(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021920
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】光トランシーバ、光通信システム及び光トランシーバへの光入力方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/40 20130101AFI20240208BHJP
H04B 10/572 20130101ALI20240208BHJP
【FI】
H04B10/40
H04B10/572
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125124
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】仲野 雅之
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA18
5K102AH02
5K102AH26
5K102AH30
5K102PB13
5K102PC16
5K102PH01
5K102PH31
5K102PH41
(57)【要約】
【課題】効率的に消費電力を低減できる光トランシーバ、光通信システム及び光トランシーバへの光入力方法を提供すること。
【解決手段】第1の入出力ポートP1は、通信先装置と接続される。第2の入出力ポートP2は、光源10と接続される。光信号送信部1は、第2の入出力ポートP2から入力された光Lを受け取り、受け取った光Lを変調した光信号LTを第1の入出力ポートP1を介して出力する。光信号受信部2は、通信先装置から第1の入出力ポートP1に入力される光信号LRを受信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信先装置と接続される第1の入出力ポートと、
外部に設けられた光源と接続される第2の入出力ポートと、
前記光源から前記第2の入出力ポートを介して入力された光を変調した第1の光信号を前記第1の入出力ポートを介して出力する光信号送信部と、
前記通信先装置から前記第1の入出力ポートに入力された第2の光信号を受信する光信号受信部と、を備える、
光トランシーバ。
【請求項2】
前記第2の光信号は、前記光源が出力する前記光の波長を指定する信号を含み、
前記光トランシーバは、前記光の波長を指定する信号に応じて、前記第2の入出力ポートを介して、前記光源が出力する前記光の波長の変更を指令する第3の光信号を前記光源に出力する、
請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項3】
前記光信号受信部は、
前記第2の光信号を受信し、受信結果を示す信号を出力する受光部と、
前記受信結果を示す信号に含まれる前記光の波長を指定する信号を受信し、受信した信号である波長要求信号を出力する波長要求信号受信部と、
前記波長要求信号に応じて、前記光の波長の変更を指令する信号を出力する制御部と、
前記光の波長の変更を指令する信号を前記第3の光信号に変換して、前記第2の入出力ポートを介して前記光源に出力する波長変更信号出力部と、を備える、
請求項2に記載の光トランシーバ。
【請求項4】
前記光源は、
波長可変光源素子と、
光源制御部と、を備え、
前記光源制御部は、前記第3の光信号に応じて、制御信号を前記波長可変光源素子に出力して、前記波長可変光源素子が出力する前記光の波長を変更する、
請求項3に記載の光トランシーバ。
【請求項5】
前記光源は、
複数の波長可変光源素子と、
光源制御部と、を備え、
前記光源制御部は、前記第3の光信号に応じて、制御信号を前記複数の波長可変光源素子に出力して、前記第3の光信号が指定する波長に対応する1つの波長可変光源素子のみから前記光が出力されるように、前記複数の波長可変光源素子を制御する、
請求項3に記載の光トランシーバ。
【請求項6】
前記光源から前記第2の入出力ポートを介して入力される前記光を前記光信号送信部へ出力し、前記波長変更信号出力部から入力される前記第3の光信号を前記第2の入出力ポートへ出力する第1の光サーキュレータを更に備える、
請求項3又は4に記載の光トランシーバ。
【請求項7】
前記第1の入出力ポートと前記光信号受信部との間に挿入され、前記第2の光信号を波長フィルタリングする波長可変フィルタと、
前記光信号送信部から入力される前記第1の光信号を前記第1の入出力ポートへ出力し、前記通信先装置から前記第1の入出力ポートを介して入力される前記第2の光信号を前記波長可変フィルタへ出力する第2の光サーキュレータと、を更に備え、
前記制御部は、前記波長要求信号に応じて、前記波長可変フィルタが透過させる波長を指定する信号を出力し、
前記波長可変フィルタは、前記波長可変フィルタが透過させる波長を指定する信号に応じて、透過させる光の波長を変更する、
請求項3に記載の光トランシーバ。
【請求項8】
前記光トランシーバは、SFP光トランシーバとして構成される、
請求項1又は2に記載の光トランシーバ。
【請求項9】
光トランシーバと、
前記光トランシーバへ光を出力する光源と、を備え、
前記光トランシーバは、
通信先装置と接続される第1の入出力ポートと、
前記光源と接続される第2の入出力ポートと、
前記光源から前記第2の入出力ポートを介して入力される前記光を変調した第1の光信号を前記第1の入出力ポートを介して出力する光信号送信部と、
前記通信先装置から前記第1の入出力ポートに入力された第2の光信号を受信する光信号受信部と、を備える、
光通信システム。
【請求項10】
通信先装置と接続される第1の入出力ポートと、外部に設けられた光源と接続される第2の入出力ポートと、受け取った光を変調した第1の光信号を前記第1の入出力ポートを介して出力する光信号送信部と、前記通信先装置から前記第1の入出力ポートに入力される第2の光信号を受信する光信号受信部と、を備える光トランシーバにおいて、前記光源から、前記第2の入出力ポートを介して、前記光信号送信部に光が入力される、
光トランシーバへの光入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光トランシーバ、光通信システム及び光トランシーバへの光入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信トラフィックの急激な増加により、伝送容量の拡大が必要となっている。これに応じて、光ネットワークシステムの高速化/大容量化が進展している。光ネットワークシステムのキーデバイスである光トランシーバ(特許文献1~3)には、高速化、消費電力の低減、光スルー機能などの実現が求められている。
【0003】
例えば、IWON(Innovative Optical and Wireless Network)構想では、SFP(Small Form-Factor Pluggable)光トランシーバが採用されており、SFP光トランシーバのような小型の光モジュールにおいて、こうした要求を満たすことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/105143号
【特許文献2】特開2020-194958号公報
【特許文献3】特開2003-283435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、SFP光トランシーバの消費電力には上限が存在するのに対し、上述の通り、SFP光トランシーバに実装すべき機能は増加の一途を辿っている。そのため、SFP光トランシーバに機能を実装しようとしても、十分な電力を確保できない事態が生じる。その結果、SFP光トランシーバにおける低消費電力化と、伝送レート向上や多値変調などの高速化の取り組み、波長の柔軟な設定といった機能と、を併せて実現することは困難である。
【0006】
そこで、SFP光トランシーバに更なる機能を付与するため、より効率的に消費電力を低減する手法の確立が求められている。
【0007】
本開示は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、効率的に消費電力を低減できる光トランシーバ、光通信システム及び光トランシーバへの光入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様である光トランシーバは、通信先装置と接続される第1の入出力ポートと、外部に設けられた光源と接続される第2の入出力ポートと、前記光源から前記第2の入出力ポートを介して入力された光を変調した第1の光信号を前記第1の入出力ポートを介して出力する光信号送信部と、前記通信先装置から前記第1の入出力ポートに入力された第2の光信号を受信する光信号受信部と、を備えるものである。
【0009】
本開示の一態様である光通信システムは、光トランシーバと、前記光トランシーバへ光を出力する光源と、を備え、前記光トランシーバは、通信先装置と接続される第1の入出力ポートと、前記光源と接続される第2の入出力ポートと、前記光源から前記第2の入出力ポートを介して入力される前記光を変調した第1の光信号を前記第1の入出力ポートを介して出力する光信号送信部と、前記通信先装置から前記第1の入出力ポートに入力された第2の光信号を受信する光信号受信部と、を備えるものである。
【0010】
本開示の一態様である光トランシーバへの光入力方法は、通信先装置と接続される第1の入出力ポートと、外部に設けられた光源と接続される第2の入出力ポートと、受け取った光を変調した第1の光信号を前記第1の入出力ポートを介して出力する光信号送信部と、前記通信先装置から前記第1の入出力ポートに入力される第2の光信号を受信する光信号受信部と、を備える光トランシーバにおいて、前記光源から、前記第2の入出力ポートを介して、前記光信号送信部に光が入力されるものである。
【0011】
本開示によれば、効率的に消費電力を低減できる光トランシーバ、光通信システム及び光トランシーバへの光入力方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1にかかる光トランシーバの構成を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる光通信システムの構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態2にかかる光通信システムの構成を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態2にかかる光源の構成を模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態2にかかる光通信システムの波長変更動作のシーケンスを示す図である。
【
図6】実施の形態3にかかる光通信システムの構成を模式的に示す図である。
【
図7】実施の形態3にかかる光源の構成を模式的に示す図である。
【
図8】実施の形態3にかかる光通信システムの波長変更動作のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
実施の形態1
実施の形態1にかかる光トランシーバについて説明する。
図1に、実施の形態1にかかる光トランシーバ100の構成を模式的に示す。光トランシーバ100は、光信号送信部1、光信号受信部2、第1の入出力ポートP1及び第2の入出力ポートP2を有する。本構成では、第1の入出力ポートP1を通じて通信相手である通信先装置と双方向通信を行い、第2の入出力ポートP2を通じて光トランシーバ100の外部に設けられた光源10から光Lが導入される。
【0015】
第1の入出力ポートP1は、光ファイバなどの光伝送路によって、光トランシーバ100と双方向の通信を行う通信先装置と接続される。なお、ここでいう接続とは、第1の入出力ポートP1と通信先装置との間に、通信を媒介する各種の装置や機器が介在してもよいことは言うまでも無い。
【0016】
第2の入出力ポートP2は、光ファイバなどの光伝送路によって、光トランシーバ100の外部に設けられた光源10と接続される。
【0017】
なお、第1の入出力ポートP1はSFP(Small Form-Factor Pluggable)光トランシーバにおける送信ポート及び受信ポートの一方に対応し、第2の入出力ポートP2はSFP光トランシーバにおける送信ポート及び受信ポートの他方に対応する。
【0018】
光信号送信部1は、光トランシーバ100の外部に設けられた光源10が出力する光Lが、第2の入出力ポートP2を介して入力される。光信号送信部1は、外部から入力される電気信号である送信データ信号DTに応じて光Lを変調した光信号LTを、第1の入出力ポートP1を介して、外部の通信先装置へ出力する。なお、光信号LTは、第1の光信号とも称する。
【0019】
ここでは、外部の光源10は、波長可変レーザモジュールとして構成される。なお、光源10はこれに限られるものではなく、適宜、各種の構成を有する光源として構成されてもよい。
【0020】
通信先装置から第1の入出力ポートP1を介して入力された光信号LRは、光信号受信部2へ入力される。光信号受信部2は、受け取った光信号LRを電気信号である受信データ信号DRに変換して、外部に、例えば、後述する光伝送装置1100に出力する。なお、光信号LRは、第2の光信号とも称する。
【0021】
光トランシーバ100及びその周辺機器についてより詳しく説明する。
図2に、実施の形態1にかかる光通信システム1000の構成を模式的に示す。
図2の光トランシーバ100は、光サーキュレータ3、電気コネクタ4及び波長可変フィルタ5を更に有する。なお、光サーキュレータ3は、第2の光サーキュレータとも称する。
【0022】
波長可変フィルタ5は、第1の入出力ポートP1と光信号受信部2との間に挿入される。光サーキュレータ3は、第1の入出力ポートP1、光信号送信部1及び波長可変フィルタ5の間に挿入される。
【0023】
光トランシーバ100が波長可変光トランシーバとして構成される場合、第1の入出力ポートP1を介して受信する光信号LRの波長も用途によって変化することが想定される。本構成におけるように、光信号受信部2の前段に波長可変フィルタ5を挿入することにより、波長可変フィルタ5を透過した、受信すべき波長の光信号LR_Fを選択的に光信号受信部2に入力させることができる。
【0024】
光信号送信部1は、光変調器ドライバ11及び光変調器12を有する。光変調器ドライバ11は、電気コネクタ4を介して送信データ信号DTを受け取り、送信データ信号DTに基づいた変調信号MDを光変調器12へ出力する。光変調器12は、変調信号MDに応じて光Lを変調した光信号LTを、光サーキュレータ3へ出力する。光信号LTは、光サーキュレータ3によって、第1の入出力ポートP1を介して外部の通信先装置へ出力される。
【0025】
光信号受信部2は、受光部21及び信号処理部22を有する。光信号LRは、通信先装置から第1の入出力ポートP1を介して、光サーキュレータ3に入力される。光信号LRは、光サーキュレータ3によって、波長可変フィルタ5へ出力される。波長可変フィルタ5は、光信号LRを波長フィルタリングし、透過波長の光信号LR_Fを受光部21へ出力する。受光部21は、光信号LR_Fを受信し、光信号LR_Fを光電変換して得られた電気信号である信号SRを、信号処理部22へ出力する。信号処理部22は、受光部21から出力された信号SRに所定の信号処理を行うことで得られる受信データ信号DRを、電気コネクタ4を介して外部へ出力する。
【0026】
光トランシーバ100の電気コネクタ4は、光伝送装置1100に挿入されている。このように、なお、図面の簡略化のため、光伝送装置1100には1つの光トランシーバ100が取り付けられる例を示したが、光伝送装置1100には、光トランシーバ100が複数取り付けられてもよく、1つ以上の光トランシーバ100と1つ以上の他の光トランシーバが取り付けられてもよい。
【0027】
光源10は、光伝送装置1100が設置される局舎内において、光伝送装置とは別に設けられた光源ユニットに収容されていてもよい。また、光源10は、光伝送装置1100内に設けられていてもよい。
【0028】
以上、本構成によれば、光源10を光トランシーバ100の外部に設けることができるので、光源10による消費電力の分だけ、光トランシーバ100の消費電力を削減することができる。その結果、高速化などの各種機能を実現する構成を、光トランシーバ100に実装することが可能となる。
【0029】
また、光源10を光トランシーバ100の外部に設けることで、光源10に対する制約を緩和することともできる。例えば、光トランシーバ100の消費電力には上限があるため、当然に光源10の消費電力にも制約があるが、本構成によれば、光トランシーバ100の消費電力の上限を考慮することなく、使用する光源を選択することができる。また、光トランシーバ100の限られたサイズの筐体内に光源10を納める必要もないので、光源10に対する小型化要求を緩和することも可能となる。その結果、使用可能な光源の範囲を広げることも可能となる。
【0030】
実施の形態2
実施の形態2にかかる光通信システムについて説明する。本実施の形態にかかる光通信システムは、外部の通信先装置から受け取る光信号LRに含まれる波長要求信号に応じて、光源10が出力する光Lの波長を変更ないしは指定できるものとして構成される。
【0031】
図3に、実施の形態2にかかる光通信システム2000の構成を模式的に示す。光通信システム2000は、光通信システム1000における光トランシーバ100を、光トランシーバ200に置換した構成を有する。
【0032】
光トランシーバ200は、光信号受信部2を光信号受信部6に置換し、かつ、制御部7、波長変更信号出力部8及び光サーキュレータ9を追加した構成を有する。光信号受信部6は、光信号受信部2に、波長要求信号受信部61を追加した構成を有する。なお、光サーキュレータ9は、第1の光サーキュレータとも称する。また、本構成においては、光源10は、波長可変レーザモジュールなどの波長可変光源素子として構成されてもよい。
【0033】
本実施の形態における光源10の構成について説明する。
図4に、実施の形態2にかかる光源10の構成を模式的に示す。ここでは、光源10は、出力する光Lの波長を切替可能な波長可変光源として構成される。光源10は、入出力ポート111、サーキュレータ112、受光部113、信号処理部114、光源制御部115及び波長可変レーザ素子116を有する。
【0034】
波長可変レーザ素子116は光Lを出力し、入出力ポート111を介して、光トランシーバ200のへ出力される。その後、光Lは、第2の入出力ポートP2を介して、光サーキュレータ9に入力される。また、波長変更信号出力部8から出力される波長変更光信号LWは、第2の入出力ポートP2を介して、入出力ポート111に入力され、その後、受光部113に入力される。
【0035】
受光部113は、波長変更光信号LWを受信し、波長変更光信号LWを光電変換して得られた電気信号である信号S1を、信号処理部114へ出力する。信号処理部114は、受光部113から出力された信号S1に所定の信号処理を行うことで得られる信号S2を、光源制御部115へ出力する。光源制御部115は、信号S2に応じて、波長可変レーザ素子116へ光Lの波長の切替を指示するための制御信号CON1を出力する。
【0036】
次いで、実施の形態2にかかる光通信システム2000の波長変更動作について説明する。
図5に、実施の形態2にかかる光通信システム2000の波長変更動作のシーケンスを示す。
【0037】
ステップS11
受光部21は光信号LR_Fを受信し、光信号LR_Fを光電変換して得られた信号SRを、信号処理部22及び波長要求信号受信部61へ出力する。本実施の形態では、受光部21が受け取った光信号LR_Fに、光源10が出力する光Lの波長の変更を指示する信号、換言すれば光Lの波長を指定する波長要求信号が含まれている。例えば、波長要求信号は、ASK(Amplitude Shift Keying)変調によって光信号LR_Fに重畳されてもよい。波長要求信号受信部61は、受光部21から出力される信号SRに含まれる波長要求信号を抽出し、抽出結果を示す波長要求信号REQを制御部7へ出力する。
【0038】
ステップS12
制御部7は、波長要求信号REQに基づいて、光源10が出力すべき光Lの波長の変更を指令する波長変更信号W1を、波長変更信号出力部8へ出力する。
【0039】
ステップS13
波長変更信号出力部8は、波長変更信号W1に基づいて、波長変更光信号LWを、光サーキュレータ9へ出力する。なお、波長変更光信号LWは、第3の光信号とも称する。波長変更信号出力部8から出力された波長変更光信号LWは、光サーキュレータ9に入力され、光サーキュレータ9によって、第2の入出力ポートP2を介して光源10へ出力される。
【0040】
なお、本構成においては、光源10から出力された光Lは、第1の入出力ポートP1を介して光サーキュレータ9に入力され、光サーキュレータ9によって光信号送信部1へ出力される。
【0041】
ステップS14
光源10は、波長変更光信号LWを受け取り、出力する光Lの波長を、波長変更光信号LWが示す波長に変更する。具体的には、上述したように、受光部113が波長変更光信号LWを信号S1に光電変換し、信号処理部114が信号S1に所定の信号処理を行って得られた信号S2を光源制御部115へ出力する。光源制御部115は、信号S2に応じて、波長可変レーザ素子116へ光Lの波長の切替を指示するための制御信号CON1を出力する。波長可変レーザ素子116は、制御信号CON1に応じて、出力する光Lの波長を変更する。
【0042】
ステップS15
また、制御部7は、波長要求信号REQに基づいて、波長可変フィルタ5が透過させるべき光信号LR_Fの波長の変更を指令する波長変更信号W2を、波長可変フィルタ5へ出力する。
【0043】
ステップS16
波長可変フィルタ5は、透過させる光の波長を、波長変更信号W2が示す波長に変更する。これにより、受光部21は、波長要求信号REQによって指定された波長の光信号LR_Fを受信することができる。
【0044】
このように、本構成によれば、更に、外部から入力した波長要求信号に応じて、外部に設けられた光源が出力する光Lの波長を変更することが可能となる。また、併せて、波長要求信号に応じて波長可変フィルタの透過波長を変更することで、受信すべき光信号の波長に適宜対応することが可能となる。
【0045】
実施の形態3
実施の形態3にかかる光通信システムについて説明する。本実施の形態にかかる光通信システムは、実施の形態2にかかる光通信システムの変形例であり、波長要求信号に応じて、光トランシーバに光Lを出力する波長可変レーザ素子を選択可能なものとして構成される。
【0046】
図6に、実施の形態3にかかる光通信システム3000の構成を模式的に示す。光トランシーバ200は実施の形態2と同様であるので、説明を省略する。光通信システム3000では、光通信システム2000の光源10に代えて、光源110が設けられる。
【0047】
光源110の構成について説明する。光源110は、複数の波長可変レーザ素子を有するものとして構成される。
図7に、実施の形態3にかかる光源110の構成を模式的に示す。光源110は、光源10と比べて、波長可変レーザ素子116に代えて、3つの波長可変レーザ素子116A~116Cが設けられている。ここでは、波長可変レーザ素子116A~116Cは、それぞれ異なる波長帯の光を出力するものとする。
【0048】
また、光源110は、光源10と比べて、切替回路117が追加されている。切替回路117は、波長可変レーザ素子116A~116Cとサーキュレータ112との間に挿入され、波長可変レーザ素子116A~116Cとサーキュレータ112との間の光の伝搬経路を切り替え可能に構成される。
【0049】
続いて、光通信システム3000の波長変更動作について説明する。
図8に、実施の形態3にかかる光通信システム3000の波長変更動作のシーケンスを示す。
【0050】
ステップS21~S23
S21~ステップS23は、それぞれ、
図5のステップS11~S13と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
ステップS24
光源制御部115は、波長変更光信号LWを変換して所定の信号処理を行った信号S2を信号処理部114から受け取る。そして、光源制御部115は、信号S2に応じて、波長可変レーザ素子116A~116Cのうちの1つから出力された光Lが入出力ポート111へ到達するように切替回路117の光伝搬経路を変更するため、切替回路117へ制御信号CON2を出力する。
【0052】
ステップS25
切替回路117は、受け取った制御信号CON2に応じて、光経路を変更する。
【0053】
ステップS26
光源制御部115は、波長変更光信号LWによって指定された波長の光を出力可能な波長可変レーザ素子からのみ光が出力されるように、制御信号CON1によって、波長可変レーザ素子116A~116Cを制御する。ここでは、光Lを出力する光源が、波長可変レーザ素子116Aから波長可変レーザ素子116Cに変更される場合について説明する。
【0054】
ステップS27
制御信号CON1に応じて、波長可変レーザ素子116Aは光の出力を停止し、波長可変レーザ素子116Cは光の出力を開始する。
【0055】
ステップS28及びS29
ステップS28及びS29は、
図5のステップS15及びS16と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
このように、本構成によれば、更に、外部から入力した波長要求信号に応じて、外部に複数の光源素子が設けられる場合でも、適切な波長の光を出力する光源素子によって光を出力することが可能となる。
【0057】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施の形態では、外部の通信先装置から波長要求信号を受け取るものとして説明したが、これは例示に過ぎない。例えば、第1の入出力ポートP1へ光信号を送信可能に接続された、任意の制御装置などの、通信先装置以外の装置から波長要求信号を含む光信号が、上述の実施の形態にかかる光トランシーバに入力されてもよい。
【0058】
実施の形態3にかかる光通信システムでは、光を出力する光源を、波長可変レーザ素子116Aから波長可変レーザ素子116Cに変更するものとして説明したが、これは例示に過ぎない。すなわち、光を出力する光源を、波長可変レーザ素子116Aから波長可変レーザ素子116Bに変更してもよいし、波長可変レーザ素子116Bから波長可変レーザ素子116Aに変更してもよいし、波長可変レーザ素子116Bから波長可変レーザ素子116Cに変更してもよい。また、光を出力する光源を、波長可変レーザ素子116Cから波長可変レーザ素子116Aに変更してもよいし、波長可変レーザ素子116Cから波長可変レーザ素子116Bに変更してもよい。また、光源110に設ける光源素子は、波長可変レーザ素子だけでなく、各種の発光素子としてもよい。
【0059】
実施の形態3にかかる光通信システムでは、3つの光源素子が設けられる例について説明したが、これは例示に過ぎず、光源素子の数は2つ、又は4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 光信号送信部
2 光信号受信部
3、9 光サーキュレータ
4 電気コネクタ
5 波長可変フィルタ
6 光信号受信部
7 制御部
8 波長変更信号出力部
9 光サーキュレータ
10、110 光源
11 光変調器ドライバ
12 光変調器
21 受光部
22 信号処理部
61 波長要求信号受信部
100、200 光トランシーバ
111 入出力ポート
112 サーキュレータ
113 受光部
114 信号処理部
115 光源制御部
116、116A~116C 波長可変レーザ素子
117 切替回路
1000、2000、3000 光通信システム
1100 光伝送装置
P1 第1の入出力ポート
P2 第2の入出力ポート
CON1、CON2 制御信号
DT 送信データ信号
DR 受信データ信号
L 光
LT、LR 光信号
LW 波長変更光信号
MD 変調信号
REQ 波長要求信号
SR 信号
W1、W2 波長変更信号