(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021890
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】透水性人工芝及び透水性人工芝の製造方法
(51)【国際特許分類】
E01C 13/08 20060101AFI20240208BHJP
D05C 17/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E01C13/08
D05C17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125061
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390008394
【氏名又は名称】長谷虎紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 孝志
(72)【発明者】
【氏名】山下 英里
(72)【発明者】
【氏名】豊田 崇宏
【テーマコード(参考)】
2D051
4L044
【Fターム(参考)】
2D051AA02
2D051AG11
2D051HA01
2D051HA02
2D051HA03
4L044CA01
4L044CB02
4L044CB07
4L044CC02
4L044CC03
(57)【要約】
【課題】マイクロプラスチックの外部への流出を抑制することができる透水性人工芝、透水性人工芝の製造方法を提供する。
【解決手段】透水性人工芝10は、基層11と、基層11の表面側で起毛する芝糸21による芝層12と、を備えており、基層11は、織物による透水層13と、合成樹脂が含浸された短繊維フェルトによるフィルタ層14と、を備えており、基層11において、透水層13が表面側に配され、フィルタ層14が裏面側に配されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層と、前記基層の表面側で起毛する芝糸による芝層と、を備える透水性人工芝であって、
前記基層は、織物による透水層と、合成樹脂が含浸された短繊維フェルトによるフィルタ層と、を備えており、
前記基層において、前記透水層が表面側に配され、前記フィルタ層が裏面側に配されている、ことを特徴とする透水性人工芝。
【請求項2】
前記芝糸は、バックステッチ部は、前記フィルタ層において、前記短繊維フェルトの裏面上に突出して、前記合成樹脂で被覆されている請求項1に記載の透水性人工芝。
【請求項3】
前記透水性人工芝の透水係数は、3.0×10-2cm/s以上である請求項1又は2に記載の透水性人工芝。
【請求項4】
前記短繊維フェルトの目開き寸法は、メッシュサイズに換算して、90メッシュ以上300メッシュ以下である請求項1又は2に記載の透水性人工芝。
【請求項5】
前記短繊維フェルトの目付量は、50g/m2以上200g/m2以下である請求項1又は2に記載の透水性人工芝。
【請求項6】
前記短繊維フェルトは、短繊維が集積されて形成されており、前記短繊維の繊維長が25mm以上125mm以下、前記短繊維の太さが、1.5デシテックス以上20デシテックス以下である請求項1又は2に記載の透水性人工芝。
【請求項7】
前記フィルタ層における前記合成樹脂の塗布量が、200g/m2以上500g/m2以下である請求項1又は2に記載の透水性人工芝。
【請求項8】
前記織物の目付量は、80g/m2以上200g/m2以下である請求項1又は2に記載の透水性人工芝。
【請求項9】
前記織物は、織組織が平織、綾織、平畳織、又は綾畳織のいずれかであり、経糸及び緯糸の太さが、800デシテックス以上2000デシテックス以下である請求項1又は2に記載の透水性人工芝。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の透水性人工芝の製造方法であって、
織物の裏面に短繊維フェルトを積層する第1工程と、
前記第1工程の後、前記織物に対し、前記短繊維フェルトが積層された裏面側から芝糸をタフティングして芝層を形成する第2工程と、
前記第2工程の後、前記短繊維フェルトに合成樹脂の分散液を塗布して含浸させる第3工程と、を備えることを特徴とする透水性人工芝の製造方法。
【請求項11】
前記分散液の固形分濃度が20質量%以上65質量%以下であり、
前記分散液の塗布量がドライ換算で200g/m2以上500g/m2以下である請求項10に記載の透水性人工芝の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然芝生を模した透水性人工芝及び透水性人工芝の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工芝は、一般家屋や、観光施設、公共施設、宿泊施設、運動施設等の各種施設において、例えば、景観の向上、雑草の生長抑制、運動時の負担軽減等の目的に応じ、庭、ベランダ、公園、グラウンド等に敷設されている。運動施設等のスポーツ用途で用いられる人工芝は、芝葉状のパイル間に、ゴムチップ、砂、砕石等による充填材を充填したものがある。
通常の人工芝は、編織布、樹脂シート、樹脂フィルム等による基布と、基布に植え込まれた芝葉状の合成繊維によるパイルと、を備えている。さらに、人工芝には、耐久性の向上、滑り止め、パイルの抜糸強度の向上等を目的として、基布の裏面に、合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂等が裏打塗布されたものがある。
人工芝は、雨天時等に基布の表面に水が溜まりやすく、この問題を解消するため、透水性を付与したものが提案されている。特許文献1には、基布を貫通する複数の貫通孔を設けることで透水性を付与した人工芝が開示されている。特許文献2には、基布に平織織物を使用し、平織織物の経糸間を透水孔とした人工芝が開示されている。また、特許文献2は、平織織物の表面に繊維ウェブをさらに設け、割裂・開繊されたフィラメントの割け目に繊維ウェブの繊維が挟み込まれて平織織物に絡み付くようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-235159号公報
【特許文献2】特開平06-235158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透水性を付与した人工芝において、基布の表面から裏面へ透水される水には、充填材やパイルの摩耗屑が混じり込む。水に混じり込んだ充填材やパイルの摩耗屑は、水とともに貫通孔や透水孔を通り抜け、排水設備を通じて外部へ流出してしまい、多くの場合、河川や海洋等へ散逸される。
近時において、パイルの摩耗屑、つまり合成繊維屑や、充填材に含まれるゴムチップ等のような、一般に直径が5mm以下の微細なプラスチックは、マイクロプラスチックとも呼称され、環境汚染物質として問題視されている。このため、近時の人工芝には、マイクロプラスチックの外部への流出を抑えるように工夫することを要求されている。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、マイクロプラスチックの外部への流出を抑制することができる透水性人工芝、透水性人工芝の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下に示される。
請求項1に記載の透水性人工芝は、基層と、前記基層の表面側で起毛する芝糸による芝層と、を備える透水性人工芝であって、
前記基層は、織物による透水層と、合成樹脂が塗布された短繊維フェルトによるフィルタ層と、を備えており、
前記基層において、前記透水層が表面側に配され、前記フィルタ層が裏面側に配されている、ことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記芝糸は、バックステッチ部は、前記フィルタ層において、前記短繊維フェルトの裏面上に突出して、前記合成樹脂で被覆されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記透水性人工芝の透水係数は、3.0×10-2cm/s以上であることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記短繊維フェルトの目開き寸法は、メッシュサイズに換算して、90メッシュ以上300メッシュ以下であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記短繊維フェルトの目付量は、50g/m2以上200g/m2以下であることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記短繊維フェルトは、短繊維が集積されて形成されており、前記短繊維の繊維長が25mm以上125mm以下、前記短繊維の太さが、1.5デシテックス以上20デシテックス以下であることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記フィルタ層における前記合成樹脂の塗布量が、200g/m2以上500g/m2以下であることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記織物の目付量は、80g/m2以上200g/m2以下であることを要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記織物は、織組織が平織、綾織、平畳織、又は綾畳織のいずれかであり、経糸及び緯糸の太さが、800デシテックス以上2000デシテックス以下であることを要旨とする。
請求項10に記載の透水性人工芝の製造方法の発明は、請求項1又は2に記載の透水性人工芝の製造方法であって、
織物の裏面に短繊維フェルトを積層する第1工程と、
前記第1工程の後、前記織物に対し、前記短繊維フェルトが積層された裏面側から芝糸をタフティングして芝層を形成する第2工程と、
前記第2工程の後、前記短繊維フェルトに合成樹脂の分散液を塗布して含浸させる第3工程と、を備えることを要旨とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記分散液の固形分濃度が20質量%以上65質量%以下であり、
前記分散液の塗布量がドライ換算で200g/m2以上500g/m2以下であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マイクロプラスチックの外部への流出を抑制することができる透水性人工芝、透水性人工芝の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【
図2】実施形態の基層を表面側から見た状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、図も参照しながら詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
[1]透水性人工芝
本発明の透水性人工芝は、基層11と、前記基層11の表面側で起毛する芝糸21による芝層12と、を備える透水性人工芝10であって、
前記基層11は、織物による透水層13と、合成樹脂が塗布された短繊維フェルトによるフィルタ層14と、を備えており、
前記基層11において、前記透水層13が表面側に配され、前記フィルタ層14が裏面側に配されている、ことを特徴とするものである(
図1参照)。
【0011】
透水性人工芝10は、基層11と、基層11の表面側で起毛する芝層12と、を備えている。
芝層12は、基層11に植設された複数の芝糸21が、その基層11の表面上に起立することにより、芝葉を模して形成されている。
なお、これ以降の文中において、基層11は、芝糸21が起立する側の面を表面側とし、その表面側と反対側の面を裏面側とする。
【0012】
基層11は、織物による透水層13と、合成樹脂42が塗布された短繊維ウェブによるフィルタ層14と、を備えている。
基層11において、透水層13は基層11の表面側に配されており、フィルタ層14は、基層11の裏面側に配されている。
基層11は、表面側に配された透水層13と、裏面側に配されたフィルタ層14とを備えることにより、水を透水させるとともに、その水に含まれるマイクロプラスチックを捕集する性能を発揮することができる。
【0013】
ここで、マイクロプラスチックとは、芝糸21の摩耗屑、合成繊維屑、充填材に含まれるゴムチップ等からなる微細なプラスチックをいう。
通常、マイクロプラスチックのサイズの上限値は、平均粒径(D50)で5mm以下であり、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm(1000μm)以下とすることができる。
サイズの下限値は、特に限定されないが、基層11に捕集可能なサイズという観点で、平均粒径(D50)で、好ましくは10μm以上、より好ましくは40μm以上、さらに好ましくは100μm以上とすることができる。
以下、透水性人工芝10を構成する基層11、芝層12等について、詳述する。
【0014】
(1)基層
基層11は、芝層12を構成する芝糸21が植設されるもの、言い換えると、植え込まれた芝糸21を保持するものである。
基層11は、透水層13及びフィルタ層14を備えるものであれば、それ以外の構成、層の厚さや平面視での縦幅や横幅などのサイズ、形状等について、特に限定されない。
【0015】
(1-1)透水層
透水層13は、雨水等の水が基層11の表面に溜まらないように、その水を基層11の表面から裏面へ透水させることを目的として設けられたものである。
透水層13の材料には、経糸31と緯糸32とを織り上げて形成された織物が使用されている。この織物は、経糸31と緯糸32によって形成された複数の網目33を有している(
図2参照)。織物は、網目33を介して、一面側から他面側へと水を通過させることができ、透水性を有している。さらに織物は、網目33を介して、一面側から他面側へとマイクロプラスチックを通過させることができるものが好ましい。
【0016】
経糸31及び緯糸32の材質は、特に限定されないが、主に合成繊維を使用することができ、合成繊維と併せ再生繊維、天然繊維等を使用することもできる。
合成繊維には、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維等のなかから選択された1種のみ、又は2種以上を使用することができる。
再生繊維には、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リョセル等を使用することができる。を用いることができる。天然繊維には、綿、麻、絹、ウール等を用いることができる。
通常、経糸31及び緯糸32には、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維を使用することができる。ポリエチレン繊維は、耐久性、耐紫外線性に優れるとともに、光の反射を抑えることで天然の芝葉の風合いを醸し出せるという利点を有する。ポリプロピレン繊維は、耐久性、耐候性、耐水性、耐薬品性に優れるという利点を有する。
【0017】
経糸31及び緯糸32の太さは、特に限定されないが、800デシテックス以上2000デシテックス以下とすることができる。太さは、より好ましくは、900デシテックス以上1500デシテックス以下であり、さらに好ましくは、1000デシテックス以上1300デシテックス以下である。
経糸31及び緯糸32は、互いに異なる太さとすることができ、あるいは互いに同じ太さとすることができる。経糸31及び緯糸32の太さが互いに異なる場合、経糸31及び緯糸32は、上述の範囲内(800デシテックス~2000デシテックス)において、太さが互いに異なるものとすることができる。
【0018】
経糸31及び緯糸32の形態は、特に限定されないが、具体例として、リボンヤーン、モノフィラメントヤーン、マルチフィラメントヤーン、フラットヤーン、スプリットヤーン、テープヤーンなどを挙げることができる。
経糸31及び緯糸32は、互いに異なる形態とすることができ、あるいは互いに同じ太さとすることができる。例えば、経糸31はリボンヤーンとし、緯糸32はマルチフィラメントヤーンとすることができる。
上述の形態のうち、リボンヤーン、フラットヤーン、スプリットヤーン、テープヤーン等の帯状のものは、織物に均一でサイズの大きな網目33を形成しやすく、有用である。
【0019】
織物の織組織は、特に限定されないが、経糸と緯糸の織り方に応じて、平織、綾織、繻子織、畳織等を挙げることができる。これらの中でも、織組織は、織物全体に網目33を均一に形成しやすく、網目33を有しつつも良好な耐久性が得られるという観点から、平織、綾織、平畳織、又は綾畳織のいずれかが好ましい。
透水層13に用いられる織物の網目33の大きさは、水と、その水に含まれるマイクロプラスチックとが通過可能な程度の大きさとすることができる。この網目33の大きさは、織物の目付量、及び/又は織物の織密度によって設定することができる。
織物の目付量は、特に限定されないが、80g/m2以上200g/m2以下とすることができる。目付量は、より好ましくは、100g/m2以上190g/m2以下、さらに好ましくは、120g/m2以上180g/m2以下とすることができる。
織物の織密度は、特に限定されないが、経糸及び緯糸のそれぞれで1本/inch以上50本/inch以下とすることができる。織密度は、より好ましくは、5本/inch以上40本/inch以下、さらに好ましくは、10本/inch以上30本/inch以下とすることができる。
【0020】
(1-2)フィルタ層
フィルタ層14は、水は基層11の裏面側へ透水させ、その水に含まれるマイクロプラスチックは内部に捕集する目的で設けられたものである。
フィルタ層14の材料には、合成樹脂が含浸された短繊維フェルトが使用されている(
図1参照)。
短繊維フェルトは、短繊維41を集積して繊維同士を絡み合わせることにより、ポーラス状に形成され、繊維同士の隙間による複数の細孔43を有している。合成樹脂は、短繊維フェルトに塗布等して含浸されており、短繊維41同士を結着している。
【0021】
短繊維の材質は、特に限定されないが、通常、合成繊維を使用することができる。合成繊維には、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維等のなかから選択された1種のみ、又は2種以上を使用することができる。これらの中で、短繊維には、通常、ポリエチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維を使用することができる。
短繊維は、繊維長が25mm以上125mm以下の繊維とすることができる。繊維長は、より好ましくは30mm以上120mm以下、さらに好ましくは40mm以上110mm以下とすることができる。
短繊維の太さは、1.5デシテックス以上20デシテックス以下とすることができる。太さは、より好ましく2デシテックス以上18デシテックス以下、さらに好ましくは3デシテックス以上15デシテックス以下とすることができる。
【0022】
フィルタ層14に用いられる短繊維フェルトは、細孔43を介して、一面側から他面側へと水を通過させることができ、透水性能を有している。
一方、フィルタ層14に用いられる短繊維フェルトは、透水させる水にマイクロプラスチックが含まれる場合、そのマイクロプラスチックを短繊維に引っ掛けることにより、マイクロプラスチックをフィルタ層14の内部に捕集することができ、捕集性能を有している。
【0023】
フィルタ層14に用いられる短繊維フェルトの細孔43のサイズは、水を通過させることができ(透水性能を有する)、マイクロプラスチックを通過させない(捕集性能を有する)程度の大きさであれば、特に限定されない。
短繊維フェルトの透水性能と捕集性能は、短繊維フェルトの目開き寸法で規定することができる。短繊維ウェブの目開き寸法は、メッシュサイズに換算して、90メッシュ以上300メッシュ以下とすることができる。この目開き寸法は、メッシュサイズに換算して、好ましくは100メッシュ以上250メッシュ以下、より好ましくは150メッシュ以上250メッシュ以下とすることができる。
短繊維フェルトの細孔43のサイズ、目開き寸法等は、短繊維フェルトの目付量によって設定することができる。短繊維フェルトの目付量は、50g/m2以上200g/m2以下とすることができる。また、目付量は、より好ましくは、70g/m2以上180g/m2以下、さらに好ましくは、80g/m2以上150g/m2以下とすることができる。
【0024】
短繊維フェルトに含浸される合成樹脂は、特に限定されないが、エラストマー等の樹脂系や、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などの組成物を用いることができ、具体的にSBR系、アクリル系、ウレタン系、オレフィン系、又はこれらのうち2種以上を混合してなる組成物等を用いることができる。
短繊維フェルトに対する合成樹脂の塗布量(含浸量)は、特に限定されないが、200g/m2以上500g/m2とすることができる。また、塗布量(含浸量)は、より好ましくは220g/m2以上480g/m2、さらに好ましくは250g/m2以上450g/m2とすることができる。
【0025】
(2)芝層
芝層12は、天然の芝生が有する芝葉の風合いを透水性人工芝10に付与する目的で設けられたものである。
芝層12は、基層11に複数の芝糸21を植設して構成されたものであれば、サイズ、形状等について、特に限定されない。
例えば、芝層12は、必ずしも基層11の表面全体に設ける必要はなく、基層11の表面の一部にのみ設けたりしてもよい。
【0026】
(2-1)芝糸
芝糸21は、天然の芝生が有する芝葉の外観を実現するものである。
芝糸21の材質は、芝葉の外観を実現できるのであれば、特に限定されず、主に合成繊維を使用することができ、合成繊維と併せ再生繊維、天然繊維等を使用することもできる。
合成繊維には、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維等のポリエステル系繊維、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維等のポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維等のなかから選択された1種のみ、又は2種以上を使用することができる。
再生繊維には、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リョセル等を使用することができる。を用いることができる。天然繊維には、綿、麻、絹、ウール等を用いることができる。
通常、芝糸21には、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド系繊維を使用することができる。ポリエチレン繊維は、耐久性、耐紫外線性に優れるとともに、光の反射を抑えることで天然の芝葉の風合いを醸し出せるという利点を有する。
ポリプロピレン繊維は、耐久性、耐候性、耐水性、耐薬品性に優れるという利点を有する。ポリアミド系繊維は、手触りが柔らかいという利点を有する。
【0027】
芝糸21の形態は、芝葉の外観を実現できるのであれば、特に限定されないが、具体例として、モノフィラメントヤーン、マルチフィラメントヤーン、フラットヤーン、スプリットヤーンなどを挙げることができる。これらの中でも、モノフィラメントヤーン、スプリットヤーンは、芝葉の外観を実現しやすいという利点を有する。
モノフィラメントヤーンは、1本のフィラメント(長繊維)からなる糸である。モノフィラメントヤーンは、その断面形状に関して、長方形状、楕円形状、ひし形状、トラック状等の様々な形状のものを任意に選択する、又は使い分けることができ、形状について
特に限定されない。マルチフィラメントヤーンは、複数本のフィラメント(長繊維)を撚り合わせてなる糸である。フラットヤーンは、合成樹脂等によるフィルム等を短冊状にカットし、延伸して得られる平らな糸である。スプリットヤーンは、フラットヤーンを糸の伸び方向に沿って複数に分割して得られる糸である。
【0028】
芝糸21の形状は、芝葉の外観を実現できるのであれば、特に限定されないが、具体例として、直線状のストレートヤーン、捲縮状の捲縮ヤーンなどを挙げることができる。
芝糸21の形態や形状は、それぞれ具体例として挙げた中から1種のみ、又は2種以上を選択することができる。つまり、芝糸21には、1種類のヤーンのみを用いてもよく、2種類以上のヤーンを用いてもよい。
例えば、芝糸21は、モノフィラメントストレートヤーンを1種類のみ用いることができる(
図1参照)。
あるいは、芝糸21は、モノフィラメントストレートヤーンと、モノフィラメント捲縮ヤーンの2種類を用いることができる。この場合、モノフィラメントストレートヤーンで天然の芝葉の風合いを醸し出し、さらにモノフィラメント捲縮ヤーンで天然の芝生が有するサッチ(刈られたり枯れたりした芝葉や古い根などが堆積して形成されるもの)の風合いを醸し出すことができる。
【0029】
芝糸21の太さは、特に限定されないが、8,000デシテックス以上20,000デシテックス以下とすることができ、より好ましくは10,000デシテックス以上18,000デシテックス以下、さらに好ましくは12,000デシテックス以上17,000デシテックス以下とすることができる。
芝糸21の太さは、芝糸21の形態がモノフィラメントヤーンの場合、1束に束ねた状態での太さとし、スプリットヤーンの場合は、分割前の1本のフラットヤーンの太さとする。
【0030】
(2-2)植設方法
芝糸21の基層11への植設方法は、特に限定されないが、通常、芝糸21は、複数本を1束ねのパイル22とし、タフティングマシン等を用いて、パイル22を基層11に縫い込むこと(以下、「タフティング」とも記載する)により、植設することができる(
図1参照)。
基層11にタフティングされたパイル22は、根本側(基層11側)から先端側へ向かうにつれて、束ねられた複数本の芝糸21が分岐して互いに広がることにより、芝葉の外観を実現することができる。
【0031】
芝糸21を基層11の表面側で起毛させる場合、パイル22は、例えばタフティング用のニードル(縫い針)を基層11の裏面側から刺す等することにより、基層11に縫い込むことができる。パイル22が縫い込まれた基層11の裏面には、縫い目としてバックステッチ部23が形成されている。
バックステッチ部23は、フィルタ層14において、短繊維フェルトの裏面上に突出している。このため、バックステッチ部23は、短繊維フェルトに含浸された合成樹脂で被覆されているものとすることができる。この場合、バックステッチ部23を合成樹脂によって被覆し、固定することにより、芝糸21(パイル22)の基層11からの抜け落ちを防止することができる。
【0032】
(3)透水性人工芝の諸元、作用等
透水性人工芝10の透水性能は、透水係数で規定することができる。この透水係数は、JIS A1218「土の透水試験方法」に準じた方法によって測定することができる。
具体的に、透水性人工芝10の透水係数は、下限値で3.0×10-2cm/s以上とすることができる。透水係数は、より好ましくは4.5×10-2cm/s以上、さらに好ましくは6.0×10-2cm/s以上とすることができる。
なお、透水係数の上限値は、特に限定されないが、9.0×10-2cm/s以下とすることができる。
【0033】
透水性人工芝10において、基層11の表面上であって芝層12のパイル22(芝糸21)の間には、充填材(図示略)を充填することができる。この充填材は、透水性人工芝10の温度抑制、クッション性の付与などを目的として充填されるものである。
充填材には、ゴムチップ、砂粒、石粒等の粒状物を使用することができる。
充填材の粒径は、特に限定されず、所望に応じた任意の粒径を選択することができる。
【0034】
上述の透水性人工芝10は、基層11の透水層13及びフィルタ層14の双方が透水性を有している。このため、透水性人工芝10は、雨水等の水について、基層11の表面側から裏面側(外部)へ透水させて、排出することができる(
図1中の「水」とそれから伸びる矢印を参照)。
一方、基層11を透水しようとする雨水等の水には、芝糸21等の合成繊維の摩耗屑や、上述の充填材等の粒状物が混じり込んでいる。こうした粒状物の中でも、主として合成繊維の摩耗屑や、充填材に用いられるゴムチップ等のような合成樹脂を材料とするものは、マイクロプラスチックと称されて、外部への流出が忌避されている。
【0035】
上述の透水性人工芝10は、マイクロプラスチックについて、基層11の透水層13は通過するものの、フィルタ層14を通過することができず、フィルタ層14の内部に捕集することができる(
図1中の「MP」とそれから伸びる矢印を参照)。
このため、透水性人工芝10は、マイクロプラスチックをフィルタ層14内に捕集することにより、マイクロプラスチックの外部への排出を防止することができる。
【0036】
透水性人工芝10の敷設場所は、特に限定されず、一般家屋や、観光施設、公共施設、宿泊施設、運動施設等の各種施設において、庭、ベランダ、公園、グラウンド等の何れの場所にも敷設することができる。
これら敷設場所の中でも、テニス場、サッカー場、ラグビー場等といった運動施設は、合成繊維の摩耗屑が出やすく、また競技者の保護等を目的として、多くの場合、充填材にゴムチップが用いられることから、透水性人工芝10の敷設場所として有用である。
また、上述の運動施設では、テニスコート、サッカーコート、ラグビーコート等のコートを囲むように排水枡等の排水設備が設けられている。透水性人工芝10は、こうした排水設備を覆うように敷設されることが、特に有用である。
つまり、透水性人工芝10は、優れた透水性を有しており、排水設備を覆うように敷設された場合、排水設備の排水能力を損なうことなく、景観等の向上を図ることができる。さらに、透水性人工芝10は、マイクロプラスチックを含む粒状物をフィルタ層14に捕集するため、排水設備へのマイクロプラスチック等の流入を抑制することができる。
【0037】
[2]透水性人工芝の製造方法
本発明の製造方法は、上記の透水性人工芝10の製造方法であって、
織物の裏面に短繊維フェルトを積層する第1工程と、
前記第1工程の後、前記織物に対し、前記短繊維フェルトが積層された裏面側から芝糸をタフティングして芝層を形成する第2工程と、
前記第2工程の後、前記短繊維フェルトに合成樹脂の分散液を塗布して含浸させる第3工程と、を備えることを特徴とする。
【0038】
(1)第1工程
第1工程は、透水性人工芝10の基層11の透水層13となる織物の裏面に、フィルタ層14となる短繊維フェルトを積層する工程である。この第1工程において、織物と短繊維フェルトは、互いの繊維が絡み合わされて一体化される。
具体的に、第1工程は、製造装置のコンベア等の上に織物を載せて搬送し、その搬送中の織物の「裏面」に、短繊維フェルトとする短繊維を集積させ、その集積された短繊維同士を絡み合わせる、短繊維と織物の繊維を絡み合わせる等して実施される。
また、第1工程は、別の製造工程で予め製造された織物と短繊維フェルトを相互に積層して実施することもできる。
なお、織物の「裏面」について、この裏面は、織物の両面のうち、透水性人工芝10の基層11とされた際に、透水層13の裏面側となる面を意味し、必ずしも第1工程中における実際の織物の裏面を指すものではない。つまり、短繊維フェルトとする短繊維は、実際の織物の表面に集積してもよく、あるいは、実際の織物の裏面に集積してもよい。短繊維を実際の織物の裏面に集積する場合について、具体的な方法として、コンベア上等に短繊維を集積して短繊維フェルトとし、その短繊維フェルト上に織物を載せる等が挙げられる。
【0039】
(2)第2工程
第2工程は、芝層12を形成する工程である。この第2工程では、上述の第1工程で得られた織物と短繊維フェルトとの積層体について、短繊維フェルトが積層された裏面側から織物に芝糸21をタフティングする。
具体的に、タフティングは、芝糸21を束ねたパイル22を、ニードル(縫い針)を使用し、織物に縫い込むことによって実施される。
この第2工程では、パイル22を縫い込む際、ニードル(縫い針)は、織物の裏面側から、織物及び短繊維フェルトの双方を貫いて刺し込まれる。
また、第2工程では、縫い込まれたパイル22のバックステッチ部が、短繊維フェルトの裏面上に形成される。
【0040】
(3)第3工程
第3工程は、短繊維フェルトに合成樹脂を含浸させる工程である。
具体的に、第3工程は、予め用意された合成樹脂の分散液を、短繊維フェルトの裏面に塗布し、短繊維フェルトに含浸させることによって実施される。
この第3工程では、合成樹脂の分散液を塗布する際、上述の第2工程で短繊維フェルトの裏面上に形成されたパイル22のバックステッチ部にもまた、合成樹脂の分散液が塗布される。このため、製造された透水性人工芝10において、バックステッチ部23は、フィルタ層14の裏面上に突出し、合成樹脂42で被覆されたものとなる(
図1参照)。
【0041】
第3工程において、合成樹脂の分散液の塗装方法は、特に限定されない。具体例として、スプレーコート、ロールコート、ダイレクトコート等を挙げることができる。
分散液の固形分濃度は、20質量%以上65質量%以下のものとすることができる。固形分濃度は、より好ましくは、25質量%以上55質量%以下、さらに好ましくは、30質量%以上50質量%以下とすることができる。固形分濃度が上述の範囲の場合、分散液を短繊維フェルトの裏面上に塗り広げやすく、短繊維フェルトに含浸させやすくすることができる。
分散液の塗布量は、特に限定されないが、ドライ換算で200g/m2以上500g/m2とすることができる。また、塗布量は、より好ましくは220g/m2以上480g/m2、さらに好ましくは250g/m2以上450g/m2とすることができる。
【実施例0042】
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
〔1〕試料の諸元
(1)基層
〔透水層〕
経糸(ポリプロピレン、リボンヤーン)と、緯糸(ポリプロピレン、リボンヤーン)を平織り〔織密度;24本/inch(経糸)、18本/inch(緯糸)〕して得られた、目付量:150g/m2の織物。
〔フィルタ層〕
短繊維(PET繊維、100デシテックス)と、合成樹脂(SBRラテックス)を用いて得られた短繊維フェルト。短繊維フェルトの目付量[g/m2]と、合成樹脂の塗布量[g/m2(ドライ換算)]は、各試料に応じて適宜調整。
(2)芝層
パイル(ポリエチレン繊維、モノフィラメント、9500デシテックス/11フィラメント)を、基層の裏面側からタフティングした後、パイル高(基層の表面から芝糸の先端までの高さ、つまり芝層の厚さ)が20mmになるように裁断して調整。
【0044】
〔2〕性能評価
(1)透水係数
JIS A1218「土の透水試験方法」の規定に基づく「定水位透水試験装置」を用い、定水位透水試験により、水温20℃における透水量Q(cm3)を測定し、その透水量Q(cm3)から下記の(式1)により透水係数k(cm/s)を算出した。
k=(L/h)×〔Q/(A×T)〕・・・(式1)
但し、上記(式1)において、L:試料の厚さ(cm)、h:水位差(cm)、A:試料の平面視の面積(cm2)、T:測定時間(s)であり、L=2cm(基層の厚さ)、h=5.8cm、A=460.25cm2、T=60sとする。
(2)捕集性能
テニス場において、コートの周囲に設けられた排水枡の蓋(ステンレスメッシュ板)の上に各試料を敷設し、1ヶ月経過した後、排水枡内を目視し、パイル屑(芝糸の摩耗屑)の溜まり具合を観察し、下記の○、×の2段階で評価した。
○:芝糸と同じ色(緑色)のパイル屑のかたまりが、ほぼ発見されなかった。
×:芝糸と同じ色(緑色)のパイル屑の大きなかたまりが発見された。
【0045】
〔3〕実施例及び比較例
(実施例1)
上述の〔1〕に示した試料を利用し、基層について、透水層を表面側、フィルタ層を裏面側に配置し、短繊維フェルトの目付量80g/m2、合成樹脂の塗布量300g/m2(ドライ換算)として、実施例1の試料とした。
実施例1の性能評価の結果を表1に示す。
【0046】
(比較例1)
上述の〔1〕に示した試料において、基層は、透水層の織物のみを用い、この織物について、裏面に合成樹脂(SBRラテックス)を塗布量640g/m2で塗布してバッキング加工を施した後、径3mm~4mmの穴が密度397個/m2で形成されるように、加熱ピンによる穴開け加工(透水加工)を施したものを使用し、比較例1の試料とした。
比較例1の性能評価の結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の試料と同様であるが、透水層を裏面側、フィルタ層を表面側に配置したものに対し、比較例1と同様の加熱ピンによる穴開け加工(透水加工)を、フィルタ層を介して基層に施し、比較例2の試料とした。
比較例2の性能評価の結果を表1に示す。
【0047】
【0048】
(考察1)
表1の結果から、実施例1は、透水係数が高く、透水性能に優れたものであり、また捕集性能に優れたものであった。
比較例1は、実施例1に比べて透水係数が低く、捕集性能の評価も×であり、明らかに性能が劣るものであった。比較例1と実施例1で同じ織物を使用したにも関わらず、比較例1の透水係数が明らかに低くなった理由について、バッキング加工によって織物の網目が塞がれたことが考えられる。
比較例2は、実施例1に比べて透水係数が低く、捕集性能の評価も×であり、明らかに性能が劣るものであった。比較例2は、捕集性能における観察時に、水(排水)が試料の表面から排水枡の側縁へ溢れた痕跡が見られたことから、フィルタ層による捕集性能がほぼ機能していないことが考えられる。
【0049】
(実施例2~5)
上述の〔1〕に示した試料を利用し、短繊維フェルトの目付量を、実施例2:80g/m2、実施例3:100g/m2、実施例4:150g/m2、実施例5:200g/m2とし、合成樹脂の塗布量を200g/m2として、実施例2~5の試料とした。
実施例2~5の性能評価の結果を表2に示す。
【0050】
【0051】
(考察2)
表2の結果から、実施例2~5は、透水性能および捕集性能に優れたものであることが示された。
また、実施例2~5を比較すると、短繊維フェルトの目付量が増すに従って透水係数が低くなり、この結果から、短繊維フェルトの目付量によって透水係数を所望値に調節することが可能であることが示された。
【0052】
(実施例6~9)
上述の〔1〕に示した試料を利用し、短繊維フェルトの目付量を80g/m2とし、合成樹脂の塗布量を実施例6:250g/m2、実施例7:300g/m2、実施例8:400g/m2、実施例9:500g/m2として、実施例6~9の試料とした。
実施例6~9の性能評価の結果を表2に示す。
【0053】
【0054】
(考察3)
表3の結果から、実施例6~9は、透水性能および捕集性能に優れたものであることが示された。
実施例2と併せて、実施例6~9を比較すると、概ね、合成樹脂の塗布量が増すに従って透水係数が低くなることが示された。この結果から、合成樹脂の塗布量によって透水係数をある程度の値に調節することが可能であることが示された。