により構成され、いずれかの前記通信線に接続される前記複数の車載ECUのうち、消費電力が所定の閾値以下の車載ECU以外の車載ECUには、前記給電遮断部が接続されている。
【0019】
本態様にあたっては、車載ネットワークが複数のCANバスにより構成される場合、同一のCANバスに接続される複数の車載ECUの消費電力が異なることが想定される。この場合、同一のCANバスに接続される複数の車載ECUにおいて、所定の閾値以下の消費電力の車載ECU以外の車載ECUのみ、給電遮断部に接続するものであってもよい。又は、同一のCANバスに接続される複数の車載ECUにおいて、消費電力が最小の車載ECUを、所定の閾値以下の消費電力の車載ECUとして設定するものであってもよい。この場合、当該消費電力が最小の車載ECUは、給電遮断部を介することなく電源装置に接続される。同一のCANバスに接続される複数の車載ECUにおいて、消費電力が最小の車載ECU以外の他の車載ECUは、給電遮断部を介して電源装置に接続される。このように所定の閾値以下の消費電力の車載ECU、特に消費電力が最小の車載ECUは、給電遮断部を不要とすることにより、給電遮断部の必要数量を低減し製品コストの削減を行うことができ、当該消費電力が最小の車載ECUによる電力消費を許容することにより、コスト考慮型の車載システムを構成することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載ネットワークは、複数の通信線により構成され、いずれかの前記通信線に接続される前記複数の車載ECUのうち、消費電力が所定の閾値よりも大きい車載ECUには、前記給電遮断部が接続されている。
【0021】
本態様にあたっては、車載ネットワークが複数のCANバスにより構成される場合、同一のCANバスに接続される複数の車載ECUの消費電力が異なることが想定される。この場合、同一のCANバスに接続される複数の車載ECUにおいて、所定の閾値よりも大きい消費電力の車載ECUのみ、給電遮断部を介して電源装置に接続するものであってもよい。又は、同一のCANバスに接続される複数の車載ECUにおいて、消費電力が最大の車載ECUを、所定の閾値よりも大きい消費電力の車載ECUとして設定するものであってもよい。この場合、当該消費電力が最大の車載ECUのみが、給電遮断部に接続される。同一のCANバスに接続される複数の車載ECUにおいて、当該消費電力が最大の車載ECU以外の他の車載ECUは、給電遮断部を介することなく電源装置に接続される。このように消費電力が最大の車載ECUのみ、給電遮断部を介して電源装置に接続することにより、給電遮断部の必要数量を更に低減し、製品コストの更なる削減を行うことができ、コスト優先型の車載システムを構成することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載装置は、前記複数の車載ECUそれぞれが、前記給電遮断部が接続されている車載ECUであるか、又は前記給電遮断部が接続されていない車載ECUであるかを示す接続形態情報が記憶される記憶部を備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶される前記接続形態情報を参照して、制御対象となる前記給電遮断部が接続されている車載ECUを特定する。
【0023】
本態様にあたっては、車載装置の記憶部等、制御部がアクセス可能な記憶領域には、車載ECUそれぞれの接続形態を示す接続形態情報が、例えばテーブル形式(接続形態テーブル)が記憶されている。車載装置の制御部は、記憶部に記憶される接続形態情報を参照して、給電の遮断対象となる車載ECU、すなわち給電を遮断する制御対象となる給電遮断部が接続されている車載ECUを特定する。従って、車載ネットワークに接続される車載ECUにおいて、給電遮断部を介して電源装置に接続される車載ECUと、給電遮断部を介さず電源装置に直接接続される車載ECUとが混在する場合であっても、車載装置の制御部は、給電の遮断対象となる車載ECUを効率的に特定することができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る情報処理方法は、車載ネットワークに接続される複数の車載ECUと、通信可能に接続されるコンピュータに、起動対象の車載ECUに関する情報を取得し、取得した情報に基づき、前記起動対象の車載ECUを特定し、前記起動対象の車載ECU以外の車載ECUに接続される給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行い、前記起動対象の車載ECUに対し、給電が行われている状態を維持しつつ、前記車載ネットワークを介して起動信号を出力する。
【0025】
本態様にあたっては、コンピュータを、起動が不要な車載ECUに対する電源装置からの給電を遮断する車載装置として機能させる情報処理方法を提供することができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る車載システムは、車載ネットワークに接続される複数の車載ECUと車載装置とを含む車載システムであって、前記車載ECUには、前記車載ECUへの給電を遮断する給電遮断部が接続されており、前記車載装置は、起動対象の車載ECUに関する情報を取得し、取得した情報に基づき、前記起動対象の車載ECUを特定し、前記起動対象の車載ECU以外の車載ECUに接続される前記給電遮断部に対し、給電を遮断する制御を行い、前記起動対象の車載ECUに対し、給電が行われている状態を維持しつつ、前記車載ネットワークを介して起動信号を出力する。
【0027】
本態様にあたっては、起動が不要な車載ECUに対する電源装置からの給電を遮断する車載装置を含む車載システムを提供することができる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載装置1を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。図2は、車載装置1の内部構成を例示するブロック図である。車載システムSは、車両Cに搭載される車載装置1、車載ECU2、及びこれらを通信可能に接続する車載ネットワーク3により構成される。車載ネットワーク3は、複数の通信線31により構成される。車載ネットワーク3における通信が、例えばCAN(Controller Area Network)又はCAN-FDの通信プロコトルに応じた通信が行われる場合、通信線31はCANバスに相当する。
【0030】
車両Cには、鉛バッテリ、オルタネータ又は二次電池等にて構成される電源装置5が搭載されている。電源装置5と、車載ECU2それぞれとは、電源線51にて接続されている。すなわち、電源装置5から延設される電源線51は、車両Cに搭載される車載ECU2の個数に応じて分岐され、当該分岐された電源線51それぞれは、車載ECU2それぞれに接続される。電源装置5及び車載ECU2それぞれは、更に、車両Cに設けられた共通グランド等のグランド(GND)と電源線51により接続(接地)される。このように電源装置5の負極はグランド(GND)に接続(接地)され、電源装置5から印加(出力)された直流電圧(電力)は、車載ECU2それぞれに印加(供給)される。電源装置5が延設され、車載ECU2に応じて分岐された電源線51には、給電遮断部52が設けられている。又は、給電遮断部52は、車載ECU2とグランドとを接続(接地)する電源線51に設けられているものであってもよい。
【0031】
車載ECU2それぞれに対応して設けられた給電遮断部52それぞれと、車載装置1とは信号線140によって通信可能に接続されている。給電遮断部52は、車載装置1によって行われる給電を遮断する制御に応じて、当該給電遮断部52が接続される車載ECU2に対する電源装置5からの給電を遮断する。給電が遮断されることにより、車載ECU2は、停止状態となり、車載ネットワーク3に伝送される通信データの受信が不可となる。
【0032】
車載ECU2は、後述する車載装置1と同様に制御部、記憶部、及び通信部を備える。車載ECU2は、記憶部に記憶されているプログラムを実行することにより、各種の機能又はサービスを実行するための処理を行う。これら車載ECU2は、鉛バッテリ、オルタネータ又は二次電池等にて構成される電源装置5と、電源線51にて接続されている。車載ECU2は、当該電源線51を介して、電源装置5から電力が供給される。車載ECU2は、車載装置1から送信されるウェイクアップ信号又はスリープ信号を受信することにより、ウェイクアップ状態(起動状態)、又はスリープ状態(停止又は待機状態)に遷移する。
【0033】
車載装置1は、例えばCANゲートウェイ等の中継装置である。又は、車載装置1は、車両Cの全体を統合的に制御し、中継機能を有する統合ECU(ヴィークルコンピュータ)であってもよい。又は、車載装置1は、車両Cのボディ系アクチュエータを制御するボディECU等として構成されるものであってもよい。又は、車載装置1は、通信に関する中継に加え、二次電池等の電源装置5から出力された電力を分配及び中継し、アクチュエータ等の車載器に電力を供給する電力分配装置としても機能するPLB(Power Lan Box)であってもよい。車載装置1には、各種スイッチ、センサ又はアクチュエータ等の車載機器が接続されるものであってもよい。
【0034】
車載装置1は、制御部11、記憶部12、通信部13、及び入出力I/F14を含む。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部12に予め記憶された制御プログラムP(プログラム製品)及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。
【0035】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子、又は、これら記憶デバイスの組み合わせにより構成してあり、制御プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶された制御プログラムP(プログラム製品)は、車載装置1が読み取り可能な記録媒体Mから読み出された制御プログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。
【0036】
通信部13は、例えばCAN、CAN-FD又はイーサネット(Ethernet/登録商標)等の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスであり、制御部11は、通信部13を介して車載ネットワーク3に接続されている車載ECU2と相互に通信する。車載装置1において、通信部13は、複数個、設けられており、通信部13それぞれに対しCANバス等の通信線31が接続される。中継装置と機能する車載装置1は、これら複数の通信部13(CANバス等の通信線31)の間にて送受信される通信データを中継する。
【0037】
入出力I/F14は、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F14は、複数の端子(出力端子)を含み、端子それぞれには、給電遮断部52それぞれに延設される信号線140それぞれが、接続されている。信号線140は、例えば、シリアルケーブル、ワイヤーハーネス又は、一つの信号のみを送信する導電ケーブル(じか線)等により構成される。更に入出力I/F14には、車両Cの起動及び停止を行うIGスイッチ141が接続されるものであってもよい。更に、入出力I/F14には、車両Cの操作者によって操作される各種装置、及び各種センサが接続されるものであってもよい。
【0038】
信号線140それぞれは、車載ECU2それぞれに対応して設けられた給電遮断部52それぞれに接続されている。給電遮断部52は、車載ECU2と、電源装置5又はグランドとの間に介在して配置されている。給電遮断部52は、例えば、半導体リレー、機械式リレー又は開閉スイッチにより構成されており、車載装置1から出力される信号に応じて、車載ECU2が電源装置5から給電される接続状態と、電源装置5からの給電が遮断される遮断状態とを遷移する。給電遮断部52がリレー等により構成される場合、車載ECU2が電源装置5から給電される接続状態はリレーのオン状態に相当し、電源装置5からの給電が遮断される遮断状態はリレーのオフ状態に相当する。このように車載装置1の制御部11による給電遮断部52に対する制御、すなわち給電を遮断(リレーをオフ)する制御、及び給電を開始(リレーをオン)する(行う)制御は、給電遮断部52の構成、特性及び仕様に応じて行われる。
【0039】
給電を遮断する制御は、デューティ(オン信号)の出力の停止、又はオフ信号の出力を行う制御を含む。給電遮断部52が、例えば、n型FET(Field Effect Transistor)にて構成される場合、ゲート端子にゲート電圧(デューティ)を印加することにより、給電遮断部52(n型FET)は、オンとなる。当該ゲート電圧を印加しない状態においては、給電遮断部52(n型FET)はオフとなり、従って、給電遮断部52(n型FET)は常時オフの状態となっている。給電遮断部52が、例えば、機械式リレー又は開閉スイッチ等にて構成されている場合、当該機械式リレーがa接点リレーであれば、車載装置1からのオン信号によりコイル電流が流れることにより、オンとなり、従って、給電遮断部52(機械式リレー等)は常時オフの状態となっている。又は、機械式リレーがb接点リレーである場合、常時オンの状態となり、車載装置1からのオフ信号によりコイル電流が流れることにより、オフとなる。
【0040】
車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2に接続されている給電遮断部52を、給電が行われる状態(リレーがオン状態)に遷移させる。給電遮断部52が、例えばFET等の半導体リレーで構成されている場合、車載装置1の制御部11は、当該FET(給電遮断部52)のゲート端子にゲート電圧(デューティ)を印加(出力)することにより、FETはオン状態となり、二次電池等にて構成される電源装置5からの給電が開始される。FETはオンとなり給電が開始された起動対象の車載ECU2は、一旦、スリープ状態(待機状態)となるものであってもよい。車載装置1の制御部11は、当該起動対象の車載ECU2が接続される給電遮断部52が電源経路を遮断(リレーがオフ状態)することなく、給電が行われている状態(リレーがオン状態)を維持しつつ、車載ネットワーク3を介してウェイクアップ信号等の起動信号を出力する。当該起動信号(ウェイクアップ信号)を受信した起動対象の車載ECU2は、スリープ状態(待機状態)から、ウェイクアップ状態(起動状態)に遷移する。
【0041】
この際、起動対象の車載ECU2以外の車載ECU2に接続される給電遮断部52に対して、車載装置1は、給電を遮断する制御を行っており、すなわちこれら給電遮断部52に接続される車載ECU2に対し、電源装置5からの給電は行われない。従って、車載ネットワーク3を介して起動信号が出力された場合であっても、遮断状態となっている給電遮断部52に接続される車載ECU2は起動しないため、これら車載ECU2により電力が消費されることを防止することができる。
【0042】
車載装置1の制御部11は、プログラムを実行することにより、電源遷移マネージャとして機能し、給電遮断制御機能(給電遮断制御部)、及び通信WU/SLP制御機能(通信WU/SLP制御部11)を有する(含む)。WUはウェイクアップ(Wake UP)を示し、SLPはスリープ(Sleep)を示す。電源遷移マネージャは、車載ECU2に対しウェイクアップ信号又はスリープ信号を出力することにより、当該車載ECU2をウェイクアップ状態(起動状態)、又はスリープ状態(停止又は待機状態)に遷移させる。このように状態遷移されることにより、車載ECU2は、ウェイクアップ状態(起動状態)においては電源装置5からの給電が行われ、スリープ状態(停止又は待機状態)においては、電源装置5からの給電が行わない又は消費電力が低減する。電源遷移マネージャは、いずれかの車載ECU2に対しウェイクアップ信号を出力する際、当該ウェイクアップ信号に影響を受ける車載ECU2(他の車載ECU2)に接続される給電遮断部52に対し、給電を遮断する制御を実行する。電源遷移マネージャとして機能する車載装置1の制御部11に関する詳細は、後述するフローチャートにて説明する。
【0043】
図3は、給電遮断部52が電源装置5側の電源線51に配置される接続形態を例示する模式図である。車載ECU2に接続される給電遮断部52は、電源装置5側の電源線51、又は車両Cに設けられた共通グランド等のグランド側の電源線51のいずれかに配置される。本実施形態における図示においては、給電遮断部52が電源装置5側の電源線51に配置される接続形態に関し、説明する。
【0044】
電源装置5から延設される電源線51は、車両Cに搭載される車載ECU2の個数に応じて分岐され、当該分岐された電源線51それぞれは、車載ECU2それぞれに接続される。電源線51が分岐される分岐点と車載ECU2との間には、給電遮断部52が配置されている。すなわち、当該分岐点と車載ECU2とを接続する電源線51に給電遮断部52は設けられている。
【0045】
このように給電遮断部52は、当該車載ECU2に対し、電源装置5側の電源線51に配置(ハイ側接続)されている。当該車載ECU2によって駆動制御が行われるアクチュエータ等の車載負荷21は、給電遮断部52と並列に接続されている。すなわち、車載ECU2に接続される給電遮断部52が配置される電源線51と、当該車載ECU2によって駆動制御が行われる車載負荷21が配置される電源線51とは、並列回路を形成する。当該車載負荷21が配置される電源線51は、車載ECU2に接続される。従って、車載ECU2によって駆動制御が行われる車載負荷21についても、当該車載ECU2に接続される給電遮断部52と同様に、電源装置5側の電源線51に配置(ハイ側接続)されている。車載負荷21と給電遮断部52とは並列接続される場合に限定されず、車載負荷21と給電遮断部52とは直列接続されるものであってもよい。
【0046】
車載ECU2は、更に、車両Cに設けられた共通グランド等のグランドと電源線51により接続(接地)される。当該共通グランドには、他の車載ECU2及び電源装置5が接続(接地)されており、これにより、電源装置5から印加(出力)された直流電圧(電力)は、車載ECU2それぞれに供給される。
【0047】
リレー等にて構成される給電遮断部52に対し、車載装置1によって給電を遮断する制御が行われた場合、給電遮断部52は、遮断状態(リレーがオフ状態)となる。これにより、給電遮断部52が接続される車載ECU2に対する電源装置5からの給電が遮断(停止)する。更に、当該給電遮断部52に対し並列に接続される車載負荷21(車載ECU2による制御対象の車載負荷21)に対しても、電源装置5からの給電が遮断(停止)するものであってもよい。このように車載ECU2の制御対処となる車載負荷21の接続形態(ハイ側接続)に応じて、給電遮断部52を車載負荷21と並列に接続することにより、電源装置5から流れる電流を、給電遮断部52が配置される電源線51と、車載負荷21が配置される電源線51とにより分流し、当該車載負荷21に流れる電流を少なくすることができる。
【0048】
図4は、給電遮断部52がグランド側の電源線51に配置される接続形態を例示する模式図である。車載ECU2に接続される給電遮断部52は、電源装置5側の電源線51、又は車両Cに設けられた共通グランド等のグランド側の電源線51のいずれかに配置される。本実施形態における図示においては、給電遮断部52がグランド側の電源線51に配置される接続形態に関し、説明する。
【0049】
電源装置5から延設される電源線51は、車両Cに搭載される車載ECU2の個数に応じて分岐され、当該分岐された電源線51それぞれは、車載ECU2それぞれに接続される。車載ECU2は、更に、車両Cに設けられた共通グランド等のグランドと電源線51により接続(接地)される。当該共通グランドには、他の車載ECU2及び電源装置5が接続(接地)されており、これにより、電源装置5から印加(出力)された直流電圧(電力)は、車載ECU2それぞれに供給される。
【0050】
車載ECU2とグランドとを接続する電源線51には、給電遮断部52が設けられている。このように給電遮断部52は、当該車載ECU2に対し、グランドの電源線51に配置(ロー側接続)されている。当該車載ECU2によって駆動制御が行われる車載負荷21は、給電遮断部52と並列に接続されている。すなわち、車載ECU2に接続される給電遮断部52が配置される電源線51と、当該車載ECU2によって駆動制御が行われる車載負荷21が配置される電源線51とは、並列回路を形成する。当該車載負荷21が配置される電源線51は、グランドに接続(接地)される。従って、車載ECU2によって駆動制御が行われる車載負荷21についても、当該車載ECU2に接続される給電遮断部52と同様に、グランド側の電源線51に配置(ロー側接続)されている。車載負荷21と給電遮断部52とは並列接続される場合に限定されず、車載負荷21と給電遮断部52とは直列接続されるものであってもよい。
【0051】
リレー等にて構成される給電遮断部52に対し、車載装置1によって給電を遮断する制御が行われた場合、給電遮断部52は、遮断状態(リレーがオフ状態)となる。これにより、給電遮断部52が接続される車載ECU2に対する電源装置5からの給電が遮断(停止)する。更に、当該給電遮断部52に対し並列に接続される車載負荷21(車載ECU2による制御対象の車載負荷21)に対しても、電源装置5からの給電が遮断(停止)するものであってもよい。このように車載ECU2の制御対処となる車載負荷21の接続形態(ロー側接続)に応じて、給電遮断部52を車載負荷21と並列に接続することにより、電源装置5から流れる電流を、給電遮断部52が配置される電源線51と、車載負荷21が配置される電源線51とにより分流し、当該車載負荷21に流れる電流を少なくすることができる。
【0052】
図5は、車載装置1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部11は、車両Cの起動時(IGスイッチ141がオン)又は停止時(IGスイッチ141がオフ)において、定常的に以下の処理を行う。
【0053】
車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2に関する情報を取得する(S101)。車載装置1の制御部11は、例えば、入出力I/F14に接続されているスイッチからの信号を取得、又は通信部13を介してCANメッセージ等の通信データを取得することにより、これら信号又は通信データに含まれる起動対象の車載ECU2に関する情報する。
【0054】
車載装置1は、例えば、車両Cにおけるボディ系アクチュエータを駆動制御するBCU(ボディECU)として構成されており、電源装置5から常時給電を受けている。車載装置1の制御部11は、入出力I/F14を介して、当該入出力I/F14に接続されているスイッチ又はセンサから出力される各種の信号(入力信号)を取得(受信)する。又は、車載装置1の制御部11は、CANトランシーバ等の通信部13及び車載ネットワーク3を介して、車載ECU2から送信されるCANメッセージ等の通信データを取得(受信)する。これら信号又は通信データには、例えば、車両Cとして実行する各種機能又はサービスに関する情報が含まれている。これら機能又はサービスは、予め定められた車載ECU2の処理によって行われるもとして予め定義されており、当該サービス等を実行する際に起動対象となる車載ECU2に関する情報に相当する。又は、これら信号又は通信データには、起動対象の車載ECU2に関する情報そのものが含まれているものであってもよい。車載装置1の制御部11は、これら取得した信号又は通信データをトリガーとし、以下のように電源給電や起動が必要な車載ECU2(機器)を判断し、判断結果に基づき、電源制御、通信制御、通信遮断制御、及び給電遮断制御等を含む制御処理を実施する。
【0055】
車載装置1の制御部11は、取得した情報に基づき、起動対象の車載ECU2を特定する(S102)。取得した情報、すなわち受信した信号又は通信データに、実行要求された機能又はサービスに関する情報が含まれている場合、車載装置1の制御部11は、これらサービス等に関する情報に基づき、当該サービスに関する処理を行う車載ECU2を、起動対象の車載ECU2を特定する。車載装置1の制御部11は、例えば、記憶部12に記憶されている接続形態テーブルを参照することにより、起動対象の車載ECU2を特定するものであってもよい。
【0056】
車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2と同じ通信線31に接続される他の車載ECU2を特定する(S103)。車載ネットワーク3が、例えば複数の通信線31(CANバス)により構成される場合、各CANバスそれぞれには、複数の車載ECU2が接続されることが想定される。車載装置1の制御部11は、例えば、記憶部12に記憶されている接続形態テーブルを参照することにより、起動対象の車載ECU2と同じ通信線31(CANバス)に接続される車載ECU2であって、当該起動対象の車載ECU2以外となる他の車載ECU2を特定するものであってもよい。
【0057】
図6は、車載ECU2の接続形態を示す接続形態テーブルに関する説明図である。車載装置1の記憶部12等、車載装置1の制御部11がアクセス可能な記憶領域には、車載ECU2それぞれの接続形態を示す接続形態情報が、例えばテーブル形式(接続形態テーブル)にて記憶されている。車載装置1がCANゲートウェイ等の中継装置として機能する場合、当該接続形態テーブルは、車載装置1が中継処理(ルーティング処理)を行う際に参照する経路情報(ルーティングテーブル)の一部位として構成されるものであってもよい。接続形態テーブルは、管理項目(フィールド)として、ECUID、バス番号、端子番号、及びサービス名を含む。
【0058】
ECUIDの管理項目には、車載ネットワーク3に接続される全ての車載ECU2を一意に特定する識別番号(ID)が格納される。当該識別番号(ID)は、車載ECU2の製造番号(SN)を用いるものであってもよい。車載ネットワーク3における通信プロトコルがTCP/IPの場合、識別番号(ID)は、車載ECU2のIPアドレス又はMACアドレスであってもよい。車載装置1の制御部11は、ECUIDを用いることにより、車載ECU2それぞれを一意に特定することができる。
【0059】
バス番号の管理項目には、同じレコードにおけるECUIDにて特定される車載ECU2が接続される通信線31(CANバス)の番号が格納される。当該バス番号は、車載装置1が備える通信部13それぞれのデバイス番号に相当する。車載装置1の制御部11は、バス番号を用いることにより、同じ通信線31(CANバス)に接続される複数の車載ECU2を特定することができる。
【0060】
端子番号の管理項目には、同じレコードにおけるECUIDにて特定される車載ECU2の給電遮断部52に接続される入出力I/F14の端子番号が、格納される。車載ECU2の給電遮断部52それぞれに対し、車載装置1の入出力I/F14から延設される信号線140それぞれが、接続される。入出力I/F14は、複数の端子を含み、給電遮断部52それぞれに延設される信号線140それぞれは、個々の端子に接続される。車載装置1の制御部11は、端子番号を用いることにより、遮断対象となる給電遮断部52が接続される車載ECU2を特定することができる。
【0061】
サービス名の管理項目には、同じレコードにおけるECUIDにて特定される車載ECU2が担うサービス名が、格納される。車載装置1の制御部11は、当該サービス名を用いることにより、実行すべきサービス又は機能に対応する(担う)車載ECU2を特定することができる。
【0062】
車載装置1の制御部11は、特定した他の車載ECU2に接続される給電遮断部52に対し、給電を遮断する制御を実行する(S104)。車載装置1の制御部11は、例えば接続形態テーブルを参照することにより、起動対象の車載ECU2と同じ通信線31(CANバス)に接続される他の車載ECU2を特定し、当該他の車載ECU2に接続される給電遮断部52に対応する入出力I/F14の端子番号を特定する。
【0063】
車載装置1の制御部11は、特定した端子番号の端子(入出力I/F14の端子)から、給電遮断部52に対し、給電を遮断する制御を実行する。給電遮断部52が例えば半導体リレー又は機械式リレーで構成されている場合、車載装置1の制御部11は、特定した端子番号の端子から、リレーをオフにするオフ信号を出力する。給電遮断部52は、例えば、常時オン(接続)の状態を維持するものであってもよい。又は、給電を遮断する制御は、デューティ(オン信号)の出力の停止を含むものであってもよい。給電遮断部52が、例えば、n型FET(Field Effect Transistor)にて構成される場合、ゲート端子にゲート電圧(デューティ)を印加することにより、給電遮断部52(n型FET)は、オンとなる。当該ゲート電圧を印加しない状態においては、給電遮断部52(n型FET)はオフとなり、従って、給電遮断部52(n型FET)は常時オフの状態となっている。
【0064】
給電遮断部52が、例えば、機械式リレー又は開閉スイッチ等にて構成されている場合、当該機械式リレーがa接点リレーであれば、車載装置1からのオン信号によりコイル電流が流れることにより、オンとなり、従って、給電遮断部52(機械式リレー等)は常時オフの状態となっている。又は、機械式リレーがb接点リレーである場合、常時オンの状態となり、車載装置1からのオフ信号によりコイル電流が流れることにより、オフとなる。
【0065】
このように車載装置1の制御部11による給電遮断部52に対する制御、すなわち給電を遮断する制御、及び給電を開始する(行う)制御は、給電遮断部52の構成、特性及び仕様に応じて行われる。車載装置1の制御部11は、特定した他の車載ECU2に接続される給電遮断部52に対し給電を遮断する制御を実行することにより、当該給電遮断部52を給電が行われない状態(リレーがオフ状態)に遷移させる。
【0066】
給電遮断部52が、例えばFET等の半導体リレーで構成されている場合、車載装置1の制御部11は、当該FET(給電遮断部52)のゲート端子へのゲート電圧(デューティ)の印加(出力)を中止することにより、FETはオフ状態となる。これにより、二次電池等にて構成される電源装置5から、当該給電遮断部52が接続される車載ECU2への給電が遮断(停止)される。これにより、給電が遮断された車載ECU2は、停止状態となるため、車載装置1から出力されたウェイクアップ信号等の起動信号が通信線31に伝送された場合であっても、当該ウェイクアップ信号によりウェイクアップ状態(起動状態)に遷移することなく、停止状態を維持する。このように給電が遮断された車載ECU2によって、電力が消費されることは発生し得ないものであり、従って、起動対象の車載ECU2以外となる他の車載ECU2により電力が消費されることを防止(回避)することができる。
【0067】
給電遮断部52は、常時オフ(切断)の状態を維持するとして一例を説明したが、これに限定されない。給電遮断部52は、常時オン(接続)の状態を維持するものであってもよい。この場合、車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2に接続される給電遮断部52をオン(接続)の状態に維持しつつ、当該起動対象の車載ECU2以外となる他の車載ECU2に接続される給電遮断部52に対し遮断信号(オフ信号)を出力する。これにより、起動対象の車載ECU2のみが、電源装置5から給電され、起動信号(ウエイクアップ信号)を受信できる状態にするものであってもよい。
【0068】
車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2に対し、車載ネットワーク3を介して起動信号(ウエイクアップ信号)を出力する(S105)。車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2と同じ通信線31(CANバス)に接続される他の車載ECU2の給電遮断部52に対し、給電を遮断する制御を実行することにより、これら他の車載ECU2を停止状態(非給電状態)にしている。車載装置1の制御部11は、当該他の車載ECU2の停止状態(給電の遮断状態)を維持しつつ、起動対象の車載ECU2に対し、車載ネットワーク3を介して起動信号(ウエイクアップ信号)を出力する。これにより、起動対象の車載ECU2は、スリープ状態(停止又は待機状態)からウェイクアップ状態(起動状態)に遷移し、実行すべきサービス又は機能を発揮するための処理を開始する。
【0069】
車載ネットワーク3が、例えばCANのプロトコルを用いている場合、車載ネットワーク3は、複数の通信線31(CANバス)により構成されるものとなる。この場合、いずれかのCANバスにおいて、ウェイクアップ信号が伝送された場合、当該CANバスに接続されている全ての車載ECU2が、スリープ状態からウェイクアップ状態に遷移する。例えば、車両Cの駐車時(停止時)等にて特定の機能又はサービスのみを利用する場合、当該サービスに関する処理を担う車載ECU2を起動、すなわちウェイクアップ状態に遷移させることを要する。この際、当該起動対象の車載ECU2が接続されるCANバスにウェイクアップ信号が伝送されると、当該CANバスに接続される全て車載ECU2がウェイクアップ信号を受信し、起動(ウェイクアップ状態に遷移)するものとなる。この場合、利用するサービスに対応する車載ECU2のみならず、当該車載ECU2と同じCANバスに接続される全ての車載ECU2に対しても給電が行われるものなり、本来利用したいサービス等以上に電力を消費(電流が増加)するものとなる。これに対し、本実施形態における車載装置1を用いることにより、利用するサービスに対応する車載ECU2以外となる他の車載ECU2については、当該他の車載ECU2の接続される給電遮断部52をオフにし、車載ECU2と、電源装置5又はグランドとの接続(給電経路)を切断する。これにより、これら他の車載ECU2は、起動信号(ウエイクアップ信号)に関わらず、スリープ状態(停止状態)を維持するものとなり、これら起動対象でない車載ECU2によって電力が消費されることを抑制することができる。
【0070】
図7は、実施形態2(コスト考慮型)に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。実施形態2の車載システムSは、実施形態1と同様に、車載装置1、車載ECU2、及びこれらを通信可能に接続する車載ネットワーク3により構成される。本実施形態における車載システムSにおいては、給電遮断部52が接続される車載ECU2と、給電遮断部52が接続されない車載ECU2とが混在する。
【0071】
車載ネットワーク3を構成する複数の通信線31(CANバス)それぞれにおいて、消費電力が所定の閾値以下の車載ECU2以外の車載ECU2のみが、給電遮断部52を介して電源装置5又はグランドに接続(接地)される。従って、消費電力が所定の閾値以下の車載ECU2には、給電遮断部52が設けられておらず、当該車載ECU2は、給電遮断部52を介さず電源装置5及びグランドに直接接続される。
【0072】
このような接続形態とする場合、同一のCANバスに接続される複数の車載ECU2において、消費電力が最小の車載ECU2を、所定の閾値以下の消費電力の車載ECU2として設定するものであってもよい。例えば、同一のCANバスに3つの車載ECU2(A,B,C)が接続される場合、ECU(A)、ECU(B)、ECU(C)の順に消費電力(W)が小さくなるもとする(ECU(A)>ECU(B)>ECU(C))。この場合、最も消費電力が小さいECU(C)のみ、給電遮断部52を介さず電源装置5及びグランドに直接接続することにより、給電遮断部52を不要とすることができる。すなわち、消費電力が最小の車載ECU2による電力消費を許容することで、当該車載ECU2(消費電力が最小の車載ECU2)に対する給電遮断部52を不要とすることにより、給電遮断部52の必要数量を低減し製品コストの削減を行うことができ、コスト考慮型の車載システムSを構成することができる。
【0073】
図8は、車載装置1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部11は、車両Cの起動時(IGスイッチ141がオン)又は停止時(IGスイッチ141がオフ)において、定常的に以下の処理を行う。
【0074】
車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2に関する情報を取得する(S201)。車載装置1の制御部11は、取得した情報に基づき、起動対象の車載ECU2を特定する(S202)。車載装置1の制御部11は、実施形態1の処理S101からS102と同様にS201からS202の処理を行う。
【0075】
車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2と同じ通信線31に接続される車載ECU2であって、給電遮断部52が接続されている他の車載ECU2を特定する(S203)。本実施形態においては、車載ネットワーク3に接続される全ての車載ECU2に対し、給電遮断部52が接続されるものでなく、給電遮断部52が接続されている車載ECU2と、給電遮断部52が接続されていない車載ECU2とが混在している。同一の通信線31(CANバス)に接続される複数の車載ECU2において、これら車載ECU2の消費電力が異なることが想定される。この場合、同一のCANバスに接続される複数の車載ECU2において、所定の閾値以下の消費電力の車載ECU2以外の車載ECU2のみ、給電遮断部52を接続するものであってもよい。更には、同一の通信線31(CANバス)に接続される複数の車載ECU2において、消費電力が最小の車載ECU2には給電遮断部52を接続せず、すなわち給電遮断部52を介することなく電源装置5及びグランドに接続し、電源装置5から常時給電される接続形態とするものであってもよい。
【0076】
このような接続形態において、車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2と同じ通信線31に接続される車載ECU2であって、給電遮断部52を介して、電源装置5又はグランドに接続されている他の車載ECU2(給電遮断部52が接続されている車載ECU2)を特定する。車載装置1の制御部11は、例えば、記憶部12に記憶されている接続形態テーブルを参照することにより、当該他の車載ECU2を特定するものであってもよい。
【0077】
図9は、車載ECU2の接続形態を示す接続形態テーブルに関する説明図である。接続形態テーブルは、管理項目(フィールド)として、実施形態1と同様にECUID、バス番号、端子番号、及びサービス名を含み、更に接続形態を含む。ECUID、バス番号、端子番号、及びサービス名の管理項目については、実施形態1と同様の事項が格納される。
【0078】
接続形態の管理項目には、同じレコードにおけるECUIDにて特定される車載ECU2に対し、給電遮断部52が接続されているか否か、すなわち給電遮断部52の有無が格納される。接続形態が無である車載ECU2には、給電遮断部52が接続されていない。当該接続形態が無である車載ECU2は、この車載ECU2が接続される通信線31(CANバス)に接続される複数の車載ECU2において、最も消費電力が少ない車載ECU2に相当する。
【0079】
車載装置1の制御部11は、接続形態テーブルを参照することにより、起動対象の車載ECU2と同じ通信線31に接続される車載ECU2であって、給電遮断部52を介して接続されている他の車載ECU2(接続形態:有)を効率的に特定することができる。本実施形態において、各通信線31(CANバス)に接続される複数の車載ECU2において、最も消費電力が少ない車載ECU2に対しては、給電遮断部52を設けることを不要とすることにより、製品コストの削減を図ることができる。
【0080】
車載装置1の制御部11は、特定した他の車載ECU2に接続される給電遮断部52に対し、給電を遮断する制御を実行する(S204)。車載装置1の制御部11は、起動対象の車載ECU2に対し、車載ネットワーク3を介して起動信号(ウエイクアップ信号)を出力する(S205)。車載装置1の制御部11は、実施形態1の処理S104からS105と同様にS204からS205の処理を行う。
【0081】
図10は、実施形態3(コスト優先型)に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。実施形態3の車載システムSは、実施形態1と同様に、車載装置1、車載ECU2、及びこれらを通信可能に接続する車載ネットワーク3により構成される。本実施形態における車載システムSにおいては、給電遮断部52が接続される車載ECU2と、給電遮断部52が接続されない車載ECU2とが混在する。
【0082】
車載ネットワーク3を構成する複数の通信線31(CANバス)それぞれにおいて、消費電力が所定の閾値よりも大きい車載ECU2のみが、給電遮断部52を介して電源装置5又はグランドにに接続(接地)される。従って、消費電力が所定の閾値以下の車載ECU2には、給電遮断部52が設けられておらず、当該車載ECU2は、給電遮断部52を介さず電源装置5及びグランドに直接接続される。
【0083】
このような接続形態とする場合、同一のCANバスに接続される複数の車載ECU2において、消費電力が最大の車載ECU2を、所定の閾値よりも大きい消費電力の車載ECU2として設定するものであってもよい。例えば、同一のCANバスに3つの車載ECU2(A,B,C)が接続される場合、ECU(A)、ECU(B)、ECU(C)の順に消費電力(W)が小さくなるもとする(ECU(A)>ECU(B)>ECU(C))。この場合、最も消費電力が大きいECU(A)のみ、給電遮断部52を接続することにより、ECU(B)及びECU(C)に対する給電遮断部52を不要とすることができる。すなわち、同一のCANバスに接続される複数の車載ECU2において、当該消費電力が最大の車載ECU2(ECU(A))以外の他の車載ECU2(ECU(B)、ECU(C))は、給電遮断部52を介することなく電源装置5及びグランドに直接接続される。
【0084】
このように消費電力が最大の車載ECU2のみ、給電遮断部52を接続することにより、給電遮断部52の必要数量を最低限とすることができ、製品コストの更なる削減を図るコスト優先型の車載システムSを構成することができる。本実施形態における車載システムSにおいて、車載装置1の制御部11は、実施形態2と同様のフローチャートにて、給電遮断部52に対する制御を行うものであってもよい。
【0085】
図11は、実施形態4(電源及び通信複合型)に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。実施形態4の車載システムSは、実施形態1と同様に、車載装置1、車載ECU2、及びこれらを通信可能に接続する車載ネットワーク3により構成される。本実施形態における車載システムSにおいては、給電遮断部52が接続される、すなわち給電遮断部52を介して電源装置5又はグランドに接続される車載ECU2と、通信遮断部4を介して通信線31(車載ネットワーク3)に接続される車載ECU2とが混在する。
【0086】
車載ECU2それぞれは、車載ネットワーク3を構成する通信線31(CANバス等)それぞれに接続されている。車載ネットワーク3を構成する複数の通信線31(CANバス)において、いずれかの通信線31に接続される車載ECU2には、給電遮断部52が設けられておらず、その代わりに通信遮断部4が設けられている。通信遮断部4は、車載ECU2と通信線31との間に介在して配置されている。
【0087】
通信遮断部4それぞれには、車載装置1の入出力I/F14の端子それぞれか延設される信号線140が、接続されている。すなわち、通信遮断部4と車載装置1とは、通信可能に接続されている。
【0088】
通信遮断部4は、例えば、半導体リレー、機械式リレー、スイッチ、可変抵抗又は可変インダクタンスを含み回路体等にて構成される。通信遮断部4は、例えば、常時オンとなるように構成されており、信号線140を介して車載装置1から出力された遮断信号に応じて、遮断状態に遷移する。通信遮断部4が遮断状態となることにより、車載ECU2と通信線31(車載ネットワーク3)との通信経路が物理的に遮断され、車載ECU2は車載ネットワーク3から切り離された状態となる。従って、当該通信線31にて、車載装置1から出力されたウェイクアップ信号等の起動信号が伝送された場合であっても、ウェイクアップ信号は車載ECU2に到達しないものとなる。これにより、実行要求されたサービスに関与しない車載ECU2が起動することを防止し、当該車載ECU2によって電力が不要に消費されることを抑制することができる。
【0089】
本実施形態における車載システムSにおいて、車載装置1の制御部11は、実施形態1と同様のフローチャートにて、通信遮断部4及び給電遮断部52に対する制御を行うものであってもよい。すなわち、接続形態テーブルには、通信遮断部4又は給電遮断部52それぞれに接続される入出力I/F14の端子番号が格納されており、車載装置1の制御部11は、接続形態テーブルを参照することにより、遮断対象となる通信遮断部4を特定することができる。このように通信遮断部4及び給電遮断部52が混在させて用いることにより、車載ECU2の製品特定又は仕様に応じて、通信遮断部4又は給電遮断部52のいずれかを選択することができ、車載システムSの構築における柔軟性を確保することできる。
【0090】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0091】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【符号の説明】
【0092】
C 車両
S 車載システム
1 車載装置
11 制御部
12 記憶部
M 記録媒体
P 制御プログラム(プログラム製品)
13 通信部
14 入出力I/F
140 信号線
141 IGスイッチ
2 車載ECU
21 車載負荷
3 車載ネットワーク
31 通信線
4 通信遮断部
5 電源装置
51 電源線
52 給電遮断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11