(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021909
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】清掃体、清掃装置、帯電装置、組立体及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20240208BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G03G15/02 103
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125098
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加納 富由樹
【テーマコード(参考)】
2H134
2H200
【Fターム(参考)】
2H134GA01
2H134GA02
2H134GA05
2H134GA06
2H134GB01
2H134HA01
2H134HA02
2H134HA03
2H134HA05
2H134KD02
2H134KD03
2H134KD08
2H134KD11
2H134KD12
2H134KG01
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GB15
2H200HB12
2H200HB22
2H200HB45
2H200HB46
2H200HB47
2H200JB42
2H200JB45
2H200JB47
2H200JC12
2H200JC15
2H200JC17
2H200LB02
2H200LB09
2H200LB15
2H200LB33
2H200LB35
2H200LB37
2H200MA01
2H200MA02
2H200MA03
2H200MA04
2H200MA05
2H200MA06
2H200MA08
2H200MA11
2H200MA12
2H200MA13
2H200MA14
2H200MA20
2H200MB01
2H200MC01
2H200MC15
2H200MC20
(57)【要約】
【課題】被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体の提供。
【解決手段】芯体と、芯体の外周面に螺旋状に巻き回され、セルと、セル間に存在する隔壁であるセル骨格と、を有する発泡弾性層と、を有し、セル骨格は、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出した先端部の径が50μm以下、セルは、芯体径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下である清掃体。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、短冊状の発泡弾性部材が螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、を有し、
前記発泡弾性層は、セルと、前記セル間に存在する隔壁であるセル骨格と、を有し、
前記セル骨格は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出した先端部を有し、且つ前記先端部の径が50μm以下であり、
前記セルは、前記芯体の径方向での平均セル径Dyと、前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxと、の比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下である清掃体。
【請求項2】
前記比率Dy/Dxが1.4以上1.8以下である、請求項1に記載の清掃体。
【請求項3】
前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxが120μm以上210μm以下である、請求項1に記載の清掃体。
【請求項4】
前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxが150μm以上180μm以下である、請求項3に記載の清掃体。
【請求項5】
前記芯体の径方向での平均セル径Dyが200μm以上400μm以下である、請求項1に記載の清掃体。
【請求項6】
前記芯体の径方向での平均セル径Dyが250μm以上350μm以下である、請求項5に記載の清掃体。
【請求項7】
前記先端部は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面における単位面積当たりの個数が25個/mm2以上75個/mm2以下である、請求項1に記載の清掃体。
【請求項8】
前記先端部は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面における単位面積当たりの個数が25個/mm2以上60個/mm2以下である、請求項7に記載の清掃体。
【請求項9】
前記先端部の径が35μm以上45μm以下である、請求項1に記載の清掃体。
【請求項10】
被清掃体と、
請求項1に記載の清掃体であって、回転する前記被清掃体に接触して回転しつつ、前記被清掃体を清掃する清掃体と、を有する、
清掃装置。
【請求項11】
帯電体と、
請求項1に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有する、
帯電装置。
【請求項12】
被帯電体と、
前記被帯電体を帯電させる帯電体と、
請求項1に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有し、
前記被帯電体、前記帯電体及び前記清掃体が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられている、
組立体。
【請求項13】
感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電体と、
帯電した前記感光体を露光し静電荷像を形成する露光装置と、
前記感光体に形成された静電荷像を現像する現像装置と、
請求項1に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有する、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、清掃体、清掃装置、帯電装置、組立体及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、芯体と、芯体の外周面に短冊状の弾性部材を螺旋状に巻き付けて配置された弾性層とを有し、芯体の外周面に巻き付けられた状態における弾性層の螺旋幅方向中央部での厚みをt(mm)、芯体の外周面に巻き付ける前の短冊状の弾性部材の幅方向中央部での厚みをT(mm)としたとき、0.7<t/T<1.0を満たす清掃部材が開示されている。
【0003】
特許文献2には、芯体と、芯体の外周面に芯体の一端から他端にかけて螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層とを有し、発泡弾性層の表面に突出したセル骨格の先端部の円相当径が50μm以下であり、発泡弾性層の螺旋ピッチが5mm以下であり且つ螺旋角度が15°以下である清掃体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-014011号公報
【特許文献2】特開2021-157041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1>
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、短冊状の発泡弾性部材が螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、を有し、
前記発泡弾性層は、セルと、前記セル間に存在する隔壁であるセル骨格と、を有し、
前記セル骨格は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出した先端部を有し、且つ前記先端部の径が50μm以下であり、
前記セルは、前記芯体の径方向での平均セル径Dyと、前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxと、の比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下である清掃体。
<2>
前記比率Dy/Dxが1.4以上1.8以下である、<1>に記載の清掃体。
<3>
前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxが120μm以上210μm以下である、<1>に記載の清掃体。
<4>
前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxが150μm以上180μm以下である、<3>に記載の清掃体。
<5>
前記芯体の径方向での平均セル径Dyが200μm以上400μm以下である、<1>に記載の清掃体。
<6>
前記芯体の径方向での平均セル径Dyが250μm以上350μm以下である、<5>に記載の清掃体。
<7>
前記先端部は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面における単位面積当たりの個数が25個/mm2以上75個/mm2以下である、<1>に記載の清掃体。
<8>
前記先端部は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面における単位面積当たりの個数が25個/mm2以上60個/mm2以下である、<7>に記載の清掃体。
<9>
前記先端部の径が35μm以上45μm以下である、<1>に記載の清掃体。
<10>
被清掃体と、
<1>に記載の清掃体であって、回転する前記被清掃体に接触して回転しつつ、前記被清掃体を清掃する清掃体と、を有する、
清掃装置。
<11>
帯電体と、
<1>に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有する、
帯電装置。
<12>
被帯電体と、
前記被帯電体を帯電させる帯電体と、
<1>に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有し、
前記被帯電体、前記帯電体及び前記清掃体が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられている、
組立体。
<13>
感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電体と、
帯電した前記感光体を露光し静電荷像を形成する露光装置と、
前記感光体に形成された静電荷像を現像する現像装置と、
<1>に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有する、
画像形成装置。
【発明の効果】
【0007】
<1>、<2>又は<9>に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体が提供される。
<3>又は<4>に係る発明によれば、発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxが120μm以上210μm以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体が提供される。
<5>又は<6>に係る発明によれば、芯体の径方向での平均セル径Dyが200μm以上400μm以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体が提供される。
<7>又は<8>に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の単位面積当たりの個数が25個/mm2以上75個/mm2以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体が提供される。
<10>に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体を有する清掃装置に比べて、清掃体による被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃装置が提供される。
<11>に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体を有する帯電装置に比べて、清掃体による帯電体の清掃性能が長期に渡って優れる帯電装置が提供される。
<12>に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体を有する組立体に比べて、清掃体による帯電体の清掃性能が長期に渡って優れる組立体が提供される。
<13>に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体を有する画像形成装置に比べて、清掃体による帯電体の清掃性能が長期に渡って優れる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る清掃体の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る清掃体の一例を示す概略平面図である。
【
図3A】発泡弾性層の一例を共焦点顕微鏡にて撮影した画像である。
【
図3B】発泡弾性層の一例を走査電子顕微鏡にて撮影した画像である。
【
図4A】本実施形態に係る清掃体の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図4B】本実施形態に係る清掃体の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図4C】本実施形態に係る清掃体の製造方法の一例を示す工程図である。
【
図5】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図6】本実施形態に係る組立体の一例を示す概略構成図である。
【
図7】
図5及び
図6における帯電装置の周辺部分を拡大した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0010】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0012】
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。同じ機能及び作用を有する部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、その説明を省略する場合がある。
【0013】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
【0014】
<清掃体>
本実施形態に係る清掃体の構造を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る清掃体の一例を示す概略斜視図である。
図2は、本実施形態に係る清掃体の一例を示す概略平面図である。
図2は、
図1の平面図である。
【0015】
図1及び
図2に示す清掃体100は、芯体102と発泡弾性層104と接着層106とを備えた部材である。芯体102と発泡弾性層104とは、接着層106によって接着されている。
【0016】
芯体102は、棒状ないし円柱状の部材である。芯体102の直径は、2mm以上12mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましく、4mm以上8mm以下が更に好ましい。
【0017】
発泡弾性層104は、帯状の発泡弾性部材が螺旋状に巻き回されてなる層であり、芯体102の一端から他端にかけて、芯体102の外周面に間隔をもって螺旋状に配置された層である。
【0018】
清掃体100は、軸方向の端部に、被清掃体に対する清掃性能を示さなくてよい領域を有する場合がある。その場合、清掃体100において、上記領域である端部には、発泡弾性層104が配置されていなくてもよい。
【0019】
芯体102に螺旋状に巻き回された発泡弾性層104は、右巻きでもよく、左巻きでもよい。
【0020】
清掃体100は、発泡弾性層104を複数筋(例えば2筋)備えていてもよい。複数筋(例えば2筋)の発泡弾性層104は、複数本(例えば2本)の帯状の発泡弾性部材が芯体102の外周面に螺旋状に巻き回されてなる、互いに独立した層である。複数筋の発泡弾性層104は、互いに離間して配置されていてもよく、長手方向の辺を互いに接触して配置されていてもよい。独立した複数筋の発泡弾性層104を備えることにより、清掃体100の清掃性能が向上する。
【0021】
接着層106は、例えば、発泡弾性層104と略同一の幅及び長さを有する。清掃体100が発泡弾性層104を複数筋有する場合、接着層106は、複数筋の発泡弾性層104ごとに独立した複数筋の層であってもよく、複数筋の発泡弾性層104を載せた1筋の層であってもよい。
【0022】
次に、発泡弾性層104の表面性状を説明する。
図3Aは、発泡弾性層104の一例において、被清掃体との接触面の一部を共焦点顕微鏡にて上から撮影した画像である。
図3Bは、発泡弾性層104の一例において、露出面の一部を走査電子顕微鏡にて上から撮影した画像である。
図3AにおいてAは、発泡弾性層104のセル(つまり空孔)である。
図3AにおいてBは、発泡弾性層104のセル骨格(つまり隔壁)である。
図3AにおいてCは、発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部であり、点線で示す円が先端部の外接円である。
【0023】
セル骨格とは、発泡弾性層104のセル(空孔)の隔壁を構成している構造部である。発泡弾性層104の表面には、セル骨格の一部が突出しており、この突出した部分を先端部と称す。
【0024】
清掃体100は、発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm以下である。また、セルは、芯体102の径方向での平均セル径Dyと、発泡弾性層104の幅方向での平均セル径Dxと、の比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下である。
これにより、清掃体100による被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れ、つまり清掃性能の維持性に優れる。その理由は、下記のように推測される。
【0025】
比率Dy/Dxが1.2以上であるということは、セルが芯体102の径方向に向かって縦長の形状であることを意味する。セルが芯体102の径方向に向かって縦長であると、発泡弾性層104は、芯体の径方向においてはセル骨格のセルに対する比率が低くなっていると言え、逆に発泡弾性層104の幅方向においてはセル骨格のセルに対する比率が高くなっていると言える。つまり、発泡弾性層104の被清掃体との接触面においてはセル骨格の比率が高くなっている。接触面でのセル骨格の比率が高い構造を取ることで、発泡弾性層104における外径の収縮やヤング率の低下が抑制され、清掃体100を長期に渡って繰り返し清掃に使用した場合でも、発泡弾性層104の劣化が抑制され、清掃性能が高いまま維持される。
【0026】
また、セルが芯体102の径方向に向かって縦長であると、セルは、芯体の径方向においては径が大きく、逆に発泡弾性層104の幅方向においては径が小さい。つまり、発泡弾性層104の被清掃体との接触面においてはセルの開口面積が狭くなっていると言える。接触面でのセルの開口面積が小さいことで、汚染物がセル内に進入しづらくなり、セル内での汚染物の蓄積による発泡弾性層104のヤング率の低下が抑制される。その結果、清掃体100を長期に渡って繰り返し清掃に使用した場合でも、発泡弾性層104の劣化が抑制され、清掃性能が高いまま維持される。
【0027】
なお、発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm以下であることは、接触面にとがった構造部があることを意味し、とがった構造部によって被清掃体の汚れをかきとる効果が高くなる。
さらに、セルが芯体102の径方向に向かって縦長であり、つまり発泡弾性層104の幅方向においてはセル骨格のセルに対する比率が高くなっているため、突出したセル骨格の先端部の個数も被清掃体との接触面において多くなっている。つまり、発泡弾性層104は、被清掃体との接触面にとがった構造部を多数有していると言える。その結果、被清掃体の汚れをかきとる効果がより高まる。また、とがった構造部を多数有するため、清掃体100を長期に渡って繰り返し清掃に使用し、とがった構造部の一部が劣化した場合でも、高いかきとり効果を備えた構造部が多数残るため、清掃性能が高いまま維持される。
【0028】
一方で、比率Dy/Dxが2.1超となり、つまりセルが芯体102の径方向に向かって縦長になり過ぎると、清掃体100が被清掃体に接触する際に、深さ方向(つまり芯体102の径方向)の圧縮に対して発泡弾性層104の弾性機能が損なわれ、発泡弾性層104は見かけ上固くなる。この場合、発泡弾性層104と被清掃体との接触点数が減り、清掃性能が低下する。これに対し、比率Dy/Dxを2.1以下とし、セルが芯体102の径方向に向かって縦長になり過ぎない構造を取ることで、圧縮に対する発泡弾性層104の弾性機能が良好に発揮され、高い清掃性能が発揮される。
【0029】
以上の通り、本実施形態では、清掃体100による被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れ、つまり清掃性能の維持性に優れる。
【0030】
・先端部の径
発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径は、被清掃体の汚れをかきとる効果の観点、及び接着層106に対するアンカー効果の観点から、50μm以下である。先端部の径は、48μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。
発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径は、当該先端部の強度の観点から、30μm以上が好ましく、33μm以上がより好ましく、35μm以上が更に好ましい。
【0031】
発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径の求め方は、下記のとおりである。
発泡弾性層104を製造する帯状の発泡弾性部材を用意するか、又は、清掃体100から剥離した発泡弾性層104を用意する。
共焦点顕微鏡(例えば、OPTELICS HYBRID、レーザーテック株式会社)を用いて、発泡弾性層104の被清掃体との接触面を上から観察する。発泡弾性層104の幅方向中央部において、セル骨格が突出している部位(つまり先端部)を選び、その先端部に焦点を合わせ撮像する。撮像する箇所は、発泡弾性層104の長さ方向に一端近傍から他端近傍までおよそ等間隔に10箇所である。撮像した画像を画像解析し、セル骨格の先端部の外接円の直径を求め、10箇所を算術平均し、これをセル骨格の先端部の径とする。清掃体100が複数筋の発泡弾性層104を有する場合、筋ごとにセル骨格の先端部の径を求める。
【0032】
発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径を50μm以下に制御する方法としては、例えば、芯体102に巻き回す前の発泡弾性層104を薄切り加工する際に表面に研削加工を行う方法が挙げられる。
【0033】
・比率Dy/Dx
発泡弾性層104のセルは、芯体102の径方向での平均セル径Dyと、発泡弾性層104の幅方向での平均セル径Dxと、の比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下である。
比率Dy/Dxが1.2未満であると、長期に渡る繰り返し使用により清掃性能が劣化する。比率Dy/Dxが2.1超であると、発泡弾性層104の弾性機能が損なわれ、清掃性能が低下する。
比率Dy/Dxの値は、高い清掃性能を長期にわたって維持する観点から、1.4以上1.8以下が好ましい。
【0034】
芯体102の径方向での平均セル径Dy、及び発泡弾性層104の幅方向での平均セル径Dxの求め方は、下記のとおりである。
発泡弾性層104を製造する帯状の発泡弾性部材を用意するか、又は、清掃体100から剥離した発泡弾性層104を用意する。
芯体102の径方向での平均セル径Dyの測定は、まず発泡弾性層104における長手方向に直交する方向の断面を、共焦点顕微鏡(例えば、OPTELICS HYBRID、レーザーテック株式会社)を用いて観察する。撮像した画像を画像解析し、任意のセルを選択して、このセルの芯体102の径方向(つまり発泡弾性層104の厚さ方向)の最大長さを求める。10個のセルについて測定を行い、その算術平均値を平均セル径Dyとする。
発泡弾性層104の幅方向での平均セル径Dxの測定は、まず発泡弾性層104における厚さに直交する方向の断面を、共焦点顕微鏡(例えば、OPTELICS HYBRID、レーザーテック株式会社)を用いて観察する。撮像した画像を画像解析し、任意のセルを選択して、このセルの発泡弾性層104の幅方向の最大長さを求める。10個のセルについて測定を行い、その算術平均値を平均セル径Dxとする。
【0035】
比率Dy/Dxを上記の範囲に制御する方法としては、例えば、芯体102に巻き回す前の発泡弾性層104に対し、発泡弾性層104の幅方向の両側から、加熱しながら圧縮変形を加える方法(具体例としては加熱した金属板で発泡弾性層を両側から挟んで圧縮する方法)が挙げられる。また、発泡弾性層104の長手方向の両端側に引き伸ばす方法、発泡弾性層104の製造時における発泡工程においてセルが発泡弾性層104の厚さ方向に縦長の形状となるよう発泡を制御する方法も挙げられる。
【0036】
発泡弾性層104の幅方向での平均セル径Dxは、被清掃体の清掃性能に優れる観点から、120μm以上210μm以下であることが好ましく、150μm以上180μm以下であることがより好ましい。
【0037】
芯体102の径方向での平均セル径Dyは、被清掃体の清掃性能に優れる観点から、200μm以上400μm以下であることが好ましく、250μm以上350μm以下であることがより好ましい。
【0038】
・先端部の個数
発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の数は、発泡弾性層104が接着層106から剥がれにくい観点と被清掃体の清掃性能に優れる観点とから、25個/mm2以上が好ましく、40個/mm2以上がより好ましい。
発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の数は、被清掃体への固着を抑制する観点から、75個/mm2以下が好ましく、60個/mm2以下がより好ましい。
発泡弾性層104の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の数は、数値範囲としては、25個/mm2以上75個/mm2以下が好ましく、25個/mm2以上60個/mm2以下がより好ましく、40個/mm2以上60個/mm2以下がさらに好ましい。
【0039】
芯体102の径方向の断面における発泡弾性層104の幅Xは、発泡弾性層104が接着層106から剥がれにくい観点と被清掃体の清掃性能に優れる観点とから、4mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、8mm以上が更に好ましい。
芯体102の径方向の断面における発泡弾性層104の幅Xは、巻き付け加工を安定させる観点から、14mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下が更に好ましい。
【0040】
発泡弾性層104の厚さYは、被清掃体の清掃性能に優れる観点から、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、4mm以上が更に好ましい。
発泡弾性層104の厚さYは、巻き付け加工を安定させる観点から、8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、6mm以下が更に好ましい。
【0041】
発泡弾性層104の螺旋角度θは、発泡弾性層104が接着層106から剥がれにくい観点と被清掃体の清掃性能に優れる観点とから、15°超45°以下であることが好ましい。螺旋角度θとは、
図2に示すとおり、発泡弾性層104の長手方向P(螺旋方向)と芯体102の軸方向Qとが交差する角度(鋭角)を意味する。
螺旋角度θが15°超であると、被清掃体との接触時に抵抗を受けにくく、発泡弾性層104の剥がれが抑制される。また、螺旋角度θが15°超であると、発泡弾性層104の巻数が比較的多く、被清掃体の清掃性能に優れる。これらの観点から、螺旋角度θは、18°以上がより好ましく、20°以上が更に好ましい。
螺旋角度θが45°以下であると、発泡弾性層104の変形及び復元力が抑えられ、発泡弾性層104の剥がれが抑制される。この観点から、螺旋角度θは、40°以下がより好ましく、35°以下が更に好ましい。
【0042】
芯体102に対する発泡弾性層104の巻数は、被清掃体の清掃性能に優れる観点と清掃体100が被清掃体に従動回転しやすい観点とから、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上が更に好ましい。発泡弾性層104の巻数の上限は、芯体102の長さによるため特に制限されない。
【0043】
芯体102に対する発泡弾性層104の被覆率は、被清掃体の清掃性能に優れる観点から、30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。
芯体102に対する発泡弾性層104の被覆率は、発泡弾性層104の表面に付着した付着物が被清掃体へ再移行することを抑制する観点から、70%以下が好ましく、65%以下がより好ましく、55%以下が更に好ましい。
被覆率とは、{発泡弾性層104の幅W1÷(発泡弾性層104の幅W1+発泡弾性層104の間隔W2)}である。発泡弾性層104の幅W1及び間隔W2とは、
図2に示すとおり、芯体102の軸方向Qに沿った、発泡弾性層104の長さ及び発泡弾性層104間の長さを意味する。
【0044】
発泡弾性層104の幅W1は、5mm以上25mm以下が好ましく、6mm以上20mm以下がより好ましく、8mm以上15mm以下が更に好ましい。
【0045】
以下、芯体102、発泡弾性層104及び接着層106の材料を説明する。
【0046】
[芯体102]
芯体102の材料としては、金属、合金、樹脂などが挙げられる。金属又は合金としては、例えば、鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、アルミニウム、ニッケル等の金属;ステンレス鋼等の合金;が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。樹脂は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0047】
芯体102は、その表面が表面処理されていてもよい。芯体102が金属で構成される場合、メッキ処理を施すのが望ましい。芯体102が導電性を有しない材質(例えば樹脂)で構成される場合、メッキ処理等の導電化処理を行ってもよい。
【0048】
[発泡弾性層104]
発泡弾性層104は、100Paの外力印加により変形しても元の形状に復元する層であることが好ましい。
【0049】
発泡弾性層104の材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン等の発泡性の樹脂;シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、塩素化ポリイソプレン、イソプレン、スチレン-ブタジエンゴム、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム等のゴム材料;などが挙げられる。これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの材料には、発泡剤、発泡助剤、整泡剤、触媒、硬化剤、可塑剤、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤などを加えてもよい。
【0050】
発泡弾性層104は、擦れによって被清掃体の表面に傷を付けない観点、及び長期にわたり千切れや破損の発生を抑制する観点から、引っ張りに強い発泡ポリウレタンであることが望ましい。
【0051】
発泡ポリウレタンとしては、例えば、ポリオール(例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等)と、イソシアネート(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等)との反応物が挙げられ、さらに鎖延長剤(1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン)を反応させた反応物であってもよい。ポリウレタンの発泡は、例えば、水又はアゾ化合物(例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等)等の発泡剤を用いて行われるのが一般的である。発泡ポリウレタンには、発泡助剤、整泡剤、触媒などを加えてもよい。
【0052】
発泡弾性層104の密度は、60kg/m3以上100kg/m3以下が好ましく、65kg/m3以上95kg/m3以下がより好ましく、70kg/m3以上90kg/m3以下が更に好ましい。
【0053】
発泡弾性層104のセル数は、80個/25mm以上105個/25mm以下が好ましく、85個/25mm以上100個/25mm以下がより好ましく、90個/25mm以上95個/25mm以下が更に好ましい。発泡弾性層104のセル数は、JIS K 6400-1:2004(附属書1)に従って求める。
【0054】
[接着層106]
接着層106の材料は、芯体102と発泡弾性層104とを接着し得るものであれば、特に制限されない。接着層106としては、例えば、両面テープ、接着剤が挙げられる。
【0055】
[清掃体100の製造方法]
図4A、
図4B及び
図4Cは、清掃体100の製造方法の一例を示す工程図である。
【0056】
まず、発泡弾性材料(例えば、発泡ポリウレタン)を目的の厚さに薄切りし、発泡弾性シート(例えば、発泡ポリウレタンシート)を得る。
発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径を50μm以下に制御するために、例えば、発泡弾性材料を薄切り加工する際に表面に研削加工を行う。また、比率Dy/Dxを上記の範囲に制御するため、例えば、発泡弾性層104に対し発泡弾性層の幅方向の両側から、加熱した金属板で挟んで圧縮変形する。
【0057】
次に、発泡弾性シートの片面に両面テープを貼り付ける。両面テープ付き発泡弾性シートから、目的とする長さ及び幅を有する帯状の発泡弾性部材を切り出す。両面テープは、発泡弾性シートから帯状の発泡弾性部材を切り出した後に片面に貼り付けてもよい。以上の処理によって、帯状の発泡弾性部材100Cの片面に両面テープ100Dが付いた帯状の部材(
図4A参照)を得る。
【0058】
棒状の部材である芯体100Aを用意する。芯体100Aが、清掃体100の芯体102に当たる。
【0059】
発泡弾性部材100Cの長さは、芯体100Aの軸方向長さと、発泡弾性部材100Cの巻き付け角度(清掃体100における螺旋角度θ)と、発泡弾性部材100Cを巻き付ける際の張力により決定される。
【0060】
次に、両面テープ100Dが付いた面を上方にして発泡弾性部材100Cを台上に置き、両面テープ100Dの剥離紙の一端を剥がす。次に、
図4Bに示すように、剥離紙を剥離した両面テープ100D上に芯体100Aの一端部を載せる。この際、清掃体100における螺旋角度θが実現されるように、芯体100Aと発泡弾性部材100Cの位置を決める。
【0061】
次に、両面テープ100Dの剥離紙を剥がしながら、芯体100Aを回転させて、芯体100Aの外周面に発泡弾性部材100Cを螺旋状に巻き付けていき(
図4C参照)、芯体100Aの外周面に螺旋状に発泡弾性層100B(清掃体100における発泡弾性層104)を配置する。
【0062】
清掃体100における発泡弾性層104の復元力を低減し、発泡弾性層104の長手方向端部が芯体102から剥がれることを抑制する観点から、発泡弾性部材100Cの弾性変形(該部材の厚さの変化)の度合を抑えて発泡弾性部材100Cを芯体100Aに巻き付けることが好ましい。具体的には、発泡弾性部材100Cの厚さに応じて、発泡弾性部材100Cを巻き付ける角度及び発泡弾性部材100Cを巻き付けるときの張力を制御することが望ましい。
【0063】
発泡弾性部材100Cを芯体100Aに巻き付ける際に張力を付与する場合、発泡弾性部材100Cと両面テープ100Dとの間に隙間が生じない程度の張力にする。具体的には、発泡弾性部材100Cの長さを100%超105%以下にする張力が望ましい。張力を付与し過ぎると、清掃体100における発泡弾性層104の復元力を抑制しにくくなるし、引っ張り永久伸びが大きくなり、清掃に必要な発泡弾性層104の弾性力が落ちる傾向がある。
【0064】
発泡弾性部材100Cを芯体100Aに巻き付けると、発泡弾性部材100Cが伸びる傾向がある。この伸びは、発泡弾性部材100Cの厚さ方向で異なり、最外郭が最も伸びる。この伸びは、発泡弾性部材100Cが芯体100Aに巻き付く曲率半径と発泡弾性部材100Cの厚さにより制御され、発泡弾性部材100Cが芯体100Aに巻き付く曲率半径は芯体100Aの外径及び発泡弾性部材100Cの巻き付け角度により制御される。具体的には、例えば、発泡弾性部材100Cの最外郭に対して清掃体100における発泡弾性層104の最外郭が105%程度になる伸びとすることが望ましい。伸び過ぎると、清掃体100における発泡弾性層104の弾性力が落ちることがある。
【0065】
発泡弾性部材100Cが芯体100Aに巻き付く曲率半径は、{(芯体外径/2)+0.2mm}以上{(芯体外径/2)+8.5mm}以下が好ましく、より好ましくは{(芯体外径/2)+0.5mm}以上{(芯体外径/2)+7.0mm}以下である。
【0066】
<清掃装置>
本実施形態に係る清掃装置は、清掃体と被清掃体とを有する。被清掃体は回転する部材であり、清掃体は、回転する被清掃体に接触して回転しつつ被清掃体を清掃する部材である。清掃体として、本実施形態に係る清掃体が適用される。
【0067】
本実施形態に係る清掃装置は、例えば、電子写真方式の画像形成装置に着脱されるカートリッジ式の清掃装置である。被清掃体としては、例えば、帯電体、転写ロール、転写ベルト、搬送ベルトが挙げられる。これら被清掃体の表面に付着したトナー、紙粉などが清掃体によって除去される。
【0068】
<画像形成装置、組立体、帯電装置>
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図6は、本実施形態に係る組立体の一例を示す概略構成図である。
図7は、
図5及び
図6における帯電装置の周辺部分を拡大した概略構成図である。
【0069】
図5に示す画像形成装置10は、タンデム方式且つ直接転写方式のカラーの画像形成装置である。画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の色毎のプロセスカートリッジ18Y、18M、18C、18Kが備えられている。
【0070】
プロセスカートリッジ18Y、18M、18C、18Kは、画像形成装置10に着脱可能な組立体であり、本実施形態に係る組立体の一例である。プロセスカートリッジ18Y、18M、18C、18Kは、例えば
図5及び
図6に示すように、感光体12、帯電体14、現像装置19を有する。
【0071】
感光体12は、モータ(図示せず)により回転駆動される。感光体12は、感光体12の表面に配置された帯電体14によって表面が帯電される。感光体12は、帯電した後、感光体12の回転方向下流側において露光装置16から出射されるレーザービームによって露光が施され、感光体12上に静電荷像が形成される。感光体12上に形成された静電荷像は、現像装置19によって現像されトナー像となる。各色の感光体12の表面に帯電、露光及び現像の各工程が行われ、各色の感光体12の表面には、それぞれの色に対応したトナー像が形成される。
【0072】
感光体12上に形成されたトナー像は、感光体12と転写部材22とが搬送ベルト20を介して接する箇所にて、搬送ベルト20上を搬送される記録媒体24へ転写される。転写部材22は、例えば、導電性支持体の外周面に導電性弾性層を備えるロールであり、導電性支持体は画像形成装置10内で回転自在に支持されている。搬送ベルト20は、支持ロール40及び42によって張力が付与されつつ内周面から支持されており、記録媒体24を搬送する。記録媒体24は、収納容器28から取出ローラ30により取り出され、搬送ロール32及び34により搬送ベルト20まで搬送される。
【0073】
各色のトナー像は、4つのプロセスカートリッジの並び順、即ち、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に記録媒体24へ転写される。
【0074】
トナー像が転写された記録媒体24は、定着装置64へと搬送され、定着装置64によって加熱及び加圧されてトナー像が記録媒体24上に定着される。その後、片面プリントの場合には、トナー像が定着された記録媒体24は、排出ロール66によって画像形成装置10の上部に設けられた排出部68上に排出される。両面プリントの場合には、トナー像が第一面(表面)に定着された記録媒体24は、排出ロール66の逆回転によって、両面プリント用の搬送路70に搬送される。その後、記録媒体24は、搬送路70に配設された搬送ロール72によって、記録媒体24の表裏を反転した状態で、再度、搬送ベルト20上へ搬送され、記録媒体24の第二面(裏面)に感光体12上からトナー像が転写される。そして、トナー像が第二面(裏面)に転写された記録媒体24は、定着装置64へと搬送され、定着装置64によってトナー像が記録媒体24上に定着される。その後、両面にトナー像が定着された記録媒体24は、排出ロール66によって排出部68上に排出される。
【0075】
トナー像の転写が終了した後の感光体12は、感光体12が1回転する毎に、清掃ブレード80によって感光体12表面の残留トナーや紙粉などが除去され、次の画像形成に備える。
【0076】
帯電体14は、例えば
図7に示すように、支持体14Aの外周面に導電性弾性層14Bを備えるロール部材である。支持体14Aは、導電性を有する円筒体又は円柱体である。支持体14Aは画像形成装置内で回転自在に支持されている。導電性弾性層14Bは、支持体14Aの外周面に円筒状に積層されている。導電性弾性層14Bは、例えば、発泡又は無発泡のゴム材料中に導電剤を分散させた層である。
【0077】
帯電体14の感光体12と反対側には、帯電体14の清掃体100が、帯電体14に接触して配置されている。つまり、帯電体14と清掃体100とが帯電装置(ユニット)を構成している(
図6及び
図7参照)。清掃体100として、本実施形態に係る清掃体が用いられる。清掃体100は、例えば、帯電体14に常時接触し帯電体14に従動して回転する部材、帯電体14に清掃時のみ接触し帯電体14に従動して回転する部材、帯電体14に清掃時のみ接触し別駆動により回転する部材、のいずれでもよい。
【0078】
帯電体14は、例えば
図7に示すように、支持体14Aの両端へ荷重Fがかけられることで感光体12へ押付けられる。これにより、導電性弾性層14Bが弾性変形して感光体12の外周面に沿ったニップ部を形成する。
清掃体100は、例えば
図7に示すように、芯体102の両端へ荷重F’がかけられることで帯電体14へ押付けられる。これにより、発泡弾性層104が弾性変形して帯電体14の外周面に沿ったニップ部を形成する。
【0079】
図7に示す構成例においては、感光体12は、図示しないモータによって矢印X方向に回転駆動され、感光体12の回転により帯電体14が矢印Y方向に従動回転する。また、帯電体14の回転により清掃体100が矢印Z方向に従動回転する。
【0080】
以上、
図5、
図6及び
図7を用いて、本実施形態に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジの例を説明したが、本実施形態はこれに限定されない。
本実施形態に係る画像形成装置は、
図5に示すタンデム方式且つ直接転写方式に限られず、中間転写方式等の周知の画像形成装置が適用される。また、本実施形態に係る画像形成装置は、内部に備える装置や部材をカートリッジ化せず、それぞれを直接配置した形態であってもよい。
帯電装置を備えたプロセスカートリッジは、帯電装置(帯電体と清掃体とのユニット)を備え、そのほかに感光体、露光装置、現像装置及び転写装置から選択される少なくとも一つを備えたプロセスカートリッジとしてよい。
【0081】
本実施形態に係る清掃体によって表面が清掃される被清掃体は、帯電体に限られない。被清掃体としては、ほかに、感光体、転写部材、用紙搬送ベルト、中間転写方式の二次転写部材(例えば二次転写ロール)、中間転写方式の中間転写体(例えば中間転写ベルト)等が挙げられる。これら被清掃体とこれに接触して配置される清掃体とをユニット化し、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジとしてもよい。
【0082】
以下、本実施形態に係る清掃体によって表面が清掃される被清掃体の一例として、帯電体(即ち、本実施形態に係る帯電装置が備える帯電体)の実施形態例を詳細に説明する。
【0083】
帯電体は、例えば、支持体と導電性弾性層とを有する。導電性弾性層は、単層でもよく、複数の層が積層した積層体でもよい。導電性弾性層は、その表面が表面処理された層でもよく、導電性弾性層の外周面にさらに、高分子材料を含む表面層が積層されていてもよい。
【0084】
支持体の材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が挙げられ、表面がメッキ処理されていてもよい。導電性を有しない材質の場合、メッキ処理等の導電化処理を行ってもよい。
【0085】
導電性弾性層は、ゴム等の弾性材と、カーボンブラック、イオン導電剤等の導電剤とを含み、例えば、弾性材中に導電剤が分散して配合されている。導電性弾性層は、さらに、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤、滑剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)などを含んでもよい。導電性弾性層は、上記材料の混合物を、導電性の支持体の外周面に被覆することにより形成される。弾性材は発泡体であってもよく、この場合、導電性弾性層は導電性発泡弾性層となる。
【0086】
導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えば、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム及びこれらの混合物が挙げられる。弾性材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤が挙げられる。電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ-酸化アンチモン固溶体、酸化スズ-酸化インジウム固溶体等の導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理した物;などの粒子ないし粉末が挙げられる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のオニウム類の過塩素酸塩又は塩素酸塩;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩又は塩素酸塩;などが挙げられる。
【0088】
導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。導電剤の配合量は、特に制限はないが、電子導電剤の場合は、弾性材100質量部に対して1質量部以上60質量部以下の範囲であることが望ましく、イオン導電剤の場合は、弾性材100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましい。
【0089】
帯電体の表面には、高分子材料を含む表面層を設けてもよい。表面層に含まれる高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロン、シリコーン系樹脂等が挙げられる。上記高分子材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0090】
表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整してもよい。導電性材料としては、カーボンブラック、導電性金属酸化物粒子、イオン導電剤等が挙げられる。導電性材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。表面層は、アルミナ、シリカ等の絶縁性粒子を含んでもよい。
【実施例0091】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。以下の説明において、合成、処理、製造などは、特に断りのない限り、室温(25℃±3℃)で行った。
【0092】
<帯電ロールの作製>
-導電性弾性層の形成-
・エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル共重合ゴム(GECHRON3106、日本ゼオン株式会社) 100部
・カーボンブラック(アサヒサーマル、旭カーボン株式会社) 25部
・ケッチェンブラックEC(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)8部
・イオン導電剤(過塩素酸リチウム) 1部
・硫黄(200メッシュ、鶴見化学工業株式会社) 1部
・加硫促進剤(ノクセラーDM、大内新興化学工業株式会社) 2部
・加硫促進剤(ノクセラーTT、大内新興化学工業株式会社) 0.5部
上記の材料をオープンロールで混練りし、弾性層形成用組成物を得た。SUS416を材質とする直径9mm、全長370mmの支持体の外周面を、厚さ1.5mmの弾性層形成用組成物で被覆し、内径12.0mmの円筒型の金型に入れ、170℃で30分間加硫した。金型から取り出した後、導電性弾性層の外周面を研磨し、弾性ロールを得た。
【0093】
-表面層の形成-
・共重合ナイロン(アミランCM8000、東レ株式会社) 20部
・アンチモンドープ酸化スズ(SN-100P、石原産業株式会社)30部
・メタノール 500部
・ブタノール 240部
上記の材料をビーズミルにて分散した。得られた分散液を弾性ロールの外周面に浸漬塗布し、140℃で15分間加熱乾燥し、厚さ4μmの表面層を形成した。これにより帯電ロールを得た。
【0094】
<クリーニングロールの作製>
[実施例1]
芯体として、SUM24EZを材質とする直径5.0mm、全長360mmの金属芯体を用意した。
【0095】
発泡弾性層の材料として、発泡ウレタン(FHS、株式会社イノアックコーポレーション)を用意した。
発泡ウレタンに対して、幅方向の両側から加熱した金属板で挟んで圧縮加工を行い、芯体の径方向での平均セル径Dyと、発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxと、の比率Dy/Dxを調整した。
さらに、この発泡ウレタンを目的とする厚さに薄切り加工し、且つ表面に研削加工を行って、発泡ウレタンシートを得た。
発泡ウレタンシートに、厚さ0.05mmの両面テープ(No.5605、日東電工株式会社)を貼り付けた。
両面テープ付き発泡ウレタンシートを目的とする長さ及び幅に切り出し、両面テープ付き帯状部材を得た。
【0096】
両面テープ付き帯状部材を、両面テープの離型紙が上に向くよう水平な台上に置き、離型紙を取り除きながら、帯状部材の全長が0%~5%程度伸びるように両面テープ付き帯状部材に張力を付与しつつ、台上に金属芯体を転がして、金属芯体に両面テープ付き帯状部材を巻き付け、クリーニングロールを得た。
なお、発泡弾性層の先端部の径、先端部の個数、平均セル径Dx、平均セル径Dy、比Dy/Dx、発泡弾性層の幅、厚さ、螺旋角度を、表1に示す。各物性の測定は、前述の方法により行った。
【0097】
[実施例2]
発泡弾性層に対する幅方向の圧縮加工によるDx、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0098】
[実施例3]
発泡弾性層に対し、厚み方向の両側から引張りながら、幅方向の両側から加熱した金属板で挟んで圧縮加工を行うことで、Dx、Dy、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0099】
[実施例4]
発泡弾性層に対する幅方向の圧縮加工によるDx、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0100】
[実施例5]
発泡弾性層に対する幅方向の圧縮加工によるDx、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0101】
[実施例6]
発泡弾性層の材料として発泡メラミン(バソテクトW、株式会社イノアックコーポレーション)を用い、発泡弾性層に対する幅方向の圧縮加工によるDx、Dy、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0102】
[実施例7]
発泡弾性層に対する幅方向の圧縮加工および厚み方向の引張りによるDx、Dy、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例3と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0103】
[実施例8]
発泡弾性層に対し、厚み方向の両側から圧縮しながら、幅方向の両側から加熱した金属板で挟んで圧縮加工を行うことで、Dy、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0104】
[比較例1]
圧縮加工によるDy/Dxの制御をしなかった以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0105】
[比較例2]
発泡弾性層の材料を別の発泡ウレタン(EP70、株式会社イノアックコーポレーション)に変更し、圧縮加工によるDy/Dxの制御をしなかった以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0106】
[比較例3]
発泡弾性層に対する幅方向の圧縮加工によるDx、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0107】
[比較例4]
発泡弾性層に対する幅方向の圧縮加工によるDx、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0108】
[比較例5]
発泡弾性層の材料を別の発泡ポリウレタン(EP70、株式会社イノアックコーポレーション)に変更し、発泡弾性層に対する幅方向の圧縮加工によるDx、Dy/Dxの制御を表1に示す値となるように変更し、両面テープ付き帯状部材を金属芯体に巻き付けた後にロール全体の外周面を0.1mm研磨加工した以外は、実施例1と同様にしてクリーニングロールを得た。
【0109】
<帯電装置の作製>
帯電ロールと、実施例又は比較例のいずれかのクリーニングロールとを組み合わせて、帯電装置を組み立てた。
【0110】
<性能評価>
[初期清掃性能]
電子写真方式の画像形成装置(Apeos C7070、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社)のドラムカートリッジに、クリーニングロールと帯電ロールとを接触配置した。温度32℃且つ相対湿度85%の環境で、A3サイズの紙に、画像濃度100%で、長さ(紙の搬送方向)320mm×幅30mmの帯状の画質パターンを5万枚出力した。
帯電ロール表面の、感光体上の画質パターン形成位置に対向する位置を、共焦点レーザ顕微鏡(OLS1100、オリンパス株式会社)で観察した。観察した領域1μm2において付着物が被覆している面積を下記のとおり分類した。表1に結果を示す。
【0111】
G0 :付着物が10%以下の範囲で見られる。
G0.5:付着物が10%超20%以下の範囲で見られる。
G1 :付着物が20%超30%以下の範囲で見られる。
G2 :付着物が30%超40%以下の範囲で見られる。
G3 :付着物が40%超50%以下の範囲で見られる。
【0112】
[清掃性能の維持性]
清掃性能の評価後さらに、温度10℃且つ相対湿度15%の環境で、上記と同一の画質パターンを15万枚出力し、同様に帯電ロール表面を観察し、上記と同じ基準で清掃性能を分類した。表1に結果を示す。
【0113】
【0114】
表1に示す通り、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径と、発泡弾性層のセル径の比率Dy/Dxと、が本実施形態の要件を満たす各実施例では、これらのいずれか一方または両方の要件を満たさない比較例に比べ、清掃維持性が向上することが確認された。
【0115】
本実施形態は、以下の態様を含む。
(((1)))
芯体と、
前記芯体の外周面に、前記芯体の一端から他端にかけて、短冊状の発泡弾性部材が螺旋状に巻き回されて配置された発泡弾性層と、を有し、
前記発泡弾性層は、セルと、前記セル間に存在する隔壁であるセル骨格と、を有し、
前記セル骨格は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出した先端部を有し、且つ前記先端部の径が50μm以下であり、
前記セルは、前記芯体の径方向での平均セル径Dyと、前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxと、の比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下である清掃体。
(((2)))
前記比率Dy/Dxが1.4以上1.8以下である、(((1)))に記載の清掃体。
(((3)))
前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxが120μm以上210μm以下である、(((1)))又は(((2)))に記載の清掃体。
(((4)))
前記発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxが150μm以上180μm以下である、(((3)))に記載の清掃体。
(((5)))
前記芯体の径方向での平均セル径Dyが200μm以上400μm以下である、(((1)))~(((4)))のいずれか1項に記載の清掃体。
(((6)))
前記芯体の径方向での平均セル径Dyが250μm以上350μm以下である、(((5)))に記載の清掃体。
(((7)))
前記先端部は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面における単位面積当たりの個数が25個/mm2以上75個/mm2以下である、(((1)))~(((6)))のいずれか1項に記載の清掃体。
(((8)))
前記先端部は、前記発泡弾性層の被清掃体との接触面における単位面積当たりの個数が25個/mm2以上60個/mm2以下である、(((7)))に記載の清掃体。
(((9)))
前記先端部の径が35μm以上45μm以下である、(((1)))~(((8)))のいずれか1項に記載の清掃体。
(((10)))
被清掃体と、
(((1)))~(((9)))のいずれか1項に記載の清掃体であって、回転する前記被清掃体に接触して回転しつつ、前記被清掃体を清掃する清掃体と、を有する、
清掃装置。
(((11)))
帯電体と、
(((1)))~(((9)))のいずれか1項に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有する、
帯電装置。
(((12)))
被帯電体と、
前記被帯電体を帯電させる帯電体と、
(((1)))~(((9)))のいずれか1項に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有し、
前記被帯電体、前記帯電体及び前記清掃体が装置本体に一体に着脱可能に組み立てられている、
組立体。
(((13)))
感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電体と、
帯電した前記感光体を露光し静電荷像を形成する露光装置と、
前記感光体に形成された静電荷像を現像する現像装置と、
(((1)))~(((9)))のいずれか1項に記載の清掃体であって、回転する前記帯電体に接触して回転しつつ、前記帯電体を清掃する清掃体と、を有する、
画像形成装置。
【0116】
(((1)))、(((2)))又は(((9)))に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体が提供される。
(((3)))又は(((4)))に係る発明によれば、発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxが120μm以上210μm以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体が提供される。
(((5)))又は(((6)))に係る発明によれば、芯体の径方向での平均セル径Dyが200μm以上400μm以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体が提供される。
(((7)))又は(((8)))に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の単位面積当たりの個数が25個/mm2以上75個/mm2以下の範囲外である清掃体に比べて、被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃体が提供される。
(((10)))に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体を有する清掃装置に比べて、清掃体による被清掃体の清掃性能が長期に渡って優れる清掃装置が提供される。
(((11)))に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体を有する帯電装置に比べて、清掃体による帯電体の清掃性能が長期に渡って優れる帯電装置が提供される。
(((12)))に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体を有する組立体に比べて、清掃体による帯電体の清掃性能が長期に渡って優れる組立体が提供される。
(((13)))に係る発明によれば、発泡弾性層の被清掃体との接触面に突出したセル骨格の先端部の径が50μm超である清掃体、または芯体の径方向での平均セル径Dyと発泡弾性層の幅方向での平均セル径Dxとの比率Dy/Dxが1.2以上2.1以下の範囲外である清掃体を有する画像形成装置に比べて、清掃体による帯電体の清掃性能が長期に渡って優れる画像形成装置が提供される。
10 画像形成装置、10A 装置本体、12 感光体、14 帯電体、14A 支持体、14B 導電性弾性層、16 露光装置、19 現像装置、20 搬送ベルト、22 転写部材、24 記録媒体、64 定着装置、66 排出ロール、68 排出部、70 搬送路、72 搬送ロール、80 清掃ブレード
100 清掃体、102 芯体、104 発泡弾性層、106 接着層
100A 芯体、100B 発泡弾性層、100C 発泡弾性部材、100D 両面テープ