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  • 特開-キュービクル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021925
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】キュービクル
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20240208BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20240208BHJP
   H02B 1/28 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02B1/30 G
H02B3/00 D
H02B1/28 D
H02B1/30 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125131
(22)【出願日】2022-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA07
5G016CB01
5G016CG21
5G016EA05
(57)【要約】
【課題】
列盤設置されたキュービクルの中間位置に設置された金属箱を分離でき、新設或いは更新された盤に組み換えることができるキュービクルを提供する。
【解決手段】
複数の金属箱を一列に連結し列盤設置したキュービクルであって、隣り合う金属箱12,13の間に空隙19を設け、取り外し可能な連結金具20により隣り合う金属箱の連結を行うものである。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属箱を一列に連結し列盤設置したキュービクルであって、
隣り合う金属箱の間に空隙を設け、
取り外し可能な連結金具により隣り合う金属箱の連結を行うキュービクル。
【請求項2】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
前記連結金具が前記金属箱の側面の正面側と背面側に設置され、前記金属箱の扉を開けて前記連結金具を取り外し可能であるキュービクル。
【請求項3】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
隣り合う金属箱の間の前記空隙から雨水や塵が入らないように、前記連結金具が前記空隙を塞ぐ機能を備えたキュービクル。
【請求項4】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
前記連結金具は、断面形状において、中央の凸部と、両側へ延びる底部を備え、
前記底部は一方の金属箱へボルトで固定され、
前記凸部は他方の金属箱へボルトで締結されるものであるキュービクル。
【請求項5】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
前記金属箱の上部から下部に渡って連続する前記連結金具が設けられているキュービクル。
【請求項6】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
前記金属箱の上部から下部に渡って、複数の前記連結金具が離れて設けられているキュービクル。
【請求項7】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
隣り合う前記金属箱の間の上部に、屋根カバーを備えるキュービクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列盤設置されたキュービクルに関する。
【背景技術】
【0002】
キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)は、電力会社から高圧受電するための必要な機器類一式を金属製筐体に収納したものである。受電遮断設備と、変電設備と、配電設備と、進相コンデンサ設備および各電力を計測するための計測機器を収納した複数の金属箱で構成され、各金属箱を一列に連結し列盤設置されている。ここで、列盤とは、複数の金属箱を連結して構成したものをいう。
【0003】
図1は、4つの金属箱を連結して列盤設置されたキュービクルの外観例である。チャンネルベース10の上に金属箱11と金属箱12と金属箱13と金属箱14とをそれぞれ連結ボルト17で連結し、屋根部の連結部に雨水侵入防止のための屋根カバー15を設置した構成となっている。
【0004】
特許文献1に、列番設置されたキュービクルの一例が開示されている。特許文献1には、「盤間が機械的に接続され、且つ電気的に接続されるように構成し列盤を形成する受配電盤において、前記機械的接続部は、一の受配電盤1Aには凸部2と、他の受配電盤1Bには凹部3とを設け、両部2、3を係合させることにより、特別な工具を必要とせず、盤間接続が容易となり、位置を決めも簡単となり、誤配線をも防止でき、両受配電盤を密着し列盤となる受配電盤を提供することができる。」(要約参照)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-174224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
列盤設置されたキュービクルにおいて、部分的に新設或いは更新された盤に組み換える必要が生じることがある。端部の金属箱は、屋根カバーと締結用ボルトおよびナットと内部の電気導体接続部を切り離すことにより金属箱単位で分離することができるため、部分的に新設或いは更新された盤に組み換えることができる。しかし、中間位置にある金属箱は、締結用ボルトと内部の電気導体接続部を切り離しても金属箱が左右で密着しているため、分離することおよび盤を組み換えることができない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、列盤設置されたキュービクルの中間位置に設置された金属箱を分離でき、新設或いは更新された盤に組み換えることができるキュービクルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のキュービクルでは、隣り合う金属箱の間に空隙を設け、取り外し可能な連結金具で隣り合う金属箱を連結する構造とし、連結金具を取り外した状態では隣り合う金属箱が金属接触しない構造にする。
【0009】
本発明の「キュービクル」の一例を挙げるならば、複数の金属箱を一列に連結し列盤設置したキュービクルであって、隣り合う金属箱の間に空隙を設け、取り外し可能な連結金具により隣り合う金属箱の連結を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、隣り合う金属箱の間に空隙を設け、連結金具を取り外した際には、中間位置に設置された金属箱は金属接触する箇所が無くなり、容易に更新したい金属箱の切り離しおよび組み換えを行うことができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来例の列盤設置されたキュービクルを示す図である。
図2】本発明の実施例1のキュービクルを示す斜視図である。
図3】本発明の隣り合う2つの金属箱の間の空隙を示す図である。
図4】本発明の実施例1の連結金具を示す斜視図である。
図5】本発明の実施例1の連結部と連結金具の部分断面を示す図である。
図6】本発明の実施例1の連結部と連結金具の配置を示す図である。
図7】本発明の実施例2の連結金具を示す斜視図である。
図8】本発明の実施例2の連結部と連結金具の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし主旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
なお、実施例を説明するための各図において、同一の構成要素にはなるべく同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例0014】
本発明の実施例1のキュービクルについて、図2~6を用いて説明する。図2は、実施例1のキュービクルを示す斜視図である。図3は、本発明の隣り合う金属箱12と金属箱13との間の空隙19を示す部分図である。また、図4は、本発明の実施例1の連結金具20を示す斜視図である。図5は、空隙19を持たせた金属箱12と金属箱13の連結部に連結金具20を取り付けた部分断面図を示す。図6は、図2の矢印方向を見た実施例1の連結部と連結金具の配置を示す図である。
【0015】
本発明においては、図3に示すように、隣り合う金属箱12と金属箱13との間に空隙19を有するように、隣り合う金属箱を連結する。そのために本実施例では、図4に示す連結金具20を用いて隣り合う金属箱を連結する。連結金具20は、断面形状において、両側へ延びる底部20bと、中央の凸部20aを備えており、略凸字形状をしている。連結金具の底部20bには一方の金属箱に取り付けるために金具用ボルト23を通すための孔が複数設けられている。また、連結金具の凸部20aには、他方の金属箱と連結するために連結ボルト25を通すための孔(図示せず)が複数設けられている。本実施例の連結金具20は、金属箱の上部から下部に渡って連続する1つの連結金具20を構成するため、縦長の形状としている。
連結金具20は、例えば平板状の鋼板の中央部をプレスして、凸部20aを形成することにより、製造することができる。
【0016】
図5の部分断面図に示すように、連結金具20の取り付けは、一方の金属箱12の穴部22に、連結金具20の凸部を挿入して行われる。連結金具20の両側の底部は一方の金属箱12に金具用ボルト23で固定され、また、連結金具20の凸部と他方の金属箱13は連結ボルト25で締結される。図5の例では、一方の金属箱12に予めナットが固定されており、金具用ボルト23を締め付けることにより連結金具20が固定される。また、他方の金属箱13に予めナットが固定されており、連結ボルト25を締め付けることにより2つの金属箱が連結される。連結金具20は、金具用ボルト23と連結ボルト25を外すことで、取り外し可能な構造となっている。
なお、連結金具20の固定や締結は、これに限るものではなく、連結金具20が一方の金属箱に取り外し可能に固定され、また、連結金具20が他方の金属箱に取り外し可能に締結されるものであれば、何れの構造でもよい。
【0017】
図6には、図2において矢印方向を見た、連結部を金属箱内部に取り付けた際の連結金具20の配置を示しており、連結金具20は正面側締結部と背面側締結部の2か所に設けられる。図2に示すように、金属箱の扉18を開けることで、金属箱の連結ボルト25と金具用ボルト23の取り外しが可能な配置となっている。
【0018】
以上の構成により、中間に位置する金属箱を分離する際には、屋根カバー15を外し、隣り合う金属箱を締結している連結ボルト25を外し、金具用ボルト23を外し、連結金具20を取り外すことで、中間に位置する金属箱は隣り合う金属箱と空隙19を持つことができる。そして、金属接触しない状態で分離することができ、クレーン等を用いて引き抜くことが可能となる。また、金属箱の間に新規で製作した金属箱を組込み際には、新規で製作した金属箱を設置し、連結金具20を取り付け、隣り合う金属箱との連結ボルト25を締結し、屋根カバー15を付けることで、金属接触を気にすることなく容易に組込みが可能になる。
【0019】
本実施例のキュービクルによれば、取り外し可能な連結金具を用いることにより、中間に位置する金属箱を分離する際や、金属箱の間に新規で製作した金属箱を組込み際には、中間に位置する金属箱は隣り合う金属箱と空隙19を持つことができ、金属接触しない状態で分離或いは組み込むことができる。
【0020】
また、本実施例のキュービクルによれば、連結金具20を金属箱の側面の正面側と背面側に設置しているので、金属箱の扉を開けて連結金具20を容易に取り外すことができる。
【0021】
また、本実施例のキュービクルによれば、連結金具20を正面側締結部と背面側締結部の2か所に、金属箱の上部から下部に渡って連続するように設けることにより、空隙が塞がれ、隣り合う金属箱の間の空隙から雨水や塵の侵入を防止することができる。
【実施例0022】
図7に、本発明の実施例2の連結金具を示し、図8に、実施例2の連結部と連結金具の配置を示す。実施例1は金属箱の上部から下部に渡って連続する連結金具を設けるものであるが、実施例2は、金属箱の上部から下部に渡って分離する複数の連結金具を設けるものである。
【0023】
図7に示すように、連結金具27は、断面形状において、両側へ延びる底部27bと、中央の凸部27aを備えており、略凸字形状をしている。本実施例の連結金具27は、金属箱の上部から下部に渡って分離した複数の連結金具を構成するため、縦方向の長さが短い形状としている。
【0024】
図8には、実施例1の図6に対応する、連結部を金属箱内部に取り付けた連結金具27の配置を示しており、連結金具27は、正面側締結部と背面側締結部に設けられ、それぞれ上下方向に分離して複数個所に設けられている。本実施例においても、図2に示すように、金属箱の扉18を開けることで、連結金具20の連結ボルト25と金具用ボルト23の取り外しが可能な配置となっている。
【0025】
本実施例のキュービクルによれば、実施例1の作用効果に加えて、連結金具27は、正面側締結部と背面側締結部に設けられ、それぞれ上下方向に分離して複数個所に設けられているので、一方の金属箱に形成する穴部22の大きさを小さくし、金属箱の強度を保つことができる。また、連結金具27を小さくし、連結金具の取り扱いを容易にすることができる。
【符号の説明】
【0026】
10…チャンネルベース
11,12,13,14…金属箱
15…屋根カバー
17…連結ボルト
18…扉
19…空隙
20…連結金具
20a…連結金具の凸部
20b…連結金具の底部
22…金属箱の穴部
23…金具用ボルト
25…連結ボルト
27…連結金具
27a…連結金具の凸部
27b…連結金具の底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8