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特開2024-21915電子機器の角度調整機構、及び、角度調整機構を備えたスタンド
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  • 特開-電子機器の角度調整機構、及び、角度調整機構を備えたスタンド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021915
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】電子機器の角度調整機構、及び、角度調整機構を備えたスタンド
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/12 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H04M1/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125115
(22)【出願日】2022-08-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100144358
【弁理士】
【氏名又は名称】藤掛 宗則
(72)【発明者】
【氏名】足和 直樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 知明
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023AA04
5K023BB04
5K023BB11
5K023CC01
5K023DD01
5K023KK07
5K023KK10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】角度変更時の操作性向上とともに製造コストの低減を図る電子機器の角度調整機構及び角度調整機構を備えたスタンドを提供する。
【解決手段】角度調整機構は、支持体2の筐体との接続側端部に形成されるガイド溝部22、ガイド溝部22の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材20、支持体2の接続側端部で、且つ、ガイド溝部22の裏面側に形成された嵌合凸部、ガイド溝部22に侵入可能なサイズに形成され板状材20の表面を摺動する摺動凸部10、板状材20の表面に形成され摺動凸部10の摺動を規制する第1のストッパ部21及び嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部Xを有する。角度調整機構は、ガイド溝部22に摺動凸部10を侵入させ、嵌合凸部が嵌合凹部Xと嵌合し、板状材20の所定の位置で第1のストッパ部21が摺動凸部10の摺動を規制することで選択された所定の傾斜角度が維持される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を構成する筐体と、当該筐体に接続され、当該筐体を水平な載置面に対して所定の傾斜角度を選択して傾斜支持する支持体と、を有する当該電子機器の角度調整機構であって、
前記支持体の前記筐体との接続側端部に形成されるガイド溝部と、当該ガイド溝部の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材と、
前記支持体の前記接続側端部で、且つ、前記ガイド溝部の裏面側に形成された嵌合凸部と、前記ガイド溝部に侵入可能なサイズに形成され、前記板状材の表面を摺動する摺動凸部と、
前記板状材の表面に形成され、当該摺動凸部の摺動を規制する第1のストッパ部と、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部と、を有し、
前記ガイド溝部に前記摺動凸部を侵入させ、前記嵌合凸部が嵌合凹部と嵌合し、前記板状材の所定の位置で前記第1のストッパ部が当該摺動凸部の摺動を規制することで選択された所定の傾斜角度が維持されることを特徴とする、
電子機器の角度調整機構。
【請求項2】
前記嵌合凹部が前記傾斜角度に応じて複数設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の電子機器の角度調整機構。
【請求項3】
前記支持体は、前記第1のストッパ部と比べて相対的に前記支持体の前記接続側端部近傍に形成された第2のストッパ部を有し、
前記第2のストッパ部は、前記ガイド溝部に侵入した前記摺動凸部が当該ガイド溝部から離脱することを規制することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子機器の角度調整機構。
【請求項4】
前記支持体は、前記接続側端部に形成されたスライドガイド部を有し、
前記スライドガイド部は、前記傾斜角度を選択する際に当接部に接して前記嵌合凸部と嵌合凹部とが嵌合する位置へ前記支持体を誘導することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子機器の角度調整機構。
【請求項5】
電子機器に取り付け可能に構成される、当該電子機器を水平な載置面に対して所定の傾斜角度を選択して傾斜支持する角度調整機構を備えたスタンドであって、
前記スタンドは、前記電子機器等に取る付けるための接続機構を備えた接続筐体と、支持体とを有し、
前記支持体には、前記接続筐体との接続側端部に形成されるガイド溝部と、当該ガイド溝部の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材と、当該支持体の前記接続側端部で、且つ、前記ガイド溝部の裏面側に形成された嵌合凸部と、が形成され、
前記接続筐体には、前記ガイド溝部に侵入可能なサイズに形成され、前記板状材の表面を摺動する摺動凸部と、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部と、が形成され、
前記支持体には、前記板状材の表面に形成され、当該摺動凸部の摺動を規制する第1のストッパ部が形成されており、
前記ガイド溝部に前記摺動凸部を侵入させ、前記嵌合凸部が嵌合凹部と嵌合し、前記板状材の所定の位置で前記第1のストッパ部が当該摺動凸部の摺動を規制することで選択された所定の傾斜角度が維持されることを特徴とする、
角度調整機構を備えたスタンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電話機等の電子機器の設置角度、また、スタンドを用いて設置角度を可変にする角度調整機構、及び、角度調整機構を備えたスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の設置角度を設定するものとして、例えば特許文献1に開示された角度設定構造のように、筐体底部とスタンドの片側が回転して係合し、筐体底部と係合しているスタンドが筐体を支持することで電子機器の設置角度を設定するものがある。
また、特許文献2に開示された多段階角度設定構造のように、1つのスタンドを操作することで設置角度を変更することができ、且つ、多段階の角度設定を可能にするものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-266087号公報
【特許文献2】実公3183825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された電子機器の角度設定構造では、スタンドに2つの部材を使用した角度設定構造であり、使用者がスタンドの角度変更時に複数の部材を操作する必要がある。そのため、使用者が容易に角度変更できない、という問題がある。
また、特許文献2に開示された電子機器の多段階角度設定構造では、部品点数が2点以上となること、係合パーツに形成されている歯車状の形状がアンダーカット形状であること、などから製造コスト低減のさらなる工夫が必要である、という課題が残る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、角度変更時の操作性向上とともに製造コストの低減を図ることができる電子機器の角度調整機構を提供することを、主たる目的とする。また、角度調整機構を備えたスタンドを提供する。
【0006】
上記課題を解決する本発明は、電子機器を構成する筐体と、当該筐体に接続され、当該筐体を水平な載置面に対して所定の傾斜角度を選択して傾斜支持する支持体と、を有する当該電子機器の角度調整機構であって、前記支持体の前記筐体との接続側端部に形成されるガイド溝部と、当該ガイド溝部の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材と、前記支持体の前記接続側端部で、且つ、前記ガイド溝部の裏面側に形成された嵌合凸部と、前記ガイド溝部に侵入可能なサイズに形成され、前記板状材の表面を摺動する摺動凸部と、前記板状材の表面に形成され、当該摺動凸部の摺動を規制する第1のストッパ部と、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部と、を有し、前記ガイド溝部に前記摺動凸部を侵入させ、前記嵌合凸部が嵌合凹部と嵌合し、前記板状材の所定の位置で前記第1のストッパ部が当該摺動凸部の摺動を規制することで選択された所定の傾斜角度が維持されることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、電子機器に取り付け可能に構成される、当該電子機器を水平な載置面に対して所定の傾斜角度を選択して傾斜支持する角度調整機構を備えたスタンドであって、前記スタンドは、前記電子機器等に取る付けるための接続機構を備えた接続筐体と、支持体とを有し、前記支持体には、前記接続筐体との接続側端部に形成されるガイド溝部と、当該ガイド溝部の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材と、当該支持体の前記接続側端部で、且つ、前記ガイド溝部の裏面側に形成された嵌合凸部と、が形成され、前記接続筐体には、前記ガイド溝部に侵入可能なサイズに形成され、前記板状材の表面を摺動する摺動凸部と、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部と、が形成され、前記支持体には、前記板状材の表面に形成され、当該摺動凸部の摺動を規制する第1のストッパ部が形成されており、前記ガイド溝部に前記摺動凸部を侵入させ、前記嵌合凸部が嵌合凹部と嵌合し、前記板状材の所定の位置で前記第1のストッパ部が当該摺動凸部の摺動を規制することで選択された所定の傾斜角度が維持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、角度変更時の操作性向上とともに製造コストの低減を図ることができる電子機器の角度調整機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る電話機の構成の一例を説明するための概略背面斜視図。
図2】(a)、(b)、(c)は、スタンドの構成の一例を示す概略斜視図。
図3】(a)、(b)は、スタンドの構成の一例を説明するための図。
図4】電話機からスタンドを取り外した状態の一例を示す概略背面図。
図5図4に示す領域Cを部分拡大した3次元モデル図。
図6】(a)、(b)は、角度調整機構において所定の傾斜角度を選択して、この傾斜角度が維持される一連の動作について説明するための概略縦断面図。
図7】(a)、(b)は、角度調整機構において所定の傾斜角度を選択して、この傾斜角度が維持される一連の動作について説明するため三次元モデル化した模式図。
図8】角度調整機構において所定の傾斜角度が選択された状態を説明するための図。
図9】角度調整機構において所定の傾斜角度が選択された状態を説明するため三次元モデル化した模式図。
図10】スライドガイド部と当接部の機能構成を説明するため三次元モデル化した模式図。
図11図10とは異なる、スライドガイド部と当接部の機能構成を説明するため三次元モデル化した模式図。
図12】角度調整機構における選択可能な傾斜角度の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を電子機器の一例である電話機に適用した場合を例に挙げて、図を用いて説明する。なお、電話機を対象とするユースケースを例に挙げて説明するが、本発明に係る電子機器の角度調整機構の利用はこれに限るものではない。
【0011】
また、例えば電話機を構成する筐体と、当該筐体に接続され、当該筐体を水平な載置面に対して所定の傾斜角度を選択して傾斜支持するスタンド(支持体)において、角度調整機構の構成を当該筐体と当該スタンドそれぞれで実現する場合を例に挙げて説明する。
なお、この構成の他にも、電話機等に着脱自在なスタンドとして当該スタンド単体で本発明に係る角度調整機構の機能を実現することもできる。いずれの構成を採用するかは任意に選択可能である。
【0012】
[実施形態例]
図1は、本実施形態に係る電話機の構成の一例を説明するための概略背面斜視図である。
図1に示す電話機100は、電話機本体1(以下、筐体1と称す)、支持体2(以下、スタンド2と称す)を含んで構成される。
ここで本実施形態においては、電話機100が有する角度調整機構により、図12に示す3つのパターンの角度変更が可能になるものとして説明を進める。なお、3つのパターンの角度変更は一例であり、後述する嵌合凹部の増減により選択可能な傾斜角度を増やしたり、減らしたりすることもできる。
【0013】
図2は、スタンド2の構成の一例を示す概略斜視図である。図2(a)は全体外観を示しており、図2(b)はスタンド2における筐体1との接続側端部の外側方向の構成(図2中の領域A)を説明するため部分拡大した三次元モデル図であり、図2(c)はスタンド2における筐体1との接続側端部の内側方向の構成(図2中の領域C)を説明するため部分拡大した三次元モデル図である。
【0014】
また、図3はスタンド2の構成の一例を説明するための図である。図3(a)は、スタンド2の側面図であり、図3(b)は、図2中のAA線における断面図である。なお、図3(b)中の矢印は後述する板状材20の揺動方向を示している。
以下、図2図3を用いてスタンド2の構成、特に角度調整機構に係る構成について以下説明する。
【0015】
本実施形態に係るスタンド2は、例えば樹脂素材を用いて、図1図2に示すように略U字形状に形成される。スタンド2は、略U字形状の2つの端部それぞれが筐体1と接続されるように構成される。
なお、本実施形態では、スタンド2の形状にともない、筐体1との接続側端部2か所それぞれに角度調整機構を形成している場合について説明する。これに限らず、スタンドの形状や筐体との接続態様に応じて少なくとも1つの角度調整機構を有していれば良い。
【0016】
図2に示すようにスタンド2は、当該スタンド2の筐体1との接続側端部に形成されたガイド溝部22、当該ガイド溝部22の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材20を有する。
ガイド溝部22は、スタンド2の内側方向で対向する2か所に形成され、後述する摺動凸部10のサイズに応じて形成される。摺動凸部10は、ガイド溝部22に侵入可能なサイズに形成され、板状材20の表面を摺動するものである。詳細は後述する。
【0017】
なお、耐久性が担保されることを条件に、摺動凸部10のサイズに応じてガイド溝部22のサイズ(幅、深さ等)を設定する他に、当該ガイド溝部22のサイズに応じて摺動凸部10のサイズを決定しても良い。
【0018】
板状材20は、例えば弾性を有する樹脂材などを用いてそれぞれのガイド溝部22の内部空間に形成される板バネ状の部材である。それぞれの板状材20は、ガイド溝部22の内部空間において所定の範囲で揺動が可能となるように形成される。なお、揺動する方向は、スタンド2を基準に内側方向と外側方向である(図2(a)、図3(b)等参照)。
【0019】
またスタンド2は、板状材20の表面に形成され、後述する摺動凸部の摺動を規制する第1のストッパ部21、当該第1のストッパ部21と比べて相対的にスタンド2の接続側端部近傍に形成された第2のストッパ部25を有する(図2(c)、図3(b)等参照)。
第1のストッパ部21は、板状材20の表面に形成された突起体であり、ガイド溝部22に侵入し板状材20の表面を摺動する摺動凸部10を当該板状材20の所定の位置で摺動(移動)を規制するためのものである。
【0020】
第2のストッパ部25は、ガイド溝部22に侵入した摺動凸部10が当該ガイド溝部22から離脱することを規制するためのものである。
なお、第1のストッパ部21は、後述するように摺動凸部10が乗り越えられる程度の傾斜面と、乗り越えた後に戻ることを困難にする程度の傾斜面の少なくとも2面を備える突起体である。前者は例えば45度の傾斜面とし、後者は例えば80度の傾斜面などとすることができる。
【0021】
またスタンド2は、当該スタンド2の接続側端部で、且つ、ガイド溝部22の裏面側に形成された嵌合凸部23を有する(図2(b)、図3(a)等参照)。なお、この嵌合凸部23は、後述する嵌合凹部(X、Y)と嵌合する形状に形成される。
【0022】
またスタンド2は、接続側端部に形成されたスライドガイド部26を有する。スライドガイド部26は、例えば円柱形状に形成されたものであり、傾斜角度を選択する際に後述する当接部15、16(図10図11中の15、15a、16、16a)に接することで、嵌合凸部23と嵌合凹部(X、Y)とが嵌合する位置へスタンド2を誘導するためのものである。
【0023】
図4は、電話機100からスタンド2を取り外した状態の一例を示す概略背面図である。また、図5は、図4に示す領域Cを部分拡大した3次元モデル図である。
図4図5を用いて、後述するスタンド2の端部それぞれが接続される一対の接続部位(領域C)の構成、特に角度調整機構に係る構成について以下説明する。
【0024】
図4に示すように、筐体1の背面側には、スタンド2の端部が接続される一対の接続部位(領域C)が形成される。
領域Cには、摺動凸部10、略扇形状に形成された第1の嵌合ガイド部11、第2の嵌合ガイド部12、第3の嵌合ガイド部13が形成される。
摺動凸部10は、例えば円柱形状に形成された突起であり、ガイド溝部22に侵入可能なサイズに形成される。摺動凸部10は、板状材20の表面を摺動する。
【0025】
第1の嵌合ガイド部11と第2の嵌合ガイド部12は、図5に示すように、前述した嵌合凸部23が嵌合する嵌合凹部Xを形成する。また、第2の嵌合ガイド部12と第3の嵌合ガイド部13は、図5に示すように、前述した嵌合凸部23が嵌合する嵌合凹部Yを形成する。
以下、角度調整機構において所定の傾斜角度を選択して、この傾斜角度が維持される一連の動作について説明する。
【0026】
図6は、角度調整機構において所定の傾斜角度を選択して、この傾斜角度が維持される一連の動作について説明するための概略縦断面図である。図6(a)は、使用者が所定の傾斜角度を選択する動作(角度調整中のニュートラル状態)を示し、図6(b)は、使用者が選択した傾斜角度を維持する動作(角度決定後の固定状態)を示している。
【0027】
また、図7は、角度調整機構において所定の傾斜角度を選択して、この傾斜角度が維持される一連の動作について説明するため三次元モデル化した模式図である。図7(a)は、使用者が所定の傾斜角度を選択する動作における角度調整機構の状態を示し、図7(b)は、使用者が選択した傾斜角度を維持する動作における角度調整機構の状態を示している。具体的には、説明の便宜上、図5に示す各構成を当該図5正面から見て左側から見た様子として示している。
【0028】
使用者が所定の傾斜角度を選択する動作は、図6(a)に示すように、嵌合凸部23が嵌合凹部X、嵌合凹部Yに嵌合していない状態のスタンド2を回動させる動作である。この状態における角度調整機構の様子は、図7(a)に示すような状態である。
【0029】
摺動凸部10は、ガイド溝部22内において板状材20上の第1のストッパ部21よりも相対的にスタンド2の接続側端部近傍に位置しており、第1のストッパ部21を乗り越えていない状態にある。なお、摺動凸部10は第2のストッパ部25によりガイド溝部22から離脱することが規制される。そのため、使用者が所定の傾斜角度を選択する動作においてスタンド2が筐体1から脱落してしまうことを防止することができる。
【0030】
使用者が選択した傾斜角度を維持する動作は、図6(b)に示すように、嵌合凸部23を嵌合凹部Xに嵌合させる動作である。この状態における角度調整機構の様子は、図7(b)に示すような状態である。
【0031】
摺動凸部10は、ガイド溝部22内において板状材20上の第1のストッパ部21を乗り越えている状態にある。また、嵌合凸部23を嵌合凹部Xに嵌合している状態である。
例えば、嵌合凸部23と嵌合凹部Xの嵌合状態が「ゆるみ」のある状態であっても、摺動凸部10が板状材20上の第1のストッパ部21を乗り越えている状態であるため、容易に嵌合状態が解除されることを抑制することが可能になる。そのため、より的確に使用者が選択した傾斜角度を維持することができる。
なお、ここでは嵌合凸部23が嵌合凹部Xに嵌合させる場合を例に挙げて説明した。嵌合凸部23が嵌合凹部Yに嵌合させる場合も同様の動作となる。
【0032】
図8は、角度調整機構において所定の傾斜角度が選択された状態を説明するための図である。なお図8は説明の便宜上、図5に示す各構成を当該図5正面から見て裏側(筐体の内部側)から見た様子として示す模式図である。
図9は、角度調整機構において所定の傾斜角度が選択された状態を説明するため三次元モデル化した模式図である。
【0033】
前述した図6(b)、図7(b)における角度調整機構の様子は、図8図9に示すような嵌合凸部23を嵌合凹部Xに嵌合している状態になる。
なお、ここでは嵌合凸部23が嵌合凹部Xに嵌合させる場合を例に挙げて示した。嵌合凸部23が嵌合凹部Yに嵌合させる場合も同様である。
【0034】
このようにして角度調整機構は、ガイド溝部22に摺動凸部10を侵入させて、板状材20の所定の位置で第1のストッパ部21が当該摺動凸部10の摺動を規制するとともに、嵌合凸部23が嵌合凹部X(あるいは嵌合凹部Y)と嵌合することで使用者により選択された所定の傾斜角度を維持することができる角度調整機構として機能する。
【0035】
図10は、スライドガイド部26と当接部15の機能構成を説明するため三次元モデル化した模式図である。なお、図10は説明の便宜上、図5に示す各構成を当該図5正面から見て斜横方向から見た様子として示し、スタンド2を透過して示している。
【0036】
角度調整機構におけるスライドガイド部26と当接部15は、スライドガイド部26の側面を当接部15の側壁15aに当てつつスタンド2を回動させることで、使用者の傾斜角度を選択において嵌合凸部23を嵌合凹部Xに嵌合させることを容易にする。
そのため当接部15は、図10に示すように、スライドガイド部26を介して嵌合凹部Xに嵌合凸部23が向かうことを促すように所定の高さでライン状に形成される。
スライドガイド部26と当接部15により、嵌合凸部23と嵌合凹部Xとが嵌合する位置へスタンド2の誘導が容易になる。
【0037】
図11は、スライドガイド部26と当接部16の機能構成を説明するため三次元モデル化した模式図である。なお、図11は説明の便宜上、図5に示す各構成を当該図5正面から見て斜横方向から見た様子として示し、スタンド2を透過して示している。
【0038】
角度調整機構におけるスライドガイド部26と当接部16は、スライドガイド部26の側面を当接部16の側壁16aに当てつつスタンド2を回動させることで、使用者の傾斜角度を選択において嵌合凸部23を嵌合凹部Yに嵌合させることを容易にする。
そのため当接部16は、図11に示すように、スライドガイド部26を介して嵌合凹部Yに嵌合凸部23が向かうことを促すように所定の高さでライン状に形成される。
スライドガイド部26と当接部16により、嵌合凸部23と嵌合凹部Yとが嵌合する位置へスタンド2の誘導が容易になる。
【0039】
図12は、角度調整機構における選択可能な傾斜角度の一例を示す図である。
図12(a)は、傾斜角度が0度の場合のスタンド2の状態を示している。この場合、嵌合凸部23は嵌合凹部X、Yいずれにも嵌合していない状態である。
図12(b)は、嵌合凸部23が嵌合凹部Xと嵌合している場合のスタンド2の状態を示している。この場合の傾斜角度は例えば50度である。
図12(c)は、嵌合凸部23が嵌合凹部Yと嵌合している場合のスタンド2の状態を示している。この場合の傾斜角度は例えば30度である。
【0040】
このように、本実施形態に係る電話機100の角度調整機構では、角度変更時の操作性向上とともに部品点数を減らすことによる製造コストの低減を図ることができる。
また、角度調整中のニュートラル状態、及び、角度決定後の固定状態をシンプルな構成で実現することができる。また、嵌合凸部23と嵌合凹部X、Yを含む構成により角度調整時に段階の切り替わりがわかりやすくなり、所定の傾斜角度に設定しやすくなる。
【0041】
なお、本発明に係る角度調整機構は、電話機等の電子機器に後付け可能であり(着脱自在であり)、角度調整機構を有するスタンドとして構成することもできる。
この場合、例えばスタンド2の構成はそのままに、当該スタンド2を電子機器等に取る付けるための接続機構を備えた接続筐体に摺動凸部10、嵌合凹部X、Y、当接部15、16の各構成を設ける。
これにより、この接続筐体とスタンド2において角度調整機構を構成し、これらを電子機器等に取る付けることで本実施形態に係る機能と同等の機能を後付け可能なスタンドとして実現することができる。
【0042】
上記説明は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれ、例えば上述した各実施形態の一部を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0043】
1・・・筐体、2・・・スタンド(支持体)、10・・・摺動凸部、11、12.13・・・嵌合ガイド部、15、16・・・当接部、20・・・板状材、21、25・・・ストッパ部、22・・・ガイド溝部、23・・・嵌合凸部、26・・・スライドガイド部、X、Y・・・嵌合凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を構成する筐体と、当該筐体に接続され、当該筐体を水平な載置面に対して所定の傾斜角度を選択して傾斜支持する支持体と、を有する当該電子機器の角度調整機構であって、
前記支持体の前記筐体との接続側端部に形成されるガイド溝部と、当該ガイド溝部の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材と、
前記支持体の前記接続側端部で、且つ、前記ガイド溝部の裏面側に形成された嵌合凸部と、前記ガイド溝部に侵入可能なサイズに形成され、前記板状材の表面を摺動する摺動凸部と、
前記板状材の表面に形成され、当該摺動凸部の摺動を規制する第1のストッパ部と、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部と、を有し、
前記ガイド溝部に前記摺動凸部を侵入させ、前記嵌合凸部が嵌合凹部と嵌合し、前記板状材の所定の位置で前記第1のストッパ部が当該摺動凸部の摺動を規制することで選択された所定の傾斜角度が維持されることを特徴とする、
電子機器の角度調整機構。
【請求項2】
前記嵌合凹部が前記傾斜角度に応じて複数設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の電子機器の角度調整機構。
【請求項3】
前記支持体は、前記第1のストッパ部と比べて相対的に前記支持体の前記接続側端部近傍に形成された第2のストッパ部を有し、
前記第2のストッパ部は、前記ガイド溝部に侵入した前記摺動凸部が当該ガイド溝部から離脱することを規制することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子機器の角度調整機構。
【請求項4】
前記支持体は、前記接続側端部に形成されたスライドガイド部を有し、
前記スライドガイド部は、前記傾斜角度を選択する際に当接部に接して前記嵌合凸部と嵌合凹部とが嵌合する位置へ前記支持体を誘導することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子機器の角度調整機構。
【請求項5】
電子機器に取り付け可能に構成される、当該電子機器を水平な載置面に対して所定の傾斜角度を選択して傾斜支持する角度調整機構を備えたスタンドであって、
前記スタンドは、前記電子機器に付けるための接続機構を備えた接続筐体と、支持体とを有し、
前記支持体には、前記接続筐体との接続側端部に形成されるガイド溝部と、当該ガイド溝部の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材と、当該支持体の前記接続側端部で、且つ、前記ガイド溝部の裏面側に形成された嵌合凸部と、が形成され、
前記接続筐体には、前記ガイド溝部に侵入可能なサイズに形成され、前記板状材の表面を摺動する摺動凸部と、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部と、が形成され、
前記支持体には、前記板状材の表面に形成され、当該摺動凸部の摺動を規制する第1のストッパ部が形成されており、
前記ガイド溝部に前記摺動凸部を侵入させ、前記嵌合凸部が嵌合凹部と嵌合し、前記板状材の所定の位置で前記第1のストッパ部が当該摺動凸部の摺動を規制することで選択された所定の傾斜角度が維持されることを特徴とする、
角度調整機構を備えたスタンド。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また本発明は、電子機器に取り付け可能に構成される、当該電子機器を水平な載置面に対して所定の傾斜角度を選択して傾斜支持する角度調整機構を備えたスタンドであって、前記スタンドは、前記電子機器に付けるための接続機構を備えた接続筐体と、支持体とを有し、前記支持体には、前記接続筐体との接続側端部に形成されるガイド溝部と、当該ガイド溝部の内部空間に形成され揺動可能に構成された板状材と、当該支持体の前記接続側端部で、且つ、前記ガイド溝部の裏面側に形成された嵌合凸部と、が形成され、前記接続筐体には、前記ガイド溝部に侵入可能なサイズに形成され、前記板状材の表面を摺動する摺動凸部と、前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部と、が形成され、前記支持体には、前記板状材の表面に形成され、当該摺動凸部の摺動を規制する第1のストッパ部が形成されており、前記ガイド溝部に前記摺動凸部を侵入させ、前記嵌合凸部が嵌合凹部と嵌合し、前記板状材の所定の位置で前記第1のストッパ部が当該摺動凸部の摺動を規制することで選択された所定の傾斜角度が維持されることを特徴とする。