(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021922
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】渦流ブロワ
(51)【国際特許分類】
F04D 5/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
F04D5/00 B
F04D5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125127
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健太
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB55
3H130AC30
3H130BA07A
3H130BA13A
3H130CA01
3H130CA29
3H130CB09
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA01A
3H130EA04A
3H130EC12C
(57)【要約】 (修正有)
【課題】渦流ブロワにおいて、騒音低減しつつ効率の良い流路となる分離型の隔壁形状を実現する。
【解決手段】円弧状の静止流路12の端部に吸込通路14と吐出通路17が形成された渦流ブロワにおいて、静止流路12と羽根車の間に、ケーシングに対して分離可能な隔壁板50を設けた。隔壁板50は、吐出通路17の少なくとも一部を覆うような大きさにするとともに、隔壁板50の吐出通路17側の端部の外縁形状53bを、ブレード32の開口部側の端面形状と同一輪郭形状にて形成した。さらに、羽根車は、周方向断面形状が半円状であって金属の一体成型によって製造したものを用いるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有する電動機と、
前記回転軸を中心とした環状の溝による静止流路を有するケーシングと、
前記静止流路の両端部において前記回転軸と平行方向に接続される吸込通路と吐出通路と、
前記電動機によって駆動されるものであって、前記静止流路に開口面を対向させるようにして遠心空間を画定する羽根車と、
前記羽根車を覆うケーシングカバーと、を有し、
前記羽根車は、円周方向に所定の間隔毎に設けられるとともに環状に配置された複数のブレードを備え、
前記ケーシングには、前記吸込通路と吐出通路を回転方向に向かって仕切る隔壁が設けられ、
前記隔壁と前記羽根車の間に、前記吐出通路の少なくとも一部を覆うようにした隔壁板を設け、
前記隔壁板の前記吐出通路側の輪郭は、前記ブレードの前記隔壁板に近接する前記ブレードの端面形状と同一の輪郭形状にて形成し、
前記羽根車の回転軸線方向から見て、前記隔壁板と前記吐出通路が周方向の前記吸込通路に近い側の一部だけ重なるように形成したことを特徴とする渦流ブロワ。
【請求項2】
前記静止流路の周方向断面形状は半円状であって、前記羽根車のケーシングの周方向断面形状は半円状であって、前記静止流路の溝の開口側と、前記羽根車の開口側が対向するように配置され、
前記隔壁板は、前記ケーシングの前記隔壁にねじ止めされることを特徴とする請求項1に記載の渦流ブロワ。
【請求項3】
前記羽根車の回転軸線方向から見て、前記吸込通路と前記隔壁板が重なるような形状とされることを特徴とする請求項2に記載の渦流ブロワ。
【請求項4】
前記隔壁板は、前記回転軸方向から見て、径方向内側から前記吐出通路と重なっている部分と、周方向の前記吸込通路に近い側から前記吐出通路と重なっている部分を有する形状とされることを特徴とする請求項1に記載の渦流ブロワ。
【請求項5】
前記隔壁板は、前記回転軸と前記吐出通路の中心軸線を結んだ仮想面と交差する位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載の渦流ブロワ。
【請求項6】
前記隔壁板は、前記回転軸方向から見て、径方向外側の一部を除いて前記吸込通路と重なるように形成されることを特徴とする請求項5に記載の渦流ブロワ。
【請求項7】
前記羽根車は、湾曲部が設けられたシュラウドと、前記湾曲部によって形成される周方向に連続する空間を分割するように形成された複数枚のブレードを有し、
前記シュラウドと前記ブレードが金属の一体構造により形成され、前記ケーシングとは反対側の前記ブレードの縁部は前記シュラウドの内壁面と隙間なく接続されることを特徴とする請求項6に記載の渦流ブロワ。
【請求項8】
前記電動機の回転軸は、前記羽根車の回転中心と同軸上に配置され、
前記隔壁板は、前記回転中心から径方向に離れた位置において、前記吸込通路と前記吐出通路の間で固定されることを特徴とする請求項7に記載の渦流ブロワ。
【請求項9】
電動機と、
回転軸を中心とした円弧状の静止流路が設けられ、前記静止流路の端部に位置する吸込通路と吐出通路が形成されたケーシングと、
前記静止流路に対応させて円周方向に所定の間隔毎に設けられるとともに環状に配置された複数のブレードを備えた羽根車と、
前記回転軸方向に見て、前記ケーシングと前記羽根車の間に設けられ、前記吐出通路の少なくとも一部を覆うようにして前記ケーシングに固定具によって着脱可能に取り付けられる隔壁板と、
前記羽根車を覆うケーシングカバーと、を有し、
前記羽根車は、周方向断面形状が半円状となるシュラウドを有し、前記ブレードは、前記シュラウドの半円状の領域内において前記シュラウドのない壁面と隙間なく一体的に形成されることを特徴とする渦流ブロワ。
【請求項10】
前記ブレードは三次元的に湾曲した形状とされ、
前記隔壁板の前記吐出通路側の端部の外縁形状を、前記ブレードの前記隔壁板側に露出する前記ブレードの端面形状と同一輪郭形状にて形成すると共に、
前記羽根車の回転軸線方向から見て前記吐出通路と前記隔壁板が、周方向の前記吸込通路に近い側一部だけ重なり、径方向に一部だけ重なるように形成したことを特徴とする請求項8に記載の渦流ブロワ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦流ブロワに関する。
【背景技術】
【0002】
渦流ブロワは、単位羽根車の外径当たりの仕事を表す圧力係数が遠心式ブロワに比べ高いことが特徴で、比較的小容量のブロワとして従来から広く使用されている。この渦流ブロワに対する小型軽量化、高圧力化、更に低騒音化等に対する要求の高まりがあり、これに応じるために静止流路上に設けられた吸込通路と吐出通路の間を仕切る隔壁の形状についていろいろな提案がされている。このような渦流ブロワとして、特許文献1や特許文献2が知られている。
【0003】
図12は、特許文献1の渦流ブロワ101の斜視図である。渦流ブロワ101は、台座102に取り付けられる電動機104を有し、電動機104はケーシング110に組み付けられる。ケーシング110は電動機104の回転軸105が回転自在に装着されるディスク部112aと、ディスク部112aの外側に一体に設けられた半円状の断面形状を有する溝である静止流路112を有する。回転軸105には羽根車130がナット106で取り付けられ、羽根車130は電動機104により回転駆動される。羽根車130は、回転軸105から径方向外側に延在するディスク部132と、ディスク部132の径方向外側に設けられたシュラウド131を有して形成され、シュラウド131の周方向と直交断面形状は略半円状に形成される。ケーシング110の外縁部分には円筒部112cが形成され、円筒部112cと嵌合するようにしてケーシングカバー139が取り付けられ、羽根車130はケーシング110とケーシングカバー139により覆われる。渦流ブロワ101は、静止流路112上に設けられた吸込通路114と吐出通路の間を回転方向に向かって仕切る隔壁板150(後述の
図13参照)が設けられる。
【0004】
図13は、
図12の渦流ブロワ101のケーシング110と隔壁板150を正面から見た図である。ここでは、羽根車130のブレードの位置を重畳して図示している。隔壁板150の回転軸線A1方向から見た外縁形状は、吐出通路117側と吸込通路114と吐出通路117の双方を覆うように十分な大きさを有する。ケーシング110の湾曲部112bは周方向に向けて形成される溝部であり、湾曲部112bの長さは1周にはわずかに足りない長さとされる。、湾曲部112bの周方向の一端側が吸込通路114に連通され、他端側が吐出通路117に連通される。吸込通路114から湾曲部112bに流入した空気は、羽根車130の回転によって点線22ように旋回しながら矢印22aのように周方向の吐出通路117側に流れ、矢印22bのように流れて吐出通路117から吐出される。羽根車のブレード132は、点線22のような空気の回転を促すような湾曲したブレード形状とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-298027号公報
【特許文献2】特開2010-7632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の渦流ブロワは、吸込通路114と吐出通路117の双方の通路を回転軸線A1方向前側に投影した範囲を覆うように(交差するように)、隔壁板150を設けており、この隔壁板150を設けることにより吐出通路117側からの空気の逆流を防止している。逆流してしまうと十分に昇圧できず性能が低下するからである。特許文献1では、騒音低減を目的としたケーシングと一体の隔壁形状が記載されており、隔壁の吐出側の張り出しを小さくしている。このため、吐出通路と隔壁との間の空間に空気が滞り効率が低下する虞があった。発明者による検証によると、隔壁を設けたことによって吐出通路と隔壁との間の空間に空気が滞る現象が見られ、効率が低下していることが判明した。
【0007】
本発明の目的は、騒音低減しつつ効率の良い流路となる別体式の隔壁板を有する渦流ブロワを提供することにある。
本発明の他の目的は、羽根車を金属製の一体形成で製造し、羽根車とケーシングとの間に別体式の隔壁板を介在させることにより、高効率で騒音低減を実現した渦流ブロワを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の渦流ブロワは、吸込通路と吐出通路を隔てる隔壁に、別体式の隔壁板を設けるようにした。ケーシングは、回転軸を中心とした環状の溝を有する。羽根車は、環状の溝内に位置するとともに環状の溝を横切って円周方向に区画する複数のブレードと有する。渦流ブロワには、電動機の回転軸を中心とした円弧状の静止流路が設けられ、静止流路の端部に位置する吸込通路と吐出通路が形成されたケーシングと、静止流路に対応させて円周方向に所定の間隔毎に設けられるとともに環状の溝を横切って円周方向に区画する複数のブレードを備えた羽根車を有する。羽根車は電動機によって駆動される。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、ケーシングの静止流路の端部には、吐出通路と吸込通路とを回転方向に向かって仕切るように隔壁が形成される。また、ケーシングの隔壁と羽根車の間に、ねじによって着脱可能な隔壁板を設けた。隔壁板の吐出通路側端部の外縁形状は、ブレードの隔壁板に近接する端面形状と同一輪郭形状にて形成すると共に、羽根車の回転軸線方向から見て、吐出通路と隔壁板が周方向の吸込通路に近い側一部だけ重なり、径方向に一部だけ重なるように形成した。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、吐出通路の投影範囲は、隔壁板と回転軸方向から見て重なっている部分と、隔壁板と回転軸方向から見て重なっていない部分を有する。吐出側端部は、回転軸と吐出通路を結んだ仮想直線上に位置している。羽根車は、湾曲部が設けられたシュラウドと、湾曲部によって形成される周方向に連続する空間を分割するように形成された複数枚のブレードを有し、シュラウドと、ブレードが金属の一体構造により形成される。さらに、羽根車のブレードとシュラウドの内壁面との間は隙間なく接続されており、ブレードによって分離された隣接する空間の間で空気の流通が阻止された状態にある。電動機の回転軸は、羽根車の回転軸と同軸上に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、騒音を低減しつつ効率の良い渦流ブロワを実現できた。また、羽根車を金属製の一体形成で製造し、吐出通路と吸込通路の開口部に対して最適な形状を有する隔壁板を介在させたので、吐出通路の開口付近の空気の流れを従来よりもスムーズにすることができ、高効率で騒音を低減した渦流ブロワを実現できた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施例の渦流ブロワ1の展開斜視図である。
【
図2】
図1の隔壁板50を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
【
図3】
図1の渦流ブロワ1のケーシング10と隔壁板50を正面から見た図であり、羽根車30のブレード32の位置を重畳して示している。
【
図5】本実施例の渦流ブロワ1の羽根車30の斜視図である。
【
図6】本実施例の渦流ブロワ1の羽根車30の(a)背面図と、(b)は(a)のB-B’部の断面図である。
【
図7】
図3のA-A’部を展開した状態の断面図である。
【
図8】本発明の渦流ブロワ1と従来例の渦流ブロワの騒音性能を示す図である。
【
図9】本発明の渦流ブロワ1と従来例の渦流ブロワの圧力性能曲線を示した図である。
【
図10】本発明の第2の実施例に係る渦流ブロワ1Aのケーシング10と隔壁板60を正面から見た図であり、羽根車30のブレード32の位置を重畳して示している。
【
図12】従来例の渦流ブロワ101の展開斜視図である。
【
図13】従来例の渦流ブロワ101のケーシング110と隔壁板150を正面から見た図であり、羽根車130のブレードの位置を重畳して示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図において、前後左右、上下の方向は図中の矢印で示す方向であるとして説明する。また、本実施例において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は、特に必要な場合を除き省略する。
【実施例0014】
図1は、本実施例の渦流ブロワ1の展開斜視図であり、ケーシング10から、ケーシングカバー40、羽根車30(
図4参照)、隔壁板50を取り外した状態を示す図である。渦流ブロワ1の基本的な構成及び形状は、
図12で示した従来の渦流ブロワ101とほぼ同じ構成である。ケーシング10は、回転軸線A1を中心とした環状の溝(静止流路12)を有しており、このケーシング10の静止流路12に対向するように羽根車30(後述の
図4参照)が配置される。羽根車30の回転により吸込通路14より取り込んだ空気を、ケーシング10と羽根車30との間に流入させ、十分に圧縮してから吐出通路17を介して渦流ブロワ1の外部に排出する。
【0015】
本実施例の渦流ブロワ1と、
図12で示した従来の渦流ブロワ101との主な違いは、ケーシング10の一部の形状と、羽根車30(
図4参照)の形状及び構造と、分離可能な隔壁板50(
図2参照)の形状である。渦流ブロワ1は、電動機4を動力源として、電動機4の回転軸5に取り付けられる羽根車30(
図4参照)を回転させる。羽根車30は、ケーシング10と、ケーシングカバー40で覆われる空間内で回転することによって、吸込通路14から空気を吸い込んで、羽根車30とケーシング10に形成された環状の溝である静止流路12内を周方向に回転及び自転させながら空気を圧縮する。
【0016】
静止流路12の周方向と直交断面の形状は、
図12にて示した形状と同じであり、半球状、又は、略半球状の形状とされる。静止流路12は、
図1のように前方側から見た形状が略円環状であるが、周方向に完全に連続した溝ではなく、吸込開口部15と吐出開口部18の間が隔壁20によって分断されている形状である。隔壁20の部分は、静止流路12の内側の平坦なディスク部13と同一面にて形成される。隔壁20の部分には、隔壁板50を固定するための3つのねじ穴29が形成される。
【0017】
隔壁20の右側には吸込開口部15が形成される。吸込開口部15は、円筒状の吸込通路14の内壁と、半円形断面の静止流路12との内壁を繋ぐ接続部分であって、吸込通路14から流入する空気が、滞留することなくスムーズに静止流路12と羽根車30で囲まれる空間内に至るように後方側から前方側に行くにつれて徐々に開口が広がるように形成される部分である。吸込開口部15の前方側縁部が、静止流路12に接続される。吐出開口部18は、半円形断面の静止流路12の内壁から円筒状の吐出通路17の内壁と、半円形断面の静止流路12との内壁を繋ぐ接続部分であって、静止流路12の端部から吐出通路17へ吐出される空気が滞留することなくスムーズに流れるように滑らかな曲面にて形成される。吐出開口部18は、静止流路12の接続部分から後方側から行くにつれて徐々に開口が狭まるように形成され、吐出通路17に接続される。
【0018】
渦流ブロワ1にて吸引される空気の吸込通路14と、渦流ブロワ1から外部に排出される吐出通路17は、電動機4の回転軸5と平行に、即ち前後方向に延在するように配置される。吸込通路14の吸込開口部15と、吐出通路17の吐出開口部18は、隔壁20に隣接する。隔壁20から吸込通路14側には、前方視で略三角形状の突起16が形成され、隔壁の20から吐出通路17側には、前方視で略三角形状の突起19が形成される。突起16と突起19は、隔壁20と一体に形成され、アルミニウム合金によって形成される。吸込通路14と吐出通路17(図では見えない)は、ケーシング10から台座2にかけて設けられる。
【0019】
隔壁20の前側面には、別体式の隔壁板50が取り付けられる。隔壁板50は、回転軸5に取り付けられる羽根車30(図ではケーシングカバー40内に位置しているため見えない)の後方側に位置するように装着されるもので、例えばアルミニウム合金等の金属製の板である。ここでは3本の図示しないねじを、ねじ穴59a~59cにそれぞれ貫通させて対応するねじ穴29に螺合させる。ねじ穴29は、上側に2つ、下側に1つの合計3つ設けられる。尚、ねじ穴29を設けるのは、別体式の隔壁板50を取り付けるためであるので、隔壁板50をケーシング10に安定して固定できるならば、ねじ穴の位置や数は任意である。また、ねじを用いた固定方法だけでなく、ねじと段差部を併用したり、凹凸等のその他の公知の固定手段を用いて隔壁板50をケーシング10に固定するようにしても良い。
【0020】
吸込通路14は回転軸5にほぼ平行に、前後方向に延在し、吸込通路14の後端部には図示しない吸込配管が接続される。図示しない吸込配管を介して外部から吸込通路14に空気が供給される。吐出通路17は、吸込通路14とほぼ平行となって前後方向に伸びており、吐出通路17の後端部付近には図示しない吐出配管を接続するための吸込通路14側と同様のねじ部が設けられる。
【0021】
図2は1の隔壁板50単体を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。隔壁板50の機能は、渦流ブロワの圧力上昇を低下させないようにするもので、羽根車と隔壁板50が非接触で、適当な隙間を保つように取り付けられる。隔壁板50の周方向の長さは、複数のブレード枚数程度の長さ、ここではブレード32の5枚の間隔分の長さとされ、吐出通路17から吸込通路14への漏れ流量を低減させる。隔壁板50は、正面から見た際に略円環状の静止流路12の前方側を覆うように形成されるため、
図2(a)にて示すように、内周縁51と外周縁52が円弧状に形成される。隔壁板50は、3つのねじ穴59a~59cで囲まれた領域の中心から一方側(吸込通路14側となる右側)に延在する領域と、他方側(吐出流路17側となる左側)に延在する領域を有する。隔壁板50の静止流路12側となる吸込側端辺54は正面から見て直線状に形成される。隔壁板50の吐出通路17側となる吐出側端辺53(53a、53b)は正面から見て2つの直線状の縁部、即ち、第1縁部53aと第2縁部53bの組み合わせで形成される。ここで第1縁部53aの二点鎖線で示す仮想延長線が、鉛直中心線B1(渦流ブロワ1の左右方向に見て回転軸5を通る仮想的な鉛直線)と第1の角度θ
1にて交差するように、即ち、鉛直中心線B1に対して斜めになるように形成される。同様に、第2縁部53bの仮想延長線(図示せず)が第2の角度にて交差するように鉛直中心線B1に対して斜めになるように形成される。
【0022】
図2(c)の背面図からわかるように、隔壁板50の吸込通路14側領域では、吸い込まれた吸気を静止流路12内の所定の方向に向けるように導く3つの傾斜面(56a、56b、56c)が形成される。メインテーパー面56aは、板厚tを有する裏面50b部分から板厚tを徐々に薄くする部分であり、ある程度薄くなった部分から右側の上側部分には、右側且つ上側に行くにつれて徐々に薄くするような上側テーパー面56bが形成され、右側の下側部分には右側且つ下側に行くにつれて徐々に薄くするような下側テーパー面56cが形成される。上側テーパー面56bと下側テーパー面56cの境界(稜線部分)は、完全な直線状ではなく、緩やかな曲線となるように稜線を配置して吸込通路14から吸い込まれた空気が、静止流路12で所定の方向に向くように案内する。吐出側端辺53の裏側にも、整流の為に板厚を徐々に薄くしたテーパー面53cが形成される。外周縁52の裏側には段差部52aが形成される。
【0023】
下側テーパー面56cの先端下側部分には凹部57aが形成され、凹部57a付近の空気を案内面57bによってブレード32側へ案内するための傾斜面が形成される。案内面57bの下側の切り欠き部57cは整流の為に形成される。
図2(b)からわかるように、表面50aの吸込側端辺54に近い部分は、中心線B1よりも離れるにしたがって厚さが薄くなるように表面50a側が削られているような表側テーパー面57dが形成される。
【0024】
図3は、渦流ブロワ1のケーシング10と隔壁板50を正面から見た図である。ここでは、隔壁板50の前方側(紙面手前側)に位置する羽根車30の輪郭も重畳するように図示している。羽根車30のブレード32と、隔壁板50、吸込通路14、吐出通路17の位置関係を説明するために、ブレード32を仮想的に細線で図示している。静止流路12は周方向の一端側に吸込通路14が開口し、他端側に吐出通路17が開口する。
図1からわかるように、円筒形の吸込通路14の開口から静止流路12の間はゆるやかな斜面にて形成された吸込開口部15にて接続される。吸込開口部15が2重の輪郭で示されているのは、外側の輪郭が静止流路12との接続点を回転軸線A1方向手前側に投影した輪郭線である。同様に、円筒形の吐出通路17の開口から静止流路12の間はゆるやかな斜面にて形成された吐出開口部18に接続される。吐出開口部18も吸込開口部15と同様に2重の輪郭で示しており、外側の輪郭が静止流路12との接続点を回転軸線A1方向手前側に投影した輪郭線である。それぞれの開口部15、18の間には、吸込通路14と吐出通路17側とに仕切ると共に、静止流路12の周方向の溝を分断する隔壁20が設けられている。
【0025】
図3から理解できるように、断面A-A’線上において、隔壁板50は吸込通路14を覆う一方、隔壁板50は吐出通路17を部分的に覆うだけである。断面A-A’線は、回転軸線A1を中心として、吸込通路14と吐出通路17の中心を通る円筒面である。
図3で示した隔壁板50の形状は、
図2で示した隔壁板50の第1縁部53aと、第2縁部53bとはわずかに異なり、第1縁部53aと第2縁部53bが曲面状にて形成されている。第1縁部53aと第2縁部53bの形状を、直線の組み合わせで形成するか、緩やかな円弧状にて形成するかは、対向するブレード32の輪郭形状に合わせて設定すればよい。
図3に示す形状では第1縁部53から第2縁部53bに至る輪郭線を、羽根車30のブレード32の後端縁形状(32a~32c)の円弧状の形状と相似に形成した。
【0026】
羽根車30のブレード32は、シュラウド31の環状の溝を横切って円周方向に区画するように複数枚設けられており、環状の溝の開口面が静止流路12に対抗するように位置づけられる。ブレード32の形状は、圧力係数が高くなるように三次元的に湾曲した形状とされ、その後端側縁部は、内周側から外周側にかけて羽根車のブレード形状が径方向に直線的に延在する直線部32aが形成され、直線部32aの外側で大きな円弧部32bとなる。すなわち、最も流れの変動が少ない流動中心で最終的に静止流路12からブレード32側への流れを遮断するような形状としている。ブレード32は、円弧部32bの外周側の端面32cにてシュラウド31に接続される。
図3では、ブレード32の前端の接続縁の輪郭、即ち、矢印32d~32fの部分も視認できるであろう。矢印32dで示すブレード32の内側部分のシュラウド31との接続位置は、矢印32eに示すブレード32の径方向中央部分の位置よりも回転方向に後退している位置にある。逆に、矢印32fに示すブレード32の径方向外側部分のシュラウド31との接続位置は回転方向に湾曲している位置にある。ブレード32とシュラウド31は金属の鋳造品にて製造されるので、これらの接続部位には、隙間も繋ぎ目も存在しない。このように、従来では別体式で準備して、溶接等によってシュラウド31に固定されていたブレード32を、本実施例では一体に製造したので、ブレード32で区画される個々の空間35において空気の流れ、特に周方向軸線に対して回転する方向の空気の流れをスムーズに流すことが可能となる。
【0027】
図4は、
図3と同じ図であり、吸込通路14と吐出通路17の外縁位置と隔壁板50との位置関係を説明するための図である。ここで吸込通路14側を見ると、隔壁板50は円弧状に外周縁52が形成され、回転軸線A1から外周縁52までの距離は一定である。吸込通路14側で、吸込通路14の断面形状円形の投影範囲と、隔壁板50の位置を比べると、吸込通路14の内周側の大部分の投影範囲が隔壁板50にて覆われるが、最外周付近の矢印61の間隔を有する部分に、吸込通路14の投影範囲が隔壁板50にて覆われない部位が存在する。一方、吐出通路17側で見ると、最外周付近の矢印62、63を含む部分にて吐出通路17の投影範囲が隔壁板50にて覆われないことに加え、周方向の一方側(空気の流れで見ると風上側)の端部付近で矢印64、65のように吐出通路17の投影範囲が隔壁板50にて覆われない部位が存在する。このように、隔壁板50の吐出側端辺53と外周縁52がいずれも吐出通路17の投影範囲を部分的に覆うような位置関係となる。このように吐出通路17では、吸込通路14とは離れた部分の一部が隔壁板50にて覆われないことにより、吐出通路17側での空気の流れが改善される。
【0028】
図5は本実施例の渦流ブロワ1の羽根車30の形状を示す斜視図である。羽根車30のブレード32は、ケーシング10の静止流路12で形成される環状の溝を横切って円周方向に区画するように複数枚設けられている。隣接するブレード32間に区画される個々の空間35は、回転軸線A1の回転方向に等間隔で複数区画され、回転軸線A1方向の後方側(ケーシング10側)にだけ開口し、回転軸線A1方向の前方側(ケーシングカバー40側)には開口しないような非貫通空間となる。ケーシング10の静止流路12からブレード32側へ流入する空気はブレード32側からケーシング10の静止流路12に流出し、静止流路12から空間35に入るように回転しながら静止流路12の径方向に沿って吸込通路14から吐出通路17まで移動する。矢印37aのように静止流路12内からブレード32側へ流入した空気は、ブレード32間の非貫通空間35内に入り、回転するブレード32で加速されながら該貫通空間35内を循環した後に、再びブレード32側から矢印37bのように流出して静止流路12内に流入する。この際、羽根車30の内周側から入った空気は、ブレード32内で湾曲状に流動して遠心力により加速されながら、羽根車30の外周側から静止流路12に流出される。
【0029】
渦流ブロワ1の圧力上昇は、三次元構造により高静圧化を図っているブレード32内を内周から外周に向かって増速された流れが静止流路12に入ってから、静止流路形状に沿って内周側に案内される過程で減速、昇圧され、再びブレード32へ内周側から流入し圧力上昇する過程が繰り返されることで行われる。このように何度か流れが渦を巻くように旋回する動作を繰り返し圧力上昇させるため、渦流ブロワの圧力は、(ブレード1枚あたりの圧力上昇)×(旋回回数)で決まる。圧力が上昇された空気(流体)は、ブレード32と静止流路12内を循環するようにして周方向に移動しながらさらに圧縮されて、吐出通路17から外部に排出される。
【0030】
以上、本実施例の羽根車30の空間35は、前方側には非貫通のシュラウド31にて覆われるので、後方側の静止流路12に面する側にだけ開口することになる。この形状の羽根車30の製造方法は、型を用いて一体状に製造できる。型による羽根車30の製造手段としては、ダイカストやその他の鋳造技術を用いることができる。
【0031】
図6は本実施例の渦流ブロワ1の羽根車30単体の図である。
図6(a)は羽根車30の背面図(渦流ブロワ1の後方側から羽根車30を見た図)であり、(b)は回転軸線A1を通るB-B’部の断面図である。羽根車30は回転軸5(
図1参照)に固定されることによって電動機4によって駆動される。羽根車30の回転中心には、円筒形の取付部36が形成される。取付部36の内面36aは円筒状であるが、回転方向の一部に、回転軸5に形成された図示しないキーと係合することにより羽根車30の回転軸5に対する空転を防止するためのキー溝36bが形成される。ねじ穴39は羽根車30を取外す際に用いられるものである。取付部36の径方向外側には円盤状のディスク部34が形成され、ディスク部34の外側には円環状に形成されたシュラウド31に接続される。シュラウド31の内側には湾曲部33が形成される。湾曲部33の周方向に直交する断面形状は、
図6(b)で分かるように半球状である。
図6(b)には断面位置にブレード32を図示していないが、
図6(a)からわかるように周方向に20枚のブレード32が形成される。
【0032】
ブレード32の形状は平面ではなくて三次元的に複雑な形状とされる。内周側から外周側にかけて直線部32aが形成され、直線部32aの外側では大きな円弧部32bとなり、円弧部の端面32cにて羽根車30のシュラウド31の外周縁に接続される。ブレード32の前側は、内側部分が回転方向より大きく後退した位置32dにてシュラウド31の湾曲部33に接続され、そこから徐々に回転方向前側に向かうようにして、矢印32eの位置にて湾曲部33に接続され、矢印32f付近でシュラウド31の最外面に接続される。このように複雑な形状とされるブレード32であるが、他方で、鋳造による一体成型が可能となるようにその形状が決定される。
【0033】
図7は
図3のA-A’部を展開した状態の断面図である。隔壁板50は羽根車30が吐出通路17に来た時点で膨張した空気をブレード32で切るようにして吐出通路17へ排出空気86として導く役割と、吐出側から吸込側への空気の逆流を防止する役割をしている。空気が逆流してしまうと、十分に昇圧できず性能が低下するためである。隔壁板50が風上側に十分長い場合には逆流防止の効果が高くなるが、隔壁板50が流路を塞ぐことで性能が低下する。本実施例では、吐出通路17と隔壁板50の吐出側形状が回転軸方向に一部分だけ重なるように構成することにより、吐出通路17より吸込通路14側への逆流を防ぎつつ、滞留なくスムーズに空気を吐出通路17へ流すことが可能となる。隔壁板50の背後に収まるブレード32の枚数(仕切り枚数)は、吐出側の圧力が一番高くなる枚数に調整される。騒音の問題については、静止流路12の吸込側に比べて吐出側の圧力変動は小さく、音の発生も小さいと考えられるため、有効な静止流路を長くし、静止流路12内で空気の旋回する回数を増加させることにより、騒音が増えることなく圧力上昇させることが可能となる。このように、吐出通路17の回転軸線A1方向の投影範囲に、隔壁板50が部分的に重なるように構成することが好ましい。
【0034】
吸込通路14の前方側においては、円周方向に隔壁板50が突出して形成され、周方向に見て吸込通路14の全体を覆うようになっている。隔壁板50の吸込側端辺54(
図4参照)は吸込通路14の回転軸線A1方向の投影範囲を横切る方向に延びている。ここでは、隔壁板50の吸込側端辺54の稜線部分58が吸込通路14側の投影範囲よりも風下側にまで伸びていることが理解できるであろう。このように隔壁板50は吸込通路14のほぼ全体を覆うようになっているので、吸込通路14がブレード32の後端面(円弧部32b)に直接対向することはない。一方、吐出通路17のうち吐出側端辺53により覆われない部分、即ち矢印38の部分においてはブレード32が吐出通路17の開口部分と直接対向することになる。
【0035】
羽根車30を電動機4により回転させると、吸込通路14により案内されて矢印81で示すように静止流路12から羽根車30内に空気が流入する。流入された空気は、羽根車30のブレード32相互間の空間35を内周から外周に向かって増速され、
図13の矢印22a、22bにて示したように、静止流路12内を円周方向に案内されて減速、昇圧される過程と、羽根車の空間35内に流入及び排出される過程とが繰り返される。このようにして静止流路12を羽根車30との間の空気は、螺旋状に流れながら繰り返して運動エネルギーが羽根車30により与えられて加圧される。加圧された空気は、
図7において矢印86で示すように吐出通路17を介して外部に案内される。
【0036】
本実施例では、静止流路12の両端部間を仕切る隔壁20の前面側に別体式の隔壁板50が設けられる。隔壁板50と吐出側端辺53の断面形状として、板厚が端部から徐々に増加するテーパー状にて形成される。隔壁板50の表面50aの回転軸線A1方向の位置は、ディスク部13(
図1参照)の位置と同一になっている。尚、隔壁板50の表面50aの回転軸線A1方向に見た位置は、環状の静止流路12の開口面とほぼ同一面となっている。隔壁板50の吸込通路14側は、隔壁板50の板厚を表面50a側及び裏面50b側から削ることにより、
図7に示すようにテーパー面が回転方向に傾斜するように形成されるので、矢印81に示す吸込空気が静止流路12に到達した直後の空間(膨張空間23)に効率よく流入される。
【0037】
隔壁板50と羽根車30との間の回転軸線A1方向に見た隙間C1は0.3~0.5mm程度に設定され、膨張空間23の回転軸線A1方向に見た隙間C2は5mm程度に設定される。膨張空間23の隙間C2は隙間C1に比して大きく設定されているので、繰越流は膨張空間23において膨張して減圧される。膨張空間23の隙間寸法を大きくし過ぎると、外周部を移送された繰越流が静止流路12の内周側に流出し易くなって性能低下が起きたり、急激な膨張による圧力変動が発生したりして新たな騒音発生源となる虞があるが、隙間C2の大きさを調整することによって膨張した空気の流れに方向性を付与して風切り音による騒音の発生を抑制することができる。
【0038】
以上のように本実施例では、隔壁板50は吸込通路14を部分的に覆うようにして吸込側端辺54を吸込通路14を横切る位置に設け、吐出側端辺53は吐出通路17を部分的に覆うようにして吐出側端面を吐出通路17を横切る位置に設けた。この結果、隔壁板50と吐出側端辺53を含めた隔壁板50の円周方向の長さは、隔壁板50と吐出側端辺53を吸込通路14と吐出通路17をそれぞれ全体的に覆うようにした場合よりもわずかに短くできる。隔壁板50の円周方向の最小長さは、吸込通路14と吐出通路17との間の圧力漏れを防ぐ長さに設定され、通常ではブレード3枚分の円周方向間隔に対応させた長さに隔壁板50を設定すれば圧力漏れを防止できる。また、ブレード32の枚数を増加させれば隔壁板50の円周方向長さを短くすることができるが、一般的にはブレード枚数を増加させると、空力性能が低下する傾向があり、隔壁板50の円周方向長さを短くするのには限界がある。本発明の渦流ブロワ1においては、隔壁板50の円周方向長さをブレード5枚分の間隔に対応させることにより、空力特性を低下させることなく、吸込通路14と吐出通路17との間のシール性を確保するようにしている。
【0039】
図8は渦流ブロワ1の騒音性能を示す図である。これらは
図2で示す隔壁形状を有する本実施例と
図12で示した従来例(比較例)の騒音性能を示した図である。なお本明細書においてオクターブバンド中心周波数は、ある周波数を中心にして上限と下限の周波数比が1オクターブとなる周波数の帯域(バンド)の中心の周波数を呼ぶ。また、オクターブバンドを1/3に分割したものを1/3オクターブバンドとする。各図の横軸に1/3オクターブバンド、縦軸に騒音レベル[dB]を示す。上段の(a)に周波数50Hzの騒音特性91を示し、下段(b)に周波数60Hz時の騒音特性94の結果を示す。前述の通り、吸込側に比べて吐出側の圧力変動は小さく、音の発生も小さいと考えられ、回転方向に向かって有効なシールを持つ仕切り枚数が同じため、本実施例では耳ざわりに聞こえる特定の周波数範囲、特に矢印93、96の部分が従来例の騒音特性92、95と同等であるので、騒音を増大させることなく効率向上を図ることができ、騒音性能は比較例と同等レベルに維持することが可能となった。
【0040】
図9は渦流ブロワ1の圧力性能曲線97を示した図であり、
図2で示す隔壁形状を有する本実施例と
図12で示した従来例を比較したものである。横軸に風量[m
3/min]、縦軸に風圧[kPa]を示している。発明者による比較の結果、本実施例では従来例(比較例)の圧力性能曲線98に比べて、最大風圧は維持しつつ、中風量帯にて効率の良い流路が実現できたので、トータル性能において従来例の性能を上回ることが確認できた。