(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021912
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】レーザー干渉計
(51)【国際特許分類】
G01B 9/02056 20220101AFI20240208BHJP
G01B 9/02015 20220101ALI20240208BHJP
G01P 3/36 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01B9/02056
G01B9/02015
G01P3/36 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125103
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 耕平
【テーマコード(参考)】
2F064
【Fターム(参考)】
2F064AA01
2F064CC01
2F064EE01
2F064FF01
2F064GG22
2F064GG38
2F064GG49
2F064HH03
(57)【要約】
【課題】振動素子の振動条件によらず、測定対象物に由来するドップラー信号を高精度に復調することができるレーザー干渉計を提供すること。
【解決手段】レーザー光を射出する光源と、駆動信号により駆動する振動素子を備え、レーザー光に変調信号を重畳させる光変調部と、対象物に由来するサンプル信号および変調信号を含むレーザー光を受光し、受光信号を出力する受光部と、基準信号に基づいて受光信号からサンプル信号を復調する演算部と、駆動信号および基準信号を出力する信号生成部と、を備え、光変調部は、第1振動部およびこれと逆相で振動する第2振動部を有する振動素子と、第1振動部に設けられ、レーザー光を変調させる第1光変調器と、第2振動部に設けられ、第1光変調器で変調されたレーザー光を変調させる第2光変調器と、第1光変調器で変調されたレーザー光を第2光変調器に入射させる迂回光路と、を有するレーザー干渉計。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を射出する光源と、
駆動信号により駆動する振動素子を備え、前記振動素子を用いて前記レーザー光に変調信号を重畳させる光変調部と、
対象物に由来するサンプル信号および前記変調信号を含む前記レーザー光を受光し、受光信号を出力する受光部と、
基準信号に基づいて、前記受光信号から前記サンプル信号を復調する演算部と、
前記駆動信号および前記基準信号を出力する信号生成部と、
を備え、
前記光変調部は、
第1振動部、および、前記第1振動部と逆相で振動する第2振動部、を有する前記振動素子と、
前記第1振動部に設けられ、前記レーザー光を変調させる第1光変調器と、
前記第2振動部に設けられ、前記第1光変調器で変調された前記レーザー光を変調させる第2光変調器と、
前記第1光変調器で変調された前記レーザー光を前記第2光変調器に入射させる迂回光路と、
を有することを特徴とするレーザー干渉計。
【請求項2】
前記振動素子は、互いに表裏の関係を有する、前記第1振動部である第1面、および、前記第2振動部である第2面、を有し、厚みすべり振動モードを有する厚みすべり振動型素子であり、
前記第1光変調器は、前記厚みすべり振動型素子の前記第1面に設けられる第1回折格子であり、
前記第2光変調器は、前記厚みすべり振動型素子の前記第2面に設けられる第2回折格子である請求項1に記載のレーザー干渉計。
【請求項3】
前記振動素子は、前記第1振動部である第1腕部、および、前記第2振動部である第2腕部、を有する音叉型素子であり、
前記第1光変調器は、前記第1腕部の表面に設けられる第1反射面であり、
前記第2光変調器は、前記第2腕部の表面に設けられる第2反射面である請求項1に記載のレーザー干渉計。
【請求項4】
前記音叉型素子は、前記第1腕部および前記第2腕部が並ぶ腕部形成面の面内において振動する面内振動モードを有する請求項3に記載のレーザー干渉計。
【請求項5】
前記音叉型素子は、前記第1腕部および前記第2腕部が並ぶ腕部形成面と交差する方向に振動する面外振動モードを有する請求項3に記載のレーザー干渉計。
【請求項6】
前記信号生成部は、前記振動素子を信号源とし、前記振動素子に前記駆動信号を出力し、前記振動素子を発振させることにより、前記基準信号を出力する発振回路を備える請求項1に記載のレーザー干渉計。
【請求項7】
前記振動素子は、水晶振動子である請求項1に記載のレーザー干渉計。
【請求項8】
nを2以上の整数とするとき、前記光変調部は、前記レーザー光をn回以上変調させる機能を有し、
前記振動素子が前記駆動信号により駆動するときの周波数をfM[Hz]とし、前記レーザー光を1回変調させた時点からn回変調させるまでの間に前記レーザー光が進んだ光学的距離をLt[m]とするとき、前記迂回光路は、Lt≦9×106/fMを満たす請求項1に記載のレーザー干渉計。
【請求項9】
前記レーザー光をn-1回変調させた時点からn回変調させるまでの間に前記レーザー光が進んだ光学的距離をL[m]とし、光速をc[m/s]とするとき、前記迂回光路は、n≦c/(4LfM)を満たす請求項8に記載のレーザー干渉計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー干渉計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、振動している物体にレーザービームを照射し、ドップラー効果により変化したレーザービームの周波数を利用して、物体の速度を測定するレーザードップラー速度計(レーザー干渉計)が開示されている。レーザードップラー速度計では、物体の振動現象の方向性を検出するために、レーザー光源から射出された光を変調する構造が必要となる。このため、特許文献1では、音響光学変調器や電気光学変調器を用いることが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、高価なAOM(音響光学変調器)に代えて、ピエゾ素子または水晶振動子のような振動素子を用いたレーザー振動計(レーザー干渉計)が開示されている。これらの振動素子にレーザー光を照射することにより、レーザー光の周波数がシフトする。このようにして周波数がシフトしたレーザー光を参照光として用いることにより、振動している物体によってドップラーシフトを受けた散乱レーザー光からドップラー信号を復調する。そして、このドップラー信号から物体の振動速度を計測することができる。このようなレーザー振動計によれば、安価な振動素子を用いることができるので、レーザー振動計の低コスト化が図られる。
【0004】
一方、特許文献3には、光変調器に正弦波信号を印加し、レーザー光源からの光ビームを周波数偏移させた参照光ビームと、光ビームを被測定対象に照射して得られる反射光ビームと、を光検出素子で受光するとともに、受光信号に対して所定の演算処理を行い、その後、FM復調処理を行うように構成されたレーザードップラー速度計が開示されている。このようなレーザードップラー速度計では、FM復調処理の前に所定の演算処理を行うことで、参照光ビームの周波数が正弦波状に偏移する場合でも、受光信号から被測定対象の速度に応じた信号を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-54293号公報
【特許文献2】特開2007-285898号公報
【特許文献3】特開平2-38889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
振動素子を用いたレーザー干渉計では、被測定対象の速度を正しく計測することができない場合がある。具体的には、振動素子の振動条件によっては、参照光における変調信号の強度が著しく小さくなる。そのような場合には、被測定対象に由来するドップラー信号を高精度に復調することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の適用例に係るレーザー干渉計は、
レーザー光を射出する光源と、
駆動信号により駆動する振動素子を備え、前記振動素子を用いて前記レーザー光に変調信号を重畳させる光変調部と、
対象物に由来するサンプル信号および前記変調信号を含む前記レーザー光を受光し、受光信号を出力する受光部と、
基準信号に基づいて、前記受光信号から前記サンプル信号を復調する演算部と、
前記駆動信号および前記基準信号を出力する信号生成部と、
を備え、
前記光変調部は、
第1振動部、および、前記第1振動部と逆相で振動する第2振動部、を有する前記振動素子と、
前記第1振動部に設けられ、前記レーザー光を変調させる第1光変調器と、
前記第2振動部に設けられ、前記第1光変調器で変調された前記レーザー光を変調させる第2光変調器と、
前記第1光変調器で変調された前記レーザー光を前記第2光変調器に入射させる迂回光路と、
を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るレーザー干渉計を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1のレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【
図3】
図2の光変調部が備える振動素子の概略構成を示す図である。
【
図4】変調信号に混入させたノイズの割合と、
図1に示す前処理部の内部で生成される2つの信号PASS1、PASS2のS/N比と、の関係を示すグラフである。
【
図5】振動素子の振動周期に対するタイムラグΔtの比率[%]と、複数回の変調によるB値の相対値と、の関係を示すグラフである。
【
図6】第1実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【
図7】第1実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【
図8】第2実施形態に係るレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【
図9】
図8の光変調部が備える振動素子を示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【
図11】第2実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【
図12】第3実施形態に係るレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【
図13】
図12の光変調部が備える振動素子を示す斜視図である。
【
図14】主振動モード(面内振動モード)の周波数特性と、副次振動モード(面外振動モード)の周波数特性と、を示す概念図である。
【
図15】第3実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【
図16】第3実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計が備えるセンサーヘッド部を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のレーザー干渉計を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係るレーザー干渉計について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態に係るレーザー干渉計1を示す機能ブロック図である。
図2は、
図1のレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
【0011】
図1に示すレーザー干渉計1は、センサーヘッド部51と、本体部59と、を備える。センサーヘッド部51は、小型化および軽量化が容易で、可搬性および設置容易性を持たせやすいため、例えばレーザー干渉計1による計測対象である、
図2に示す対象物14の近くに配置可能である。本体部59は、センサーヘッド部51から離して配置可能であり、例えばラック等に収容されていてもよい。
【0012】
図1に示すセンサーヘッド部51は、干渉光学系50および信号生成部6を備える。本体部59は、演算部52を備える。
【0013】
1.1.センサーヘッド部
1.1.1.干渉光学系
干渉光学系50は、マイケルソン型干渉光学系である。干渉光学系50は、
図2に示すように、光源2と、ビームスプリッター41、42と、1/4波長板43と、ミラー44、45と、光変調部12と、受光素子10と、を備える。
【0014】
光源2は、レーザー光L1を射出する。光変調部12は、振動素子30および迂回光路7を備えており、レーザー光L1の位相を変化させ、変調信号が重畳される。
【0015】
光源2から射出されたレーザー光L1は、ビームスプリッター41に入射し、2つに分割される。一方のレーザー光L1は、ミラー44を介して迂回光路7に向かい、他方のレーザー光L1は、ビームスプリッター42に向かう。
【0016】
図2に示す迂回光路7は、一方のレーザー光L1を振動素子30に向けて2回照射するように、レーザー光L1を導く光路である。
【0017】
また、振動素子30は、互いに逆相で振動する第1振動部31および第2振動部32を有しており、第1振動部31および第2振動部32を用いてレーザー光L1に変調信号を重畳させる。なお、本明細書では、振動素子30に設けられた構造体とレーザー光との相互作用によってレーザー光に変調信号が重畳されることを、「振動素子を用いてレーザー光に変調信号を重畳させる」という。
【0018】
1回目の照射により、レーザー光L1が振動素子30の第1振動部31に照射されると、位相を変調させる変調信号が付加され、レーザー光L21が生成される。レーザー光L21は、迂回光路7を介して、振動素子30の第2振動部32に向けて照射される。つまり、迂回光路7は、互いに逆相で振動する第1振動部31および第2振動部32にそれぞれレーザー光が照射されるように、レーザー光を迂回させる機能を有する。2回目の照射により、レーザー光L21には再び変調信号が付加され、レーザー光L22が生成される。つまり、レーザー光L22は、レーザー光L1に対し、2回の位相変調を行って得られた光である。ここで、第1振動部31および第2振動部32は、互いに逆相で振動しているため、2回の照射では、互いに同じ方向にレーザー光L1の位相をシフトさせることができる。生成されたレーザー光L22は、ミラー45を介してビームスプリッター42に入射する。そして、レーザー光L22は、ビームスプリッター42を透過して、受光素子10に入射する。
【0019】
他方のレーザー光L1は、ビームスプリッター42に入射した後、1/4波長板43を透過して、対象物14に入射する。対象物14に入射したレーザー光L1には、対象物14の速度や位置に応じてサンプル信号が付加される。これにより、レーザー光L1は、対象物14に由来するサンプル信号を含むレーザー光L3として反射する。レーザー光L3は、再び1/4波長板43を透過してビームスプリッター42に戻った後、ビームスプリッター42で反射され、受光素子10に入射する。
【0020】
受光素子10は、入射したレーザー光L22、L3を受光し、その強度を電気信号に変換する。
【0021】
以下、干渉光学系50の各部についてさらに説明する。
1.1.1.1.光源
光源2は、可干渉性を有するレーザー光L1を射出するレーザー光源である。光源2には、線幅がMHz帯以下の光源が好ましく用いられる。具体的には、He-Neレーザーのようなガスレーザー、DFB-LD(Distributed FeedBack - Laser Diode:分布帰還型レーザーダイオード)、FBG-LD(Fiber Bragg Grating付き Laser Diode:ファイバーブラッググレーティング付きレーザーダイオード)、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光レーザーダイオード)、FP-LD(Fabry-Perot Laser Diode:ファブリーペロー型半導体レーザーダイオード)のような半導体レーザー素子等が挙げられる。
【0022】
光源2は、特に半導体レーザー素子であるのが好ましい。これにより、光源2を特に小型化することが可能になる。このため、レーザー干渉計1の小型化を図ることができる。
【0023】
1.1.1.2.ビームスプリッター
ビームスプリッター41は、光源2とミラー44との間に配置される偏光ビームスプリッターである。ビームスプリッター41は、P偏光を透過させ、S偏光を反射させる機能を有する。この機能により、ビームスプリッター41は、レーザー光L1を2つに分割する。したがって、前述した一方のレーザー光L1は、P偏光であり、他方のレーザー光L1は、S偏光である。なお、ビームスプリッター41に入射するレーザー光L1は、P偏光とS偏光の強度比が例えば50:50である直線偏光になるように、任意の光学要素を通過してもよい。
【0024】
ビームスプリッター41を透過したP偏光である一方のレーザー光L1は、ミラー44で反射され、迂回光路7に入射する。また、迂回光路7に入射したレーザー光L1は、振動素子30で位相が2回変調され、レーザー光L22となる。レーザー光L22は、ビームスプリッター42に入射する。
【0025】
ビームスプリッター41で反射されたS偏光である他方のレーザー光L1は、図示しない1/2波長板でP偏光に変換され、ビームスプリッター42に入射する。ビームスプリッター42は、ビームスプリッター41と1/4波長板43との間、および、ミラー45と受光素子10との間に配置される偏光ビームスプリッターである。ビームスプリッター42は、P偏光を透過させ、S偏光を反射させる。この機能により、他方のレーザー光L1は、1/4波長板43を介して対象物14に入射する。対象物14に入射したレーザー光L1は、fd[Hz]のドップラーシフトを受ける。これにより、対象物14に由来するサンプル信号を含むレーザー光L3が生成される。レーザー光L3は、再び1/4波長板43を介してビームスプリッター42に戻る。レーザー光L3は、S偏光であるため、ビームスプリッター42で反射され、受光素子10に入射する。
【0026】
なお、ビームスプリッター41は、無偏光ビームスプリッターであってもよい。その場合、ビームスプリッター41と迂回光路7との間、および、ビームスプリッター41とビームスプリッター42との間に、それぞれ、偏光を制御する光学要素を設けるようにすればよい。
【0027】
1.1.1.3.迂回光路
迂回光路7は、ミラー44とミラー45との間を光学的に接続するように配置され、レーザー光L1を振動素子30に向けて2回照射するように構成されている。
【0028】
迂回光路7は、ビームスプリッター72と、1/4波長板73と、ミラー74と、ミラー75と、ビームスプリッター76と、1/4波長板77と、を備える。
【0029】
ビームスプリッター72は、例えば偏光に応じてレーザー光L1、L21の光路を切り替える機能を有する。具体的には、ビームスプリッター72は、P偏光を透過させ、S偏光を反射させる。前述したビームスプリッター41を透過し、ミラー44で反射されたレーザー光L1は、P偏光であるため、ビームスプリッター72を透過し、1/4波長板73を介して振動素子30に入射する。
【0030】
振動素子30は、互いに逆相で振動する第1振動部31および第2振動部32を有する。迂回光路7は、第1振動部31および第2振動部32にそれぞれ1回ずつ照射するようにレーザー光を迂回させる。
【0031】
レーザー光L1は、まず、振動素子30の第1振動部31で反射される。このとき、レーザー光L1は、+Φm[Hz]の位相シフトを受ける。位相シフト量Φmは、Φm=Bsin(2π*fm*t)と表される。Bは、位相シフトで付加される変調信号の位相偏移(B値)であり、fmは、変調信号の周波数であり、tは、時間である。位相シフトにより、レーザー光L1には、位相を変調させる変調信号が付加され、レーザー光L21が生成される。生成されたレーザー光L21は、再び1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻る。レーザー光L21は、S偏光であるため、ビームスプリッター72で反射され、さらにミラー74、75で順次反射され、ビームスプリッター76に入射する。
【0032】
ビームスプリッター76は、例えば偏光に応じてレーザー光L21、L22の光路を切り替える機能を有する。具体的には、ビームスプリッター76は、P偏光を透過させ、S偏光を反射させる。このため、レーザー光L21は、ビームスプリッター76で反射され、1/4波長板77を介して振動素子30に入射する。
【0033】
レーザー光L21は、振動素子30の第2振動部32で反射される。このとき、レーザー光L21は、+Φm[Hz]の位相シフトを受ける。これにより、レーザー光L21には、位相を変調させる変調信号が付加され、レーザー光L22が生成される。その結果、レーザー光L22は、+2Φm[Hz]の位相シフトに対応した変調信号を含む。生成されたレーザー光L22は、再び1/4波長板77を介してビームスプリッター76に戻る。レーザー光L22は、P偏光であるため、ビームスプリッター76を透過し、ミラー45で反射され、ビームスプリッター42に入射する。そして、レーザー光L22は、ビームスプリッター42を透過し、受光素子10に入射する。
【0034】
ビームスプリッター42では、レーザー光L22とレーザー光L3とが干渉し、干渉光が生じる。干渉光は、従来よりも高いS/N比のうなりを持つことになる。演算部52は、このうなりの周波数や位相に基づいて、最終的に、対象物14の速度や位置を高い精度で算出することができる。
【0035】
以上のように、
図2に示す迂回光路7では、ビームスプリッター72、76および1/4波長板73、77を用いることにより、レーザー光を振動素子30に2回照射することが可能になっている。
【0036】
1.1.1.4.受光素子
干渉光が受光素子10に入射すると、受光素子10は、干渉光の強度に応じた光電流(受光信号)を出力する。この受光信号から後述する方法でサンプル信号を復調することにより、最終的に、対象物14の動き、すなわち速度や位置を求めることができる。受光素子10としては、例えばフォトダイオード、フォトトランジスター等が挙げられる。なお、受光素子10で受光するのは、サンプル信号および変調信号を含むレーザー光であればよく、光学系の構成によって異なるため、上記の干渉光に限定されない。また、本明細書における「受光信号からサンプル信号を復調する」には、光電流(受光信号)から変換された様々な信号からサンプル信号を復調することを含む。
【0037】
1.1.1.5.振動素子
図3は、
図2の光変調部12が備える振動素子30の概略構成を示す図である。
図3に示す振動素子30は、板状をなしており、電位を加えることにより、面に沿う方向に歪むモード(厚みすべり振動モード)の振動を繰り返す。このようなモードで振動する素子を、厚みすべり振動型素子という。厚みすべり振動型素子としては、例えば、水晶AT振動子、水晶BT振動子等が挙げられる。これらの水晶振動子は、圧電体である水晶片と、水晶片に設けられた電極と、を有する。水晶振動子では、水晶が持つ極めて高いQ値を利用して、レーザー光L1にS/N比の高い変調信号を付加することができる。
【0038】
図3に示す振動素子30は、第1振動部31である第1面311、および、第2振動部32である第2面321を有する。
図3に示す第1面311(第1振動部31)および第2面321(第2振動部32)は、互いに逆相で振動する。互いに逆相で振動するとは、互いに同じ振動軸に沿って、第1面311および第2面321が互いに逆位相になるように振動することをいう。
【0039】
また、第1面311には、第1光変調器33である第1回折格子331が設けられ、第2面321には、第2光変調器34である第2回折格子341が設けられている。第1回折格子331および第2回折格子341としては、例えば、
図3に示すブレーズド回折格子の他、ラミナー回折格子等が挙げられる。
【0040】
このような振動素子30は、信号生成部6から出力された駆動信号Sdに基づいて発振する。振動素子30の発振に必要な電力(駆動パワー)は、特に限定されないが、0.1μW~100mW程度と小さい。このため、振動素子30を備えることにより、レーザー干渉計1の小型化、軽量化および低消費電力化を図ることができる。また、厚みすべり振動型素子は、他の振動モードを有する素子に比べて、耐衝撃性や温度特性に優れる点でも有用である。
【0041】
図3には、振動素子30の変形方向を表す実線および破線の矢印を示している。実線の矢印で示す変形を生じる電圧、および、破線の矢印で示す変形を生じる電圧は、互いに逆相である。このため、
図3に示す振動素子30の第1面311(第1振動部31)および第2面321(第2振動部32)は、互いに逆相で振動する。その結果、第1回折格子331にレーザー光を照射した後、そのレーザー光を第2回折格子341にも照射すれば、2回の照射で互いに同じ方向にレーザー光の位相をシフトさせることができる。
【0042】
例えば、
図3に示す第1面311(第1振動部31)が破線の矢印のように変位するとき、第2面321(第2振動部32)は、第1面311の変位に同期して破線の矢印のように変位する。そうすると、第1面311に設けられた第1回折格子331にレーザー光L1を照射して+Φ
m[Hz]の位相シフトを与えた後、第2面321に設けられた第2回折格子341にレーザー光L21を照射しても+Φ
m[Hz]の位相シフトを与えることができる。これは、第1面311および第2面321が、互いに逆相で振動しているためであり、かつ、光速が非常に大きく、2回の照射に伴う遅延量をほぼ無視することができるためである。以上のようにして、+2Φ
m[Hz]の位相シフトに対応した変調信号を含むレーザー光L22が得られる。
【0043】
なお、振動素子30は、水晶振動子に限定されず、シリコン振動子であっても、セラミック振動子であってもよい。また、振動素子30は、第1振動部31および第2振動部32に加え、追加の振動部として、第3振動部および第4振動部を有していてもよいし、それ以上の数の振動部を有していてもよい。この場合、追加の各振動部を、第1振動部31または第2振動部32と同期させて振動させるとともに、追加の各振動部に対してレーザー光を照射することにより、位相のシフト量をさらに増やすことができる。
【0044】
1.1.2.信号生成部
図1に示す信号生成部6は、振動素子30に入力される駆動信号Sd、および、演算部52に入力される基準信号Ssを出力する。
【0045】
本実施形態では、
図1に示すように、信号生成部6が発振回路61を備えている。発振回路61は、振動素子30を信号源として動作し、精度の高い周期信号を生成する。これにより、発振回路61は、精度の高い駆動信号Sdを出力するとともに、基準信号Ssを出力する。そうすると、駆動信号Sdおよび基準信号Ssは、外乱を受けた場合、互いに同じ影響を受けることになる。そうすると、駆動信号Sdにより駆動された振動素子30を介して付加される変調信号、および、基準信号Ssも、互いに同じ影響を受ける。このため、変調信号および基準信号Ssが、演算部52における演算に供されたとき、演算の過程で、双方が含む外乱の影響を互いに相殺または低減させることができる。その結果、演算部52では、外乱を受けても、対象物14の位置や速度を精度よく求めることができる。
【0046】
発振回路61としては、例えば、特開2022-38156号公報に開示されている発振回路が挙げられる。
【0047】
また、信号生成部6は、発振回路61に代えて、ファンクションジェネレーターやシグナルジェネレーターのような信号発生器を備えていてもよい。
【0048】
1.2.本体部
1.2.1.演算部
本体部59は、演算部52を備える。演算部52は、前処理部53、復調処理部55および復調信号出力部57を有する。
【0049】
図1に示す演算部52は、前処理部53、復調処理部55および復調信号出力部57を有する。これらの機能部が発揮する機能は、例えば、プロセッサー、メモリー、外部インターフェース、入力部、表示部等を備えるハードウェアによって実現される。具体的には、メモリーに格納されているプログラムをプロセッサーが読み出し、実行することによって実現される。なお、これらの構成要素は、内部バスによって互いに通信可能になっている。
【0050】
プロセッサーとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等が挙げられる。なお、これらのプロセッサーがソフトウェアを実行する方式に代えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が上述した機能を実現する方式を採用するようにしてもよい。
【0051】
メモリーとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等が挙げられる。
【0052】
外部インターフェースとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等が挙げられる。
【0053】
入力部としては、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッド等の各種入力装置が挙げられる。表示部としては、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネル等が挙げられる。
【0054】
なお、外部インターフェース、入力部および表示部は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
【0055】
前処理部53および復調処理部55には、例えば、特開2022-38156号公報に開示されている前処理部および復調部が適用できる。
【0056】
前処理部53は、基準信号Ssに基づいて受光信号に前処理を行う。前処理は、受光信号を2つの信号PASS1、PASS2に分けた後、一方に基準信号を乗算し、その後、2つの信号PASS1、PASS2を合算して前処理済み信号を出力する。
【0057】
復調処理部55は、前処理部53から出力された前処理済み信号から、基準信号Ssに基づいて対象物14の速度や位置に応じたサンプル信号を復調する。
【0058】
復調信号出力部57は、復調処理部55から出力された復調処理済み信号に対し、例えば位相アンラップ処理等を施すことにより、位相接続を行う。これにより、対象物14の位置を算出する。これにより、レーザー干渉計1は、変位計となる。また、対象物14の位置から速度を求めることができる。これにより、レーザー干渉計1は、速度計となる。
【0059】
1.2.2.変調信号の位相偏移(B値)とS/N比(信号対雑音比)との関係
光変調部12で付加される変調信号には、位相偏移(B値)というパラメーターがある。このB値は、前処理部53から出力される前処理済み信号のS/N比(信号対雑音比)に影響を及ぼす。具体的には、B値を大きくするほど、前処理済み信号のS/N比が高くなる。前処理済み信号のS/N比を高めることにより、例えば振動素子30の振動の振幅が小さいといった振動条件にかかわらず、演算部52によって最終的に算出される対象物14に由来のサンプル信号(ドップラー信号)をより高い精度で復調することができる。その結果、対象物14の位置や速度の算出精度が高いレーザー干渉計1を実現することができる。
【0060】
図4は、変調信号に混入させたノイズの割合と、
図1に示す前処理部53の内部で生成される2つの信号PASS1、PASS2のS/N比と、の関係を示すグラフである。なお、
図4では、上記関係を、
図1に示す光変調部12でレーザー光に付加される変調信号のB値ごとに曲線で示している。
【0061】
図4では、B値が0.5から1.5まで大きくなるとき、ノイズ割合によらず、2つの信号PASS1、PASS2のS/N比も大きくなる傾向が認められる。このように、B値が大きいほど、2つの信号PASS1、PASS2のS/N比を高めることができる。そこで、本実施形態は、前述したように、干渉光学系50内に迂回光路7を設け、振動素子30に設けられた第1回折格子331および第2回折格子341にそれぞれレーザー光を照射するように構成されている。つまり、干渉光学系50は、振動素子30にレーザー光を2回照射するように構成されている。
【0062】
前述したように、位相シフト量Φmは、Φm=Bsin(2π*fm*t)で表される。このため、変調信号の位相偏移(B値)は、レーザー光の位相シフトの量に比例する。したがって、位相シフトの量を2倍にすることができれば、B値を2倍にすることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、レーザー光に対して2回の位相変調を行うが、この回数は3回以上であってもよい。nを2以上の整数とするとき、レーザー光に対する位相変調の回数をn回にできれば、理論上、B値をn倍にすることができる。
【0064】
1.2.3.複数回の位相変調におけるタイムラグがB値に及ぼす影響
本実施形態では、前述したように、複数回(n回)の位相変調を行う。前述したように、光速は非常に大きいため、1回目の位相変調とn回目の位相変調とのタイムラグΔtは、ほとんど無視できる。しかしながら、迂回光路7の構成によっては、1回目の照射とn回目の照射との間でレーザー光が辿る光学的距離が長くなり、タイムラグΔtが無視できなくなる場合もある。そこで、タイムラグΔtとB値に及ぼす影響との関係に基づいて、光学デバイス1に求められる構成を検討する。
【0065】
振動素子30が駆動信号Sdにより駆動するときの周波数をfM[Hz]とし、レーザー光を1回変調させた時点からn回変調させるまでの間にレーザー光が進んだ光学的距離をLt[m]とする。このとき、迂回光路7は、下記式(1)を満たすことが好ましい。
Lt≦9×106/fM (1)
【0066】
迂回光路7が上記式(1)を満たすことにより、タイムラグΔtがB値に及ぼす影響を十分に小さく抑えることができる。
【0067】
図5は、振動素子30の振動周期に対するタイムラグΔtの比率[%]と、複数回の変調によるB値の相対値と、の関係を示すグラフである。なお、以下の説明では、振動素子30の振動周期に対するタイムラグΔtの比率を「規格化タイムラグ」ともいう。また、B値の相対値とは、タイムラグΔtがゼロのときのB値を100%としたときの、各B値の相対値である。
【0068】
図5に示すように、規格化タイムラグが大きくなると、B値の相対値が小さくなる傾向があるが、規格化タイムラグが十分に小さい範囲では、B値の相対値の減少幅が比較的少ない。例えば、規格化タイムラグを3%以下に抑えることができれば、規格化タイムラグが0%の場合のB値に対して、99%以上のB値の相対値を確保することができる。
【0069】
前述した光学的距離Lt[m]は、Lt=c*Δtで表される。cは光速である。この式にc=3×108[m/s]、Δt=0.03*Tを代入すると、Lt=9×106Tとなる。Tは、振動素子30の振動周期であり、1/fMである。したがって、99%以上のB値の相対値を確保する条件として、Lt≦9×106/fMが導かれる。
【0070】
一方、位相変調を行う回数が多くなれば、その分、光学的距離Ltが長くなり、タイムラグΔtが大きくなる。n回目の照射のとき、レーザー光が照射される回折格子の振動の、その反対側に位置する回折格子の振動に対する遅延が、振動周期の1/4以下に抑えられていればよい。これを満たすことにより、1回目の照射からn回目の照射までの全ての照射において、B値の相対値を大きくする方向に位相をシフトさせる確率を高めることができる。これに対し、例えば光学的距離Ltが長くなることで、遅延が、振動周期の1/4超になる場合、一部の照射は、B値の相対値を小さくする方向に位相をシフトさせてしまうおそれがある。
【0071】
以上のことから、迂回光路7は、下記式(2)を満たすことが好ましい。
n≦c/(4LfM) (2)
【0072】
迂回光路7に設定されている、振動素子30にレーザー光を照射する回数nが、上記式(2)を満たすことにより、回数nが大きすぎることによる弊害、つまり、回数nに見合ったB値の増大の効果を受けられないという問題を回避することができる。換言すれば、回数nが上記式(2)を満たすことにより、各照射でB値の増大に寄与できるため、B値をより確実に大きくすることができる。その結果、前処理部53が出力する前処理済み信号のS/N比をより確実に高めることができる。
【0073】
なお、上記式(2)において、Lは、レーザー光をn-1回変調させた時点からn回変調させるまでの間にレーザー光が進んだ光学的距離[m]である。例えば、
図2に示す迂回光路7の場合、n=2であるから、レーザー光L1が振動素子30の第1振動部31で変調された時点から、レーザー光L21が振動素子30の第2振動部32で変調されるまでの間に、レーザー光が辿る物理的距離と、レーザー光L21が通過した媒質の屈折率と、の積を、光学的距離Lとすればよい。
【0074】
一例として、光学的距離Lが0.1mであり、振動素子30が駆動信号Sdにより駆動するときの周波数fMを100MHzとするとき、振動素子30にレーザー光を照射する回数nは、n≦75を満たすことが好ましい。
【0075】
2.第1実施形態の第1変形例
次に、第1実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計について説明する。
【0076】
図6は、第1実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
【0077】
以下、第1実施形態の第1変形例について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図6において、前記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0078】
第1変形例は、振動素子30にレーザー光を3回照射するように構成されている以外、第1実施形態と同様である。
【0079】
図6に示す干渉光学系50は、光源2と、ビームスプリッター41と、光変調部12と、偏光子46と、受光素子10と、を備える。
【0080】
図6に示す光変調部12が備える迂回光路7には、ビームスプリッター41で分割された2つの光のうち、一方のレーザー光L1が入射する。
図6に示す迂回光路7は、レーザー光L1を振動素子30に3回照射するように構成されている。他方のレーザー光L1は、対象物14に入射した後、レーザー光L3として受光素子10に入射する。
【0081】
ビームスプリッター41は、無偏光ビームスプリッターであり、偏光によらず、所定の分割比でレーザー光を分割する。
図6の構成では、ビームスプリッター41に入射させるレーザー光L1をP偏光とするのが望ましい。
【0082】
図6に示す迂回光路7は、ビームスプリッター72と、1/4波長板73と、ミラー74と、ミラー75と、ミラー78と、を備える。
【0083】
迂回光路7に入射したレーザー光L1は、ビームスプリッター72を透過し、1/4波長板73を介して、振動素子30が備える第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L1には、変調信号が付加され、レーザー光L21が生成される。生成されたレーザー光L21は、再び1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻る。レーザー光L21は、ミラー74、75、78を介して、振動素子30が備える第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L21には、変調信号が付加され、レーザー光L22が生成される。生成されたレーザー光L22は、再びミラー78、75、74を介して、ビームスプリッター72に戻る。このレーザー光L22は、1/4波長板73を介して、再び第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L23には、変調信号が付加され、レーザー光L23が生成される。レーザー光L23は、1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻り、さらにビームスプリッター41および偏光子46を介して受光素子10に入射する。
【0084】
以上のように、
図6に示す迂回光路7では、レーザー光を振動素子30に3回照射することが可能になっている。これにより、3回の照射でいずれも同じ方向にレーザー光の位相をシフトさせることができる。その結果、レーザー光の位相シフトの量を3倍にすることができ、B値を3倍にすることができる。
以上のような第1変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0085】
3.第1実施形態の第2変形例
次に、第1実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計について説明する。
【0086】
図7は、第1実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
【0087】
以下、第1実施形態の第2変形例について説明するが、以下の説明では、第1実施形態や第1変形例との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図7において、前記第1実施形態や第1変形例と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0088】
第2変形例は、振動素子30にレーザー光を4回照射するように構成されている以外、第1変形例と同様である。
【0089】
図7に示す干渉光学系50は、光源2と、ビームスプリッター41と、光変調部12と、偏光子46と、受光素子10と、を備える。
図7の構成では、ビームスプリッター41に入射させるレーザー光L1をP偏光とするのが望ましい。
【0090】
図7に示す光変調部12が備える迂回光路7には、ビームスプリッター41で分割された2つの光のうち、一方のレーザー光L1が入射する。
図7に示す迂回光路7は、レーザー光L1を振動素子30に4回照射するように構成されている。他方のレーザー光L1は、対象物14に入射した後、レーザー光L3として受光素子10に入射する。
【0091】
図7に示す迂回光路7は、ビームスプリッター72と、1/4波長板73と、ミラー74と、ミラー75と、ビームスプリッター76と、1/4波長板77と、ミラー79と、を備える。
【0092】
迂回光路7に入射したレーザー光L1は、ビームスプリッター72を透過し、1/4波長板73を介して、振動素子30が備える第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L1には、変調信号が付加され、レーザー光L21が生成される。生成されたレーザー光L21は、再び1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻る。レーザー光L21は、ミラー74、75およびビームスプリッター76を介して、振動素子30が備える第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L21には、変調信号が付加され、レーザー光L22が生成される。生成されたレーザー光L22は、1/4波長板77およびビームスプリッター76を介して、ミラー79で反射された後、ビームスプリッター76および1/4波長板77を介して、再び第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L22には、変調信号が付加され、レーザー光L23が生成される。生成されたレーザー光L23は、1/4波長板77、ビームスプリッター76、ミラー75、74、ビームスプリッター72および1/4波長板73を介して、再び第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L23には、変調信号が付加され、レーザー光L24が生成される。レーザー光L24は、1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻り、さらにビームスプリッター41および偏光子46を介して受光素子10に入射する。
【0093】
以上のように、
図7に示す迂回光路7では、レーザー光を振動素子30に4回照射することが可能になっている。これにより、4回の照射でいずれも同じ方向にレーザー光の位相をシフトさせることができる。その結果、レーザー光の位相シフトの量を4倍にすることができ、B値を4倍にすることができる。例えば、レーザー光を振動素子30に1回照射することで1.3のB値が得られる場合、理論的には、2回照射することで2.6のB値が得られ、3回照射することで3.9のB値が得られ、4回照射することで5.2のB値が得られる。
以上のような第2変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0094】
4.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るレーザー干渉計について説明する。
【0095】
図8は、第2実施形態に係るレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
図9は、
図8の光変調部12が備える振動素子30を示す斜視図である。
図9では、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸を設定している。各軸は、矢印で示され、矢印の先端側を各軸の「プラス側」といい、矢印の基端側を各軸の「マイナス側」という。
【0096】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図8および
図9において、前記実施形態やその変形例と同様の構成については、同一の符号を付している。
第2実施形態は、振動素子30の形状が異なること以外、第1実施形態と同様である。
【0097】
図8に示す振動素子30は、
図9に示すように、XーY面内で振動する面内振動モードを有する音叉型素子である。
図9に示す振動素子30は、第1振動部31である第1腕部312、および、第2振動部32である第2腕部322を有する。
図9に示す第1腕部312(第1振動部31)および第2腕部322(第2振動部32)は、X-Y面内において、互いに逆相で振動する。
【0098】
また、第1腕部312の表面には、第1光変調器33である第1反射面332が設けられ、第2腕部322の表面には、第2光変調器34である第2反射面342が設けられている。第1反射面332および第2反射面342としては、レーザー光を反射する面であれば、特に限定されないが、例えばX軸と交差する面に設けられた金属薄膜等が挙げられる。なお、振動素子30は、図示しないが、例えば、圧電体と、圧電体に設けられた電極と、を有する。このうち、電極は、金属材料で構成される。このため、電極の表面を、第1反射面332および第2反射面342として利用し得る。
【0099】
図9には、振動素子30の変形方向を表す実線および破線の矢印を示している。実線の矢印で示す変形を生じる電圧、および、破線の矢印で示す変形を生じる電圧は、互いに逆相である。このため、
図9に示す振動素子30の第1腕部312(第1振動部31)および第2腕部322(第2振動部32)は、互いに逆相で振動する。その結果、第1反射面332にレーザー光を照射した後、そのレーザー光を第2反射面342にも照射すれば、2回の照射で互いに同じ方向にレーザー光の位相をシフトさせることができる。
【0100】
また、
図9に示す振動素子30は、X-Y面を腕部形成面とするとき、腕部形成面の面内において第1腕部312および第2腕部322が並ぶように構成されている。前述した面内振動モードとは、腕部形成面の面内において、
図9に実線の矢印で示すように、第1腕部312および第2腕部322が互いに離れる変形と、
図9に破線の矢印で示すように、第1腕部312および第2腕部322が互いに近づく変形と、を繰り返す振動モードである。換言すれば、面内振動モードは、第1腕部312がX軸マイナス側に変位し、第2腕部322がX軸プラス側に変位する変形と、第1腕部312がX軸プラス側に変位し、第2腕部322がX軸マイナス側に変位する変形と、を繰り返す振動モードである。
【0101】
また、面内振動モードは、第1腕部312および第2腕部322の屈曲振動を伴うことから、厚みすべり振動モードに比べて、第1反射面332および第2反射面342の振幅を大きく確保しやすい。このため、レーザー光を振動素子30に1回照射するだけでも、一例として17.7という大きなB値が得られる。この場合、理論的には、2回照射することで35.4のB値が得られ、3回照射することで53.1のB値が得られ、4回照射することで70.8のB値が得られる。
【0102】
なお、B値を目的とする値に制御したい場合に備え、B値を小さくすることもできる。例えば、振動素子30について、高次で振動する振動モードを利用することにより、B値を小さくすることができる。
【0103】
このような振動素子30は、信号生成部6から出力された駆動信号Sdに基づいて発振する。振動素子30の発振に必要な電力(駆動パワー)は、特に限定されないが、0.1μW~100mW程度と小さい。このため、振動素子30を備えることにより、レーザー干渉計1の小型化、軽量化および低消費電力化を図ることができる。また、音叉型素子は、回折格子等を設ける必要がなく、また、電極の表面を第1光変調器33および第2光変調器34として用いることができるため、構造の簡素化が図られやすい点でも有用である。
【0104】
振動素子30のY軸方向の長さは、例えば、0.2mm以上5.0mm以下程度とされる。振動素子30のZ軸方向の厚さは、例えば、0.003mm以上0.5mm以下程度とされる。
【0105】
音叉型素子の形状としては、
図9に示すような、2脚音叉型に限定されず、3脚音叉型、4脚音叉型の片持ち梁形状等が挙げられる。
【0106】
また、
図8に示す振動素子30としては、例えば、水晶振動子、シリコン振動子、セラミック振動子等が挙げられる。
【0107】
水晶振動子は、圧電体である水晶片と、水晶片に設けられた電極と、を有する。このような水晶振動子では、水晶が持つ極めて高いQ値を利用して、レーザー光L1にS/N比の高い変調信号を付加することができる。水晶片には、例えば、水晶Zカット平板等の水晶基板から切り出されたものが用いられる。水晶振動子の発振周波数は、例えば、1kHz以上100kHz以下程度であるのが好ましく、10kHz以上100kHz以下程度であるのがより好ましい。
【0108】
また、水晶片の厚さは、100μm以上300μm以下であることが好ましい。この程度の厚さであれば、水晶片の側面、つまり、水晶基板から切り出されたときの切断面に成膜された電極面が第1反射面332および第2反射面342となる場合でも、十分な面積を確保することができる。
【0109】
シリコン振動子は、単結晶シリコン基板からMEMS技術を用いて製造される単結晶シリコン片と、圧電膜と、電極と、を備える振動子である。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、微小電気機械システムのことである。単結晶シリコン片の形状としては、例えば、2脚音叉型、3脚音叉型等の片持ち梁形状、両持ち梁形状等が挙げられる。シリコン振動子の発振周波数は、例えば1kHzから数100MHz程度である。
【0110】
セラミック振動子は、圧電セラミックスを焼き固めて製造される圧電セラミック片と、電極と、を備える振動子である。圧電セラミックスとしては、例えば、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム(BTO)等が挙げられる。セラミック振動子の発振周波数は、例えば数100kHzから数10MHz程度である。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0111】
5.第2実施形態の第1変形例
次に、第2実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計について説明する。
図10は、第2実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
【0112】
以下、第2実施形態の第1変形例について説明するが、以下の説明では、第1実施形態やその変形例および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図10において、前記第1実施形態やその変形例および前記第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0113】
第1変形例は、振動素子30にレーザー光を3回照射するように構成されている以外、第2実施形態と同様である。
【0114】
図10に示す干渉光学系50は、光源2と、ビームスプリッター41と、光変調部12と、偏光子46と、受光素子10と、を備える。
図10の構成では、ビームスプリッター41に入射させるレーザー光L1をP偏光とするのが望ましい。
【0115】
図10に示す光変調部12が備える迂回光路7には、ビームスプリッター41で分割された2つの光のうち、一方のレーザー光L1が入射する。
図10に示す迂回光路7は、レーザー光L1を振動素子30に3回照射するように構成されている。他方のレーザー光L1は、対象物14に入射した後、レーザー光L3として受光素子10に入射する。
【0116】
ビームスプリッター41は、無偏光ビームスプリッターであり、偏光によらず、所定の分割比でレーザー光を分割する。
【0117】
図10に示す迂回光路7は、ビームスプリッター72と、1/4波長板73と、ミラー74と、ミラー75と、ミラー78と、を備える。
【0118】
迂回光路7に入射したレーザー光L1は、ビームスプリッター72を透過し、1/4波長板73を介して、振動素子30が備える第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L1には、変調信号が付加され、レーザー光L21が生成される。生成されたレーザー光L21は、再び1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻る。レーザー光L21は、ミラー74、75、78を介して、振動素子30が備える第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L21には、変調信号が付加され、レーザー光L22が生成される。生成されたレーザー光L22は、再びミラー78、75、74を介して、ビームスプリッター72に戻る。このレーザー光L22は、1/4波長板73を介して、再び第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L23には、変調信号が付加され、レーザー光L23が生成される。レーザー光L23は、1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻り、さらにビームスプリッター41および偏光子46を介して受光素子10に入射する。
【0119】
以上のように、
図10に示す迂回光路7では、レーザー光を振動素子30に3回照射することが可能になっている。これにより、3回の照射でいずれも同じ方向にレーザー光の位相をシフトさせることができる。その結果、レーザー光の位相シフトの量を3倍にすることができ、B値を3倍にすることができる。
以上のような第1変形例においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0120】
6.第2実施形態の第2変形例
次に、第2実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計について説明する。
【0121】
図11は、第2実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
【0122】
以下、第2実施形態の第2変形例について説明するが、以下の説明では、第1実施形態やその変形例および第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図11において、前記第1実施形態やその変形例および前記第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0123】
第2変形例は、振動素子30にレーザー光を4回照射するように構成されている以外、第1変形例と同様である。
【0124】
図11に示す干渉光学系50は、光源2と、ビームスプリッター41と、光変調部12と、偏光子46と、受光素子10と、を備える。
図11の構成では、ビームスプリッター41に入射させるレーザー光L1をP偏光とするのが望ましい。
【0125】
図11に示す光変調部12が備える迂回光路7には、ビームスプリッター41で分割された2つの光のうち、一方のレーザー光L1が入射する。
図11に示す迂回光路7は、レーザー光L1を振動素子30に4回照射するように構成されている。他方のレーザー光L1は、対象物14に入射した後、レーザー光L3として受光素子10に入射する。
【0126】
図11に示す迂回光路7は、ビームスプリッター72と、1/4波長板73と、ミラー74と、ミラー75と、ビームスプリッター76と、1/4波長板77と、ミラー79と、を備える。
【0127】
迂回光路7に入射したレーザー光L1は、ビームスプリッター72を透過し、1/4波長板73を介して、振動素子30が備える第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L1には、変調信号が付加され、レーザー光L21が生成される。生成されたレーザー光L21は、再び1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻る。レーザー光L21は、ミラー74、75およびビームスプリッター76を介して、振動素子30が備える第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L21には、変調信号が付加され、レーザー光L22が生成される。生成されたレーザー光L22は、1/4波長板77およびビームスプリッター76を介して、ミラー79で反射された後、ビームスプリッター76および1/4波長板77を介して、再び第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L22には、変調信号が付加され、レーザー光L23が生成される。生成されたレーザー光L23は、1/4波長板77、ビームスプリッター76、ミラー75、74、ビームスプリッター72および1/4波長板73を介して、再び第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L23には、変調信号が付加され、レーザー光L24が生成される。レーザー光L24は、1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻り、さらにビームスプリッター41および偏光子46を介して受光素子10に入射する。
【0128】
以上のように、
図11に示す迂回光路7では、レーザー光を振動素子30に4回照射することが可能になっている。これにより、4回の照射でいずれも同じ方向にレーザー光の位相をシフトさせることができる。その結果、レーザー光の位相シフトの量を4倍にすることができ、B値を4倍にすることができる。
以上のような第2変形例においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0129】
7.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るレーザー干渉計について説明する。
【0130】
図12は、第3実施形態に係るレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
図13は、
図12の光変調部12が備える振動素子30を示す斜視図である。
図13では、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸を設定している。各軸は、矢印で示され、矢印の先端側を各軸の「プラス側」といい、矢印の基端側を各軸の「マイナス側」という。
【0131】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図12および
図13において、前記実施形態やその変形例と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0132】
第3実施形態は、振動素子30の振動モードが異なること以外、第2実施形態と同様である。
【0133】
図12に示す振動素子30は、前述した面内振動モードに加え、
図13に示すように、Z軸方向に振動する面外振動モードを有する音叉型素子である。
図13に示す振動素子30は、第1振動部31である第1腕部312、および、第2振動部32である第2腕部322を有する。このうち、面外振動モードでは、
図13に示す第1腕部312(第1振動部31)および第2腕部322(第2振動部32)が、Z軸に沿って互いに逆相で振動する。具体的には、
図13に実線の矢印で示すように、第1腕部312がZ軸プラス側に変位し、第2腕部322がZ軸マイナス側に変位する変形と、
図13に破線の矢印で示すように、第1腕部312がZ軸マイナス側に変位し、第2腕部322がZ軸プラス側に変位する変形と、を繰り返す振動モードである。
【0134】
また、第1腕部312の表面には、第1光変調器33である第1反射面332が設けられ、第2腕部322の表面には、第2光変調器34である第2反射面342が設けられている。第1反射面332および第2反射面342としては、レーザー光を反射する面であれば、特に限定されないが、例えばZ軸と交差する面に設けられた金属薄膜等が挙げられる。なお、振動素子30は、図示しないが、例えば、圧電体と、圧電体に設けられた電極と、を有する。このうち、電極は、金属材料で構成される。このため、電極の表面を、第1反射面332および第2反射面342として利用し得る。また、Z軸と交差する面は、X軸と交差する面に比べて金属薄膜等を設けるためのスペースを確保しやすい。このため、
図13に示す第1反射面332および第2反射面342は、レーザー光の照射位置のずれに対する許容性が高い。それにより、第3実施形態に係るレーザー干渉計1は、干渉光学系50の製造容易性に優れるという利点もある。
【0135】
振動素子30では、面内振動モードを主振動モードとするとき、面外振動モードは副次振動モードとして扱われる。通常の用途では、主振動モードが例えばクロック源のための発振モードとして利用され、副次振動モードはスプリアスとして避けられるか、抑圧して使用されない。
【0136】
これに対し、本実施形態では、この面外振動モードを抑圧することなく積極的に励振する。これにより、レーザー光の進行方向における第1反射面332および第2反射面342の変位量を十分に確保して、B値を高めやすくなる。
【0137】
図14は、主振動モード(面内振動モード)の周波数特性と、副次振動モード(面外振動モード)の周波数特性と、を示す概念図である。
図14の横軸は振動の周波数であり、縦軸は振動の速度振幅である。なお、本明細書では、
図14に示す振動の速度振幅の周波数依存性を示す曲線で表される特性のことを、各振動モードの「周波数特性」という。
【0138】
主振動モードは、信号生成部6から出力された駆動信号Sdにより励振される。信号生成部6によって振動素子30が励振されるときの周波数を発振周波数foscとする。また、振動素子30単体の主振動モードの固有振動数をfQとする。一方、振動素子30単体に存在する複数の副次振動モードの固有振動数をa、b、c、d、eとする。
【0139】
信号生成部6の発振周波数f
oscは、振動素子30の固有振動数f
Qに応じた値となる。
図14の例では、固有振動数f
Qよりもわずかに高い周波数が、発振周波数f
oscとなる。主振動モードの周波数特性は、固有振動数f
Qをピークとし、両側に向かって減少する曲線で表される。
【0140】
一方、
図14の例では、5種類の副次振動モードが存在しているが、これらの固有振動数a、b、c、d、eは、固有振動数f
Qを挟んで分布している。副次振動モードの周波数特性は、固有振動数a、b、c、d、eをそれぞれピークとし、両側に向かって減少する曲線で表される。
【0141】
副次振動モードの周波数特性のうち、固有振動数b、c、dをピークとする周波数特性は、それぞれ、曲線の一部が発振周波数foscと重なっている。この場合、固有振動数b、c、dの副次振動モードは、主振動モードとエネルギー的に結合し、励振される。このため、主振動モードが励振されるように信号生成部6の発振周波数foscを設定すると、これらの副次振動モードも励振することができる。これに対し、固有振動数a、eをピークとする周波数特性は、それぞれ、曲線が発振周波数foscと重なっていない。このため、これらの副次振動モードは、主振動モードと結合しないため、励振されない。
【0142】
また、副次振動モードは、主振動モードに比べて、温度特性によって周波数の不安定化が生じやすい。このため、通常の用途では、副次振動モードの固有振動数を、主振動モードから離すことが求められる。
【0143】
しかしながら、振動素子30が基準信号Ssを出力するための信号源となっている場合、周波数のゆらぎを含む基準信号Ssに基づいて演算部52でリアルタイムに復調処理が行われる。このため、基準信号Ssに周波数のゆらぎが含まれていても、復調処理においてそのゆらぎを相殺または減少させることができる。このため、副次振動モードの固有振動数に制約が少なくなり、振動素子30の設計および製造が容易になるという利点がある。
【0144】
なお、副次振動モードの固有振動数は、例えば第1腕部312および第2腕部322のY軸方向における長さ、Z軸方向における厚さ、X-Z面による断面形状といった振動素子30の形状、図示しない電極の配置等、振動素子30の構造によって調整可能である。つまり、主振動モードの固有振動数fQに対して近接した固有振動数を実現するように、振動素子30の構造を調整すればよい。具体的な構造は、実験やシミュレーションを行うことで、見出すことができる。一例を挙げると、第1腕部312および第2腕部322の断面形状を、長方形ではなく平行四辺形にすることで、副次振動モードが励振されやすくなる。そして、平行四辺形の形状を変えることで、副次振動モードの固有振動数を調整することができる。
【0145】
また、面外振動モードでは、厚みすべり振動モードに比べて、第1反射面332および第2反射面342の振幅を大きく確保しやすい。このため、レーザー光を振動素子30に1回照射するだけでも、一例として2.6という大きなB値が得られる。この場合、理論的には、2回照射することで5.2のB値が得られ、3回照射することで7.8のB値が得られ、4回照射することで10.4のB値が得られる。
【0146】
音叉型素子の形状としては、
図13に示すような、2脚音叉型に限定されず、3脚音叉型、4脚音叉型の片持ち梁形状等が挙げられる。
【0147】
また、
図8に示す振動素子30としては、例えば、水晶振動子、シリコン振動子、セラミック振動子等が挙げられる。
【0148】
また、面外振動モードは、面内振動モードに比べて、固有振動数が低い場合が多い。このため、面外振動モードを利用することで、変調信号や基準信号Ssの周波数を下げることができる。具体的には、面外振動モードの固有振動数は、例えば1MHz未満である場合が多いため、変調信号や基準信号Ssの周波数についても、この程度まで下げることができる。このため、これらの信号を処理するアナログ-デジタル変換器(ADC)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプロセッサーの処理性能を下げることができる。その結果、レーザー干渉計1の低コスト化を図りやすくなる。
【0149】
シリコン振動子では、面外振動を主振動とする設計が可能である。この場合、例えば片持ち梁形状をなす単結晶シリコン片の厚さを薄くすることにより、Q値をより高めることができる。そして、圧電膜の配置等により、面外振動を励振することができる。
【0150】
セラミック振動子では、屈曲振動だけでなく、長さ振動や広がり振動といった面内振動に結合される面外振動を利用することができる。
【0151】
以上のような第3実施形態においても、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0152】
8.第3実施形態の第1変形例
次に、第3実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計について説明する。
【0153】
図15は、第3実施形態の第1変形例に係るレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
【0154】
以下、第3実施形態の第1変形例について説明するが、以下の説明では、第1、第2実施形態やその変形例との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図15において、前記第1、第2実施形態やその変形例と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0155】
第1変形例は、振動素子30にレーザー光を3回照射するように構成されている以外、第3実施形態と同様である。
【0156】
図15に示す干渉光学系50は、光源2と、ビームスプリッター41と、光変調部12と、偏光子46と、受光素子10と、を備える。
図15の構成では、ビームスプリッター41に入射させるレーザー光L1をP偏光とするのが望ましい。
【0157】
図15に示す光変調部12が備える迂回光路7には、ビームスプリッター41で分割された2つの光のうち、一方のレーザー光L1が入射する。
図15に示す迂回光路7は、レーザー光L1を振動素子30に3回照射するように構成されている。他方のレーザー光L1は、対象物14に入射した後、レーザー光L3として受光素子10に入射する。
【0158】
ビームスプリッター41は、無偏光ビームスプリッターであり、偏光によらず、所定の分割比でレーザー光を分割する。
【0159】
図15に示す迂回光路7は、ビームスプリッター72と、1/4波長板73と、ミラー74と、ミラー75と、ミラー78と、を備える。
【0160】
迂回光路7に入射したレーザー光L1は、ビームスプリッター72を透過し、1/4波長板73を介して、振動素子30が備える第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L1には、変調信号が付加され、レーザー光L21が生成される。生成されたレーザー光L21は、再び1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻る。レーザー光L21は、ミラー74、75、78を介して、振動素子30が備える第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L21には、変調信号が付加され、レーザー光L22が生成される。生成されたレーザー光L22は、再びミラー78、75、74を介して、ビームスプリッター72に戻る。このレーザー光L22は、1/4波長板73を介して、再び第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L23には、変調信号が付加され、レーザー光L23が生成される。レーザー光L23は、1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻り、さらにビームスプリッター41および偏光子46を介して受光素子10に入射する。
【0161】
以上のように、
図15に示す迂回光路7では、レーザー光を振動素子30に3回照射することが可能になっている。これにより、3回の照射でいずれも同じ方向にレーザー光の位相をシフトさせることができる。その結果、レーザー光の位相シフトの量を3倍にすることができ、B値を3倍にすることができる。
以上のような第1変形例においても、第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0162】
9.第3実施形態の第2変形例
次に、第3実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計について説明する。
【0163】
図16は、第3実施形態の第2変形例に係るレーザー干渉計1が備えるセンサーヘッド部51を示す概略構成図である。
【0164】
以下、第3実施形態の第2変形例について説明するが、以下の説明では、第1、第2実施形態やその変形例との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、
図16において、前記第1、第2実施形態やその変形例と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0165】
第2変形例は、振動素子30にレーザー光を4回照射するように構成されている以外、第1変形例と同様である。
【0166】
図16に示す干渉光学系50は、光源2と、ビームスプリッター41と、光変調部12と、偏光子46と、受光素子10(受光部)と、を備える。
図16の構成では、ビームスプリッター41に入射させるレーザー光L1をP偏光とするのが望ましい。
【0167】
図16に示す迂回光路7には、ビームスプリッター41で分割された2つの光のうち、一方のレーザー光L1が入射する。
図16に示す迂回光路7は、レーザー光L1を振動素子30に4回照射するように構成されている。他方のレーザー光L1は、対象物14に入射した後、レーザー光L3として受光素子10に入射する。
【0168】
図16に示す迂回光路7は、ビームスプリッター72と、1/4波長板73と、ミラー74と、ミラー75と、ビームスプリッター76と、1/4波長板77と、ミラー79と、を備える。
【0169】
迂回光路7に入射したレーザー光L1は、ビームスプリッター72を透過し、1/4波長板73を介して、振動素子30が備える第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L1には、変調信号が付加され、レーザー光L21が生成される。生成されたレーザー光L21は、再び1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻る。レーザー光L21は、ミラー74、75およびビームスプリッター76を介して、振動素子30が備える第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L21には、変調信号が付加され、レーザー光L22が生成される。生成されたレーザー光L22は、1/4波長板77およびビームスプリッター76を介して、ミラー79で反射された後、ビームスプリッター76および1/4波長板77を介して、再び第2振動部32に入射する。これにより、レーザー光L22には、変調信号が付加され、レーザー光L23が生成される。生成されたレーザー光L23は、1/4波長板77、ビームスプリッター76、ミラー75、74、ビームスプリッター72および1/4波長板73を介して、再び第1振動部31に入射する。これにより、レーザー光L23には、変調信号が付加され、レーザー光L24が生成される。レーザー光L24は、1/4波長板73を介してビームスプリッター72に戻り、さらにビームスプリッター41および偏光子46を介して受光素子10に入射する。
【0170】
以上のように、
図16に示す迂回光路7では、レーザー光を振動素子30に4回照射することが可能になっている。これにより、4回の照射でいずれも同じ方向にレーザー光の位相をシフトさせることができる。その結果、レーザー光の位相シフトの量を4倍にすることができ、B値を4倍にすることができる。
以上のような第2変形例においても、第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0171】
10.各実施形態が奏する効果
以上のように、実施形態に係るレーザー干渉計1は、光源2と、光変調部12と、受光素子10(受光部)と、演算部52と、信号生成部6と、を備える。光源22は、レーザー光を射出する。光変調部12は、駆動信号Sdにより駆動する振動素子30を備え、振動素子30を用いてレーザー光に変調信号を重畳させる。受光素子10は、対象物14に由来するサンプル信号および変調信号を含むレーザー光を受光し、受光信号を出力する。演算部52は、基準信号Ssに基づいて、受光信号からサンプル信号を復調する。信号生成部6は、駆動信号Sdおよび基準信号Ssを出力する。
【0172】
また、光変調部12は、振動素子30と、第1光変調器33と、第2光変調器34と、迂回光路7と、を有する。振動素子30は、第1振動部31、および、第1振動部31と逆相で振動する第2振動部32を有する。第1光変調器33は、第1振動部31に設けられ、レーザー光を変調させる。第2光変調器34は、第2振動部32に設けられ、第1光変調器33で変調されたレーザー光を変調させる。迂回光路7は、第1光変調器33で変調されたレーザー光を第2光変調器34に入射させる。
【0173】
このような構成によれば、変調信号の位相偏移(B値)を大きくすることができるので、演算部52で処理される信号のS/N比を高めることができる。これにより、振動素子30の振動条件によらず、対象物14に由来するサンプル信号(ドップラー信号)をより高い精度で復調することができる。その結果、対象物の位置や速度の算出精度が高いレーザー干渉計1を実現することができる。
【0174】
また、振動素子30は、互いに表裏の関係を有する、第1振動部31である第1面311、および、第2振動部32である第2面321、を有し、厚みすべり振動モードを有する厚みすべり振動型素子であってもよい。この場合、第1光変調器33は、厚みすべり振動型素子の第1面311に設けられる第1回折格子331であり、第2光変調器34は、厚みすべり振動型素子の第2面321に設けられる第2回折格子341である。
【0175】
このような構成によれば、レーザー干渉計1の小型化、軽量化および低消費電力化を図ることができる。また、厚みすべり振動型素子は、他の振動モードを有する素子に比べて、耐衝撃性や温度特性に優れる点でも有用である。
【0176】
また、振動素子30は、第1振動部31である第1腕部312、および、第2振動部32である第2腕部322、を有する音叉型素子であってもよい。この場合、第1光変調器33は、第1腕部312の表面に設けられる第1反射面332であり、第2光変調器34は、第2腕部322の表面に設けられる第2反射面342である。
【0177】
このような構成によれば、レーザー干渉計1の小型化、軽量化および低消費電力化を図ることができる。また、音叉型素子は、回折格子等を設ける必要がなく、電極の表面を第1光変調器33および第2光変調器34として用いることができるため、構造の簡素化が図られやすい点でも有用である。
【0178】
また、音叉型素子は、面内振動モードを有していてもよい。この面内振動モードは、第1腕部312および第2腕部322が並ぶ腕部形成面の面内において振動するモードである。
【0179】
これにより、音叉型素子は、第1反射面332および第2反射面342の振幅を大きく確保することができる。これにより、B値をより大きくすることができる。
【0180】
また、音叉型素子は、面外振動モードを有していてもよい。この面外振動モードは、第1腕部312および第2腕部322が並ぶ腕部形成面と交差する方向に振動するモードである。
【0181】
これにより、音叉型素子は、第1反射面332および第2反射面342の振幅を大きく確保することができる。これにより、B値をより大きくすることができる。また、レーザー光の変調において面外振動モードを利用することにより、広い面積を持つ第1反射面332および第2反射面342を光反射面として利用することができる。これらは、レーザー光の照射位置のずれに対する許容性が高いため、製造容易性に優れるレーザー干渉計1を実現することができる。
【0182】
また、信号生成部6は、振動素子30を信号源とし、振動素子30に駆動信号Sdを出力し、振動素子30を発振させることにより、基準信号Ssを出力する発振回路61を備える。
【0183】
これにより、駆動信号Sdおよび基準信号Ssは、外乱を受けた場合、互いに同じ影響を受けることになる。そうすると、駆動信号Sdにより駆動された振動素子30を介して付加される変調信号、および、基準信号Ssも、互いに同じ影響を受ける。このため、変調信号および基準信号Ssが、演算部52における演算に供されたとき、演算の過程で、双方が含む外乱の影響を互いに相殺または低減させることができる。その結果、演算部52では、外乱を受けても、対象物14の位置や速度を精度よく求めることができる。
【0184】
また、振動素子30は、水晶振動子であることが好ましい。水晶振動子は、高いQ値を有することから、レーザー光L1にS/N比の高い変調信号を付加することができる。
【0185】
また、nを2以上の整数とするとき、光変調部12は、レーザー光L1をn回以上変調させる機能を有する。そして、振動素子30が駆動信号Sdにより駆動するときの周波数をfM[Hz]とし、レーザー光を1回変調させた時点からn回変調させるまでの間にレーザー光が進んだ光学的距離をLt[m]とするとき、迂回光路7は、Lt≦9×106/fMを満たすことが好ましい。
【0186】
これにより、1回目の位相変調とn回目の位相変調とのタイムラグがB値に及ぼす影響を十分に小さく抑えることができる。その結果、1回目の照射からn回目の照射までの全ての照射において、B値を大きくする方向に位相変調させる確率を高めることができる。
【0187】
レーザー光をn-1回変調させた時点からn回変調させるまでの間にレーザー光が進んだ光学的距離をL[m]とし、光速をc[m/s]とするとき、迂回光路7は、n≦c/(4LfM)を満たすことが好ましい。
【0188】
これにより、各照射でB値の増大に寄与できるため、B値をより確実に大きくすることができる。その結果、前処理部53が出力する前処理済み信号のS/N比をより確実に高めることができる。
【0189】
以上、本発明のレーザー干渉計を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明のレーザー干渉計は、前記実施形態やその変形例に限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、前記実施形態やその変形例に係るレーザー干渉計には、他の任意の構成物が付加されていてもよい。さらに、本発明のレーザー干渉計は、前記実施形態やその変形例のうちの2つ以上を含み合わせたものであってもよい。また、本発明のレーザー干渉計が有する各機能部は、複数の要素に分割されていてもよく、複数の機能部が1つに統合されていてもよい。
【0190】
本発明のレーザー干渉計は、前述した変位計や速度計の他、例えば、振動計、傾斜計、距離計(測長器)等にも適用可能である。また、本発明のレーザー干渉計の用途としては、距離計測、3Dイメージング、分光等を可能にする光コム干渉計測技術、角速度センサー、角加速度センサー等を実現する光ファイバージャイロ、移動ミラーデバイスを備えるフーリエ分光器が挙げられる。
【0191】
また、光源、光変調部および受光素子のうちの2つ以上は、同一の基板上に載置されていてもよい。これにより、干渉光学系の小型化および軽量化を容易に図るとともに、組立容易性を高めることができる。
【0192】
また、前記実施形態やその変形例は、いわゆるマイケルソン型干渉光学系を有するが、本発明のレーザー干渉計は、その他の方式の干渉光学系、例えばマッハツェンダー型干渉光学系を有するものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0193】
1…レーザー干渉計、2…光源、6…信号生成部、7…迂回光路、10…受光素子、12…光変調部、14…対象物、22…光源、30…振動素子、31…第1振動部、32…第2振動部、33…第1光変調器、34…第2光変調器、41…ビームスプリッター、42…ビームスプリッター、43…1/4波長板、44…ミラー、45…ミラー、46…偏光子、50…干渉光学系、51…センサーヘッド部、52…演算部、53…前処理部、55…復調処理部、57…復調信号出力部、59…本体部、61…発振回路、72…ビームスプリッター、73…1/4波長板、74…ミラー、75…ミラー、76…ビームスプリッター、77…1/4波長板、78…ミラー、79…ミラー、311…第1面、312…第1腕部、321…第2面、322…第2腕部、331…第1回折格子、332…第1反射面、341…第2回折格子、342…第2反射面、L1…レーザー光、L21…レーザー光、L22…レーザー光、L23…レーザー光、L24…レーザー光、L3…レーザー光、Sd…駆動信号、Ss…基準信号、a…固有振動数、b…固有振動数、c…固有振動数、d…固有振動数、e…固有振動数、fQ…固有振動数、fosc…発振周波数