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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021921
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20240208BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240208BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B60W30/00
B60W50/14
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125125
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】三国 司
(72)【発明者】
【氏名】本間 拓也
(72)【発明者】
【氏名】元山 純一
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
(72)【発明者】
【氏名】早川 和裕
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA59
3D241BA60
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD12
3D241CD27
3D241CE05
3D241DA12Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC42Z
3D241DC51Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行する。
【解決手段】過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前方の画像情報と紐付けて記憶する記憶部120と、現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報、前方の画像情報を取得する取得部110と、現在の前方の画像情報から得られる道路情報と一致または類似する過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を記憶された情報から抽出する抽出部130と、取得された現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と抽出された過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と、を比較し、差分値を検出する比較部140と、差分値が所定値を超えた場合に、その旨を報知させる制御部150と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前方の画像情報と紐付けて記憶する記憶部と、
現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報、前方の画像情報を取得する取得部と、
現在の前記前方の画像情報から得られる道路情報と一致または類似する前記過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前記記憶部に保存された情報から抽出する抽出部と、
該取得された前記現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と該抽出された前記過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と、を比較し、差分値を検出する比較部と、
該検出された差分値が所定値を超えた場合に、その旨を報知させる制御部と、
を備えたことを特徴とする車両。
【請求項2】
走行状態を制御する走行制御部を備え、
前記制御部は、報知後も前記差分値が所定値を超えている場合に、前記走行制御部に対して、走行制御を指示することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記アクセルあるいはブレーキの操作情報に操作タイミングを含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、交差点などの車両の減速が必要となる要減速地点において、これまでのドライバによる車両の操作に対して、学習を行って、ドライバの嗜好に応じた位置で制動制御等を開始する運転支援技術が知られている。
【0003】
この種の技術として、例えば、要減速地点の地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、車両の位置を検出する車両位置検出部と、車両の減速等操作を検出する減速等操作検出部と、要減速地点の手前位置であって、減速等操作が行われた位置を学習する減速等操作位置学習部と、を備え、減速等操作位置学習部は、減速等操作が行われた位置の要減速地点からの離間距離に対応付けて、減速等操作を学習する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、同様の技術として、運転者が運転操作を行って車両を走行させている間における走行データに基づいて運転支援を行う運転支援装置1であって、運転者が加減速操作を行って車両を走行させているときに取得した車速を用いて走行経路上の各位置における車速を記憶する記憶部と、この記憶部で記憶されている各位置における車速と、車両の現在位置に基づいて走行制御を行う走行制御部とを備え、走行制御部は、走行制御による減速中に車両の車速が閾値未満となった場合に走行制御を終了する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-43279号公報
【特許文献2】特開2015-77863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術は、いずれも、以前走行したことのあるルートにおける運転者の車両操作を学習して、同一のルートに対して、その学習結果に基づいて、運転支援制御を実行するものであって、初めて走行するルートに対しては、運転に関する制御が機能しないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行する車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前方の画像情報と紐付けて記憶する記憶部と、現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報、前方の画像情報を取得する取得部と、現在の前記前方の画像情報から得られる道路情報と一致または類似する前記過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前記記憶部に保存された情報から抽出する抽出部と、該取得された前記現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と該抽出された前記過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と、を比較し、差分値を検出する比較部と、該検出された差分値が所定値を超えた場合に、その旨を報知させる制御部と、を備えたことを特徴とする車両を提案している。
【0009】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、走行状態を制御する走行制御部を備え、前記制御部は、報知後も前記差分値が所定値を超えている場合に、前記走行制御部に対して、走行制御を指示することを特徴とする車両を提案している。
【0010】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記アクセルあるいはブレーキの操作情報に操作タイミングを含むことを特徴とする車両を提案している。
【発明の効果】
【0011】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る車両の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両の記憶部に格納されたデータベースの一部を例示する図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両の記憶部に格納されたデータベースにおいて、道路形状の一例として交差点の形状を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両において、報知を実行するタイミングを例示する図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両において、走行制御処理が介入するタイミングを例示する図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両の処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
図1から図6を用いて、本実施形態に係る車両1について説明する。
【0014】
<車両1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、取得部110と、記憶部120と、抽出部130と、比較部140と、制御部150と、報知部160と、走行制御部170と、舵角センサ181と、加速度センサ182と、車速センサ183と、撮像装置184と、を含んで構成されている。
【0015】
取得部110は、現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報、前方の画像情報を取得する。
具体的には、舵角センサ181のセンサ出力からステアリング操舵情報を取得し、加速度センサ182のセンサ出力からアクセルあるいはブレーキの操作情報を取得し、車速センサ183のセンサ出力から車速情報を取得し、撮像装置184の映像出力から前方の画像情報を取得する。
なお、アクセルあるいはブレーキの操作情報には操作タイミングを含むことが好ましい。
ここで、舵角センサ181は、ステアリングホイールの操舵角を検知するセンサであって、例えば、ステアリングシャフトに取り付けられ、操舵の向き、中立位置および転舵角に応じた信号を出力する。
加速度センサ182は、車両の加速度の大きさを検知する慣性センサの一種であり、抵抗線ひずみゲージ、半導体ゲージ、圧電素子、静電容量、差動トランス型等の種類があるが、種別についてはいずれの種別であってもよい。
本実施形態では、加速度センサ182からのセンサ出力により、挙動の1つであるアクセルあるいはブレーキの操作情報を得ることを例示して、説明する。
車速センサ183は、車両の走行速度を検知するセンサであって、例えば、ウトプットシャフトの回転スピードを検出する。
なお、車速センサ183は、車速パルスセンサ等であってもよい。
撮像装置184は、単眼カメラあるいはステレオカメラを備え、車両前方の画像を取得する。
なお、画像には、静止画像あるいは動画像を含む。
取得部110において取得された現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報、前方の画像情報等は、抽出部130あるいは比較部140に出力される。
【0016】
記憶部120は、過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前方の画像情報と紐付けてデータベース形式で記憶する。
例えば、図2は、データベースの一部を切り出したものであり、「道路形状」の「A」は、図3に示すような一般的な交差点であり、「B」は、車両の進行方向に対して、走行路が左下方向に傾いている交差点、「C」は、車両の進行方向に対して、走行路が左上方向に傾いている交差点である。
また、図示はしないが、「D」は「A」と、「E」は「B」と、「F」は「C」同様の道路形状であり、交差点までが上り傾斜となっている交差点、図示しない「G」は「A」と、「H」は「B」と、「I」は「C」同様の道路形状であり、交差点までが下り傾斜となっている交差点を示している。
そして、これらの道路形状をした交差点手前のP点において、過去に、ステアリング舵角、アクセル操作、ブレーキ操作、車速がどのようになっていたのかを示している。
具体的には、ステアリング舵角、アクセル操作、ブレーキ操作は、その操作度合いに応じて5段階に区分されている。
図3の点Pの地点は、交差点に進入する前の地点であることから、ステアリング舵角、アクセル操作はいずれも無い、つまり、「0」となっている。
一方で、図3の点Pの地点は、交差点に進入する前の減速ポイントであることから、道路形状「A」では、ブレーキ操作の度合いは、「3」となっており、そのときの車速は、20km/hとなっており、道路形状「B」では、交差点で、急激なステアリング操作が必要となることから、ブレーキ操作の度合いは、道路形状「A」よりも強い「4」となっており、そのときの車速は、15km/hとなっており、道路形状「C」では、交差点で、緩やかなステアリング操作が必要となることから、ブレーキ操作の度合いは、道路形状「A」よりも強い「2」となっており、そのときの車速は、25km/hとなっている。
また、道路形状「D」では、交差点までが上り傾斜となっているため、ブレーキ操作の度合いは、道路形状「A」よりも弱い「2」となっており、そのときの車速は、25km/hとなっており、道路形状「E」では、さらに、交差点で、急激なステアリング操作が必要となることから、ブレーキ操作の度合いは、道路形状「B」よりも弱い「3」となっており、そのときの車速は、20km/hとなっており、道路形状「F」では、交差点で、緩やかなステアリング操作が必要となることから、ブレーキ操作の度合いは、道路形状「C」よりも弱い「2」となっており、そのときの車速は、30km/hとなっている。
また、道路形状「G」では、交差点までが下り傾斜となっているため、ブレーキ操作の度合いは、道路形状「A」よりも強い「4」となっており、そのときの車速は、15km/hとなっており、道路形状「H」では、さらに、交差点で、急激なステアリング操作が必要となることから、ブレーキ操作の度合いは、道路形状「B」よりも強い「5」となっており、そのときの車速は、10km/hとなっており、道路形状「I」では、交差点で、緩やかなステアリング操作が必要となることから、ブレーキ操作の度合いは、道路形状「C」よりも強い「3」となっており、そのときの車速は、20km/hとなっている。
なお、記憶部120内の情報は、取得部110は、現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報、前方の画像情報を取得する度に、情報が随時追加されるが、同じ情報については、記憶容量の有効活用の点から消去するようにしてもよい。
【0017】
抽出部130は、現在の前方の画像情報から得られる道路情報と一致または類似する過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を記憶部120に保存された情報から抽出する。
抽出部130により抽出された情報は、後述する比較部140に出力される。
【0018】
比較部140は、取得部110において取得された現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と抽出部130において抽出された過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と、を比較し、差分値を検出する。
比較部140により検出された差分値は、後述する制御部150に出力される。
【0019】
制御部150は、図示しないROM(Read Only Memory)等に格納された制御プログラムに従って、車両1全体の動作を制御する。
本実施形態において、制御部150は、特に、比較部140により検出された差分値が所定値を超えた場合に、その旨を後述する報知部160により報知させる。
ここで、「所定値」は、車両の安全走行の観点から検証された値等を例示することができる。
具体的には、制御部150は、図4に示すように、位置Pにおいて、車両1の車速が、過去の同様なケースの車速Xkm/hよりも早いYkm/hであり、その差分値(Y-X)km/hが、所定値を超えている場合に、報知部160により、その旨を報知させる。
また、制御部150は、報知後も差分値が所定値を超えている場合に、後述する走行制御部170に対して、走行制御を指示する。
具体的には、制御部150は、図5に示すように、位置Pにおいて、その差分値(Y-X)km/hが、所定値を超えている旨を報知部160により報知したにもかかわらず、位置Qに至っても、その状況に変化がない場合に、走行制御部170に対して、走行制御を指示する。
【0020】
報知部160は、スピーカ、ディスプレイあるいはシート等に設けられたバイブレータ等であって、制御部150からの制御信号に応じて、比較部140により検出された差分値が所定値を超えた旨の報知情報を音声や文字あるいは図形表示、若しくは、振動等により、運転者に認知させる。
【0021】
走行制御部170は、制御部150からの制御信号に基づいて、走行支援制御を実行する。
具体的には、走行制御部170は、制御部150からの制御信号に含まれるステアリング操舵やアクセルあるいはブレーキの操作、車速に関する制御値に対応するよう介入制御を実行する。
【0022】
<車両1の処理>
図6を用いて、本実施形態に係る車両1の処理について説明する。
【0023】
図6に示すように、取得部110は、現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報、前方の画像情報を取得する(ステップS110)。
取得部110により収集された情報は、抽出部130あるいは比較部140に出力される。
【0024】
抽出部130は、現在の前方の画像情報から得られる道路情報と一致または類似する過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を記憶部120に保存された情報から抽出する(ステップS120)。
抽出部130により抽出された情報は、比較部140に出力される。
【0025】
比較部140は、取得部110において取得された現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と抽出部130において抽出された過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と、を比較し、差分値を検出する(ステップS130)。
比較部140により検出された差分値は、制御部150に出力される。
【0026】
制御部150は、比較部140により検出された差分値が所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS140)。そして、制御部150は、比較部140により検出された差分値が所定値よりも小さいと判定する場合(ステップS140の「NO」)には、処理を終了させる。
【0027】
一方で、制御部150は、比較部140により検出された差分値が所定値よりも大きいと判定する場合(ステップS140の「YES」)には、その旨を報知部160により報知させる(ステップS150)。
【0028】
制御部150は、報知部160による報知後、所定時間経過後に、再び、比較部140により検出された差分値が所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS160)。そして、制御部150は、比較部140により検出された差分値が所定値よりも小さいと判定する場合(ステップS160の「NO」)には、処理を終了させる。
【0029】
一方で、制御部150は、比較部140により検出された差分値が所定値よりも大きいと判定する場合(ステップS160の「YES」)には、走行制御部170に対して、走行制御を指示する。
【0030】
走行制御部170は、制御部150の指示に基づいて、走行制御処理を実行し(ステップS170)、制御部150は、処理を終了させる。
【0031】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1において、抽出部130は、取得部110により取得された現在の前方の画像情報から得られる道路情報と一致または類似する過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を記憶部120に保存された情報から抽出する。比較部140は、取得部110により取得された現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と抽出部130により抽出された過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と、を比較し、差分値を検出する。そして、制御部150は、比較部140において検出された差分値が所定値を超えた場合に、その旨を報知部160により報知させる。
つまり、抽出部130は、道路情報をキーにして、取得部110により取得された現在の前方の画像情報から得られる道路情報と一致または類似する、道路情報に紐ついた過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を記憶部120に保存された情報から抽出する。
これにより、一致または類似する道路における現在の運転操作が今までの運転操作に対して、適正なのか否かを検証するための情報を得ることができる。
また、比較部140は、取得部110により取得された現在のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と抽出部130により抽出された過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報と、を比較し、差分値を検出することにより、一致または類似する道路における現在の運転操作が今までの運転操作に対して、適正なのか否かを検証するための数値化されたデータを得ることができる。
また、制御部150は、比較部140において検出された具体的な数値としての差分値が所定値を超えた場合には、一致または類似する道路における現在の運転操作が今までの運転操作に対して乖離しているものと判断し、その旨を報知部160により報知させる。
そのため、初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る車両1は、走行状態を制御する走行制御部170を備え、制御部150は、報知後も差分値が所定値を超えている場合に、走行制御部170に対して、走行制御を指示する。
つまり、制御部150は、報知部160における報知によっても、一致または類似する道路における現在の運転操作と、今までの運転操作との乖離が解消しない場合には、運転者に違和感を与えるばかりか、車両1の安全走行に重大な影響を与える可能性が大きいと判断し、走行制御を作動させることによって、運転者に違和感を与えることなく、危険を未然に防止する。
そのため、初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る車両1において、アクセルあるいはブレーキの操作情報に操作タイミングを含む。
つまり、アクセルあるいはブレーキの操作情報には、アクセルあるいはブレーキの操作の有無、アクセルあるいはブレーキの操作度合いだけでなく、どのタイミングで操作されたのかについての情報を含む。
これにより、そのようなタイミングで、どの程度のアクセルあるいはブレーキの操作がなされたのかが分かるため、一致または類似する道路における現在の操作と今までの操作の違いを時系列で捉えることによって、より細やかな比較が可能となって、仮に、現在の操作と、今までの操作との乖離が解消しない場合であっても、適切なタイミングで、走行制御を作動させることができる。
そのため、初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行することができる。
【0034】
<変形例1>
本実施形態においては、記憶部120は、過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前方の画像情報と紐付けて記憶することを例示したが、前方の画像情報には、道路形状だけでなく、周辺の地物の情報を含めることが好ましい。
一般に、例えば、交差点付近にビルが乱立する場合と建物が何もない場合では、運転者が視認する道路の状況は、異なったものに見える可能性があり、建物が何もない見通しのよい交差点では、いつもよりも速度が速くなったり、ブレーキ操作のタイミングが遅くなることも考えられる。
そのため、道路形状だけでなく、その周辺の地物を含めた情報をキーに、抽出部130が、これと一致または類似する、過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を記憶部120に保存された情報から抽出することによって、初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行することができる。
【0035】
<変形例2>
本実施形態においては、記憶部120は、過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前方の画像情報と紐付けて記憶することを例示したが、前方の画像情報には、道路形状だけでなく、特に、夜間における道路周辺の明るさの情報を含めることが好ましい。
一般に、例えば、交差点付近の明るさの違いによって、運転者が視認する道路の状況は、異なったものに見える可能性があり、交差点付近の明るさを考慮に入れない走行制御を行った場合には、運転者に無用の恐怖心を与える場合も想定される。
そのため、道路形状だけでなく、道路周辺の明るさを含めた情報をキーに、抽出部130が、これと一致または類似する、過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を記憶部120に保存された情報から抽出することによって、初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行することができる。
【0036】
<変形例3>
本実施形態においては、記憶部120は、過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を前方の画像情報と紐付けて記憶することを例示したが、前方の画像情報には、道路形状だけでなく、天候に関する情報を含めることが好ましい。
一般に、例えば、晴れの場合と雨の場合では、運転者が視認する道路の状況は、異なったものに見える可能性があり、天候情報を考慮に入れない走行制御を行った場合には、運転者に無用の恐怖心を与える場合も想定される。
そのため、道路形状だけでなく、天候情報を含めた情報をキーに、抽出部130が、これと一致または類似する、過去のステアリング操舵情報、アクセルあるいはブレーキの操作情報、車速情報を記憶部120に保存された情報から抽出することによって、初めて走行するルートにおいても、運転者に違和感を与えない制御を実行することができる。
【0037】
なお、制御部150、走行制御部170等の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御部150、走行制御部170等に読み込ませ、実行することによって本発明の車両1、1Aを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0038】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0039】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0040】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1;車両
110;取得部
120;記憶部
130;抽出部
140;比較部
150;制御部
160;報知部
170;走行制御部
181;舵角センサ
182;加速度センサ
183;車速センサ
184;撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6