(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021873
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】患者情報管理システム、患者情報管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20240208BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125022
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】521411024
【氏名又は名称】株式会社NMネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】小倉 行雄
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA23
(57)【要約】
【課題】患者が主体となって患者自身の身体に係る情報を管理し、診療に役立てることが可能な患者情報管理システム、患者情報管理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】患者の身体に係る患者身体データを、患者ごとに記憶する患者情報DB4と、患者情報DB4に係る処理を行う患者情報管理サーバ1と、を備えた患者情報管理システム100は、患者が登録を許可した、医療機関が作成した患者の電子カルテを含む医療データを、患者情報DB4に登録し、患者が登録を許可した、患者の身体測定データを、患者情報DB4に登録し、端末から患者身体データに係る閲覧要求を受信した場合に、患者情報DB4に記憶され、患者が閲覧を許可した患者身体データを、端末に出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体に係る患者情報を、患者ごとに記憶する患者情報データベースと、
前記患者情報データベースに係る処理を行うサーバと、
を備えた患者情報管理システムであって、
前記患者が登録を許可した、医療機関が作成した前記患者の電子カルテを含む医療情報を、前記患者情報データベースに登録する医療情報登録手段と、
前記患者が登録を許可した、前記患者の身体測定情報を、前記患者情報データベースに登録する測定情報登録手段と、
端末から前記患者情報に係る閲覧要求を受信した場合に、前記患者情報データベースに記憶され、前記患者が閲覧を許可した前記患者情報を、前記端末に出力する患者情報出力手段と、
を備える、患者情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の患者情報管理システムにおいて、
特定の送信元に係る情報を記憶する送信元情報記憶部を備え、
前記患者情報出力手段は、前記患者情報に含まれる前記身体測定情報について、前記送信元情報記憶部に記憶された前記特定の送信元が送信したものであるか否かを判別可能に出力する、患者情報管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の患者情報管理システムにおいて、
前記患者情報データベースに登録した各情報に証明情報を付与する証明付与手段と、
前記証明付与手段が付与した前記証明情報を含む、前記患者情報データベースへの登録に関する履歴を、分散型取引台帳により構成される履歴記憶装置に記憶する履歴登録手段と、
を備える、患者情報管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の患者情報管理システムにおいて、
前記証明付与手段は、登録した前記患者情報を識別する情報識別子と、前記患者情報の作成元を識別する作成元識別子とを含む、前記証明情報を付与する、患者情報管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の患者情報管理システムにおいて、
前記患者情報出力手段が出力した前記患者情報に係る前記証明情報と、前記端末を識別する端末識別情報とを含む、前記患者情報の閲覧に関する履歴を、前記履歴記憶装置に記憶する履歴更新手段を備える、患者情報管理システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の患者情報管理システムにおいて、
前記医療情報登録手段は、前記患者が設定した前記医療情報の各項目に係る開示可否情報を含んで、前記患者情報データベースに前記医療情報を登録する、患者情報管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の患者情報管理システムにおいて、
前記患者情報に係る開示ランクを記憶した開示ランク記憶部を備え、
前記患者情報出力手段は、前記開示ランク記憶部を参照し、前記患者が閲覧を許可した前記開示ランクに対応する前記患者情報を、前記端末に出力する、患者情報管理システム。
【請求項8】
請求項6に記載の患者情報管理システムにおいて、
指定の医療機関に係る情報を記憶する指定医療機関記憶部を備え、
前記患者情報出力手段は、前記指定医療機関記憶部に記憶された前記指定の医療機関からの閲覧要求である場合に、前記患者情報データベースに記憶された前記患者に係る全ての前記患者情報を、前記患者の閲覧の許可の有無にかかわらず、前記端末に出力する、患者情報管理システム。
【請求項9】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の患者情報管理システムにおいて、
前記身体測定情報は、検体採取により得られる血液に関する情報を含む、患者情報管理システム。
【請求項10】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の患者情報管理システムにおいて、
前記身体測定情報は、血圧、脈拍、体重、体温及び血中酸素飽和濃度に関する情報のうちのいずれかを含み、
前記患者情報出力手段は、前記身体測定情報をグラフ化して出力する、患者情報管理システム。
【請求項11】
患者の身体に係る患者情報を患者ごとに記憶する患者情報データベースに係る処理を行う患者情報管理サーバであって、
前記患者が登録を許可した、医療機関が作成した前記患者の電子カルテを含む医療情報を、前記患者情報データベースに登録する医療情報登録手段と、
前記患者が登録を許可した、前記患者の身体測定情報を、前記患者情報データベースに登録する測定情報登録手段と、
端末から前記患者情報に係る閲覧要求を受信した場合に、前記患者情報データベースに記憶され、前記患者が閲覧を許可した前記患者情報を、前記端末に出力する患者情報出力手段と、
を備える、患者情報管理サーバ。
【請求項12】
コンピュータが、患者の身体に係る患者情報を患者ごとに記憶する患者情報データベースに対して通信可能に接続されており、
前記コンピュータを、
前記患者が登録を許可した、医療機関が作成した前記患者の電子カルテを含む医療情報を、前記患者情報データベースに登録する医療情報登録手段と、
前記患者が登録を許可した、前記患者の身体測定情報を、前記患者情報データベースに登録する測定情報登録手段と、
端末から前記患者情報に係る閲覧要求を受信した場合に、前記患者情報データベースに記憶され、前記患者が閲覧を許可した前記患者情報を、前記端末に出力する患者情報出力手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者情報管理システム、患者情報管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者が近くの病院や診療所等の医療機関に行って医師による診療を受けると、医師は、患者の診察内容や診断結果、処方薬や経過についてカルテ(診療録)に記録をした上で、医療機関にてカルテを保管している。現在では、ほとんどの医療機関においてカルテが電子化され、医療機関のコンピュータ等には、患者の電子カルテが記録されている。
ここで、カルテは、医師による記録の義務及び医療機関による保管の義務が定められているものである。また、カルテは、患者による開示請求が可能であり、患者は、カルテに記録された内容を確認することができる。しかし、カルテは、医療機関ごとに保管されているため、患者は、カルテの開示を医療機関ごとに行う必要があった。
そこで、複数の機関において利用される情報を一元的に管理することにより、患者の情報を管理する医療情報管理システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カルテは、医師が記録するものであるが、その内容は、患者に係る情報であり、患者のものであるとも言える。しかしながら、特許文献1に記載のものは、医療機関における医療情報の管理を一元的に行うものであり、医療機関の権限のもとに行われるものであった。
また、近年のカルテの電子化に伴い、カルテの管理を患者自身で行える環境を構築することが可能になってきている。
さらに、患者の身体に係る情報には、カルテに記録される医療情報にとどまらない。例えば、体重等の患者自身が日々計測し記録する測定データも、診療時に医師が参照できれば、診断の参考にすることができる情報になり得る。
【0005】
本発明は、患者が主体となって患者自身の身体に係る情報を管理し、診療に役立てることが可能な患者情報管理システム、患者情報管理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、患者の身体に係る患者情報を、患者ごとに記憶する患者情報データベースと、前記患者情報データベースに係る処理を行うサーバと、を備えた患者情報管理システムであって、前記患者が登録を許可した、医療機関が作成した前記患者の電子カルテを含む医療情報を、前記患者情報データベースに登録する医療情報登録手段と、前記患者が登録を許可した、前記患者の身体測定情報を、前記患者情報データベースに登録する測定情報登録手段と、端末から前記患者情報に係る閲覧要求を受信した場合に、前記患者情報データベースに記憶され、前記患者が閲覧を許可した前記患者情報を、前記端末に出力する患者情報出力手段と、を備える、患者情報管理システムに関する。
【0007】
また、患者情報管理システムにおいて、特定の送信元に係る情報を記憶する送信元情報記憶部を備え、前記患者情報出力手段は、前記患者情報に含まれる前記身体測定情報について、前記送信元情報記憶部に記憶された前記特定の送信元が送信したものであるか否かを判別可能に出力してもよい。
【0008】
また、患者情報管理システムにおいて、前記患者情報データベースに登録した各情報に証明情報を付与する証明付与手段と、前記証明付与手段が付与した前記証明情報を含む、前記患者情報データベースへの登録に関する履歴を、分散型取引台帳により構成される履歴記憶装置に記憶する履歴登録手段と、を備えてもよい。
【0009】
また、患者情報管理システムにおいて、前記証明付与手段は、登録した前記患者情報を識別する情報識別子と、前記患者情報の作成元を識別する作成元識別子とを含む、前記証明情報を付与してもよい。
【0010】
また、患者情報管理システムにおいて、前記患者情報出力手段が出力した前記患者情報に係る前記証明情報と、前記端末を識別する端末識別情報とを含む、前記患者情報の閲覧に関する履歴を、前記履歴記憶装置に記憶する履歴更新手段を備えてもよい。
【0011】
また、患者情報管理システムにおいて、前記医療情報登録手段は、前記患者が設定した前記医療情報の各項目に係る開示可否情報を含んで、前記患者情報データベースに前記医療情報を登録してもよい。
【0012】
また、患者情報管理システムにおいて、前記患者情報に係る開示ランクを記憶した開示ランク記憶部を備え、前記患者情報出力手段は、前記開示ランク記憶部を参照し、前記患者が閲覧を許可した前記開示ランクに対応する前記患者情報を、前記端末に出力してもよい。
【0013】
また、患者情報管理システムにおいて、指定の医療機関に係る情報を記憶する指定医療機関記憶部を備え、前記患者情報出力手段は、前記指定医療機関記憶部に記憶された前記指定の医療機関からの閲覧要求である場合に、前記患者情報データベースに記憶された前記患者に係る全ての前記患者情報を、前記患者の閲覧の許可の有無にかかわらず、前記端末に出力してもよい。
【0014】
また、患者情報管理システムにおいて、前記身体測定情報は、検体採取により得られる血液に関する情報を含んでもよい。
【0015】
また、患者情報管理システムにおいて、前記身体測定情報は、血圧、脈拍、体重、体温及び血中酸素飽和濃度に関する情報のうちのいずれかを含み、前記患者情報出力手段は、前記身体測定情報をグラフ化して出力してもよい。
【0016】
また、本発明は、患者の身体に係る患者情報を患者ごとに記憶する患者情報データベースに係る処理を行う患者情報管理サーバであって、前記患者が登録を許可した、医療機関が作成した前記患者の電子カルテを含む医療情報を、前記患者情報データベースに登録する医療情報登録手段と、前記患者が登録を許可した、前記患者の身体測定情報を、前記患者情報データベースに登録する測定情報登録手段と、端末から前記患者情報に係る閲覧要求を受信した場合に、前記患者情報データベースに記憶され、前記患者が閲覧を許可した前記患者情報を、前記端末に出力する患者情報出力手段と、を備える、患者情報管理サーバに関する。
【0017】
また、本発明は、上記の患者情報管理サーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、患者が主体となって患者自身の身体に係る情報を管理し、診療に役立てることが可能な患者情報管理システム、患者情報管理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る患者情報管理システムの全体構成図である。
【
図2】本実施形態に係る患者情報管理サーバの機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る患者情報管理サーバの記憶部の例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る患者情報管理システムの医療データ登録処理を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る患者情報管理システムの身体測定データ登録処理を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る患者情報管理システムのデータ閲覧処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(実施形態)
〔患者情報管理システム100の全体構成〕
図1は、本実施形態に係る患者情報管理システム100の全体構成図である。
図2は、本実施形態に係る患者情報管理サーバ1の機能ブロック図である。
図3は、本実施形態に係る患者情報管理サーバ1の記憶部30の例を示す図である。
【0021】
図1に示す患者情報管理システム100は、患者の身体に係る患者身体データ(患者情報)を患者が主体となって管理し、患者が主体になって患者身体データの他の者への閲覧を可能にしたシステムである。
患者身体データには、医療データ(医療情報)と、身体測定データ(身体測定情報)との少なくとも2つの種類のデータが含まれる。ここで、医療データとは、いわゆる電子カルテに係るデータを含む、医療機関の医師等によって作成されるデータをいう。また、身体測定データとは、患者の身体に係る測定データをいい、例えば、患者が毎朝等の適宜のタイミングで測定装置を用いて測定する血圧、脈拍、体重、体温及び血中酸素飽和濃度といったデータや、市販の自己採血キット等を用いた検体採取により得られる血液データ(血液に関する情報)等を含む。
【0022】
患者情報管理システム100は、患者情報管理サーバ1(患者情報管理装置)と、患者情報DB4(患者情報データベース)と、履歴記憶装置群5(履歴記憶装置)と、患者端末6と、医師端末7と、看護師端末8とを備える。
患者情報管理サーバ1は、例えば、患者情報DB4に対して直接接続されている。また、患者情報管理サーバ1と、履歴記憶装置群5と、患者端末6と、医師端末7、看護師端末8とは、例えば、データ通信網Nによってデータ通信が可能になっている。
【0023】
なお、
図1には、各端末が1台ずつ記載されているが、一例にすぎない。実際には、複数の端末が、患者情報管理サーバ1に対して接続されている。
また、患者情報管理サーバ1と患者情報DB4とは、直接接続されておらず、データ通信網Nを介して接続されていてもよい。
さらに、患者情報管理システム100は、患者が主体になって患者の身体に係る情報を管理するものであるので、例えば、図示しない健診センタの端末等を備え、データ通信網Nを介して健診センタの端末から患者情報管理サーバ1に対して接続されていてもよい。
【0024】
〔患者情報管理サーバ1〕
患者情報管理サーバ1は、患者情報管理システム100により実現する、例えば、患者主体の情報管理に係るサービスを提供するためのプラットフォームを構築する企業が有する。
図2に示すように、患者情報管理サーバ1は、制御部10と、記憶部30と、データ通信IF(インタフェース)39とを備える。
【0025】
制御部10は、患者情報管理サーバ1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部10は、記憶部30に記憶されているOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
制御部10は、データ登録処理部11と、データ閲覧処理部16と、履歴処理部22(履歴登録手段、履歴更新手段)とを備える。
【0026】
データ登録処理部11は、患者身体データの患者情報DB4への登録に係る処理を行う。
データ登録処理部11は、医療データ処理部12(医療情報登録手段)と、身体測定データ処理部13(測定情報登録手段)と、証明付与部14(証明付与手段)とを備える。
医療データ処理部12は、医療機関が作成した当該患者の医療データのうち、患者が登録を許可した医療データを、患者情報DB4に登録する。医療データ処理部12は、医療データの各項目について患者が設定した開示可否情報を含んで、医療データを患者情報DB4に登録してもよい。
【0027】
身体測定データ処理部13は、患者が登録を許可した、当該患者の身体測定データを、患者情報DB4に登録する。
証明付与部14は、患者情報DB4に登録した各情報に対して証明情報を付与する。ここで、証明情報とは、例えば、非代替性のトークンであり、そのデータが唯一無二であることを示す。証明情報は、例えば、登録した医療データを識別する医療データID(情報識別子)と、医療機関ID(作成元識別子)とを含む。
【0028】
データ閲覧処理部16は、患者情報DB4に登録された患者の患者身体データの閲覧に係る処理を行う。
データ閲覧処理部16は、閲覧要求受信部17と、患者許可確認部18と、グラフ作成処理部19と、患者データ出力部20(患者情報出力手段)とを備える。
閲覧要求受信部17は、患者端末6、医師端末7及び看護師端末8等の各端末から、患者身体データに係る閲覧要求を受信する。
患者許可確認部18は、閲覧要求受信部17が受信した閲覧要求が当該患者以外からである場合に、当該患者に対して閲覧を許可するか否かを確認する。
グラフ作成処理部19は、当該患者の身体測定データを、患者情報DB4から抽出してグラフ化する。
【0029】
患者データ出力部20は、当該患者が閲覧を許可した患者身体データを、閲覧要求をした端末に出力する。
ここで、患者身体データに含まれる身体測定データについて、訪問看護ステーション(以下、「訪問看護ST」ともいう。)の看護師が測定したデータは、プロが測定したデータであるため、患者自身が測定したデータよりもデータの信憑性が高い。そのため、患者データ出力部20は、患者身体データに含まれる身体測定データのうち、訪問看護ステーションの看護師が測定したデータと、患者が測定したデータとを区別し、訪問看護ステーションの看護師が測定したデータであることが分かるように出力することが望ましい。
【0030】
また、患者データ出力部20は、後述する開示ランクテーブル36(開示ランク記憶部)を参照し、患者が閲覧を許可した開示ランクに対応する患者身体データを、閲覧要求をした端末に出力する。
さらに、患者データ出力部20は、後述する指定医療機関記憶部35を参照し、指定医療機関記憶部35に記憶された指定の医療機関からの閲覧要求であるか否かを確認する。そして、指定の医療機関からの閲覧要求である場合には、患者データ出力部20は、患者情報DB4に記憶された当該患者に係る全ての患者身体データを、当該患者が閲覧を許可したか否かにかかわらずに、閲覧要求をした医療機関の端末に出力する。
【0031】
履歴処理部22は、患者情報DB4に対する処理を行った場合に、処理内容を記憶させる処理を行う。履歴処理部22は、患者情報DB4への登録に関する履歴を、履歴記憶装置群5に記憶する。より具体的には、患者情報DB4に医療データを登録した場合に、履歴処理部22は、証明付与部14が付与した証明情報及び登録日時を含む履歴を、履歴記憶装置群5に記憶させる。また、患者情報DB4に身体測定データを登録した場合に、履歴処理部22は、身体測定データを識別する身体測定データIDと、作成元を識別する作成元IDと、登録日時とを含む履歴を、履歴記憶装置群5に記憶させる。
【0032】
また、履歴処理部22は、患者情報DB4に登録された患者身体データの閲覧に関する履歴を、履歴記憶装置群5に記憶する。閲覧に関する履歴には、医療データの閲覧の場合には、医療データに係る証明情報と、閲覧先の端末を識別する端末ID(端末識別情報)と、閲覧日時とを含む。また、閲覧に関する履歴には、身体測定データの閲覧の場合には、身体測定データIDと、閲覧先の端末を識別する端末ID(端末識別情報)と、閲覧日時とを含む。
【0033】
記憶部30は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部30は、プログラム記憶部31と、患者情報記憶部32と、医療機関情報記憶部33と、訪問看護ST情報記憶部34(送信元情報記憶部)と、指定医療機関記憶部35と、開示ランクテーブル36とを備える。
プログラム記憶部31は、上述した制御部10が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム(プログラム)を記憶する記憶領域である。
【0034】
患者情報記憶部32は、患者に係る情報を記憶する記憶領域である。
図3(A)に示す例では、患者情報記憶部32は、患者ID(IDentification)をキーにして、患者名やログインID、アドレス情報等を対応付けて記憶する。
患者IDは、患者情報管理サーバ1において患者を一意に識別するための患者識別情報である。患者IDは、例えば、保険証番号や、国民1人1人に異なる番号が付与されるマイナンバーであってもよい。
ログインIDは、患者情報管理サーバ1が提供するウェブサイトにログインするためのIDである。
アドレス情報は、患者身体データの登録時及び閲覧時に確認情報を当該患者に送信するために用いるものであり、例えば、電子メールアドレスや、SMS(Short Message Service)で使用する患者の携帯電話番号等である。
【0035】
医療機関情報記憶部33は、医療機関に係る情報を記憶する記憶領域である。
図3(B)に示す例では、医療機関情報記憶部33は、医療機関IDをキーにして、医療機関名、ログインID等を対応付けて記憶する。
医療機関IDは、医療機関を識別する識別情報である。
ログインIDは、患者情報管理サーバ1が提供するウェブサイトにログインするためのIDである。
なお、医療機関ごとにログインIDを割り当てず、医療機関の医師ごとにログインIDを割り当ててももちろんよい。
【0036】
訪問看護ST情報記憶部34は、訪問看護STに係る情報を記憶する記憶領域である。
図3(C)に示す例では、訪問看護ST情報記憶部34は、訪問看護STIDをキーにして、訪問看護ST名、ログインID等を対応付けて記憶する。
訪問看護STIDは、訪問看護STを識別する識別情報である。
ログインIDは、患者情報管理サーバ1が提供するウェブサイトにログインするためのIDである。
なお、訪問看護STごとにログインIDを割り当てず、訪問看護STの看護師ごとにログインIDを割り当ててももちろんよい。
【0037】
指定医療機関記憶部35は、例えば、救急患者の受け入れを行う三次救急の指定を受けている医療機関に関する情報を記憶する記憶領域である。指定医療機関記憶部35は、例えば、指定医療機関の医療機関IDを記憶する。
開示ランクテーブル36は、開示ランクを記憶するテーブルである。
図3(D)に示す例では、開示ランクテーブル36は、開示ランクとその内容とを対応付けて記憶する。
開示ランクは、患者身体データの開示のランク(レベル)を示す。
例えば、開示ランクが「A」であれば、患者身体データの各項目の開示可否にかかわらずに、指定する患者に係る全ての患者身体データを開示することを示す。
なお、開示ランクとその内容とは、一例である。
【0038】
また、記憶部30に記憶されるデータは、上記のものに限定されない。例えば、医師情報記憶部や、看護師情報記憶部等を記憶部30に備えてもよい。さらに、例えば、健診センタ等の情報を、記憶部30に備えてもよい。
さらに、
図3に示した患者情報記憶部32から訪問看護ST情報記憶部34までの各項目は、一例であり、他の項目があってもよいし、ない項目があってもよい。
【0039】
図2のデータ通信IF39は、データ通信網Nとの間のインタフェースである。
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、患者情報管理サーバ1は、制御部10、記憶部30等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
また、患者情報管理サーバ1は、1つのサーバ装置ではなく、複数のサーバ装置に組み合わせによって実現されていてもよいし、クラウドサーバであってもよい。
【0040】
〔患者情報DB4〕
図1の患者情報DB4は、各患者の患者身体データを記憶するデータベースである。患者情報DB4は、大容量の記憶装置である。
患者情報DB4は、例えば、登録日付と、患者IDと、登録元を示すIDと、医療データや身体測定データ等のデータIDとデータ自体とを対応付けて記憶する。なお、データID(医療データID、身体測定データID)は、登録時に一意のIDが付与されてもよい。また、医療データには、各項目に開示可否情報が対応付けられて記憶される。
【0041】
〔履歴記憶装置群5〕
履歴記憶装置群5は、患者情報DB4に対する登録や閲覧があった場合の履歴情報を記憶する。
履歴記憶装置群5は、複数の記憶装置(ノードという。)によりブロックチェーンを構成する分散型ネットワークを構成した分散型取引台帳である。履歴記憶装置群5は、「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖のように連結していくことによりデータを保管する。履歴記憶装置群5は、P2P(Peer to Peer)ネットワークを使用し、各記憶装置が台頭に直接通信を行う。鎖状に保存することによって、ブロック内のデータを一度記憶した場合、該データを遡及的に変更することができないようになっている。複数の記憶装置は、例えば、複数のコンピュータやサーバ等であってよい。
【0042】
〔端末〕
患者端末6は、例えば、患者が所持する端末である。
医師端末7は、例えば、医療機関に設けられ、診療の際に医師が用いる端末である。
看護師端末8は、例えば、訪問看護STに設けられ、看護師が用いる端末である。
図1では、患者端末6は、スマートフォンや、タブレット等の携帯端末として例示しているが、これに限定されない。患者端末6は、その他、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等であってもよい。
また、
図1では、医師端末7や看護師端末8は、ノート型のPCとして例示しているが、これも一例であって、例えば、携帯端末等であってもよいし、電子カルテ端末等の他の機能を有する端末であってもよい。
【0043】
各端末は、図示しないが、制御部と、記憶部と、タッチパネル等の入出力部(又は、ディスプレイ等の表示部及びキーボード等の入力部)と、データ通信IFとを備える。
なお、いずれの端末も、外部の装置と通信可能な、例えば、無線通信IFを有していてもよい。そして、例えば、患者端末6と、血圧計や体温計、体重計等の測定装置(図示せず)とは、無線通信IFを介して接続し、患者端末6は、測定装置から測定データを受信することで取得できるようにしてもよい。
【0044】
〔処理の説明〕
次に、患者情報管理システム100での処理について説明する。
まず、医療データの登録に係る処理について説明する。
図4は、本実施形態に係る患者情報管理システム100の医療データ登録処理を示すフローチャートである。
医療データは、医師が患者を診察した際に、例えば、医師端末7を用いて作成される。そして、患者にデータの登録を依頼された医師は、医師端末7を用いて医療データの登録処理を行う。具体的には、医師端末7において、例えば、患者情報管理サーバ1のウェブサイトにログインをし、患者情報管理サーバ1の制御部10がユーザ認証をした後に、図示しないメニュー画面を出力する。そして、メニュー画面からデータの登録が選択されると、医師端末7の制御部は、患者IDを医療データに対応付けて、患者情報管理サーバ1に対して作成した医療データを送信する。
【0045】
図4のステップS(以下、単に「S」という。)11において、患者情報管理サーバ1の制御部10(医療データ処理部12)は、医師端末7から医療データを受信する。
S12において、制御部10(医療データ処理部12)は、受信した医療データに対応付けられた患者IDに基づいて、患者情報記憶部32を参照して患者を特定する。
S13において、制御部10(医療データ処理部12)は、受信した医療データに係る許可確認を患者端末6に送信する。制御部10は、患者IDにより特定した患者の患者端末6に対して、例えば、電子メールやSMSを利用して許可確認を送信する。
【0046】
S14において、患者端末6の制御部は、許可確認を受信する。患者端末6が許可確認を受信することで、患者は、自身の医療データの登録に対する依頼がされていることを知ることができる。そして、患者は、患者情報管理サーバ1にログインをして、医療データの内容を確認し、当該医療データの登録を許可するか否かと、登録を許可する場合には、医療データの各項目についての開示可否とについて、患者端末6から登録する。なお、開示可否は、デフォルトとしてあらかじめ開示可が設定されており、開示を否としたい項目を選択するように、患者のオペレーション負担が軽減された方法を提示することが好ましい。
【0047】
S15において、患者端末6の制御部は、許可をするか否か、及び、許可する場合には医療データの各項目についての開示可否を含んで、確認結果を患者情報管理サーバ1に対して各情報を送信する。
S16において、患者情報管理サーバ1の制御部10(医療データ処理部12)は、患者端末6から受信した確認結果が許可するものであるか否かを判断する。確認結果が許可するものである場合(S16:YES)には、制御部10は、処理をS17に移す。他方、確認結果が許可するものではない場合(S16:NO)には、制御部10は、本処理を終了する。つまり、確認結果が許可するものではない場合には、当該医療データが患者情報DB4に登録されない。なお、確認結果が許可するものではない場合とは、例えば、患者が異なる患者の医療データであると認識した場合等が考えられる。
【0048】
S17において、制御部10(医療データ処理部12)は、許可がされた医療データを、患者情報DB4に登録する。その際、制御部10は、医療データに係る各項目の開示可否を含んで、医療データを登録する。
S18において、制御部10(証明付与部14)は、登録した医療データについての証明情報を付与する。
S19において、制御部10(履歴処理部22)は、データ登録に係る履歴を、履歴記憶装置群5に登録する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0049】
このように、患者情報管理システム100では、医療データの登録に際し、患者の確認を経て、患者が許可した医療データを、患者情報DB4に登録する。そして、登録した医療データには、証明情報を付与するので、患者情報DB4に登録された医療データを原本として管理をすることができる。
【0050】
次に、身体測定データの登録に係る処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る患者情報管理システム100の身体測定データ登録処理を示すフローチャートである。
身体測定データは、まず、患者が自宅等で測定装置(図示せず)を用いた測定を行うことで得ることができ、そして、患者は、患者端末6から患者情報管理サーバ1に対して身体測定データを送信することができる。また、身体測定データは、例えば、訪問看護ST等において看護師が測定を行うことで、看護師が看護師端末8から患者情報管理サーバ1に対して送信することができる。
【0051】
患者端末6の場合には、患者端末6から患者情報管理サーバ1のウェブサイトにログインをし、患者情報管理サーバ1の制御部10がユーザ認証をした後に、図示しないメニュー画面を出力する。そして、メニュー画面からデータの登録が選択されると、患者端末6の制御部は、患者情報管理サーバ1に対して身体測定データを送信する。
また、看護師端末8の場合には、看護師端末8から患者情報管理サーバ1のウェブサイトにログインをし、患者情報管理サーバ1の制御部10がユーザ認証をした後に、図示しないメニュー画面を出力する。そして、メニュー画面からデータの登録が選択されると、看護師端末8の制御部は、例えば、患者IDを身体測定データに対応付けて、患者情報管理サーバ1に対して身体測定データを送信する。
【0052】
図5のS31において、患者情報管理サーバ1の制御部10(身体測定データ処理部13)は、患者端末6や看護師端末8等から身体測定データを受信する。
S32において、制御部10(身体測定データ処理部13)は、身体測定データの送信元が患者自身であるか否かを判断する。制御部10は、例えば、身体測定データの送信元のログインIDによって、送信元が患者自身であるか否かを判断できる。送信元が患者自身である場合(S32:YES)には、制御部10は、処理をS38に移す。他方、送信元が患者自身ではない場合(S32:NO)には、制御部10は、処理をS33に移す。
S33において、制御部10(身体測定データ処理部13)は、受信した身体測定データに対応付けられた患者IDに基づいて、患者情報記憶部32を参照して患者を特定する。
S34において、制御部10(身体測定データ処理部13)は、受信した身体測定データに係る許可確認を患者端末6に送信する。制御部10は、患者IDにより特定した患者の患者端末6に対して、例えば、電子メールやSMSを利用して許可確認を送信する。
【0053】
S35において、患者端末6の制御部は、許可情報を受信する。患者端末6が許可確認を受信することで、患者は、自身の身体測定データの登録が依頼されていることを知ることができる。そして、患者は、患者情報管理サーバ1にログインをして、身体測定データを確認し、例えば、身体測定データの送信元を確認した上で、登録の可否を、患者端末6から登録する。
S36において、患者端末6の制御部は、許可するか否かの確認結果を、患者情報管理サーバ1に対して送信する。
【0054】
S37において、患者情報管理サーバ1の制御部10(身体測定データ処理部13)は、患者端末6から受信した確認結果が許可するものであるか否かを判断する。確認結果が許可するものである場合(S37:YES)には、制御部10は、処理をS38に移す。他方、確認結果が許可するものではない場合(S37:NO)には、制御部10は、本処理を終了する。つまり、確認結果が許可するものではない場合には、当該身体測定データが患者情報DB4に登録されない。患者によって確認されて許可された身体測定データを登録するので、患者情報管理サーバ1は、例えば、誰のものであるか不明な身体測定データの登録を行わないで済む。
【0055】
S38において、制御部10(身体測定データ処理部13)は、許可がされた身体測定データを、患者情報DB4に登録する。その際、看護師が測定した身体測定データである場合には、制御部10は、訪問看護STIDを対応付けて、身体測定データを患者情報DB4に登録する。
S39において、制御部10(履歴処理部22)は、データ登録に係る履歴を、履歴記憶装置群5に登録する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0056】
このように、患者情報管理システム100では、身体測定データの登録に際し、患者自身が行う場合には、そのまま患者情報DB4に登録でき、他方、看護師等が行う場合には、患者が許可した身体測定データを、患者情報DB4に登録する。そうすることで、患者自身が登録することはもとより、看護師によってより正確に測定された身体測定データも、患者情報DB4に登録することができる。
【0057】
次に、患者情報DB4に記憶された患者データの閲覧に係る処理について説明する。
図6及び
図7は、本実施形態に係る患者情報管理システム100のデータ閲覧処理を示すフローチャートである。
患者端末6、医師端末7、看護師端末8等のいずれかの端末において、例えば、患者情報管理サーバ1のウェブサイトにログインをし、患者情報管理サーバ1の制御部10がユーザ認証をした後に、図示しないメニュー画面を出力する。そして、メニュー画面から患者身体データに係るデータの閲覧要求が選択されると、各端末の制御部は、データの閲覧要求を送信するので、
図6のS51において、患者情報管理サーバ1の制御部10(閲覧要求受信部17)は、データの閲覧要求を受信する。
【0058】
S52において、制御部10(データ閲覧処理部16)は、例えば、ログインIDに基づいて閲覧要求元を確認する。
S53において、制御部10(データ閲覧処理部16)は、閲覧元が患者自身であるか否かを判断する。閲覧元が患者自身である場合(S53:YES)には、制御部10は、処理をS55に移す。他方、閲覧元が患者自身ではない場合(S53:NO)には、制御部10は、処理をS54に移す。
【0059】
S54において、制御部10(データ閲覧処理部16)は、閲覧元が指定医療機関であるか否かを判断する。制御部10は、指定医療機関記憶部35(
図2)及び医療機関情報記憶部33(
図2)を参照し、指定医療機関記憶部35に登録されている医療機関IDからの閲覧要求である場合に、閲覧元が指定医療機関であると判断する。閲覧元が指定医療機関である場合(S54:YES)には、制御部10は、処理をS55に移す。他方、閲覧元が指定医療機関ではない場合(S54:NO)には、制御部10は、処理を
図7のS61に移す。
【0060】
S55において、制御部10(患者データ出力部20)は、閲覧要求に対応する当該患者の患者身体データを、閲覧可能に出力することで開示する。その際、制御部10は、身体測定データについて、例えば、患者自身による測定と、看護師による測定とが分かるように区別して出力する。なお、制御部10(グラフ作成処理部19、患者データ出力部20)は、患者身体データのうち身体測定データについては、身体測定データをグラフ化したグラフデータを出力してもよい。
【0061】
S56において、制御部10(履歴処理部22)は、開示した患者身体データに係る閲覧履歴を、履歴記憶装置群5に記憶する。具体的には、制御部10は、医療データに係る閲覧履歴として、出力した医療データに係る証明情報と、送信先の端末IDとを履歴記憶装置群5に記憶する。また、制御部10は、身体測定データに係る閲覧履歴として、出力した身体測定データのデータIDと、送信先の端末IDとを履歴記憶装置群5に記憶する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0062】
他方、
図7のS61において、制御部10(患者許可確認部18)は、データ閲覧に関する問合せを、該当の患者の患者端末6に送信する。
S62において、患者端末6の制御部は、閲覧に関する問合せを受信する。患者は、問合せを見て、開示の可否及び開示が可の場合には開示ランクを登録する。
S63において、患者端末6の制御部は、開示の可否及び開示が可の場合には開示ランクを含む、開示可否データを、患者情報管理サーバ1に送信する。
【0063】
患者情報管理サーバ1の制御部10は、開示可否データを受信すると、S64において、制御部10(患者許可確認部18)は、開示が可であるか否かを判断する。開示が可である場合(S64:YES)には、制御部10は、処理をS65に移す。他方、開示が可ではない場合(S64:NO)には、制御部10は、データの閲覧を許可せずに本処理を終了する。
S65において、制御部10(患者データ出力部20)は、閲覧要求に対応する当該患者の患者身体データを、受信した開示ランクに応じて制御して開示する。
【0064】
S66において、制御部10(履歴処理部22)は、データ閲覧に係る履歴を、履歴記憶装置群5に登録する。具体的には、制御部10は、医療データに係る閲覧履歴として、出力した医療データに係る証明情報と、送信先の端末IDと、開示ランクとを履歴記憶装置群5に記憶する。また、制御部10は、身体測定データに係る閲覧履歴として、出力した身体測定データのデータIDと、送信先の端末IDとを履歴記憶装置群5に記憶する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0065】
このように、患者情報管理システム100では、患者身体データの閲覧に際し、閲覧要求元が患者又は指定医療機関の場合には、閲覧要求に対応した患者の患者身体データを患者情報DB4から抽出して送信することで開示する。他方、患者身体データの閲覧に際し、例えば、医師や看護師等、閲覧要求元が患者又は指定医療機関ではない場合には、患者による閲覧に係る確認を経て、患者が許可した開示ランクの患者身体データを、患者情報DB4から抽出して送信する。よって、患者が主体になって自身の患者身体データの閲覧を制御できる。
また、閲覧に係る履歴を履歴記憶装置群5に登録するので、不正な閲覧を確認できる。
【0066】
このように、本実施形態の患者情報管理システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)患者情報管理サーバ1は、患者が登録を許可した、医療機関が作成した患者の電子カルテを含む医療データを、患者情報DB4に登録し、患者が登録を許可した、患者の身体測定データを、患者情報DB4に登録し、いずれかの端末から患者身体データに係る閲覧要求を受信した場合に、患者情報DB4に記憶された、患者が閲覧を許可した患者身体データを、閲覧要求のあった端末に出力する。
このような仕組みにより、患者が主体になって、患者自身の医療データや身体測定データといった、患者身体データを、患者情報DB4に登録できると共に、患者が許可した場合にのみ、患者身体データを閲覧要求のあった端末に送信して見せることができる。
結果として、患者が主体になった患者身体データの管理という、新しい概念での医療データを含むデータ管理をすることができる。
【0067】
(2)患者身体データに含まれる身体測定データについて、訪問看護ST情報記憶部34に記憶された訪問看護STIDが関連付けられた身体測定データであるか否かを判別可能に出力する。
よって、患者自身が測定した身体測定データと、訪問看護STの看護師が測定した身体測定データとが区別できるので、例えば、医師等は、信憑性のあるデータであるか否かを含んで患者の身体測定データを確認できる。
【0068】
(3)患者情報DB4に登録した各データに証明情報を付与し、付与した証明情報と共に患者情報DB4への登録に関する履歴を、履歴記憶装置群5に記憶する。そして、証明情報は、登録したデータのデータIDと、データの作成元IDとを含む。
よって、証明情報により、各データの原本を管理することができる。また、登録履歴を履歴記憶装置群5に記憶でき、履歴情報から各データについての情報を確認することができる。
【0069】
(4)出力した患者身体データに係る証明情報と、端末IDとを含む、患者身体データの閲覧に関する履歴を、履歴記憶装置群5に記憶する。
よって、閲覧についての履歴を残すことができる。
【0070】
(5)患者が設定した医療データの各項目に係る開示可否情報を含んで、医療データを患者情報DB4に登録する。
また、開示ランクテーブル36を参照し、患者が閲覧を許可した開示ランクに対応する患者身体データを、閲覧要求のあった端末に出力する。
よって、患者が医療データの開示範囲を設定でき、閲覧時には患者身体データの開示範囲を患者が制御できる。
【0071】
(6)指定医療機関記憶部35に記憶された指定の医療機関からの閲覧要求である場合には、患者情報DB4に記憶された当該患者に係る全ての患者身体データを、患者の閲覧の許可の有無にかかわらず、閲覧要求のあった端末に出力する。
よって、救急時等の緊急性が高い場合には、患者が閲覧の意思表示ができない可能性があるが、その場合であっても、閲覧者に患者の全ての身体データの閲覧を許可することができる。
【0072】
(7)身体測定データは、検体採取により得られる血液に関するデータを含むので、患者自身で行ったり、訪問看護STの看護師が行ったりした検体採取により得られる血液に関するデータを、患者情報DB4に登録することができる。
また、身体測定データは、血圧、脈拍、体重、体温及び血中酸素飽和濃度に関するデータのうちのいずれかを少なくとも含み、身体測定データをグラフ化して出力するので、例えば、患者の日々の測定により得られた身体測定データを、日々の変化が確認しやすい態様で出力させることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0074】
(変形形態)
(1)本実施形態では、データ通信網Nを介して、医師端末7から患者情報管理サーバ1に医療データを登録するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、保険証としても使用できる、マイナンバーカード等に有するIC(Integrated Circuit)チップを有する媒体に対して、医師端末7から医療データを入力し、患者端末6がICチップを読み取って、患者端末6から患者情報管理サーバ1に対して医療データを登録してもよい。
また、ICチップに患者情報管理サーバ1の記憶部30に有する図示しない一時記憶領域を示すURL(Uniform Resource Locator)を記憶させておき、医師端末7は、患者情報管理サーバ1のウェブサイトにログインをせずに、ICチップを読み取って、取得したURLに対して医療データを送信するようにしてもよい。
【0075】
(2)本実施形態では、医療データについて、証明情報を付与するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、身体測定データについても、証明情報を付与してもよい。また、身体測定データのうち、看護師が測定した身体測定データには証明情報を付与し、患者自身が測定した身体測定データには証明情報を付与しない、としてもよい。
【0076】
(3)本実施形態では、医療データと身体測定データとを、患者情報DB4に登録するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、健康診断で得られた健診データを、さらに患者情報DB4に登録するようにしてもよい。
【0077】
(4)本実施形態では、患者が許可した医療データと身体測定データとを、患者情報DB4に登録するものを例に説明したが、これに限定されない。患者情報DB4に登録された許可した医療データや身体測定データを、患者が後から削除できる仕組みを有してもよい。
【0078】
(5)本実施形態では、患者身体データの登録時や閲覧時において、患者に確認するために電子メールやSMSを送信するものを例に説明したが、これに限定されない。データ登録は、リアルタイム性を求めず、後日に確認するのでも構わない。そのため、患者身体データを、記憶部30の一時記憶領域等に保管しておき、患者がウェブサイトにログインした際に確認するものであってもよい。他方、データ閲覧は、リアルタイム性を求めるが、例えば、医師や看護師がデータ閲覧をする場合には、患者がその場にいるときであると思われる。そのため、患者が、患者端末6を用いてその場で医師や看護師に聞いた医療機関IDや訪問看護STIDを入力して、データの閲覧を許可してもよい。
【0079】
(6)本実施形態では、Webベースでのシステムを例に説明したが、これに限定されない。どのようにシステムを構築してもよく、例えば、アプリケーションを起動することによるシステムであってもよい。
【0080】
(7)本実施形態では、記憶部30に各種の情報を記憶するものを例に説明したが、これに限定されない。患者情報管理サーバ1に対して接続された外部装置に、各種の情報を有してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 患者情報管理サーバ(サーバ、患者情報管理装置)
4 患者情報DB
5 履歴記憶装置群
6 患者端末
7 医師端末
8 看護師端末
10 制御部
11 データ登録処理部
12 医療データ処理部
13 身体測定データ処理部
14 証明付与部
16 データ閲覧処理部
17 閲覧要求受信部
18 患者許可確認部
19 グラフ作成処理部
20 患者データ出力部
22 履歴処理部
30 記憶部
31 プログラム記憶部
32 患者情報記憶部
33 医療機関情報記憶部
34 訪問看護ST情報記憶部
35 指定医療機関記憶部
36 開示ランクテーブル
39 データ通信IF
100 患者情報管理システム
N データ通信網